(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615103
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】製氷装置用蒸発器アセンブリ、および、製氷方法
(51)【国際特許分類】
F25C 1/12 20060101AFI20191125BHJP
F25C 1/22 20180101ALI20191125BHJP
【FI】
F25C1/12 Z
F25C1/22 301B
F25C1/22 301Z
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-546033(P2016-546033)
(86)(22)【出願日】2015年10月20日
(65)【公表番号】特表2017-535736(P2017-535736A)
(43)【公表日】2017年11月30日
(86)【国際出願番号】US2015056448
(87)【国際公開番号】WO2016064866
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年7月10日
(31)【優先権主張番号】14/522,925
(32)【優先日】2014年10月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508128989
【氏名又は名称】スコッツマン グループ エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロス キース エイチ
(72)【発明者】
【氏名】サラティーノ クリス ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ストックトン ジョナサン ブイ
【審査官】
笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05329780(US,A)
【文献】
実公昭46−001257(JP,Y1)
【文献】
特表2008−544209(JP,A)
【文献】
米国特許第04990169(US,A)
【文献】
特開昭62−005065(JP,A)
【文献】
実開昭60−068369(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/04
F25C 1/10 〜 1/147
F25C 1/22
F25B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷装置用の蒸発器アセンブリであって、
垂直かつ平坦な凍結面と、
冷媒回路と、
前記凍結面と前記冷媒回路との間に熱的に結合され、平面に配列される複数の領域から形成される凍結鋳型であって、前記複数の領域は、前記複数の領域と同一平面上にある表面を有し、かつ前記複数の領域のそれぞれより小さい寸法を有するストリップのそれぞれによって前記平面内において相互接続される凍結鋳型と、
を備え、
前記凍結鋳型の前記複数の領域と前記凍結面とが接触し、前記凍結鋳型の前記ストリップと前記凍結面とが接触する位置は、前記凍結面における氷形成区域を画定し、その結果、氷形成区域および氷同士をつなぐウェビングが画定される、
蒸発器アセンブリ。
【請求項2】
前記複数の領域は、行および列に配置され、前記複数の領域のそれぞれは、少なくとも二方向において隣り合う領域と相互接続される、
請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項3】
前記冷媒回路の水平方向の屈曲部は、前記複数の領域のそれぞれの行と位置合わせするよう配置される、
請求項2に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項4】
前記冷媒回路は、蛇行回路である、請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項5】
前記領域は、正方形である、請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項6】
前記領域は、正方形、円形、楕円形、台形、および、不規則な形状からなる形状群から選ばれる1つ以上の形状を有する、
請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項7】
前記凍結面は、前記凍結鋳型の材料より低い熱伝導率を有する材料から形成される、
請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項8】
前記凍結面は、ステンレス鋼から形成される、請求項7に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項9】
前記凍結面は、剛性である、請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項10】
前記凍結鋳型は、前記凍結面および前記冷媒回路のそれぞれに接合されることにより、前記冷媒回路と、前記凍結鋳型と、前記凍結面との間の熱伝達を容易にする、
請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項11】
前記凍結鋳型は、ハンダ、ろう付け用合金、エポキシ、接着剤、および、熱伝導性両面テープからなる群から選ばれる1つ以上の接合材料を用いて接合される、
請求項10に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項12】
前記凍結鋳型は、前記凍結面に機械的に接合される、請求項10に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項13】
前記凍結鋳型は、隣接する領域の間に配置された絶縁領域をさらに備える、
請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項14】
前記絶縁領域は、空隙である、請求項13に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項15】
垂直かつ平坦な第2の凍結面と、
前記第2の凍結面と前記冷媒回路との間に熱的に結合されることにより、熱伝導をもたらす第2の凍結鋳型と、
をさらに備える、請求項1に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項16】
前記凍結面は、それらの外周付近で共に密封される、請求項15に記載の蒸発器アセンブリ。
【請求項17】
前記凍結面は、コーキング材、ハンダ、ろう付け用合金、ガスケット材料、ファスナー、ロール型、および、接着剤からなる材料群から選ばれる材料を用いて共に密封される、
請求項16に記載の蒸発器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね製氷装置および方法に関し、より詳しくは、製氷装置用蒸発器アセンブリおよび製氷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用のキューブアイスを供給するために製氷装置が用いられる。一般的に、製氷装置は、垂直な凍結面に水を流すことによって透明な氷を生成する。凍結面は、冷凍システムの一部である冷媒回路に熱的に結合されている。凍結面は、通常、氷の立方体形状を定義する凍結表面形状を有する。水は、この形状定義を有する面を流れるにつれて立方体の氷へと凍結する。
【0003】
図5は、製氷装置の蒸発器アセンブリと共に用いられ得る冷凍システム500を示す回路図である。
【0004】
冷凍システム500は、コンプレッサ510と、コンデンサ520と、膨張装置530と、冷媒回路540と、電磁弁550と、を有する。冷媒回路540は、蛇行形状を有し、蛇行回路として知られている。
【0005】
稼働中、製氷装置では冷凍サイクルと収穫サイクルとが交互に行われる。冷凍サイクル中にキューブアイスが生成される場合、水は、水を凍らせてキューブアイスにする図示しない凍結部分を経由する。同時に、コンプレッサ510は、冷媒回路540から実質的に低圧ガスの冷媒を受け取り、冷媒を加圧し、実質的に高圧ガスの冷媒をコンデンサ520に排出する。電磁弁550が閉じていれば、実質的に高圧ガスの冷媒がコンデンサ520を経由する。コンデンサ520では、冷媒から熱が奪われることにより、実質的にガスの冷媒が凝縮されて実質的に液体の冷媒となる。
【0006】
コンデンサ520を励起した後、実質的に高圧液体の冷媒は、膨張装置530へと送られ、膨張装置530においに圧力が低下されて冷媒回路540へと導入される。低圧の液体冷媒が冷媒回路540に入り、その中を通過しながら吸熱して気化する。冷媒回路540において、この低圧の液体冷媒は、冷媒回路540と熱的に結合されている凍結部分を冷却してその上に氷を形成する。実質的に低圧ガスの冷媒は、冷媒回路540を出てコンプレッサ510に導入される。
【0007】
キューブアイスを収穫すべく、凍結サイクルを終了し、凍結部分に水を流すのを停止する。そして電磁弁550が開くことによって、コンプレッサ510から排出された実質的に高温・高圧ガスの冷媒を冷媒回路540に入れることができる。冷媒回路540において、実質的に高温・高圧ガスの冷媒が凍結部分を解凍することにより、凍結部分から氷が剥がれやすくなる。最終的に、凍結部分から個々のキューブアイスがはがれ落ちて図示しない氷容器へと収容される。ここで収穫サイクルは終了し、さらなるキューブアイスを生成するために凍結サイクルが再開される。
【0008】
周知の蒸発器アセンブリの設計では、アセンブリを組み立てるために大量の銅および個別の部品を必要とする。典型的な蒸発器アセンブリは、48〜75個の部品を有する。さらに、食品機器の衛生要件を満たすべく、銅の表面すべてをニッケルでメッキしなければならないので、アセンブリのコストがさらにかさむ。メッキ工程は複雑であり、生産管理を維持することが難しいので、初期故障の可能性が高まり、製品保証費がかさむ可能性も高まる。
【0009】
また、周知の蒸発器アセンブリは、蓄積した硬水のミネラルを定期的に洗浄して取り除く必要があり、細菌の増殖を防ぐために消毒する必要もある。蒸発器アセンブリは、成長した氷を区切り、キューブアイスのためのポケットを明確にする仕切りを凍結面に有する。この仕切りは小さく、キューブアイス用の個別のポケットに深さがあることから、凍結面を完全に洗浄することは困難である。蒸発器アセンブリには400ものキューブアイス用ポケットを有するものもある。周知の蒸発器アセンブリにおいて洗浄が難しい他の部分は、冷媒回路540が凍結面に接続されている領域である。この領域は、蒸発器アセンブリの構造、または、製氷装置のキャビネットの位置のせいで、洗浄する場合に手が届かない。
【0010】
製氷装置の性能は、以下の2つの異なる基準によって評価される。(1)24時間における製氷能力、および、(2)生成した氷100ポンド当たりのキロワット時。氷を収穫する時間は、機械性能に直接影響する。製氷装置は、収穫時間が長いほど製氷にかける時間が少なくなり、コンプレッサ内にある液体冷媒の影響を受けやすくなり、その機能寿命が縮まる。氷をよりすばやく剥がし取るために凍結面にキューブアイスを分割するための仕切りを用いることは、解決すべき課題の1つである。氷が仕切りにくっついて離れず、各々の氷がなかなか剥がれないので、氷を取るのに時間がかかる。このような問題から、製造業者は、機械的押し棒、圧縮空気、または、蒸発器アセンブリに供給される飲料水を補助として用いて氷を剥がしている。また、すべての氷を一度に収穫するには、機械のモードが直ちに製氷モードに戻ることが望ましい。すべての氷を同時に収穫するために、蒸発器アセンブリによってすべてのキューブアイス同士の隙間を埋めて一枚の板にする。しかしながら、氷同士の隙間を埋めてしまうと、一枚になった板を個々のキューブアイスにするのが困難である。
【0011】
さらに、従来の蒸発器アセンブリは、氷が形成される氷凍結面に冷媒回路540を直接取り付けている。この設計は、蒸発器が、仕切りとなる形状を有する凍結表面を有する、あるいは、蒸発器が、氷の成長を管理し、立方体形状を明確にするための追加の部品を有することを必要とする。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、収穫サイクルの間に氷を剥がし取る時間を短縮することにより性能を向上させる製氷装置用蒸発器アセンブリに関する。実質的に平坦な凍結面には、氷を成形または分割するための隆起のような形状的特徴はない。また、凍結鋳型は、一枚の板に形成されるのではなく、ストリップによって相互接続された氷によって氷形成ゾーンを画定するので、凍結面に形成されたすべての氷は重力によって同時に剥がされ、簡単にばらばらになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】一実施形態による製氷装置用蒸発器アセンブリを示す分解図である。
【
図2A】他の実施形態による製氷装置用蒸発器アセンブリを示す分解図である。
【
図3】他の実施形態による製氷装置用蒸発アセンブリを示す分解図である。
【
図5】製氷装置の蒸発器アセンブリと共に用いられ得る冷凍システムを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aは、一実施形態による製氷装置用の蒸発器アセンブリ100を示す分解図である。
図1Bは、
図1Aの蒸発器アセンブリ100を示す斜視図である。
【0015】
蒸発器アセンブリ100(
図1Aにおける100Aおよび
図1Bにおける100B)は、凍結面110A、凍結鋳型120A、および、冷媒回路130(蛇行回路)を備える。
【0016】
凍結面110Aは、氷が形成される構成要素である。凍結面110Aは、剛性であり、ステンレス鋼または使用目的に合ったいかなる熱伝導材料から構成され得る。凍結面は、垂直面であり、氷を成形または分割するための隆起した形状的特徴を有さない実質的に平坦な面である。従前の蒸発器アセンブリの設計では、隆起した形状的特徴に氷がくっついて離れないため、氷を剥がすのに時間がかかっていた。このような形状的特徴をなくすことにより、より速く氷を収穫できる。また、氷を成形または分割するための、凍結面における隆起した形状的特徴をなくすことは、洗浄に関してもメリットがある。深さ7/8インチで角の丸みが最小限またはない立方体のポケットを機械的に洗浄するよりも、平面を拭く方がはるかに楽である。
【0017】
氷の成長を制限し、かつ、氷が明確に形成されるよう、凍結面110Aの材料の熱伝導率は、凍結鋳型120Aの材料の熱伝導率より低くなければならない。凍結鋳型120Aは、銅、または、他の適切な材料から形成されてよい。
【0018】
凍結鋳型120Aは、凍結面110Aと冷媒回路130との間に熱的に結合される。冷媒回路130は、アルミニウムなどの高熱伝導率を有する金属により形成されるか、あるいは、銅などの比較的高熱伝導率を有する他の金属から形成されてもよい。
【0019】
凍結鋳型120Aは、平面に配列された複数の領域122Aから形成され、これらの領域122Aは、領域122Aより小さいストリップ124Aによって平面内で相互接続されている。あるいは、凍結鋳型120Aは、相互接続のためのストリップなしで平面に配列された複数の領域122Aによって形成されてよい。
【0020】
領域122Aは、図に示すように、実質的に正方形であってよい。あるいは、領域122Aは、円形、楕円形、台形、不規則形状、または、使用目的に合ったいかなる形状であってよい。各領域122Aは、同じ形状であってよく、あるいは、異なる形状を組み合わせてもよい。
【0021】
凍結鋳型120Aは、隣り合う領域122Aの間に配置された絶縁領域126Aをさらに有してよい。絶縁領域126Aは、空隙であってよく、または、他の適切な絶縁材料から形成されてよい。これらの絶縁領域126Aは、キューブアイスがくっきりと形成されるよう、凍結面の対応する部分で水が氷ることを防ぐ。
【0022】
凍結鋳型120Aと凍結面110Aとが接触する位置は、凍結面110Aにおける氷形成区域および氷同士をつなぐウェビングを画定する。氷が収穫されて重力によって図示しない氷容器内に落ちる場合、このウェビングによって氷は一緒に落ちるが、氷容器に達すると簡単にばらばらになる。
【0023】
複数の領域122Aは、行および列に配置されてよく、複数の領域122Aのそれぞれは、少なくとも二方向において隣り合う領域122Aと相互接続される。さらに、冷媒回路130の水平方向の屈曲部は、熱結合を高めるよう、複数の領域122Aのそれぞれの行と位置合わせされるよう配置されてよい。
【0024】
凍結鋳型120Aは、凍結面110Aおよび冷媒回路130のそれぞれに接合されることにより、冷媒回路130と、鋳型120Aと、凍結面110Aとの間の熱伝達を容易にする。この結合は、リフローはんだ付けまたはロウ付け工程、クラッディングなどの機械的接合方法、接着剤、エポキシ樹脂、熱伝導性両面テープ、あるいは、他のいかなる適切な材料を用いて実現され得る。
【0025】
蒸発器アセンブリ100は、単一の凍結面110Aと単一の凍結鋳型120Aとを含み得る。あるいは、蒸発器アセンブリ100は、第2の凍結面110Bと第2の凍結鋳型120Bとをさらに有してよい。凍結面110Aと同様、第2の凍結面110Bも垂直面である。第2の凍結面110Bも実質的に平面であり、凍結面110Aと同様の構造を有するが、本開示はこれに制限されない。
【0026】
凍結鋳型120Aと同様に、第2の凍結鋳型120Bは、第2の凍結面110Bと冷媒回路130との間に熱的に結合されることにより、熱伝導をもたらす。上記の凍結鋳型120Aおよび凍結面110Aと同様に、第2の凍結鋳型120B、冷媒回路130、および、第2の凍結面110Bは、互いに接合される。また、凍結鋳型120Bは、上記の凍結鋳型120Aと同様の構造を有してよい。凍結鋳型120Aおよび第2の凍結鋳型120Bは、同一のまたは異なる構造を有してよい。
【0027】
凍結面110Aおよび第2の凍結面110Bは、蒸発器アセンブリを食品の区域から隔離するよう、それらの外周付近で共に密閉される。このような設計により、冷媒回路130、および、凍結鋳型120A、120Bの銅表面をメッキする必要がなくなる。従前の蒸発器アセンブリの設計は、これら3つの構成要素が食品の区域に露出しているため、掃除がすこぶる困難である。蒸発器アセンブリを十分に洗浄できないと、バクテリアの増殖を促進させてしまうおそれがある。
【0028】
凍結面110A、110Bの封止は、コーキング材、ハンダ、ろう付け用合金、ガスケット材料、ファスナー、ロール型、接着剤、または、他のいかなる適切な材料によって実現されてよい。
図1Aからわかるように、凍結面110A、110Bには冷媒回路130の両端が配置できるような切込みが入っている。
【0029】
図2Aは、他の実施形態による、製氷装置用の蒸発器アセンブリ200を示す分解図である。
図2Bは、
図2Aの蒸発器アセンブリ200を示す斜視図である。
【0030】
蒸発器アセンブリ200(
図2Aの200A、および、
図2Bの200B)は、
図1Aおよび1Bの冷媒回路がマイクロチャネル蒸発器230であるという以外は、
図1Aおよび1Bの蒸発器アセンブリ100と同様である。また、マイクロチャネル蒸発器230の形状に合うよう、凍結面110は、凍結面210(210Aおよび210B)に置き換えられる。
【0031】
マイクロチャネル蒸発器230は、入口ヘッダ234と、出口ヘッダ236と、入口ヘッダ234および出口ヘッダ236と流体連通する複数の管232とにより形成される。管232は、実質的に平坦であり、その内部に複数のマイクロチャネル238が形成されている。管232は、水平および/または垂直に構成され、熱的結合を高めるべく、複数の領域122Aの行および/または列とそれぞれ位置合わせされてよい。マイクロチャネル238は、実質的に矩形、円形、三角形、楕円形、台形、および、他のいかなる適切な形状の1つ以上である断面形状を有する。管232およびマイクロチャネル238のそれぞれは、使用目的に合ったいかなる大きさであってもよい。さらに、管232は、アルミニウムのような高熱伝導率を有する金属、あるいは、銅または鋼などの比較的高熱伝導率を有する他の金属から形成されてよい。
図3は、他の実施形態による、製氷装置用の蒸発器アセンブリ300を示す分解図である。
【0032】
蒸発器アセンブリ300は、凍結面310Aと、凍結鋳型320Aと、冷媒回路330とを有する。あるいは、冷媒回路330は、
図2Aおよび2Bに示すマイクロチャネル蒸発器230であってもよい。
【0033】
凍結面310Aは、垂直面であり、流体流路を形成する垂直の仕切り314Aを有する。凍結面310Aは、剛性であり、ステンレス鋼、または、使用目的に合ったいかなる熱伝導性材料により形成されてよい。氷の成長を制限し、かつ、氷が明確に形成されるよう、凍結面310Aの材料の熱伝導率は、凍結鋳型320Aの材料の熱伝導率より低くなければならない。凍結鋳型320Aは、銅、または、他の適切な材料から形成されてよい。
【0034】
凍結鋳型320Aは、凍結面310Aと冷媒回路330との間に熱的に結合される。凍結鋳型320Aは、平面に配列された水平のストリップ322Aによって形成される。水平のストリップ322Aのそれぞれは、蒸発器アセンブリ300に組み付けられたときに垂直の仕切り314Aとそれぞれ位置合わせされる複数の垂直なリブ324Aを有する。凍結鋳型320Aと凍結面310Aとが接触する位置は、凍結面310Aにおける氷形成区域を定義している。垂直のリブ324Aは、凍結面310Aの垂直な仕切り314Aとそれぞれ位置合わせされた状態で嵌め込まれているので、氷は、凍結面310Aの平坦な部分だけでなく、垂直な仕切り314Aの両側に沿っても形成され、その結果、凍結および収穫サイクルを短縮することができる。
【0035】
上述の
図1Aおよび1Bの蒸発器アセンブリ100と同様に、蒸発器アセンブリ300は、垂直な第2の凍結面310Bおよび第2の凍結鋳型320Bを有してよい。第2の凍結面310Bも流体流路を形成する垂直な仕切り314Bを有してよいが、本開示はこれに限定されない。第2の凍結鋳型320Bは、第2の凍結面310Bと冷媒回路330との間に熱的に結合され、任意で接合されることにより、熱伝導をもたらす。凍結面310Aおよび310Bは、上記の
図1Aおよび
図1Bの凍結面110Aおよび110Bと同様に、それらの外周付近で共に密閉されることにより、蒸発器アセンブリ100を食品の区域から隔離してよい。
【0036】
図4は、氷を形成する方法のフローチャートである。
【0037】
膨張された冷媒が冷媒回路130、230、330を通過するとき、ステップ410において凍結サイクルが開始する。ステップ420において、実質的に平坦な凍結面110、210を水が流れる。冷媒回路130、230、330における膨張された冷媒は、凍結面110の上に氷が形成されるよう凍結面110を冷却する。凍結鋳型は、凍結面110、210と、冷媒回路130、230、330との間に熱的に結合される。凍結鋳型は、平面に配列された複数の領域からなる。凍結鋳型と凍結面110、210とが接触する位置は、凍結面110、210における氷形成区域を画定する。凍結鋳型は、上記の
図1A、1B、2A、2B、および、3に示すような凍結鋳型120、320のいずれであってもよい。あるいは、凍結鋳型は、領域同士を接続している相互接続ストリップを含まない構成であってもよい。
【0038】
ステップ430において、収穫サイクルをいつ始めるかが決定される。この決定は、製氷装置の底部に流水が集まる図示しないサンプにおける水位、凍結面に形成される氷の量、および/または、冷媒回路130、230、330の温度などを測定することによりなされる。
【0039】
圧縮された冷媒が冷媒回路130、230、および、300を通過することにより、ステップ440において収穫サイクルが実行される。凍結面110、210に形成された氷が重力によって凍結面110、210から落ち得るに足る温度に凍結面110、210が温められるまで、冷媒回路130、230、330から凍結面110、210へと熱が伝達される。
【0040】
本開示の蒸発器アセンブリは、優れた性能を有し、すみずみまで洗浄でき、組み立て費を削減できる。用いられる材料が少なくて済むこと、また、食品が配置されている区域の衛生要件を満たすために必要とされる高価なメッキ工程も必要ないことにより、組み立て費が削減できる。しかも、キューブアイスに成形または分割するための形状的な特徴が凍結面にないので、手作業による組み立て時間を短縮できるか、あるいは、プレス加工をしなくてすむ。
【0041】
これまで例示的態様と関連付けて説明してきたが、「例示的」という用語は、一例としての、という意味であり、最良または最高の、という意味ではないことを理解されたい。したがって、本開示は、本開示の範囲を逸脱しない変更、修正、および、均等物を含むものとする。
【0042】
これまで特定の態様を例示および記載してきたが、これらの特定の態様は、本願の範囲を逸脱せずにさまざまな別のおよび/または均等な実施態様と代替可能である。
本願は、本願明細書中に記載された特定の態様の改作または変形物を包含するものとする。