特許第6615516号(P6615516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615516
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】路側処理装置及び警告通知方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/015 20060101AFI20191125BHJP
   G08G 1/017 20060101ALI20191125BHJP
   G01G 19/03 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   G08G1/015 A
   G08G1/017
   G01G19/03
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-136838(P2015-136838)
(22)【出願日】2015年7月8日
(65)【公開番号】特開2017-21465(P2017-21465A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−299707(JP,A)
【文献】 特開2003−099825(JP,A)
【文献】 特開2001−243589(JP,A)
【文献】 特開平11−218438(JP,A)
【文献】 特開2002−183882(JP,A)
【文献】 特開2004−021792(JP,A)
【文献】 特開平07−209063(JP,A)
【文献】 特開2009−257864(JP,A)
【文献】 特開平06−168342(JP,A)
【文献】 特表2004−537943(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0220708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01G 19/00 − 19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載器とDSRC(Dedicated Short Range Communications)による通信を行うことによって、前記車載器に登録されている車両番号を前記車載器から受信する通信部と、
前記車両の重量に関する重量情報と、前記重量情報を取得した前記車両の車載器に登録されていて、前記通信部によって受信された前記車両番号と、前記車両のナンバープレートを読み取る読取装置から、前記読取装置が読み取った前記ナンバープレートの情報を取得する取得部と、
取得された前記車両番号と、前記ナンバープレートの情報とを照合することによって、道路を傷める原因となる車両であるか否かの判定対象となる車両を特定する車両特定部と、
特定された前記車両の重量情報で示される前記車両の重量が閾値以上である場合に前記道路を傷める原因となる車両であると判定された前記車両に搭載されている車載器に対して、前記車両のユーザに対して警告情報を出力させるための通知である制御情報を送信する通知制御部と、
を備える路側処理装置。
【請求項2】
前記閾値は、前記車載器に登録されている前記車両が許容する重量の上限値を表す重量制限値であり、
前記通知制御部は、前記車両の重量が前記重量制限値以上である前記車両のユーザに対して前記制御情報を送信するとともに、前記警告情報を前記車載器に書き込む、請求項1に記載の路側処理装置。
【請求項3】
前記閾値は、前記車載器に登録されている前記車両が許容する重量の上限値を表す重量制限値の所定の割合以上であり、
前記通知制御部は、前記車両の重量が前記重量制限値の所定の割合以上である前記車両のユーザに対して前記制御情報を送信するとともに、前記警告情報を前記車載器に書き込む、請求項1に記載の路側処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記車載器に前記警告情報が書き込まれていることを示すフラグが立てられている場合に、前記車載器から前記フラグが立てられている旨の情報をさらに取得し、
前記通知制御部は、前記フラグが立てられている旨の情報が取得されると、前記制御情報を前記車載器に再度送信する、請求項1に記載の路側処理装置。
【請求項5】
前記制御情報は、前記車載器に対して前記警告情報を表示させることを示す通知である、請求項1に記載の路側処理装置。
【請求項6】
前記制御情報は、前記車載器に対して前記車両を他経路へ誘導するための誘導情報を表示させることを示す通知である、請求項1に記載の路側処理装置。
【請求項7】
車両に搭載された車載器とDSRC(Dedicated Short Range Communications)による通信を行うことによって、前記車載器に登録されている車両番号を前記車載器から受信する通信ステップと、
前記車両の重量に関する重量情報と、前記重量情報を取得した前記車両の車載器に登録されていて、前記通信ステップにおいて受信された前記車両番号と、前記車両のナンバープレートを読み取る読取装置から、前記読取装置が読み取った前記ナンバープレートの情報を取得する取得ステップと、
取得された前記車両番号と、前記ナンバープレートの情報とを照合することによって、道路を傷める原因となる車両であるか否かの判定対象となる車両を特定する車両特定ステップと、
特定された前記車両の重量情報で示される前記車両の重量が閾値以上である場合に前記道路を傷める原因となる車両であると判定された前記車両に搭載されている車載器に対して、前記車両のユーザに対して警告情報を出力させるための通知である制御情報を送信する通知制御ステップと、
を有する警告通知方法。
【請求項8】
前記閾値は、前記車載器に登録されている前記車両が許容する重量の上限値を表す重量制限値であり、
前記通知制御ステップにおいて、前記車両の重量が前記重量制限値以上である前記車両のユーザに対して前記制御情報を送信するとともに、前記警告情報を前記車載器に書き込む、請求項7に記載の警告通知方法。
【請求項9】
前記閾値は、前記車載器に登録されている前記車両が許容する重量の上限値を表す重量制限値の所定の割合以上であり、
前記通知制御ステップにおいて、前記車両の重量が前記重量制限値の所定の割合以上である前記車両のユーザに対して前記制御情報を送信するとともに、前記警告情報を前記車載器に書き込む、請求項7に記載の警告通知方法。
【請求項10】
前記取得ステップにおいて、前記車載器に前記警告情報が書き込まれていることを示すフラグが立てられている場合に、前記車載器から前記フラグが立てられている旨の情報をさらに取得し、
前記通知制御ステップにおいて、前記フラグが立てられている旨の情報が取得されると、前記制御情報を前記車載器に再度送信する、請求項7に記載の警告通知方法。
【請求項11】
前記制御情報は、前記車載器に対して前記警告情報を表示させることを示す通知である、請求項7に記載の警告通知方法。
【請求項12】
前記制御情報は、前記車載器に対して前記車両を他経路へ誘導するための誘導情報を表示させることを示す通知である、請求項7に記載の警告通知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、路側処理装置及び警告通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路構造の保全のために、道路法により車両の重量は一定範囲に制限されている。そのため、車両の重量が超過する場合には、道路管理者の許可を得て走行する必要がある。従来、重量制限違反の車両を取り締まる為に、走行している車両の重量や寸法などを計測するシステムが用いられている。この方法では、重量制限違反の車両が検出された場合に警告が表示板に表示される。しかしながら、重量制限違反の車両のユーザが表示板を見逃した場合には、重量制限違反の車両のような道路を傷める原因となる車両が道路をそのまま走行してしまう可能性があった。このような問題は、重量制限違反の車両に限らず、道路を傷める原因となる車両すべてに共通する問題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−101375号公報
【特許文献2】特開2012−78219号公報
【特許文献3】特開2008−299707号公報
【特許文献4】特開2013−221889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、道路を傷める原因となる車両のユーザに対してより確実に警告を行うことができる路側処理装置及び警告通知方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の路側処理装置は、通信部と、取得部と、車両特定部と、通知制御部とを持つ。通信部は、車両に搭載された車載器とDSRC(Dedicated Short Range Communications)による通信を行うことによって、前記車載器に登録されている車両番号を前記車載器から受信する。取得部は、前記車両の重量に関する重量情報と、前記重量情報を取得した前記車両の車載器に登録されていて、前記通信部によって受信された前記車両番号と、前記車両のナンバープレートを読み取る読取装置から、前記読取装置が読み取った前記ナンバープレートの情報を取得する。車両特定部は、取得された前記車両番号と、前記ナンバープレートの情報とを照合することによって、道路を傷める原因となる車両であるか否かの判定対象となる車両を特定する。通知制御部は、特定された前記車両の重量情報で示される前記車両の重量が閾値以上である場合に前記道路を傷める原因となる車両であると判定された前記車両に搭載されている車載器に対して、前記車両のユーザに対して警告情報を出力させるための通知である制御情報を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態における警告システム100のシステム構成図。
図2】第1の実施形態におけるDSRC装置30の機能構成を表す概略ブロック図。
図3】第1の実施形態におけるDSRC装置30の処理の流れを示すフローチャート。
図4】第1の実施形態における警告システム100の動作の流れを示すシーケンス図。
図5】第1の実施形態におけるDSRC装置30の処理の流れを示すフローチャート。
図6】第2の実施形態における警告システム100aのシステム構成図。
図7】第2の実施形態におけるDSRC装置30aの機能構成を表す概略ブロック図。
図8】第2の実施形態におけるDSRC装置30aの処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の路側処理装置及び警告通知方法を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における警告システム100のシステム構成図である。
警告システム100は、重量計測装置10、読取装置20、DSRC装置30及び上位装置40を備える。DSRC装置30は、ネットワーク50を介して、上位装置40と通信可能に接続される。
重量計測装置10は、道路を走行する車両60の重量を計測する。例えば、重量計測装置10は、軸重センサである。重量計測装置10は、計測した車両60の重量に関する情報(以下、「重量情報」という。)を自装置に接続しているDSRC装置30に出力する。
読取装置20は、車両60のナンバープレートを読み取る。読取装置20は、読み取ったナンバープレートの情報(以下、「プレート番号」という。)を自装置に接続しているDSRC装置30に出力する。
【0008】
DSRC装置30は、道路付近に設置される路側処理装置である。DSRC装置30は、道路上に所定の間隔で設置される。DSRC装置30は、車両60に搭載された車載器(以下、単に「車載器」という。)との間でDSRC(Dedicated Short Range Communications)による通信を行う。DSRC装置30は、車載器との間で通信することによって車載器から車載器情報を取得する。車載器情報は、車載器に登録されている情報である。例えば、車載器情報は、重量制限値及び車両番号である。重量制限値は、車載器を搭載している車両60が許容する重量の上限値を表す。重量制限値は、車両60毎に決定される。車両番号は、車載器を搭載している車両60のナンバープレートの番号を表す。DSRC装置30は、読取装置20から出力されたプレート番号と、車載器に登録されている車両番号とに基づいて、道路を傷める原因となる車両であるか否かの判定対象となる車両60を特定する。道路を傷める原因となる車両の具体例として、重量が超過している車両(以下、「超過車両」という。)が挙げられる。以下の説明では、道路を傷める原因となる車両を超過車両として説明する。
【0009】
DSRC装置30は、重量計測装置10から出力された判定対象となる車両60の重量情報と、判定対象となる車両60に搭載されている車載器に登録されている重量制限値とに基づいて、特定された車両60が超過車両であるか否か判定する。DSRC装置30は、超過車両に搭載された車載器に対して警告情報を書き込むとともに、超過車両に乗車しているユーザに対して警告情報を出力するための通知である制御情報を送信する。警告情報とは、本実施形態において車両60の重量が、車両60の重量制限値を超過していることを示す情報である。制御情報には、車載器による警告情報の出力方法に関する情報が含まれる。例えば、制御情報には、車載器に対して警告情報の出力方法として警告情報を表示させることを示す情報が含まれる。
【0010】
上位装置40は、警告システム100が備えるDSRC装置30から警告情報の書き込み結果を取得する。警告情報の書き込み結果には、超過車両の重量情報及び警告情報を書き込んだDSRC装置30が設置されている場所の位置情報などが含まれる。上位装置40は、警告システム100を管理する管理者によって操作される。上位装置40は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。
ネットワーク50は、どのように構成されたネットワークであってもよい。ネットワーク50は、例えばインターネットである。
【0011】
なお、以下の説明では、重量計測装置10、読取装置20及びDSRC装置30が設置されている場所を測定地点と記載し、重量計測装置10及び読取装置20を除くDSRC装置30のみが設置されている場所を判定地点と記載する。上記のようにDSRC装置30は、道路上に所定の間隔で設置される。DSRC装置30が設置されている場所全てに重量計測装置10及び読取装置20を設置することはコストが高くなってしまうため現実的ではない。そこで、以下の説明では、DSRC装置30が測定地点に設置されている場合と、DSRC装置30が判定地点に設置されている場合との2つの場合のDSRC装置30の処理について説明する。
【0012】
なお、DSRC装置30が測定地点に設置されている場合には、DSRC装置30は判定対象となる車両60が超過車両であるか否か判定した結果に基づいて超過車両の車載器に対して警告情報を書き込むとともに、超過車両に乗車しているユーザに対して警告情報を通知する。DSRC装置30が判定地点に設置されている場合には、DSRC装置30は車両60に警告情報が書き込まれているか否か判定した結果に基づいて、警告情報が書き込まれている車載器に対して再度警告情報を書き込むとともに、超過車両に乗車しているユーザに対して再度警告情報を通知する。DSRC装置30が測定地点に設置されているか判定地点に設置されているかについては、DSRC装置30に予め設定されていてもよいし、上位装置40を介してDSRC装置30に入力されてもよいし、重量計測装置10又は読取装置20から情報が取得されたか否かでDSRC装置30が判定してもよいし、その他の方法で判定されてもよい。測定地点にはDSRC装置30の他に、重量計測装置10及び読取装置20が設置される。そのため、重量計測装置10又は読取装置20から情報が取得された場合、DSRC装置30は自装置が測定地点に設置されていると判定する。一方、重量計測装置10及び読取装置20から情報が取得されなかった場合、DSRC装置30は自装置が判定地点に設置されていると判定する。
【0013】
図2は、第1の実施形態におけるDSRC装置30の機能構成を表す概略ブロック図である。
DSRC装置30は、通信部301、取得部302、車両特定部303、判定部304及び通知制御部305を備える。
通信部301は、重量計測装置10との間で通信を行う。また、通信部301は、読取装置20との間で通信を行う。通信部301は、上位装置40との間で通信を行う。通信部301は、車載器との間で通信を行う。
取得部302は、通信部301を介してプレート番号、重量情報及び車載器情報を取得する。
【0014】
車両特定部303は、取得部302によって取得されたプレート番号と、車載器情報に含まれる車両番号とに基づいて、判定対象となる車両60を特定する。
判定部304は、取得部302によって取得された重量情報と、車載器情報に含まれる重量制限値とに基づいて、車両特定部303によって特定された車両60が道路を傷める原因となる車両であるか否か判定する。つまり、判定部304は、重量情報と、重量制限値とに基づいて、特定された車両60が超過車両であるか否か判定する。
通知制御部305は、判定部304によって超過車両であると判定された車両60に搭載されている車載器に対して、通信部301を介して警告情報を書き込むとともに制御情報を送信する。
【0015】
図3は、第1の実施形態におけるDSRC装置30の処理の流れを示すフローチャートである。なお、図3では、測定地点に設置されたDSRC装置30の処理について説明する。
取得部302は、通信部301を介して重量計測装置10から重量情報を取得する(ステップS101)。取得部302は、取得した重量情報を判定部304に出力する。取得部302は、通信部301を介して読取装置20が読み取ったプレート番号を取得する(ステップS102)。取得部302は、取得したプレート番号を車両特定部303に出力する。取得部302は、通信部301を介して車載器から車載器情報を取得する(ステップS103)。取得部302は、取得した車載器情報のうち車両番号を車両特定部303に出力し、重量制限値を判定部304に出力する。
【0016】
車両特定部303は、取得されたプレート番号と、車両番号とに基づいて判定対象となる車両60を特定する(ステップS104)。具体的には、車両特定部303は、読取装置20から取得されたプレート番号と、車載器から取得された車両番号とを照合することによって判定対象となる車両60を特定する。プレート番号と、車両番号とが一致する場合、車両特定部303は判定対象となる車両60を特定する。一方、プレート番号と、車両番号とが一致しない場合、車両特定部303は判定対象となる車両60を特定できない。この場合、DSRC装置30は処理を終了する。
【0017】
判定部304は、重量情報と、重量制限値とに基づいて、特定された車両60が超過車両であるか否か判定する(ステップS105)。具体的には、重量情報で示される車両60の重量が重量制限値以上である場合、判定部304は特定された車両60が超過車両であると判定する。一方、重量情報で示される車両60の重量が重量制限値未満である場合、判定部304は特定された車両60が超過車両ではないと判定する。特定された車両60が超過車両ではない場合(ステップS105−NO)、DSRC装置30は処理を終了する。
【0018】
一方、特定された車両60が超過車両である場合(ステップS105−YES)、通知制御部305は通信部301を介して、超過車両に搭載された車載器に対して警告情報の書き込みを行うとともに制御情報を送信する(ステップS106)。通知制御部305は警告情報の書き込みを行う際、車載器にフラグを立てる。その後、通知制御部305は、通信部301を介して、自装置が設置されている場所の位置情報及び警告情報を書き込んだ車載器を搭載している車両60の車両番号を対応付けて上位装置40に送信する(ステップS107)。
【0019】
図4は、第1の実施形態における警告システム100の動作の流れを示すシーケンス図である。
重量計測装置10は、道路を走行する車両60の重量を計測する(ステップS201)。重量計測装置10は、重量情報をDSRC装置30に出力する(ステップS202)。取得部302は、通信部301を介して、重量計測装置10から重量情報を取得する。
読取装置20は、車両60のナンバープレートのプレート番号を読み取る(ステップS203)。読取装置20は、プレート番号をDSRC装置30に出力する(ステップS204)。取得部302は、通信部301を介して、読取装置20からプレート番号を取得する。
【0020】
車両60が、DSRC装置30の通信可能範囲に到達すると、DSRC装置30と車両60に搭載されている車載器との間で通信開始される(ステップS205)。取得部302は、通信部301を介して車載器から車載器情報を取得する(ステップS206)。
車両特定部303は、プレート番号と、車両番号とに基づいて、判定対象となる車両60を特定する(ステップS207)。判定部304は、重量情報と、重量制限値とに基づいて、特定された車両60が超過車両であるか否か判定する(ステップS208)。ここでは、超過車両であると判定された場合について説明する。通知制御部305は、超過車両に搭載されている車載器に対して、通信部301を介して警告情報を書き込む(ステップS209)。また、通知制御部305は、ユーザに対して警告情報を通知するための制御情報を送信する(ステップS210)。
車載器は、DSRC装置30から送信された制御情報に基づいて警告情報を出力する(ステップS211)。例えば、車載器は、警告情報を画面上に表示する。この場合、車載器は、「車両60の重量が重量制限値を超えています」などの情報を画面上に表示する。
【0021】
図5は、第1の実施形態におけるDSRC装置30の処理の流れを示すフローチャートである。なお、図5では、判定地点に設置されたDSRC装置30の処理について説明する。図5の処理は、DSRC装置30が車載器との間で通信を開始した際に開始される。
取得部302は、通信部301を介して車載器から車載器情報を取得する(ステップS301)。なお、図3のステップS106の処理において、車載器に警告情報が書き込まれている場合、取得部302はフラグが立てられている旨の情報が含まれる車載器情報を取得する。つまり、車載器は、図3のステップS106の処理において、車載器に警告情報が書き込まれている場合、車載器情報にフラグが立てられている旨の情報を含めてDSRC装置30に送信する。判定部304は、車載器からフラグが立てられている旨の情報が取得されたか否か判定する(ステップS302)。
【0022】
フラグが立てられている旨の情報が取得されていない場合(ステップS302−NO)、DSRC装置30は処理を終了する。
一方、フラグが立てられている旨の情報が取得された場合(ステップS302−YES)、判定部304は自装置が通信している車両60が超過車両であると判定する。この場合、通知制御部305は、通信を行っている車両60に搭載された車載器に対して警告情報の書き込みを再度行うとともに制御情報を再度送信する(ステップS303)。通知制御部305は警告情報の書き込みを行う際、車載器に再度フラグを立てる。その後、通知制御部305は、通信部301を介して、自装置が設置されている場所の位置情報及び警告情報を書き込んだ車載器を搭載している車両60の車両番号を対応付けて上位装置40に送信する(ステップS304)。
【0023】
以上のように構成された警告システム100によれば、道路を傷める原因となる車両のユーザに対してより確実に警告を行うことが可能になる。以下、この効果について詳細に説明する。
DSRC装置30は、読取装置20から取得したプレート番号と、車載器から取得した車両番号と用いて、重量超過しているか否かの判定対象となる車両60を特定する。次に、DSRC装置30は、車載器に登録されている重量制限値と、車両60の重量情報とから判定対象の車両60が超過車両であるか否か判定する。この判定の結果、判定対象の車両60が超過車両である場合には、判定対象の車両60に搭載されている車載器に対して警告情報が書き込まれるとともに、ユーザに警告情報を通知するための制御情報が送信される。そして、車載器によって警告情報がユーザに通知される。したがって、DSRC装置30は、ユーザに対してリアルタイムに警告を通知することができる。そのため、道路を傷める原因となる車両のユーザに対してより確実に警告を行うことが可能になる。
【0024】
警告システム100では、一般道路に設置されているDSRC装置が利用される。したがって、超過車両がDSRC装置30を通過する度に、警告を与えることができる。このように、有料道路でなくても重量超過している車両60を判定し、判定した車両60のユーザに対して警告を与えることが可能になる。
また、警告システム100では、DSRC装置30が警告情報を書き込んだ車両60の車両番号及び警告情報を書き込んだDSRC装置30が設置されている場所の位置情報が上位装置40に送信される。したがって、上位装置40の管理者は、DSRC装置30から送信された情報を確認するだけで、どの車両60がどの区間で重量制限違反していたのかを把握することができる。さらに、DSRC装置30にて車両60が特定されているため、管理者は後日、超過車両のユーザに対して警告文書を出して警告することができる。
【0025】
警告システム100の変形例について説明する。
車載器は、警告情報を出力する方法として、音声によりユーザに通知するように構成されてもよい。また、車載器は、警告情報を出力する方法として、表示および音声によりユーザに通知するように構成されてもよい。
図3のステップS103の処理において車載器から取得された車載器情報にフラグが立てられている旨の情報が含まれており、ステップS105の処理において超過車両ではないと判定された場合、通知制御部305はステップS104の処理で特定された車両60に搭載されている車載器に登録されているフラグ消すように構成されてもよい。フラグ消すとは、フラグが立っていない状態にすることを表す。
このように構成されることによって、一度フラグが立てられた車両60が、次の測定地点で重量超過違反をしていない場合(車両60の重量が、重量制限値未満の場合)には道路を傷める原因となる車両として判定されない。そのため、誤判定を抑制することができる。
【0026】
本実施形態では、道路を傷める原因となる車両として超過車両を例に説明したが、道路を傷める原因となる車両は超過車両に限定される必要はない。例えば、道路を傷める原因となる車両の他の例として超過の可能性がある車両60が挙げられる。ここで、超過の可能性がある車両とは、車両60の重量が重量制限値の所定の割合以上である車両60を表す。例えば、車載器に登録されている重量制限値の90%以上の重量の車両60を超過の可能性がある車両60としてもよい。この場合、警告情報及び制御情報には、重量が超過する可能性がある旨の情報が含まれる。車載器は、DSRC装置30から送信された制御情報に基づいて警告情報を出力する。例えば、車載器は、警告情報を画面上に表示する。この場合、車載器は、「車両60の重量が重量制限値を超過する可能性があります」などの情報を画面上に表示する。
このように構成されることによって、測定地点において計測された時点で重量が超過していない車両60に対しても警告することができる。例えば、測定地点において計測された時点では重量が超過していなかったが、途中で荷物が追加された場合、車両60の重量が重量制限値を超過してしまう可能性がある。このような場合、道路を傷める原因となってしまう。そこで、重量が超過する前に警告してユーザに対応させることで道路を傷めてしまう可能性を低減させることができる。
【0027】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態における警告システム100を橋梁付近に適用した場合の処理について説明する。なお、第2の実施形態において、DSRC装置が測定地点に設置されている場合の処理については第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態では、説明の簡単化のため第1の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0028】
図6は、第2の実施形態における警告システム100aのシステム構成図である。
図6では、DSRC装置30aが判定地点に設置されている場合の例を示している。警告システム100aは、DSRC装置30a及び上位装置40を備える。DSRC装置30aは、ネットワーク50を介して、上位装置40と通信可能に接続される。
【0029】
DSRC装置30aは、車両60の車載器との間でDSRCによる通信を行う。また、DSRC装置30aは、車載器との間で通信することによって車載器から車載器情報を取得する。DSRC装置30aは、読取装置20から出力されたプレート番号と、車載器に登録されている車両番号とに基づいて、道路を傷める原因となる車両(例えば、超過車両)であるか否かの判定対象となる車両60を特定する。DSRC装置30aは、超過車両に搭載された車載器に対して警告情報を書き込むとともに、超過車両に乗車しているユーザに対して警告情報を通知するための制御情報を送信する。DSRC装置30aは、道路上に所定の間隔で設置される。また、DSRC装置30aは、超過車両が橋梁70の走行経路に位置している場合に、車載器に警告情報を書き込むとともに、超過車両を他経路へ誘導するための情報(以下、「誘導情報」という。)を制御情報にさらに含めて車載器に送信する。誘導情報には、例えば橋梁70を通る走行経路とは異なる経路を通る走行経路の情報が含まれる。また、車載器に目的地が設定されている場合には、橋梁70を通る走行経路とは異なる経路で目的地までの経路を示した走行経路の情報が誘導情報に含まれてもよい。
【0030】
図7は、第2の実施形態におけるDSRC装置30aの機能構成を表す概略ブロック図である。
DSRC装置30aは、通信部301、取得部302、車両特定部303、判定部304a、通知制御部305a、橋梁情報記憶部306及び地図情報記憶部307を備える。
第2実施形態におけるDSRC装置30aは、判定部304及び通知制御部305に代えて判定部304a及び通知制御部305aを備える点、橋梁情報記憶部306及び地図情報記憶部307を新たに備える点でDSRC装置30と構成が異なる。DSRC装置30aは、他の構成についてはDSRC装置30と同様である。そのため、DSRC装置30a全体の説明は省略し、判定部304a、通知制御部305a、橋梁情報記憶部306及び地図情報記憶部307について説明する。
【0031】
橋梁情報記憶部306は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。橋梁情報記憶部306は、橋梁の設置位置に関する情報(以下、「設置位置情報」という。)を記憶している。設置位置情報は、例えば、橋梁の名前と、位置情報(緯度及び経度)が対応付けられた情報である。
地図情報記憶部307は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。地図情報記憶部307は、地図情報を記憶している。
【0032】
判定部304aは、取得部302によって取得された重量情報と、車載器情報に含まれる重量制限値とに基づいて、車両特定部303によって特定された車両60が超過車両であるか否か判定する。また、判定部304aは、橋梁情報記憶部306に記憶されている橋梁の位置情報と、地図情報記憶部307に記憶されている地図情報と、自装置の位置情報とに基づいて超過車両が橋梁を走行する可能性があるか否か判定する。なお、判定部304aは、自装置が設置されている場所の位置情報を予め記憶している。
【0033】
通知制御部305aは、判定部304aによって超過車両であると判定された車両60に搭載されている車載器に対して、通信部301を介して警告情報を書き込むとともに、ユーザに対して警告情報を通知するための制御情報を送信する。また、通知制御部305aは、判定部304aによって橋梁を走行する可能性があると判定された超過車両に搭載されている車載器に対して、警告情報を書き込むとともに、他経路への誘導情報を送信する。
【0034】
図8は、第2の実施形態におけるDSRC装置30aの処理の流れを示すフローチャートである。なお、図8では、測定地点として橋梁付近に設置されたDSRC装置30aの処理について説明する。図8の処理は、DSRC装置30aが車載器との間で通信を開始した際に開始される。また、図4と同様の処理については、図8において図4と同様の符号を付して説明を省略する。
【0035】
ステップS302の処理において、フラグが立てられている旨の情報が取得された場合(ステップS302−YES)、判定部304aは超過車両が橋梁を走行する可能性があるか否か判定する(ステップS401)。具体的には、判定部304aは、橋梁情報記憶部306に記憶されている橋梁の位置情報と、地図情報記憶部307に記憶されている地図情報とに基づいて、超過車両の走行方向に橋梁がある場合に超過車両が橋梁を走行する可能性があると判定する。一方、判定部304aは、超過車両の走行方向に橋梁がない場合に超過車両が橋梁を走行する可能性がないと判定する。
【0036】
超過車両が橋梁を走行する可能性がある場合(ステップS401−YES)、通知制御部305aは、超過車両に搭載された車載器に対して警告情報の書き込みを再度行うとともに誘導情報を含む制御情報を送信する(ステップS402)。この場合、車載器は、警告情報を出力(例えば、表示)した後、誘導情報で示される他経路の情報を出力する。この際、車載器は、警告情報として「車両60の重量が重量制限値を超えています。この先、橋梁があるため経路を変更してください」などの情報を画面上に表示する。その後、ステップS304の処理が実行される。
一方、超過車両が橋梁を走行する可能性がない場合(ステップS401−NO)、ステップS303以降の処理が実行される。
【0037】
以上のように構成された警告システム100aによれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、警告システム100aでは、DSRC装置30aを橋梁付近に設置することによって、道路を傷める原因となる車両を他経路へ誘導させることができる。したがって、道路を傷める原因となる車両が橋梁を通過してしまう可能性が少なくなる。そのため、橋梁を痛めてしまう可能性を少なくするとともに道路を傷める原因となる車両のユーザの安全面を高めることができる。
【0038】
警告システム100aの変形例について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に変形例されてもよい。
【0039】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、重量情報と、車両番号と、ナンバープレートの情報とを取得する取得部302と、車両番号と、ナンバープレートの情報とを照合することによって、道路を傷める原因となる車両であるか否かの判定対象となる車両60を特定する車両特定部303と、特定された車両60の重量が閾値以上である場合に道路を傷める原因となる車両であると判定された車両60に搭載されている車載器に対して、車両60のユーザに対して警告情報を出力させるための通知である制御情報を送信する通知制御部305とを持つことにより、道路を傷める原因となる車両のユーザに対してより確実に警告を行うことができる。
【0040】
なお、本発明のDSRC装置30及びDSRC装置30aの各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、DSRC装置30及びDSRC装置30aの各処理に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0041】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0043】
10…重量計測装置,20…読取装置,30、30a…DSRC装置,40…上位装置,50…ネットワーク,301…通信部,302…取得部,303…車両特定部,304、304a…判定部,305、305a…通知制御部,306…橋梁情報記憶部,307…地図情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8