(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615114
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置用のヒーターを持つ容器、およびエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20191125BHJP
H05B 3/03 20060101ALI20191125BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20191125BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20191125BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
A24F47/00
H05B3/03
H05B3/10 A
H05B3/20 301
H05B3/20 305
H05B3/20 373
A61M15/06 A
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-560676(P2016-560676)
(86)(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公表番号】特表2017-518032(P2017-518032A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2015058910
(87)【国際公開番号】WO2015165814
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年4月3日
(31)【優先権主張番号】14166739.4
(32)【優先日】2014年4月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】
西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−505874(JP,A)
【文献】
特表2009−502136(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0024834(US,A1)
【文献】
実開昭63−191198(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
A61M 11/00−19/00
H05B 3/02− 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生基体用の容器であって、前記容器が貫通領域を持ち、また前記貫通領域を貫通するための貫通要素を持つ電気加熱式エアロゾル発生装置で使用するためであり、前記容器が、
ケーシングと、
前記貫通領域およびヒーターを含むキャップとを含み、前記ヒーターが前記貫通領域の境界を画定する、容器。
【請求項2】
前記ヒーターが内部の端および外部の端を有し、前記ヒーターの前記内部の端が前記貫通領域の境界を画定する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記ヒーターが内部の端および外部の端を有し、前記ヒーターの前記外部の端が前記貫通領域の境界を画定する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記ヒーターが前記キャップの環状部分内に配置される、請求項1、2または3に記載の容器。
【請求項5】
前記ヒーターの合計長さが前記環状部分の周辺の長さよりも大きくなるように、前記ヒーターが前記キャップの前記環状部分内に波形の形状で提供される、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記ヒーターが、前記キャップの端から第一の距離にある第一の電気接点、および前記キャップの端から第二の距離にある第二の電気接点を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器。
【請求項7】
前記ケーシングが実質的に円形断面の形状を持つ、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記ヒーターが柔軟性のある基体上に提供された少なくとも1つの電気抵抗性のあるトラックを持つ、請求項1〜7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
キャップが、前記柔軟性のある基体を含むラミネートとして形成される、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
ニコチンを含むエアロゾル形成基体をさらに含み、使用時に前記貫通領域が貫通されると前記エアロゾル形成基体がアクセス可能である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
電気加熱式エアロゾル発生装置であって、
電源と、
エアロゾル形成基体を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の容器を受けるためのくぼみと、
前記電源に接続された電気接点であって、前記容器の前記電気接点を通して前記電源を容器のヒーターに結合するよう構成されている電気接点と、
容器が前記くぼみ内に受けられる時に前記容器の貫通領域を貫通する手段とを含む、電気加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項11に記載の電気加熱式エアロゾル発生装置であって、前記貫通する手段が貫通要素であり、前記電気加熱式エアロゾル発生装置がさらに、
前記貫通要素と、
少なくとも1つの空気吸込み口と少なくとも1つの空気出口とを含むマウスピースを備え、
使用時に、ユーザーが前記マウスピースを吸った時に、空気が前記少なくとも1つの空気吸込み口から延びる気流経路に沿って流れ、少なくとも1つの第一のコンジットを通り、前記容器の一部分を通り、少なくとも1つの第二のコンジットを通り、前記少なくとも1つの出口から出るように、前記貫通する手段が、前記少なくとも1つの空気吸込み口と前記貫通要素の遠位端との間に延びる前記少なくとも1つの第一のコンジットと、前記貫通要素の遠位端と前記少なくとも1つの空気出口との間に延びる前記少なくとも1つの第二のコンジットを備える、エアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記貫通する手段が電気絶縁体である、請求項12に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
エアロゾル発生基体を含む容器を製造する方法であって、前記方法が、
柔軟性のある基体材料のウェブを提供する工程と、
複数の電気抵抗性のあるトラックを前記柔軟性のある基体材料のウェブに適用する工程と、
前記柔軟性のある基体のウェブを切断して電気抵抗性のあるトラックを含むヒーター要素を形成する工程と、
貫通可能な材料のウェブを提供する工程と、
前記ヒーター要素を前記貫通可能な材料のウェブに適用する工程と、
前記貫通可能な材料のウェブを切断して容器用のキャップを形成する工程と、
容器を提供する工程と、
各容器をエアロゾル発生基体で充填する工程と、
各容器を前記ヒーター要素を含むキャップでシールする工程とを含む、方法。
【請求項15】
スタンピングおよび印刷のうち少なくとも1つによって各電気抵抗性のあるトラックを形成する工程をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生基体用の容器に関連し、またそうした容器の製造方法に関連する。本発明はさらに、容器と併用するように構成された電気加熱式エアロゾル発生装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
容器およびエアロゾル発生装置を備えたエアロゾル発生システムが周知である。1つの特定のシステムがWO 2009/079641号に開示されており、粘性の蒸発可能な材料を含むシェルと、プロピレングリコールなどのエアロゾル形成体とを含む容器を含む。シェルは、容器がエアロゾル発生装置の内部に挿入された時に、使用時に容器を通した気流が許容されるように、エアロゾル発生装置によって貫通されうるリッドでシールされる。装置は、シェルの外部表面を最高約200℃の温度に加熱するように構成されているヒーターを含み、また一例ではシェルの外部表面は170℃に加熱される。エアロゾル発生装置は細長く、また従来的な可燃性喫煙物品(紙巻たばこ)の直径と類似した直径を持ち、そのため、ヒーターは必然的に装置の外壁に非常に近接している。装置の外壁に対してヒーターが近接しているため、ヒーターの領域での装置ハウジングの外部温度は90℃を超えることが分かっている。少なくとも、これはユーザーにとって不快なものとなりかねない。さらに、装置の初回吸煙までの時間は、最長30秒であることが分かっている。
【0003】
従って、エアロゾル形成基体の加熱を改善する容器を提供することが望ましいといえる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、貫通領域を貫通するための貫通要素を持つ電気加熱式エアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生基体用の容器が提供されており、容器は貫通領域を持つ。容器は、ケーシングと、貫通領域およびヒーターを含むキャップとを備え、ヒーターは貫通領域の境界を画定する。
【0005】
有利なことに、キャップが貫通されるように配置されたヒーターをキャップ上に提供することで、より効率良く熱が容器に適用されるようになる。貫通領域を提供することで、キャップが貫通されるようになり、ヒーターを損傷することなく、発生されたエアロゾルが容器から放出される。
【0006】
ヒーターは内部の端および外部の端を持つことが好ましく、ここでヒーターの内部の端は貫通領域の境界を画定する。別の方法として、ヒーターの外部の端が貫通領域の境界を画定する。
【0007】
ヒーターは、キャップの環状部分内に配置されることが好ましい。したがって、キャップの中央部分はヒーターがないことが好ましく、ヒーターを損傷することなく貫通できる。ヒーターをキャップの環状部分に配置することで、貫通領域のサイズが増大しうる。環状部分は、キャップの外部の端に隣接していることが好ましい。
【0008】
ヒーターは、ヒーターの合計長さが環状部分の周辺の長さよりも大きくなるように、キャップの環状部分内で波形の形状で提供されていることが好ましい。有利なことに、ヒーターの長さを長くすることで、ヒーターからエアロゾル形成基体への熱伝達が向上する。波形の形状は三角波、方形波または正弦波としうる。
【0009】
ヒーターは、2つの電気接点を含むことが好ましく、第一の電気接点はキャップの端から第一の距離にあり、第二の電気接点はキャップの端から第二の距離にある。電気接点をこうした配置で提供することで、容器をエアロゾル発生装置内に任意の回転の向きで配置でき、その一方でなおも正しい電気的接続がなされるようになる。
【0010】
容器のケーシングは、実質的に円形断面の形状を持つことが好ましい。実質的に円形断面の形状を提供することで、容器はより簡単にエアロゾル発生装置のくぼみ内に挿入されうる。ところが、楕円形などその他任意の適切な断面形状が提供されうる。
【0011】
容器のケーシングを形成するために使用される材料は金属としうるが、アルミニウムが好ましい。別の方法として、ケーシングを形成するために使用される材料は、エアロゾル形成装置の使用温度に耐える能力を持つ適切な任意のポリマーなど、ポリマー系でもよい。
【0012】
キャップは、ポリマー、または金属で製造されることが好ましく、アルミニウムで製造されることがより好ましい。キャップは、シール能力を向上させるために薄層形成されてもよく、特に好ましい実施形態では薄層形成された食品用の陽極酸化アルミニウムである。
【0013】
キャップは、エポキシ接着剤などの接着剤、ヒートシール、超音波溶接、およびレーザー溶接を含む、適切な任意の方法を使用して容器のケーシングにシールされてもよい。
【0014】
ヒーターは、柔軟性のある基体上に提供された少なくとも1つの電気抵抗性のあるトラックを含むことが好ましい。柔軟性のある基体上にヒーターを提供することにより、ヒーターはキャップにより簡単に適用されることができ、ヒーターの耐久力が増大する。この実施形態において、キャップは柔軟性のある基体を含むラミネートとして形成されることが好ましい。ラミネートはさらに貫通可能な箔材料の層を含むことが好ましく、箔は金属としうるが、アルミニウムが好ましい。別の方法として、箔は高分子でもよい。
【0015】
電気抵抗性のあるトラックは、適切な任意の手段を使用して、柔軟性のある基体に接着されることが好ましい。
【0016】
電気抵抗性のあるトラックは、ステンレス鋼、銅、黄銅、プラチナ、金、銀、または十分に密度の高いエアロゾルが形成されるように、作業中に電流が供給された時に十分に高い温度を提供しうるその他任意の抵抗性材料のうち、どれか1つとしうる。
【0017】
柔軟性のある基体上のキャップにヒーターを提供することで、製造工程が簡略化されうる。製造工程は、下記にさらに詳しく説明されている。
【0018】
各電気発熱体は、細長い断面プロフィールを持つことが好ましい。エアロゾル発生基体が液体の場合、細長い断面プロフィールを提供することで、ヒーターと接する液体の量が増大し、したがってヒーターがより効率的になる。発熱体としてワイヤーのコイルを持つ従来的なヒーターは一般的に、円形または楕円形の断面形状を持ち、液体のメニスカスはワイヤーの側面にのみ形成されうる。比較すると、本発明の細長い断面プロフィールによって、液体のメニスカスはヒーターの側面と上面の両方で形成されるようになる。
【0019】
細長い断面プロフィールは長方形が好ましい。長方形の断面形状は製造が簡単であり、したがってコストが低減される。
【0020】
各ヒーターの電気抵抗は、0.3〜4オームが好ましい。各ヒーターの電気抵抗は0.5〜3オームであることがより好ましく、約1オームであることがより好ましい。各ヒーターの電気抵抗は、接点部分の電気抵抗よりも少なくとも1桁大きいことが好ましく、また少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これにより、ヒーター要素から電流を通過させることにより発生した熱が確実にヒーターに局在化される。システムの電源が電池である場合、ヒーターは全体的に低い抵抗を持つことが有利である。低抵抗で大電流のシステムにより、ヒーターに高電力を供給できる。これにより、ヒーターが導電性フィラメントを素早く望ましい温度に到達させることができる。
【0021】
本明細書で使用される場合、「長軸方向」という用語は、容器の近位端および向かい合った遠位端の間の方向を意味し、エアロゾル発生装置の近位(またはマウスピース)端および遠位端の間の方向を意味する。
【0022】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体であることが好ましい。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出される。
【0023】
エアロゾル形成基体は固体でも液体でもよく、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。好ましい1つの実施形態で、エアロゾル形成基体は固体である。
【0024】
エアロゾル形成基体はニコチンを含む場合がある。ニコチンを含有するエアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスとしうる。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基体はたばこを含みうるが、たばこ含有材料は揮発性のたばこ風味化合物を含むことが好ましく、これが加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含みうる。
【0025】
容器はニコチンを含むエアロゾル形成基体を備えることが好ましく、ここで使用時に貫通領域がいったん貫通されるとアクセスが可能となる。
【0026】
別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含みうる。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含みうる。
【0027】
均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されうる。存在する場合、均質化したたばこ材料のエアロゾル形成体含有量は、乾燥質量で5%以上であり、乾燥質量で5〜30重量パーセント以上であることが好ましい。
【0028】
エアロゾル形成基体は少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生装置の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。
【0029】
エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含みうる。
【0030】
エアロゾル形成基体はニコチンおよび少なくとも1つのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態で、エアロゾル形成体はグリセリンである。
【0031】
容器は、約150mg〜約400mgのエアロゾル形成基体で充填されることが好ましく、約200mg〜約300mgのエアロゾル形成基体であることがより好ましく、好ましい1つの実施形態では約250mgのエアロゾル形成基体である。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書で記載した通りエアロゾル発生基体を含む容器を製造する方法が提供されている。方法は、柔軟性のある基体材料のウェブを提供する工程と、複数の電気抵抗性のあるトラックを前記柔軟性のある基体材料のウェブに適用する工程と、柔軟性のある基体のウェブを切断して電気抵抗性のあるトラックを含むヒーター要素を形成する工程と、貫通可能な材料のウェブを提供する工程と、ヒーター要素を貫通可能な材料のウェブに適用する工程と、前記貫通可能な材料のウェブを切断して容器用のキャップを形成する工程と、容器を提供する工程と、各容器をエアロゾル発生基体で充填する工程と、各容器をヒーターを含むキャップで封止する工程とを含む。
【0033】
方法はさらに、スタンピング、印刷、エッチング、焼結を伴う蒸着、および焼結を伴わない蒸着のうち、少なくとも1つによって各電気抵抗性のあるトラックを形成する工程を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態では、電気抵抗性のあるトラックはスタンピングにより形成される。電気抵抗性のあるトラックの寸法許容値は、1/10mm未満であることが好ましく、また精度は少なくとも99%であることが好ましい。
【0034】
方法は形成された電気抵抗性のあるトラックを柔軟性のある基体材料の実質的に連続的なウェブに提供する工程を含むことが好ましく、基体材料の連続ウェブは、容器用のキャップの形成に使用するためにボビンに提供される。実質的に柔軟性のある基体材料の実質的に連続的なウェブのボビンを提供することにより、ヒーターを形成するプロセスを、キャップを形成するプロセスと分離することができ、それによって製造工程の効率が向上する。
【0035】
本発明のなおさらなる態様によれば、電気加熱式エアロゾル発生装置が提供されている。装置は、電源と、本明細書で説明した通りエアロゾル形成基体を含む容器を受けるためのくぼみと、電源に接続されかつ電源を容器のヒーターに容器の電気接点を通して結合するように構成された電気接点と、容器がくぼみ内に受けられた時に容器の貫通領域を貫通するための手段とを含む。
【0036】
こうしたエアロゾル発生装置を提供することにより、ヒーターがエアロゾル発生基体の近くに提供されうるため、エアロゾル発生基体を加熱する効率、したがってエアロゾルを発生する効率が改善されうる。
【0037】
貫通手段は貫通要素が好ましい。装置はさらにマウスピースを含むことが好ましい。マウスピースは、貫通要素、少なくとも1つの空気吸込み口および少なくとも1つの空気出口を含み、また、使用時にユーザーがマウスピースを吸った時に、空気が少なくとも1つの空気吸込み口から、少なくとも1つの第一のコンジットを通り、容器の一部分を通り、少なくとも1つの第二のコンジットを通り、少なくとも1つの出口から出るように延びる気流経路に沿って流れるように、貫通手段が少なくとも1つの空気吸込み口と貫通要素の遠位端との間に延びる少なくとも1つの第一のコンジットと、貫通要素の遠位端と少なくとも1つの空気出口との間に延びる少なくとも1つの第二のコンジットとを含む。
【0038】
貫通手段は電気絶縁体としうる。本明細書で使用される場合、「電気絶縁体」は、その内部の電荷が自由に流れず、したがって電界の影響下で電流を伝導することが非常に困難な材料である。電気絶縁体は比抵抗1×10
4Ωm以上を有することが好ましい。
【0039】
電気接点は、ヒーターの電気接点に適切に接続されるように、装置の長軸方向軸から第一および第二の半径方向距離に提供されることが好ましい。好ましい1つの実施形態で、容器が任意の軸回転でくぼみ内に提供されることができ、なおかつ適切な電気的接続が形成されるように、電気接点は実質的に連続的な環である。環は同心であることが好ましい。
【0040】
貫通要素を持つマウスピースを含む実施形態において、電気接点は装置のハウジング内に、またマウスピース上に提供される。マウスピース上の電気接点は環であることが好ましく、また同心の環であることがより好ましい。ハウジング内の電気接点は、第一および第二の半径方向距離に提供されることが好ましい。したがって、マウスピース内の電気接点は、ハウジング内に提供された装置の電気接点に容器の電気接点を結合するように構成される。
【0041】
電源は電池でもよく、また充放電の多数のサイクルのために構成された再充電可能電池でもよい。電池は、例えば、リチウムコバルト、リチウム鉄リン酸塩、チタン酸リチウムまたはリチウムポリマー電池といったリチウム系の電池でもよい。別の方法として、電池はニッケル水素電池またはニッケルカドミウム電池でもよい。電池容量は、再充電が必要となる前にユーザーによる複数回の使用が許容されるよう選択されることが好ましい。電池の容量は、再充電が必要となる前にユーザーが最低20回使用するのに十分であることが好ましい。
【0042】
別の方法として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置としうる。電源は、再充電を必要とすることがあり、また1回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの貯蔵が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は従来型の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。別の例で、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を許容する十分な容量を持ちうる。
【0043】
エアロゾル発生装置は、制御電子回路をさらに含むことが好ましい。制御電子回路は、電力が電源から少なくとも1つのヒーターに供給し調整されるように構成されることが好ましい。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給することも、毎回の吸入ごとなど断続的に供給することもできる。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されうる。
【0044】
制御電子回路はマイクロプロセッサを備えうるが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。制御電子回路はさらなる電子構成要素を備えうる。
【0045】
制御電子回路は、少なくとも1つのヒーターの温度を約80℃〜270℃の使用温度に維持するようにさらに構成されていることが好ましい。使用温度は、エアロゾル発生基体に使用されるエアロゾル形成体(含まれる場合)のタイプに依存する。エアロゾル形成体がプロピレングリコールである場合、使用温度は約80℃〜約90℃であることが好ましい。エアロゾル形成体がグリセリンである場合、使用温度は約120℃〜約200℃であることが好ましい。
【0046】
さらに、制御電子回路はエアロゾル発生基体の急速加熱が可能なように構成されうる。本明細書で使用される場合、急速加熱は約3秒未満、より好ましくは約2秒未満の加熱であると定義される。急速加熱中、できる限り早く揮発温度に達するように、十分なエネルギーがエアロゾル発生基体に伝達されてエアロゾル発生基体の温度が350℃にまで上昇する。
【0047】
エアロゾル発生装置は、容器を受けるためのくぼみに隣接した温度センサーをさらに備えうる。温度センサーは、制御電子回路と通信して、制御電子回路が温度を使用温度に維持することを可能にする。温度センサーは熱電対とすることができ、または別の方法として、少なくとも1つのヒーターが温度に関連する情報を提供するために使用されてもよい。この別の方法において、少なくとも1つのヒーターの温度に依存する抵抗の属性は周知であり、少なくとも1つのヒーターの温度を当業者にとって周知の方法で決定するために使用される。
【0048】
エアロゾル発生装置は、制御電子回路と通信する吸煙検出器を備えうる。吸煙検出器は、ユーザーがエアロゾル発生装置マウスピースをどの時点で吸ったかを検出するよう構成されていることが好ましい。制御電子回路は、吸煙検出器からの入力に基づき、少なくとも1つの発熱体への電力を制御するようにさらに構成されていることが好ましい。
【0049】
エアロゾル発生装置は、スイッチまたはボタンなどのユーザー入力をさらに含むことが好ましい。これにより、ユーザーが装置の電源を入れることができるようになる。スイッチまたはボタンによって、エアロゾル発生を開始させてもよく、または制御電子回路が吸煙検出器からの入力を待機するよう準備させてもよい。
【0050】
使用時に、ユーザーは本明細書で説明した容器を本明細書で説明したエアロゾル発生装置のくぼみに挿入する。次にユーザーは、マウスピースをエアロゾル発生装置の本体に取り付け、このマウスピースがカプセルを貫通部分で貫通する。次にユーザーは、ボタンを押して装置を起動させる。次にユーザーは、マウスピースを吸うが、これにより、空気が空気吸込み口を通して装置内に吸い込まれ、その後、空気は容器を通過して、蒸発したエアロゾル形成基体を気流中に混入され、マウスピースにある空気出口を通って装置を出て、ユーザーによって吸入される。
【0051】
エアロゾル発生装置は、くぼみおよびその他の構成要素を含むハウジングをさらに含む。エアロゾル発生装置のハウジングは、円形断面を持つ細長い円筒形など、細長いことが好ましい。ハウジングは適切な任意の材料または材料の組み合わせを含む場合がある。適切な材料の例としては、金属、合金、プラスチックもしくはそれらの1つ以上の材料を含有する複合材料、または、例えば、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適した熱可塑性物質が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0052】
エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこや紙巻たばこと匹敵するサイズを持ちうる。喫煙システムの全長は、およそ30mm〜およそ150mmとしうる。喫煙システムの外径は、およそ5mm〜およそ30mmとしうる。
【0053】
エアロゾル発生装置は、さらなるヒーターを備えうる。さらなるヒーターは、容器を受けるためのくぼみ内に提供されうる。さらなるヒーターは、電源から電力を受けるように構成される。さらなるヒーターは、より急速にエアロゾル発生基体が使用温度に達することができるようにしうる。
【0054】
本発明の1つの態様のいずれの特徴も、任意の適切な組み合わせにおいて本発明のその他の態様にも適用されうる。特に、方法の態様は装置の態様に適用でき、その逆もまた可である。さらにまた、1つの態様における任意の一部および/またはすべての特徴は、任意の適切な組み合わせにおいて、任意のその他の態様の任意の一部および/またはすべての特徴に適用されうる。
【0055】
当然ながら、本発明の任意の態様において説明および定義された種々の特徴の特定の組み合わせを独立して実施および/または供給および/または使用できる。
【0056】
本発明は以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、本発明による容器用の電気ヒーターを含むキャップを示す。
【
図2】
図2は、
図1に示すキャップを含む本発明による容器を示す。
【
図3】
図3は、本発明による容器用の電気ヒーターを含むキャップのさらなる実施形態である。
【
図4】
図4は、本発明による容器付きと容器なしの、本発明によるエアロゾル発生装置を示す。
【
図5】
図5は、本発明による容器を製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は、エアロゾル発生装置で使用するための容器用のキャップ100を示す。キャップ100は、貫通可能な膜102および電気発熱体104を含む。電気発熱体は、2つの電気接点106および108を含む。電気接点は、キャップの中心から第一のおよび第二の半径方向距離に提供される。電気発熱体104は貫通可能な領域Aを持つように配置される。領域Aは、発熱体の動作に影響することなく貫通されうる。
【0059】
電気ヒーターは、シート材料のスタンピングにより形成されることが好ましく、材料はステンレス鋼、銅または黄銅であることが好ましい。製造工程は、下記にさらに詳しく説明されている。
【0060】
図2は、容器200の分解図を示す。容器は、薄壁の外側壁および薄壁の基部を持つケーシング202を含む。キャップ100はケーシング202の開放端に提供され、エアロゾル発生装置で使用するための封止された容器を形成する。リッドがケーシング202のリップに封止される前に、容器のケーシングはエアロゾル形成基体(図示せず)で充填される。およそ250mgのエアロゾル形成基体が容器内に提供される。エアロゾル形成基体は、たばこ、およびエアロゾル形成体などのニコチン含有材料を含む。エアロゾル形成体は、ユーザーのために良好な食感を提供するグリセリンであるが、グリセリンは、その他のエアロゾル形成体と比較して適切に小さいエアロゾル液滴直径を生むことも分かっている。
【0061】
図3は、エアロゾル発生装置で使用するための代替的なキャップ300を示す。キャップ300は、貫通可能な膜302および電気発熱体304を含む。電気発熱体は、2つの電気接点306および308を含む。この場合も、電気接点はキャップの中心から第一のおよび第二の半径方向距離に提供される。電気発熱体304は貫通可能な領域Bを持つように配置される。領域Bは、発熱体の動作に影響することなく貫通されうる。
図3に示す実施形態により、
図1に示す実施形態より合計長さが長い発熱体が可能となる。
【0062】
図4(a)は、上述した容器200と併用するためのエアロゾル発生装置400の断面図を示す。エアロゾル発生装置は、再充電可能電池などの電源404と、制御回路406とを収容するように適合された外側ハウジング402を含む。ハウジング302は、容器200を受けるように構成されたくぼみ408をさらに含む。エアロゾル発生装置400は、エアロゾル発生装置ハウジング402の近位端に取付け可能なマウスピース412をさらに含む。マウスピースは、貫通部分414と、2つの気流コンジットである入口コンジット416および出口コンジット418を含む。マウスピースはさらに、同心の環の形態の電気接点420を含むが、これについては下記にさらに詳細に説明する。
【0063】
図4(b)は、容器200を含むエアロゾル発生装置400の断面図を示す。容器はハウジングのくぼみ内に受けられる。容器200のキャップの電気接点は、マウスピースがハウジング402に結合された時にマウスピースの電気接点を接続する。マウスピースの電気接点は、制御回路406に結合されたエアロゾル発生装置内の電気接点にさらに接続する。
【0064】
使用時に、ユーザーは、容器200をエアロゾル発生装置400のくぼみに挿入してから、マウスピース412をハウジング402に取り付ける。マウスピースを取り付けることにより、貫通部分414が容器のキャップを貫通し、空気吸込み口からカプセルを通して空気出口への気流経路を形成する。そうすることでも、電気的接続が形成される。ユーザーは次に、ボタン(図示せず)を押して装置を起動する。装置の起動においては、ヒーターに、電源404から制御電子回路406によって電力が供給される。カプセルの温度が約220℃〜約240℃の使用温度に達した時、インジケータ(図示せず)の手段によってユーザーは通知を受け、その後でユーザーはマウスピースを吸うことができる。ユーザーがマウスピースを吸う時、空気は空気吸込み口に入り、マウスピース内にあるコンジット416を通ってカプセル内に進み、蒸発したエアロゾル形成基体を混入してから、マウスピース内の出口コンジット318を経由してカプセルを出る。
【0065】
容器のケーシングは、深絞りなどの適切な周知の技法を使用して製造されうるが、本明細書では詳細には説明しない。しかし、
図5を参照しながら発熱体およびキャップの製造工程について説明する。
【0066】
図5(a)は、柔軟性のある基体材料のウェブを含むボビン500を示す。柔軟性のある基体材料は、予めスタンピングした発熱体502を受けるように構成される。発熱体は、適切なダイおよび穴の配置を使用してスタンピングしうる。したがって、
図5(a)に示すプロセスの工程において、複数の発熱体を持つ柔軟性のある基体材料の実質的に連続的なウェブが形成される。
【0067】
図5(b)はプロセスの次の工程を示す。柔軟性のある基体材料のウェブは穴504およびダイを使用して、それぞれが発熱体を有する個別のディスク506に切断される。ディスクは、キャップの直径と実質的に等しい直径を持つ。
【0068】
図5(c)は、貫通可能な膜508(アルミニウムなど)の実質的に連続的なウェブに適用された個別のディスク506を示す。ディスクは、接着剤(図示せず)またはディスクを膜に貼るその他任意の適切な手段を使用して貼り付けられうる。
【0069】
次に、キャップ100は
図5(d)に示す通りさらなる穴510およびダイを使用して形成される。予め形成された容器のケーシングは次に、インジェクタ514を使用してエアロゾル形成基体512で充填される(
図5(e))。
図5(f)に示す通り、最後に、キャップ100はアプリケータ516を使用して容器のリップでシールされ、上述の通りエアロゾル発生装置で使用するためのシールされた容器を形成する。
【0070】
当業者であれば、本開示によるヒーター組立品を組み込んだその他の容器設計を考案することができるだろう。
【0071】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。