(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る無線表示システム100について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0020】
(1)無線表示システム100の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る無線表示システム100の概略構成図である。
【0021】
無線表示システム100は、対象物(表示する情報に係る物品や空間)と対応づけられた所定の位置において複数の表示器(無線表示器10)を配置し、各表示器に対し管理装置(管理サーバ40)から表示データを個別に送信することで、被表示者に対して対象物に関する情報を適宜表示するシステムである。
【0022】
本実施形態において、無線表示システム100は、配送センターや出荷センター等の物流センター1に適用されている。物流センター1においては、多種類の商品Pが在庫として保管されている。物流センター1では、受注に応じて、在庫として保管している商品Pを適宜発送する。
【0023】
物流センター1においては、商品Pの種類数に応じた数の保管セクション2が設けられている。各保管セクション2は、いずれかの種類の商品Pと個別に対応付けられている。各保管セクション2には、商品Pを収容するための商品棚が配置されており、当該商品棚において、対応する種類の商品Pが収容されている。
【0024】
各保管セクション2には、商品Pに係る情報を表示する表示器として無線表示器10が設置されている。無線表示器10は、当該保管セクション2において収容される商品Pに関する表示データ(具体的には、商品コード、商品名、在庫数、出荷日、受注個数、及び配送先等に関する情報)を表示する。
【0025】
無線表示システム100は、主として、複数の無線表示器10と、無線表示器10に宛てて表示データを送信する管理サーバ40(データ管理装置)と、管理サーバ40が送信した表示データを中継するアクセスポイント50(第1通信手段)及びトランシーバ55(第2通信手段)と、各無線表示器10の識別情報(装置ID)を取得するために用いられるハンディターミナル60と、を有している。
【0026】
無線表示システム100では、各無線表示器10において表示される表示データは、管理サーバ40において生成される。無線表示システム100では、管理サーバ40と、各アクセスポイント50及び各トランシーバ55とが通信ケーブルで接続されることによって通信ネットワークNW1が構築されている。
【0027】
(2)無線表示システム100の詳細な構成
(2−1)無線表示器10(第1無線表示器20、第2無線表示器30)
図2は、無線表示器10の正面外観図である。
図3は、無線表示器10の概略構成を示したブロック図である。
【0028】
無線表示器10は、無線通信によって受信した表示データを表示する装置である。無線表示システム100では、無線表示器10が複数設置されるが、各無線表示器10は第1無線表示器20及び第2無線表示器30のいずれかである。具体的には、無線表示システム100は、無線表示器10として、複数の第1無線表示器20(第1表示器)と、複数の第2無線表示器30(第2表示器)と、を有している。
【0029】
第1無線表示器20は、他の装置(アクセスポイント50)と、電波を用いた電波通信方式(第1通信方式)による無線通信を行う。第2無線表示器30は、他の装置(トランシーバ55)と、赤外線を用いたIrDA通信方式(第2通信方式)による無線通信を行う(IrDAは、Infrared Data Associationの略で登録商標)。
【0030】
第1無線表示器20及び第2無線表示器30は、外郭を構成する表示器ケーシング11と、情報を表示する情報表示部12と、駆動電源を供給する電源部13と、表示器制御部14と、表示器識別用バーコード15と、を有している。また、第1無線表示器20は、他の機器と通信を行う通信部として、第1表示器通信部21を有している。第2無線表示器30は、他の機器と通信を行う通信部として、第2表示器通信部31を有している。すなわち、第1無線表示器20と、第2無線表示器30とは、通信部として第1表示器通信部21を有するか第2表示器通信部31を有するか、という点で相違している。
【0031】
(2−1−1)表示器ケーシング11
表示器ケーシング11は、薄型の略直方体状の筐体である。表示器ケーシング11の正面(一方主面)には、大きな開口が形成されており、当該開口を介して、情報表示部12(より詳細には情報表示部12のカバー部分)が外部に露出している。
【0032】
(2−1−2)情報表示部12
情報表示部12は、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、液晶方式、エレクトロウェッティング方式、又は電気泳動方式等の電子ペーパを有している(図示省略)。情報表示部12は、表示器制御部14と電気的に接続されており、表示器制御部14によって電子ペーパの動作を制御される。情報表示部12は、表示器制御部14から所定の駆動電圧を供給されることで、管理サーバ40から送信された表示データを表示する。
図2においては、情報表示部12に、表示データとして、商品コードを示す数字「150429」、商品名を示すテキスト「○○キャンディ」、在庫数を示す数字「233」、出荷日を示す数字「2015/5/18」、受注数を示す数字「100」、及び出荷先を示すテキスト「△△商店」が、表示された状態が示されている。
【0033】
(2−1−3)電源部13
電源部13は、無線表示器10の駆動電源を供給するためのユニットである。電源部13は、リチウム電池等の電池を含んでいる(図示省略)。
【0034】
(2−1−4)表示器制御部14
表示器制御部14は、無線表示器10の動作を制御する機能部である。表示器制御部14は、CPU及びメモリを含むマイクロコンピュータを有している。表示器制御部14は、主として、表示器記憶部141と、表示制御部142と、を含んでいる。
【0035】
表示器記憶部141は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等のメモリで構成され、複数の記憶領域を含んでいる。表示器記憶部141にはプログラム記憶領域M1が含まれ、プログラム記憶領域M1には表示器制御部14の処理や、他の機器との通信に使用される通信プロトコル等が定義された制御プログラムが格納されている。また、表示器記憶部141にはアドレス記憶領域M2が含まれ、アドレス記憶領域M2には、無線表示器10に割り振られる装置IDが、記憶されている。また、表示器記憶部141には受信データ記憶領域M3が含まれ、受信データ記憶領域M3には、受信した情報(例えば管理サーバ40から送信された表示データ)が記憶される。
【0036】
表示制御部142は、制御プログラムに沿って情報表示部12の動作を制御する。表示制御部142は、受信データ記憶領域M3に記憶されている(すなわち、管理サーバ40から送信された)表示データを取得する。表示制御部142は、取得した表示データが情報表示部12において表示されるように、情報表示部12に対して所定の電圧を供給する。
【0037】
(2−1−5)表示器識別用バーコード15
表示器識別用バーコード15(識別情報保持部)は、無線表示器10が第1無線表示器20及び第2無線表示器30のいずれであるかを識別するためのコード(識別情報)を保持している。表示器識別用バーコード15は、表示器ケーシング11の正面部分において、情報表示部12とは外れた位置に貼り付けられている。
【0038】
(2−1−6)通信部(第1表示器通信部21、第2表示器通信部31)
第1表示器通信部21は、第1無線表示器20において、アクセスポイント50と電波を用いた無線通信(より詳細にはアクセスポイント50を介した管理サーバ40との通信)を行うための無線通信機能を担っている。第1表示器通信部21は、2.4GHz帯の電波を使用して無線通信を行うためのアンテナ、通信回路及びベースバンドLSIを含んでいる。
【0039】
第2表示器通信部31は、第2無線表示器30において、トランシーバ55と赤外線(IrDA方式)を用いた無線通信(より詳細にはトランシーバ55を介した管理サーバ40との通信)を行うための無線通信機能を担っている。第2表示器通信部31は、トランシーバ55から送出された赤外線を受光する受光部、通信回路及びベースバンドLSIを含んでいる。
【0040】
(2−2)管理サーバ40
図4は、管理サーバ40の概略構成を示したブロック図である。管理サーバ40は、無線表示システム100の動作を統括的に制御するコンピュータである。管理サーバ40は、主として、入出力部41と、サーバ通信部42と、サーバ制御部43と、を有している。
【0041】
(2−2−1)入出力部41
入出力部41は、システム管理者がコマンドを入力し、また、システム管理者に対して情報を表示するインターフェースとしての役割を果たす。入出力部41は、入力部としてのキーボードと、出力部としての液晶ディスプレイと、を含む。
【0042】
(2−2−2)サーバ通信部42
サーバ通信部42は、アクセスポイント50との通信(より詳細にはアクセスポイント50を介した第1無線表示器20及びハンディターミナル60との通信)、及びトランシーバ55との通信(より詳細にはトランシーバ55を介した第2無線表示器30との通信)、を行うための通信回路及びベースバンドLSIを含んでいる。サーバ通信部42は、サーバ制御部43と電気的に接続されている。
【0043】
(2−2−3)サーバ制御部43
サーバ制御部43は、CPU及びメモリ等で構成される。サーバ制御部43は、主として、サーバ記憶部45と、出力制御部46と、テーブル管理部47と、表示データ出力制御部48と、を含んでいる。
【0044】
(2−2−3−1)サーバ記憶部45
サーバ記憶部45(記憶手段)は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等のメモリで構成され、複数の記憶領域を含んでいる。具体的に、サーバ記憶部45には、プログラム記憶領域M10と、表示器情報記憶領域M11と、表示情報記憶領域M12と、が含まれている。
【0045】
(2−2−3−1−1)プログラム記憶領域M10
プログラム記憶領域M10には、サーバ制御部43の処理や、他の機器との通信に使用される通信プロトコル等が定義された制御プログラムが格納されている。
【0046】
(2−2−3−1−2)表示器情報記憶領域M11
表示器情報記憶領域M11には、無線表示器10に対して表示データを送信する際に用いられる表示器情報テーブルTB1を記憶するための領域である。
【0047】
図5は、表示器情報テーブルTB1の模式図である。表示器情報テーブルTB1には、各無線表示器10の装置ID、各無線表示器10に信号を送信する際の中継先の通信アドレス(すなわち、アクセスポイント50又はトランシーバ55のMACアドレス)、各無線表示器10の対応商品P(商品名)、及び対応商品Pの商品コードに関する情報が、関連付けられて記載されている。
【0048】
図5においては、表示器情報テーブルTB1の、各無線表示器10の装置IDを示す行において、テキスト「F1356」、「R2154」、・・・及び「R2552」が記載されている。なお、イニシャルが「R」の装置IDは第1無線表示器20に付与され、イニシャルが「F」の装置IDは第2無線表示器30に付与されるものである。すなわち、第1無線表示器20にはイニシャルが「R」の装置IDが付与され、第2無線表示器30にはイニシャルが「F」の装置IDが付与されている。このように、第1無線表示器20と第2無線表示器30とは異なる形式の装置IDが付与されるため、無線表示システム100では、装置IDを参照することで、電波通信方式により通信を行う第1無線表示器20と、IrDA通信方式により通信を行う第2無線表示器30と、を識別可能となっている。
【0049】
また、各無線表示器10に信号を送信する際の中継先の通信アドレス(中継)を示す行において、テキスト「00-99-**-AA-**-J1」、「11-99-**-BB-**-E2」、・・・及び「11-99-**-BB-**-E4」が記載されている。
【0050】
また、各無線表示器10の対応商品Pを示す行において、テキスト「○○チョコレート」、「××チョコレート」、・・・「○○キャンディ」、・・・及び「△△キャンディ」が記載されている。
【0051】
また、対応商品Pの商品コードを示す行において、テキスト「150426」、「150427」、・・・「150429」、・・・及び「150431」が記載されている。テキスト「150426」は「○○チョコレート」の商品コードを示しており、「150427」は「××チョコレート」の商品コードを示しており、・・・「150429」は「○○キャンディ」の商品コードを示しており、・・・「150431」は「△△キャンディ」の商品コードを示している。
【0052】
(2−2−3−1−3)表示情報記憶領域M12
表示情報記憶領域M12には、無線表示器10に送信する表示データを生成するための各種情報が記述された、表示情報テーブルTB2が記憶されている。
【0053】
図6は、表示情報テーブルTB2の模式図である。
図6に示すように、表示情報テーブルTB2には、各種情報(具体的には、各商品Pの、商品名、商品コード、在庫数(保管セクション2において保管されている数)、出荷日、受注数、出荷先、及び特記事項)が、関連付けられて記載されている。例えば、
図6に示す表示情報テーブルTB2においては、商品名を記載する行にテキスト「○○キャンディ」が記載されており、「○○キャンディ」の列には当該商品に関連付けられて、商品コードを示すテキスト「150429」、在庫数を示すテキスト「233」、出荷日を示すテキスト「2015/5/18」、受注数を示すテキスト「100」、及び出荷先を示すテキスト「△△商店」が記載されている。表示情報テーブルTB2は、システム管理者によって入出力部41を介して適宜更新される。
【0054】
(2−2−3−2)出力制御部46
出力制御部46は、入出力部41(液晶ディスプレイ)において出力(表示)させるデータを生成し、駆動電圧を出力する。
【0055】
(2−2−3−3)テーブル管理部47
テーブル管理部47は、ハンディターミナル60から、無線表示器10の装置ID、対応商品Pの商品コードを送信されると、サーバ通信部42を介してこれらを受信し、受信した装置IDと、対応商品Pの商品コードと、を関連付けて記載することで表示器情報テーブルTB1を更新する。
【0056】
(2−2−3−4)表示データ出力制御部48
表示データ出力制御部48は、表示情報記憶領域M12に格納される表示情報テーブルTB2を参照し、各種情報に基づいて表示データを生成する。表示データ出力制御部48は、生成した表示データを、対応する無線表示器10に宛てて送信する。この際、表示データ出力制御部48は、表示器情報記憶領域M11に格納される表示器情報テーブルTB1を参照し、表示データ出力制御部48は、表示器情報テーブルTB1に記載されている無線表示器10の装置IDに基づき、生成した表示データを、アクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定する。また、表示データ出力制御部48は、表示器情報テーブルTB1を参照し、中継装置(アクセスポイント50又はトランシーバ55)の通信アドレスを取得する。
【0057】
(2−3)アクセスポイント50
アクセスポイント50は、2.4GHz帯の電波を使用して、第1無線表示器20及びハンディターミナル60と無線通信を行う通信装置である。アクセスポイント50は、例えば物流センター1の天井や側壁等に間隔を空けて取り付けられる。アクセスポイント50の設置場所や設置間隔は、店舗内に設置された第1無線表示器20が、いずれかのアクセスポイント50と通信可能となるように適宜決定される。
【0058】
アクセスポイント50は、管理サーバ40から送られた表示データを、各第1無線表示器20に送信する。つまり、アクセスポイント50は、表示データの中継装置に相当し、各第1無線表示器20に対して対応商品Pに関する表示データを送信する第1通信手段の一例である。
【0059】
(2−4)トランシーバ55
トランシーバ55は、赤外線を用いて第2無線表示器30とIrDA方式の無線通信を行う通信装置である。トランシーバ55は、例えば物流センター1の天井や側壁等に間隔を空けて取り付けられる。トランシーバ55の設置場所や設置間隔は、店舗内に設置された第2無線表示器30が、いずれかのトランシーバ55と通信可能となるように適宜決定される。
【0060】
トランシーバ55は、管理サーバ40から送られた表示データを、各第2無線表示器30に送信する。つまり、トランシーバ55は、表示データの中継装置に相当し、各第2無線表示器30に対し対応商品Pに関する表示データを送信する第2通信手段の一例である。
【0061】
(2−5)ハンディターミナル60
ハンディターミナル60(識別情報送信手段)は、無線表示器10の装置IDと、商品Pの商品コードとを関連付けるリンク作業等に用いられる。リンク作業は、管理サーバ40において、無線表示器10の装置IDと、商品Pの商品コードと、を関連付けて登録する作業である。ハンディターミナル60は、可搬性のデータ収集端末である。ハンディターミナル60は、作業員(物流センター1で働く従業員等)により使用される。
【0062】
ハンディターミナル60は、各無線表示器10の表示器識別用バーコード15及び各商品Pに付された識別情報(すなわち各無線表示器10の装置ID及び各商品Pの商品コード)を読み取るリーダを含んでいる(図示省略)。また、ハンディターミナル60は、アクセスポイント50と無線通信が可能な無線通信部を含んでいる(図示省略)。
【0063】
ハンディターミナル60は、作業員の操作に従い、いずれかの無線表示器10の表示器識別用バーコード15をスキャンすることで装置IDを読み取るとともに、当該無線表示器10に対応付けられる商品Pのバーコードをスキャンすることで商品コードを読み取った後、読み取った装置ID及び商品コードを管理サーバ40へ宛ててアクセスポイント50へ送信する。
【0064】
(3)管理サーバ40の処理の流れ
図7は、管理サーバ40の処理の流れの一例を示したフローチャートである。管理サーバ40は、例えば、以下のような流れで処理を実行する。なお、以下の処理の流れについては、適宜変更が可能である。
【0065】
ステップS101において、管理サーバ40は、ハンディターミナル60から送信された装置ID及び商品コードを受信した場合には、ステップS102へ進む。一方、管理サーバ40は、装置ID及び商品コードを受信しない場合には、ステップS103へ進む。
【0066】
ステップS102において、管理サーバ40は、表示器情報テーブルTB1において受信した装置ID及び商品コードを対応付けて記載することで表示器情報テーブルTB1を作成又は更新する。その後、ステップS103へ進む。
【0067】
ステップS103において、管理サーバ40は、入出力部41を介してコマンドが入力されたことによる入力信号がある場合には、ステップS104へ進む。一方、管理サーバ40は、入力信号がない場合にはステップS105へ進む。
【0068】
ステップS104において、管理サーバ40は、入力信号に基づき、表示器情報テーブルTB1又は表示情報テーブルTB2において、情報を記載又は削除することで、各テーブルを作成又は更新する。その後、ステップS105へ進む。
【0069】
ステップS105において、管理サーバ40は、表示情報テーブルTB2を参照して、表示データを適宜生成する。その後、ステップS106へ進む。
【0070】
ステップS106において、管理サーバ40は、表示情報テーブルTB2を参照し、装置IDに基づき送信すべき表示データの送信先が第1無線表示器20であるかを判定し、送信先が第1無線表示器20である場合には、ステップS107へ進む。一方、送信すべき表示データの送信先が第1無線表示器20でない場合には、ステップS108へ進む。
【0071】
ステップS107において、管理サーバ40は、送信すべき表示データを、第1無線表示器20に宛てて、アクセスポイント50へ送信する。その後、ステップS101に戻る。
【0072】
ステップS108において、管理サーバ40は、表示情報テーブルTB2を参照し、装置IDに基づき送信すべき表示データの送信先が第2無線表示器30であるかを判定し、送信先が第2無線表示器30である場合には、ステップS109へ進む。一方、送信すべき表示データの送信先が第2無線表示器30でない場合には、ステップS101に戻る。
【0073】
ステップS109において、管理サーバ40は、送信すべき表示データを、第2無線表示器30に宛てて、トランシーバ55へ送信する。その後、ステップS101に戻る。
【0074】
管理サーバ40は、起動中、上述の流れに沿って処理を繰り返す。なお、管理サーバ40は、ステップS106からステップS109に示されるように、表示情報テーブルTB2に記憶される無線表示器10の装置IDに基づき、生成した表示データをアクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定している。
【0075】
(4)無線表示システム100の動作
図8は、無線表示システム100において、第1無線表示器20、第2無線表示器30、管理サーバ40、アクセスポイント50、トランシーバ55、及びハンディターミナル60間で行われる処理の一例を模式的に示したシーケンス図である。
【0076】
図8の上段に示されるように、無線表示システム100では、ハンディターミナル60が第1無線表示器20又は第2無線表示器30の装置IDを読み取ると、読み取った装置IDを、対応商品Pから読み取った商品コードとともに、管理サーバ40へ宛てて、アクセスポイント50へ送信する。アクセスポイント50は、受信した装置ID及び商品コードを、中継して管理サーバ40へ送信する。管理サーバ40は、受信した装置ID及び商品コードに基づき、表示器情報テーブルTB1を更新する。
【0077】
また、
図8の下段に示されるように、無線表示システム100では、システム管理者によって表示情報テーブルTB2が更新されると、管理サーバ40は、表示情報テーブルTB2に沿って表示データを生成する。そして、管理サーバ40は、参照した装置IDに基づき第1無線表示器20へ送信すべき表示データを、アクセスポイント50に対して送信する。アクセスポイント50は、受信した表示データを、第1無線表示器20へ送信する。第1無線表示器20は、受信した表示データを表示する。
【0078】
また、管理サーバ40は、参照した装置IDに基づき第2無線表示器30へ送信すべき表示データを、トランシーバ55に対して送信する。トランシーバ55は、受信した表示データを、第2無線表示器30へ送信する。第2無線表示器30は、受信した表示データを表示する。
【0079】
(5)無線表示システム100の特徴
(5−1)
無線表示システム100は、各第1無線表示器20及び各第2無線表示器30において表示させる表示データを生成する管理サーバ40と、表示データを電波通信方式(電波)によって第1無線表示器20に対し送信するアクセスポイント50と、表示データをIrDA通信方式(赤外線)によって第2無線表示器30に対し送信するトランシーバ55と、を備えている。これにより、簡単な構成にして、通信方式が異なる無線表示器10を混合してシステムが構成されている。よって、汎用性に優れている。
【0080】
すなわち、昨今、通信方式が異なる無線表示器を混合してシステムを構成し、設置環境等に応じてそれぞれの無線表示器を使い分けたいというニーズがある。例えば、赤外線を用いた無線通信では物理的な遮蔽物による通信影響を受けやすく、電波を用いた無線通信では同一の周波数帯における電波との干渉による通信障害が生じやすいことに関連して、無線表示器の設置区画や設置態様に応じて適切な無線表示器を選択する、というような場合である。
【0081】
また、単一の通信方式によって無線通信を行う無線表示器を含む既存の無線表示システムにおいて、異なる通信方式によって無線通信を行う無線表示器を新たに追加したいというニーズがある。例えば、既存の無線表示器の通信方式と比較して、弱点を克服した通信方式や設置環境にさらに適合する通信方式を用いる新規な無線表示器を採用する場合である。このような場合には、投入コスト抑制等の観点から、既存の無線表示器を全て新規の無線表示器と入れ換えるのではなく、既存の無線表示器と新規の無線表示器とを併用して運用することも考えられる。
【0082】
しかし、従来の無線表示システムでは、単一の無線表示器との通信のみを考慮してシステムが構成されているため、これらのニーズに対応することが困難であり、汎用性に乏しい。
【0083】
この点、無線表示システム100では、簡単な構成にして、通信方式が異なる無線表示器10を混合してシステムを構成することが可能である。その結果、既存のシステムにおいて、運用中の無線表示器10とは異なる通信方式を用いる無線表示器10を新たに追加することが容易に可能である。また、設置環境等に応じてそれぞれの無線表示器10を使い分けることも容易に可能である。よって、汎用性に優れている。
【0084】
(5−2)
無線表示システム100では、管理サーバ40は、生成した表示データを、サーバ記憶部45に記憶される各第1無線表示器20及び各第2無線表示器30の装置IDに基づき、アクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定している。よって、ユーザビリティに優れている。
【0085】
すなわち、通信方式が異なる無線表示器を混合してシステムを構成した後の運用において、表示データの変更を行う度にユーザが通信方式をいちいち指定していたのでは、処理が煩雑でありユーザビリティに優れない。
【0086】
この点、無線表示システム100では、第1無線表示器20によって表示させるべく生成された表示データは自動的に第1無線表示器20に送信され、第2無線表示器30によって表示させるべく生成された表示データは自動的に第2無線表示器30に送信されるようになっている。その結果、ユーザは、各無線表示器10の通信方式を特に意識することなく、システムを運用することが可能である。よって、ユーザビリティに優れている。
【0087】
(5−3)
無線表示システム100では、各第1無線表示器20及び各第2無線表示器30は、自己の装置IDを保持する表示器識別用バーコード15を有し、ハンディターミナル60は、各第1無線表示器20及び各第2無線表示器30の表示器識別用バーコード15から装置IDを読み取って管理サーバ40に対して送信するように構成されている。これにより、無線表示システム100では、各無線表示器10の装置IDを人手によって直接入力する必要がない。よって、ユーザビリティに優れている。
【0088】
(5−4)
無線表示システム100では、第1無線表示器20は電波を用いる通信方式(電波通信方式)によって他の装置(アクセスポイント50)と通信を行って受信した表示データを表示し、第2無線表示器30は赤外線を用いる通信方式(IrDA通信方式)によって他の装置(トランシーバ55)と通信を行って受信した表示データを表示するように構成されている。このように、無線表示システム100では、簡単な構成にして、赤外線通信を行う無線表示器と、電波通信を行う表示器と、を混合してシステムが構成されている。
【0089】
(6)変形例
上記実施形態の無線表示システム100は、以下の変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0090】
(6−1)変形例A
上記実施形態では、無線表示システム100は、配送センターや出荷センター等の物流センター1に適用されていた。しかし、無線表示システム100が適用される環境は、必ずしも物流センター1に限定されず、例えば工場、医療施設、商業施設、公共施設又はオフィスにおいて案内表示を行うシステムとして適用されてもよい。
【0091】
係る場合には、無線表示器10において、各工程の内容や処理時間等の作業に関する情報を表示するように構成してもよい。また、無線表示器10において、患者の氏名や薬品のリスト等の来院者や調剤作業に関する情報を表示するようにしてもよい。また、無線表示器10において、使用者に関する情報や、マップ等の位置情報、時刻に関する情報、又は順番に関する情報等を表示するようにしてもよい。
【0092】
(6−2)変形例B
上記実施形態では、第1無線表示器20及び第2無線表示器30の台数については、特に限定されていなかったが、無線表示システム100では、設置環境に適した台数の第1無線表示器20及び第2無線表示器30がそれぞれ配置されればよい。
【0093】
(6−3)変形例C
上記実施形態では、各無線表示器10が識別情報保持部としての表示器識別用バーコード15を有し、ハンディターミナル60が表示器識別用バーコード15を読み取って管理サーバ40へ送信するように構成されていた。
【0094】
しかし、
図9に示す無線表示器10aのように、表示器識別用バーコード15に代えて、無線通信(例えばNFC (Near Field Communication)や、RFID(radio frequency identifier)を行うための通信モジュール16を配置してもよい。係る場合、表示器記憶部141に、自己の装置IDを記憶するための記憶領域を設け、ハンディターミナル60に対応する通信モジュールを配置することでハンディターミナル60と各無線表示器10とを通信可能に構成し、ハンディターミナル60が無線通信によって各無線表示器10から装置IDを取得するように構成すればよい。
【0095】
なお、係る場合には、表示器記憶部141が装置ID(識別情報)を保持する「識別情報保持部」に相当する。
【0096】
(6−4)変形例D
上記実施形態では、第1無線表示器20が、2.4GHz帯の電波を用いた電波通信方式(第1通信方式)によってアクセスポイント50と無線通信を行い受信した表示データを表示しており、第2無線表示器30が、赤外線を用いたIrDA通信方式(第2通信方式)によってトランシーバ55と無線通信を行い受信した表示データを表示するように構成されていた。
【0097】
しかし、無線表示システム100は、
図10に示す無線表示システム100aのように構成されてもよい。
【0098】
無線表示システム100aでは、第2無線表示器30に代えて、第3無線表示器35(第2表示器)が配置されている。また、無線表示システム100aでは、トランシーバ55に代えて、第2アクセスポイント58(第2通信手段)が配置されている。
【0099】
第3無線表示器35は、第1表示器通信部21に代えて第3表示器通信部(図示省略)を有する点を除いて、第1無線表示器20と略同一である。第3表示器通信部は、第3無線表示器35において、第2アクセスポイント58と電波を用いた無線通信(より詳細には第2アクセスポイント58を介した管理サーバ40との通信)を行うための無線通信機能を担っている。第3表示器通信部は、5GHz帯の電波(すなわち、第1表示器通信部21よりも高い周波数帯の電波)を使用して無線通信を行うためのアンテナ、無線通信回路、及びベースバンドLSIを含んでいる。
【0100】
第2アクセスポイント58は、5GHz帯の電波を使用して、第3無線表示器35と無線通信を行う通信装置である。第2アクセスポイント58は、例えば物流センター1の天井や側壁等に間隔を空けて取り付けられる。第2アクセスポイント58の設置場所や設置間隔は、店舗内に設置された第3無線表示器35が、いずれかの第2アクセスポイント58と通信可能となるように適宜決定される。
【0101】
第2アクセスポイント58は、管理サーバ40から送られた表示データを、各第3無線表示器35に送信する。つまり、第2アクセスポイント58は、表示データの中継装置に相当し、各第3無線表示器35に対し対応商品Pに関する表示データを送信する第2通信手段の一例である。
【0102】
このような無線表示システム100aによっても、無線表示システム100と同様の効果を奏する。
【0103】
すなわち、無線表示システム100aでは、簡単な構成にして、通信方式が異なる無線表示器10を混合してシステムを構成することが可能である。その結果、既存のシステムにおいて、運用中の無線表示器10とは異なる通信方式を用いる無線表示器10を新たに追加することが容易に可能である。また、設置環境等に応じてそれぞれの無線表示器10を使い分けることも容易に可能である。よって、汎用性に優れる。
【0104】
また、無線表示システム100aでは、管理サーバ40が生成した表示データを、サーバ記憶部45に記憶される各第1無線表示器20及び各第3無線表示器35の装置IDに基づき、アクセスポイント50及び第2アクセスポイント58のいずれに送信させるかを決定する。これにより、第1無線表示器20によって表示させるべく生成された表示データは自動的に第1無線表示器20に送信され、第3無線表示器35によって表示させるべく生成された表示データは自動的に第3無線表示器35に送信される。その結果、ユーザは、各無線表示器10の通信方式を特に意識することなく、システムを運用することが可能である。よって、ユーザビリティに優れる。
【0105】
なお、図示は省略するが、無線表示システム100aにおいて、複数のトランシーバ55及び第2無線表示器30を配置してもよい。すなわち、通信方式が異なる3種類の無線表示器10を用いてシステムを構成してもよい。係る場合においても無線表示システム100aと同様の効果を奏する。
【0106】
(6−5)変形例E
上記実施形態では、ハンディターミナル60が、各無線表示器10の装置ID及び対応商品Pの商品コードを読み取るとともに、管理サーバ40に対して送信するように構成されていた。しかし、ハンディターミナル60は必ずしも必須ではなく、ハンディターミナル60を省略してシステムを構成してもよい。
【0107】
係る場合、各無線表示器10が個別に自己の装置IDを管理サーバ40へ送信するように構成するとともに、システム管理者が、入出力部41を介して、各無線表示器10に対応する対応商品Pの商品コード等を、装置IDと関連付けて登録するようにしてもよい。または、システム管理者が、入出力部41を介して、各無線表示器10の装置IDを個別に入力するようにしてもよい。
【0108】
(6−6)変形例F
上記実施形態では、アクセスポイント50及びトランシーバ55の通信アドレスとしてMACアドレスが使用されていた。しかし、通信アドレスについては、他の適当なものに適宜変更することは可能である。例えば、アクセスポイント50又はトランシーバ55の通信アドレスとして、プライベートIPアドレスを使用してもよい。
【0109】
(6−7)変形例G
上記実施形態では、サーバ制御部43は、管理サーバ40内に配置されていた。しかし、サーバ制御部43に含まれる各部(具体的にはサーバ記憶部45、出力制御部46、テーブル管理部47、及び表示データ出力制御部48)の一部又は全部は、必ずしも管理サーバ40内に配置される必要はなく、通信ネットワークで接続された他の装置や遠隔地に配置されてもよい。
【0110】
(6−8)変形例H
上記実施形態では、管理サーバ40において、生成した表示データをアクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定(すなわち、表示データの宛先の無線表示器10が第1無線表示器20及び第2無線表示器30のいずれであるかを特定)する情報として装置IDのイニシャルが使用されていた。しかし、管理サーバ40は、他の情報に基づいて係る決定を行ってもよい。
【0111】
例えば、管理サーバ40が、装置IDのイニシャル以外の他の部分(例えば最後の文字等)を用いて、生成した表示データをアクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定するように構成してもよい。また、管理サーバ40が、無線表示器10に付与されるMACアドレスに基づいて、生成した表示データをアクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定するように構成してもよい。
【0112】
(6−9)変形例I
上記実施形態では、第1無線表示器20は、2.4GHz帯の電波を用いた電波通信方式によってアクセスポイント50と無線通信を行うように構成されていた。しかし、第1無線表示器20は、アクセスポイント50と無線通信を行う際に用いる電波の周波数については特に限定されず、適宜変更が可能である。
【0113】
(6−10)変形例J
上記実施形態では、第1無線表示器20は電波を用いた通信方式によって中継装置(アクセスポイント50)と無線通信を行うように構成され、第2無線表示器30は赤外線を用いた通信方式によって中継装置(トランシーバ55)と無線通信を行うように構成されていた。しかし、第1無線表示器20又は第2無線表示器30の無線通信機能は、必ずしも電波又は赤外線を用いた通信には限定されず、他の通信方式によって無線通信を行うように構成されてもよい。例えば、第1無線表示器20又は第2無線表示器30は、光や音波を用いて中継装置と通信を行うように構成されてもよい。係る場合にも、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0114】
(6−11)変形例K
上記実施形態では、情報表示部12は、電子ペーパを有していた。しかし、情報表示部12は、電子ペーパに代えて、液晶及び液晶駆動電極部を含む液晶部を有していてもよい。係る場合には、表示器制御部14が液晶の動作の制御を行うように構成すればよい。
【0115】
(6−12)変形例L
上記実施形態では、無線表示器10は、自己の装置IDを用いて通信(表示データの受信)を行っていた。しかし、これに限定されず、無線表示器10は、自己のMACアドレスや、他の通信アドレス(例えばプライベートIPアドレス等)を用いて通信を行うように構成されてもよい。
【0116】
(6−13)変形例M
上記実施形態では、管理サーバ40(表示データ出力制御部48)は、表示器情報テーブルTB1に記載されている無線表示器10の装置IDに基づき、生成した表示データを、アクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定していた。しかし、これに限定されず、管理サーバ40は、他の情報(例えば、無線表示器10のMACアドレス等)に基づき、生成した表示データを、アクセスポイント50及びトランシーバ55のいずれに送信させるかを決定するようにしてもよい。