(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る熱プレス用クッション材は、銅張積層板、フレキシブルプリント基板、層積層板等のプリント基板、ICカード、セラミックス積層板、液晶表示板等、積層構造を持つ積層板の製造工程において、プレス成形又は熱圧着のための熱プレスに用いられる。
【0016】
[熱プレス]
まず、
図1に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材を用いた熱プレスについて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1を使用して、プレス対象物21をプレス盤20によってプレス成形する一例を示している。
【0018】
図1に示すように、2枚のプレス盤20の間に、平板状の2枚の熱プレス用クッション材1が配置され、さらに、その2枚の熱プレス用クッション材1の間にステンレス板22を介してプレス対象物21が配置される。即ち、2枚のプレス盤20とプレス対象物21との間に、それぞれ、熱プレス用クッション材1及びステンレス板22が介在する。この状態で、プレス盤20によって、熱と圧力が加えられる。プレス条件は、例えば、温度が常温〜260℃で、加圧力0.5〜100MPa、プレス時間1〜3時間である。熱プレス用クッション材1は、プレス対象物21に対して均一に圧力と熱を加える目的で用いられる。
【0019】
[熱プレス用クッション材]
次に、
図2及び
図3に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1について説明する。
【0020】
図2に示すように、熱プレス用クッション材1は、ゴム層4と中間層5と表面層6とが積層されて形成される。本実施形態に係る熱プレス用クッション材1は、積層体2と、表面層6とから構成される。積層体2は、3層のゴム層4及びゴム層4同士の間に介在する2層の中間層5が積層される。積層体2の最外側の両側には、ゴム層4が配置される。2層の表面層6は、積層体2の最外側のゴム層4の両側に積層される。
【0021】
即ち、熱プレス用クッション材1は、表面層6、ゴム層4、中間層5、ゴム層4、中間層5、ゴム層4、表面層6の順で
図2に示す紙面の上下方向に積層されたものである。尚、中間層5及びゴム層4は、それぞれ、2層及び3層に限定されるものではない。例えば、中間層5を1層とし、2層のゴム層4同士の間に介在させて積層体2を構成してもよい。また、中間層5を3層とし、4層のゴム層4同士の間に介在させて積層体2を構成としてもよい。
【0022】
ゴム層4は、ゴム組成物から構成される。ゴム成分としては、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた、フッ素ゴム又はシリコンゴムを用いることができる。圧縮永久歪み性が小さいと耐久性が向上する。また、ゴム組成物は未加硫状態での最低ムーニー粘度Vm値が25〜75であることが好ましい。最低ムーニー粘度は、ムーニー粘度計で測定する。ゴム層4に最低ムーニー粘度Vm値が25〜75の未加硫ゴム組成物を用い、ゴムの流動性をコントロールすることで、アンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の隙間に浸入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができる。尚、フッ素ゴムの種類としては、含フッ素アクリレートの重合体、フッ化ビニリデンの共重合体、含フッ素珪素ゴム、含フッ素ポリエステルゴムなどが挙げられる。
ここで、最低ムーニー粘度Vm値は、JIS K6300(2013)の規格により測定した値である。
【0023】
また、ゴム層4にフッ素ゴム組成物を用いる場合、架橋剤としてジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2・5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3、1・3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1・1−ジ−ブチルパーオキシ−3、3、5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物系架橋剤、ヘキサメチレンカルバメート、N,N'−ジシアニルジエン−1、6−ヘキサジアミン、ビスフェノールAF、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライド等のポリオール系架橋剤、およびトリエチレンテトラミン(TETA)、トリエチレンペンタミン(TEPA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)等のアミン系架橋剤といった、フッ素ゴムの架橋剤として公知のものを使用することができる。
【0024】
また、ゴム層4にシリコンゴム組成物を用いる場合、架橋剤として、公知の有機過酸化物系架橋剤を使用することができる。
【0025】
また、ゴム層4を構成するゴム組成物には、必要に応じて、充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが含有される。さらに、ゴム補強のために、ゴム組成物に短繊維を含ませてもよい。短繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリベンゾビスオキサゾール)繊維等の耐熱性繊維を用いる。
【0026】
ここで、未加硫時の熱プレス用クッション材1において、ゴム層4の一層当たりの平均的な厚さ、即ち、加圧積層する前のゴム層4となるゴムシート1枚の平均厚さは、プレス用クッション材1全体の厚さの4〜10%であることが好ましい。4%を下回るとゴム層4と中間層5(または表面層6)との接着強度が低下する虞があるからである。また、10%を上回ると、材料コストが嵩むうえに、熱プレス用クッション材1の全厚が増した分だけ熱伝達性が低下する虞があるからである。
【0027】
中間層5は、多重織クロスから構成される。多重織クロスとしては、二重織クロス、三重織クロス又は四重織クロス等があり、捲縮加工糸で織られたもの、又は、クロス状態で嵩高加工したものを用いることができる。多重織クロスとは、複数組の緯糸及び経糸を用いた多層構造の織物である。例えば、二重織クロスは、上下2組の緯糸を、1組の経糸に絡ませた二重織りの構成になっている。
【0028】
また、中間層5を構成する多重織クロスの構成糸としては、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリベンゾビスオキサゾール)繊維等が用いられる。好ましくはガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維等の無機繊維が挙げられる。これらは、耐熱性が優れ、高強度、高弾性を有する。そのため、ゴム組成物からなるゴム層4を補強することが可能となる。
【0029】
尚、中間層5を構成する多重織クロスの構成糸としてガラス繊維を用いる場合、多重織クロスの表面にシランカップリング剤による処理を施してもよい。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなど、公知のものを用いることができる。多重織クロスの表面をシランカップリング剤で処理することにより、ゴム層4をフッ素ゴム組成物で構成した場合に、ゴム層4と中間層5の接着性が向上する。
【0030】
表面層6は、
図4(a)及び(b)に示すように、耐熱性繊維部材からなる織糸(経糸61及び緯糸62)で製織された織物60で構成される。つまり、織物60は、経糸61及び緯糸62を有する。織物60は、
図4(a)及び(b)に示すように、表面層6の表面に凹凸が存在する程度に、所定の空隙率を備えるように製織される。尚、空隙率とは、実体積と見かけの体積の差から算出される物質内にある空間の割合を意味する。ここで、織物60の所定の空隙率は、小さすぎると、織糸(経糸61及び緯糸62)の間が密になりすぎる。織糸の間が密になりすぎると、表面層6の表面粗さが小さく、熱プレス用クッション材1の硬度が大きくなり、熱プレス用クッション材1の離型性及び柔軟性の観点から好ましくない。一方、織物60の所定の空隙率は、大きすぎると、織糸の間に大きな隙間ができてしまう。織糸の間に大きな隙間ができると、熱プレス用クッション材1の通気度が大きくなり、吸引搬送性の観点から好ましくない。そこで、所定の空隙率は、表面層6の表面に凹凸が存在する程度であって、織糸の間に隙間ができる空隙率よりも小さく、且つ、織糸の間が密になりすぎる空隙率よりも小さな織り密度となる。具体的には、所定の空隙率は、例えば、10〜80%である。
【0031】
そして、織物60の空隙率は、織糸の径と織り密度によって変化するため、織物60は、所定の空隙率を備えるように、所定の径を有する経糸61と緯糸62とが、所定の織り密度で織成される。ここで、織糸の径とは、フィラメントを束ねた状態の糸の径のことを意味する。織糸の径は、大きすぎると、織糸の間が密になりすぎて空隙率が小さくなり、小さすぎると、織糸の間に隙間ができて空隙率が大きくなる。また、織り密度は、大きすぎると、織糸の間が密になりすぎて空隙率が小さくなり、小さすぎると、織糸の間に隙間ができて空隙率が大きくなる。具体的には、所定の織糸の径は、300〜600μmである。また、所定の織り密度は、例えば、経糸61及び緯糸62ともに、25〜100本/inである。
【0032】
織糸(経糸61及び緯糸62)の基材となる耐熱性繊維部材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維、PBO繊維、フッ素繊維等が用いられる。熱プレス用クッション材1の表面層6を、耐熱性繊維部材からなる織糸で製織された織物60で構成することにより、熱プレス用クッション材1の表面に傷が付きにくいため、均一にプレスすることができる。特に、耐熱性繊維部材として、耐熱性が優れ、高強度、高弾性を有するガラス繊維が好ましい。耐熱性繊維部材にガラス繊維を使用した場合、成形される熱プレス用クッション材1がある程度の硬度をもつため、数メートル×数メートルの大きさで熱プレス用クッション材1を成形しても、自重で垂れ下がることなく、吸引搬送装置から落下しない利点がある。また、ガラス繊維と耐熱性樹脂の接着力が、アラミド繊維等の他の耐熱性繊維を使用した場合のように弱くなく、高温でも接着力が強いため、260℃まで使用することができる(本発明では180〜240℃の範囲で使用することを想定)利点がある。また、高温の熱プレスにおいても繊維が劣化することなく、毛羽などが発生しない利点がある。
【0033】
また、織物60には、耐熱性樹脂63が含浸される。耐熱性樹脂63としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の単体、ブレンド系または共重合体が挙げられる。中でも、耐熱性、低圧縮永久歪み性等が良好なフッ素樹脂が最も好ましい。
【0034】
耐熱性樹脂63は、織物60に、所定の含浸量で含浸させる。所定の含浸量とは、プレス前の
図4(a)及び繰り返しプレスに用いた後の
図4(b)に示すように、織物60を構成する織糸(経糸61,緯糸62)の内部に含浸され、且つ、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度(凹凸を保持する程度)に薄く付着する量である。尚、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度に付着するとは、経糸61と緯糸62とが交差する部分において、耐熱性樹脂63が、経糸61及び緯糸62の形状に沿って、経糸61及び緯糸62の表面に付着することをいう。ここで、耐熱性樹脂63の含浸量は、小さすぎると、織糸の内部への含浸及び織物の表面の付着が不十分となり、表面層6の気密性が足りず、熱プレス用クッション材1の通気度が大きくなり、吸引搬送性の観点から好ましくなく、また、大きすぎると、織物60の表面に形成された凹凸がつぶれてしまい、表面層6の表面の表面粗さが小さく、熱プレス用クッション材1の硬度が大きくなり、熱プレス用クッション材1の離型性及び柔軟性の観点から好ましくない。そこで、所定の含浸量は、織物60を構成する織糸(経糸61,緯糸62)の内部に含浸され、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わず、凹凸を保持する程度に薄く付着する量に調整される。具体的には、所定の含浸量は、例えば、100〜200g/m
2である。また、織物60への耐熱性樹脂63の含浸は、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キャストコーティング等の公知の方法により行うことができる。
【0035】
尚、耐熱性樹脂63を織物60に所定の含浸量で含浸させた場合において、熱プレス用クッション1の表面層6の断面を実体顕微鏡で撮影すると、
図3の写真代用図面に示すような積層構造になる。
図3に示すように、耐熱性樹脂63(図中の糸内部)が、織物60を構成する織糸(経糸61,緯糸62)の糸内部に含浸されていることが分かる。また、耐熱性樹脂63(図中の糸表面)は、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度(凹凸を保持する程度)に薄く付着していることが分かる。
【0036】
また、織物60は、平織や綾織、朱子織等の織物からなる。そして、織物60の目開きは、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に滲み出ない度合いで構成される。つまり、織物60の目開きは、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に滲み出ない程度に小さくなるように構成される。ゴム層4は、表面層6の内表面に積層される。尚、織物60の目開きとは、織物の織り組織の網目の大きさ(密度)を表す基準であり、経糸61と緯糸62が交差して形成された1個(目)当たりの隙間(矩形)における幅を表す。つまり、織物60の目開きとは、織り組織を構成する経糸61及び緯糸62の隣接する織糸(経糸61及び緯糸62)同士の隙間の大きさを意味する。ここで、熱プレス前の熱プレス用クッション1の表面層6及びゴム層4との境界付近の断面を実体顕微鏡で撮影すると、
図5の写真代用図面に示すような積層構造になる。
図5では、表面層6及び中間層5の間に介在するゴム層4が映しだされている。
図5から、経糸61及び緯糸62の糸内部と色が異なる部分64において、ゴム層4のゴムが、ゴム層4に積層される表面層6の内表面の凹凸へのアンカー効果により接着されていることが分かる。また、
図5から、表面層6の糸内部においては、ゴム層4のゴムの浸入が少ないことがわかる。また、織物60の目開きが、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に滲み出ない度合いよりも大きいと、熱プレス用クッション1の熱プレスを繰り返しているうちに、表面層6の内表面に積層されるゴム層4のゴムが、経糸61及び緯糸62の目開きの隙間から表面層6の外表面に滲み出してしまう。そこで、織物60の目開きは、ゴム層4のゴムが、表面層6の外表面に滲み出ない度合いで構成される。ここで、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に滲み出ない度合いとは、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に全く滲み出ないことを意味していない。熱プレス用クッション材1の使用に問題が生じない程度に、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に若干滲み出すことを含むものである。
【0037】
具体的には、織物60の織り組織が綾織または朱子織であることが好ましい。織物60の織り組織が綾織または朱子織である織物60は、その目開きが、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に滲み出ない度合いで構成される。更に、織物60の織り組織が綾織または朱子織であると、伸縮性、柔軟性の観点から好ましい。ここで、織物60の織り組織が綾織である場合の表面層6へのゴム層4のゴムの浸入について、
図6に示す模式図を用いて説明する。綾織の織物60の正面図を
図6(a)に示す。
図6(a)に示すように、綾織は、経糸61と緯糸62が一定の間隔を保ち、経糸61と緯糸62のいずれか一方または両方が2本ずつ乗り越して交わっている織方である。このような
図6(a)に示す綾織の織物60のA−A断面図を
図6(b)に示す。
図6(b)に示すように、綾織の織物60では、目開きが小さく、ゴムの浸入がせき止められているため、表面層6の外表面へのゴムの浸入がなく、滲み出しがないことが分かる。綾織の織物60では、
図5に示したように、ゴム層4のゴムがゴム層4に積層される表面層6の内表面に形成される経糸61及び緯糸62の凹凸へ入り込むと共に、表面層6の外表面にゴム層のゴムが浸入しない程度に目開きの隙間に適度に入り込む。そして、この状態で、ゴム層4と表面層6はアンカー効果により接着される。
【0038】
または、織物60の織り組織が平織の場合は、経糸61のカバーファクターK
1及び緯糸62のカバーファクターK
2がそれぞれ14以上であることが好ましい。
ここで、カバーファクターK
1及びK
2は、次式で計算される。次式において、1m
2当たりの表面層の重さとは、耐熱性樹脂63を含浸させた後の状態の表面層6の重さ、または、耐熱性樹脂63を含浸させる前の状態の表面層6の重さであり、単位は、g/m
2である。また、経糸密度及び緯糸密度は、織物の規格の一要素であり、経糸及び緯糸の織り密度(粗密)を表わす尺度である。具体的には、経糸密度及び緯糸密度は、1インチ(2.54cm)当たりの経糸及び緯糸の本数をいう。尚、次式において、N
1は、経糸の番手(英式綿番手)である。N
2は、緯糸の番手(英式綿番手)である。また、N(=N
1=N
2)は、平均番手(英式綿番手)である。これらは、繊維工業構造改善事業協会発行のテキスタイルエンジニアリングに記載の織物の品質規格を基準としている。
【0040】
ここで、織物60の織り組織が平織である場合の表面層6へのゴム層4のゴムの浸入について、
図7に示す模式図を用いて説明する。平織の織物60の正面図を
図7(a)に示す。
図7(a)に示すように、平織は、経糸61と緯糸62が1本ずつ交互に交差させる織り組織である。このような
図7(a)に示す平織の織物60のB−B断面図を
図7(b)に示す。
図7(b)に示すように、平織の織物60では、目開きが大きく、ゴムの浸入がせき止められないため、表面層6の外表面へのゴムが浸入してしまい、滲み出してしまうことが分かる。但し、経糸61のカバーファクターK
1及び緯糸62のカバーファクターK
2をそれぞれ14以上とすることにより、織物60の目開きが小さくなり、ゴムの浸入がせき止めることができ、滲み出しが抑制される。平織であり、且つ、経糸61のカバーファクターK
1及び緯糸62のカバーファクターK
2をそれぞれ14以上である織物60では、
図5に示したように、ゴム層4のゴムがゴム層4に積層される表面層6の内表面に形成される経糸61と緯糸62とで形成される凹凸部へ入り込むと共に目開きの隙間に適度に入り込む。そして、この状態で、ゴム層4と表面層6はアンカー効果により接着される。よって、平織であり、且つ、経糸61のカバーファクターK
1及び緯糸62のカバーファクターK
2をそれぞれ14以上である織物60は、その目開きが、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に滲み出ない度合いで構成される。
【0041】
[熱プレス用クッション材の製造方法]
次に、本実施形態に係る熱プレス用クッション材を製造する製造方法について説明する。
【0042】
まず、ゴム層4となる3枚の未加硫ゴムシートと、中間層5となる2枚の多重織クロスとを、ゴムシートが外側になるように交互に積層して積層体2を成形する。次に、この積層体2の外表面の両側(つまり、最外側のゴムシートの両側)から、表面層6となる2枚の耐熱性樹脂を含浸させた織物60をはさんで積層する。そして、加熱下(温度150〜180℃)において、無圧状態で0.2〜15分間放置した後、ゴム層4の架橋反応が作用し始めた直後に、温度を維持した状態で面圧を0.1〜5.0MPaに加圧して、プレス時間10〜40分の条件でプレス加硫し、一体化させる。そして、所定のプレス盤に適合するサイズに切断して熱プレス用クッション材1を作製する。
【0043】
尚、加硫後の熱プレス用クッション材1において、熱プレス用クッション材1の表面の硬度が81〜87度であることが好ましい。また、ゴム層4の硬度が90〜97度であることが好ましい。また、表面層6の硬度が88〜93度であることが好ましい。ここで、硬度は、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した値である。このように、ゴム層4の硬度よりも表面層6の硬度を小さくしつつ、更に、熱プレス用クッション材1の表面の硬度を小さくすることにより、熱プレス用クッション材1が適正なクッション性を有することができる。
【0044】
また、圧縮永久歪み性を向上させるために、所定のサイズに切断する前の熱プレス用クッション材1に対して、アフターキュアを200〜250℃、30分〜4時間実施してもよい。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1によれば、表面層6が、耐熱性繊維部材からなる織糸である経糸61及び緯糸62を有する。また、表面層6は、経糸61及び緯糸62の内部に含浸され、且つ、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで織物の表面に付着する耐熱性樹脂63を有する。これにより、表面層6に経糸61と緯糸62とが交差して形成された隙間が耐熱性樹脂に被覆されずに存在しているため、表面層6の表面粗さが大きくなり、プレス盤等との離型性を良好にすることができる。尚、熱プレス用クッション材1を繰り返し使用した後でも、表面層6の当該凹凸が消失しにくいため、プレス盤等との離型性を良好に維持することができる。また、表面層6は、織物60の目開きが、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面滲み出ない度合いで構成されている。これにより、ゴム層4のゴムの表面層6の外表面への滲み出しを抑制することができる。また、表面層6に含浸された耐熱性樹脂63と表面層6の内表面に積層されているゴム層4のアンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の経糸61と緯糸62とが交差して形成された隙間に浸入され、表面層6の当該隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となる。更に、耐熱性樹脂63の量が少ないため、熱プレス用クッション材1の硬度が小さくなり、熱プレス用クッション材1の柔軟性を備えて、プレス対象物に反りが生じるのを防止することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【実施例】
【0047】
[熱プレス用クッション材の材料]
まず、本実施例及び比較例の熱プレス用クッション材で用いた材料について説明する。
本実施例においては、実施例1、2及び比較例1、2として、2層の表面層6の間に、3層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する2層の中間層5とが積層された積層体2を配置した熱プレス用クッション材1を用いた。
【0048】
ゴム層4で用いるゴム組成物として、ポリオール加硫系のフッ素ゴム組成物(デュポン社製のバイトン(登録商標)V9006)を使用した。また、中間層5で用いる多重織クロスとして、捲縮加工した繊維からなる2重織ガラスクロス(日東紡製のKS4325)を使用した。また、表面層6で用いる耐熱性樹脂63を含浸させた織物60として、PTFE含浸ガラスクロスを使用した。ここで、PTFE含浸ガラスクロスとは、ガラス繊維を基材とする織糸(経糸61及び緯糸62)で製織した織物(クロス)にフッ素樹脂を含浸させたガラスクロスである。ガラス繊維のため、耐熱性に優れ、高強度、高弾性を有すると共に、フッ素樹脂が含浸されているため、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた表面層6を構成することができる。本実施例及び比較例では、織糸の径、織り密度、PTFEの含浸量の異なる複数種類のガラスクロスを表面層6として使用した。尚、経糸の織り密度は、経糸密度を意味する。同様に、緯糸の織り密度は、緯糸密度を意味する。また、本実施例及び比較例では、表面層6として異なる織り方のガラスクロスを用いた。即ち、実施例1は織り方が朱子織、実施例2は織り方が綾織、実施例3及び比較例1、2は織り組織が平織のガラスクロスを用いた。また、実施例3及び比較例1、2のガラスクロスは、平織であるが、カバーファクターが異なるガラスクロスを用いた。
【0049】
そして、実施例及び比較例では、これらのゴム層4、中間層5及び表面層6を積層し、通常のプレス加硫装置に温度170℃で12分間、無圧状態で放置した後、そのままの温度で面圧を1.6MPaに高め、プレス時間12分間の条件でこれらをプレス加硫し、熱プレス用クッション材1を作製した(積層工法A)。
【0050】
[表面層の測定試験]
そして、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、表面層6に用いられるガラスクロスの織糸の径、織り密度、PTFE含浸量、表面層6の表面粗さRaを測定した。ここで、ガラスクロスの織糸の径は、ガラスクロス1枚からガラス織糸の写真を撮影し、短径と長径の平均値より、ガラス織糸1本の径を算出し、算出した10本の径から平均値を算出した。ガラスクロスの織り密度は、一辺5cmの試料の織り密度をJIS L 1096に準拠した方法により測定し、単位インチあたりの値を算出した。ガラスクロスのPTFE含浸量は、示差熱熱重量同時測定装置を用いて650℃昇温後の重量変化により測定した。表面層6の表面粗さは、表面性状測定機((株)ミツトヨ製SURF TEST500、標準スタイラス型番996133)を用いて、表面層6を経糸方向に倣い速度2mm/sで40mmの範囲を計測し、表面粗さRa(JIS B 0031で規定された算術平均粗さ)を測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、表面層6に用いられるガラスクロスの織り密度、PTFE含浸量、表面層6の表面粗さRaの測定結果を、表1に示す。
【0051】
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、PTFEの除いたガラスクロスの空隙率を求めた。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、ガラスクロスの空隙率の計算結果を、表1に示す。尚、ガラスクロスの空隙率は、下記の手順に従って計算した。
・PTFE含浸ガラスクロスから一辺10cmの試料を切り出し、重量を測定する。
・測定した重量とPTFE含浸量の差より、ガラスクロスのみの重量を算出する。
・切り出した試料の面積に厚みを乗じて、ガラスクロスの体積を算出する。
・算出したガラスクロスの体積とガラス繊維の比重から、空隙率0%の場合の重量を算出する。
・算出したガラスクロスのみの重量と算出した空隙率0%の場合の重量からガラスクロスの占める割合を算出し、そこから空隙率を求める。
【0052】
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、表面層6の硬度を測定した。表面層6の硬度は、積層体2の層分離により表面層6を取り出して、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての表面層6の硬度の測定結果を、表1に示す。
【0053】
[ゴム層の測定試験]
実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、積層前のゴムシート1枚の平均厚みを測定した。積層前のゴムシート1枚の平均厚みは、任意に測定した5点より平均値を算出した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1の積層前のゴムシート1枚の平均厚みの測定結果を、表1に示す。
【0054】
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、ゴム層4の硬度を測定した。ゴム層4の硬度は、積層体2の層分離によりゴム層4を取り出して、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についてのゴム層4の硬度の測定結果を、表1に示す。
【0055】
[表面層の評価試験]
実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、熱プレスに使用する前の状態にて、更には熱プレスに200回使用する試験において、熱プレス用クッション材1の表面を実体顕微鏡(Nikon製SAM−1500)で撮影することより、表面層6の外表面へのゴム層4のゴムの滲み出しを確認し、熱プレス用クッション材1の表面からの滲み出しがなければ◎、滲み出しが少なく、実用上問題なければ○、滲み出しが多ければ×とした。実施例1〜3において熱プレスに200回使用した後の織物の表面の顕微鏡写真を
図8〜10に、比較例1における熱プレスに使用する前の状態の織物の表面の顕微鏡写真を
図11に示す。尚、
図8〜11の織物において、紙面上下方向が経糸であり、紙面左右方向が緯糸である。実施例1及び実施例2では、熱プレスに使用する前から滲み出しがなく、
図8及び
図9に示すように、熱プレスに200回使用した後でも滲み出しがないことが確認できる。
図10に示すように、実施例3では熱プレスに使用する前の状態で滲み出しが若干現れたものの、実用上問題ないレベルであったため、熱プレスに200回使用したところ、熱プレスに200回使用した後も滲み出しが少ないことが確認できる。
図11に示すように、比較例1では熱プレスに使用する前から経糸と緯糸の間からゴムが滲み出しており、滲み出しが多いことが確認される。尚、図には示していないが、比較例2も
図11に示す比較例1と同様であった。表面層6の外表面へのゴム層4のゴムの滲み出しの評価結果を、表1に示す。
【0056】
[熱プレス用クッション材の測定試験]
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、熱プレス用クッション材1の気密性(通気度)、硬度を測定した。ここで、熱プレス用クッション材1の通気度は、JIS R 3420(2006年)に準拠した方法でフラジール試験機により測定した。また、熱プレス用クッション材1の硬度は、JIS K6253(2012)準拠のタイプA硬度計により測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての通気度と硬度の測定結果を、表1に示す。
【0057】
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、熱プレス用クッション材1の全厚を測定した。プレス用クッション材1の全厚は、任意に測定した5点より平均値を算出した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についての全厚の測定結果を、表1に示す。
【0058】
また、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、熱プレス用クッション材1のたわみ量を測定した。たわみ量は、300mm×50mmの熱プレス用クッション材(サンプル)を250mm突き出した状態で、押え板で固定し、突き出した自由端の垂れ量(たわみ量)を測定した。実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1についてのたわみ量の測定結果を、表1に示す。尚、たわみ量が小さいほど吸引搬送性に優れていることが分かる。
【0059】
更に、実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、それぞれ、吸引搬送性、プレス盤との離型性、柔軟性について評価を行う評価試験を実施した。
【0060】
吸引搬送性の評価試験では、実施例及び比較例の各熱プレス用クッション材1(2m×1m)を、自動積層装置(熱プレス用クッション材を吸着パッドで吸引して搬送し、積層する装置)などで吸引搬送して、熱プレス用クッション材1が落下しないかどうかに基づいて、吸引搬送性を評価した。この評価では、吸着パッドを20個並列(熱プレス用クッション材1表面の端部(端から150mm程度)を除いて、等間隔に並列)して吸引した。吸引搬送性の評価は各熱プレス用クッション材について5回ずつ行い、吸引搬送した際に、5回の内に1回以上搬送できた場合には○、5回の内に1回も搬送できなかった場合は×とした。
【0061】
プレス盤との離型性の評価試験では、実施例及び比較例の各熱プレス用クッション材1について、250mm×250mmの試験片を真空プレス試験機のプレス盤の間に挟み、4MPaまで加圧した後、1時間かけて230℃まで昇温して、230℃で1時間保持し、30分間かけて50℃まで冷却後、0MPaに減圧するという工程を1サイクルとして、この工程を100サイクル繰り返したときに、熱プレス用クッション材1がプレス盤に貼り付かず剥離するかどうかに基づいて、プレス盤との離型性を評価した。離型性の評価では、熱プレス用クッション材1がプレス盤20に貼り付かなければ○、熱プレス用クッション材1がプレス盤20に貼り付いたら×とした。
【0062】
柔軟性の評価試験では、実施例及び比較例の各熱プレス用クッション材1を使用した場合に、プレス対象物に反りが生じるかどうかに基づいて、プレス対象物の反りの有無を評価すると共に、プレス対象物の反りの程度に基づいて、柔軟性を評価した。柔軟性の評価では、プレス対象物に反りが生じなければ○、プレス対象物に反りが生じていれば×とした。
【0063】
実施例及び比較例の熱プレス用クッション材1について、吸引搬送性、プレス盤との離型性、柔軟性、プレス対象物の反りの評価結果を、表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
[吸引搬送性の検討]
また、表1の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1の吸引搬送性について検討した。その結果、表面層6のPTFE含有量が0g/m
2である比較例1の熱プレス用クッション材1のみが、たわみ量が大きく、通気性が高く、気密性が劣っていたため、吸引搬送性を備えていないことが分かる。その一方、PTFE含有量が100g/m
2以上である実施例1、2及び比較例2の熱プレス用クッション材1は、たわみ量が小さく、通気性が1.0cm
3/cm
2・s以下とほとんどなく、気密性に優れていたので、吸引搬送が可能であることが分かる。このことにより、表面層6のPTFE含有量が100g/m
2以上となるように熱プレス用クッション1を作製することにより、表面層6に含浸されたPTFEと表面層6の内側に積層されているゴム層4のアンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の織糸(経糸61及び緯糸62)が交差して形成された隙間に浸入され、表面層6の当該隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となることが推定できる。
【0066】
[プレス盤との離型性及び柔軟性の検討]
また、表1の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1のプレス盤との離型性及び柔軟性について検討した。その結果、表面層6のガラスクロスの織糸の径の平均が400〜450μm程度であり、且つ、織り密度が緯糸、経糸共に25〜60本/inである実施例1、2及び比較例1、2の熱プレス用クッション材1は、ガラスクロスの空隙率が10〜80%であり、表面粗さRaが20μm以上と大きく、プレス盤との離型性及び柔軟性を備えていることが分かる。このことにより、表面層6のガラスクロスの空隙率が10%以上であり、表面粗さRaが20μm以上となるように熱プレス用クッション1を作製することにより、PTFEが、表面層6のガラスクロスの内部に含浸され、且つ、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで付着しており、表面層6に経糸61と緯糸62とが交差して形成された隙間が耐熱性樹脂に被覆されずに存在しているため、表面層6の表面粗さが大きくなり、プレス盤との離型性及び柔軟性を良好にすることができることが推定できる。
【0067】
[表面層の外表面へのゴムの滲み出しの検討]
また、表1の結果に基づいて、熱プレス用クッション材1の表面層6の外表面へのゴムの滲み出しの有無について検討した。その結果、表面層6のガラスクロスの織り組織が朱子織である実施例1、及び綾織である実施例2は、ゴム層4のゴムの表面層6の外表面への滲み出しを抑制できていることが分かる。また、表面層6のガラスクロスの織り組織が平織であると共に、経糸61及び緯糸62のカバーファクターがともに14以上である実施例3は、ゴム層4のゴムの表面層6の外表面への滲み出しを抑制できていることが分かる。一方、表面層6のガラスクロスの織り組織が平織であると共に、経糸61及び緯糸62のカバーファクターのいずれかが14未満である比較例1、2は、ゴム層4のゴムの表面層6の外表面への滲み出しを抑制できていないことが分かる。このことにより、表面層6を構成するガラスクロスの織り組織が朱子織または綾織であるか、或いは、表面層6を構成するガラスクロスの織り組織が平織であり且つ経糸61及び緯糸62のカバーファクターがともに14以上であると、織物60の目開きが、ゴム層4のゴムが表面層6の外表面に滲み出ない度合いで構成され、ゴム層4のゴムの表面層6の外表面への滲み出しを抑制できることが推定できる。
【0068】
[考察]
以上より、熱プレス用クッション材1が、吸引搬送性及びプレス盤等との離型性を確保しつつ、表面層6の外表面からゴム層4のゴムが滲み出すことを抑制するためには、表面層6のガラスクロス(織物60)の織り組織が朱子織または綾織であるか、表面層6のガラスクロスの織り組織が平織であると共に、経糸61及び緯糸62のカバーファクターがともに14以上であればよいことが明らかになった。また、吸引搬送性及びプレス盤等との離型性を確保するためには、表面層6が、PTFE(耐熱性樹脂63)がガラスクロスの内部に含浸され、且つ、経糸61と緯糸62とが交差して表面に形成された凹凸を覆わない程度の薄さで付着していればよいことがわかった。そのためには、熱プレス用クッション材1にPTFEを含浸させ、熱プレス用クッション材1の通気度が1.0cm
3/cm
2・s以下であり、表面層6の表面粗さRaが20μm以上で、ガラスクロスの空隙率が10〜80%であるように、熱プレス用クッション材1を形成すればよいことが明らかとなった。