特許第6616079号(P6616079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616079
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】閉鎖機構を有する聴覚装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 25/00 20060101AFI20191125BHJP
【FI】
   H04R25/00 Z
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-37218(P2015-37218)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-180055(P2015-180055A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】PA201470100
(32)【優先日】2014年3月3日
(33)【優先権主張国】DK
(31)【優先権主張番号】14157440.0
(32)【優先日】2014年3月3日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エツィル アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン フィン
(72)【発明者】
【氏名】フリュデンダール ミカエル
【審査官】 渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0110222(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0266167(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H04R 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
旋回軸周りで前記ハウジングに対して旋回するように前記ハウジングに取り付けられた電池扉と、
前記ハウジングに取り付けられ、第1の遠位端をもつ第1の閉鎖アームを有する閉鎖部材と、を備える聴覚装置であって、
前記電池扉が閉鎖装置を備え、前記閉鎖装置が、前記電池扉が閉位置にあるときに前記第1の閉鎖アームと係合するように構成された第1の主閉鎖要素と、前記電池扉が半閉位置にあるときに前記第1の閉鎖アームと係合するように構成された第1の2次閉鎖要素と、を有し、
前記第1の閉鎖アームが可撓性であり、それによって、前記電池扉が開位置から前記閉位置に移動するときに、前記第1の遠位端が第1の方向に変位し、前記第1の遠位端が変位する前記第1の方向が前記旋回軸に平行な主方向成分を有する、聴覚装置。
【請求項2】
前記第1の遠位端が変位する前記第1の方向が前記旋回軸に対して垂直な2次方向成分を有し、前記2次方向成分が前記主方向成分より小さい、請求項1に記載の聴覚装置。
【請求項3】
前記閉鎖部材が閉鎖本体を備え、前記第1の閉鎖アームが前記閉鎖本体から延出する、請求項1に記載の聴覚装置。
【請求項4】
前記閉鎖本体と前記第1の閉鎖アームとが、90〜170度のいずれかの値を有する角度を形成する、請求項3に記載の聴覚装置。
【請求項5】
前記閉鎖部材が金属製である、請求項1に記載の聴覚装置。
【請求項6】
前記閉鎖部材がプラスチック材料製である、請求項1に記載の聴覚装置。
【請求項7】
前記ハウジングが、前記閉鎖部材を受け入れて前記閉鎖部材を前記ハウジングに連結する収容部を備える、請求項1に記載の聴覚装置。
【請求項8】
前記第1の閉鎖アームが、前記第1の遠位端に第1の突起を備える、請求項1に記載の聴覚装置。
【請求項9】
前記閉鎖部材が第2の遠位端を有する第2の閉鎖アームを備え、前記閉鎖装置が、前記電池扉が前記閉位置にあるときに、前記第2の閉鎖アームと係合するように構成された第2の主閉鎖要素を備え、
前記第2の閉鎖アームが可撓性であり、それによって、前記電池扉が前記開位置から前記閉位置へ移動するときに、前記第2の遠位端が第2の方向に変位し、前記第2の遠位端が変位する前記第2の方向が前記旋回軸に平行な主方向成分を有する、請求項1に記載の聴覚装置。
【請求項10】
前記第1の方向と前記第2の方向とが逆向きである、請求項に記載の聴覚装置。
【請求項11】
前記第1の閉鎖アームと前記第2の閉鎖アームとが5度より大きい角度を形成する、請求項に記載の聴覚装置。
【請求項12】
前記第2の閉鎖アームが第2の突起を前記第2の遠位端に備える、請求項に記載の聴覚装置。
【請求項13】
前記閉鎖装置が、第1の2次閉鎖要素および第2の2次閉鎖要素を備え、
前記電池扉が半閉位置にあるときに、前記第1の閉鎖アームが、前記第1の2次閉鎖要素と係合するように構成され、
前記電池扉が前記半閉位置にあるとき、前記第2の閉鎖アームが、前記第2の2次閉鎖要素と係合するように構成される、請求項に記載の聴覚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、閉鎖機構を有する聴覚装置、詳細には、聴覚装置内に電池を収容および/または保持するための電池扉を有する聴覚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
補聴器業界の関心の的は、使用者に利する、より小さくより目立たない補聴器を作ることであり、したがって、補聴器の寸法を減少させることができる設計が重要である。さらに、設計が、製造するのに容易であり安価であることが、コストの観点から大きな関心事である。一般に、聴覚装置にはボタン電池が使用され、従来、補聴器の電池扉にはロッキング機構が取り付けられ、そのロッキング機構が、聴覚装置を嵩張らせ、製造プロセスを複雑にし、かつ/またはロッキング機構の高い故障率をもたらす。
【0003】
さらに、聴覚装置の部品は、頑丈で摩耗に強くなくてはならない。さらに、可動部分をぴったり合わせることが、使用感を向上させるために望ましい。
【発明の概要】
【0004】
聴覚装置に適切な改良された閉鎖機構が必要とされている。
開示されるのは、ハウジングと、ハウジングに取り付けられ、旋回軸周りでハウジングに対して旋回するように構成された電池扉と、ハウジングに取り付けられ、第1の遠位端をもつ第1の閉鎖アームを有する閉鎖部材とを備える聴覚装置である。電池扉は、この電池扉が閉位置にあるとき第1の閉鎖アームと係合するように構成された第1の主閉鎖要素を備える閉鎖装置を具備する。第1の閉鎖アームは可撓性であり、それによって、電池扉が開位置から閉位置に移動するとき、第1の遠位端が第1の方向に変位する。第1の遠位端の変位は、旋回軸に平行な主方向成分を有する。
【0005】
さらに開示されるのは、聴覚装置用の閉鎖部材である。閉鎖部材は、閉鎖本体と、第1の閉鎖アームとを備える。閉鎖本体と第1の閉鎖アームとは90〜170度の範囲内の角度を形成する。
【0006】
閉鎖部材に関する特徴の説明は、本開示の聴覚装置の閉鎖部材にも同等に適用され、その逆も同様である。したがって、説明全体に亘って、「閉鎖部材」への言及は、閉鎖部材および聴覚装置の閉鎖部材の両方への言及である。
【0007】
本開示の聴覚装置および閉鎖部材は、聴覚装置の電池扉用の耐久性があり持続性のある閉鎖機構を実現する。さらに、分離可能な閉鎖部材により、閉鎖部材と聴覚装置ハウジングとを2つの独立部品として製造することが可能になり、たとえば材料に関し、高度な設計自由度が得られる。
【0008】
閉鎖部材を聴覚装置ハウジングおよび電池扉から独立して製造することが可能であることによって、いくつもの利点がもたらされる。
【0009】
閉鎖部材を聴覚装置ハウジングとは異なる材料で製造することが容易になり得る。個別の部品の機械的要件に適合する機械的特性を有する材料によって、それぞれ異なる部品を製造することが、技術的視野では望ましい。たとえば、閉鎖部材は、機械的摩耗を受け、ハウジングの要件とは全く異なる可撓性が必要である。
【0010】
ハウジングから独立した閉鎖部材は、設計の自由度を増やす。
【0011】
さらに、本開示の聴覚装置および閉鎖部材は、必要なら交換することができる交換可能部品としての閉鎖部材を実現し、それは特に、閉鎖部材など、機械的摩耗や磨滅を受ける部品にとっては利点になる。
【0012】
さらに別の利点として、本開示の聴覚装置および閉鎖部材は、電池扉を小さくし易くし、部品の寸法公差に関する要求を抑える助けをする。
【0013】
さらに別の利点として、閉鎖部材は電池ヒンジ機構の摩耗を減少させ、たとえば、第1および/または第2の閉鎖アームの変位の主方向成分が旋回軸に平行であることによって、電池扉ヒンジ機構および閉鎖機構の摩耗が減少する。
【0014】
聴覚装置は、ハウジングと、旋回軸周りでハウジングに対して旋回するようにハウジングに取り付けられた電池扉と、ハウジングに取り付けられ、第1の遠位端をもつ第1の閉鎖アームを有する閉鎖部材とを備え、電池扉は閉鎖装置を備え、閉鎖装置は、この電池扉が閉位置にあるとき第1の閉鎖アームと係合するように構成された第1の主閉鎖要素を有し、第1の閉鎖アームは可撓性であり、それによって、電池扉が開位置から閉位置に移動するとき、第1の遠位端が第1の方向に変位し、第1の遠位端が変位する第1の方向は、旋回軸に平行な主方向成分を有する。
【0015】
任意選択で、第1の遠位端が変位する第1の方向が、旋回軸に対して垂直な2次方向成分を有し、2次方向成分は主方向成分より小さい。
【0016】
任意選択で、閉鎖部材が閉鎖本体を備え、第1の閉鎖アームがその閉鎖本体から延出する。
【0017】
任意選択で、閉鎖本体と第1の閉鎖アームとが、90〜170度のいずれかの値を有する角度を形成する。
【0018】
任意選択で、閉鎖部材は金属製でもよい。
【0019】
任意選択で、閉鎖部材はプラスチック材料製でもよい。
【0020】
任意選択で、ハウジングが、閉鎖部材を受け入れ閉鎖部材をハウジングに連結する収容部を備える。
【0021】
任意選択で、第1の閉鎖アームが、第1の遠位端に第1の突起を備える。
【0022】
任意選択で、閉鎖装置が第1の2次閉鎖要素を備え、電池扉が半閉位置にあるとき、第1の閉鎖アームが、第1の2次閉鎖要素と係合するように構成されている。
【0023】
任意選択で、閉鎖部材が第2の遠位端を有する第2の閉鎖アームを備え、閉鎖装置が電池扉が閉位置にあるときに第2の閉鎖アームと係合するように構成された第2の主閉鎖要素を備え、第2の閉鎖アームは可撓性であり、それによって、電池扉が開位置から閉位置へ移動するとき、第2の遠位端が第2の方向に変位し、第2の遠位端が変位する第2の方向は旋回軸に平行な主方向成分を有する。
【0024】
任意選択で、第1の方向と第2の方向とが逆向きである。
【0025】
任意選択で、第1の閉鎖アームと第2の閉鎖アームは、5度より大きい角度を形成する。
【0026】
任意選択で、第2の閉鎖アームが第2の遠位端に第2の突起を備える。
【0027】
任意選択で、閉鎖装置が第1の2次閉鎖要素および第2の2次閉鎖要素を備え、電池扉が半閉位置にあるとき、第1の閉鎖アームが第1の2次閉鎖要素と係合するように構成され、電池扉が半閉位置にあるとき、第2の閉鎖アームが第2の2次閉鎖要素と係合するように構成されている。
【0028】
聴覚装置用の閉鎖部材が閉鎖本体および第1の閉鎖アームを備え、閉鎖本体と第1の閉鎖アームとが90〜170度のいずれかの値を有する角度を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
以下、例示的聴覚装置およびその部品が、より詳細に図面を参照して説明される。
図1】電池扉を有する例示的聴覚装置の少なくとも部分的な概略図である。
図2】例示的電池扉の概略図である。
図3】例示的閉鎖部材の概略図である。
図4】例示的閉鎖部材の概略図である。
図5】閉鎖部材の側面図である。
図6A】電池扉が開位置にある聴覚装置の概略図である。
図6B】電池扉が開位置にある聴覚装置の概略図である。
図7A】電池扉が閉位置にある聴覚装置の概略図である。
図7B】電池扉が閉位置にある聴覚装置の概略図である。
図8A】電池扉が半閉位置にある聴覚装置の概略図である。
図8B】電池扉が半閉位置にある聴覚装置の概略図である。
図9】例示的閉鎖装置および例示的閉鎖部材の概略図である。
図10】例示的閉鎖装置および例示的閉鎖部材の概略図である。
図11】閉鎖部材を有する例示的聴覚装置ハウジングの概略図である。
図12】例示的閉鎖部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次いで、本発明が、本発明の例示的実施形態が示されている添付図面を参照して、より完全に説明される。ただし、本発明は、様々な形態で実施することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると理解されるべきではない。むしろ、これら実施形態は、本開示を完璧で完全なものにし、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提示されている。全体を通して同じ参照番号は同じ要素を示す。同じ要素は、必ずしも図の記述毎に詳細に説明していない。
【0031】
聴覚装置のハウジングは、1つまたは複数のシェル部品を備えてもよい。たとえば、ハウジングは、1つまたは複数のシェル部品を支えるフレームを備えてもよい。
【0032】
閉鎖部材は、第1の遠位端を有する第1の閉鎖アームを備える。第1の遠位端は、電池扉が開(第1の)位置から閉(第2の)位置または半閉(第3の)位置へ移動するとき、第1の方向に変位する。あるいはまたはさらに、第1の遠位端は、電池扉が閉から開位置へ移動するとき、第1の方向に変位することができる。
【0033】
第1の遠位端の変位は、旋回軸に平行な、または旋回軸から±10度以内の主方向成分を有する。第1の遠位端の変位は、2次方向成分を有してもよい。第1の遠位端の変位の2次方向成分は、旋回軸に対して垂直でよい。第1の遠位端の変位の2次方向成分は、第1の遠位端の変位の主方向成分より小さくてよく、たとえば主方向成分の50%未満である。
【0034】
第1の閉鎖アームは、第1の遠位端に第1の突起を備えてもよい。
【0035】
第1の突起は、電池扉の閉鎖装置の1つまたは複数の窪みと係合するように設計することができる。たとえば、第1の突起は、第1の主閉鎖要素と係合するように設計することができる。閉位置では、第1の突起は、第1の主閉鎖要素と係合することができる。第1の主閉鎖要素は、第1の突起をたとえば閉位置で嵌め込みまたは受け入れるように構成された窪みを形成することができる。
【0036】
閉鎖装置は第1の2次閉鎖要素を備えてもよい。第1の閉鎖アームは、電池扉が半閉位置にあるとき、第1の2次閉鎖要素と係合するように構成することができる。
【0037】
第1の突起は、第1の2次閉鎖要素と係合するように設計することができる。半閉位置では、第1の突起は、第1の2次閉鎖要素と係合することができる。第1の2次閉鎖要素は、第1の突起をたとえば半閉位置で嵌め込みまたは受け入れるように構成された窪みを形成することができる。
【0038】
使用者が電池扉を開閉するとき、すなわち、電池扉が一つの位置から別の位置へ、たとえば開、半閉、または閉位置のうちの1つから開、半閉、または閉位置のうちの別の位置へ移動するとき、第1の突起は、第1の主閉鎖要素および/または第1の2次閉鎖要素のある面、たとえば前方面または後方面に接触して、第1の閉鎖アームの第1の遠位端を変位させることができる。このように、第1の突起は、電池扉を一つの位置から別の位置へ移動させるには、使用者が、必ず電池扉に力を加えなければならないようにする。第1の突起は、閉、半閉、および/または開位置など、ある位置に電池扉を保持する。
【0039】
閉鎖部材は、第2の遠位端を有する第2の閉鎖アームを備えてもよい。閉鎖装置は、電池扉が閉位置にあるとき第2の閉鎖アームと係合するように構成された第2の主閉鎖要素を備えてもよい。第2の閉鎖アームは可撓性にすることができ、それによって、電池扉が開位置から閉位置へ移動するとき、第2の遠位端が第2の方向に変位する。あるいはまたはさらに、第2の遠位端は、電池扉が閉から開位置へ移動するとき、第2の方向に変位することができる。第2の遠位端の変位は、旋回軸に平行な主方向成分を有してよい。さらに、第2の遠位端の変位は、2次方向成分を有してもよい。第2の遠位端の変位の2次方向成分は、旋回軸に対して垂直でよい。第2の遠位端の変位の2次方向成分は、第2の遠位端の変位の主方向成分より小さくてよく、たとえば主方向成分の50%未満である。
【0040】
第2の閉鎖アームは第2の遠位端に第2の突起を備えてもよい。
【0041】
第2の突起は、電池扉の閉鎖装置の1つまたは複数の窪みと係合するように設計することができる。たとえば、第2の突起は、第2の主閉鎖要素と係合するように設計することができる。閉位置では、第2の突起は、第2の主閉鎖要素と係合することができる。第2の主閉鎖要素は、第2の突起を嵌め込みまたは受け入れるように構成された窪みを形成することができる。
【0042】
閉鎖装置は第2の2次閉鎖要素を備えてもよい。第2の閉鎖アームは、電池扉が半閉位置にあるとき第2の2次閉鎖要素と係合するように構成することができる。
【0043】
第2の突起は、第2の2次閉鎖要素と係合するように設計することができる。半閉位置では、第2の突起は、第2の2次閉鎖要素と係合することができる。第2の2次閉鎖要素は、第2の突起を嵌め込みまたは受け入れるように構成された窪みを形成することができる。
【0044】
第1の主閉鎖要素、第1の2次閉鎖要素、第2の主閉鎖要素、および/または第2の2次閉鎖要素などの閉鎖要素は、前方面、第1の面、後方面、および/または第2の面を備えてもよい。閉鎖要素の前方面および/または後方面は、旋回軸に平行な軸に対して傾けることができる。閉鎖要素の第1の面および/または第2の面は、旋回軸に平行な軸に対して垂直にすることができる。
【0045】
第1の閉鎖アームおよび/または第2の閉鎖アームなどの閉鎖アームは、前方面、第1の面、および/または後方面を備えてもよい。閉鎖アームの前方面および/または後方面は、旋回軸に平行な軸に対して傾けることができる。閉鎖アームの第1の面は、旋回軸に平行な軸に対して垂直にすることができる。閉鎖アームの前方面、第1の面、および/または後方面は、第1および/または第2の突起を形成することができる。
【0046】
使用者が電池扉を開閉するとき、すなわち、電池扉が一つの位置から別の位置へ、たとえば開、半閉、または閉位置のうちの1つの位置から開、半閉、または閉位置のうちの別の位置へ移動するとき、第2の突起は、第2の主閉鎖要素および/または第2の2次閉鎖要素のある面、たとえば前方面または後方面に接触して、第2の閉鎖アームの第2の遠位端を変位させることができる。このように、第2の突起は、電池扉を一つの位置から別の位置へ移動させるには、使用者が、必ず電池扉に力を加えなければならないようにする。第2の突起は、閉、半閉、および/または開位置などの位置に電池扉を保持する。
【0047】
1つまたは複数の第1の閉鎖要素、すなわち第1の主閉鎖要素および/または第1の2次閉鎖要素を、1つまたは複数の第2の閉鎖要素、すなわち第2の主閉鎖要素および/または第2の2次閉鎖要素とは逆向きに配置することができる。たとえば、1つまたは複数の第1の閉鎖要素を1つまたは複数の第2の閉鎖要素に向き合わせることもできるし、1つまたは複数の第1の閉鎖要素を1つまたは複数の第2の閉鎖要素に背を向けさせることもできる。
【0048】
第1の方向および/または第1の方向の主方向成分と、第2の方向および/または第2の方向の主方向成分とは逆向きにすることができる。たとえば、第1の方向および/または第1の方向の主成分と第2の方向および/または第2の方向の主成分とは、互いに向かい合ってもよいし、第1の方向および/または第1の方向の主成分と第2の方向および/または第2の方向の主成分とは、互いに背を向けてもよい。
【0049】
第1の突起が第1の主閉鎖要素に係合すると同時または実質的に同時に、第2の突起が第2の主閉鎖要素に係合するように、第1の主閉鎖要素を第2の主閉鎖要素に逆向きに配置することができる。あるいはまたはさらに、第1の突起が第1の2次閉鎖要素に係合すると同時にまたは実質的に同時に、第2の突起が第2の2次閉鎖要素に係合するように、第1の2次閉鎖要素を第2の2次閉鎖要素に逆向きに配置することができる。
【0050】
閉鎖要素を互いに逆向きに配置することによって、閉鎖要素の内部応力が低減され、かつ/または内部応力がより適切に分散される。
【0051】
第1の突起と第2の突起とは逆方向に延出することができる。たとえば第1の突起と第2の突起とは、互いの方へかつ/または向かい合って延出することができ、または第1の突起と第2の突起とは互いに背を向けて延出することができる。
【0052】
第1の方向と第2の方向とが逆向きになり、もしくは少なくともそれらそれぞれの主方向成分が逆向きになり、かつ/または第1の突起と第2の突起とが逆方向に延出するように配置することによって、聴覚装置ハウジングへの固定に関する閉鎖装置の要件を緩和することができ、その理由は、第1の遠位端の変位を第1の方向に起こさせる力が、第2の遠位端の変位を第2の方向に起こさせる別の力によって相殺され、または部分的に相殺されるからである。
【0053】
力を相殺し、内部応力を低減し、かつ/または内部応力を分散させることによって、材料および製造プロセスに関する要件が緩和し、部品損傷の危険度が低下する。さらに、設計の自由度の増加、および小型化を達成することができる。
【0054】
第1の閉鎖アームと第2の閉鎖アームとは、5度より大きい角度、たとえば10度より大きい角度、たとえば15度より大きい角度を形成することができる。第1の閉鎖アームは、第1のアーム軸に沿って延出することができる。第2の閉鎖アームは、第2のアーム軸に沿って延出することができる。第1のアーム軸と第2のアーム軸とは、5度より大きい角度、たとえば10度より大きい角度、たとえば15度より大きい角度を形成して交差することができる。第1の閉鎖アームと第2の閉鎖アームとの角度によって、閉鎖本体を小型化することができ、したがって聴覚装置を小型化することができる。
【0055】
第1および/または第2の遠位端の変位の主方向成分は、0.1mmより大きく、たとえば0.3mmより大きく、たとえば0.8mmより大きくすることができる。
【0056】
第1および/または第2の遠位端の変位の主方向成分と2次方向成分との比は、2:1より大きく、たとえば5:1より大きく、たとえば10:1より大きくすることができ、2次方向成分が主方向成分より小さい。
【0057】
閉鎖部材は、第1の閉鎖アームおよび/または第2の閉鎖アームが閉鎖本体から延出している閉鎖本体を備えていてもよい。閉鎖本体は、1つまたは複数の貫通孔または1つまたは複数の切抜き部を有していてもよい。閉鎖本体の1つまたは複数の貫通孔または切抜き部は、閉鎖部材の応力分布の改善に寄与し、かつ/または内部応力の低減を助ける。さらにまたはあるいは、1つまたは複数の閉鎖アームの弾性特性を制御することができ、かつ/または閉鎖アームの寸法でのより高度な設計自由度を可能にすることができる。閉鎖本体またはその部品は、ハウジングの収容部に係合するように構成することができる。
【0058】
閉鎖本体と第1の閉鎖アームおよび/または第2の閉鎖アームとは、180度未満、たとえば90〜170度の範囲内、たとえば110〜150度の範囲内、たとえば120〜130度の範囲内の角度を形成することができる。閉鎖本体と1つまたは複数のアームとの角度は、電池扉の閉鎖をより容易なものにすることができる。その角度が、電池扉が旋回軸周りで回転している間に電池扉の閉鎖装置を閉鎖部材に係合させることを可能にする。さらに、その角度が、電池室の外周に近接して閉鎖装置を配置することを可能にし、その結果、小型の電池扉および聴覚装置が実現される。
【0059】
閉鎖部材は着脱可能にハウジングに取り付けることができる。ハウジングは、閉鎖部材を受け入れて閉鎖部材をハウジングに連結する収容部を備えてもよい。収容部は、閉鎖本体またはその部品と係合するように構成されていてもよい。
【0060】
収容部および/または閉鎖本体は、収容部ロッキング要素および/または閉鎖本体ロッキング要素など、1つまたは複数のロッキング要素を備えてもよい。1つまたは複数のロッキング要素は、たとえばプレスフィットロック、クリックロック、および/またはツイストロックを用いて、閉鎖本体が収容部に挿入されたとき閉鎖部材を保持するように働く。
【0061】
収容部は、収容部ロッキング要素、たとえば突起および/または窪みを備えてもよい。閉鎖本体は、閉鎖本体ロッキング要素、たとえば突起および/または窪みを備えてもよい。収容部ロッキング要素および/または閉鎖本体ロッキング要素は、閉鎖本体が収容部に挿入されたとき相互に働いて閉鎖部材を保持することができる。
【0062】
収容部は、閉鎖本体の第1の側部を受け入れるための第1のレールを備えてもよい。さらに、収容部は、第1のレールに対向する第2のレールを備えてもよい。第2のレールは、閉鎖本体の第2の側部を受け入れるように構成されていてもよい。
【0063】
閉鎖部材は、閉鎖本体によって定められる面に平行、または実質的に平行な方向で、閉鎖本体を摺動部に滑り込ませることによって、収容部に受け入れることができる。
【0064】
閉鎖部材は、閉鎖本体によって定められる面に垂直、または実質的に垂直な方向で、閉鎖本体を摺動部に押し込むことによって、収容部に受け入れることができる。
【0065】
閉鎖部材を受け入れる収容部を設けることによって、閉鎖部材をハウジングから独立させることができる。閉鎖部材をハウジングから独立させることによって、設計および製造での可能性を増すことができ、また、たとえば不具合時に、閉鎖部材を容易に交換できるようになる。
【0066】
閉鎖部材は、様々な材料で形成することができ、そのそれぞれが、耐摩耗性、延性、可撓性、表面摩擦などにおいて様々な利点を有する。閉鎖部材は金属製でもよい。閉鎖部材は、POM(ポリオキシメチレン)および/またはABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)など、プラスチック材料製でもよい。たとえば、POMは、その可撓性および表面摩擦によって有利であり得る。
【0067】
図1は、電池扉12を有する例示的聴覚装置2を概略的に示す。聴覚装置2はハウジング4を備える。電池扉12は電池室19を備える。電池扉12は、ハウジング4に旋回的に連結され、旋回軸13の周りで旋回し、それによって、電池扉は、開位置と閉位置との間で回転することができる。図1では、電池扉12は閉位置に示されている。
【0068】
図2は、閉鎖装置14を有する例示的電池扉12を概略的に示す。閉鎖装置14は、第1の主閉鎖要素16と、任意選択で第1の2次閉鎖要素18とを備える。図2はさらに、旋回軸13を示している。
【0069】
第1の主閉鎖要素16および第1の2次閉鎖要素18は、旋回軸13に対して実質的に平行な方向に陥入する窪みである。第1の主閉鎖要素16および第1の2次閉鎖要素18は、閉鎖部材の第1および/または第2の突起を受け入れるように構成されている。
【0070】
図3は、例示的閉鎖部材6を概略的に示す。閉鎖部材6は、第1の遠位端10を有する第1の閉鎖アーム8を備える。図示の閉鎖部材6は、第2の遠位端30を有する第2の閉鎖アーム28をさらに備える。閉鎖部材6は閉鎖本体24を備え、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28が閉鎖本体24から延出する。
【0071】
第1の閉鎖アーム8は第1の突起20を備える。第1の突起20は、閉鎖本体から遠位に位置する。第1の突起は、図3では、第1の閉鎖アーム8の第1の遠位端10に示されている。
【0072】
第2の閉鎖アーム28は第2の突起36を備える。第2の突起36は、閉鎖本体から遠位に位置する。第2の突起は、図3では、第2の閉鎖アーム28の第2の遠位端30に示されている。
【0073】
図4は、前方から見た例示的閉鎖部材6を概略的に示している。閉鎖部材6は、第1の遠位端10および第1の突起20を有する第1の閉鎖アーム8を備えている。閉鎖部材6は、第2の遠位端30および第2の突起36を有する第2の閉鎖アーム28をさらに備えている。閉鎖部材6は閉鎖本体24を備えており、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28が閉鎖本体24から延出している。
【0074】
第1の閉鎖アーム8は可撓性であり、それによって、第1の遠位端10が第1の方向22に変位可能である。第2の閉鎖アーム28は可撓性であり、それによって、第2の遠位端30が第2の方向38に変位可能である。
【0075】
閉鎖本体24は貫通孔25を備えている。その貫通孔は、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28の遠位端10、30が、それぞれの第1の方向22および第2の方向38に変位したときに、閉鎖本体24の内部応力を減少させる手段として働く。
【0076】
第1の突起20は、閉鎖装置14の第1の主閉鎖要素16および/または第1の2次閉鎖要素18に嵌まり込むように構成されている。第2の突起36は、閉鎖装置14の第2の主閉鎖要素32および/または第2の2次閉鎖要素34に嵌まり込むようになされている。
【0077】
閉鎖装置14が閉鎖部材6に係合しようとするとき、第1の閉鎖アーム8は第1の方向22に変位させられ、かつ/または第2の閉鎖アーム28は第2の方向38に変位させられる。変位は、図示の例では、部分的に第1の突起20および第2の突起36の形状に依存する。それに加えてあるいはその代わりに、変位は、閉鎖装置14の形状に依存することもある。
【0078】
図5は、側方から見た例示的閉鎖部材6を概略的に示す。図5は、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28が、閉鎖本体24から閉鎖本体アーム角度βで延出していることを示す。閉鎖本体アーム角度βは、90〜180度でよく、105〜140度などである。図5は、第1の閉鎖アーム8と第2の閉鎖アーム28とが、実質的に同じ大きさの閉鎖本体アーム角度βで閉鎖本体24から延出しているところを示す。ただし、第1の閉鎖アーム8と第2の閉鎖アーム28とは、異なる角度で閉鎖本体24から延出してもよく、たとえば、第1の閉鎖アーム8は第1の閉鎖本体アーム角度βで閉鎖本体24から延出し、第2の閉鎖アーム28は第2の閉鎖本体アーム角度βで閉鎖本体24から延出してもよい。
【0079】
図6Aおよび6Bは、閉鎖部材6および電池扉12が開位置にある例示的聴覚装置ハウジング4を概略的に示す。電池扉12は、旋回軸13の周りで回転可能である。
【0080】
図6Bに見られるように、電池扉12は閉鎖装置14を備える。閉鎖装置は、第1の主閉鎖要素16と、第1の2次閉鎖要素18と、第2の主閉鎖要素32と、第2の2次閉鎖要素34とを備える。電池扉を、閉位置に向けて旋回軸13の周りで回転させると、第1の閉鎖アーム8が第1の方向22に変位させられ、第2の閉鎖アーム28が第2の方向38に変位させられる。
【0081】
電池扉が閉位置に向かって回転すると、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28の遠位端の傾斜面と閉鎖装置14の傾斜面との接触によって、第1の閉鎖アームおよび第2の閉鎖アーム28がそれぞれ第1の方向22および第2の方向38に変位させられる。
【0082】
図7Aおよび7Bは、閉鎖部材6および電池扉12が閉位置にある例示的聴覚装置ハウジング4を概略的に示す。電池扉12は、旋回軸13の周りで回転可能である。図6Aおよび6Bに示された開位置と比較すると、電池扉12が旋回軸13周りで回転して、電池扉12の閉鎖装置14が閉鎖要素6に係合している。
【0083】
第1の閉鎖アーム8の第1の突起20が、第1の主閉鎖要素16と係合し、それによって、電池扉12が閉位置に保持される。
【0084】
さらに、図示の例は、第2の突起36を有する第2の閉鎖アーム28を備える閉鎖部材6を示す。第2の突起36は、閉鎖装置14の第2の主閉鎖要素32と係合する。それによって、図示の例では、第2の突起36が第2の主閉鎖要素32と係合することによって、電池扉12が閉位置にさらに保持される。
【0085】
図7Aおよび7Bに示された閉位置は、電気回路が電池扉内に配置された電池に電気的に接続され、それによって聴覚装置が電池によって電力供給される、オン位置にすることができる。
【0086】
電池扉12を閉位置へ回転させたとき、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28の可撓性、および第1の主閉鎖要素16および第2の主閉鎖要素32によって設けられた窪みが、第1の遠位端10および第2の遠位端30を、それらそれぞれの第1の方向22および第2の方向38とは反対向きに変位させる。
【0087】
図7Aおよび7Bに示された閉位置から図6Aおよび6Bに示された開位置への旋回軸13周りの電池扉12の回転は、第1の遠位端10の第1の方向22での変位および第2の遠位端30の第2の方向38での変位を伴うことが明白である。電池扉が開位置にあるとき、第1の遠位端10および第2の遠位端30は、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28の可撓性により、第1の方向22および第2の方向38とは反対向きにそれぞれ変位することによって、それぞれの初期の弛緩位置を回復する。
【0088】
第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28の可撓性は、閉鎖部材6全体の材質および設計によって得ることができることは極めて明白である。
【0089】
図8Aおよび8Bは、閉鎖部材6および電池扉12が半閉位置にある例示的聴覚装置ハウジング4を概略的に示す。電池扉12は、旋回軸13の周りで回転可能である。図6Aおよび6Bに示された開位置、および図7Aおよび7Bに示された閉位置と比較すると、電池扉12が旋回軸13周りで回転して、閉鎖装置14が閉鎖要素6と半閉位置で係合している。
【0090】
半閉位置は、第1の2次閉鎖要素18および任意選択で第2の2次閉鎖要素34を備える閉鎖装置によって設定される。半閉位置では、第1の突起20が第1の2次閉鎖要素18と係合し、かつ/または第2の突起36が第2の2次閉鎖要素34と係合する。
【0091】
図9は、例示的閉鎖装置14および例示的閉鎖部材6を概略的に示す。閉鎖装置14は、第1の主閉鎖要素16を備える。図9に示された閉鎖装置14は、任意選択の第1の2次閉鎖要素18と、任意選択の第2の主閉鎖要素32と、任意選択の第2の2次閉鎖要素34とをさらに備える。閉鎖要素16、18、32、34のそれぞれは、前方面16A、18A、32A、34Aと、第1の面16B、18B、32B、34Bと、後方面16C、18C、32C、34Cと、第2の面16D、18D、32D、34Dを備える。閉鎖部材6は、第1の閉鎖アーム8と、任意選択の第2の閉鎖アーム28とを備える。第1の突起20が、第1の閉鎖アーム8の第1の遠位端10の近くに位置する。第2の突起36が、第2の閉鎖アーム28の第2の遠位端30の近くに位置する。
【0092】
第1および第2の突起20、36のそれぞれは、前方面20A、36Aと、遠位面20B、36Bと、後方面20C、36Cをそれぞれ備える。
【0093】
図10は、図9にも示した例示的閉鎖装置14および例示的閉鎖部材6を概略的に示す。図10では、より分かり易くするために一部の参照番号が省略されている。
【0094】
第1の閉鎖アーム8の前方面20Aは、閉鎖アーム前方面角度θだけ傾斜している。第1の閉鎖アーム8の後方面20Cは、閉鎖アーム後方面角度θだけ傾斜している。図9および図10に示されるように、第2の閉鎖アーム28の前方面36Aおよび後方面36Cは、第1の閉鎖アーム8の前方面20Aおよび後方面20Cと同様な角度を呈することができる。ただし、別の例示的閉鎖部材では、第2の閉鎖アーム28の形状が、第1の閉鎖アーム8とは異なることもある。
【0095】
第1の主閉鎖要素16の前方面16Aは、主閉鎖要素前方面角度αだけ傾斜し、第1の主閉鎖要素16の後方面16Cは、主閉鎖要素後方面角度αだけ傾斜している。第1の主閉鎖要素16の第1の面16Bは、主閉鎖要素高さHを有する。主閉鎖高さHは、0.1〜0.5mmの範囲内、または0.2〜0.4mmの範囲内、または0.25〜0.35mmの範囲内でよい。
【0096】
第1の2次閉鎖要素18の前方面18Aは、2次閉鎖要素前方面角度αだけ傾斜し、第1の2次閉鎖要素18の後方面18Cは、2次閉鎖要素後方面角度αだけ傾斜している。第1の2次閉鎖要素18の第1の面18Bは、2次閉鎖要素高さHを有する。2次閉鎖高さHは、0.1〜0.6mmの範囲内、または0.2〜0.5mmの範囲内、または0.3〜0.4mmの範囲内でよい。
【0097】
図10に示されるように、第2の主閉鎖要素32の前方面32A、後方面32C、および第1の面32Bは、第1の主閉鎖要素16の前方面16A、後方面16C、および第1の面16Bと同様な角度および高さを呈することができる。さらに、第2の2次閉鎖要素34の前方面34A、後方面34C、および第1の面34Bは、第1の2次閉鎖要素18の前方面18A、後方面18C、および第1の面18Bと同様な角度および高さを呈することができる。ただし、別の例示的閉鎖装置では、第2の主閉鎖要素32および第2の2次閉鎖要素34の形状が、第1の主閉鎖16および/または第1の2次閉鎖要素18の形状とは異なることもある。
【0098】
上記の角度は、図10に示されるように、それぞれの面と旋回軸13に平行な交差軸との間で計測される。
【0099】
閉鎖アーム前方面角度θ、主閉鎖要素前方面角度α、および/または2次閉鎖要素前方面角度αは、25〜70度、たとえば30〜60度、たとえば35〜50度でもよい。
【0100】
閉鎖アーム前方面角度θは、主閉鎖要素前方面角度α、および/または2次閉鎖要素前方面角度αに一致させることができる。たとえば、閉鎖アーム前方面角度θ、主閉鎖要素前方面角度α、および/または2次閉鎖要素前方面角度αは、たとえば円滑な閉鎖を実現するために、10度以内の差、または5度以内の差など、実質的に等しくすることができる。
【0101】
主閉鎖要素前方面角度αと2次閉鎖要素前方面角度αとは、2度より大きな差、たとえば4度より大きな差、たとえば6度より大きな差があってもよい。主閉鎖要素前方面角度αと2次閉鎖要素前方面角度αとの差は、電池扉12を開位置から半閉位置へ旋回するときと、電池扉12を半閉位置から閉位置へ旋回するときとの感覚の差を使用者に与えるという利点になり得る。
【0102】
閉鎖アーム後方面角度θ、主閉鎖要素後方面角度α、および/または2次閉鎖要素後方面角度αは、30〜80度、たとえば45〜70度、たとえば55〜65度でもよい。
【0103】
閉鎖アーム後方面角度θは、主閉鎖要素後方面角度α、および/または2次閉鎖要素後方面角度αと一致させることができる。たとえば、閉鎖アーム後方面角度θ、主閉鎖要素後方面角度α、および/または2次閉鎖要素後方面角度αは、たとえば円滑な開放を実現するために、10度以内の差、または5度以内の差など、実質的に等しくすることができる。
【0104】
主閉鎖要素後方面角度αと2次閉鎖要素後方面角度αとは、2度より大きな差、たとえば4度より大きな差、たとえば6度より大きな差があってもよい。主閉鎖要素後方面角度αと2次閉鎖要素後方面角度αとの差は、電池扉12を閉位置から半閉位置へ旋回するときと、電池扉12を半閉位置から開位置へ旋回するときとの感覚の差を使用者に与えるという利点になり得る
【0105】
主閉鎖要素前方面角度αと主閉鎖要素後方面角度αとは、2度より大きな差、たとえば4度より大きな差、たとえば6度より大きな差があってもよい。主閉鎖要素前方面角度αと主閉鎖要素後方面角度αとの差は、電池扉12を閉位置から半閉または開位置へ旋回するときと、電池扉12を半閉または開位置から閉位置へ旋回するときとの感覚の差を使用者に与えるという利点になり得る。
【0106】
主閉鎖要素前方面角度αは主閉鎖要素後方面角度αより大きくてもよく、それによって、電池扉12を開または半閉位置から閉位置へ旋回するのに要する力が、電池扉12を閉位置から半閉または開位置へ旋回するのに要する力より小さい電池扉が得られる。
【0107】
任意選択の第1の2次閉鎖要素18が省略された場合には、電池扉12が閉位置から開位置へ、また逆に開位置から閉位置へ旋回される。
【0108】
2次閉鎖要素前方面角度αと2次閉鎖要素後方面角度αとは、2度より大きな差、たとえば4度より大きな差、たとえば6度より大きな差があってもよい。2次閉鎖要素前方面角度αと2次閉鎖要素後方面角度αとの差は、電池扉12を半閉位置から開位置へ旋回するときと、電池扉12を開位置から半閉位置へ旋回するときとの感覚の差を使用者に与えるという利点になり得る。
【0109】
2次閉鎖要素前方面角度αは2次閉鎖要素後方面角度αより大きくてもよく、それによって、電池扉12を半閉位置から閉位置へ旋回するのに要する力が、電池扉12を開位置から半閉位置へ旋回するのに要する力より小さい電池扉12が得られる。
【0110】
主閉鎖要素高さHおよび2次閉鎖要素高さHは、閉鎖装置14が第1の閉鎖アーム8と係合するのに必要な第1の遠位端10の変位を示す。したがって、閉鎖要素高さH、Hは、閉鎖要素6が弛緩状態にあるとき、すなわち開位置にあるなど、閉鎖装置14と接触していないときの閉鎖アーム8の第1の面20Bに対して測定される。
【0111】
主閉鎖要素高さHと2次閉鎖要素高さHとは、電池扉12を開位置と半閉位置との間で旋回させるときと、電池扉12を半閉位置と閉位置との間で旋回させるときとの感覚の差を使用者に与えるために、異なってもよい。たとえば、2次閉鎖要素高さHが主閉鎖要素高さHより大きくてもよい。
【0112】
図11は、閉鎖部材6を有する例示的聴覚装置ハウジング4を概略的に示す。閉鎖部材6は、前出の諸図に関して説明した閉鎖部材6と同様である。ハウジングは、閉鎖部材6を受け入れるように構成されており、閉鎖部材6をハウジング4に連結する収容部26を備える。それによって、閉鎖部材6は取外し可能にハウジング4に取り付けられる。収容部26は、閉鎖部材6の閉鎖本体24を摺動式に受け入れ、係合するように構成されている。
【0113】
図12は、前方から見た例示的閉鎖部材6’を概略的に示す。閉鎖部材6’は、図4で説明した閉鎖部材6と同様である。ただし、閉鎖部材6’の閉鎖本体24が切抜き部25’を有する。切抜き部25’は、第1の閉鎖アーム8および第2の閉鎖アーム28の遠位端10、30が、それぞれの第1の方向22および第2の方向38に変位したとき、閉鎖本体24の内部応力を減少させる手段として働く。
【0114】
閉鎖本体24の切抜き部25’の構造によって、閉鎖本体24が第1の閉鎖本体ロックアーム27と第2の閉鎖本体ロックアーム27’とを備えることになる。第1および第2の閉鎖本体ロックアーム27、27’は、図11に関して説明したように、聴覚装置ハウジング4の収容部26に挿入されたとき閉鎖部材6’を固定するように働くことができる。
【0115】
さらに、以下の項目のいずれかに示される聴覚装置および閉鎖部材が開示される。
(項目1)
ハウジングと、
ハウジングに取り付けられ、旋回軸周りでハウジングに対して旋回するように構成された電池扉と、
ハウジングに取り付けられ、第1の遠位端をもつ第1の閉鎖アームを有する閉鎖部材と
を備える聴覚装置であって、
電池扉が、この電池扉が閉位置にあるとき第1の閉鎖アームと係合するように構成された第1の主閉鎖要素を備える閉鎖装置を具備し、
第1の閉鎖アームが可撓性であり、それによって、電池扉が開位置から閉位置に移動するときに、第1の遠位端が第1の方向に変位し、第1の遠位端の変位が旋回軸に平行な主方向成分を有する聴覚装置。
(項目2)
第1の遠位端の変位が、旋回軸に対して垂直な2次方向成分を有し、2次方向成分が主方向成分より小さい項目1に記載の聴覚装置。
(項目3)
閉鎖部材が閉鎖本体を備え、第1の閉鎖アームがその閉鎖本体から延出する項目1または2に記載の聴覚装置。
(項目4)
閉鎖本体と第1の閉鎖アームとが、90〜170度の範囲内の角度を形成する項目3に記載の聴覚装置。
(項目5)
閉鎖部材が金属製である項目1〜4のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目6)
閉鎖部材が、POM(ポリオキシメチレン)などのプラスチック材料製である項目1〜4のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目7)
ハウジングが、閉鎖部材を受け入れ閉鎖部材をハウジングに連結する収容部を備える項目1〜6のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目8)
第1の閉鎖アームが第1の遠位端に第1の突起を備える項目1〜7のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目9)
閉鎖装置が第1の2次閉鎖要素を備え、電池扉が半閉位置にあるときに、第1の閉鎖アームが、第1の2次閉鎖要素と係合するように構成される項目1〜8のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目10)
閉鎖部材が第2の遠位端を有する第2の閉鎖アームを備え、閉鎖装置が電池扉が閉位置にあるときに第2の閉鎖アームと係合するように構成された第2の主閉鎖要素を備え、第2の閉鎖アームが可撓性であり、それによって、電池扉が開位置から閉位置へ移動するときに、第2の遠位端が第2の方向に変位し、第2の遠位端の変位が旋回軸に平行な主方向成分を有する項目1〜9のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目11)
第1の方向と第2の方向とが反対向きである項目10に記載の聴覚装置。
(項目12)
第1の閉鎖アームと第2の閉鎖アームとが5度より大きい角度を形成する項目10または11に記載の聴覚装置。
(項目13)
第2の閉鎖アームが第2の突起を第2の遠位端に備える項目10〜12のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目14)
閉鎖装置が第2の2次閉鎖要素を備え、電池扉が半閉位置にあるときに、第2の閉鎖アームが第2の2次閉鎖要素と係合するように構成される項目10〜13のいずれか一項に記載の聴覚装置。
(項目15)
聴覚装置用の閉鎖部材であって、閉鎖部材が閉鎖本体および第1の閉鎖アームを備え、閉鎖本体と第1の閉鎖アームとが90〜170度の範囲内の角度を形成する閉鎖部材。
【符号の説明】
【0116】
2:聴覚装置
4:ハウジング
6:閉鎖部材
8:第1の閉鎖アーム
10:第1の遠位端
12:電池扉
13:旋回軸
14:閉鎖装置
16:第1の主閉鎖要素
16A:第1の主閉鎖要素の前方面
16B:第1の主閉鎖要素の第1の面
16C:第1の主閉鎖要素の後方面
16D:第1の主閉鎖要素の第2の面
18:第1の2次閉鎖要素
18A:第1の2次閉鎖要素の前方面
18B:第1の2次閉鎖要素の第1の面
18C:第1の2次閉鎖要素の後方面
18D:第1の2次閉鎖要素の第2の面
19:電池室
20:第1の突起
20A:第1の閉鎖アームの前方面
20B:第1の閉鎖アームの第1の面
20C:第1の閉鎖アームの後方面
22:第1の方向
24:閉鎖本体
25:貫通孔
25’:切抜き部
26:収容部
27:第1の閉鎖本体ロックアーム
27’:第2の閉鎖本体ロックアーム
28:第2の閉鎖アーム
30:第2の遠位端
32:第2の主閉鎖要素
32A:第2の主閉鎖要素の前方面
32B:第2の主閉鎖要素の第1の面
32C:第2の主閉鎖要素の後方面
32D:第2の主閉鎖要素の第2の面
34:第2の2次閉鎖要素
34A:第2の2次閉鎖要素の前方面
34B:第2の2次閉鎖要素の第1の面
34C:第2の2次閉鎖要素の後方面
34D:第2の2次閉鎖要素の第2の面
36:第2の突起
36A:第2の閉鎖アームの前方面
36B:第2の閉鎖アームの第1の面
36C:第2の閉鎖アームの後方面
38:第2の方向
50:第1の遠位端の変位
52:第1の遠位端の変位の主方向成分
54:第1の遠位端の変位の2次方向成分
60:第2の遠位端の変位
62:第2の遠位端の変位の主方向成分
64:第2の遠位端の変位の2次方向成分
θ:閉鎖アーム前方面角度
θ:閉鎖アーム後方面角度
α:主閉鎖要素前方面角度
α:主閉鎖要素後方面角度
α:2次閉鎖要素前方面角度
α:2次閉鎖要素後方面角度
β:閉鎖本体アーム角度
:主閉鎖要素高さ
:2次閉鎖要素高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12