特許第6616100号(P6616100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616100乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616100
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20191125BHJP
   A23L 3/46 20060101ALI20191125BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20191125BHJP
   A23L 2/84 20060101ALI20191125BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20191125BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20191125BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20191125BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20191125BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   A23L5/00 D
   A23L3/46
   A23L2/00 Q
   A23L2/84
   A61K9/14
   A61K47/36
   A61K35/744
   A61K35/745
   A61P3/02
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-100273(P2015-100273)
(22)【出願日】2015年5月15日
(65)【公開番号】特開2016-214107(P2016-214107A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】西澤 良之
【審査官】 伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−017337(JP,A)
【文献】 特開2006−225380(JP,A)
【文献】 特開2014−143986(JP,A)
【文献】 特開2007−320946(JP,A)
【文献】 特開2008−307028(JP,A)
【文献】 特開2007−330177(JP,A)
【文献】 特開2010−090073(JP,A)
【文献】 特開2010−126700(JP,A)
【文献】 特開2006−042805(JP,A)
【文献】 特開2010−095465(JP,A)
【文献】 特開2014−054191(JP,A)
【文献】 特開2003−033173(JP,A)
【文献】 特開2007−126365(JP,A)
【文献】 特開2014−162736(JP,A)
【文献】 特開2011−201840(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0070335(US,A1)
【文献】 特開2006−230404(JP,A)
【文献】 特開平03−206870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00
A23L 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性高分子物質を含む噴霧液に乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体を9,000rpm〜14,000rpm、15分間〜20分間の条件で微細に分散させる工程と、
粉剤を仕込んだ流動層造粒装置内で前記噴霧液を噴霧する工程とを含み、
前記水溶性高分子物質が、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンの少なくともいずれかであり、
前記粉剤が、オリゴ糖粉末及びデキストリン粉末の少なくともいずれかであり、
水中における分散粒子径(50%粒子径)が、0.72μm以下の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物を得ることを特徴とする乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法。
【請求項2】
水溶性高分子物質がデキストリンを含む請求項1に記載の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法。
【請求項3】
乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物が飲料用である請求項1から2のいずれかに記載の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒体への分散性に優れ、飲料等の風味を変化させない乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物は、医薬品や食品分野で用いられている。
【0003】
前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物の製造方法としては、様々な方法が提案されている。
例えば、流動層乾燥機を使用し、流動層中で分散している脱脂粉乳、米粉、もしくは小麦粉に、10から20%(最終濃度)のシュークロース水溶液に懸濁した乳酸菌を噴霧し、乳酸菌を生きたまま乾燥させる方法(例えば、特許文献1参照)、粒状物としての賦形剤に結合剤を吹き付け、造粒を行い、造粒物を得る工程と、乳酸菌懸濁液を噴霧乾燥すると同時に前記造粒物と混合する工程とを含む方法(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
また、前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物としては、ミネラル成分を高濃度で含む乳酸菌を含んでなる、水性媒体に分散・溶解して用いる組成物も提案されている(例えば、特許文献3参照)。前記提案では、乳酸菌とその他の配合成分とを混合し、前記混合物に対し水をバインダーとして、流動層造粒装置を用いて造粒し、組成物を製造している。
【0004】
しかしながら、特許文献1〜2では生菌を使用している。生菌粉末製剤では水分の影響などにより発酵が進行することがあり、不快な臭いの発生など商品価値を減ずることがある。また、生菌処理物を飲料などに分散させた場合、造粒した生菌を液に入れると増殖を始めるので飲料の味や香り等が変化する恐れがある、生産工程では生菌を扱う以上ライン汚染の可能性が消えない、一定の生菌数を確保することが困難なため品質にバラつきが生じやすい、品質を一定に保つためには様々な添加剤を加えたり、加工工程を増やしたりする必要がある、処理物の生菌数はどうしても少なくなるため、生菌の摂取量を増やすには多量に摂取する必要がある、加熱が出来なかったり冷蔵保存する必要がある等、生菌を扱うには様々な問題がある。そのうえ、特別なコーティング等を施していない生菌を摂取しても胃酸により死滅することから、その生菌を摂取する効力はかなり限定的であり、摂取しても生菌数を維持させるには腸溶性のコーティングを施すなど、製造工程を増やす必要がある。
特許文献3は生菌か死菌かは不明だが、水性媒体への分散性は、十分とは言えないという問題がある。例えば、介護補助食品等では患者が飲食する直前に乳酸菌及び/又はビフィズス菌含有粉末組成物を水性媒体に分散させるものがあり、これが手でも素早く出来ないと介護者の負担が増大してしまう。
【0005】
したがって、水性媒体への分散性に優れ、飲料等の風味を変化させない乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物の製造方法の速やかな提供が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−206870号公報
【特許文献2】特開平9−289890号公報
【特許文献3】特開2002−17337号公報
【特許文献4】特開2006−230404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、水性媒体への分散性に優れ、飲料等の風味を変化させない乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物を簡易に、短時間で製造できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 水溶性高分子物質を含む噴霧液に乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体を微細に分散させる工程と、
粉剤を仕込んだ流動層造粒装置内で前記噴霧液を噴霧する工程とを含むことを特徴とする乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法である。
<2> 水溶性高分子物質がデキストリンを含む前記<1>に記載の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法である。
<3> 粉剤がプレバイオティクスを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水性媒体への分散性に優れ、飲料等の風味を変化させない乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物を簡易に、短時間で製造できる方法を提供することができる。そして、前記組成物は菌体含量を多く出来るので少量でも効果があり、加熱も可能で冷蔵保存する必要もなく、味や風味の加工も容易で設計の自由度が高い。また水性媒体への分散性が非常に高いので、飲料への添加が容易であることはもちろん、介護補助食品等でも手早く分散させて使うことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法)
本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造方法は、分散工程と、流動層造粒工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0011】
<分散工程>
前記分散工程は、水溶性高分子物質を含む噴霧液に乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体を微細に分散させる工程である。
【0012】
−噴霧液−
前記噴霧液は、乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体と、水溶性高分子物質とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
【0013】
−−乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体−−
前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体は、市販品を使用してもよいし、培養した乳酸菌及び/又はビフィズス菌を死菌化処理したものを使用してもよい。
【0014】
前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌を死菌化処理する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、加熱処理などが挙げられる。
【0015】
前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エンテロコッカス属細菌、ラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス属細菌、ビフィドバクテリウム属細菌、バチルス属細菌、クロストリジウム属細菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
前記エンテロコッカス属細菌の具体例としては、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(E.faecium)などが挙げられる。
【0017】
前記ラクトバチルス属細菌の具体例としては、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidphilus)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス・マリ(L.mali)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ブヒネリ(L.buchneri)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・ジョンソニー(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ガリナラム(L.gallinarum)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・ラムノーザス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・ケフィア(L.kefir)、ラクトバチルス・パラカゼイ(L.paracasei)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.crispatus)などが挙げられる。
【0018】
前記ストレプトコッカス属細菌の具体例としては、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptcoccus thermophilus)などが挙げられる。
【0019】
前記ラクトコッカス属細菌の具体例としては、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)などが挙げられる。
【0020】
前記ビフィドバクテリウム属細菌の具体例としては、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(B.catenulatum)などが挙げられる。
【0021】
前記バチルス属細菌の具体例としては、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス・コアグランス(B.coagulans)などが挙げられる。
【0022】
前記クロストリジウム属細菌の具体例としては、クロストリジウム・ブチリカム(Clostoridium butilicum)などが挙げられる。
【0023】
前記噴霧液における乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
−−水溶性高分子物質−−
前記水溶性高分子物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、デキストリン、プルラン、水溶性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、コストや作業性の点で、デキストリンを含むことが好ましい。
前記水溶性セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどが挙げられる。
【0025】
前記噴霧液における水溶性高分子物質の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の培養液に含まれる成分などが挙げられる。
【0027】
−−態様−−
前記噴霧液は、前記水溶性高分子物質を含む水性媒体に前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体を加えたものであってもよいし、前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の培養液を死菌化処理したものに前記水溶性高分子物質を加えたものであってもよい。
【0028】
前記水性媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール水溶液などが挙げられる。
【0029】
−分散−
前記分散工程では、噴霧液中における乳酸菌及び/又はビフィズス菌を菌体一次粒子にまで微粒子化することが好ましい。
前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホモジナイザー、ミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザーなどを用いる方法が挙げられる。
【0030】
前記分散の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0031】
<流動層造粒工程>
前記流動層造粒工程は、粉剤を仕込んだ流動層造粒装置内で前記噴霧液を噴霧する工程である。
前記流動層造粒工程により、前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体が、前記粉剤に固定化される。
【0032】
−流動層造粒−
前記流動層造粒に用いる装置としては、特に制限はなく、公知の流動層造粒装置を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フローコーター、スパイラフロー、グラニュレックス(いずれもフロイント産業株式会社製)などが挙げられる。
【0033】
−−粉剤−−
前記粉剤としては、特に制限はなく、公知の粉剤を最終製品の目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プレバイオティクス、糖類、澱粉又はその分解物、セルロース、ミネラル類、ビタミン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ヒトの健康に有益な効果が得られる点で、プレバイオティクスを含むことがより好ましい。
【0034】
前記プレバイオティクスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、オリゴ糖、食物繊維などが挙げられる。
前記オリゴ糖の具体例としては、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、コーヒー豆マンノオリゴ糖、グルコン酸などが挙げられる。
前記食物繊維の具体例としては、ポリデキストロース、イヌリンなどが挙げられる。
【0035】
前記粉剤の仕込み量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0036】
−−噴霧−−
前記噴霧液を噴霧する条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0037】
前記流動層造粒により、流動性や圧縮成形性などの粉体加工特性を前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物に付与することができる。
【0038】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
本発明の製造方法によれば、水性媒体への分散性に優れ、飲料等の風味を変化させない乳酸菌及び/又はビフィズス菌を含有する組成物を簡易に、短時間で製造することができる。また、凍結乾燥をしたものと異なり、前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物は、塊とはなっていないため、使用時に粉砕処理を行わなくてもよい。
【0040】
前記乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物は、そのまま、或いは溶液状、懸濁液状などの形状として、若しくは錠剤の有効成分などとして医薬品又は飲食品に好適に用いることができる。中でも、飲料に好適に用いることができる。
前記医薬品又は飲食品の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0042】
(実施例1:乳酸菌の死菌体含有粉末組成物の製造)
<分散工程>
乳酸菌(エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis))の死菌粉末(EC−12、コンビ株式会社製;菌数 5兆個/g) 1.0gを、デキストリン(パインデックス#2、松谷化学工業株式会社製) 2.0gを含む精製水 8.0gに分散させ、更にホモジナイザー(Polytron PT−45 KINEMATICA社製)を用い、9,000rpmで20分間微細分散処理し、噴霧液とした。
【0043】
<流動層造粒工程>
前記噴霧液の全量を、流動層造粒装置(フローコーター(FL−Labo)、フロイント産業株式会社製)内に仕込んだオリゴ糖粉末(メイオリゴ、株式会社明治フードマテリア社製) 97.0gに対して噴霧し、乳酸菌の死菌体含有粉末組成物を得た。
【0044】
<評価>
前記乳酸菌の死菌体含有粉末組成物の水中における分散粒子径をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)により測定した結果、50%粒子径(体積基準の粒度分布の累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径)は、0.67μmを示した。
したがって、本発明の製造方法により製造された乳酸菌の死菌体含有粉末組成物は、水性媒体への分散性に優れることが示された。
【0045】
(実施例2:乳酸菌の死菌体含有粉末組成物の製造)
<分散工程>
乳酸菌(エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis))の死菌粉末(EC−12、コンビ株式会社製;菌数 5兆個/g) 500gを、デキストリン(NSD#300、サンエイ糖化株式会社製) 375gを含む精製水 2,000gに分散させ、更にホモジナイザー(T−18 IKA社製)を用い、14,000rpmで15分間微細分散処理し、噴霧液とした。
【0046】
<流動層造粒工程>
前記噴霧液の全量を、流動層造粒装置(フローコーター(FLO−5)、フロイント産業株式会社製)内に仕込んだデキストリン粉末(NSD#300、サンエイ糖化株式会社製) 4,125.0gに対して噴霧し、乳酸菌の死菌体含有粉末組成物を得た。
【0047】
<評価>
前記乳酸菌の死菌体含有粉末組成物の水中における分散粒子径をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)により測定した結果、50%粒子径は0.72μmを示した。
したがって、本発明の製造方法により製造された乳酸菌の死菌体含有粉末組成物は、水性媒体への分散性に優れることが示された。
【0048】
(実施例3:ビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の製造)
<分散工程>
死滅処理したビフィズス菌(BR−108、コンビ株式会社製)培養液(菌数 3,000億個/mL) 33.4mLに、デキストリン(パインデックス#2、松谷化学工業株式会社製) 6.7gを分散溶解させ、更にホモジナイザー(Polytron PT−45 KINEMATICA社製)を用い、9,000rpmで20分間微細分散処理し、噴霧液とした。
【0049】
<流動層造粒工程>
前記噴霧液の全量を、流動層造粒装置(フローコーター(FL−Labo)、フロイント産業株式会社製)内に仕込んだオリゴ糖粉末(オリゴメイト55NP、ヤクルト薬品工業株式会社製) 90.0gに対して噴霧し、ビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物を得た。
【0050】
<評価>
前記ビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物の水中における分散粒子径をレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置(マイクロトラックHRA、日機装株式会社製)により測定した結果、50%粒子径は、0.68μmを示した。
したがって、本発明の製造方法により製造されたビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物は、水性媒体への分散性に優れることが示された。
【0051】
前記実施例1から3の結果から、本発明の製造方法によれば、水性媒体への分散性に優れ、飲料等の風味を変化させない乳酸菌及び/又はビフィズス菌の死菌体含有粉末組成物を簡易に、短時間で製造できることが示された。