(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の同期システム1の一例を示す構成図である。
図1に示すように、同期システム1は、同期装置10(同期制御装置の一例)と、サーバ装置20とを、備える。同期装置10とサーバ装置20とは、ネットワーク2を介して接続されている。ネットワーク2は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用回線、及びインターネットなどが挙げられる。なお、ネットワーク2は、有線ネットワークであっても無線ネットワークであってもよい。
【0010】
サーバ装置20は、時刻同期用の基準時刻を計時するコンピュータである。同期装置10は、サーバ装置20により計時された基準時刻を用いて、自身の時刻を同期するものであり、例えば、産業用機器などが挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、
図1に示す例では、1台の同期装置10を例示しているが、実際には、1台以上の同期装置がネットワーク2に接続され、各同期装置が、サーバ装置20により計時された基準時刻を用いて、自身の時刻を同期している。
【0011】
図2は、第1実施形態の同期装置10の一例を示す構成図である。
図2に示すように、同期装置10は、入力部11と、取得部12と、記憶部13と、決定部14と、同期部15と、計時部16とを、備える。同期部15は、通信形式設定部15Aと、通信手順制御部15Bと、時刻差算出部15Cと、時刻補正部15Dとを、含む。
【0012】
入力部11は、例えば、マウスやキーボードなどの入力装置により実現できる。取得部12、決定部14、同期部15(通信形式設定部15A、通信手順制御部15B、時刻差算出部15C、及び時刻補正部15D)、及び計時部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置にプログラムを実行させること、即ち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。記憶部13は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、光ディスク、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などの磁気的、光学的、又は電気的に記憶可能な記憶装置により実現できる。
【0013】
入力部11は、ユーザ操作に基づいて、1つ以上の条件に関する条件値(以下、「1つ以上の条件値」と称する)を入力する。1つ以上の条件値は、サーバ装置20との間で時刻を同期する時刻同期処理で採用されるサーバ装置20との通信方式である所定通信方式、及び当該時刻同期処理で採用されるサーバ装置20で計時される基準時刻との同期方式である所定同期方式の少なくともいずれかを決定するための条件値である。
【0014】
第1実施形態では、所定通信方式は、通信対象情報の形式を定める所定通信形式設定方式と、通信対象情報を交換する順番及び間隔を定める所定通信手順制御方式と、を含み、所定通信方式が、所定通信形式設定方式及び所定通信手順制御方式で構成される場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。所定通信方式は、細分化しなくてもよいし、上記のように細分化してもよいし、上記とは異な形態に細分化してもよい。
【0015】
同様に、第1実施形態では、所定同期方式は、サーバ装置20との時刻差の所定算出方式と、自身の時刻をサーバ装置20で計時される時刻に補正する所定補正方式と、を含み、所定同期方式が、所定算出方式及び所定補正方式で構成される場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。所定同期方式は、細分化しなくてもよいし、上記のように細分化してもよいし、上記とは異な形態に細分化してもよい。
【0016】
従って、第1実施形態では、1つ以上の条件値は、所定通信形式設定方式、所定通信手順制御方式、所定算出方式、及び所定補正方式の少なくともいずれかを決定するための条件値であればよい。以下では、1つ以上の条件値が、所定通信形式設定方式、所定通信手順制御方式、所定算出方式、及び所定補正方式を決定するための条件値である場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。また、以下では、所定通信形式設定方式、所定通信手順制御方式、所定算出方式、及び所定補正方式を各々区別する必要がない場合は、単に所定方式と称する場合がある。
【0017】
第1実施形態では、1つ以上の条件は、時刻の同期精度、サーバ装置20と同期可能な端末数(
図1では図示を省略しているが、サーバ装置20により計時された基準時刻を用いて、自身の時刻を同期する同期装置の総数)、サーバ装置20との間の伝搬遅延時間、サーバ装置20までの通信トラヒック量、自身(同期装置10)の演算能力、自身(同期装置10)のメモリ量、時刻同期処理開始から時刻同期処理終了までの制限時間、及び同期前の時刻と同期後の時刻との連続性の有無の少なくともいずれかが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
図3は、第1実施形態の入力部11により入力される1つ以上の条件値の一例を示す図である。
図3に示すように、1つ以上の条件値は、実際には、条件値毎に当該条件値の条件に対応付けられて入力される。なお、
図3に示す例では、1つ以上の条件値は、時刻の同期精度、サーバ装置20と同期可能な端末数、サーバ装置20との間の伝搬遅延時間、サーバ装置20までの通信トラヒック量、自身の演算能力、自身のメモリ量、時刻同期処理開始から時刻同期処理終了までの制限時間、及び同期前の時刻と同期後の時刻との連続性の有無それぞれの条件値となっている。また、
図3に示す例では、1つ以上の条件値の具体的な値については、図示を省略している。
【0019】
取得部12は、入力部11により入力された1つ以上の条件値を取得する。
【0020】
記憶部13は、1つ以上の条件値それぞれが取り得る値と複数の通信方式及び複数の同期方式の少なくともいずれかの方式とに基づく決定テーブルとを記憶する。第1実施形態では、決定テーブルは、1つ以上の条件値それぞれが取り得る値と、複数の通信形式設定方式、複数の通信手順制御方式、複数の算出方式、及び複数の補正方式の少なくともいずれかの方式とに基づくテーブルである。
【0021】
図4は、第1実施形態の決定テーブルの一例を示す図である。
図4に示す例では、決定テーブルは、各条件値が取り得る値と各方式とのマトリクス図で表されている。また、方式は、当該方式を実行可能なモジュールに対応付けられている。
【0022】
条件値は、時刻の同期精度、サーバ装置20と同期可能な端末数、サーバ装置20との間の伝搬遅延時間、サーバ装置20までの通信トラヒック量、自身の演算能力、自身のメモリ量、時刻同期処理開始から時刻同期処理終了までの制限時間、及び同期前の時刻と同期後の時刻との連続性の有無それぞれの条件値である。
【0023】
条件値が取り得る値は、同期前の時刻と同期後の時刻との連続性の有無を除き、条件値が取り得る最小値から最大値までの範囲を範囲A〜範囲Cに3分割した範囲に区分けされている。例えば、時刻の同期精度であれば、Xマイクロ秒未満の条件値は範囲A、Xマイクロ秒以上かつYマイクロ秒未満の条件値は範囲B、Yマイクロ秒以上の条件値は範囲Cに区分けされる。但し区分け方法は、これに限定されるものではない。なお、同期前の時刻と同期後の時刻との連続性の有無の場合、条件値が取り得る値は、有か無である。
【0024】
通信形式設定モジュールは、通信形式設定部15Aを実現するモジュールであり、通信形式設定方式である最小長方式と最大長方式とが対応付けられている。最小長方式は、時刻同期に要する最小限の情報を通信フレームに記載する方式であり、最大長方式は、通信フレームに空白の情報を挿入しフレームサイズを大きく設定する方式である。
【0025】
通信手順制御モジュールは、通信手順制御部15Bを実現するモジュールであり、通信手順制御方式であるマスタ督促型方式とスレーブ要求型方式とが対応付けられている。マスタ督促型方式は、マスタ(サーバ装置20)からスレーブ(同期装置10)にポーリングを行うことで、スレーブが1つ1つ順にマスタとの間で時刻同期プロセスを実施する方式であり、スレーブ要求型方式は、スレーブ(同期装置10)が個々のタイミングでマスタ(サーバ装置20)との間で時刻同期プロセスを実施する方式である。
【0026】
時刻差算出モジュールは、時刻差算出部15Cを実現するモジュールであり、算出方式である往復等分方式と片道最小遅延方式とが対応付けられている。往復等分方式は、複数回の往復遅延から時刻差(通信遅延)を算出する方法であり、片道最小遅延方式は、最も小さい往復遅延から、マスタ(サーバ装置20)からスレーブ(同期装置10)までの片道の時刻差(通信遅延)を算出する方法である。
【0027】
時刻補正モジュールは、時刻補正部15Dを実現するモジュールであり、補正方式である即補正方式と斜行補正方式とが対応付けられている。即補正方式は、一度の補正で時刻差を0にする方式であり、斜行補正方式は、時刻差を複数回にわたり少しずつ補正する方式である。
【0028】
なお、
図4に示す例では、マトリクスの各セルの値については、図示を省略しているが、実際には、条件値に対する方式の評価値(評価点)が記載されている。例えば、条件値が時刻の同期精度かつ範囲A、方式がマスタ督促型方式で特定されるセルには、Z点などと記載されている。条件値に対する方式の評価値は、ユーザが予め採点ルールに基づいて決めておけばよい。採点ルールは、ユーザ事前評価などに基づいて決定するものであり、どのようなルールであってもよい。
【0029】
モジュールに対応付けられた複数の方式を比較すると、条件値に対し、それぞれ優劣がある。例えば、通信手順制御方式であるマスタ督促型方式とスレーブ要求型方式とを比較した場合、マスタ督促型方式の方が、スレーブ(同期装置)が複数存在する場合であっても時刻同期プロセスのタイミングが競合しにくいので、時刻差(通信遅延)の変動が発生しにくい。なお、時刻差(通信遅延)の変動が発生するほど、同期装置10で正しい基準時刻(サーバ装置20で計時された基準時刻にサーバ装置20との通信時間を加味した基準時刻)を推測する際に誤差が生じ易くなる。従って、時刻の同期精度については、スレーブ要求型方式よりもマスタ督促型方式を優位に(評価値を高く)できる。
【0030】
また例えば、通信形式設定方式である最小長方式と最大長方式を比較した場合、最小長方式の方が、フレームサイズを小さくできるので、通信トラヒック量については、最大長方式よりも最小長方式を優位に(評価値を高く)できる。同様に最小長方式と最大長方式を比較した場合、最大長方式の方が、フレームサイズが大きく通信遅延の変動が小さいので、時刻の同期精度については、最小長方式よりも最大長方式を優位に(評価値を高く)できる。
【0031】
また例えば、算出方式である往復等分方式と片道最小遅延方式とを比較した場合、最も小さい往復遅延は往路も復路も他のフレームと競合が少なく、通信遅延変動が発生していない可能性が高いので、時刻の同期精度については、往復等分方式よりも片道最小遅延方式を優位に(評価値を高く)できる。但し、片道最小遅延方式は、複数回の時刻同期プロセスを試みる必要があり、往復等分方式よりも時間を要するため、時刻同期処理開始から時刻同期処理終了までの制限時間については、片道最小遅延方式よりも往復等分方式を優位に(評価値を高く)できる。
【0032】
また例えば、補正方式である即補正方式と斜行補正方式とを比較した場合、斜行補正方式の方が時間を要するため、時刻同期処理開始から時刻同期処理終了までの制限時間については、斜行補正方式よりも即補正方式を優位に(評価値を高く)できる。但し、斜行補正方式は、同期前の時刻と同期後の時刻との連続性を保証できるため、同期前の時刻と同期後の時刻との連続性の有無については、即補正方式よりも斜行補正方式を優位に(評価値を高く)できる。
【0033】
決定部14は、取得部12により取得された1つ以上の条件値を用いて、複数の通信方式の中からの所定通信方式の決定、及び複数の同期方式の中からの所定同期方式の決定の少なくともいずれかを行う。具体的には、決定部14は、取得部12により取得された1つ以上の条件値と、記憶部13に記憶されている決定テーブルとを用いて、複数の通信方式の中からの所定通信方式の決定、及び複数の同期方式の中からの所定同期方式の決定の少なくともいずれかを行う。
【0034】
第1実施形態では、決定部14は、取得部12により取得された1つ以上の条件値を用いて、複数の通信形式設定方式の中からの所定通信形式設定方式の決定、複数の通信手順制御方式の中からの所定通信手順制御方式の決定、複数の算出方式の中からの所定算出方式の決定、及び複数の補正方式の中からの所定補正方式の決定の少なくともいずれかを行う。具体的には、決定部14は、取得部12により取得された1つ以上の条件値と、記憶部13に記憶されている決定テーブルとを用いて、複数の通信形式設定方式の中からの所定通信形式設定方式の決定、複数の通信手順制御方式の中からの所定通信手順制御方式の決定、複数の算出方式の中からの所定算出方式の決定、及び複数の補正方式の中からの所定補正方式の決定の少なくともいずれかを行う。
【0035】
例えば、決定部14は、取得部12により取得された1つ以上の条件値を用いて、決定テーブルで定義されている方式毎に、条件値それぞれに対する評価値を特定し合算することで、評価値の合計を算出する。そして決定部14は、決定テーブルで定義されているモジュール毎に、当該モジュールに対応付けられている複数の方式のうち評価値の合計が最も高い方式を所定方式に決定する。
【0036】
図4に示す例の場合、通信形式設定モジュールであれば、通信形式設定方式である最小長方式及び最大長方式のうち評価値の合計が最も高い方式が所定通信形式設定方式に決定される。また、通信手順制御モジュールであれば、通信手順制御方式であるマスタ督促型方式及びスレーブ要求型方式のうち評価値の合計が最も高い方式が所定通信手順制御方式に決定される。また、時刻差算出モジュールであれば、算出方式である往復等分方式及び片道最小遅延方式うち評価値の合計が最も高い方式が所定算出方式に決定される。また、時刻補正モジュールであれば、補正方式である即補正方式及び斜行補正方式のうち評価値の合計が最も高い方式が所定補正方式に決定される。
【0037】
同期部15は、決定部14により決定された所定通信方式及び所定同期方式を採用して、サーバ装置20との時刻同期処理を行う。第1実施形態では、同期部15は、決定部14により決定された所定通信形式設定方式、所定通信手順制御方式、所定算出方式、及び所定補正方式を採用して、サーバ装置20との時刻同期処理を行う。
【0038】
なお、決定部14が所定通信形式設定方式、所定通信手順制御方式、所定算出方式、及び所定補正方式の少なくともいずれかを決定する場合、決定部14が決定しない所定方式はデフォルトの所定方式となるため、同期部15は、決定部14により決定された所定方式、及びデフォルトの所定方式を採用して、サーバ装置20との時刻同期処理を行えばよい。
【0039】
例えば、決定部14が、所定通信形式設定方式及び所定補正方式を決定し、所定通信手順制御方式及び所定算出方式については決定しないとする。この場合、同期部15は、決定部14により決定された所定通信形式設定方式及び所定補正方式、並びにデフォルトの所定通信手順制御方式及びデフォルトの所定算出方式を採用して、サーバ装置20との時刻同期処理を行えばよい。
【0040】
サーバ装置20との時刻同期処理は、具体的には、以下のように行われる。まず、通信形式設定部15Aが、決定部14により決定された所定通信形式設定方式で、サーバ装置20との通信形式を設定する。続いて、通信手順制御部15Bが、決定部14により決定された所定通信手順制御方式で、通信形式設定部15Aにより設定された設定された通信形式でのサーバ装置20との通信手順を制御し、サーバ装置20で計時された基準時刻を取得する。続いて、時刻差算出部15Cが、決定部14により決定された所定算出方式で、サーバ装置20の基準時刻と計時部16により計時される同期装置10の時刻との時刻差を算出する。続いて、時刻補正部15Dが、決定部14により決定された所定補正方式で、時刻差算出部15Cにより算出された時刻差を用いた計時部16により計時される同期装置10の時刻の補正を行う。
【0041】
計時部16は、同期装置10の時刻を計時する。
【0042】
図5は、第1実施形態のサーバ装置20の一例を示す構成図である。
図5に示すように、サーバ装置20は、計時部21と、通知部23とを、含む。
【0043】
計時部21及び通知部23は、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、即ち、ソフトウェアにより実現してもよいし、ICなどのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0045】
通知部23は、同期装置10で採用される所定通信方式で、計時部21により計時された基準時刻を同期装置10に通知する。第1実施形態では、通知部23は、同期装置10で採用される所定通信形式設定方式及び所定補正方式で計時部21により計時された基準時刻を同期装置10に通知する。
【0046】
なお、同期装置10で採用される所定通信形式設定方式及び所定補正方式については、時刻同期処理の前処理として、同期装置10から、採用された所定通信形式設定方式及び所定補正方式の情報を取得するようにしてもよいし、同期装置10で説明した所定通信形式設定方式及び所定補正方式の決定手法を用いてサーバ装置20で特定してもよい。後者の場合、サーバ装置20は、1つ以上の条件値を同期装置10から取得するとともに、同期装置10(記憶部13)に記憶されている決定テーブルと同一のテーブルを予め保持しておけばよい。
【0047】
図6は、第1実施形態の同期装置10で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0048】
まず、取得部12は、入力部11により入力された1つ以上の条件値を取得する(ステップS101)。
【0049】
続いて、決定部14は、取得部12により取得された1つ以上の条件値と、記憶部13に記憶されている決定テーブルとを用いて、各モジュールで採用する所定方式(通信形式設定部15Aで採用される所定通信形式設定方式、通信手順制御部15Bで採用される所定通信手順制御方式、時刻差算出部15Cで採用される所定算出方式、及び時刻補正部15Dで採用される所定補正方式)を決定する(ステップS103)。
【0050】
続いて、同期部15(通信形式設定部15A、通信手順制御部15B、時刻差算出部15C、及び時刻補正部15D)は、決定部14により決定された所定通信形式設定方式、所定通信手順制御方式、所定算出方式、及び所定補正方式を採用して、サーバ装置20との時刻同期処理を行う(ステップS105)。
【0051】
図7は、
図6のステップS103の処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、決定部14は、取得部12により取得された1つ以上の条件値から、次の(未処理の)条件iの条件値を取得する(ステップS111)。なお、iの初期値は、1である。また、条件値の取得順序は、どのような順序であってもよい。
【0053】
続いて、決定部14は、記憶部13に記憶されている決定テーブルで定義された複数の方式から、次の(未処理の)方式jを取得する(ステップS113)。なお、jの初期値は、1である。また、方式の取得順序は、どのような順序であってもよい。
【0054】
続いて、決定部14は、記憶部13に記憶されている決定テーブルで定義された評価値から、条件iの条件値に対する方式jの評価値を取得し、方式jの評価値の合計点に加算する(ステップS115)。なお、方式jの評価値の合計点の初期値は、0である。
【0055】
続いて、決定部14は、jの値が方式数であるか否か判定する(ステップS117)。jの値が方式数でなければ(ステップS117でNo)、ステップS113へ戻る。なお、この際に、jの値がインクリメントされる。一方、jの値が方式数であれば(ステップS117でYes)、ステップS119へ進む。
【0056】
続いて、決定部14は、iの値が条件数であるか否か判定する(ステップS119)。iの値が条件数でなければ(ステップS119でNo)、ステップS111へ戻る。なお、この際に、iの値がインクリメントされる。一方、iの値が条件数であれば(ステップS119でYes)、ステップS121へ進む。
【0057】
続いて、決定部14は、記憶部13に記憶されている決定テーブルで定義された複数のモジュールから、次の(未処理の)モジュールkを取得する(ステップS121)。なお、kの初期値は、1である。また、モジュールの取得順序は、どのような順序であってもよい。
【0058】
続いて、決定部14は、モジュールkに属する(対応付けられた)方式のうち評価値の合計点が最も高い方式をモジュールkで採用される所定方式に決定する(ステップS123)。
【0059】
続いて、同期部15(詳細には、通信形式設定部15A、通信手順制御部15B、時刻差算出部15C、及び時刻補正部15Dのうちモジュールkで実現される部)は、所定方式の変更が必要な場合(ステップS125でYes)、現在の所定方式の方式をオフし(ステップS127)、モジュールkで採用される方式をオンすることで(ステップS129)、所定方式をモジュールkで採用される方式に変更する。
【0060】
なお、ステップS125でNoの場合、ステップS125、S127の処理は行われない。
【0061】
続いて、同期部15は、kの値がモジュール数であるか否か判定する(ステップS131)。kの値がモジュール数でなければ(ステップS131でNo)、ステップS121へ戻る。なお、この際に、kの値がインクリメントされる。一方、kの値がモジュール数であれば(ステップS131でYes)、処理は終了となる。
【0062】
図8は、第1実施形態のサーバ装置20で行われる処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0063】
通知部23は、同期装置10から時刻同期処理要求(時刻同期処理の開始要求)があれば(ステップS141でYes)、同期装置10で採用される所定通信形式設定方式及び所定補正方式で計時部21により計時された基準時刻を同期装置10に通知する(ステップS143)。
【0064】
なお、ステップS141でNoの場合、ステップS143の処理は行われない。
【0065】
以上のように第1実施形態によれば、ユーザから入力される1つ以上の条件値に基づいて、時刻同期処理で採用される複数の所定方式を決定するため、同期後の時刻の用途を念頭に以上の条件値を入力することで、当該用途に適した方式で時刻同期処理が行われ、様々な用途に対応することができる。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態では、1つ以上の条件値を自動入力する例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図9は、第2実施形態の同期システム101の同期装置110の一例を示す構成図である。
図9に示すように、第2実施形態の同期システム101の同期装置110では、入力部11を備えず解析部117を備える点、及び取得部112が第1実施形態と相違する。
【0068】
解析部117は、ネットワーク2を介した通信を解析して、1つ以上の条件それぞれの条件値を抽出する。
【0069】
例えば、サーバ装置20を用いて時刻同期を行う同期装置が複数存在する場合(同期装置110については、図示省略)、各同期装置は、サーバ装置20だけでなく他の同期装置に対しても、サーバ装置20を用いて時刻同期を行うことを示す同期参加通知を行う。
【0070】
従って、解析部117は、サーバ装置20と同期可能な端末数については、サーバ装置20と同期可能な1つ以上の同期装置から通知される同期参加通知を解析し、同期参加通知の総数を、端末数の条件値として抽出すればよい。
【0071】
また、解析部117は、サーバ装置20との間の伝搬遅延時間については、サーバ装置20と通信の往復時間を解析して、伝搬遅延時間の条件値を抽出すればよい。例えば、解析部117は、往復時間/2を伝搬遅延時間の条件値として抽出すればよい。
【0072】
また、解析部117は、サーバ装置20までの通信トラヒック量については、サーバ装置20との通信を中継する中継装置(図示省略)との通信を解析して、通信トラヒック量の条件値を抽出すればよい。中継装置は、例えば、ルータやスイッチなどが挙げられる。例えば、解析部117は、中継装置から通知される通信トラヒック量をそのまま通信トラヒック量の条件値として抽出すればよい。
【0073】
取得部112は、解析部117により抽出された1つ以上の条件値を取得する。
【0074】
このように第2実施形態によれば、ネットワーク2を介した通信を解析して1つ以上の条件値を入力するので、1つ以上の条件値の入力を自動化できる。特に、定期的に、ネットワーク2を介した通信を解析して1つ以上の条件値を入力するようにすれば、環境(端末数、伝搬遅延時間、又は通信トラヒック量など)に変化が生じた場合であっても、用途に対して時刻同期処理をリアルタイムで最適化することができる。
【0075】
なお、第2実施形態は、第1実施形態と組み合わせるようにしてもよい。例えば、同期システム101の運用開始時には、第1実施形態の手法を採用し、同期システム101の運用開始後には、第2実施形態の手法を採用するようにしてもよい。このようにすれば、用途に適した方式で時刻同期処理が行われ、様々な用途に対応することができつつ、環境(端末数、伝搬遅延時間、又は通信トラヒック量など)に変化が生じた場合であっても、用途に対して時刻同期処理をリアルタイムで最適化することができる。
【0076】
また、第2実施形態は、第1実施形態で説明した条件を用いる必要はなく、通信を解析することで条件値が得られる条件を用いればよい。
【0077】
(第3実施形態)
第3実施形態では、管理装置から1つ以上の条件値を入力する例について説明する。以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
図10は、第3実施形態の同期システム201の一例を示す構成図である。
図10に示すように、第3実施形態の同期システム201では、管理装置230(外部入力装置の一例)を備える点、及び同期装置210が第1実施形態と相違する。
【0079】
管理装置230は、ユーザ操作に基づいて、1つ以上の条件値を入力し、当該1つ以上の条件値を、同期装置210、及び同期装置210以外にサーバ装置20を用いて時刻同期を行う同期装置(図示省略)に通知する。
【0080】
図11は、第3実施形態の同期装置210の一例を示す構成図である。
図11に示すように、第3実施形態の同期装置210では、入力部11を備えない点、及び取得部212が第1実施形態と相違する。
【0081】
取得部212は、管理装置230から1つ以上の条件値を取得する。
【0082】
第3実施形態によれば、各同期装置に同一の1つ以上の条件値を適用させることができる。
【0083】
なお、記憶部13及び決定部14を管理装置230が備えるようにし、1つ以上の条件値ではなく、決定部14により決定された所定通信形式設定方式、所定通信手順制御方式、所定算出方式、及び所定補正方式を各同期装置に通知するようにしてもよい。このようにすれば、各同期装置の時刻同期処理を同一方式に統一することができる。
【0084】
(ハードウェア構成)
図12は、各実施形態の同期装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12に示すように、各実施形態の同期装置は、CPUなどの制御装置901と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置902と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置903と、ディスプレイなどの表示装置904と、キーボードやマウスなどの入力装置905と、通信インタフェースなどの通信装置906と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0085】
各実施形態の同期装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。
【0086】
また、各実施形態の同期装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、各実施形態の同期装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。また、各実施形態の同期装置で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するようにしてもよい。
【0087】
各実施形態の同期装置で実行されるプログラムは、上述した各部をコンピュータ上で実現させるためのモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、CPUがROMやHDDなどからプログラムをRAM上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現されるようになっている。
【0088】
なお、上記各部の少なくとも一部をICなどのハードウェアで実現する場合、各実施形態の同期装置は、当該ICなどを更に備えればよい。
【0089】
なお、本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0090】
例えば、上記第1実施形態のフローチャートにおける各ステップを、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実施し、あるいは実施毎に異なった順序で実施してもよい。
【0091】
以上のように、上記各実施形態によれば、様々な用途に対応することができる。