特許第6615985号(P6615985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6615985
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】高温配管の冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 53/70 20180101AFI20191125BHJP
【FI】
   F16L53/70
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-507154(P2018-507154)
(86)(22)【出願日】2017年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2017006865
(87)【国際公開番号】WO2017163746
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-60657(P2016-60657)
(32)【優先日】2016年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】松尾 毅
(72)【発明者】
【氏名】坂田 文稔
(72)【発明者】
【氏名】金巻 裕一
(72)【発明者】
【氏名】椋本 陽喜
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 千香子
(72)【発明者】
【氏名】男澤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】城山 順基
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 才博
(72)【発明者】
【氏名】藤森 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】大山 博之
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−045619(JP,A)
【文献】 特開平05−231586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 53/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温配管における被冷却面の周囲に設置される高温配管の冷却装置において、
前記被冷却面から周囲への放射による放熱を遮蔽しない位置であり、前記被冷却面の周辺部に配置されて冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体供給ヘッダと、
前記冷却媒体供給ヘッダに冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置と、
を備えることを特徴とする高温配管の冷却装置。
【請求項2】
前記被冷却面は、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部から露出した前記高温配管の露出表面であり、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記被冷却面の外側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却媒体供給ヘッダは、前記断熱材の外面に支持されることを特徴とする請求項2に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却媒体供給ヘッダは、サポート部材によって、前記高温配管及び前記断熱材の外面に支持されることを特徴とする請求項2に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却媒体供給ヘッダの冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体流出ノズルが設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項6】
前記冷却媒体流出ノズルは、冷却媒体を前記被冷却面に沿って流出することを特徴とする請求項5に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項7】
前記被冷却面は、溶接部を含み、前記冷却媒体流出ノズルは、冷却媒体を前記溶接部に向けて流出することを特徴とする請求項5に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項8】
前記冷却媒体供給ヘッダは、
前記冷却媒体供給ヘッダの冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体流出口が設けられ、
前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、
前記板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の表面によって前記冷却媒体流出口が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項9】
前記冷却媒体供給ヘッダは、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、
前記板材は、前記高温配管側から外側へ向けてスリットが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項10】
前記冷却媒体供給ヘッダは、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、
前記板材は、前記高温配管の周方向に沿って複数に分割された分割部材を組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項11】
前記冷却媒体供給ヘッダは、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、
前記板材は、前記高温配管に沿って複数に分割された分割部材を組み合わせて構成され、前記板材における前記高温配管側の端部の位置が調整可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項12】
前記冷却媒体供給ヘッダは、
前記冷却媒体が流通しつつ、前記冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する複数のヘッ
ダユニットと、
二つの前記ヘッダユニット間に設けられる伸縮部と、
を有し、
前記ヘッダユニットと前記伸縮部が交互に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項13】
前記冷却媒体供給装置が前記冷却媒体供給ヘッダに供給する冷却媒体の温度を計測する温度センサと、前記温度センサが計測した冷却媒体の温度に応じて前記冷却媒体流出ノズル又は前記冷却媒体流出口が前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体の流出量を制御する制御装置が設けられることを特徴とする請求項5又は8に記載の高温配管の冷却装置。
【請求項14】
前記被冷却面の温度を計測する温度センサと、前記温度センサが計測した前記被冷却面の温度に応じて前記冷却媒体流出ノズル又は前記冷却媒体流出口が前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体の流出量を制御する制御装置が設けられることを特徴とする請求項5又は8に記載の高温配管の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラント、原子力発電プラント、化学プラントなどのプラントで用いられる高温配管の冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、火力発電プラントでは、ボイラで加熱された水蒸気を蒸気タービンに搬送する配管が多数配置されている。この配管は、金属配管であり、内部に高温で高圧の水蒸気が流動することから、この水蒸気により加熱された高温状態の環境下にある。このような金属配管は、上述した環境下で長時間使用されると、クリープ損傷が進行してクリープボイドが発生し、このクリープボイドがつながることで亀裂が生じ、最終的には破断に至る可能性が高い。
【0003】
このような配管の破断を防止するため、定期的な非破壊検査によりクリープボイドの成長度合いを分析してクリープ損傷度を導出し、金属配管の余寿命評価を行っている。この場合、一般的に、金属配管は、母材部に比べて溶接部のクリープ損傷リスクが高いことから、主に、この溶接部が検査対象箇所となる。非破壊検査の結果、次の定期検査までの期間におけるクリープ損傷リスクを無視できない場合、プラント全体の運転温度を下げることで、金属配管のメタル温度を下げ、クリープ損傷リスクを低減する対策を講じるが、プラント全体の運転温度を下げると、プラントの運転効率が低下してしまう欠点がある。
【0004】
このように次の定期検査までの期間におけるクリープ損傷リスクを無視できない場合、金属配管を冷却してメタル温度を低下することで、クリープ損傷リスクを低減する手法が考えられる。このような技術として例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5701349号公報(特開2015−45619号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1では、高温金属配管の外周部を被覆する断熱材を撤去し、露出した高温金属配管の外周部に放熱フィン、冷却配管、供給配管などの冷却装置を配置して高温金属配管を冷却する。しかし、露出した高温金属配管の外周部に放熱フィン、冷却配管、供給配管などの冷却装置を配置すると、高温金属配管から周囲低温部への放射による放熱を遮蔽することになり、冷却効率が低下する。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、高温金属配管の冷却性能の向上を図る冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するための本発明の高温配管の冷却装置は、高温配管を延命化するために被冷却面の周囲に設置される高温配管の冷却装置において、前記被冷却面から周囲への放射による放熱を遮蔽しない位置に配置されて冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体供給ヘッダと、前記冷却媒体供給ヘッダに冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
従って、冷却媒体供給装置が冷却媒体供給ヘッダに冷却媒体を供給すると、この冷却媒体供給ヘッダに冷却媒体が供給され、冷却媒体供給ヘッダの冷却媒体が被冷却面に向けて流出され、高温配管が冷却される。このとき、冷却媒体供給ヘッダが被冷却面に対向する領域を除く被冷却面の周辺部に配置されるため、被冷却面に対向する領域が開放領域となる。そのため、高温配管は、遮蔽されることなく被冷却面から放射により放熱されることとなり、高温配管を効率良く冷却することができる。
【0010】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記被冷却面は、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部から露出した前記高温配管の露出表面であり、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記被冷却面の外側に配置されることを特徴としている。
【0011】
従って、被冷却面が高温配管を被覆する断熱材の撤去部から露出した露出表面であり、冷却媒体供給ヘッダが被冷却面の外側に配置されることで、被冷却面に対して冷却媒体供給ヘッダが放射による放熱を遮蔽することなく、被冷却面を効果的に冷却できる。また冷却媒体供給ヘッダと高温配管の間には断熱材があり、冷却媒体供給ヘッダの温度上昇を抑制できる。そのため、冷却媒体供給ヘッダ内を冷却媒体が通過する際の温度上昇を抑制でき、被冷却面を効果的に冷却できる。
【0012】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記断熱材の外面に支持されることを特徴とする。
【0013】
従って、冷却媒体供給ヘッダを断熱材の外面に支持することで、別途、冷却媒体供給ヘッダを支持するための部材が不要となり、構造を簡略化できる。
【0014】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記冷却媒体供給ヘッダを、サポート部材によって、前記高温配管及び前記断熱材の外面に支持することを特徴とする。
【0015】
従って、冷却媒体供給ヘッダが、高温配管に対して管軸方向又は周方向に倒れることを抑制するため、冷却媒体の流出方向が被冷却面から変わることがなく、初期の冷却能力を維持することで冷却装置の信頼性を向上できる。
【0016】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記冷却媒体供給ヘッダの冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体流出ノズルが設けられることを特徴としている。
【0017】
従って、冷却媒体供給ヘッダの冷却媒体は、冷却媒体流出ノズルから被冷却面に向けて流出され、高温配管が冷却される。そのため、高温配管は、遮蔽されることなく被冷却面から放射により放熱されることとなり、高温配管を効率良く冷却することができる。
【0018】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記冷却媒体流出ノズルは、冷却媒体を前記被冷却面に沿って流出することを特徴とする。
【0019】
従って、冷却媒体流出ノズルによって冷却媒体を被冷却面に沿って流出することで、冷却媒体が被冷却面に沿って流れるため、冷却媒体を被冷却面に効率的に供給して冷却効率を向上できる。
【0020】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記被冷却面は、溶接部を含み、前記冷却媒体流出ノズルは、冷却媒体を前記溶接部に向けて流出することを特徴とする。
【0021】
従って、冷却媒体流出ノズルによって冷却媒体を溶接部に向けて流出することで、冷却媒体がクリープ損傷リスクが無視できない溶接部へ直接供給され、被冷却面を効率的に冷却できる。
【0022】
本発明の高温配管の冷却装置において、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記冷却媒体供給ヘッダの冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体流出口が設けられ、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、前記板材の前記高温配管側の端部と前記高温配管の表面によって前記冷却媒体流出口が形成されることを特徴とする。
【0023】
従って、冷却媒体流出口から流出される冷却媒体の速度分布及び温度分布は、冷却媒体流出口の高さ方向中央部分よりも被冷却面の表面近傍側で最大となり、速度勾配及び温度勾配が高温配管の表面近傍で大きくなる。その結果、冷却媒体流出ノズルが設けられる場合に比べて、高温配管の表面近傍のせん断力が大きくなり、熱伝達率が向上するため、効果的に冷却できる。
【0024】
本発明の高温配管の冷却装置において、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、前記板材は、前記高温配管側から外側へ向けてスリットが形成されていることを特徴とする。
【0025】
従って、板材に設けられたスリットは熱変形代として機能するので、熱変形により生じる冷却媒体流出口の変形を抑制する。この結果、冷却能力の低下を抑制し、前記冷却装置の信頼性を向上することができる。
【0026】
本発明の高温配管の冷却装置において、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、前記板材は、前記高温配管に沿って複数に分割された分割部材を組み合わせて構成されることを特徴とする。
【0027】
従って、高温配管が設置される現地において、冷却媒体供給ヘッダの分割部材を組み合わせるだけで、リング形状をなす冷却媒体供給ヘッダを容易に組み立てることが可能であり、据付コストを削減することができる。
【0028】
本発明の高温配管の冷却装置において、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記高温配管を被覆する断熱材の撤去部に沿って設けられた板材を有し、前記板材は、前記高温配管に沿って複数に分割された分割部材を組み合わせて構成され、前記板材における前記高温配管側の端部の位置が調整可能であることを特徴とする。
【0029】
従って、高温配管の配管径が異なる場合でも、分割部材同士の結合位置を変更することにより、板材をすべて取り換えることなく、分割構造を有する板材を伸縮させるだけで、冷却媒体供給ヘッダを容易に設置することが可能であり、据付コストを削減することができる。
【0030】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記冷却媒体供給ヘッダは、前記冷却媒体が流通しつつ、前記冷却媒体を前記被冷却面に向けて流出する複数のヘッダユニットと、二つの前記ヘッダユニット間に設けられる伸縮部とを有し、前記ヘッダユニットと前記伸縮部が交互に連結されていることを特徴とする。
【0031】
従って、複数のヘッダユニットと複数の伸縮部は、高温配管に沿った長さに合わせて組合せ数が決定され、自在に長さを調整できるので、高温配管を早急に冷却する事態が生じた場合、冷却媒体供給ヘッダを迅速に設置することができる。
【0032】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記冷却媒体供給装置が前記冷却媒体供給ヘッダに供給する冷却媒体の温度を計測する温度センサと、前記温度センサが計測した冷却媒体の温度に応じて前記冷却媒体流出ノズル又は前記冷却媒体流出口が前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体の流出量を制御する制御装置とが設けられることを特徴とする。
【0033】
従って、冷却媒体供給ヘッダに供給する冷却媒体の温度に応じて冷却媒体流出ノズル又は冷却媒体流出口が被冷却面に向けて流出する冷却媒体の流出量を制御することで、周囲の環境温度が変化しても、被冷却面を常に要求寿命を満足するために必要な温度に冷却し、これを維持できる。
【0034】
本発明の高温配管の冷却装置では、前記被冷却面の温度を計測する温度センサと、前記温度センサが計測した前記被冷却面の温度に応じて前記冷却媒体流出ノズル又は前記冷却媒体流出口が前記被冷却面に向けて流出する冷却媒体の流出量を制御する制御装置とが設けられることを特徴としている。
【0035】
従って、被冷却面の温度に応じて冷却媒体流出ノズル又は冷却媒体流出口が被冷却面に向けて流出する冷却媒体の流出量を制御することで、被冷却面のクリープ損傷度合いや周囲の環境温度が変化しても、被冷却面を常に要求寿命を満足するために必要な温度に冷却し、これを維持できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の高温配管の冷却装置によれば、冷却媒体流出ノズルを有する冷却媒体供給ヘッダを被冷却面の周辺部に配置するので、被冷却面から周囲への放射による放熱を遮蔽するものが配置されず、被冷却面から効果的に放熱することで、高温配管の冷却性能を向上できる。また冷却媒体供給ヘッダの高温配管の間に断熱材があり、冷却媒体供給ヘッダの温度上昇を抑制できるため、冷却媒体供給ヘッダ内を冷却媒体が通過する際の温度上昇を抑制でき、被冷却面を効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置を表す概略図である。
図2図2は、高温配管の冷却装置を表す図1のII−II断面図である。
図3図3は、高温配管を表す断面図である。
図4図4は、断熱材を一部除去した配管の断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第1変形例を表す概略図である。
図6図6は、高温配管の冷却装置を表す図5のVI−VI断面図である。
図7図7は、高温配管を表す断面図である。
図8図8は、断熱材を一部除去した配管の断面図である。
図9図9は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第1変形例を表す部分拡大断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第2変形例を表す正面図である。
図11図11は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第2変形例を表す部分拡大正面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第2変形例を表す配管軸方向の断面図である。
図13図13は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第2変形例を表す部分拡大縦断面図である。
図14図14は、熱伝達比率とガイド長の関係を示すグラフである。
図15図15は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第2変形例の板材の変形例を表す正面図である。
図16図16は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第2変形例の板材の変形例を表す配管軸方向の断面図である。
図17図17は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第2変形例の板材の変形例を表す正面図である。
図18図18は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第3変形例を表す正面図である。
図19図19は、第1実施形態に係る高温配管の冷却装置の第3変形例を表す斜視図である。
図20図20は、第2実施形態の高温配管の冷却装置を表す概略図である。
図21図21は、第2実施形態の高温配管の冷却装置の第1変形例を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る高温配管の冷却装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものを含む。
【0039】
[第1実施形態]
図3は、高温配管を表す断面図、図4は、断熱材を一部除去した配管の断面図である。
【0040】
第1実施形態において、高温配管は、例えば、火力発電プラントにて、ボイラで加熱された水蒸気を蒸気タービンに搬送する金属性の水蒸気配管であって、内部に流動する高温高圧の水蒸気により加熱された高温金属配管である。この金属配管には、定期的に非破壊検査が実施され、配管のクリープボイドの成長度合いを分析してクリープ損傷度を導出し、配管の余寿命評価を行う。次の定期検査までの期間におけるクリープ損傷リスクを無視できない場合、高温金属配管を冷却して温度を下げることで、クリープ損傷リスクを低減する。
【0041】
本実施形態の高温配管の冷却装置は、高温配管を被覆する断熱材の撤去部から外部に露出した配管の露出表面を被冷却面とし、この被冷却面を冷却するものである。そして、金属配管は、母材部に比べて溶接部のクリープ損傷リスクが高いことから、主に、この溶接部周辺を冷却対象とする。
【0042】
まず、高温配管の配置状態について説明する。図3に示すように、高温金属配管100は、例えば、火力発電プラントや原子力発電プラントや化学プラントなどのプラントで用いられる水蒸気配管である。この金属配管100は、内部に高温高圧の流体(例えば、水蒸気)を流動することで、常時、高温高圧環境下にある。この金属配管100は、軸方向に沿って溶接部101が設けられる電縫管であって、高温高圧の流体温度低下を抑制するために断熱材102で金属配管100の外面が覆われる。
【0043】
金属配管100は、高温環境下で長時間使用されると、クリープ損傷が進行してクリープボイドが発生し、このクリープボイドがつながることで亀裂が生じ、最終的には破断に至る可能性がある。この破断を防止するため、定期的な非破壊検査によりクリープボイドの成長度合いを分析して各部のクリープ損傷度を導出し、配管100の余寿命評価を行う。具体的には、図4に示すように、クリープ損傷リスクを無視できない溶接部101の近傍を覆う断熱材102を除去して撤去部103を形成し、溶接部101を含む被冷却面104を露出させ、本実施形態の冷却装置を用いて冷却する。
【0044】
図1は、第1実施形態の高温配管の冷却装置を表す概略図、図2は、高温配管の冷却装置を表す図1のII−II断面図である。
【0045】
第1実施形態において、図1及び図2に示すように、高温配管の冷却装置10は、金属配管(高温配管)100における被冷却面104を冷却するものであり、冷却媒体供給ヘッダ11と、冷却媒体供給装置12と、冷却媒体流出ノズル13、雨除けのフード200とを備える。なお、図1では、フード200を破線で示しており、フード200は、冷却装置10及び配管100を覆うように設置される。
【0046】
冷却媒体供給ヘッダ11は、配管100の被冷却面104からの放射による放熱を遮蔽しないように、被冷却面104に沿う両側、つまり、被冷却面104に対して配管100の周方向にずれた両側の断熱材102の外側に配置される。なお、冷却媒体供給ヘッダ11は、断熱材102の外側に配置される場合に限定されず、被冷却面104の外側に配置されればよく、例えば断熱材102を切り欠いて断熱材102内に配置されてもよい。
【0047】
各冷却媒体供給ヘッダ11は、対向する側に冷却媒体流出ノズル13をそれぞれ対向するように備える。冷却媒体流出ノズル13は、冷却媒体供給ヘッダ11における撤去部103側で、この撤去部103が形成する断熱材102の端面に沿って配管100の外周面側に延出され、先端部が配管100の外周面である被冷却面104に沿って屈曲している。そのため、各冷却媒体流出ノズル13は、流出口が対向するように配置され、冷却媒体を被冷却面104に沿って流出する。なお、冷却媒体流出ノズル13は、撤去部103における配管100の軸方向に沿って設けられる。
【0048】
冷却媒体供給装置12は、ファンやブロアであって、各冷却媒体供給ヘッダ11に冷却媒体を供給する。冷却媒体供給装置12は、取込配管21が連結されると共に、各冷却媒体供給ヘッダ11まで供給配管22が連結されている。そのため、冷却媒体供給装置12は、取込配管21から取り込んだ冷却媒体を供給配管22により各冷却媒体供給ヘッダ11に供給する。
【0049】
取込配管21は、内部を流れる冷却媒体温度を計測する第1温度センサ23が設けられる。また、配管100の被冷却面104の温度を計測する第2温度センサ24が設けられる。金属配管を熱電対など直接計測する温度センサで計測する場合、温度センサを金属配管に溶接で取り付けるが、その際にボイドの発生要因となる、金属配管への異材が混入する可能性がある。これを抑制するため第2温度センサ24として、溶接を必要としない放射温度計のような非接触センサが望ましい。制御装置25は、第1温度センサ23が計測した冷却媒体温度が入力されると共に、第2温度センサ24が計測した被冷却面104の温度が入力される。そして、制御装置25は、第1温度センサ23が計測した冷却媒体温度に応じて冷却媒体供給装置12が冷却媒体供給ヘッダ11に供給する冷却媒体供給量を制御すると共に、第2温度センサ24が計測した被冷却面104の温度に応じて冷却媒体供給装置12が冷却媒体供給ヘッダ11に供給する冷却媒体供給量を制御する。冷却媒体供給装置12が冷却媒体供給ヘッダ11に供給する冷却媒体供給量を制御すると、各冷却媒体流出ノズル13が被冷却面104に供給する冷却媒体供給量が制御される。
【0050】
即ち、設置される金属配管100の周囲環境は、一日は季節のサイクルで周期的に変化する。この気温変化により冷却される金属配管100の被冷却面104や溶接部101のメタル温度が変動し、要求される配管100の延命効果が得られない可能性がある。この対策として、気温が変動しても配管100の溶接部101のメタル温度が一定に維持されるように、被冷却面104に供給する冷却媒体供給量を制御する。
【0051】
以上のように冷却媒体供給装置12を作動すると、取込配管21を通して冷却媒体を取り込み、供給配管22を通して各冷却媒体供給ヘッダ11に冷却媒体を供給する。各冷却媒体供給ヘッダ11は、各冷却媒体流出ノズル13から被冷却面104に沿って冷却媒体を流出する。この結果、被冷却面104に沿って流れる冷却媒体により、溶接部101が冷却される。このとき、制御装置25は、冷却媒体温度と被冷却面104温度に応じて冷却媒体供給装置12が冷却媒体供給ヘッダ11に供給する冷却媒体供給量を制御し、冷却媒体流出ノズル13から被冷却面104に供給される冷却媒体供給量を制御する。
以上の結果、金属配管100周囲の気温が変化しても、配管100の溶接部101を、要求される寿命を満足するメタル温度に制御できる。
【0052】
なお、上述の実施形態では、金属配管100の軸方向に沿って溶接部101を有する電縫管として説明したが、この構成に限定されるものではない。即ち、金属配管100の周方向に溶接部101がある場合について、図5に第1実施形態の高温配管の冷却装置の第1変形例を表す概略図、図6に高温配管の冷却装置を表す図5のVI−VI断面図、図7に高温配管の断面図、図8に断熱材を一部除去した配管の断面図、を示す。
【0053】
第1変形例において、図7に示すように、高温金属配管110は、周方向に沿って溶接部111が設けられる接続配管であって、プラント効率の低下を抑制するために断熱材112で周囲が覆われる。
【0054】
金属配管110は、高温環境下で長時間使用されると、クリープ損傷が進行してクリープボイドが発生し、このクリープボイドがつながることで亀裂が生じ、最終的には破断に至る可能性がある。この破断を防止するため、定期的な非破壊検査によりクリープボイドの成長度合いを分析して各部のクリープ損傷度を導出し、配管110の余寿命評価を行っている。具体的には、図8に示すように、クリープ損傷リスクが高い溶接部111の近傍を覆う断熱材112を除去して撤去部113を形成し、溶接部111を含む被冷却面114を露出させ、被冷却面114を本実施形態の冷却装置により冷却する。
【0055】
図5及び図6に示すように、高温配管の冷却装置30は、金属配管(高温配管)110における被冷却面114を冷却するものであり、冷却媒体供給ヘッダ31と、冷却媒体供給装置32と、冷却媒体流出ノズル33、フード200とを備える。
【0056】
冷却媒体供給ヘッダ31は、配管110の被冷却面114からの放射による放熱を遮蔽しないように、被冷却面114の管軸方向に沿う両側、つまり、被冷却面114に対して配管110の管軸方向にずれた両側の断熱材112の外側に配置される。なお、冷却媒体供給ヘッダ31は、断熱材112の外側に配置される場合に限定されず、被冷却面114の外側に配置されればよく、断熱材112を切り欠いて断熱材112内に配置されてもよい。
各冷却媒体供給ヘッダ31は、同様の中空の箱型形状をなし、断熱材112の外周面に撤去部113の両側で、周方向に沿ったリング形状をなして配置される。
【0057】
なお、冷却媒体供給ヘッダ31は、図10に示すように、周方向に複数分割可能な構成としてもよい。図10では、冷却媒体供給ヘッダ31は、3分割されており、分割部材31A,31B,31Cからなる。分割部材31A,31B,31Cは、例えばボルトによって互いに結合される。これにより、配管110が設置されている現地において、冷却媒体供給ヘッダ31の分割部材31A,31B,31Cを組み合わせるだけで、リング形状をなす冷却媒体供給ヘッダ31を容易に設置できるため、据付コストを低減することができる。
【0058】
図5に示すように、各冷却媒体供給ヘッダ31では、冷却媒体流出ノズル33がそれぞれ対向するように設けられる。冷却媒体流出ノズル33は、冷却媒体供給ヘッダ31における撤去部113側で、この撤去部113が形成される断熱材112の端面に沿って配管110の外周面側に延出され、先端部が配管110の外周面である被冷却面114に沿って屈曲している。そのため、各冷却媒体流出ノズル33は、流出口が対向するように配置され、冷却媒体を被冷却面114に沿って流出する。なお、冷却媒体流出ノズル33は、撤去部113における配管110の周方向の全域に沿って設けられる。
【0059】
冷却媒体供給ヘッダ31は、冷却媒体供給ヘッダ31における撤去部113側で、この撤去部113が形成される断熱材112の端面に沿って配管110の外周面側に延出される板材34を有する。板材34の板面は、配管110の管軸方向に対して略垂直方向に配置される。図10に示すように、板材34には、配管110の表面近傍から外側方向へ、スリット35が形成されてもよい。
【0060】
冷却媒体供給ヘッダ31の配管110側の先端は、高温部分に接するため、配管110の外面温度(約500℃〜550℃)まで昇温する。しかし、冷却媒体供給ヘッダ31の冷却媒体供給源側は、ほぼ室温であるため、板材34の高さ方向には500℃近い温度差が生じる。この結果、冷却媒体供給ヘッダ31の配管110側の先端では、数mmの熱変形が生じる。この熱変形により、冷却媒体の流出速度が局所的に低下するので、被冷却面114温度が不均一となり、この結果、溶接部111の余寿命が不均一となるので、プラントの信頼性が低下する。
これに対し、板材34にスリット35を設けることで、スリット35が、冷却媒体供給ヘッダ31の配管110側の先端で生じる熱変形代として機能するため、先端の熱変形を抑制し、この結果、冷却媒体の流出速度の不均一化を抑制し、プラントの信頼性を向上できる。なお、スリット35は、所定間隔を空けて、複数本設けられる。
【0061】
なお、スリット35から冷却媒体が漏れるのを防止するため、図11に示すように、金属箔36などのシール材をスリット35に沿って設けることが望ましい。金属箔36は、冷却媒体が流通する冷却媒体供給ヘッダ31の内面側に設置される。また、金属箔36によって板材34が拘束されないように、例えば、スリット35に沿ってスリット35の片側のみをスポット溶接によって板材34に固定する。図11では、溶接部分を符号Wで示している。冷却媒体供給ヘッダ31に冷却媒体が供給されると、内圧が上昇するため、金属箔36と板材34が密着して、冷却媒体の漏出が抑制される。
【0062】
図5に示す冷却媒体供給装置32は、ファンもしくはブロアであって、各冷却媒体供給ヘッダ31に冷却媒体を供給する。冷却媒体供給装置32は、取込配管41が連結されると共に、各冷却媒体供給ヘッダ31まで供給配管42が連結される。そのため、冷却媒体供給装置32は、取込配管41から取り込んだ冷却媒体を供給配管42により各冷却媒体供給ヘッダ31に供給する。
【0063】
なお、図示しないが、この第1変形例でも、第1実施形態と同様に、第1温度センサ23、第2温度センサ24、制御装置25を設け、冷却媒体温度や被冷却面114の温度に応じて冷却媒体供給装置32が冷却媒体供給ヘッダ31に供給する冷却媒体供給量を制御しても良い。
【0064】
そのため、冷却媒体供給装置32を作動すると、取込配管41を通して冷却媒体を取り込み、供給配管42を通して各冷却媒体供給ヘッダ31に供給する。各冷却媒体供給ヘッダ31は、各冷却媒体流出ノズル33から被冷却面114に沿って冷却媒体を流出する。
この結果、被冷却面114に沿って冷却媒体の流れを形成し、溶接部111を効果的に冷却することができる。
【0065】
このように第1実施形態の高温配管の冷却装置にあっては、配管100,110を延命化するために高温配管としての配管100,110における被冷却面104,114を冷却するように被冷却面104,114の周囲に設置される配管の冷却装置において、被冷却面104,114からの放射による放熱を遮蔽しない位置に配置されて冷却媒体を被冷却面104,114に向けて流出する冷却媒体供給ヘッダ11,31と、冷却媒体供給ヘッダ11,31に冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置12,32と、冷却媒体供給ヘッダ11,31の冷却媒体を被冷却面104,114に向けて流出する冷却媒体流出ノズル13,33を備える。
【0066】
従って、冷却媒体供給装置12,32が冷却媒体供給ヘッダ11,31に冷却媒体を供給すると、この冷却媒体供給ヘッダ11,31に冷却媒体が供給され、冷却媒体供給ヘッダ11,31の冷却媒体が冷却媒体流出ノズル13,33から被冷却面104,114に向けて流出され、配管100,110の被冷却面104,114が効果的に冷却される。
このとき、冷却媒体供給ヘッダ11,31が被冷却面104,114からの放射による放熱を遮蔽しないように配置されるため、被冷却面104,114の外側が周囲に対して開放空間を持つ。そのように放射による放熱量を最大化するので冷却媒体量を抑制し、配管100,110を効果的に冷却して冷却性能を向上できる。
【0067】
第1実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体供給ヘッダ11,31を断熱材102,112の外側に配置している。その結果、冷却媒体供給ヘッダ11,31内を冷却媒体が通過する際の温度上昇を抑制でき、被冷却面104,114を効果的に冷却できる。
【0068】
第1実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体供給ヘッダ11,31を断熱材102,112の外面に支持している。従って、別途、冷却媒体供給ヘッダ11,31を支持するための部材が不要となり、構造の簡素化を図ることができる。
【0069】
なお、冷却媒体供給ヘッダ11,31を片側のみに設置する場合には、倒れ防止のため、サポート材が設置されてもよい。冷却媒体供給ヘッダ31の場合について例示すると、サポート材37は、図12に示すように、管軸方向に平行な第1部材37aと、管軸方向に対して略垂直方向に設置される第2部材37bと、第2部材37bと断熱材112と接続されるワイヤ材37cとを有する。第1部材37aは、一端側で冷却媒体供給ヘッダ31のフランジ部31aと接続され、他端側でワイヤ材37cと接続される。また、第2部材37bは、一端側で配管110と接続され、他端側で第1部材37aと接続される。冷却媒体供給ヘッダ31の場合、第1部材37a及び第2部材37bによって、配管110の管軸方向への倒れを防止でき、ワイヤ材37cによって、配管110の周方向への倒れを防止できる。冷却媒体供給ヘッダの倒れを抑制するため、冷却媒体の流出方向が被冷却面から変わることがなく、初期の冷却能力を維持することで冷却装置の信頼性を向上できる。
【0070】
第1実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体流出ノズル13,33は、冷却媒体を被冷却面104,114に沿って流出する。従って、冷却媒体全量を被冷却面104,114の冷却に使用でき、被冷却面104,114の冷却効率を向上できる。
【0071】
第1実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体供給ヘッダ11,31を被冷却面104,114に沿う両側に配置し、冷却媒体流出ノズル13,33を対向して設けている。従って、被冷却面104,114に対して両側から冷却媒体を供給して冷却することとなり、冷却媒体供給量を増加して冷却効率を向上させることができる。なお、第1実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体供給ヘッダ11,31を被冷却面104,114に沿う両側に配置しているが、高温配管が小径管の場合には、冷却媒体供給ヘッダ11,31を片側のみに配置しても良い。
【0072】
第1実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体供給装置12,32が冷却媒体供給ヘッダ11,31に供給する冷却媒体温度を計測する第1温度センサ23と、第1温度センサ23が計測した冷却媒体温度に応じて冷却媒体流出ノズル13,33が被冷却面104,114に向けて流出する冷却媒体流出量を制御する制御装置25とを設けている。従って、冷却媒体温度に応じて冷却媒体流出ノズル13,33が被冷却面104,114に向けて流出する冷却媒体流出量を制御することで、周囲の気温の影響を受けずに、要求される延命化効果が得られ、プラントの信頼性を向上することができる。
【0073】
第1実施形態の高温配管の冷却装置では、被冷却面104,114の温度を計測する第2温度センサ24と、第2温度センサ24が計測した被冷却面104,114の温度に応じて冷却媒体流出ノズル13,33が被冷却面104,114に向けて流出する冷却媒体流出量を制御する制御装置25とを設けている。従って、被冷却面104,114の温度に応じて冷却媒体流出ノズル13,33が被冷却面104,114に向けて流出する冷却媒体流出量を制御することで、被冷却面104,114のクリープ損傷の進行や周囲の気温の変化を考慮することが可能となり、要求される延命化効果が得られ、プラントの信頼性を向上することができる。
【0074】
なお、冷却媒体供給ヘッダ11,31において、冷却媒体流出ノズル13,33が設けられる場合について説明したが、本発明は、この例に限定されない。
上記第1実施形態及び第1変形例において、冷却媒体流出ノズル13,33の先端部は、配管100,110の外周面である被冷却面104,114に沿って屈曲している。そのため、図9に示すように、先端部から流出される冷却媒体の速度分布及び温度分布は、放物線状であり、被冷却面104,114近傍のせん断力が比較的小さく、配管100,110の表面と冷却媒体との間の熱伝達率が低い。
【0075】
これに対し、第2変形例では、冷却媒体流出ノズル13,33の代わりに流出部が冷却媒体供給ヘッダ11,31に設けられる。
【0076】
冷却媒体供給ヘッダ31では、図12及び図13に示すように、流出部14が設けられる。流出部14は、冷却媒体供給ヘッダ31における撤去部113側で、この撤去部113が形成される断熱材112の端面に沿って配管110の外周面側に延出された板材34を有する。板材34の配管110に対向する端部34Aと配管110の表面によって、流出部14の流出口が形成される。流出部14の流出口は、撤去部113における配管110の周方向に沿って設けられ、冷却媒体を被冷却面114に沿って流出する。
【0077】
これにより、流出部14の流出口から流出される冷却媒体の速度分布及び温度分布は、図13に示すように、流出口の高さ方向中央部分よりも被冷却面114の表面近傍側で最大となり、速度勾配及び温度勾配が配管110の表面近傍で大きくなる。その結果、冷却媒体流出ノズル13が設けられる場合に比べて、配管110の表面近傍のせん断力が大きくなり、熱伝達率が増加するので、効果的に被冷却面114を冷却できる。
【0078】
なお、流出部14には、流出口の内側、すなわち、断熱材112の端面及び配管110の表面との交点付近において、断面円弧形状の曲面部38が設けられてもよい。曲面部38は、配管110に近づくにつれて、断熱材102の端面から流出部14の流出口へ向けてせり出している。曲面部38が設けられることによって、流出部14の流出口から流出される冷却媒体の速度勾配及び温度勾配を配管110の表面近傍でより大きくすることができ、被冷却面114をより効果的に冷却できる。
【0079】
図13に示すように、流出口の高さHと、流出口から冷却対象となる溶接部111までの距離である冷却長さLとの関係は、L/H≒10〜20である。この範囲であれば、冷却媒体の流速分布が維持されるため、溶接部111において高い熱伝達率を得ることができる。
【0080】
なお、上記では、第1変形例の冷却媒体流出ノズル33の代わりに流出部14が設けられる場合について説明したが、流出部14と同様の構成は、第1実施形態における冷却媒体流出ノズル13の代わりに設けることもできる。
【0081】
冷却媒体流出ノズル13,33が設けられて配管100,110に沿って突出したガイドが形成されている場合と、流出部14のようにガイドがない場合とにおいて、熱伝達率の相違は、例えば、図14に示すとおりとなる。
図14では、冷却媒体流出ノズル13,33のガイド長が約25mm〜75mmの範囲である場合の熱伝達率と、ガイドのない流出部14が設けられる場合の熱伝達率とを比較している。図14に示すように、ガイドが形成された冷却媒体流出ノズル13,33では、ガイドのない流出部14に比べて、熱伝達率が70%程度まで低下し、ガイドのない流出部14のほうが、熱伝達率が向上することが分かる。
【0082】
図10に示すように、冷却媒体供給ヘッダ31に設けられる板材34は、周方向に沿って複数に分割され、かつ、図15及び図16に示すように、配管110の径方向に沿って複数に分割されてもよい。板材34は、径方向に沿って、冷却媒体供給源側の分割部材34aと、配管110側の分割部材34bとで分割される。分割部材34a,34bは、例えばボルト39及びナット40によって互いに結合される。分割部材34bの分割部材34aに対する結合位置を変更することにより、配管110の配管径が異なる場合でも、板材34をすべて取り換えることなく、分割構造を有する板材34を伸縮させるだけで、冷却媒体供給ヘッダ31を設置することができる。分割部材34bは、図15に示すように、例えば扇形形状を有し、冷媒供給源側の周方向が長く、配管側の周方向が短い。
【0083】
冷却媒体供給源側の分割部材34aと、配管110側の分割部材34bとは、ボルト締結のため、分割部材34aと分割部材34bの一方に配管110の径方向に長い長孔が形成され、他方に円形の孔が形成されてもよい。これにより、現地において、分割部材34bの設置位置、すなわち、板材34の伸縮長さを微調整できる。
【0084】
分割部材34aと分割部材34bの結合方法に関し、図17に示すように、分割部材34aと分割部材34bの一方に、予め複数種類用意されたスペーサ43を嵌合可能な開口部44が形成されてもよい。図17(B)では、分割部材34bに開口部44が形成される場合について示している。スペーサ43は、図17(A)に示すように、種類ごとに配管110の径方向に沿ってボルト孔45の位置が異なるように形成されている。開口部44に嵌合されるスペーサ43は、ボルト孔45が配管110の径方向において適切な位置となるように選択される。これにより、スペーサ43を取り替えるだけで、板材34の伸縮長さを変更でき、かつ、分割部材34a,34b同士を確実に固定できる。
【0085】
板材34は、冷却媒体供給源側で温度が低いのに対し、配管110は、内部に高温流体が流れることによって熱膨張するため、板材34の端部34Aに比べて、配管110の曲率半径が大きくなる。そのため、板材34の端部34Aの曲率半径は、低温時の配管110の曲率半径よりも大きくなるように、配管110の熱膨張をあらかじめ考慮して板材34を製造しておいてもよい。これにより、配管110の温度が上昇して熱膨張し、配管110の曲率半径が大きくなったとき、板材34の端部34Aと配管110との間に形成される隙間を低減できる。
【0086】
また、分割構造を有する板材34の分割部材34bは、常に配管110の径方向であって、配管110側に付勢される構成を有してもよい。これにより、配管110の内部に高温流体が流れることによって、配管110が熱膨張して曲率半径が大きくなったときも、板材34の端部34Aは、配管110の外周面に追従して移動できる。この場合、図16に示すように、冷却媒体流出ノズル33の流出口の開口面積が維持されるように、板材34の端部34Aと配管110の外周面の間にはスペーサ46が設けられる。スペーサ46は、周方向に沿って間隔を空けて複数箇所に設置される。
【0087】
板材34の分割部材34bを配管110側に付勢する手段としては、分割部材34bを配管110側に押し付けるばね部材、分割部材34bの外周側端部34b1(図16参照)を締め付けるリング状の伸縮性を有するバンド部材などがある。または、図16に示した分割部材34bの端部34Aに設置されるスペーサ46に磁石が設けられることによって、分割部材34bを配管110側に付勢するようにしてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態や変形例では、図6に示すように、冷却媒体供給ヘッダ31及び板材34は、リング形状を有し、配管110の周方向において、連続して形成された一体もの、又は、図10に示すように、複数に分割されて組み合わされるものについて説明した。本発明は、この例に限定されず、例えば、図18及び図19に示すように、冷却媒体供給ヘッダ31について、複数のヘッダユニット47と、ヘッダユニット47間を連結する複数の蛇腹ダクト48から構成されるとしてもよい。蛇腹ダクト48は、伸縮部の一例である。ヘッダユニット47と蛇腹ダクト48は交互に連結される。
【0089】
複数のヘッダユニット47と複数の蛇腹ダクト48は、直線方向に連結可能である。そして、複数のヘッダユニット47と複数の蛇腹ダクト48は、配管110の外周長さに合わせて組合せ数が決定され、長さが調整される。連結されたヘッダユニット47と蛇腹ダクト48は、配管110の外周に沿って巻かれた後、一端部と他端部が連結されてリング形状とされる。
予め想定される最大径の配管110に応じて、ヘッダユニット47と蛇腹ダクト48の個数を予め用意しておくとよい。
【0090】
これにより、例えば電力需要が高い時期に非破壊試験によって配管損傷リスクが高い部位が検出されるなど、迅速に損傷部位を冷却する必要性が生じた場合でも、冷却媒体供給ヘッダ31を迅速に製作し、当該部位を迅速に冷却することで、損傷した配管110を延命化しプラントの信頼性を向上することができる。
【0091】
図19のように、各ヘッダユニット47は、ヘッダ部49と流出部14とを有する。配管110に接する流出部14側は、例えばステンレス鋼などの耐熱部材で形成され、常温に近いヘッダ部49側は例えばアルミニウム合金などの軽量部材で形成される。これにより、冷却媒体供給ヘッダ31全体の軽量化を図ることができる。ヘッダ部49と流出部14側は異種材料であるため、例えばかしめやリベット等によって連結される。
【0092】
各ヘッダユニット47の流出部14は、例えば、それぞれのヘッダユニット47で側端面14aによって閉じた構造となっており、ヘッダ部49側が蛇腹ダクト48によって連結される。または、各ヘッダユニット47の流出部14についても、蛇腹ダクトによって連結され、互いに冷却媒体が流通可能な構造を有してもよい。ヘッダ部49側で連結される蛇腹ダクト48は、室温に近い条件下で配置されるため、金属製ではなくシート状の耐熱性を有する合成樹脂で作製されてもよい。
【0093】
冷却媒体供給ヘッダ31及び板材34について、複数のヘッダユニット47と、ヘッダユニット47間を連結する複数の蛇腹ダクト48から構成されることによって、高温の配管110の外径が異なる場合でも、冷却媒体供給ヘッダ31の構造を変更することなく、簡易に配管110に取り付けることが可能になる。また、蛇腹ダクト48で連結されていることから、配管110の熱変形にも追従可能である。さらに、配管110の周方向に沿ってリング状に配置する冷却媒体供給ヘッダ31に適用するだけでなく、直線状に配置すれば、配管110の管軸方向に沿って配置する冷却媒体供給ヘッダ11にも適用可能である。
【0094】
なお、本変形例では、蛇腹ダクト48を有する場合について説明したが、必ずしも蛇腹構造を有してなくてもよく、ヘッダユニット47間の間隔を調整可能な部材によって、ヘッダユニット47間が連結されていればよい。例えば、蛇腹ダクト48の代わりに、布製、金属製又はゴム製のシート部材が設けられてもよい。
【0095】
[第2実施形態]
図20は、第2実施形態の高温配管の冷却装置を表す概略図、図21は、第2実施形態の高温配管の冷却装置の第1変形例を表す概略図である。なお、上述した第1実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0096】
第2実施形態において、図20に示すように、高温配管の冷却装置50は、金属配管100における被冷却面104を冷却するものであり、冷却媒体供給ヘッダ51と、冷却媒体供給装置52と、冷却媒体流出ノズル53、フード200とを備えている。
【0097】
冷却媒体供給ヘッダ51は、金属配管100の被冷却面104から放射による放熱を遮蔽しないように配置される。各冷却媒体供給ヘッダ51は、断熱材102の撤去部103における周方向の両側で、この断熱材102の外周面に載置されるように支持される。
【0098】
各冷却媒体供給ヘッダ51は、断熱材102の撤去部103における周方向の両側に、冷却媒体流出ノズル53が対向するように設けられる。冷却媒体流出ノズル53は、冷却媒体供給ヘッダ51における撤去部103側で、この撤去部103が形成される断熱材102の端面に沿って配管100の外周面側に延出され、先端部が溶接部101に向くように配管100の外周面に対して傾斜している。そのため、各冷却媒体流出ノズル53は、流出口が対向するように配置され、冷却媒体を被冷却面104における溶接部101に向けて流出する。
【0099】
冷却媒体供給装置52は、ファンもしくはブロアであって、各冷却媒体供給ヘッダ51に冷却媒体を供給する。冷却媒体供給装置52は、取込配管61が連結されると共に、各冷却媒体供給ヘッダ51まで供給配管62が連結される。そのため、冷却媒体供給装置52は、取込配管61から取り込んだ冷却媒体を供給配管62により各冷却媒体供給ヘッダ51に供給できる。
【0100】
そのため、冷却媒体供給装置52を作動すると、取込配管61を通して冷却媒体を取り込み、供給配管62を通して各冷却媒体供給ヘッダ51に供給する。各冷却媒体供給ヘッダ51は、各冷却媒体流出ノズル53から被冷却面104の溶接部101に向けて冷却媒体を流出する。この結果、流出された冷却媒体により溶接部101を高い熱伝達率で冷却するので、冷却効率を向上できる。
【0101】
第1変形例において、図21に示すように冷却装置70は、金属配管110における被冷却面114を冷却するものであり、冷却媒体供給ヘッダ71と、冷却媒体供給装置72と、冷却媒体流出ノズル73、フード200とを備える。
【0102】
冷却媒体供給ヘッダ71は、配管110の被冷却面114から放射による放熱を遮蔽しないように配置される。各冷却媒体供給ヘッダ71は、断熱材112の外周面に載置されるように支持される。
【0103】
各冷却媒体供給ヘッダ71は、対向する側に冷却媒体流出ノズル73がそれぞれ対向するように設けられる。冷却媒体流出ノズル73は、冷却媒体供給ヘッダ71における撤去部113側で、この撤去部113が形成される断熱材112の端面に沿って配管110の外周面側に延出され、先端部が溶接部111へ向くように配管110の外周面に対して傾斜している。そのため、各冷却媒体流出ノズル73は、流出口が対向するように配置され、冷却媒体を被冷却面114における溶接部111に向けて流出する。
【0104】
冷却媒体供給装置72は、ファンもしくはブロアであって、各冷却媒体供給ヘッダ71に冷却媒体を供給する。冷却媒体供給装置72は、取込配管81が連結されると共に、各冷却媒体供給ヘッダ71まで供給配管82が連結される。そのため、冷却媒体供給装置72は、取込配管81から取り込んだ冷却媒体を供給配管82により各冷却媒体供給ヘッダ71に供給できる。
【0105】
そのため、冷却媒体供給装置72を作動すると、取込配管81を通して冷却媒体を取り込み、供給配管82を通して各冷却媒体供給ヘッダ71に供給する。各冷却媒体供給ヘッダ71は、各冷却媒体流出ノズル73から被冷却面114の溶接部111に向けて冷却媒体を流出し、流出された冷却媒体により溶接部111が高い熱伝達率で冷却される。
【0106】
このように第2実施形態の高温配管の冷却装置にあっては、配管100,110における被冷却面104,114を冷却する高温配管の冷却装置50,70において、被冷却面104,114からの放射による放熱を遮蔽しないように配置される冷却媒体供給ヘッダ51,71と、冷却媒体供給ヘッダ51,71に冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置52,72と、冷却媒体供給ヘッダ51,71の冷却媒体を被冷却面104,114に向けて流出する冷却媒体流出ノズル53,73とを備える。なお第2実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体供給ヘッダ51,71を被冷却面104,114に沿う両側に配置しているが、高温配管が小径管の場合には、冷却媒体供給ヘッダ51,71を片側のみに配置しても良い。
【0107】
従って、冷却媒体供給装置52,72が冷却媒体供給ヘッダ51,71に冷却媒体を供給すると、この冷却媒体供給ヘッダ51,71に冷却媒体が供給され、冷却媒体供給ヘッダ51,71の冷却媒体が冷却媒体流出ノズル53,73から被冷却面104,114に向けて流出され、配管100,110の被冷却面104,114を高い熱伝達率で冷却する。このとき、冷却媒体供給ヘッダ51,71が被冷却面104,114からの放射による放熱を遮蔽しないように配置されるため、被冷却面104,114の外側が開放空間を持つ。そのように放射による放熱量を最大化するので冷却媒体量を抑制し、配管100,110を効果的に冷却できる。
【0108】
第2実施形態の高温配管の冷却装置では、冷却媒体流出ノズル53,73は、冷却媒体を溶接部101,111に向けて流出する。従って、冷却媒体がクリープ損傷リスクが高い溶接部101,111を高い熱伝達率で冷却するので、被冷却面104,114を効率的に冷却できる。
【0109】
なお、上述した実施形態では、冷却媒体流出ノズル13,33が冷却媒体を被冷却面104,114に沿って流出したり、冷却媒体流出ノズル53,73が冷却媒体を溶接部101,111に向けて流出したりするように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、冷却媒体流出ノズルが冷却媒体を被冷却面104,114に向けて流出し、溶接部101,111に沿わせるように供給しても良い。
【0110】
また、上述した実施形態では、周囲の気温や被冷却面温度に応じて冷却媒体供給ヘッダへの冷却媒体量を制御するように構成したが、風速や雨天などの天候を考慮して冷却媒体供給ヘッダへの冷却媒体量を制御してもよい。
【0111】
また、上述した実施形態では、冷却媒体を空気としたが、窒素ガスなどの不活性ガスとしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
10 :冷却装置
11 :冷却媒体供給ヘッダ
12 :冷却媒体供給装置
13 :冷却媒体流出ノズル
14 :流出部
14a :側端面
21 :取込配管
22 :供給配管
23 :第1温度センサ
24 :第2温度センサ
25 :制御装置
30 :冷却装置
31 :冷却媒体供給ヘッダ
31A :分割部材
31B :分割部材
31C :分割部材
31a :フランジ部
32 :冷却媒体供給装置
33 :冷却媒体流出ノズル
34 :板材
34A :端部
34a :分割部材
34b :分割部材
34b1:外周側端部
35 :スリット
36 :金属箔
37 :サポート材
37a :第1部材
37b :第2部材
37c :ワイヤ材
38 :曲面部
39 :ボルト
40 :ナット
41 :取込配管
42 :供給配管
43 :スペーサ
44 :開口部
45 :ボルト孔
46 :スペーサ
47 :ヘッダユニット
48 :蛇腹ダクト
49 :ヘッダ部
50 :冷却装置
51 :冷却媒体供給ヘッダ
52 :冷却媒体供給装置
53 :冷却媒体流出ノズル
61 :取込配管
62 :供給配管
70 :冷却装置
71 :冷却媒体供給ヘッダ
72 :冷却媒体供給装置
73 :冷却媒体流出ノズル
81 :取込配管
82 :供給配管
100 :配管
101 :溶接部
102 :断熱材
103 :撤去部
104 :被冷却面
110 :配管
111 :溶接部
112 :断熱材
113 :撤去部
114 :被冷却面
200 :フード
H :流出口の高さ
L :冷却長さ
W :溶接部分
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