(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616051
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】真空発生装置及び吸引装置
(51)【国際特許分類】
F04B 41/00 20060101AFI20191125BHJP
F04B 37/16 20060101ALI20191125BHJP
F04B 39/16 20060101ALI20191125BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
F04B41/00 D
F04B37/16 D
F04B39/16 E
A61M1/00 150
A61M1/00 130
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-531487(P2019-531487)
(86)(22)【出願日】2018年11月26日
(86)【国際出願番号】JP2018043331
(87)【国際公開番号】WO2019107299
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2019年6月12日
(31)【優先権主張番号】特願2017-228869(P2017-228869)
(32)【優先日】2017年11月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591268623
【氏名又は名称】アルバック機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100144211
【弁理士】
【氏名又は名称】日比野 幸信
(72)【発明者】
【氏名】橋本 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】宮田 一秋
(72)【発明者】
【氏名】西釜 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】米永 秀一
(72)【発明者】
【氏名】林 浩
【審査官】
岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−020658(JP,A)
【文献】
特開2007−259898(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第105963810(CN,A)
【文献】
特開2015−014285(JP,A)
【文献】
特開2016−137190(JP,A)
【文献】
特開平10−216221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/00
F04B 37/16
F04B 39/16
A61M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喀痰吸引用の真空発生装置であって、
吸引容器を備えた吸引器具と接続可能な配管端末器とハンドル部とを有する天面部と、底面部とを有する筐体と、
前記筐体に収容され、前記配管端末器に対して並列的に接続される第1及び第2のポンプ室を有し、前記底面部に設置される真空ポンプと、
前記筐体に収容され、前記真空ポンプに電力を供給する蓄電池と
を具備する真空発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の真空発生装置であって、
前記配管端末器と前記第1及び第2のポンプ室との間に接続される吸気フィルタと、
前記天面部と前記真空ポンプとの間に配置され、前記吸気フィルタを収容するフィルタ室と、をさらに具備する
真空発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の真空発生装置であって、
前記筐体は、前面部と、後面部とをさらに有し、
前記蓄電池及び前記フィルタ室は、前記前面部よりも前記後面部側又は前記底面部側に配置される
真空発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の真空発生装置であって、
前記後面部は、前記フィルタ室及び前記蓄電池の少なくとも1つを外部に露出させることが可能な開閉扉を有する
真空発生装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1つに記載の真空発生装置であって、
前記第1及び第2のポンプ室に接続され、前記フィルタ室に収容される排気フィルタをさらに具備する
真空発生装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の真空発生装置であって、
前記真空ポンプは、ダイアフラムポンプである
真空発生装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の真空発生装置であって、
前記筐体は、前記天面部に設けられ前記蓄電池の残量を表示する表示計をさらに有する
真空発生装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の真空発生装置であって、
前記筐体を収容可能な収容部を有し、移動体に取り付け可能に構成された取付具をさらに具備する
真空発生装置。
【請求項9】
喀痰吸引用の吸引装置であって、
吸引容器と吸引チューブとを有する吸引器具と、
前記吸引チューブと接続される配管端末器とハンドル部とを有する天面部と、底面部とを有する筐体と、
前記筐体に収容され、前記配管端末器に対して並列的に接続される第1及び第2のポンプ室を有し、前記底面部に設置される真空ポンプと、
前記筐体に収容され、前記真空ポンプに電力を供給する蓄電池と
を有する真空発生装置と
を具備する吸引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、医療用吸引器具の負圧源として利用可能な可搬型の真空発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な固定式の吸引供給設備を備えた医療施設においては、吸引供給設備と連絡する配管端末器(アウトレット)が病室や処置室の壁面に設置されており、この配管端末器に吸引器具を接続して吸引に必要な負圧を得るようにしている。一方、吸引処置を必要とされる患者を搬送する際は、配管端末器から負圧を得ることができないため、負圧源を備えた吸引器具を別途準備する必要がある。
【0003】
例えば特許文献1には、吸引器に接続される吸引容器及び吸引チューブを備えた内視鏡装置が開示されており、特許文献2には、ポンプアセンブリを内部に配置するポンプアセンブリ筐体と、吸引チューブを介して吸引した患者の体液を収集する容器とを備えた、持ち運び可能な吸引ポンプユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−245695号公報
【特許文献2】特許第5416805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、災害時や病院前救急診療時、あるいは病院内での患者搬送時など、施設の吸引供給設備を使用できない様々な状況下での吸引源の確保が問題となっている。例えば、ストレッチャ等の移動体に吸引源を設置して使用する場合には、吸引源は小型であることが好ましい。また、移動体の周囲で作業する看護師や介助者との接触による吸引チューブの脱落や破損を回避する必要がある。
【0006】
さらに、吸引源を喀痰吸引用途に適用する場合、真空ポンプとしては比較的大きな流量のポンプが要求される。このような要求に応えるために大型の真空ポンプを採用すると、吸引源そのものの小型化が困難になるという問題がある。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、小型で大流量の吸引源を構成することができる真空発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る真空発生装置は、筐体と、真空ポンプと、蓄電池とを具備する。
上記筐体は、吸引器具と接続可能な配管端末器とハンドル部とを有する天面部と、底面部とを有する。
上記真空ポンプは、上記筐体に収容され、上記配管端末器に対して並列的に接続される第1及び第2のポンプ室を有し、上記底面部に設置される。
上記蓄電池は、上記筐体に収容され、上記真空ポンプに電力を供給する。
【0009】
上記真空発生装置は、蓄電池を備えているため、別途の電力源を必要とせず、移動中においても所望とする負圧を供給することができる。
また、筐体の天面部に配管端末器が設けられているため、筐体の側方に吸引チューブが延出することを防ぐことができる。
さらに、真空ポンプは、配管端末器に対して並列的に接続される第1及び第2のポンプ室を有しているため、ポンプサイズの大型化を抑制しつつ、比較的大流量のポンプ性能を得ることができる。
【0010】
上記真空発生装置は、吸気フィルタと、フィルタ室とをさらに具備してもよい。
上記吸気フィルタは、上記配管端末器と上記第1及び第2のポンプ室との間に接続される。上記フィルタ室は、上記天面部と上記真空ポンプとの間に配置され、上記吸気フィルタを収容する。
【0011】
上記筐体は、前面部と、後面部とをさらに有し、上記蓄電池及び上記フィルタ室は、上記前面部よりも上記後面部側又は底面部側に配置されてもよい。
【0012】
上記後面部又は底面部は、上記フィルタ室及び上記蓄電池の少なくとも1つを外部に露出させることが可能な開閉扉を有してもよい。
これにより、吸気フィルタの交換及び蓄電池の着脱の作業性を高めることができる。
【0013】
上記真空発生装置は、排気フィルタをさらに具備してもよい。上記排気フィルタは、上記第1及び第2のポンプ室に接続され、上記フィルタ室に収容される。
【0014】
上記真空ポンプは、ダイアフラムポンプであってもよい。
ダイアフラムポンプは、低ダストであり、動作音も比較的静かであるため、医療用の真空発生装置として好適である。
【0015】
上記筐体は、上記天面部に設けられ上記蓄電池の残量を表示する表示計をさらに有してもよい。
【0016】
上記真空発生装置は、取付具をさらに具備してもよい。上記取付具は、上記筐体を収容可能な収容部を有し、移動体に取り付け可能に構成される。
これにより、ストレッチャ等の移動体に真空発生装置を容易に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明によれば、周囲に吸引チューブを延出させることなくストレッチャ等の移動体に搭載可能であり、小型で大流量の吸引源を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る真空発生装置の全体を示す正面斜視図である。
【
図3】上記真空発生装置の内部構造を示す正面斜視図である。
【
図5】上記真空発生装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】上記真空発生装置の適用例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る真空発生装置100の全体を示す正面斜視図、
図2はその背面斜視図である。
図3は、真空発生装置100の内部構造を示す正面斜視図、
図4はその背面斜視図である。
図5は、真空発生装置100の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1〜
図4においてX軸、Y軸及びZ軸は、相互に直交する3軸方向を示しており、X軸方向が前後方向(奥行方向)に、Y軸方向が左右方向(幅方向)に、Z軸方向が上下方向(高さ方向)にそれぞれ相当する。
【0022】
本実施形態の真空発生装置100は、筐体10と、筐体10の内部にそれぞれ収容された真空ポンプ40、蓄電池50、制御盤80等を備える。真空発生装置100は、例えば、喀痰吸引等の医療器具用可搬型負圧源として構成される。
【0023】
筐体10は、真空発生装置100の外観を構成し、天面部11、底面部12、前面部13、後面部14及び2つの側面部15,16を有する概略直方体形状に形成される。筐体10は、金属材料又はプラスチック材料で構成される。
筐体10の各部の大きさは特に限定されず、例えば本実施形態では、X軸方向の寸法が約130mm、Y軸方向の寸法が約230mm、Z軸方向の寸法が約250mmである。
【0024】
天面部11は、配管端末器21と、ハンドル部22とを有する。
配管端末器21は、図示しない吸引器具の吸引チューブの先端部(アダプタプラグ)と接続可能に構成される。本実施形態では、規格が異なる2種類の配管端末器21A,21Bを備えているが、誤接続を防止するため、何れか一方のみを備えていてもよい。
【0025】
ハンドル部22は、真空発生装置100を持ち運ぶ際にユーザにより把持される領域である。ハンドル部22は、ユーザの手指が進入可能な凹部と、その一方(図示の例では前方)の縁部に設けられたフック部とを有する。これに限られず、ハンドル部22は、天面部11に突設されたレバーやグリップ等で構成されてもよい。
【0026】
天面部11にはさらに、電源スイッチ23、蓄電池50の残電圧を表示する表示計24、表示計24を起動させるチェックボタン25等が設けられる。表示計24は、例えば複数のセグメントを有し、残電圧の大きいほど点灯するセグメントの数が多くなるように構成される。これに代えて、表示計24には現時点からの残りの使用可能時間等が表示されてもよい。
【0027】
後面部14には、上下方向に並んで配置された2つの開閉扉33,34が設けられている。開閉扉33,34は、一方の側面部16側に取り付けられたヒンジHを介して、それぞれZ軸まわりに回動可能に構成される。
【0028】
側面部15,16には、筐体10の内外を連通させる通孔31,32がそれぞれ設けられている。通孔31,32は主として、真空ポンプ40の排気ガスを筐体10の外部へ排出する排気窓としての機能と、真空ポンプ40の冷却用窓としての機能とを有する。
【0029】
真空ポンプ40は、
図3及び
図4に示すように、筐体10の底面部12上に防振ゴム44を介して設置される。真空ポンプ40は、第1のポンプ室410を有する第1のポンプ部41と、第2のポンプ室420を有する第2のポンプ部42と、第1及び第2のポンプ部42を共通に駆動するモータ部43とを有するデュアルヘッドの吸引ポンプで構成される。
【0030】
真空ポンプ40は、ダイアフラムポンプで構成される。ダイアフラムポンプは、ピストンポンプ等と比較して低ダスト及び低騒音というメリットがあるため、医療用としては特に好適である。
【0031】
モータ部43は、例えばDCモータで構成され、所定回転数で駆動されることにより第1及び第2のポンプ部41,42を作動させる。モータ部43の回転軸の両端部には図示しないファンが取り付けられている。当該ファンは、真空ポンプ40の両側部に取り付けられたファンカバー45,46を介して取り込んだ空気により、第1及び第2のポンプ部41,42を空冷する。筐体10の側面部15,16に取り付けられた通孔31,32は、これらファンカバー45,46と対向する位置にそれぞれ配置されている。
【0032】
ここで、第1及び第2のポンプ室410,420は、筐体10の幅方向(Y軸方向)に配列されているため、筐体10内にコンパクトに収容することができる。また、第1及び第2のポンプ室410,420を上述のように配置することで、筐体10の天面部11と真空ポンプ40との間に十分なスペースを確保することができるため、後述するフィルタ室S1を効率よく設置することができる。
【0033】
第1及び第2のポンプ室410,420の吸気口は相互に連通しており、吸気ラインを介して配管端末器21に対して並列的に接続される。吸気ラインは、マニホールド60、第1の吸気管61、第2の吸気管62、吸気フィルタ71及び第3の吸気管63を有する。
【0034】
マニホールド60は、配管端末器21と第1の吸気管61との間を連通させる。第2の吸気管62及び吸気フィルタ71は、筐体10の天面部11と真空ポンプ40との間に設置されたフィルタ室S1の内部に配置される。吸気フィルタ71は、配管端末器21から第1及び第2のポンプ室410,420へ吸入されるガス中の塵埃を収集し、環境の汚染を防止するためのものであり、第2の吸気管62に対して着脱(交換)可能に構成される。
【0035】
第1及び第2のポンプ室の排気口は相互に連通しており、排気管64を介して排気フィルタ72に接続される。排気フィルタ72は、フィルタ室S1の内部に配置されており、排気管64に対して着脱(交換)可能に構成される。
【0036】
フィルタ室S1は、筐体10の前面部13よりも後面部14側に配置されており、後面部14に設けられた第1の開閉扉33を開放することで、筐体10の外部からフィルタ室S1へアクセス可能に構成される。これにより、吸気フィルタ71及び排気フィルタ72の交換作業が容易となる。
【0037】
蓄電池50は、真空ポンプ40へ電力を供給する充電可能な二次電池で構成される。蓄電池50は、リチウムイオンバッテリ、ニッケル水素バッテリ等の適宜の蓄電池で構成される。本実施形態において蓄電池50の定格電圧は24Vであるが、勿論これに限られない。
【0038】
蓄電池50は、筐体10の前面部13よりも後面部14側又は底面部12側に配置されたバッテリホルダS2に装着される。バッテリホルダS2には、蓄電池50の正極及び負極と接続される図示しない端子部が設けられている。バッテリホルダS2は、後面部14又は底面部12と真空ポンプ40との間に形成されており、後面部14に設けられた第2の開閉扉34を開放することで、筐体10の外部からバッテリホルダS2へアクセス可能に構成される。これにより、蓄電池50の交換作業が容易となる。
【0039】
制御盤80は、筐体10の天面部11の内面に対向して配置され、第1の配線部材81を介してバッテリホルダS2(蓄電池50)と電気的に接続される。制御盤80は、第2の配線部材82を介して真空ポンプ40のモータ部43に電気的に接続される。さらに制御盤80は、第3の配線部材83を介して、筐体10の後面部14に取り付けられたAC電源端子(DCジャック)83aに接続される。AC電源端子83aは、図示しないアダプタを介して商用電源に接続可能であり、蓄電池50の充電時、あるいは商用電源による真空発生装置100の駆動時に用いられる。
【0040】
図5に示すように、制御盤80は、電源スイッチ23、表示計24及びチェックボタン25と電気的に接続される。制御盤80は、真空ポンプ40を駆動する駆動回路801と、表示計24の点灯を制御する制御回路802とを有する。制御盤80は、電源スイッチ23の入力操作を受けて、電源スイッチ23内のランプ部を点灯させるとともに、真空ポンプ40を駆動する。
【0041】
真空ポンプ40の駆動により、配管端末器21に接続された図示しない吸引容器の内部が排気されて、当該吸引容器の内部が所定圧力(例えば、37kPa)の減圧雰囲気に維持される。
【0042】
ここで、第1及び第2のポンプ室410,420は、配管端末器21に対して並列的に接続されているため、これらが直列的に接続される場合と比較して、比較的大流量(例えば、毎分18リットル)の吸引性能を確保することができる。したがって、大型の真空ポンプを用いることなく、例えば喀痰吸引に必要とされる吸引性能を安定に確保することができる。
【0043】
本実施形態によれば、蓄電池50を内蔵しているため、商用電源や発電機等の外部電源を必要としない。このため、災害時や病院前救急診療時、あるいは患者搬送時などにおいても所望とする負圧を安定に供給することができる。
【0044】
さらに本実施形態においては、筐体10の天面部11に蓄電池50の残留電圧を表示する表示計24が設けられているため、蓄電池50の充電タイミングの判断が容易となる。また、チェックボタン25の押圧操作時にのみ表示計24が作動(点灯)するように構成されることで、表示計24が常時作動する場合と比較して、蓄電池50の消費電力の低下を抑えることができる。
【0045】
さらに本実施形態によれば、配管端末器21、ハンドル部22、電源スイッチ23、表示計24、チェックボタン25等が筐体10の天面部11に集約して配置されているため、操作性や作業性の向上を図ることができる。特に、配管端末器21が天面部11に設けられることで、真空発生装置100に対して吸引器具を垂直方向から挿し込むことになるため、筐体10の側方に吸引チューブ等が張り出すことを阻止することができる。
【0046】
図6は、本実施形態の一適用例として、患者搬送用のストレッチャ1への真空発生装置100の搭載例を示す概略図である。真空発生装置100は、ストレッチャ1に取付具150を介して取り付けられる。取付具150は、真空発生装置100(筐体10)を収容可能な収容部151を有する箱体であって、フック部152等の適宜の係合機構を介してストレッチャ1の架台2に取り付け可能に構成される。取付具150の構成は特に限定されず、典型的には、把持部153と、収容部151の内外を連通させる通気部154等を有する。
【0047】
本実施形態の真空発生装置100は小型で低ダスト、低騒音のため、ストレッチャ1に載せられる患者の頭部側に取付具150を設置することができる。これにより、患者の口腔部等に装着される吸引器具90の近傍に真空発生装置100を設置することができるため、患者と吸引容器91との間を接続する吸引チューブ92、あるいは吸引容器91と配管端末器21との間を接続する吸引チューブ93の長さに制限がある場合に特に有利となる。さらに、筐体10の天面部11にハンドル部22が設けられているため、取付具150に対する真空発生装置100の着脱も容易である。
【0048】
吸引容器91は、ストレッチャ1に取り付けられたポール3の適宜の高さ位置に設置される。このため、ストレッチャ1の周囲のスペースを確保することができるため、ストレッチャ1の搬送操作性やストレッチャ1の周囲で作業する看護師や介助者との干渉を回避することができる。
【0049】
また、本実施形態の真空発生装置100によれば、配管端末器21が筐体10の天面部11に配置されているため、吸引チューブ93がストレッチャ1の周囲に延出することが防止される。このため、ストレッチャ1の周囲で作業する看護師や介助者との接触により吸引チューブ93が引っ張られて吸引容器91や配管端末器21から脱落することを極力回避することができる。
【0050】
さらに、吸引容器91が真空発生装置100とは別に構成されているため、吸引器具90の使用後における吸引物の廃棄が容易となり、真空発生装置100の消毒、清掃作業も不要となる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0052】
例えば以上の実施形態では、真空発生装置100がストレッチャ1へ搭載される例について説明したが、これに限られず、車いすや救急車両、ヘリコプター等の移動体にも搭載可能である。
【0053】
また以上の実施形態では、真空発生装置は、喀痰吸引器具の負圧源として構成されたが、これに限られず、血液等の体液を吸引するドレナージ等の他の医療用器具にも本発明は適用可能である。さらに、医療用以外の他の用途にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…ストレッチャ
10…筐体
11…天面部
12…底面部
13…前面部
14…後面部
21A,21B,21…配管端末器
22…ハンドル部
23…電源スイッチ
24…表示計
25…チェックボタン
33,34…開閉扉
40…真空ポンプ
410…第1のポンプ室
420…第2のポンプ室
43…モータ部
50…蓄電池
71…吸気フィルタ
72…排気フィルタ
80…制御盤
90…吸引器具
100…真空発生装置
150…取付具
S1…フィルタ室
S2…バッテリホルダ