特許第6615258号(P6615258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6615258制御装置、撮像装置、制御方法、プログラム、および、記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615258
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法、プログラム、および、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20060101AFI20191125BHJP
   G02B 7/34 20060101ALI20191125BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20191125BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20191125BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   G02B7/28 N
   G02B7/34
   G03B15/00 Q
   G03B13/36
   H04N5/232 120
   H04N5/232 290
【請求項の数】13
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-77214(P2018-77214)
(22)【出願日】2018年4月13日
(65)【公開番号】特開2019-184887(P2019-184887A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2018年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 玲治
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/041733(WO,A1)
【文献】 特開2008−152150(JP,A)
【文献】 特開2016−114721(JP,A)
【文献】 特開平04−256917(JP,A)
【文献】 特開2002−300468(JP,A)
【文献】 特開2017−138346(JP,A)
【文献】 特開2009−171318(JP,A)
【文献】 特開2017−126040(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0181106(US,A1)
【文献】 特開2017−173615(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/095352(WO,A1)
【文献】 特開2014−215340(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0053160(KR,A)
【文献】 中国特許出願公開第102694974(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28−7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系により形成された光線を受光する第一のセンサを用いて位相差検出による焦点検出を行う第一の焦点検出手段と、
前記撮像光学系により形成された光線を受光する第二のセンサを用いて位相差検出による焦点検出を行う第二の焦点検出手段と、
前記第一の焦点検出手段からの第一の信号と前記第二の焦点検出手段からの第二の信号との差分に相当する補正情報を算出する算出手段と、
第一の領域において前記第一の信号に基づいてフォーカス制御を行い、第二の領域において前記第二の信号と前記補正情報とに基づいて前記フォーカス制御を行う制御手段と、
前記算出手段により算出された前記補正情報を記憶する記憶手段と、
被写体の位置を検出する位置検出手段とを有し、
前記記憶手段は、前記位置検出手段により検出された前記被写体の位置情報とともに前記補正情報を記憶し、
前記制御手段は、前記第一の領域に前記被写体が存在する場合、前記第一の信号に基づいて前記フォーカス制御を行うとともに、前記補正情報を前記記憶手段に記憶し、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が前記記憶手段に記憶されている場合、前記補正情報に基づいて前記フォーカス制御を行い、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていない場合、前記記憶手段に記憶された複数の補正情報を用いた補完演算により補正情報を算出し、前記補完演算により算出された補正情報に基づいて前記フォーカス制御を行うことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第一の領域は、撮影画面の中央領域であり、
前記第二の領域は、前記中央領域を囲む周囲領域であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第一のセンサは、前記第一の領域において焦点検出が可能なAFセンサであり、
前記第二のセンサは、前記第一の領域および前記第二の領域のそれぞれにおいて焦点検出が可能な撮像センサであることを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記被写体を認識する認識手段を更に有し、
前記記憶手段は、前記認識手段により認識された前記被写体ごとに前記補正情報を記憶することを特徴とする請求項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記第一のセンサと前記第二のセンサとが前記撮像光学系により形成された前記光線を受光する時間の差に基づいて、前記差分を算出することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記第二の領域のうち第一の部分領域において、前記補正情報に対応する第一の補正量で前記フォーカス制御を行い、
前記第二の領域のうち前記第一の部分領域よりも前記第一の領域から離れた第二の部分領域において、前記補正情報に対応する前記第一の補正量よりも小さい第二の補正量で前記フォーカス制御を行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記被写体が前記第一の領域から前記第二の領域へ移動してからの経過時間が第一の経過時間である場合、前記補正情報に対応する第一の補正量で前記フォーカス制御を行い、
前記経過時間が前記第一の経過時間よりも長い第二の経過時間である場合、前記補正情報に対応する前記第一の補正量よりも小さい第二の補正量で前記フォーカス制御を行うことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第一の焦点検出手段は、第一の方向の相関演算シフトにより焦点検出を行い、
前記第二の焦点検出手段は、第二の方向の相関演算シフトにより焦点検出を行い、
前記算出手段は、前記第一の方向と前記第二の方向とを合わせて焦点検出を行って得られた前記差分を算出することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
撮像光学系により形成された光線を受光する第一のセンサと、
前記第一のセンサを用いて位相差検出による焦点検出を行う第一の焦点検出手段と、
前記撮像光学系により形成された光線を受光する第二のセンサと、
前記第二のセンサを用いて位相差検出による焦点検出を行う第二の焦点検出手段と、
前記第一の焦点検出手段からの第一の信号と前記第二の焦点検出手段からの第二の信号との差分に相当する補正情報を算出する算出手段と、
第一の領域において前記第一の信号に基づいてフォーカス制御を行い、第二の領域において前記第二の信号と前記補正情報とに基づいて前記フォーカス制御を行う制御手段と、
前記算出手段により算出された前記補正情報を記憶する記憶手段と、
被写体の位置を検出する位置検出手段とを有し、
前記記憶手段は、前記位置検出手段により検出された前記被写体の位置情報とともに前記補正情報を記憶し、
前記制御手段は、前記第一の領域に前記被写体が存在する場合、前記第一の信号に基づいて前記フォーカス制御を行うとともに、前記補正情報を前記記憶手段に記憶し、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が前記記憶手段に記憶されている場合、前記補正情報に基づいて前記フォーカス制御を行い、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていない場合、前記記憶手段に記憶された複数の補正情報を用いた補完演算により補正情報を算出し、前記補完演算により算出された補正情報に基づいて前記フォーカス制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記撮像光学系により形成された前記光線の光路から退避可能なハーフミラーと、
前記ハーフミラーにより反射された前記光線を観測するためのファインダと、を更に有し、
前記第一のセンサは、前記撮像光学系により形成されて前記ハーフミラーを透過した前記光線を受光し、
前記第二のセンサは、前記ハーフミラーが前記光路から退避した状態で、前記撮像光学系により形成された前記光線を受光することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項11】
撮像光学系により形成された光線を受光する第一のセンサを用いて位相差検出による第一の焦点検出を行うステップと、
前記撮像光学系により形成された光線を受光する第二のセンサを用いて位相差検出による第二の焦点検出を行うステップと、
前記第一の焦点検出により得られた第一の信号と前記第二の焦点検出により得られた第二の信号との差分に相当する補正情報を算出するステップと、
第一の領域において前記第一の信号に基づいてフォーカス制御を行うステップと、
第二の領域において前記第二の信号と前記補正情報とに基づいて前記フォーカス制御を行うステップと、
前記算出するステップにより算出された前記補正情報を記憶するステップと、
被写体の位置を検出するステップとを有し、
前記補正情報は、前記被写体の位置を検出するステップにより検出された前記被写体の位置情報とともに記憶され、
前記第一の領域に前記被写体が存在する場合、前記第一の信号に基づいて前記フォーカス制御が行われるとともに、前記補正情報が記憶され、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が記憶されている場合、前記補正情報に基づいて前記フォーカス制御が行われ、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が記憶されていない場合、記憶された複数の補正情報を用いた補完演算により補正情報が算出され、前記補完演算により算出された補正情報に基づいて前記フォーカス制御が行われることを特徴とする制御方法。
【請求項12】
撮像光学系により形成された光線を受光する第一のセンサを用いて位相差検出による第一の焦点検出を行うステップと、
前記撮像光学系により形成された光線を受光する第二のセンサを用いて位相差検出による第二の焦点検出を行うステップと、
前記第一の焦点検出により得られた第一の信号と前記第二の焦点検出により得られた第二の信号との差分に相当する補正情報を算出するステップと、
第一の領域において前記第一の信号に基づいてフォーカス制御を行うステップと、
第二の領域において前記第二の信号と前記補正情報とに基づいて前記フォーカス制御を行うステップと、
前記算出するステップにより算出された前記補正情報を記憶するステップと、
被写体の位置を検出するステップと、をコンピュータに実行させ
前記補正情報は、前記被写体の位置を検出するステップにより検出された前記被写体の位置情報とともに記憶され、
前記第一の領域に前記被写体が存在する場合、前記第一の信号に基づいて前記フォーカス制御が行われるとともに、前記補正情報が記憶され、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が記憶されている場合、前記補正情報に基づいて前記フォーカス制御が行われ、
前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が記憶されていない場合、記憶された複数の補正情報を用いた補完演算により補正情報が算出され、前記補完演算により算出された補正情報に基づいて前記フォーカス制御が行われることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記憶していることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差検出方式による焦点調節を行う撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位相差検出方式による自動焦点調節(AF)を行う撮像装置が知られている。位相差検出方式によるAFとしては、二次光学系とAFセンサとを用いたAF(二次光学系AF)、および、撮像センサを用いたAF(撮像面位相差AF)がある。
【0003】
二次光学系AFでは、光学ファインダをユーザが観測しながらAF制御を行うことができる。しかし、ミラーや二次光学系の制約により画像の中心付近でしか焦点検出を行うことができない。一方、撮像面位相差AFでは、二次光学系とAFセンサとを用いたAFよりも広い範囲でAF制御を行うことができる。しかし、ミラーアップして撮像素子センサで撮像している間にしか焦点検出を行うことができず、焦点検出中にユーザがファインダを観測することができない。
【0004】
そこで、例えば特許文献1には、画像の中心付近では二次光学系AFを用い、画像の周辺部では撮像面位相差AFを用いる撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−142372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二次光学系AFと撮像面位相差AFの2つのAFの原理は互いに異なるため、焦点検出のために用いる情報にも差がある。これら2つのAFでは、位相が異なる2つの像の範囲や瞳が異なる。また、一般的に、AFセンサと撮像センサとは互いに異なる画素ピッチを有するため、被写体の空間周波数が異なる。また、二次光学系で焦点検出する際には絞りを開放状態に設定するが、撮影画像(静止画)は静止画の都合で絞り込む必要がある場合、2つのAFにより絞り値が異なる。また、画面内の位置に応じて、光学特性やケラレなどにより瞳の形状が変化する。
【0007】
このように、2つの焦点検出結果の間には差があり、厳密に同一の焦点検出結果を得ることはできないため、2つのAFを使い分ける場合に問題になる。例えば、2つのAFを画面内のエリアで使い分けた場合、被写体が画面中央から周辺に移動する際に、焦点検出結果の差がユーザに認識され得る。また、被写体が2つのAFの遷移領域の近傍に存在する場合、状況に応じて2つのAFのいずれのAFが使われるかが不安定な状態である。このため撮像装置は、2つのAFの互いに異なる焦点検出結果を不規則に交互に用い、ハンチング動作を行う可能性があり、品位に劣る動作となる。したがって、高速で高精度な焦点検出を行うことができない。
【0008】
そこで、2つのAF方式による焦点検出結果の差を補正することが考えられる。しかし、2つのAF方式にはそれぞれに光学的な差を生じさせる要因が多数あり、それらの要因ごとに補正を行おうとすると、要因ごとの補正テーブルを準備が必要となり、必要容量が大きくなり困難である。一方、各要因の変化のそれぞれを実際に算出して補正を行うには、膨大な演算量が必要であり、処理負荷が増大し、または動作が遅くなるなどの問題が生じる。
【0009】
特許文献1に開示されて撮像装置では、2つのAF方式を温度、湿度、光学系の形状変化などに応じて使い分けているが、被写体が遷移領域の近傍に存在する場合におけるハンチング動作などの前述の問題点を解決することができない。
【0010】
そこで本発明は、低コストで高速かつ高精度な焦点検出が可能な制御装置、撮像装置、制御方法、プログラム、および、記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面としての制御装置は、撮像光学系により形成された光線を受光する第一のセンサを用いて位相差検出による焦点検出を行う第一の焦点検出手段と、前記撮像光学系により形成された光線を受光する第二のセンサを用いて位相差検出による焦点検出を行う第二の焦点検出手段と、前記第一の焦点検出手段からの第一の信号と前記第二の焦点検出手段からの第二の信号との差分に相当する補正情報を算出する算出手段と、第一の領域において前記第一の信号に基づいてフォーカス制御を行い、第二の領域において前記第二の信号と前記補正情報とに基づいて前記フォーカス制御を行う制御手段と、前記算出手段により算出された前記補正情報を記憶する記憶手段と、被写体の位置を検出する位置検出手段とを有し、前記記憶手段は、前記位置検出手段により検出された前記被写体の位置情報とともに前記補正情報を記憶し、前記制御手段は、前記第一の領域に前記被写体が存在する場合、前記第一の信号に基づいて前記フォーカス制御を行うとともに、前記補正情報を前記記憶手段に記憶し、前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が前記記憶手段に記憶されている場合、前記補正情報に基づいて前記フォーカス制御を行い、前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が前記記憶手段に記憶されていない場合、前記記憶手段に記憶された複数の補正情報を用いた補完演算により補正情報を算出し、前記補完演算により算出された補正情報に基づいて前記フォーカス制御を行う
【0012】
本発明の他の側面としての撮像装置は、前記第一のセンサと、前記第二のセンサと、前記制御装置とを有する。
【0013】
本発明の他の側面としての制御方法は、撮像光学系により形成された光線を受光する第一のセンサを用いて位相差検出による第一の焦点検出を行うステップと、前記撮像光学系により形成された光線を受光する第二のセンサを用いて位相差検出による第二の焦点検出を行うステップと、前記第一の焦点検出により得られた第一の信号と前記第二の焦点検出により得られた第二の信号との差分に相当する補正情報を算出するステップと、第一の領域において前記第一の信号に基づいてフォーカス制御を行うステップと、第二の領域において前記第二の信号と前記補正情報とに基づいて前記フォーカス制御を行うステップと、前記算出するステップにより算出された前記補正情報を記憶するステップと、被写体の位置を検出するステップとを有し、前記補正情報は、前記被写体の位置を検出するステップにより検出された前記被写体の位置情報とともに記憶され、前記第一の領域に前記被写体が存在する場合、前記第一の信号に基づいて前記フォーカス制御が行われるとともに、前記補正情報が記憶され、前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が記憶されている場合、前記補正情報に基づいて前記フォーカス制御が行われ、前記第二の領域に前記被写体が存在する場合であって、かつ前記被写体の位置に対応する前記補正情報が記憶されていない場合、記憶された複数の補正情報を用いた補完演算により補正情報が算出され、前記補完演算により算出された補正情報に基づいて前記フォーカス制御が行われる
【0014】
本発明の他の側面としてのプログラムは、前記制御方法をコンピュータに実行させる。
【0015】
本発明の他の側面としての記憶媒体は、前記プログラムを記憶している。
【0016】
本発明の他の目的および特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低コストで高速かつ高精度な焦点検出が可能な制御装置、撮像装置、制御方法、プログラム、および、記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】各実施形態における撮像装置の構成を示すブロック図である。
図2】各実施形態における撮像センサの画素構成図である。
図3】各実施形態における撮影処理を示すフローチャートである。
図4】各実施形態における静止画撮影処理を示すフローチャートである。
図5】各実施形態における焦点検出領域の説明図である。
図6】各実施形態における撮像センサによる焦点検出処理を示すフローチャートである。
図7】各実施形態におけるオフセット情報テーブルの説明図である。
図8】第二の実施形態および第三の実施形態における被写体と焦点検出領域との関係図である。
図9】第五の実施形態における撮像センサの焦点検出枠と像高との関係を示す図である。
図10】各実施形態における画素加算の説明図である。
図11】各実施形態における被写体とレンズと撮像センサとの関係を示す図である。
図12】各実施形態におけるAFセンサによる位相差方式の焦点検出の説明図である。
図13】各実施形態における焦点検出領域の説明図である。
図14】各実施形態における焦点検出領域から取得された像信号の説明図である。
図15】各実施形態における焦点検出処理における相関量の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
(第一の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第一の実施形態における撮像装置について説明する。図1は、撮像装置1の構成を示すブロック図である。撮像装置1は、レンズ装置(交換レンズ)10と、レンズ装置10が着脱可能なカメラ本体(撮像装置本体)20とを備えて構成されるレンズ交換式カメラである。このため撮像装置1では、レンズ装置10の全体の動作を統括制御するレンズ制御部106と、カメラ本体20の全体の動作を統括制御するカメラ制御部212とが互いに情報を通信することが可能である。ただし本発明は、これに限定されるものではなく、レンズ装置とカメラ本体とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
【0021】
まず、レンズ装置10の構成について説明する。レンズ装置10は、固定レンズ(第1群レンズ)101、絞り102、フォーカスレンズ103、絞り駆動部104、フォーカスレンズ駆動部105、レンズ制御部106、および、レンズ操作部107を有する。固定レンズ101、絞り102、および、フォーカスレンズ103により撮像光学系が構成される。
【0022】
絞り102は、絞り駆動部104により駆動され、後述する撮像センサ(撮像素子)201への入射光量を制御する。フォーカスレンズ(撮影レンズ)103は、フォーカスレンズ駆動部105により駆動され、後述する撮像センサ201に結像する焦点の調節を行う。絞り駆動部104およびフォーカスレンズ駆動部105は、レンズ制御部106により制御され、絞り102の開口量や、フォーカスレンズ103の位置を決定する。レンズ制御部106は、後述するカメラ制御部212から受信した制御命令・制御情報に応じて、絞り駆動部104やフォーカスレンズ駆動部105を制御し、また、レンズ制御情報をカメラ制御部212に送信する。
【0023】
次に、カメラ本体20の構成について説明する。カメラ本体20は、レンズ装置10の撮像光学系を通過した光束から撮像信号を取得できるように構成されている。レンズ装置10の撮像光学系を通過した光束は、回動可能なクイックリターンミラー252に導かれる。クイックリターンミラー252の中央部はハーフミラーになっており、クイックリターンミラー252がダウンした際に(図1中の下側に降りて光路中に挿入された状態で)一部の光束が透過する。そしてこの透過した光束は、クイックリターンミラー252に設置されたサブミラー253により反射され、自動焦点調整手段であるAFセンサ(位相差AFセンサ)254に導かれる。AFセンサ254は、焦点検出回路255により制御される。
【0024】
なお、後述の図12の説明で触れるが、AFセンサ254は、セパレータレンズと受光素子とを画面内で縦に並べた構成と横に並べた構成を複数有していてもよい。本実施形態では、このような構成による焦点検出を「AFセンサ254による焦点検出」という。また本実施形態において、焦点検出回路255およびカメラ制御部212により、AFセンサ254を用いて位相差検出による焦点検出を行う第一の焦点検出手段が構成される。
【0025】
一方、クイックリターンミラー252により反射された撮影光束は、マットスクリーン250に像を結び、それを上側からペンタプリズム251および接眼レンズ256を介してユーザが観測することができる。
【0026】
また、クイックリターンミラー252がアップ(ペンタプリズム251に向けて図1中の矢印のように上昇)すると、レンズ装置10からの光束は、フォーカルプレーンシャッタ(機械シャッタ)258およびフィルタ259を介して撮像センサ201に結像する。フィルタ259は2つの機能を有する。1つは赤外線や紫外線などをカットし可視光線のみを撮像センサ201へ導く機能であり、他の1つは光学ローパスフィルタとしての機能である。またフォーカルプレーンシャッタ258は、先幕および後幕を有し、レンズ装置10からの光束の透過および遮断を制御する遮光手段である。
【0027】
レンズ装置10の撮像光学系を通過した光束は、撮像センサ201の受光面上で結像し、撮像センサ201のフォトダイオードにより入射光量に応じた信号電荷に変換される。各フォトダイオードに蓄積された信号電荷は、カメラ制御部212の指令に従い、タイミングジェネレータ215から与えられる駆動パルスに基づいて信号電荷に応じた電圧信号として撮像センサ201から順次読み出される。
【0028】
図2は、撮像センサ201の画素構成図である。図2(a)は、比較例としての撮像センサの画素構成(非撮像面位相差AF方式の画素構成)を示す。一方、図2(b)は、本実施形態における撮像センサ201の画素構成(撮像面位相差AF方式の画素構成)を示す。図2(c)は、本実施形態における撮像センサ201の画素構成の変形例である。
【0029】
撮像センサ201は、撮像面位相差AFを行うため、図2(b)に示されるように1つのマイクロレンズ292に対して2つのフォトダイオード293、294が設けられている(2つのフォトダイオードが1つのマイクロレンズを共有している)。撮像センサ201は、撮像センサ201に入射した光束をマイクロレンズ292で分離し、これらの2つのフォトダイオード293、294で結像することで、撮像用とAF用の2つの信号が取り出せるように構成されている。2つのフォトダイオード293、294の信号を加算した信号(A+B信号)が撮像信号であり、フォトダイオード293、294の個々の信号(A信号、B信号)が2つの像信号(AF用信号)である。後述するAF信号処理部204は、2つの像信号(AF用信号)に対して相関演算を行い、像ずれ量や各種信頼性情報を算出する。本実施形態では、このような焦点検出を「撮像センサ201による焦点検出」という。また本実施形態において、AF信号処理部204およびカメラ制御部212により、撮像センサ201を用いて位相差検出による焦点検出を行う第二の焦点検出手段が構成される。
【0030】
撮像センサ201は、図2(c)に示される画素構成を有していてもよい。図2(c)では、1つのマイクロレンズ292に対して4つのフォトダイオード295、296、297、298が設けられている(4つのフォトダイオードが1つのマイクロレンズを共有している)。
【0031】
このような構成において、図14で後述するように相関演算のシフト方向を横方向で演算したい場合、A像信号を各マイクロレンズのRA295、RC297を加算して作成し、B像信号を各マイクロレンズのRB296、RD298を加算して作成すればよい。同様に、相関演算のシフト方向を縦方向で演算したい場合、A像信号を各マイクロレンズのRA295、RB296を加算して作成し、B像信号を各マイクロレンズのRC297、RD298を加算して作成すればよい。
【0032】
撮像センサ201から読み出された撮像信号およびAF用信号はCDS/AGC/ADコンバータ202に入力され、リセットノイズを除去する為の相関二重サンプリング、ゲインの調節、信号のデジタル化を行う。CDS/AGC/ADコンバータ202は、撮像信号を画像入力コントローラ203に出力する。画像入力コントローラ203は、CDS/AGC/ADコンバータ202から出力された撮像信号をSDRAM(記憶手段)209に格納する。また画像入力コントローラ203は、AF用信号をAF信号処理部204に出力する。
【0033】
SDRAM209に格納された撮像信号は、バス21を介して、表示制御部205によって表示部206に表示される。カメラ本体20が撮像信号の記録を行うモードに設定されている場合、撮像信号は記録媒体制御部207によって記録媒体208に記録される。ROM210は、バス21を介して接続されており、カメラ制御部212が実行する制御プログラムおよび制御に必要な各種データなどを格納している。フラッシュROM211は、ユーザ設定情報などのカメラ本体20の動作に関する各種設定情報などを格納している。
【0034】
AF信号処理部204は、AF用信号に対して画素加算および相関演算を行い、像ずれ量および信頼性情報(二像一致度、二像急峻度、コントラスト情報、飽和情報、キズ情報など)を算出する。AF信号処理部204は、算出した像ずれ量と信頼性情報とをカメラ制御部212へ出力する。
【0035】
カメラ制御部212は、取得した像ずれ量や信頼性情報に基づいて、これらを算出する設定の変更をAF信号処理部204に通知する。カメラ制御部212は、例えば、像ずれ量が大きい場合に相関演算を行う領域を広く設定し、または、コントラスト情報に応じてバンドパスフィルタの種類を変更する。なお、相関演算の詳細については後述する。
【0036】
本実施形態では、撮像信号および2つのAF用信号の計3つの信号を撮像センサ201から取り出しているが、本発明はこれに限定されるものではない。撮像センサ201の負荷を考慮し、例えば撮像信号と1つのAF用信号の計2つを取り出し、画像入力コントローラ203が撮像信号とAF用信号との差分を取ることで他の1つのAF用信号を生成するように構成してもよい。
【0037】
カメラ制御部212は、カメラ本体20内の全体と情報をやり取りして制御を行う。またカメラ制御部212は、カメラ本体20内の処理だけでなく、カメラ操作部214からの入力に応じて、電源のON/OFF、設定の変更、静止画/動画記録の開始、AF制御の開始、記録映像の確認など、ユーザが操作した様々なカメラ機能を実行する。また前述のように、カメラ制御部212は、レンズ装置10内のレンズ制御部106と情報をやり取りし、レンズ装置10の制御命令・制御情報を送り、またレンズ装置10内の情報を取得する。
【0038】
カメラ制御部212は、算出手段212aおよび制御手段212bを有する。算出手段212aは、第一の焦点検出手段からの第一の信号(第一の焦点検出信号)と第二の焦点検出手段からの第二の信号(第二の焦点検出信号)との差分に相当する補正情報を算出する。制御手段212aは、第一の領域において第一の信号に基づいてフォーカス制御を行い、第二の領域において第二の信号と補正情報とに基づいてフォーカス制御を行う。
【0039】
次に、図5を参照して、本実施形態における撮像センサ201およびAFセンサ254のそれぞれの焦点検出領域について説明する。図5は、焦点検出領域の説明図である。
【0040】
図5(a)は、撮像領域とAFセンサ254および撮像センサ201のそれぞれを用いて焦点検出可能な枠との関係を示している。500は、撮像センサ201により撮像可能な範囲(撮像領域)である。501は、AFセンサ254を用いて焦点検出可能な枠である。すなわちAFセンサ254は、点線で示される15箇所の四角で囲まれる領域(枠501)において焦点検出することができる。502は、撮像センサ201を用いて焦点検出可能な枠である。すなわち撮像センサ201は、実線で示される45箇所の四角で囲まれる領域(枠502)において焦点検出することができる。
【0041】
本実施形態において、AFセンサ254の焦点検出領域(枠501)を第一の領域、撮像センサ201の焦点検出領域(枠502)であるがAFセンサ254の焦点検出領域(枠501)ではない領域を第二の領域という。
【0042】
図5(b)は、AFセンサ254の焦点検出領域と撮像センサ201の焦点検出領域との関係を示している。点線および実線の四角は、図5(a)と同じものである。511は、AFセンサ254による焦点検出および撮像センサ201による焦点検出の両方が可能な領域(第一の領域、第一の焦点検出領域)であり、斜線で示されている。512は、撮像センサ201による焦点検出は可能であるが、AFセンサ254による焦点検出は不可能である領域(第二の領域、第二の焦点検出領域)であり、縦線で示されている。
【0043】
図5(c)は、被写体と焦点検出領域との関係を示している。点線および実線の四角は、図5(a)と同じものである。なお、本実施形態の焦点検出の具体的手順は後述するが、ここでは一例を挙げて概略を説明する。
【0044】
本実施形態では、まず、被写体が領域511に存在する場合にのみ焦点検出を行うことができる。例えば、図5(c)に示されるような被写体が位置521が存在する場合、AFセンサ254を用いて、斜線で示される2つの枠501(領域511)において焦点検出を行うことができる。
【0045】
その後、静止画を撮像すると、撮像センサ201を用いて、斜線で示される2つの枠501(領域511)において焦点検出を同時に行うことができる。このとき、被写体が存在する位置521における2つのAF方式での焦点検出結果の差を取得して記録しておく。
【0046】
その後、被写体が位置521から位置522へ移動した場合、撮像センサ201を用いて、縦線で示される領域512(被写体が存在する位置522)で焦点検出を行う。この際、撮像センサ201による焦点検出結果から2つのAF方式での焦点検出結果の差を引いて焦点検出を行う。
【0047】
次に、図10を参照して、本実施形態における画素加算について説明する。図10は、画素加算の説明図である。図10(a)、(b)、(d)、(e)は、図2を参照して説明した撮像センサ201のマイクロレンズの分割、加算を示している。図10(c)、(f)は、図12を参照して説明するセパレータレンズの配置の例である。
【0048】
図5を参照して説明した2つのAF方式で差を取る場合、図2(b)に示されるように、1つのマイクロレンズに対してフォトダイオードが横方向に分割されている場合、焦点検出の相関演算のシフト方向も横方向になる。このため、差を取るための対応するAFセンサ254による焦点検出のセパレータレンズの方向は、図10(c)中の斜線で示されるセパレータレンズ1031、1032の組み合わせである。このとき、2つのAF方式の相関演算のシフト方向が一致し、より近い被写体を見ていることになる。
【0049】
また、図2(c)(=図10(a))に示されるように1つのマイクロレンズに4つのフォトダイオードを持つ構成を、図10(b)のように加算して相関演算を横方向にシフトする場合を考える。このとき、図10(c)中の斜線のセパレータレンズ1031、1032の組み合わせで相関演算を行うAFセンサ254とを組み合わせる。これにより、同様に2つのAF方式の相関演算のシフト方向が一致する。
【0050】
また、図2(c)(=図10(d))に示されるように1つのマイクロレンズに4つのフォトダイオードを持つ構成を、図10(e)のように加算して相関演算を縦方向にシフトする場合を考える。このとき、図10(f)中の斜線のセパレータレンズ1061、1062の組み合わせで相関演算を行うAFセンサ254とを組み合わせる。これにより、同様に2つのAF方式の相関演算のシフト方向が一致する。
【0051】
次に、図7(a)を参照して、本実施形態におけるオフセット情報テーブルについて説明する。図7(a)は、オフセット情報テーブルの説明図である。オフセット情報テーブル(オフセット情報700)は、例えばSDRAM209に保存される。オフセット情報700は、AFセンサ254による焦点検出量701、撮像センサ201による焦点検出量702、および、オフセット量703からなる。なお、これらの算出方法については後述する。
【0052】
次に、図3を参照して、撮像装置1(カメラ本体20)の動作について説明する。図3は、カメラ本体20の撮影処理の手順を示すフローチャートである。図3の各ステップは、主にカメラ本体20のカメラ制御部212の指令に基づいて実行される。
【0053】
まずステップS301において、カメラ制御部212は、カメラ本体20の初期化処理を行う。続いてステップS302において、カメラ制御部212は、ユーザがカメラ操作部214を操作することにより静止画撮影モードに設定されているか否かを判定する。カメラ本体20が静止画撮影モードに設定されている場合、ステップS303へ進む。一方、カメラ本体20が静止画撮影モードに設定されていない場合、ステップS304へ進む。
【0054】
ステップS303において、カメラ制御部212は、静止画撮影処理を行い、ステップS302へ戻る。なお、静止画撮影処理の詳細については後述する。ステップS304において、カメラ制御部212は、ユーザがカメラ操作部214を操作することにより画像閲覧モードに設定されているか否かを判定する。カメラ本体20が画像閲覧モードに設定されている場合、ステップS305へ進む。一方、カメラ本体20が画像閲覧モードに設定されていない場合、ステップS306へ進む。
【0055】
ステップS305において、カメラ制御部212は、画像閲覧処理を行い、画像閲覧処理の終了後、ステップS302へ戻る。なお画像閲覧処理は画像を表示する処理であり、公知の方法を用いることができるため、その詳細な説明については省略する。ステップS306において、カメラ制御部212は、ユーザがカメラ操作部214によりカメラ本体20の電源のオフを指示したか否か(カメラ本体20の電源がオフしたか否か)を判定する。カメラ本体20の電源がオフしていない場合、ステップS302へ戻る。一方、カメラ本体20の電源がオフした場合、本処理を終了する。
【0056】
次に、図4を参照して、図3のステップS303(静止画撮影処理)について説明する。図4の各ステップは、主にカメラ制御部212の指令に基づいて実行される。本実施形態において、静止画撮影処理では、カメラ本体20のカメラ操作部214のシャッタを半押し(SW1)をすると、AF動作が開始する。また、シャッタを全押し(SW2)すると、静止画撮影が開始する。また、シャッタが全押し(SW2)されている間、常に、静止画が連写撮影される。カメラ制御部212は、連写撮影中にもAFセンサ254による焦点検出および撮像センサ201による焦点検出を行い、被写体が移動しても被写体に追従することができる。
【0057】
まずステップS401において、カメラ制御部212は、カメラ操作部214のシャッタの半押し(SW1)がONされたか否か(シャッタが半押しされたか否か)を判定する。SW1がONされた場合、ステップS301へ移行する。一方、SW1がONされていない場合、SW1がONされるまでステップS401を繰り返す。ステップS402において、カメラ制御部212は、不図示の測光回路を用いて、レンズ装置10を通過して主ミラー(クイックリターンミラー252)で反射されペンタプリズム251を通過した光束を測光する。続いてステップS403において、カメラ制御部212は、AFセンサ254および焦点検出回路255を用いて焦点検出を行う。なお、AFセンサ254による焦点検出の詳細は後述する。
【0058】
続いてステップS404において、カメラ制御部212は、ステップS403にて得られた焦点検出結果に基づいて、レンズ制御部106にレンズ駆動量を送信する。レンズ制御部106は、カメラ制御部212から送信されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ103を合焦位置へ駆動するようにフォーカスレンズ駆動部105を制御する。
【0059】
続いてステップS405において、カメラ制御部212は、カメラ操作部214のシャッタの全押し(SW2)がONされたか否か(シャッタが全押しされたか否か)を判定する。SW2がONされた場合、ステップS406へ移行する。一方、SW2がONされていない場合、SW2がONされるまでステップS405を繰り返す。
【0060】
ステップS406において、カメラ制御部212は、クイックリターンミラー252を制御してミラーアップを行う。続いてステップS407において、カメラ制御部212は、ステップS402にて設定された絞り値情報をレンズ制御部106へ送信する。レンズ制御部106は、カメラ制御部212から送信された絞り値情報に基づいて絞り駆動部104を駆動し、設定された絞り値(F値)まで絞り込みを行う。
【0061】
続いてステップS408において、カメラ制御部212は、フォーカルプレーンシャッタ258を開くよう制御する。所定時間の経過後、ステップS409において、カメラ制御部212はフォーカルプレーンシャッタ258を閉じる。そしてカメラ制御部212は、次回の動作に備えてフォーカルプレーンシャッタ258のチャージ動作を行う。
【0062】
続いてステップS410において、カメラ制御部212は、画像入力コントローラ203に対して撮像センサ201の画像データを読み出す(静止画を取り込む)。本実施形態において、カメラ制御部212は、画像データとして、図2を参照して説明したA像、B像、および、A+B像を読み出す。続いてステップS411において、カメラ制御部212は、画像入力コントローラ203を制御して、撮像センサ201から取り込まれた画像データに対して圧縮(画像圧縮)などの画像処理を行い、画像データを記録媒体208に記録する。
【0063】
続いてステップS412において、カメラ制御部212は、レンズ制御部106へ絞り102を開放するよう指示する。そしてレンズ制御部106は、絞り駆動部104を駆動して絞り102を開放する。続いてステップS413において、カメラ制御部212はクイックリターンミラー252をダウン駆動する。
【0064】
続いてステップS413において、カメラ制御部212は、カメラ操作部214のシャッタの全押し(SW2)が継続されているか否か(SW2がオンのままか否か)を判定する。SW2がオンのままである場合、ステップS415へ移行する。一方、SWがオンでない場合、カメラ制御部212はこれ以降の静止画撮影が指示されていないと判定し、本処理を終了する。
【0065】
ステップS415において、カメラ制御部212は、ステップS410にて読み出された静止画像のうちA像およびB像を用いて、撮像センサ201による焦点検出を行う。そしてカメラ制御部212は、焦点検出量(焦点検出結果)をオフセット情報700(撮像センサ201による焦点検出量702)としてSDRAM209に保存する。なお、撮像センサ201による焦点検出方法の詳細は後述する。
【0066】
続いてステップS416において、カメラ制御部212は、ステップS402と同様に、再度、不図示の測光回路を用いて測光を行う。続いてステップS417において、カメラ制御部212は、ステップS403と同様に、AFセンサ254による焦点検出を行う。そしてカメラ制御部212は、焦点検出量(焦点検出結果)をオフセット情報700(AFセンサ254による焦点検出量701)としてSDRAM209に保存する。
【0067】
続いてステップS418において、カメラ制御部212は、被写体がAFセンサ254により焦点検出可能の範囲内(AFセンサ254の焦点検出領域の範囲内、すなわち第一の領域の範囲内)に存在するか否かを判定する。被写体がAFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在しない場合、ステップS421へ進む。このとき、AFセンサ254による焦点検出量701はSDRAM209に保存されない。なお、AFセンサ254による焦点検出の詳細は後述する。
【0068】
一方、ステップS418にて被写体がAFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在する場合、ステップS419へ進む。ステップS419において、カメラ制御部212は、AFセンサ254による焦点検出量701を基準として、撮像センサ201による焦点検出量702がどれだけずれているかに関する情報を、オフセット量703(AFオフセット)として算出する。そしてカメラ制御部212は、算出したオフセット量703をSDRAM209に保存する。オフセット量703は、AFセンサ254からの焦点検出信号と撮像センサ201からの焦点検出信号との差分に相当する補正情報であり、例えば以下のように算出される。
【0069】
現在のAFセンサによる焦点検出量701:DA=1000
現在の撮像センサによる焦点検出量702:DD=900
オフセット量703:Of
Of=DA−DD … (1)
図7(a)の例では、式(1)に具体的数値を入れると、以下の式(2)のようになる。
【0070】
1000−900=100 … (2)
すなわち、オフセット量703として100が代入される。
【0071】
続いてステップS420において、カメラ制御部212は、ステップS417でのAFセンサ254による焦点検出結果に基づいてフォーカスレンズ103を合焦位置へ駆動し、ステップS406へ戻る。
【0072】
ステップS421において、カメラ制御部212は、オフセット情報700の撮像センサ201による焦点検出量702に、オフセット量703を加算した値に基づいてフォーカスレンズ103を合焦位置へ駆動し、ステップS406へ戻る。ステップ本実施形態において、このときのフォーカスレンズ103の駆動量(レンズ駆動量)は、以下の式(3)のように表される。
【0073】
現在の撮像センサによる焦点検出量702:DD=900
オフセット量703:Of
レンズ駆動量:F
F=DD+Of … (3)
図7(a)の例では、式(3)に具体的数値を入れると、以下の式(4)のようになる。
【0074】
900+100=1000 … (4)
すなわち、フォーカスレンズ103をレンズ駆動量F=1000だけ駆動する。
【0075】
次に、図12を参照して、AFセンサ254による焦点検出およびデフォーカス量検出(ピント位置ズレ量検出)の原理を説明する。図12は、AFセンサ254による位相差方式の焦点検出の説明図である。
【0076】
図12(a)、(b)は、デフォーカス量検出の原理の説明図である。図12(a)、(b)に示されるように、撮像センサ201上にピントがあっている場合(合焦状態において)、ラインセンサ上の2像間隔はある値をとる。この値は設計上求めることができるが、実際には、部品の寸法やバラツキ、および、組み立て誤差により設計値と同じ値ではない。したがって、実際には測定しなければこの2像間隔(基準2像間隔Lo)を求めることは困難である。図12(a)に示されるように、この基準2像間隔Loより2像間隔が狭まければ、前ピン状態であり、基準2像間隔Loよりも広ければ後ピン状態である。
【0077】
図12(b)は、不図示のAFセンサモジュールの光学系からコンデンサレンズを省いたモデルを示す図である。図12(b)に示されるように、主光線の角度をθ、セパレータレンズの倍率をβ、像の移動量をΔL,ΔL’とすると、デフォーカス量Lは以下の式(5)のように算出される。
【0078】
【数1】
【0079】
式(5)において、βtanθは、AFセンサモジュールの設計上定まるパラメータである。ΔL’は、基準2像間隔Loと現在の2像間隔Ltとに基づいて求めることができる。実際には、図12(a)に示される受光素子の像は、前述の撮像センサ201による焦点検出における図14中の1601、1602に相当し、同様の演算で相関量CORを算出する。そこから前述の撮像センサ201による焦点検出と同様にフォーカス量を算出する。AFセンサ254は、撮影面の複数の位置で焦点検出可能であるように、前述の構成を複数具備している。
【0080】
また、図12(c)に示されるように、セパレータレンズ1421、1422を受光素子の横方向に2つ並べると、相関演算を横方向にシフトすることができ、横方向のコントラストがある被写体の焦点検出することが可能となる。また、セパレータレンズ1423、1424を受光素子の縦方向に2つ並べると、相関演算を縦方向にシフトすることができる。
【0081】
次に、図6を参照して、撮像センサ201による焦点検出処理(撮像面位相差AF)を詳細に説明する。図6は、撮像センサ201による焦点検出処理を示すフローチャートであり、図4のステップS415に相当する。図6の各ステップは、主にカメラ制御部212により、またはカメラ制御部212の指令に基づいて撮像センサ201やAF信号処理部204により実行される。
【0082】
まずステップS601において、カメラ制御部212は、ユーザが任意に設定した焦点検出範囲から像信号を取得する。なお、像信号の取得に関しては、図13を参照して後述する。続いてステップS602において、カメラ制御部212は、ステップS601にて取得した像信号を加算する。なお、像信号の加算に関しては、図13を参照して後述する。
【0083】
続いてステップS603において、カメラ制御部212は、ステップS602にて加算した像信号に基づいて相関量を算出する。なお、相関量の算出に関しては、図14を参照して後述する。続いてステップS604において、カメラ制御部212は、ステップS603にて算出した相関量に基づいて相関変化量を算出する。なお、相関変化量の算出に関しては、図15を参照して後述する。
【0084】
続いてステップS605において、カメラ制御部212は、ステップS604にて算出した相関変化量に基づいて、ピントずれ量(像ずれ量)を算出する。なお、ピントずれ量の算出に関しては、図15を参照して後述する。カメラ制御部212は、以上の処理を焦点検出領域ごとに(焦点検出領域の数だけ)行う。続いてステップS606において、カメラ制御部212は、焦点検出領域ごとに算出されたピントずれ量をデフォーカス量に変換し、図6の焦点検出処理を終了する。
【0085】
次に、図13を参照して、撮像センサ201の焦点検出領域について説明する。図13は、焦点検出領域(焦点検出可能な範囲を示す像信号を取得する領域)の一例を示している。図13(a)は、撮像センサ201の画素アレイ上の焦点検出領域を示す図である。1501は画素アレイであり、1502は焦点検出領域(焦点検出範囲)、1503は相関演算に必要なシフト領域である。1504は、焦点検出領域1502とシフト領域1503とを合わせた領域であり、相関演算を行うために必要な領域である。
【0086】
図13(a)中のp、q、s、tはそれぞれ、x軸方向の座標を表し、pからqは領域1504の範囲を表し、sからtは焦点検出領域1502の範囲を表す。焦点検出領域1502およびシフト領域1503のそれぞれ高さの説明をわかりやすくするため、ここでは1ライン分として説明する。焦点検出領域1511のように複数ライン分の領域の焦点検出を行う場合、事前に画素を縦方向に加算してから焦点検出を行う。なお、相関量の加算については後述する。
【0087】
図13(b)は、焦点検出領域1502を5つの領域に分割した状態を示している。本実施形態では、一例として、焦点検出領域ごとに(一つの焦点検出領域単位で)ピントずれ量を算出し、焦点検出を行う。焦点検出領域1505〜1509はそれぞれ、焦点検出領域1502を5つに分割した1つの焦点検出領域である。本実施形態では、一例として、分割した複数の焦点検出領域の中から最も信頼できる焦点検出領域から得られた信号(焦点検出結果)を選択し、その焦点検出領域から得られた信号に基づいて算出したピントずれ量を用いる。
【0088】
図13(c)は、図13(b)の焦点検出領域1505〜1509を連結した仮の焦点検出領域1510を示す図である。本実施形態では、一例として、複数の焦点検出領域1505〜1509を連結した焦点検出領域1510から算出したピントずれ量を用いてもよい。焦点検出領域の配置の仕方や焦点検出領域の広さなどの構成は、本実施形態で説明した構成に限定されるものではなく、他の構成であってもよい。
【0089】
次に、図14を参照して、図13のように設定された焦点検出領域から取得した像信号について説明する。図14は、焦点検出領域から取得された像信号の説明図である。図14(a)〜(c)において、sからtは焦点検出範囲を表し、pからqはシフト量を考慮した焦点検出演算に必要な範囲である。またxからyは、分割された焦点検出領域のうちの1つの焦点検出領域を表す。
【0090】
図14(a)は、シフト前の像信号の波形図である。実線1601は像信号A、破線1602は像信号Bである。1505〜1509は、図13(b)に示されるように分割された複数の焦点検出領域を表す。図14(b)は、図14(a)のシフト前の像信号の波形に対してプラス方向にシフトした図である。図14(c)は、図14(a)のシフト前の像波形に対してマイナス方向にシフトした図である。相関量を算出する際には、それぞれ矢印の方向に実線1601、1602を1ビットずつシフトする。
【0091】
続いて、相関量CORの算出方法について説明する。まず、図14(b)、(c)を参照して説明したように、像信号Aと像信号Bを1ビットずつシフトしていき、そのときの像信号Aと像信号Bとの差の絶対値の和を算出する。このとき、シフト量をiで表し、最小シフト数は図14中のp−s、最大シフト数は図14中のq−tである。また、xは焦点検出領域の開始座標、yは焦点検出領域の終了座標である。相関量COR[i]は、これらを用いて以下の式(6)のように算出することができる。
【0092】
【数2】
【0093】
ここで、前述のように画素を縦方向に加算してもよい。または、図13(c)の焦点検出領域1510について相関量COR[i]を算出したものとして、実際に焦点検出したい領域が焦点検出領域1511である場合、ラインごとに相関量COR[i]を算出してそれらを加算した後に以下の処理に移ってもよい。
【0094】
次に、図15を参照して、焦点検出処理における相関量COR[i]について説明する。図15は、相関量COR[i]の説明図である。図15(a)は、相関量の波形図である。図15(a)において、横軸はシフト量、縦軸は相関量をそれぞれ示す。1701は相関量波形、1702、1703は極値周辺の領域を示している。この中でも相関量が小さい方ほど、A像とB像との一致度が高いといえる。
【0095】
続いて、相関変化量ΔCORの算出法について説明する。まず、図15(a)の相関量波形を用いて、1シフト飛ばしの相関量の差に基づいて相関変化量を算出する。このとき、シフト量をiで表し、最小シフト数は図14中のp−s、最大シフト数は図14中のq−tである。相関変化量ΔCOR[i]は、これら用いて、以下の式(7)により算出することができる。
【0096】
【数3】
【0097】
図15(b)は、相関変化量ΔCORの波形図である。図15(b)において、横軸はシフト量、縦軸は相関変化量をそれぞれ示す。1801は相関変化量波形、1802、1803は相関変化量がプラスからマイナスになる領域である。相関変化量が0となるときをゼロクロスと呼び、最もA像とB像との一致度が高く、そのときのシフト量がピントずれ量となる。
【0098】
図15(c)は、図15(b)の領域1802の拡大図である。1901は、相関変化量波形1801の一部分である。ここで、ピントずれ量PRDの算出方法について説明する。まず、ピントずれ量は整数部分βと小数部分αに分けられる。小数部分αは、図15(c)中の三角形ABCと三角形ADEとの相似の関係から、以下の式(8)により算出することができる。
【0099】
【数4】
【0100】
続いて整数部分βは、図15(c)中より以下の式(9)により算出することができる。
【0101】
【数5】
【0102】
すなわち、小数部分αと整数部分βとの和からピントずれ量PRDを算出することができる。実際には、ピントずれ量PRDから実際にレンズ駆動量を算出する係数Kをかけ、デフォーカス量に変換する必要がある。
【0103】
ここで、図11を参照して、係数Kの算出方法について説明する。図11は、被写体とレンズ装置10のレンズ(撮像光学系)と撮像センサ201との位置関係を示す図である。なお、AFセンサ254であっても撮像センサ201による焦点検出のいずれにおいても、瞳1301、1302の形状は変わるが、係数Kの算出方法は同じである。なお、図11では撮像光学系として1つの凸レンズが示されているが、実際にはレンズ装置10は1つ以上のレンズを有ればよい。
【0104】
ここで、射出瞳距離Aはレンズ固有の値である。基線長Bは撮像センサ201の画素A(例えば、図2(a)中の201)、画素B(例えば、図2(a)中の205)がレンズに投影された長さ(瞳301、302を合わせた長さ)である。像ずれ量C(ピントずれ量PRD)は、図14(a)に示される量である。このとき、デフォーカス量Dは、2つの三角形の相似の関係から、以下の式(1)のように算出できる。
【0105】
D=A/B*C … (10)
また、係数Kは以下の式(11)のように算出できる。
【0106】
K=A/B … (11)
係数Kを像ずれ量(ピントずれ量PRD)にかけることにより、デフォーカス量Dを算出することができる。
【0107】
本実施形態によれば、オフセット量を加算することにより、2つのAF方式による焦点検出結果の差による段のある動作やハンチング動作を軽減することができる。また本実施形態によれば、例えばステップS419、S420のように、大きな容量のテーブルを記憶することなく少ない演算量でこれらの動作を軽減することができる。
【0108】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。本実施形態は、オフセット情報および静止画撮影処理フローを除いて、第一の実施形態と同様である。本実施形態のオフセット情報は、被写体ごとに異なるオフセット量を有する。これは、被写体の空間周波数、色、コントラストなどは被写体に固有であり、オフセット量も被写体に固有であるためである。
【0109】
図7(b)を参照して、本実施形態におけるオフセット情報テーブルについて説明する。図7(b)は、オフセット情報テーブルの説明図である。オフセット情報テーブル(オフセット情報710)は、例えばSDRAM209に被写体ごとに保存される。なお、図7(b)の例では被写体が2つの場合を示しているが、本実施形態は3つ以上の被写体が存在する場合にも適用可能である。
【0110】
被写体A(第一の被写体)のオフセット情報は、AFセンサ254による焦点検出量711、撮像センサ201による焦点検出量712、オフセット量713からなる。被写体B(第二の被写体)のオフセット情報は、AFセンサ254による焦点検出量714、撮像センサ201による焦点検出量715、オフセット量716からなる。なお、これらの算出方法は後述する。
【0111】
図8(a)は、撮像センサ201の焦点検出領域の範囲内に2つの被写体が存在する場合の例を示している。点線および実線の四角は、図5(a)と同じである。図8(a)に示されるように、枠800に斜線で示される被写体A、枠810に縦線で示される被写体Bが存在する。
【0112】
次に、図8(a)に示されるように2つの被写体A、Bが存在する場合における図4の静止画撮影処理フローについて説明する。ここでは、第一の実施形態と異なる処理についてのみ説明する。
【0113】
ユーザが静止画を撮影しようとしてステップS401でSW1がオン(半押し)して被写体をファインダに収め、その後、ステップS405でSW2がオン(全押し)して静止画連写を開始する。ステップS414でもSW2がオン(全押し)のままであるとき、ステップS415で撮像センサ201による焦点検出を行う際に、枠800と枠810にそれぞれに被写体が存在するものとする。その際、撮像センサ201に被写体A、Bが撮影され、カメラ制御部212は撮影画像に被写体A、Bが存在するものと認識する。そしてカメラ制御部212は、オフセット情報710として図7(b)に示されるように二人分のテーブルを用意する。
【0114】
またカメラ制御部212は、被写体Aが存在する枠の撮像センサ201による焦点検出量を、撮像センサ201による焦点検出量712として記録する。同様に、カメラ制御部212は、被写体Bが存在する枠の撮像センサ201による焦点検出量を、撮像センサ201による焦点検出量715として記録する。
【0115】
続いてステップS417において、カメラ制御部212は、被写体Aが存在する枠800のAFセンサ254による焦点検出量を、AFセンサ254による焦点検出量711として記録する。同様に、カメラ制御部212は、被写体Bが存在する枠810のAFセンサ254による焦点検出量をAFセンサ254による焦点検出量714として記録する。
【0116】
続いてステップS418において、被写体A、Bはそれぞれ枠800、810に存在し、AFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在するため、ステップS419に移行する。ステップS419において、カメラ制御部212は、オフセット情報710から、被写体Aのオフセット量713を、AFセンサ254による焦点検出量711と、撮像センサ201による焦点検出量712とに基づいて算出して記録する。同様に、カメラ制御部212は、被写体Bのオフセット量716を、AFセンサによる焦点検出量714と撮像センサ201による焦点検出量715とに基づいて算出して記録する。なお、これらの算出方法は式(1)と同様である。
【0117】
静止画撮影処理を複数枚繰り返した後、図8(b)に示されるように被写体Bが画面の外に出て、被写体Aのみが画面内に残るが被写体Aは枠801の位置に移動したとする。ステップS415において、カメラ制御部212は、撮像センサ201による焦点検出を行う際に、撮像センサ201により被写体Aが撮影され、カメラ制御部212は被写体Aを認識する。またカメラ制御部212は、被写体Aはオフセット情報710に記録済みの被写体Aと同一人物であるとして認識する。このため、カメラ制御部212は、被写体Aが存在する枠801の撮像センサ201による焦点検出量を、撮像センサ201による焦点検出量712として記録する。
【0118】
続いてステップS417において、AFセンサ254の範囲内には被写体は存在しないため、カメラ制御部212は焦点検出結果を保存しない。続いてステップS418において、被写体AはAFセンサ254の焦点検出領域の範囲外に存在するため、ステップS421へ進む。ステップS421において、カメラ制御部212は、ステップS415での被写体Aに対する焦点検出量702に今回でない過去のステップS419で算出して保持しているオフセット量713を加算した値に基づいてフォーカスレンズ103を合焦位置へ駆動する。そしてステップS406へ進む。
【0119】
本実施形態によれば、被写体ごとのオフセット量を加算することにより、2つのAF方式による焦点検出結果の差による段のある動作やハンチング動作を軽減することができる。また本実施形態によれば、例えばステップS419、S420のように、大きな容量のテーブルを記憶することなく少ない演算量でこれらの動作を軽減することができる。
【0120】
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。本実施形態は、オフセット情報および静止画撮影処理フローを除いて、第一の実施形態と同様である。本実施形態のオフセット情報は、X座標などの位置ごとに異なるオフセット量を有する。これは、図2(b)に示される構成の撮像センサを用いた撮像面位相差AFでは、縦方向の座標が変化しても瞳のA像とB像の割合の変化は小さいが、横方向の座標が変化した場合には瞳のA像とB像の割合の変化が大きいためである。
【0121】
図7(c)を参照して、本実施形態におけるオフセット情報テーブルについて説明する。図7(c)は、オフセット情報テーブルの説明図である。オフセット情報テーブル(オフセット情報720)は、例えばSDRAM209にX座標(位置)ごとに保存される。なお、図7(c)の例では後述するステップS419の処理が2回経過した状態であるため、2つのオフセット情報が保存されている。ステップS419の処理を行うたびにオフセット情報は増加する。ステップS419における1回目の処理のオフセット情報は、X座標721におけるAFセンサ254による焦点検出量722、撮像センサ201による焦点検出量723、および、オフセット量724からなる。ステップS419における2回目の処理のオフセット情報は、X座標725におけるAFセンサ254による焦点検出量726、撮像センサ201による焦点検出量727、および、オフセット量728からなる。なおX座標の数は、無限に増やしてもよく、または、上限を決定してループさせてテーブルを再利用してもよい。
【0122】
図8(c)は、撮像センサ201の中で丸い斜線の被写体が枠822に移動した場合の例を示している。なお図8(c)中の点線および実線の四角は、図5(a)と同じである。
【0123】
次に、図8(c)に示される丸い斜線の被写体が存在する場合における図4の静止画撮影処理フローについて説明する。ここでは、第一の実施形態と異なる処理についてのみ説明する。
【0124】
ユーザが静止画を撮影しようとしてステップS401にてSW1がオン(半押し)することにより被写体をファインダに収め、その後、ステップS405でSW2がオン(全押し)することにより静止画連写が開始する。ステップS414にてSW2がオン(全押し)のままである場合、ステップS415にて撮像センサ201による焦点検出を行う際に、枠820に斜線で示される丸い被写体が存在するものとする。そしてカメラ制御部212は、枠820の撮像センサ201による焦点検出量を一時的に保存する。
【0125】
またカメラ制御部212は、ステップS417において、丸い被写体が存在する枠820のAFセンサ254による焦点検出量を一時的に保存する。続いてステップS418において、丸い被写体は枠820に存在するため、AFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在する。このため、ステップS419へ進む。
【0126】
続いてステップS419において、カメラ制御部212は、オフセット情報を1行分の領域を新規に確保する。この領域は、図7(c)中のX座標721、AFセンサ254による焦点検出量722、撮像センサ201による焦点検出量723、および、オフセット量724に相当する。そしてカメラ制御部212は、丸い被写体のX座標721、ステップS417にて一時的に保存した焦点検出量722、および、ステップS415にて一時的に保存した焦点検出量723をそれぞれSDRAM209に記録する。そしてカメラ制御部212は、焦点検出量722と焦点検出量723とに基づいて算出したオフセット量724をSDRAM209に記録する。なお、これらの算出方法は式(1)と同様である。
【0127】
その後、再びステップS414にてSW2がオン(全押し)のままである場合、ステップS415にて撮像センサ201による焦点検出を行う際に、枠821に丸い被写体が存在したとする。このとき、カメラ制御部212は、枠821の撮像センサ201による焦点検出量を一時的に保存する。またカメラ制御部212は、ステップS417において、丸い被写体が存在する枠821のAFセンサ254による焦点検出量を一時的に保存する。ステップS418において、丸い被写体は枠821に存在するため、AFセンサ254による焦点検出領域の範囲内である。このため、ステップS419へ進む。
【0128】
ステップS419において、カメラ制御部212は、オフセット情報を1行分の領域を新規に確保する。この領域は、図7(c)中のX座標725、AFセンサ254による焦点検出量726、撮像センサ201による焦点検出量727、および、オフセット量728に相当する。そしてカメラ制御部212は、丸い被写体のX座標725、ステップS417にて一時的に保存した焦点検出量726、および、ステップS415にて一時的に保存した焦点検出量727をそれぞれSDRAM209に記録する。そしてカメラ制御部212は、焦点検出量726と焦点検出量727とに基づいて算出したオフセット量728をSDRAM209に記録する。なお、これらの算出方法は式(1)と同様である。
【0129】
その後、再びステップS414にてSW2がオン(全押し)のままである場合、ステップS415にて撮像センサ201による焦点検出を行う際に、枠822に丸い被写体が存在したとする。このとき、カメラ制御部212は、枠822の撮像センサ201による焦点検出量を一時的に保存する。ステップS417において、丸い被写体が存在する枠822はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲外であるため、カメラ制御部212はAFセンサ254による焦点検出量を保存しない。ステップS418において、丸い被写体は枠822に存在するため、AFセンサ254の焦点検出領域の範囲外である。このため、ステップS421へ進む。
【0130】
ステップS421において、カメラ制御部212は、ステップS415にて一時的に保存した撮像センサ201による焦点検出量に、オフセットを加算してレンズ駆動を行う。ここで、枠822のX座標をX=300とする。ここでは、オフセット情報720に同じX座標は存在しないため、以下のように補間演算を行う。
【0131】
ステップS419の1回目のX座標721:X0=200
ステップS419の1回目のオフセット量724:Of0=100
ステップS419の2回目のX座標725:X1=400
ステップS419の2回目のオフセット量728:Of1=200
求めるオフセット量Of
Of=Of0+(Of1−Of0)(X−X0)/(X1−X0) … (12)
この場合、式(12)に具体的数値を入れると、以下の式(13)のようになる。
【0132】
100+(200−100)(300−200)/(400−200)=150 … (13)
このようにカメラ制御部212は、ステップS415にて一時的に保存した撮像センサ201による焦点検出量に、オフセット量Of=150を加算して、フォーカスレンズ103を合焦位置へ駆動する。そして、ステップS406へ進む。
【0133】
本実施形態によれば、X座標などの位置ごとのオフセット量を加算することにより、2つのAF方式による焦点検出結果の差による段のある動作やハンチング動作を軽減することができる。また本実施形態によれば、例えばステップS419、S420のように、大きな容量のテーブルを記憶することなく少ない演算量でこれらの動作を軽減することができる。
【0134】
(第四の実施形態)
次に、本発明の第四の実施形態について説明する。本実施形態は、オフセット情報および静止画撮影処理フローを除いて、第一の実施形態と同様である。本実施形態において、被写体の焦点検出は、AFセンサ254、撮像センサ201、AFセンサ254、…と交互に行われる。被写体が徐々に移動することを考えると、オフセット情報は前後の焦点検出結果を用いて算出することが好ましい。
【0135】
図7(d)を参照して、本実施形態におけるオフセット情報テーブルについて説明する。図7(d)は、オフセット情報テーブルの説明図である。オフセット情報テーブル(オフセット情報730)は、例えばSDRAM209に保存される。オフセット情報730は、ステップS415の処理のたびに増加する。図7(d)の例では、ステップS415の処理が2回行われた状態であるため、行731と行735の2組のオフセット情報(2つのインデックスに対応するオフセット情報)が保存されている。
【0136】
ステップS419の1回目の処理のオフセット情報は、AFセンサ254による焦点検出量732、撮像センサ201による焦点検出量733、および、オフセット量734からなる。ただし、1回目のオフセット量734は空欄である。ステップS419の2回目の処理のオフセット情報は、AFセンサ254による焦点検出量736、撮像センサ201による焦点検出量737、および、オフセット量738からなる。なおインデックスの数は、無限に増やしてもよく、または、上限を決定してループさせてテーブルを再利用してもよい。
【0137】
次に、図4の静止画撮影処理フローについて説明する。ここでは、第一の実施形態と異なる処理についてのみ説明する。ユーザが静止画を撮影しようとしてステップS401にてSW1がオン(半押し)することにより被写体をファインダに収め、その後、ステップS405でSW2がオン(全押し)することにより静止画連写が開始する。
【0138】
ステップS414にてSW2がオン(全押し)のままである場合、カメラ制御部212は、ステップS415にてオフセット情報730のうち行731(インデックス1)のインデックス情報テーブルを追加する。そしてカメラ制御部212は、撮像センサ201による焦点検出量733をSDRAM209に保存する。またカメラ制御部212は、ステップS417にてAFセンサ254による焦点検出量732をSDRAM209に保存する。続いてステップS418において、被写体はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在するものとし、ステップS419に移る。ステップS419では、1回目の処理であるため、カメラ制御部212はオフセット量を算出しない。
【0139】
その後、再びステップS414にてSW2がオン(全押し)のままである場合、カメラ制御部212は、ステップS415にてオフセット情報730の行735(インデックス2)のインデックス情報テーブルを追加する。そしてカメラ制御部212は、撮像センサ201による焦点検出量737をSDRAM209に保存する。またカメラ制御部212は、ステップS417にてAFセンサ254による焦点検出量736をSDRAM209に保存する。続いてステップS418において、被写体はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在するものとし、ステップS419に進む。ステップS419において、カメラ制御部212はオフセット情報を算出する。
【0140】
前述のように、カメラ制御部212は、撮像センサ201による焦点検出と、AFセンサ254による焦点検出とを交互に行う。このため、撮像センサ201のためのオフセット量は、前後のAFセンサ254の焦点検出量から算出することが好ましい。
【0141】
算出したいオフセット量:Of1
前回のAFセンサの焦点検出量732:E0
今回のAFセンサの焦点検出量736:E1
今回の撮像センサの焦点検出量737:D1
とすると、オフセット量Of1は、以下の式(14)のように表される。
【0142】
Of1=(E0+E1)/2―D1 … (14)
式(14)に具体的数値を入れると、式(15)のようになる。
【0143】
(1000+1100)/2−1000=50 … (15)
カメラ制御部212は、オフセット量Of1=50を、オフセット情報730のオフセット量738として記録する。この後の処理および動作は、第一の実施形態と同一である。
【0144】
本実施形態によれば、AFセンサと撮像センサの焦点検出を交互に行ってオフセット情報を算出することにより、2つのAF方式による焦点検出結果の差による段のある動作やハンチング動作を軽減することができる。また本実施形態によれば、大きな容量のテーブルを記憶することなく少ない演算量でこれらの動作を軽減することができる。
【0145】
(第五の実施形態)
次に、本発明の第五の実施形態について説明する。本実施形態は、オフセット情報および静止画撮影処理フローを除いて、第一の実施形態と同様である。本実施形態では、前述の各実施形態と同様に、AFセンサ254の焦点検出領域の範囲内である中心寄りの領域に関してはAFセンサ254による焦点検出を行い、AFセンサ254の焦点検出領域の範囲外では、撮像センサ201による焦点検出を行う。ただし本実施形態において、2つのAF方式の遷移領域ではオフセット量を用いるが、周辺領域ではオフセット量を0にして純粋な撮像センサ201による焦点検出を行う。
【0146】
本実施形態におけるオフセット情報(オフセット情報の保持テーブル)は、第一の実施形態にて説明した図7(a)に示されるオフセット情報700と同一である。図9は、撮像センサ201の焦点検出枠と像高との関係を示す図である。図9における点線および実線の四角は、図5(a)と同じである。
【0147】
原点900は、撮像センサ201の中心を表す点である。原点900を便宜的に座標(0,0)とする。円901は、AFセンサ254により焦点検出可能な一番遠い枠を通るように設定される。ここで、原点900からの円901までの距離が100であるとする。枠902、903、904、905はそれぞれ、原点900から最も遠い位置にある枠であり、原点900から距離が便宜的に200であるとする。
【0148】
次に、図4の静止画撮影処理フローについて説明する。ここでは、第一の実施形態と異なる処理についてのみ説明する。ユーザが静止画を撮影しようとしてステップS401にてSW1がオン(半押し)することにより被写体をファインダに収め、その後、ステップS405でSW2がオン(全押し)することにより静止画連写が開始する。ステップS414にてSW2がオン(全押し)のままである場合、カメラ制御部212は、ステップS415にて撮像センサ201による焦点検出量702をSDRAM209に保存する。またカメラ制御部212は、ステップS417にてAFセンサ254による焦点検出量701をSDRAM209に保存する。ステップS418において、被写体はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在するものとし、ステップS419に進む。ステップS419において、カメラ制御部212は、オフセット量を式(1)を用いて算出し、オフセット量703としてSDRAM209に保存する。
【0149】
被写体がAFセンサ254の焦点検出領域の範囲外に移動した後、ステップS414にてSW2がオン(全押し)のままであったとする。カメラ制御部212は、ステップS415にて撮像センサ201による焦点検出量737をSDRAM209に保存する。またカメラ制御部212は、ステップS417にてAFセンサ254による焦点検出量736をSDRAM209に保存する。ステップS418において、被写体はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲外に移動したため、ステップS421に進む。
【0150】
ステップS421において、カメラ制御部212は、オフセット情報700における撮像センサ201による焦点検出量702に、オフセット量703を加算した値に基づいて、フォーカスレンズ103を合焦位置へ駆動する。ここでは、原点900から離れた、円901の線上の枠ではオフセット量703の全値を使用し、原点900から離れるにつれてオフセット量を減少させ、最も遠い枠902〜905の位置でオフセット量の加算量が0になるようにする。現在の被写体の原点900からの距離を150として、以下の式(16)を用いてフォーカスレンズ103の駆動量を求める。
【0151】
円901の半径:R1=100
原点900から枠902〜905の距離:R2=200
原点900から現在の被写体の距離:R=150
現在のオフセット量703:Of=100
現在の撮像センサによる焦点検出量702:DD=900
レンズ駆動量:F
F=DD+Of*(R2−R)/(R2−R1) … (16)
図9の例では、レンズ駆動量Fは、以下の式(17)のようになる。
【0152】
900+100*(200−150)/(200−100)=950 … (17)
すなわちカメラ制御部212は、フォーカスレンズ103をレンズ駆動量F=950だけ駆動する。なお、この後の処理および動作は第一の実施形態と同一である。
【0153】
本実施形態によれば、原点から離れるほどオフセット量を小さくすることにより、2つのAF方式による焦点検出結果の差による段のある動作やハンチング動作を軽減することができる。また本実施形態によれば、大きな容量のテーブルを記憶することなく少ない演算量でこれらの動作を軽減することができる。
【0154】
(第六の実施形態)
次に、本発明の第六の実施形態について説明する。本実施形態は、オフセット情報および静止画撮影処理フローを除いて、第一の実施形態と同様である。本実施形態では、前述の各実施形態と同様に、AFセンサ254の焦点検出領域の範囲内である中心寄りの領域に関してはAFセンサ254による焦点検出を行い、AFセンサ254の焦点検出領域の範囲外では、撮像センサ201による焦点検出を行う。ただし本実施形態において、2つのAF方式の遷移領域ではオフセット量を用いるが、周辺領域では時間の経過とともに徐々にオフセット量を小さくし、最後にはオフセット量を0にして純粋な撮像センサ201による焦点検出を行う。
【0155】
図7(e)を参照して、本実施形態におけるオフセット情報テーブルについて説明する。図7(e)は、オフセット情報テーブルの説明図である。オフセット情報テーブル(オフセット情報740)は、例えばSDRAM209に保存される。オフセット情報740は、AFセンサ254による焦点検出量741、撮像センサ201による焦点検出量742、オフセット量743、および、時間経過量744からなる。
【0156】
次に、図4の静止画撮影処理フローについて説明する。ここでは、第一の実施形態と異なる処理についてのみ説明する。ユーザが静止画を撮影しようとしてステップS401にてSW1がオン(半押し)することにより被写体をファインダに収め、その後、ステップS405でSW2がオン(全押し)することにより静止画連写が開始する。この時点で、カメラ制御部212はオフセット情報740の時間経過量744を初期値に戻す。図7(e)の例では、時間経過量744は30である。
【0157】
ステップS414にてSW2がオン(全押し)のままである場合、ステップS415において、カメラ制御部212は撮像センサ201による焦点検出量742をSDRAM209に保存する。またステップS417において、カメラ制御部212はAFセンサ254による焦点検出量741をSDRAM209に保存する。続いてステップS418において、被写体はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲内に存在するものとし、ステップS419に進む。ステップS419において、カメラ制御部212は、式(1)を用いてオフセット量743を算出し、SDRAM209に保存する。
【0158】
被写体はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲外に移動した後、ステップS414においてSW2がオン(全押し)のままであったとする。このときカメラ制御部212は、ステップS415において、撮像センサ201による焦点検出量737をSDRAM209に保存する。またカメラ制御部212は、ステップS417において、AFセンサ254による焦点検出量736をSDRAM209に保存する。
【0159】
ステップS418にて被写体はAFセンサ254の焦点検出領域の範囲外に移動したため、ステップS421に進む。ステップS421において、カメラ制御部212は、まず時間経過量744としてSDRAM209に格納されている値から1減算した値を、時間経過量744としてSDRAM209に再度格納する。その後、カメラ制御部212は、撮像センサ201による焦点検出量742に、オフセット量743を加算した値に基づいて、フォーカスレンズ103を合焦位置へ駆動する。またカメラ制御部212は、被写体がAFセンサ254の焦点検出領域の範囲外に出てから徐々にオフセット量の使用量を減衰させる(オフセット量を小さくする)。被写体が焦点検出領域の範囲外に出てからの静止画撮影枚数が現在15枚である場合、時間経過量744の現在の値は15になる。そしてカメラ制御部212は、以下の式(18)を用いてフォーカスレンズ103の駆動量を求める。
【0160】
時間経過量744:T=15
時間経過量の初期値:T0=30
現在のオフセット量743:Of=100
現在の撮像センサによる焦点検出量742:DD=900
レンズ駆動量:F
F=DD+Of*T/T0 … (18)
図7(e)の例では、レンズ駆動量Fは以下の式(19)のように算出される。
【0161】
900+100*15/30=950 … (19)
すなわちカメラ制御部212は、フォーカスレンズ103をレンズ駆動量F=950だけ駆動する。なお、この後の処理および動作は第一の実施形態と同一である。
【0162】
本実施形態によれば、AFセンサの焦点検出領域から外れてからの時間の経過とともにオフセット量を小さくすることにより、2つのAF方式による焦点検出結果の差による段のある動作やハンチング動作を軽減することができる。また本実施形態によれば、大きな容量のテーブルを記憶することなく少ない演算量でこれらの動作を軽減することができる。
【0163】
このように各実施形態において、制御装置(カメラ本体20)は、第一の焦点検出手段(焦点検出回路255、カメラ制御部212)、第二の焦点検出手段(AF信号処理部204、カメラ制御部212)、算出手段212a、および、制御手段212bを有する。第一の焦点検出手段は、撮像光学系により形成された光線を受光する第一のセンサ(AFセンサ254)を用いて位相差検出による焦点検出を行う。第二の焦点検出手段は、撮像光学系により形成された光線を受光する第二のセンサ(撮像センサ201)を用いて位相差検出による焦点検出を行う。算出手段212aは、第一の焦点検出手段からの第一の信号(第一の焦点検出信号)と第二の焦点検出手段からの第二の信号(第二の焦点検出信号)との差分に相当する補正情報(オフセット量)を算出する。制御手段212bは、第一の領域において第一の信号に基づいてフォーカス制御を行い、第二の領域において第二の信号と補正情報とに基づいてフォーカス制御を行う。
【0164】
好ましくは、第一の領域は撮影画面の中央領域(枠501)であり、第二の領域は中央領域(枠501)を囲む周囲領域(枠502−枠501)である。また好ましくは、第一のセンサは第一の領域において焦点検出が可能なAFセンサ254であり、第二のセンサは第一の領域および第二の領域のそれぞれにおいて焦点検出が可能な撮像センサ(撮像素子)201である。また好ましくは、制御装置は、算出手段212aにより算出された補正情報を記憶する記憶手段(SDRAM209)を有する。そして制御手段212bは、第一の領域に被写体が存在する場合、第一の信号に基づいてフォーカス制御を行うとともに、補正情報を記憶手段に記憶する。また制御手段212bは、第二の領域に被写体が存在する場合、第二の信号と記憶手段に記憶された補正情報とに基づいてフォーカス制御を行う。
【0165】
好ましくは、制御装置は、被写体を認識する認識手段(カメラ制御部212)を有する。そして記憶手段は、認識手段により認識された被写体ごとに補正情報を記憶する(図7(b)参照)。また好ましくは、制御装置は、被写体の位置(被写体の撮像センサ201による位相差検出方向の座標、例えばX座標)を検出する位置検出手段(カメラ制御部212)を有する。そして記憶手段は、位置検出手段により検出された被写体の位置ごとに補正情報を記憶する(図7(c)参照)。より好ましくは、制御手段は、第二の領域に被写体が存在する場合であって、かつ被写体の位置に対応する補正情報が記憶手段に記憶されている場合、補正情報に基づいてフォーカス制御を行う。一方、制御手段は、第二の領域に被写体が存在する場合であって、かつ被写体の位置に対応する補正情報が記憶手段に記憶されていない場合、記憶手段に記憶された複数の補正情報を用いた補完演算により補正情報を算出する。そして制御手段は、補完演算により算出された補正情報に基づいてフォーカス制御を行う。
【0166】
好ましくは、算出手段は、第一のセンサと第二のセンサとが撮像光学系により形成された光線を受光する時間の差に基づいて第一の信号と第二の信号との差分を算出する。また好ましくは、制御手段は、第二の領域のうち第一の部分領域(第一の領域に近い領域)において、補正情報に対応する第一の補正量でフォーカス制御を行う。一方、制御手段は、第二の領域のうち第一の部分領域よりも第一の領域から離れた第二の部分領域(第一の領域から遠い領域)において、補正情報に対応する第一の補正量よりも小さい第二の補正量でフォーカス制御を行う。また好ましくは、制御手段は、被写体が第一の領域から第二の領域へ移動してからの経過時間が第一の経過時間である場合、補正情報に対応する第一の補正量でフォーカス制御を行う。一方、制御手段は、経過時間が第一の経過時間よりも長い第二の経過時間である場合、補正情報に対応する第一の補正量よりも小さい第二の補正量でフォーカス制御を行う。また好ましくは、第一の焦点検出手段は第一の方向(1つ以上の方向)の相関演算シフトにより焦点検出を行い、第二の焦点検出手段は第二の方向(1つ以上の方向)の相関演算シフトにより焦点検出を行う。そして算出手段は、第一の方向と第二の方向とを合わせて焦点検出を行って得られた差分を算出する。
【0167】
好ましくは、カメラ本体20は、撮像光学系により形成された光線の光路から退避可能なハーフミラー(クイックリターンミラー252)と、ハーフミラーにより反射された光線を観測するためのファインダ(256)とを有する。そして第一のセンサは、撮像光学系により形成されてハーフミラーを透過した光線を受光する。また第二のセンサは、ハーフミラーが光路から退避した状態で、撮像光学系により形成された光線を受光する。
【0168】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0169】
各実施形態の撮像装置によれば、2つのAF方式による焦点検出結果の差による段のある動作やハンチング動作を軽減することができる。また、2つのAF方式による焦点検出結果に対応する大きなテーブルを記憶する必要なく、少ない演算量で軽減することができる。このため各実施形態によれば、低コストで高速かつ高精度な焦点検出が可能な制御装置、撮像装置、制御方法、プログラム、および、記憶媒体を提供することが可能である。
【0170】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0171】
201 撮像センサ(第二のセンサ)
204 AF信号処理部(第二の焦点検出手段)
212 カメラ制御部(第一の焦点検出手段、第二の焦点検出手段)
212a 算出手段
212b 制御手段
254 AFセンサ(第一のセンサ)
255 焦点検出回路(第一の焦点検出手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図15