(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0023】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0024】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0025】
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0026】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0027】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0028】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0029】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0030】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置100の構成について
図1乃至
図9を用いて説明する。
【0031】
図1乃至
図3および
図7乃至
図9は、情報処理装置100を説明する図である。また、
図4乃至
図6は情報処理装置100において、検知部が、タッチパネルの状態に係る情報を得る方法を説明する図である。
【0032】
図1(A)は本発明の一態様の情報処理装置100の斜視図、
図1(B)は上面図、
図1(C)は
図1(B)の1点鎖線X1−X2に対応した断面図である。また、
図2は情報処理装置100を説明する斜視図である。また、
図8および
図9は
図1とは異なる構成の情報処理装置100を説明する図である。
【0033】
また、
図3は、
図1(C)と異なる構成を説明するために示す、筐体の断面図である。
【0034】
図4(A)は複数の標識Ptを備える標識部104bを説明する上面図である。
図4(B)、
図5、
図6(A)および
図6(C)はタッチパネルが巻き取り部に一部巻き取られた状態を示す上面図である。
図4(C)は説明のため、
図4(B)に示したタッチパネルを平面状に広げた状態を示す図である。同様に、
図6(B)は
図6(A)に、
図6(D)は
図6(C)に示したタッチパネルを平面状に広げた状態を示す図である。また、
図7は
図4および
図5に示す標識Ptとは異なる標識Ptを説明する図である。
【0035】
本発明の一態様の情報処理装置100は、可撓性を有するタッチパネル500TPと、タッチパネル500TPを駆動する駆動部103(図示せず)と、タッチパネル500TPの状態を判別する検知部104と、を有する。
図1(A)は、検知部104が検知素子104aと標識部104bで構成されている例を示している。
【0036】
タッチパネル500TPは巻き取り部106に端部が固定されている。また、タッチパネル500TPはタッチセンサ600と表示部500を備える。タッチパネル500TPは、タッチセンサ600と表示部500が積層された構造となっている(
図1(C)参照)。また、タッチパネル500TPはタッチセンサ600と表示部500が一体となった構成でもよい。上記構成のタッチパネルとして、インセル型タッチパネルなどがある。また、タッチパネル500TPは領域101などが設けられる。領域101には、例えば、画像を表示する機能、または、タッチパネル500TPに接触または近接した指やスタイラスペンなどの被検知体の位置を検知する機能、などを設けることが出来る。
【0037】
また、情報処理装置100は巻き取り部106を有する。巻き取り部106はタッチパネル500TPの一部または全部を巻き取る機能を備える。巻き取り部106は、筐体105に備えられる。筐体105は、巻き取り部106および巻き取り部106の回転機構を備え、上記回転機構は、巻き取り部106の外周にタッチパネル500TPを巻きつける機能を有する。なお、巻き取り部106は筐体105に対して回転する。タッチパネル500TPを巻き取り部106に巻きつけることにより、タッチパネル500TPを筐体105に収納することが出来る。
図2(A)に、タッチパネル500TPの一部を筐体105に収納した場合の斜視図を示す。また、
図2(B)に、タッチパネル500TPを全て筐体105に収納した場合の斜視図を示す。タッチパネル500TPは、巻き取り部106に巻きつけられ、筐体105に収納されることで持ち運びに便利な形状となる。
【0038】
図1(C)に示す情報処理装置100のタッチパネル500TPは、タッチセンサ600と表示部500が積層されている。従って、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる場合、タッチセンサ600は巻き取り部106に巻き取られる。また、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる場合、表示部500は巻き取り部106に巻き取られる。
【0039】
検知部104はタッチパネル500TPの状態を判別する機能を有する。具体的には、検知部104はタッチパネル500TPの状態を判別し、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を取得する機能を有する。タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報は、例えば、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報である。また、検知部104は、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を駆動部103に供給する。駆動部103は、供給された第1の情報に基づいてタッチセンサを駆動する。具体的には、駆動部103は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動する。また、駆動部103は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。
【0040】
また、情報処理装置100は、演算部110(図示せず)を有していてもよい。検知部104は、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を演算部110に供給する。演算部110は、上記第1の情報を基にタッチパネル500TPの状態に係る第2の情報を算出し、駆動部103に上記第2の情報を供給する。駆動部103は、供給された第2の情報に基づいてタッチセンサ600を駆動する。具体的には、検知部104は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報を演算部110に供給する。演算部110は、上記第1の情報を基にタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報を算出し、駆動部103に上記第2の情報を供給する。駆動部103は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動する。また、駆動部103は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。
【0041】
本発明の一態様の情報処理装置100は、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる際に、タッチセンサ600の設けられている面、或いはタッチセンサ600において検知が行われる面が、上記タッチパネル500TPの他方の面と接することにより、タッチセンサ600が誤検知することを防ぐことが出来る。また、タッチセンサ600を駆動させる範囲を制限することによって、消費電力を低減させることが出来る場合がある。
【0042】
以下に、情報処理装置100を構成する個々の要素について説明する。なお、これらの構成は明確に分離できず、一つの構成が他の構成を兼ねる場合や他の構成の一部を含む場合がある。
【0043】
《タッチパネル》
タッチパネルはタッチセンサ600と表示部500により構成される。タッチパネルの詳しい構成は実施の形態2に記す。
【0044】
《巻き取り部、筐体》
巻き取り部106は、タッチパネル500TPの一部または全部を巻き取る機能を備える。また、巻き取り部106の端部にはタッチパネル500TPが固定されている。タッチパネル500TPは可撓性を有するため、巻き取り部106の外周にタッチパネル500TPを巻きつけることが出来る。タッチパネル500TPは、巻き取り部106の外周に沿うように巻かれ、巻き取り部106の外周に一重または多重に重なる。また、巻き取り部106を有する筐体105を備えてもよい。筐体105は巻き取り部106の回転機構を備え、上記回転機構は、巻き取り部の外周にタッチパネルを巻きつける機能を有する。なお、巻き取り部106は筐体105に対して回転する。上記回転機構を用いて、タッチパネル500TPを巻き取り部106に巻き取ることで、タッチパネル500TPを筐体105内に収納することが可能となる。タッチパネル500TPは巻き取り部106に巻き取られ、筐体105に収納されることで、コンパクトになり、持ち運びに便利な形状となる。
【0045】
巻き取り部106の回転機構は、回転が手動により行われる構成でもよい。巻き取り部106を手動で回転させ、巻き取りを行う構成の場合、巻き取り部106に取っ手、つまみなどを設けることが好ましい。取っ手、つまみなどを筐体105の外側に設けることで、容易に巻き取り部106を回転させることが出来る。また、巻き取り部106の回転機構に、モーターなどの機械を備えてもよい。巻き取り部106の回転機構に、モーターなどの機械を備えることにより、巻き取りを自動で行う事が出来る。また、巻き取り部106の回転機構に、ぜんまいばねを用いてもよい。ぜんまいばねを用いることにより、簡単に巻き取りを行う事が出来る。また、巻き取り部106の回転機構に、検知素子104aが標識Ptを検知できる位置で止まる機構を設けてもよい。
【0046】
巻き取り部106は、例えば、円柱の形状をとることが出来る。但し、巻き取り部106は、タッチパネル500TPを巻きつけることが出来るものであればどのような形状でもよい。例えば、多角柱でもよいし、多角柱の角を丸くした形状でもよい。
【0047】
筐体105は、巻き取り部106に巻き取られた状態のタッチパネル500TPを収納する大きさ、形状を有する。筐体105は、細長い形状を持つことが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0048】
筐体105は、タッチパネル500TPを支持する機構を備えてもよい。例えば、
図3(D)に示す様に、ローラー108などにより、上下からタッチパネル500TPを挟み込む機構を設けてもよい。ただし、ローラー108は、タッチパネル500TPに傷をつけないような材質、形状のものを用い、傷をつけない様適切な力で挟みこむことが好ましい。タッチパネル500TPを支持する機構を設けることで、タッチパネル500TPの位置を安定させること、タッチパネル500TPを巻き取り部106に巻き取る際のたわみを軽減すること、が出来る。また、ローラー108などは、タッチセンサ600に検知されないことが好ましい。例えば、ローラー108などを絶縁性の材質にすることでタッチセンサ600に検知されない場合がある。また、ローラー108がタッチパネル500TPと接する領域において、タッチセンサ600を駆動しないことが好ましい。
【0049】
筐体105は、どのような材質を用いてもよい。筐体105の材質として、金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、木材などを用いる事が出来る。
【0050】
タッチパネル500TPの、巻き取り部106に固定されている辺と向かい合う辺に、タッチパネルの持ち手109を設けてもよい(
図2(C)参照)。持ち手109を設けることで、タッチパネル500TPに触れることなく、情報処理装置100を持つことが出来る。また、持ち手109を設けることで、可撓性のタッチパネル500TPにしわが寄ったり、意図しない方向に丸まったりしにくくなり、形状が安定する。
【0051】
《駆動部》
駆動部103は、タッチパネル500TPに備えられたタッチセンサ600を駆動する機能を有する。駆動部103は、筐体105の中に備えてもよいし、巻き取り部106の中に備えてもよいし、持ち手109の中に備えてもよい。
【0052】
検知部104より、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報が、駆動部103に供給される。駆動部103は、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報に基づいて、タッチパネル500TPに備えられたタッチセンサ600を駆動する機能を有する。具体的には、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報に基づいて、巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動する機能を有する。
【0053】
または、演算部110より、タッチパネルの状態に係る第2の情報が、駆動部103に供給される。駆動部103は、タッチパネル500TPの状態に係る第2の情報に基づいて、タッチパネル500TPに備えられたタッチセンサ600を駆動する機能を有する。具体的には、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報に基づいて、巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動する機能を有する。
【0054】
駆動部103は、検知部104より供給されるタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報に基づき、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域を算出する機能を有していてもよい。また、駆動部103は、演算部110より供給されるタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報に基づき、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域を算出する機能を有していてもよい。検知部104より供給される第1の情報、または演算部110より供給される第2の情報に基づき、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域を算出する方法は検知部104の構成によって異なる。
【0055】
《演算部》
演算部110は、検知部104より供給されるタッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を基にタッチパネル500TPの状態に係る第2の情報を算出し、上記第2の情報を駆動部103に供給する機能を有する。具体的には、検知部104より供給されるタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報を基にタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報を算出し、上記第2の情報を駆動部103に供給する機能を有する。検知部104から供給された第1の情報から、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報を算出する方法は検知部の構成によって異なる。なお、本明細書において、検知部104より駆動部103または演算部110に供給される情報を第1の情報と呼び、演算部110より駆動部103に供給される情報を第2の情報と呼ぶ。
【0056】
《検知部》
検知部104は、タッチパネル500TPの状態を判別することにより、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を取得し、上記第1の情報を駆動部103、または演算部110に供給する機能を有する。検知部104は、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を取得し、駆動部103、または演算部110に供給する機能を有するものであれば、どのようなものでもよい。以下では検知部104の2つの構成例について説明する。
【0057】
<検知部の構成例1>
本構成例の検知部104は検知素子104aと標識部104bを有する。標識部104bは複数の標識Ptを備える。
【0058】
《検知素子》
検知素子104aは標識部104bを認識することが出来、且つ複数の標識Ptを識別することできるものであればどのようなものでよい。例えば、検知素子104aとして、カメラ、を用いる事が出来る。具体的には、デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラ等をカメラに用いることができる。また、例えば、標識Ptとしてバーコードが用いられている場合には、バーコードリーダを検知素子104aとして用いる事が出来る。
【0059】
また、検知素子104aは画像処理や画像認識などにより、検知した情報を加工する機能を有していてもよい。例えば、標識Ptとして数字が用いられていた場合、数字を表す画像を画像認識により数に変換することで、画像ではなく、数を第1の情報として駆動部103または演算部110に供給してもよい。
【0060】
検知素子104aは駆動部103または演算部110と電気的に接続され、画像、映像、信号、数などの情報を駆動部103または演算部110に供給する事が出来る。また、検知素子104aと駆動部103または演算部110は必ずしも配線などで繋がっている必要は無く、電磁波などにより検知素子104aから駆動部103または演算部110に画像、映像、信号または数などが供給される構成でもよい。
【0061】
検知素子104aは標識部104bを検知できる位置であれば、どこに設けてもよい。検知素子104aは
図3(A−1)および(B−1)のように筐体105の外側に設けてもよいし、
図3(A−2)および(B−2)のように筐体105の内側に設けてもよい。また、
図3(C−1)および(C−2)のように筐体105の内部に埋め込むようにして配置してもよい。
【0062】
また、例えば、標識部104bが、タッチパネル500TPのタッチセンサ600側の面に設けられている場合は、上記面に設けられた標識部104bを検知できる位置に検知素子104aが設けられる。また、標識部104bが、タッチパネル500TPのタッチセンサ600側の面と反対の面に設けられている場合には、上記面に設けられた標識部104bを検知できる位置に検知素子104aが設けられる。検知素子104aは、標識部104bを検知できる位置であれば、どのような位置に配置してもよい。
【0063】
《標識部》
標識部104bはタッチパネル500TPに設けられる。標識部104bは検知素子104aにより認識することが可能な複数の標識Pt_1乃至標識Pt_hにより構成される。なお、hは1以上の自然数である。上記複数の標識Pt_1乃至標識Pt_hは配置される場所によって、形状などが異なり、検知素子104aはその形状などの違いを検知することが出来る。
図4(A)に、異なる位置にバーコードの形状の標識Pt_h1と標識Pt_h2が存在する例を示す。また、
図7(A)に標識Pt_h1と標識Pt_h2として数字を用いた例、
図7(B)に標識Pt_h1と標識Pt_h2として文字を用いた例を示す。なお、h1およびh2は1以上h以下の自然数であり、h1とh2は異なる。なお、標識Ptは、検知素子104aが検知できる性質であれば、形状ではなく、その他の性質であってもよい。例えば、磁場の異なる領域を標識Ptとし、磁気的な性質の違いを検知素子104aが検知する構成としてもよい。また、例えば、電界の異なる領域を標識Ptとし、電気的な性質の違いを検知素子104aが検知する構成としてもよい。
【0064】
標識部104bはタッチパネル500TPのどの位置に設けてもよい。例えば、標識部104bは、タッチパネル500TPのタッチセンサ600側の面に設けてもよいし、上記面と反対の面に設けてもよい。タッチパネル500TPのタッチセンサ600側の面と反対の面に標識部104bを設けた情報処理装置100の、上面図を
図8(A)に、底面図を
図8(B)に示す。なお、ここで
図8(B)は、
図8(A)の反対側から情報処理装置100を見た図である。
図8(B)を下面図という場合がある。また、
図8(C)は
図8(B)の1点鎖線X1−X2に対応した断面図である。
図8に示す情報処理装置100において、タッチセンサ600はタッチパネル500TPの
図8(A)で示す面に設けられている。従って、標識部104bはタッチセンサ600側の面と反対の面に設けられている。
図8のように、標識部104bをタッチセンサ600側の面と反対の面に設けることにより、領域101を広くすることが出来る。また、標識部104bは、タッチパネル500TPの内部に設けてもよい。例えば、表示部500とタッチセンサ600が貼り合わされた面や、表示部500、またはタッチセンサ600の内部に設けてもよい。また、標識部104bはタッチパネル500TPの側面に設けてもよい。タッチパネル500TPの側面に標識部104bを設けた情報処理装置100の、斜視図を
図9(A)に、上面図を
図9(B)に示す。
図9のように、標識部104bをタッチパネル500TPの側面に設けることにより、領域101を広くすることが出来る。
【0065】
標識Ptとして、様々な形状を用いる事が出来る。標識Ptの形状は検知素子104aで検知できるものであれば、どのようなものでもよい。また、標識Ptは異なる形状を有することが好ましい。例えば、バーコードのような1次元コード、QRコード(登録商標)などの2次元コードを用いる事が出来る。また、数字、文字、記号、図形、色彩、などを標識Ptとして用いる事が出来る。
【0066】
異なる形状を持つ複数の標識Ptはタッチパネル500TPに設けられた標識部104bの様々な位置に設けられる。タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる際、検知素子104aとタッチパネル500TPの相対的な位置関係は変化していくため、検知素子104aが検知する標識Ptも変化していく。従って、検知素子104aが検知する標識Ptの種類から、タッチパネル500TPの状態、具体的にはタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域の情報を得ることが出来る。
【0067】
例えば、
図4(A)のように標識部104bに標識Pt_h1と標識Pt_h2が配置された場合、検知素子104aが標識Pt_h1を検知した時、情報処理装置100は
図4(B)のような状態にあり、検知素子104aが標識Pt_h2を検知した時、情報処理装置100は
図5のような状態にあることがわかる。
【0068】
また、例えば、駆動部103または演算部110が、どの種類の標識Ptがタッチパネル500TP上のどの位置に存在するかというデータを保持することにより、検知素子104aが検知する標識Ptの種類からタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域を算出することができる。
【0069】
また、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる際に検知素子104aが検知する標識Ptの数により、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を得る場合には、複数の標識Ptの形状は同じでもよい。例えば、標識部104bにh個設けられた標識Ptを順番に検知していく場合、標識Ptをh1個検知した状態とh2個検知した状態は異なる。従って、検知した標識Ptの数がタッチパネル500TPの状態に係る第1の情報になる。この場合、検知素子104aは、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られているか、逆に巻き取り部106から広げられているかを判別する機能を有することが好ましい。例えば、検知素子104aにカメラを用いる場合、画像内で標識Ptが動く方向により、タッチパネル500TPが、巻き取り部106に巻き取られているか、巻き取り部106から広げられているかを判別することが出来る。
【0070】
<検知部の構成例2>
本構成例の検知部104は、巻き取り部106の筐体105に対する回転の度合いを検知する機構を有する。なお、巻き取り部106の筐体105に対する回転の度合いとは、巻き取り部106が筐体に対して相対的に回転する回数または回転角の合計、または累計である。例えば、巻き取り部106の筐体105に対する回転の度合いは、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られていない状態を基準として、巻き取り部106が回転した回数または回転角の合計の事を指す。従って、一度回転を止め、再度回転を行う場合、全ての回転の合計を回転の度合いとする。合計する際、巻き取り部106にタッチパネル500TPを巻き取る方向の回転をプラスとした場合、広げる方向の回転をマイナスとして計算する。なお、プラスとマイナスは入れ換えてもよい。
【0071】
検知部104は、巻き取り部106の筐体105に対する回転の度合いを検知できるものであれば、どのようなものを用いてもよい。例えば、回転を検知可能なポテンショメータを用いる事が出来る。その際、複数回の回転を検知することのできるポテンショメータを用いることが好ましい。
【0072】
本構成例では、検知部104で得られた巻き取り部106の筐体105に対する回転の度合いに関する情報が駆動部103、または演算部110に供給される。
【0073】
また、駆動部103は、検知部104より供給された第1の情報に基づいて、タッチセンサ600を駆動する。または、検知部104より供給された第1の情報と巻き取り部106の直径およびタッチパネル500TPの厚さなどの情報に基づいて、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域を算出し、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動する。または、検知部104より演算部110に第1の情報が供給され、演算部110にて、上記第1の情報と巻き取り部106の直径およびタッチパネル500TPの厚さなどの情報から、タッチパネルの巻き取り部106に巻き取られた領域を算出する。演算部110が算出した第2の情報は駆動部103に供給され、駆動部103は上記第2の情報に基づいて、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動する。
【0074】
なお、本明細書において、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報または第2の情報とは、タッチパネル500TPの状態に関係する情報全般を指す。上記第1の情報または第2の情報は、他の情報と組み合わさることにより、タッチパネル500TPの状態を知ることが出来るものでもよい。他の情報と組み合わさることにより、タッチパネル500TPの状態を知ることが出来る情報は、例えば、検知部の構成例1で示した検知素子104aが検知した標識Ptの種類である。検知素子104aが検知した標識Ptの種類は、どの種類の標識Ptがタッチパネル500TPに設けられた標識部のどの位置に存在するかというデータと照らし合わせることにより、タッチパネル500TPの状態、具体的には、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域を算出することが出来る。
【0075】
また、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報または第2の情報は、タッチパネル500TPの状態に基づいて駆動するタッチセンサ600の駆動に、直接関わるものでもよい。例えば、実施の形態3で後述する、どの制御線に制御信号を供給し、どの制御線に制御信号を供給しないか、といった情報、或いは、どの信号線の検知信号を使用し、どの信号線の検知信号を使用しないか、といった情報、でもよい。上記第1の情報または第2の情報が検知部104から駆動部103に送られた場合、他の情報と組み合わせてタッチパネル500TPの状態を算出することなく、タッチセンサ600を制限して駆動することが出来る。
【0076】
《情報処理装置の動作》
以下では、タッチパネル500TPが巻き取り部106に一部巻き取られる際の、情報処理装置100の動作について説明する。
【0077】
(第1のステップ)
筐体105に備えられた回転機構により、巻き取り部106を筐体105に対して回転させ、巻き取り部106にタッチパネル500TPを一部巻き取る(
図4(B)参照)。ここで、
図4(B)、(C)に示す領域500TP_2は巻き取り部106に巻き取られていない。
【0078】
(第2のステップ)
検知部104はタッチパネルの状態を判別する。それにより、検知部104はタッチパネルの状態に係る第1の情報を得る。具体的には、検知部104はタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報を得る。上記の情報は検知部104の構成によって異なる。例えば、上記の検知部の構成例1では、
図4(B)に示す様に、検知素子104aは標識Pt_h1を検知する。上記標識Pt_h1に関する情報は、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報、具体的には、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報である。
【0079】
(第3のステップ)
検知部104は、第2のステップで得たタッチパネル500TPの状態に係る第1の情報を駆動部103に供給する。具体的には、検知部104はタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報を供給する。
【0080】
または、検知部104はタッチパネルの状態に係る第1の情報を演算部110に供給してもよい。演算部110は、上記第1の情報を基にタッチパネルの状態に係る第2の情報を算出した後、上記第2の情報を駆動部に供給する。具体的には、検知部104はタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報を演算部110に供給する。演算部110は、上記第1の情報を基にタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報を算出した後、上記第2の情報を駆動部に供給する。
【0081】
(第4のステップ)
駆動部103は、上記第1の情報、または上記第2の情報に基づいて、タッチセンサ600の一部を駆動する。具体的には、駆動部103は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動する。また、駆動部103は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。例えば、
図4(C)に示す、領域500TP_2に備えられたタッチセンサ600を駆動し、領域500TP_1に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。なお、前述した様に、
図4(C)は説明のため、
図4(B)に示したタッチパネル500TPを平面状に広げた状態を示す図である。
【0082】
また、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域全体を駆動しなくてもよい。つまり、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域の中で、タッチセンサ600を駆動する範囲を調整してもよい。例えば、巻き取り部106が筐体105に設けられている構成において、タッチパネル500TPの筐体105に収納された領域は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域よりも広い場合がある。例えば、筐体105にローラー108などを設けた場合に、ローラー108などがタッチパネルに接触する領域を避けるように、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域の中で、タッチセンサ600を駆動する範囲を決めてもよい。また、駆動部103は、タッチパネル500TPの筐体105に収納されていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動し、タッチパネル500TPの筐体105に収納された領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しなくてもよい。例えば、
図6(B)に示す、領域500TP_4に備えられたタッチセンサ600を駆動し、領域500TP_3に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。また、駆動部103は、検知素子104aを基準として、タッチセンサ600の駆動する領域と駆動しない領域を決めてもよい。例えば、
図6(D)に示す、領域500TP_6に備えられたタッチセンサ600を駆動し、領域500TP_5に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。
【0083】
また、駆動部103がタッチセンサ600の一部を駆動する方法の詳細は実施の形態3で説明する。
【0084】
また、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられた表示部500を駆動し、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた表示部500を駆動しなくても良い。
【0085】
検知部104より供給されたタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報に基づいて、表示部500の表示領域を制限することが出来る。または、演算部110より供給されたタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報に基づいて、表示部500の表示領域を制限することが出来る。例えば、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられた表示部500のみ駆動する。または、タッチパネル500TPの筐体105に収納されていない領域に備えられた表示部500のみ駆動する。
【0086】
表示部500を駆動する領域を制限する際に、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域において、画像全体が見られるように画像を変換してもよい。また、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられた表示部全体に画像を表示させなくてもよい。また、画像の縦横比に合わせて、表示領域を変更してもよい。また、画像の向きを変更できるようにしてもよい。例えば、画像を最大限表示するために、画像を90度回転させて表示してもよい。例えば、元の画像は横が縦よりも長いが、表示領域は横が縦よりも短いとき、画像を90度回転させた方が、画像を大きく表示することが出来る。また、画像の向きをタッチパネルの向きをMEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)などのセンサにより検知し、予め定めた情報処理装置100の上側と画像の上側を合わせるように画像を変換してもよい。また、画像全体が見られるように画像を変換する場合、元の画像の縦横比に合うように表示領域を限定することが好ましい。また、表示領域は画像の変換を行うことが容易な画素数、領域に制限してもよい。
【0087】
また、表示領域を変更した際、タッチセンサ600を駆動する領域を表示領域に合わせて変更してもよい。
【0088】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係るタッチパネル500TPの構成について、
図10および
図11を参照しながら説明する。なお、ここでは、タッチパネル500TPの構成について説明するが、タッチパネル500TPに設けられる標識部104bについては説明しない。標識部104bは実施の形態1で説明した適切な位置に設けることが出来る。
【0089】
図10は本発明の一態様のタッチパネル500TPの構成を説明する図である。なお、説明の便宜のために、タッチセンサ600の一部および画素502の一部を拡大して図示している。
【0090】
図11(A)は
図10に示す本発明の一態様のタッチパネル500TPの一部のZ1−Z2における断面図であり、
図11(B)および
図11(C)は
図11(A)に示す構造の一部の変形例を示す断面図である。
【0091】
本実施の形態で説明するタッチパネル500TPは、表示部500および表示部500に重なるタッチセンサ600を有する(
図10参照)。
【0092】
タッチパネル500TPは筐体105に備えられた巻き取り部106に接続される。また、タッチパネル500TPは巻き取り部106に巻き取られることにより、筐体105に収納される(
図1および
図2参照)。
【0093】
タッチセンサ600は、制御信号を供給される機能を有する。また、タッチセンサ600は検知信号を供給する機能を有する。
【0094】
タッチセンサ600は、制御信号を供給される複数の制御線CL(i)を備え、検知信号を供給する複数の信号線ML(j)を備える。また、制御線CL(i)および信号線ML(j)を支持する可撓性基板610を備える。なお、複数の制御線CL(i)の延在する方向および複数の信号線ML(j)の延在する方向は
図10と異なる場合がある。
【0095】
また、タッチセンサ600が、制御線CL(i)と電気的に接続する第1の電極C1(i)と、信号線ML(j)と電気的に接続され且つ第1の電極C1(i)と重ならない部分を備える第2の電極C2(j)と、を備える。
【0096】
可撓性基板610が、第1の電極C1(i)および第2の電極C2(j)を支持する。
【0097】
表示部500は、画素502を備える。
【0098】
第1の電極C1(i)または第2の電極C2(j)が、画素502と重なる位置に開口部667を具備する網目状の導電膜を含む。
【0099】
例えば、タッチパネル500TPのタッチセンサ600は検知情報を検知して位置情報と共に供給することができる。具体的には、タッチパネル500TPの使用者は、タッチセンサ600に近接または接触させた指等をポインタに用いて様々なジェスチャー(タップ、ドラッグ、スワイプまたはピンチイン等)をすることができる。
【0100】
タッチセンサ600は、タッチセンサ600に近接または接触する指等を検知して、検知した位置または軌跡等を含む検知情報を供給することができる。
【0101】
演算装置は供給された情報が所定の条件を満たすか否かをプログラム等に基づいて判断し、所定のジェスチャーに関連付けられた命令を実行する。
【0102】
これにより、タッチセンサ600の使用者は、所定のジェスチャーを供給し、所定のジェスチャーに関連付けられた命令を演算装置に実行させることができる。なお、前述した演算部110は上記演算装置と兼ねる、または上記演算装置内に含めることが可能である。
【0103】
また、例えば演算装置等は表示情報Vを供給し、タッチパネル500TPの表示部500は表示情報Vを供給される。
【0104】
以上の構成に加えて、タッチパネル500TPは以下の構成を備えることもできる。
【0105】
タッチパネル500TPのタッチセンサ600は、フレキシブルプリント基板FPC1と電気的に接続されてもよい。
【0106】
タッチパネル500TPの表示部500は、駆動回路503gまたは駆動回路503sもしくは配線511または端子519を備えてもよい。また、フレキシブルプリント基板FPC2と電気的に接続されてもよい。
【0107】
また、傷の発生を防いでタッチパネル500TPを保護する保護層670を備えてもよい。例えば、セラミックコート層またはハードコート層を保護層670に用いることができる。具体的には、酸化アルミニウムを含む層またはUV硬化樹脂を用いることができる。また、タッチパネル500TPが反射する外光の強度を弱める反射防止層670pを用いることができる。具体的には、円偏光板等を用いることができる。
【0108】
以下に、タッチパネル500TPを構成する個々の要素について説明する。なお、これらの構成は明確に分離できず、一つの構成が他の構成を兼ねる場合や他の構成の一部を含む場合がある。
【0109】
例えば、複数の開口部667に重なる位置に着色層を備えるタッチセンサ600は、タッチセンサ600であるとともにカラーフィルタでもある。
【0110】
また、例えばタッチセンサ600が表示部500に重ねられたタッチパネル500TPは、タッチセンサ600であるとともに表示部500でもある。
【0111】
《全体の構成》
本実施の形態で説明するタッチパネル500TPは、タッチセンサ600または表示部500を有する。
【0112】
なお、タッチパネル500TPの作製に適用することができる積層体の作製方法の一例を実施の形態4乃至実施の形態6において詳細に説明する。
【0113】
《タッチセンサ》
タッチセンサ600は、制御線CL(i)、信号線ML(j)または可撓性基板610を備える。
【0114】
なお、可撓性基板610にタッチセンサ600を形成するための膜を成膜し、当該膜を加工する方法を用いて、タッチセンサ600を作製してもよい。
【0115】
または、タッチセンサ600の一部を他の基材に作成し、当該一部を可撓性基板610に転置する方法を用いて、タッチセンサ600を作製してもよい。
【0116】
タッチセンサ600は近接または接触するものを検知して検知信号を供給する。例えば静電容量、照度、磁力、電波または圧力等を検知して、検知した物理量に基づく情報を供給する。具体的には、容量素子、光電変換素子、磁気検知素子、圧電素子または共振器等をタッチセンサ600の検知素子に用いることができる。
【0117】
タッチセンサ600として、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、光学方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式などの方式を用いることができる。静電容量方式のタッチセンサは、投影型と表面型に分類され、投影型はさらに自己容量方式と相互容量方式に分類される。また、タッチセンサ600として、トランジスタなどの能動素子を用いたアクティブマトリクス方式を用いる事が出来る。
【0118】
例えば、静電容量方式のタッチセンサは、指やスタイラスペンなどの被検知体と、タッチセンサ600が備える導電膜との間の静電容量の変化を検知する。投影型静電容量方式の一つである相互容量方式の場合、例えば、制御線およびそれと電気的に接続する第1の電極の延在する方向と、信号線およびそれと電気的に接続する第2の電極の延在する方向が交差する。上記の交差部において、制御線および第1の電極と、信号線および第2の電極は絶縁体で分離されている。従って、交差部付近で制御線或いは第1の電極と信号線或いは第2の電極の間に相互容量が生じる。また、被検知体が制御線、第1の電極、信号線、或いは第2の電極に近接すると、被検知体とそれらとの間に静電容量が生じる。
【0119】
制御線に交流、パルス状等の電圧が印加された場合、交差部の相互容量に依存して信号線に電流が流れる。ただし、交差部付近に被検知体が近接し静電容量が生じると、電流は相互容量に加えて静電容量の影響を受けるため、信号線を流れる電流の値は、被検知体が近接していない時と比較して変化する。従って、信号線を流れる電流を検知信号として用いることができる。また、制御線および信号線が複数設けられているとき、電圧を複数の制御線に順次供給すると、電流が順次複数の信号線を流れる。複数の信号線を流れる電流の変化量および、電流が流れるタイミングから、被検知体が近接している交差部の位置を検知することが出来る。従って、タッチセンサ600に近接または接触する被検知体の位置を検知することが出来る。
【0120】
《配線》
タッチセンサ600は配線を備える。配線は制御線CL(i)、信号線ML(j)などを含む。
【0121】
導電性を有する材料を、配線などに用いることができる。
【0122】
例えば、無機導電性材料、有機導電性材料、金属または導電性セラミックスなどを、配線に用いることができる。
【0123】
具体的には、アルミニウム、金、白金、銀、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、イットリウム、ジルコニウム、パラジウムまたはマンガンから選ばれた金属元素、上述した金属元素を含む合金または上述した金属元素を組み合わせた合金などを配線等に用いることができる。特に、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンの中から選択される一以上の元素を含むと好ましい。特に、銅とマンガンの合金がウエットエッチング法を用いた微細加工に好適である。
【0124】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等を用いることができる。
【0125】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、またはチタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジムもしくはスカンジウムから選ばれた複数の元素を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を積層する積層構造を用いることができる。
【0126】
または、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。
【0127】
または、グラフェンまたはグラファイトを用いることができる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法や還元剤を用いる方法等を挙げることができる。
【0128】
または、導電性高分子を用いることができる。
【0129】
《可撓性基板》
可撓性基板610は、製造工程に耐えられる程度の耐熱性および製造装置に適用可能な厚さおよび大きさを備えるものであれば、特に限定されない。なお、表示部500が表示をする側にタッチセンサ600を配置する場合は、透光性を備える材料を可撓性基板610に用いる。
【0130】
有機材料、無機材料または有機材料と無機材料等の複合材料等を可撓性基板610に用いることができる。
【0131】
例えば、金属等の無機材料を可撓性基板610に用いることができる。
【0132】
例えば、樹脂、樹脂フィルムまたはプラスチック等の有機材料を可撓性基板610に用いることができる。
【0133】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート若しくはアクリル樹脂等の樹脂フィルムまたは樹脂板を、可撓性基板610に用いることができる。
【0134】
例えば、繊維状または粒子状の金属、ガラスもしくは無機材料等を樹脂フィルムに分散した複合材料を、可撓性基板610に用いることができる。
【0135】
例えば、繊維状または粒子状の樹脂もしくは有機材料等を無機材料に分散した複合材料を可撓性基板610に用いることができる。
【0136】
また、単層の材料または複数の層が積層された積層材料を、可撓性基板610に用いることができる。例えば、基板と基板に含まれる不純物の拡散を防ぐ絶縁層等が積層された積層材料を、可撓性基板610に用いることができる。
【0137】
または、樹脂と樹脂を透過する不純物の拡散を防ぐ酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜等が積層された積層材料を、可撓性基板610に適用できる。
【0138】
具体的には、可撓性を有する基板610b、不純物の拡散を防ぐバリア膜610aおよび基板610bとバリア膜610aを貼り合わせる樹脂層610cの積層体を用いることができる(
図11(A)参照)。
【0139】
《フレキシブルプリント基板》
フレキシブルプリント基板FPC1は、タイミング信号、電源電位等を供給し、検知信号を供給される(
図10参照)。
【0140】
《表示部》
表示部500は、画素502、走査線、信号線または可撓性基板510を備える。
【0141】
なお、可撓性基板510に表示部500を形成するための膜を成膜し、当該膜を加工して表示部500を形成してもよい。
【0142】
または、表示部500の一部を他の基材に形成し、当該一部を可撓性基板510に転置して、表示部500を形成してもよい。
【0143】
《画素》
画素502は副画素502B、副画素502Gおよび副画素502Rを含み、それぞれの副画素は表示素子と表示素子を駆動する画素回路を備える。
【0144】
《画素回路》
画素に能動素子を有するアクティブマトリクス方式、または、画素に能動素子を有しないパッシブマトリクス方式を表示部に用いることが出来る。
【0145】
アクティブマトリクス方式では、能動素子(アクティブ素子、非線形素子ともいう)として、トランジスタだけでなく、さまざまな能動素子を用いることが出来る。例えば、MIM(Metal Insulator Metal)、又はTFD(Thin Film Diode)などを用いることも可能である。これらの素子は、製造工程が少ないため、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、これらの素子は、素子のサイズが小さいため、開口率を向上させることができ、低消費電力化や高輝度化をはかることが出来る。
【0146】
アクティブマトリクス方式以外のものとして、能動素子を用いないパッシブマトリクス方式を用いることも可能である。能動素子を用いないため、製造工程が少なく、製造コストの低減、又は歩留まりの向上を図ることができる。または、能動素子を用いないため、開口率を向上させることができ、低消費電力化、又は高輝度化などを図ることが出来る。
【0147】
画素回路は、例えば、トランジスタ502tを含む(
図11(A)参照)。
【0148】
表示部500はトランジスタ502tを覆う絶縁膜521を備える。絶縁膜521は画素回路に起因する凹凸を平坦化するための層として用いることができる。また、絶縁膜521に不純物の拡散を抑制できる層を含む積層膜を適用することができる。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ502t等の信頼性の低下を抑制できる。
【0149】
《表示素子》
さまざまな表示素子を表示部500に用いることができる。例えば、電気泳動方式や電子粉流体(登録商標)方式やエレクトロウェッティング方式などにより表示を行う表示素子(電子インクともいう)、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、液晶素子などを用いることができる。
【0150】
また、透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイなどに用いることができる表示素子を用いることができる。
【0151】
例えば、射出する光の色が異なる有機エレクトロルミネッセンス素子を副画素毎に適用してもよい。
【0152】
例えば、白色の光を射出する有機エレクトロルミネッセンス素子を適用できる。
【0153】
例えば、発光素子550Rは、下部電極、上部電極、下部電極と上部電極の間に発光性の有機化合物を含む層を有する。
【0154】
副画素502Rは発光モジュール580Rを備える。副画素502Rは、発光素子550Rおよび発光素子550Rに電力を供給することができるトランジスタ502tを含む画素回路を備える。また、発光モジュール580Rは発光素子550Rおよび光学素子(例えば着色層CFR)を備える。
【0155】
なお、特定の波長の光を効率よく取り出せるように、発光モジュール580Rに微小共振器構造を配設することができる。具体的には、特定の光を効率よく取り出せるように配置された可視光を反射する膜および半反射・半透過する膜の間に発光性の有機化合物を含む層を配置してもよい。
【0156】
発光モジュール580Rは、光を取り出す方向に着色層CFRを有する。着色層は特定の波長を有する光を透過するものであればよく、例えば赤色の光を選択的に透過する着色層CFR、緑色の光を選択的に透過する着色層CFG、青色の光を選択的に透過する着色層CFBまたは黄色等の光を選択的に透過する着色層などを用いることができる。なお、他の副画素を着色層が設けられていない窓部に重なるように配置して、着色層を透過しないで発光素子の発する光を射出させてもよい。
【0157】
着色層CFRは発光素子550Rと重なる位置にある。これにより、発光素子550Rが発する光の一部は着色層CFRを透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール580Rの外部に射出される。
【0158】
着色層(例えば着色層CFR)を囲むように遮光性の層BMがある。
【0159】
なお、光を取り出す側に封止材560が設けられている場合、封止材560は発光素子550Rと着色層CFRに接してもよい。
【0160】
下部電極は絶縁膜521の上に配設される。下部電極に重なる開口部が設けられた隔壁528を備える。なお、隔壁528の一部は下部電極の端部に重なる。
【0161】
下部電極は、上部電極との間に発光性の有機化合物を含む層を挟持して発光素子(例えば発光素子550R)を構成する。画素回路は発光素子に電力を供給する。
【0162】
また、隔壁528上に、可撓性基板610と可撓性基板510の間隔を制御するスペーサを有する。
【0163】
なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。
【0164】
また、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。また、適用する表示素子に好適な構成を様々な画素回路から選択して用いることができる。
【0165】
《可撓性基板》
例えば、可撓性基板610に用いることができる材料と同様の材料を可撓性基板510に適用することができる。
【0166】
なお、可撓性基板510が透光性を必要としない場合は、例えば着色した材料、透光性を有しない材料、具体的には黄色等に着色した樹脂、SUSまたはアルミニウム等を用いることができる。
【0167】
例えば、可撓性を有する基板510bと、不純物の拡散を防ぐバリア膜510aと、基板510bおよびバリア膜510aを貼り合わせる樹脂層510cと、が積層された積層体を可撓性基板510に好適に用いることができる(
図11(A)参照)。
【0168】
《封止材》
封止材560は可撓性基板610と可撓性基板510を貼り合わせる。封止材560は空気より大きい屈折率を備える。
【0169】
なお、画素回路または発光素子(例えば発光素子550R)は可撓性基板510と可撓性基板610の間にある。
【0170】
《駆動回路の構成》
駆動回路503gは選択信号を供給する。例えば、走査線に選択信号を供給する(
図10参照)。
【0171】
また、画像信号を供給する駆動回路503sを備えていてもよい。例えば、トランジスタ503tまたは容量503cを駆動回路503sに用いることができる。
【0172】
例えば、シフトレジスタ、フリップフロップ回路などの順序回路や組み合わせ回路などを駆動回路503gまたは駆動回路503sに用いることができる。
【0173】
なお、画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができるトランジスタを駆動回路に用いることができる。
【0174】
《配線》
表示部500は、走査線、信号線および電源線等の配線を有する。さまざまな導電膜を用いることができる。例えば、タッチセンサ600に用いることができる導電膜と同様の材料を用いることができる。
【0175】
表示部500は、信号を供給することができる配線511を備え、端子519が配線511に設けられている。なお、画像信号および同期信号等の信号を供給することができるフレキシブルプリント基板FPC2が端子519に電気的に接続されている。
【0176】
なお、フレキシブルプリント基板FPC2にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
【0177】
《他の構成》
タッチパネル500TPは、反射防止層670pを画素に重なる位置に備える。反射防止層670pとして、例えば円偏光板を用いることができる。
【0178】
<タッチパネルの変形例>
様々なトランジスタをタッチセンサ600または/および表示部500に適用できる。
【0179】
ボトムゲート型のトランジスタを表示部500に適用する場合の構成を
図11(A)および
図11(B)に図示する。
【0180】
例えば、酸化物半導体、アモルファスシリコン等を含む半導体層を
図11(A)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0181】
例えば、レーザーアニールなどの処理により結晶化させた多結晶シリコンを含む半導体層を、
図11(B)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0182】
トップゲート型のトランジスタを表示部500に適用する場合の構成を、
図11(C)に図示する。
【0183】
例えば、多結晶シリコンまたは単結晶シリコン基板等から転置された単結晶シリコン膜等を含む半導体層を、
図11(C)に図示するトランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0184】
また、例えば、半導体層の上下にゲート電極を備えたデュアルゲート構造のトランジスタを、トランジスタ502tおよびトランジスタ503tに適用することができる。
【0185】
また、トランジスタ502tおよびトランジスタ503tは、ゲート電極が半導体層を取り囲む領域の多いトランジスタであることが好ましい。上記構造のトランジスタとして、例えば、Fin型トランジスタなどがある。
【0186】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0187】
(実施の形態3)
本実施の形態では、タッチパネル500TPに備えられたタッチセンサ600の構成、およびタッチパネル500TPの状態に係る第1の情報または第2の情報に基づいてタッチセンサを駆動する方法について、
図12乃至
図17を参照しながら説明する。
【0188】
尚、タッチパネル500TPの端と巻き取り部106が接続する構成として、以下の2つがある。一つは、タッチセンサ600に備えられる制御線の延在する方向と、タッチパネル500TPが巻き取り部106によって巻き取られる方向、が交差する構成である。また、もう一つは、タッチセンサ600に備えられる信号線の延在する方向と、タッチパネル500TPが巻き取り部106によって巻き取られる方向、が交差する構成である。上記2つの構成は、タッチセンサ600の一部を駆動する方法が異なる。本実施の形態では、上記2つの構成について、タッチセンサ600の一部を駆動する方法について説明する。また、その他2つの構成例についても説明する。
【0190】
図12(A)に構成例1のタッチセンサ600の上面図、およびブロック図を図示する。また、
図12(A)では、説明のため、タッチセンサ600を平面状に広げた状態を示しているが、
図12(A)を用いて、タッチパネル500TPの一部が巻き取り部106に巻き取られた状態における駆動方法を説明する場合がある。
【0191】
駆動部103は、制御部103Cと、出力部103Dを含む。制御部103Cは、タッチセンサ600に制御信号を供給する。また、出力部103Dは、検知信号が供給される。検知信号は、指やスタイラスペンなどの被検知体が近接或いは接触したタッチセンサの位置に関する情報を含む。
【0192】
タッチセンサ600は、制御線CL(1)乃至制御線CL(m)と、信号線ML(1)乃至信号線ML(n)と、可撓性基板610と、を有する(
図12(A)参照)。なお、n、mは2以上の自然数である。
【0193】
制御線は、制御信号を供給され、図中に矢印Rで示す方向に延在する。
【0194】
信号線は、図中に矢印Cで示す方向に延在し、検知信号を供給する。
【0195】
可撓性基板610は、制御線および信号線を支持する。
【0196】
制御線CL(1)乃至制御線CL(m)は複数の配線からなる配線部111およびフレキシブル基板FPC1を介して制御部103Cと電気的に接続する。また、信号線ML(1)乃至信号線ML(n)は複数の配線からなる配線部112およびフレキシブル基板FPC1を介して出力部103Dと電気的に接続する。尚、
図12(A)では配線部111がタッチセンサ600の片側の辺に沿って設けられているが、これに加えて対向する辺にも配線部111を設けてもよい。
【0197】
タッチパネル500TPと巻き取り部106は、タッチセンサの領域107の辺の方向で固定される。例えば、タッチパネル500TPの端とタッチセンサ600の端が一致し、領域107がタッチパネル500TPの端と同じとなれば、領域107でタッチパネル500TPは巻き取り部106に固定される。また、タッチパネル500TPの端がタッチセンサ600の端と一致しない場合でも、
図13(A)に示す様に、領域107の外側にある領域107_2で、タッチパネル500TPは巻き取り部106に固定される。従って、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる方向は矢印Cで示す方向になる。
【0198】
本構成例では、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる方向は、制御線の延在する方向と交差する。
【0199】
また、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる方向は、制御線の延在する方向と垂直に交差することが好ましい。上記構成とすることで、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に制御線が部分的に備えられる状態になりにくくなる。これは、上記構成では、巻き取られた領域と巻き取られていない領域の境界線と制御線が平行となるためである。
【0200】
また、本発明の一態様のタッチセンサ600は、第1の電極C1(1)乃至第1の電極C1(m)と、第2の電極C2(1)乃至第2の電極C2(n)と、を備える。
【0201】
第1の電極C1(i)は、一つの制御線CL(i)と電気的に接続する。なお、iは1以上m以下の自然数である。
【0202】
第2の電極C2(j)は、一つの信号線ML(j)と電気的に接続され且つ第1の電極C1(1)乃至第1の電極C1(m)と重ならない部分を備える。なお、jは1以上n以下の自然数である。
【0203】
可撓性基板610は、第1の電極および第2の電極を支持する。
【0204】
制御線CL(1)乃至制御線CL(m)は、制御信号を供給され供給することができる。なお、制御線CL(1)乃至制御線CL(m)は、変調された制御信号を供給され供給する機能を有してもよい。
【0205】
信号線ML(1)乃至信号線ML(n)は、検知信号を供給され供給することができる。
【0206】
制御線が供給する制御信号は、信号線と制御線の間に形成される容量を介して信号線に検知され、検知信号になる。
【0207】
同一の工程で形成される導電膜を用いて信号線および制御線を形成する場合は、制御線と信号線の交差部において一方の配線を分離して形成する。そして、交差部に絶縁性の膜を設け、他方の配線との間に絶縁膜を挟む他の導電膜を用いて分離された一方の配線を電気的に接続する。
【0208】
例えば、制御線CL(i)を分離して形成し、導電膜BR(i,j)を用いて分離された制御線CL(i)を電気的に接続する。なお、導電膜BR(i,j)と信号線ML(j)の交差部には絶縁性の膜611が設けられている(
図14(A)参照)。
【0209】
また、信号線ML(j)と可撓性基板610および制御線CL(i)と可撓性基板610の間に遮光性の層BMを備えてもよい。遮光性の層BMは、可撓性基板610側から信号線または制御線に入射する光の強度もしくは信号線ML(j)または制御線CL(i)が反射する光の強度を弱めることができる。なお、遮光性の層BMは開口部を備えることができる(
図14(C)参照)。
【0210】
絶縁性の膜611は、制御線CL(i)に到達する開口部が形成され、当該開口部において制御線CL(i)は導電膜BR(i,j)と電気的に接続する。
【0211】
具体的には、制御線CL(i)と信号線ML(j)は、同一の工程で形成される導電膜で形成され、制御線CL(i)は信号線ML(j)と交差する部分において分離される。分離された制御線CL(i)は導電膜BR(i,j)により電気的に接続されている。
【0212】
また、制御線CL(i)と電気的に接続する第1の電極C1(i)を備えることができる。第1の電極C1(i)は、タッチセンサ600に近接または接触する指やスタイラスペンなどの被検知体を検知し易くすることができる。
【0213】
また、信号線ML(j)と電気的に接続する第2の電極C2(j)を備えることができる。第2の電極C2(j)は、タッチセンサ600に近接または接触する指やスタイラスペンなどの被検知体を検知し易くすることができる。
【0214】
例えば、矩形の電極を第1の電極C1(i)および第2の電極C2(j)に用いることができる(
図14(A)参照)。なお、透光性を有する導電膜を用いると、透光性を有するタッチセンサを提供することができる。
【0215】
例えば、いずれも網目状になるように開口部が設けられた矩形の第1の電極C1(i)および第2の電極C2(j)を用いることができる(
図14(B)または
図14(C)参照)。なお、開口部が設けられた金属膜等を用いると、透光性を備える導電膜を用いる場合に比べて電気抵抗を低減することができる。これにより、透光性を有するさまざまな大きさのタッチセンサを提供することができ、その大きさに依存することなく、検知情報を供給させることができる。例えば、ハンドヘルド型に用いることができる大きさから、電子黒板に用いることができる大きさまで、さまざまな大きさのタッチセンサを提供することができる。
【0216】
《第1の電極C1(i)、第2の電極C2(j)および導電膜BR(i,j)》
さまざまな導電性を有する材料を配線、第1の電極C1(i)および第2の電極C2(j)ならびに導電膜BR(i,j)に用いることができる。
【0217】
例えば、無機導電性材料、有機導電性材料、金属または導電性セラミックスなどを、導電膜に用いることができる。
【0218】
具体的には、アルミニウム、金、白金、銀、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン、ニッケル、鉄、コバルト、イットリウム、ジルコニウム、パラジウムまたはマンガンから選ばれた金属元素、上述した金属元素を含む合金または上述した金属元素を組み合わせた合金などを配線等に用いることができる。特に、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンの中から選択される一以上の元素を含むと好ましい。特に、銅とマンガンの合金がウエットエッチング法を用いた微細加工に好適である。
【0219】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等を用いることができる。
【0220】
具体的には、アルミニウム膜上にチタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、またはチタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジムもしくはスカンジウムから選ばれた複数の元素を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を積層する積層構造を用いることができる。
【0221】
または、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を導電膜に用いることができる。
【0222】
または、グラフェンまたはグラファイトを導電膜に用いることができる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法や還元剤を用いる方法等を挙げることができる。
【0223】
または、導電性高分子を導電膜に用いることができる。
【0224】
《構成例1におけるタッチセンサの駆動方法》
以下では、構成例1のタッチパネル500TPにおいて、駆動部103がタッチセンサ600の一部を駆動する方法を示す。具体的には、タッチパネル500TPが巻き取り部106に一部巻き取られた時に、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動し、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られた領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しない方法について、
図12(A)等を用いて説明する。
【0225】
検知部104より、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報が駆動部に供給される。具体的には、検知部104より、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報が駆動部103に供給される。
【0226】
なお、
図15(A)に示す様に、検知部104より、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報が演算部110に供給され、演算部110が上記第1の情報を基にタッチパネル500TPの状態に係る第2の情報を算出する構成としてもよい。演算部110により算出された、タッチパネル500TPの状態に係る第2の情報は駆動部103に供給される。具体的には、検知部104より、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報が演算部110に供給され、演算部110は上記第1の情報を基にタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報を算出する。演算部110により算出された、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報は駆動部103に供給される。
【0227】
駆動部103の制御部103Cは制御信号を供給する。例えば、制御部103Cは、制御信号を制御線毎に順番に供給する。または、出力部103Dが分離することができる方法で変調された複数の信号を、複数の制御線に同じ時刻に供給する。
【0228】
ただし、駆動部103に供給されたタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域の第1の情報または第2の情報に基づき、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられた制御線に制御信号を供給し、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた制御線には制御信号を供給しない。例えば、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に制御線CL(1)乃至CL(k1)が備えられている場合は、制御線CL(k1+1)乃至CL(m)に制御信号を供給し、制御線CL(1)乃至CL(k1)に制御信号を供給しない。ここで、k1は1以上m−1以下の自然数である。なお、制御線の一部でも、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられていれば、その制御線には制御信号を供給しない。また、制御線CL(k1+1)乃至CL(m)の全てに制御信号を供給する必要は無く、必要に応じて、選択することが可能である。具体的には、例えば、制御線CL(i)にローラー108などが接触するような場合には、制御線CL(i)に制御信号を供給しなくてもよい。
【0229】
指やスタイラスペンなどの被検知体が、制御線CL(i1)や制御線CL(i1)に電気的に接続された第1の電極C1(i1)などの導電膜に近接すると、被検知体と導電膜の間の静電容量が変化する。ここで、i1は(k1+1)以上m以下の自然数である。また、信号線ML(j)や信号線ML(j)と電気的に接続する第2の電極C2(j)などの導電膜に被検知体が近接することにより、被検知体とこれらの導電膜の間の静電容量も変化する。そして、上記静電容量の変化に基づいて検知信号が変化する。
【0230】
出力部103Dは、検知信号を供給される。被検知体が第1の電極および第2の電極に近接することにより、検知信号は変化する。タッチセンサ600は、例えば、検知信号の変化が閾値を超えるか否かに基づき、被検知体の近接または接触を知ることができる。なお、上記の動作はタッチ検出と言い換えることが出来る。
【0231】
上記駆動方法とすることにより、情報処理装置100が備えるタッチセンサ600の誤検知を防ぐことが出来る。また、制御信号を供給する制御線の数を少なくすることが出来るため、消費電力を低減させることが出来る。
【0232】
<タッチセンサの構成例1の変形例>
検知信号は、信号線および第2の電極を通り、出力部に供給される。
図12(A)の構成では、タッチパネル500TPは出力部に近い方から巻き取られていくため、検知信号は、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた信号線および第2の電極を通る。
【0233】
一方、タッチセンサ600は、
図16(A)のように、配線部112を引きまわす構成としてもよい。これにより、検知信号はタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた第2の電極を通らずに出力部103Dに供給される。
【0234】
また、
図17(A)のように、駆動部103を巻き取り部106が設けられる方向とは異なる方向に設ける構成としてもよい。これにより、検知信号はタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた信号線および第2の電極を通らずに出力部103Dに供給される。
図17(A)の構成では、例えば、駆動部を持ち手の中などに設けることが出来る。
【0235】
<タッチセンサの構成例2>
構成例2は、制御線および信号線と巻き取り部106の位置関係が構成例1と異なる。構成例2について、
図12(B)等を用いて説明する。
【0236】
図12(B)に構成例2のタッチセンサ600の上面図およびブロック図を図示する。また、
図12(B)では、説明のため、タッチセンサ600を平面状に広げた状態を示しているが、
図12(B)を用いて、タッチパネル500TPの一部が巻き取り部106に巻き取られた状態における駆動方法を説明する場合がある。
【0237】
駆動部103は制御部103Cと、出力部103Dを含む。制御部103Cは、制御信号を供給する。また、出力部103Dは、検知信号が供給される。検知信号は、指やスタイラスペンなどの被検知体が近接或いは接触したタッチセンサの位置に関する情報を含む。
【0238】
制御線は、制御信号を供給され、図中に矢印Cで示す方向に延在する。
【0239】
信号線は、図中に矢印Rで示す方向に延在し、検知信号を供給する。
【0240】
可撓性基板610は、制御線および信号線を支持する。
【0241】
制御線CL(1)乃至制御線CL(m)は複数の配線からなる配線部111およびフレキシブル基板FPC1を介して制御部103Cと電気的に接続する。また、信号線ML(1)乃至信号線ML(n)は複数の配線からなる配線部112およびフレキシブル基板FPC1を介して出力部103Dと電気的に接続する。尚、
図12(B)では配線部112がタッチセンサ600の片側の辺に沿って設けられているが、これに加えて対向する辺にも配線部112を設けてもよい。
【0242】
タッチパネル500TPと巻き取り部106は、タッチセンサの領域107の辺の方向で固定される。例えば、タッチパネル500TPの端とタッチセンサ600の端が一致し、領域107がタッチパネル500TPの端となれば、領域107でタッチパネル500TPは巻き取り部106に固定される。また、タッチパネル500TPの端がタッチセンサ600の端と一致しない場合でも、
図13(B)に示す様に、領域107の外側にある領域107_2で、タッチパネル500TPは巻き取り部106に固定される。従って、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる方向は矢印Cで示す方向になる。
【0243】
本構成例では、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる方向は信号線の延在する方向と交差する。
【0244】
また、タッチパネル500TPが巻き取り部106に巻き取られる方向は信号線の延在する方向と垂直に交差することが好ましい。上記構成とすることで、信号線の一部が巻き取り部106に巻き取られた領域に存在し、且つ、信号線の別の一部が巻き取り部106に巻き取られていない領域に存在する、という状態になりにくくなる。
【0245】
《構成例2におけるタッチセンサの駆動方法》
以下では、構成例2のタッチパネル500TPにおいて、駆動部103がタッチセンサ600の一部を駆動する方法を示す。具体的には、タッチパネル500TPが巻き取り部106に一部巻き取られた時に、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動し、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られた領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しない方法について、
図12(B)等を用いて説明する。
【0246】
検知部104より、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報が駆動部103に供給される。具体的には、検知部104より、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報が駆動部103に供給される。
【0247】
なお、
図15(B)に示す様に、検知部104より、タッチパネル500TPの状態に係る第1の情報が演算部110に供給され、演算部110が上記第1の情報を基にタッチパネル500TPの状態に係る第2の情報を算出する構成としてもよい。演算部110により算出された、タッチパネル500TPの状態に係る第2の情報は駆動部103に供給される。具体的には、検知部104より、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第1の情報が演算部110に供給され、演算部110は上記第1の情報を基にタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報を算出する。演算部110により算出された、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に係る第2の情報は駆動部103に供給される。
【0248】
駆動部103の制御部103Cは制御線CL(1)乃至制御線CL(m)に制御信号を供給する。例えば、制御部103Cは、制御信号を制御線CL(i)毎に順番に供給する。または、出力部103Dが分離することができる方法で変調された複数の信号を、複数の制御線CL(i)に同じ時刻に供給する。
【0249】
指やスタイラスペンなどの被検知体が、制御線CL(i)や制御線CL(i)に電気的に接続された第1の電極C1(i)などの導電膜に近接すると、被検知体と導電膜の間の静電容量が変化する。また、信号線ML(j)や信号線ML(j)と電気的に接続する第2の電極C2(j)などの導電膜に被検知体が近接することにより、被検知体とこれらの導電膜の間の静電容量も変化する。そして、上記静電容量の変化に基づいて検知信号が変化する。
【0250】
出力部103Dは、検知信号を供給される。被検知体が第1の電極および第2の電極に近接することにより、検知信号は変化する。出力部103Dは、例えば、検知信号の変化が閾値を超えるか否かに基づき、被検知体の導電膜への近接を検知することができる。また、タッチセンサ600は、タッチセンサ600上で被検知体が近接または接触している位置を知ることができる。
【0251】
ただし、検知部より供給されたタッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られた領域に係る第1の情報に基づき、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られていない領域に備えられた信号線ML(j)から供給される検知情報を使用し、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた信号線ML(j)から供給される検知情報を使用しない。例えば、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に信号線ML(1)乃至ML(k2)が設けられていた時には、信号線ML(k2+1)乃至ML(n)から供給される検知情報を使用し、信号線ML(1)乃至ML(k2)から供給される検知情報を使用しない。ここで、k2は1以上n−1以下の自然数である。なお、信号線ML(k2+1)乃至ML(n)から供給される全ての検知情報を使用する必要は無く、必要に応じて、選択することが可能である。具体的には、例えば、信号線ML(k2+1)にローラー108などが接触するような場合には、信号線ML(k2+1)の検知情報を使用しなくてもよい。
【0252】
上記駆動方法とすることにより、情報処理装置100が備えるタッチセンサ600の誤検知を防ぐことが出来る。
【0253】
<タッチセンサの構成例2の変形例>
図12(B)の構成において、制御信号は制御線および第1の電極を通り、タッチ検出が行われる領域に供給される。
図12(B)の構成では、タッチパネル500TPは制御部に近い方から巻き取られていくため、制御部103Cから供給された制御信号はタッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた制御線および第1の電極を通る。
【0254】
一方、タッチセンサ600は、
図16(B)のように、配線部111を引きまわす構成としてもよい。これにより、制御信号が、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた第1の電極を通らずにタッチ検出が行われる領域に供給される。
【0255】
また、タッチセンサ600は、
図17(B)のように、駆動部を巻き取り部が設けられる方向とは異なる方向に設ける構成としてもよい。これにより、制御信号が、タッチパネル500TPの巻き取り部106に巻き取られた領域に備えられた制御線および第1の電極を通らずにタッチ検出が行われる領域に供給される。
図17(B)の構成では、例えば、駆動部103を持ち手の中などに設けることが出来る。
【0256】
<タッチセンサの構成例3>
本発明の一態様のタッチセンサの別の構成について説明する。
【0257】
ここで説明するタッチセンサは、制御線毎に異なる方法で変調された制御信号を供給することができる制御部を有する点が、構成例1および構成例2のタッチセンサ600とは異なる。ここでは構成例1および構成例2とは異なる構成について詳細に説明する。
【0258】
制御線は、第1の制御線CL(p)および第2の制御線CL(q)を含む。なお、pおよびqは1以上m以下の自然数であり、qはpと異なる。
【0259】
信号線は、第1の制御線CL(p)および第2の制御線CL(q)と交差する信号線ML(j)を含む。
【0260】
制御部103Cは、第1の方法で変調された第1の制御信号を第1の制御線CL(p)に供給する機能と、第1の方法とは異なる第2の方法で変調された第2の制御信号を第2の制御線CL(q)に供給する機能と、を有する。
【0261】
出力部103Dは、信号線ML(j)と電気的に接続され、信号線ML(j)に供給される検知信号から、第1の制御信号に基づく第1の検知信号と、第2の制御信号に基づく第2の検知信号と、を分離する機能を有する。
【0262】
本実施の形態のタッチセンサの構成例3で説明する発明の一態様は、制御線毎に異なる方法で変調された制御信号を供給することができる制御部と、一の信号線に供給された検知信号から異なる方法で変調された検知信号を分離することができる出力部と、を含んで構成される。これにより、およそ同一の時刻に第1の制御線と第2の制御線に制御信号を供給し、信号線に供給される検知信号から、第1の制御線が信号線と交差する部分および第2の制御線が信号線と交差する部分において検知される検知信号を分離することができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規なタッチセンサを提供することができる。
【0263】
例えば、第1の制御信号と分離することができる制御信号を、第2の制御信号に用いればよい。具体的には、第1の周波数を有する信号を第1の制御信号に用い、第1の周波数と異なる第2の周波数を有する信号を第2の制御信号に用いることができる。
【0264】
本構成例では、上記の構成との構成例1または構成例2で説明した構成を組み合わせることが出来る。例えば、タッチパネル500TPの状態に基づき、タッチセンサ600の一部を駆動することが出来る。具体的には、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動し、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られた領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。例えば、本構成例とタッチセンサの構成例1を組み合わせる場合、pおよびqはk1+1以上m以下の自然数になる。
【0265】
<タッチセンサの構成例4>
本発明の一態様のタッチセンサの別の構成について説明する。
【0266】
ここで説明するタッチセンサは、隣接する制御線毎に異なる方法で変調された制御信号を供給することができる制御部を有する点および隣接する信号線が供給する検知信号の差分を用いて出力部103Dが検知情報を供給する点が、構成例1乃至構成例3のタッチセンサとは異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、上記の説明を援用する。
【0267】
制御線は、第1の制御線CL(p)および第2の制御線CL(q)を含む。
【0268】
信号線は、第1の制御線CL(p)および第2の制御線CL(q)と交差する信号線ML(j)を含む。
【0269】
信号線は、第1の制御線CL(p)および第2の制御線CL(q)と交差する信号線ML(j+1)を含む。
【0270】
制御部103Cは、第1の方法で変調された第1の制御信号を第1の制御線CL(p)に供給する機能と、第1の方法とは異なる第2の方法で変調された第2の制御信号を第2の制御線CL(q)に供給する機能と、を有する。
【0271】
出力部103Dは、信号線ML(j)およびML(j+1)と電気的に接続される。
【0272】
出力部103Dは、信号線ML(j)に供給される検知信号から、第1の制御信号に基づく第1の検知信号と、第2の制御信号に基づく第2の検知信号と、を分離する機能を有する。
【0273】
また、出力部103Dは、信号線ML(j+1)に供給される検知信号から、第1の制御信号に基づく第3の検知信号と、第2の制御信号に基づく第4の検知信号と、を分離する機能を有する。
【0274】
また、出力部103Dは、第1の検知信号と第3の検知信号を比較して、その差分に基づく第1の検知情報と、第2の検知信号と第4の検知信号を比較して、その差分に基づく第2の検知情報と、を供給する機能を有する。
【0275】
本実施の形態のタッチセンサの構成例4で説明する発明の一態様は、制御線毎に異なる方法で変調された制御信号を供給することができる制御部103Cと、一の信号線ML(j)に供給された検知信号から異なる方法で変調された検知信号を分離することができる出力部103Dと、を含んで構成される。また、信号線ML(j)が検出する検知信号と、信号線ML(j)に隣接する信号線ML(j+1)が検出する検知信号を比較して、検知情報を供給することができる出力部103Dを含んで構成される。
【0276】
これにより、およそ同一の時刻に第1の制御線と第2の制御線に制御信号を供給し、信号線に供給される検知信号から、第1の制御線が信号線と交差する部分および第2の制御線が信号線と交差する部分において検知される検知信号を分離することができる。また、隣接する検知情報に基づいて雑音成分が相殺された検知情報を供給することができる。その結果、利便性または信頼性に優れた新規なタッチセンサを提供することができる。
【0277】
本構成例では、上記の構成との構成例1または構成例2で説明した構成を合わせることが出来る。例えば、タッチパネル500TPの状態に基づき、タッチセンサ600の一部を駆動することが出来る。具体的には、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られていない領域に備えられたタッチセンサ600を駆動し、タッチパネル500TPの巻き取り部に巻き取られた領域に備えられたタッチセンサ600を駆動しない。例えば、本構成例とタッチセンサの構成例1を組み合わせる場合、pおよびqはk1+1以上m以下の自然数になる。
【0278】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0279】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置を作製する際に用いることができる積層体の作製方法について、
図18を参照しながら説明する。
【0280】
図18は積層体を作製する工程を説明する模式図である。
図18の左側に、加工部材および積層体の構成を説明する断面図を示し、対応する上面図を、
図18(C)を除いて右側に示す。
【0281】
<積層体の作製方法>
加工部材80から積層体81を作製する方法について、
図18を参照しながら説明する。
【0282】
加工部材80は、第1の基板F1と、第1の基板F1上の第1の剥離層F2と、第1の剥離層F2に一方の面が接する第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3の他方の面に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面が接する基材S5と、を備える(
図18(A−1)および
図18(A−2))。
【0283】
なお、加工部材80の構成の詳細は、実施の形態6で説明する。
【0284】
《剥離の起点の形成》
剥離の起点F3sが接合層30の端部近傍に形成された加工部材80を準備する。
【0285】
剥離の起点F3sは、第1の被剥離層F3の一部が第1の基板F1から分離された構造を有する。
【0286】
第1の基板F1側から鋭利な先端で第1の被剥離層F3を刺突する方法またはレーザ等を用いる方法(例えばレーザアブレーション法)等を用いて、第1の被剥離層F3の一部を剥離層F2から部分的に剥離することができる。これにより、剥離の起点F3sを形成することができる。
【0287】
《第1のステップ》
剥離の起点F3sがあらかじめ接合層30の端部近傍に形成された加工部材80を準備する(
図18(B−1)および
図18(B−2)参照)。
【0288】
《第2のステップ》
加工部材80の一方の表層80bを剥離する。これにより、加工部材80から第1の残部80aを得る。
【0289】
具体的には、接合層30の端部近傍に形成された剥離の起点F3sから、第1の基板F1を第1の剥離層F2と共に第1の被剥離層F3から分離する(
図18(C)参照)。これにより、第1の被剥離層F3、第1の被剥離層F3に一方の面が接する接合層30および接合層30の他方の面が接する基材S5を備える第1の残部80aを得る。
【0290】
また、剥離層F2と被剥離層F3の界面近傍にイオンを照射して、静電気を取り除きながら剥離してもよい。具体的には、イオナイザーを用いて生成されたイオンを照射してもよい。
【0291】
また、剥離層F2から被剥離層を剥離する際に、剥離層F2と被剥離層F3の界面に液体を浸透させる。または液体をノズル99から噴出させて吹き付けてもよい。例えば、浸透させる液体または吹き付ける液体に水、極性溶媒等を用いることができる。
【0292】
液体を浸透させることにより、剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができる。また、剥離層を溶かす液体を浸透しながら剥離してもよい。
【0293】
特に、剥離層F2に酸化タングステンを含む膜を用いる場合、水を含む液体を浸透させながらまたは吹き付けながら第1の被剥離層F3を剥離すると、第1の被剥離層F3に加わる剥離に伴う応力を低減することができ好ましい。
【0294】
《第3のステップ》
第1の接着層31を第1の残部80aに形成し、第1の接着層31を用いて第1の残部80aと第1の支持体41を貼り合わせる(
図18(D−1)および
図18(D−2)参照)。これにより、第1の残部80aから、積層体81を得る。
【0295】
具体的には、第1の支持体41と、第1の接着層31と、第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面が接する基材S5と、を備える積層体81を得る(
図18(E−1)および
図18(E−2)参照)。
【0296】
なお、様々な方法を、接合層30を形成する方法に用いることができる。例えば、ディスペンサやスクリーン印刷法等を用いて接合層30を形成する。接合層30を接合層30に用いる材料に応じた方法を用いて硬化する。例えば接合層30に光硬化型の接着剤を用いる場合は、所定の波長の光を含む光を照射する。
【0297】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0298】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置を作製する際に用いることができる積層体の作製方法について、
図19および
図20を参照しながら説明する。
【0299】
図19および
図20は積層体を作製する工程を説明する模式図である。
図19および
図20の左側に、加工部材および積層体の構成を説明する断面図を示し、対応する上面図を、
図19(C)、
図20(B)および
図20(C)を除いて右側に示す。
【0300】
<積層体の作製方法>
加工部材90から積層体92を作製する方法について、
図19乃至
図20を参照しながら説明する。
【0301】
加工部材90は、接合層30の他方の面が、基材S5に換えて第2の被剥離層S3の一方の面に接する点が加工部材80と異なる。
【0302】
具体的には、基材S5に換えて、第2の基板S1、第2の基板S1上の第2の剥離層S2、第2の剥離層S2と他方の面が接する第2の被剥離層S3を有し、第2の被剥離層S3の一方の面が、接合層30の他方の面に接する点が、異なる。
【0303】
加工部材90は、第1の基板F1と、第1の剥離層F2と、第1の剥離層F2に一方の面が接する第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3の他方の面に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層S3と、第2の被剥離層S3の他方の面に一方の面が接する第2の剥離層S2と、第2の基板S1と、がこの順に配置される(
図19(A−1)および
図19(A−2)参照)。
【0304】
なお、加工部材90の構成の詳細は、実施の形態6で説明する。
【0305】
《第1のステップ》
剥離の起点F3sが接合層30の端部近傍に形成された加工部材90を準備する(
図19(B−1)および
図19(B−2)参照)。
【0306】
剥離の起点F3sは、第1の被剥離層F3の一部が第1の基板F1から分離された構造を有する。
【0307】
例えば、第1の基板F1側から鋭利な先端で第1の被剥離層F3を刺突する方法またはレーザ等を用いる方法(例えばレーザアブレーション法)等を用いて、第1の被剥離層F3の一部を剥離層F2から部分的に剥離することができる。これにより、剥離の起点F3sを形成することができる。
【0308】
《第2のステップ》
加工部材90の一方の表層90bを剥離する。これにより、加工部材90から第1の残部90aを得る。
【0309】
具体的には、接合層30の端部近傍に形成された剥離の起点F3sから、第1の基板F1を第1の剥離層F2と共に第1の被剥離層F3から分離する(
図19(C)参照)。これにより、第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層S3と、第2の被剥離層S3の他方の面に一方の面が接する第2の剥離層S2と、第2の基板S1と、がこの順に配置される第1の残部90aを得る。
【0310】
また、剥離層S2と被剥離層S3の界面近傍にイオンを照射して、静電気を取り除きながら剥離してもよい。具体的には、イオナイザーを用いて生成されたイオンを照射してもよい。
【0311】
また、剥離層S2から被剥離層を剥離する際に、剥離層S2と被剥離層S3の界面に液体を浸透させる。または液体をノズル99から噴出させて吹き付けてもよい。例えば、浸透させる液体または吹き付ける液体に水、極性溶媒等を用いることができる。
【0312】
液体を浸透させることにより、剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができる。また、剥離層を溶かす液体を浸透しながら剥離してもよい。
【0313】
特に、剥離層S2に酸化タングステンを含む膜を用いる場合、水を含む液体を浸透させながらまたは吹き付けながら第1の被剥離層S3を剥離すると、第1の被剥離層S3に加わる剥離に伴う応力を低減することができ好ましい。
【0314】
《第3のステップ》
第1の残部90aに第1の接着層31を形成し(
図19(D−1)および
図19(D−2)参照)、第1の接着層31を用いて第1の残部90aと第1の支持体41を貼り合わせる。これにより、第1の残部90aから、積層体91を得る。
【0315】
具体的には、第1の支持体41と、第1の接着層31と、第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層S3と、第2の被剥離層S3の他方の面に一方の面が接する第2の剥離層S2と、第2の基板S1と、がこの順に配置された積層体91を得る(
図19(E−1)および
図19(E−2)参照)。
【0316】
《第6のステップ》
積層体91の第1の接着層31の端部近傍にある第2の被剥離層S3の一部を、第2の基板S1から分離して、第2の剥離の起点91sを形成する。
【0317】
例えば、第1の支持体41および第1の接着層31を、第1の支持体41側から切削し、且つ新たに形成された第1の接着層31の端部に沿って第2の被剥離層S3の一部を第2の基板S1から分離する。
【0318】
具体的には、剥離層S2上の第2の被剥離層S3が設けられた領域にある、第1の接着層31および第1の支持体41を、鋭利な先端を備える刃物等を用いて切削し、且つ新たに形成された第1の接着層31の端部に沿って、第2の被剥離層S3の一部を第2の基板S1から分離する(
図20(A−1)および
図20(A−2)参照)。
【0319】
このステップにより、新たに形成された第1の支持体41bおよび第1の接着層31の端部近傍に剥離の起点91sが形成される。
【0320】
《第7のステップ》
積層体91から第2の残部91aを分離する。これにより、積層体91から第2の残部91aを得る。(
図20(C)参照)。
【0321】
具体的には、第1の接着層31の端部近傍に形成された剥離の起点91sから、第2の基板S1を第2の剥離層S2と共に第2の被剥離層S3から分離する。これにより、第1の支持体41bと、第1の接着層31と、第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層S3と、がこの順に配置される第2の残部91aを得る。
【0322】
また、剥離層S2と被剥離層S3の界面近傍にイオンを照射して、静電気を取り除きながら剥離してもよい。具体的には、イオナイザーを用いて生成されたイオンを照射してもよい。
【0323】
また、剥離層S2から被剥離層を剥離する際に、剥離層S2と被剥離層S3の界面に液体を浸透させる。または液体をノズル99から噴出させて吹き付けてもよい。例えば、浸透させる液体または吹き付ける液体に水、極性溶媒等を用いることができる。
【0324】
液体を浸透させることにより、剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができる。また、剥離層を溶かす液体を浸透しながら剥離してもよい。
【0325】
特に、剥離層S2に酸化タングステンを含む膜を用いる場合、水を含む液体を浸透させながらまたは吹き付けながら第1の被剥離層S3を剥離すると、第1の被剥離層S3に加わる剥離に伴う応力を低減することができ好ましい。
【0326】
《第9のステップ》
第2の残部91aに第2の接着層32を形成する(
図20(D−1)および
図20(D−2)参照)。
【0327】
第2の接着層32を用いて第2の残部91aと第2の支持体42を貼り合わせる。このステップにより、第2の残部91aから、積層体92を得る(
図20(E−1)および
図20(E−2)参照)。
【0328】
具体的には、第1の支持体41bと、第1の接着層31と、第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面に一方の面が接する第2の被剥離層S3と、第2の接着層32と、第2の支持体42と、をこの順に配置される積層体92は備える。
【0329】
<支持体に開口部を有する積層体の作製方法>
開口部を支持体に有する積層体の作製方法について、
図21を参照しながら説明する。
【0330】
図21は、被剥離層の一部が露出する開口部を支持体に有する積層体の作製方法を説明する図である。
図21の左側に、積層体の構成を説明する断面図を示し、対応する上面図を右側に示す。
【0331】
図21(A−1)乃至
図21(B−2)は、第1の支持体41bより小さい第2の支持体42bを用いて開口部を有する積層体92cを作製する方法について説明する図である。
【0332】
図21(C−1)乃至
図21(D−2)は、第2の支持体42に形成された開口部を有する積層体92dを作製する方法について説明する図である。
【0333】
《支持体に開口部を有する積層体の作製方法の例1》
上記の第9のステップにおいて、第2の支持体42に換えて、第1の支持体41bより小さい第2の支持体42bを用いる点が異なる他は、同様のステップを有する積層体の作製方法である。これにより、第2の被剥離層S3の一部が露出した状態の積層体を作製することができる(
図21(A−1)および
図21(A−2)参照)。
【0334】
液状の接着剤を第2の接着層32に用いることができる。または、流動性が抑制され且つあらかじめ枚葉状に成形された接着剤(シート状の接着剤ともいう)を用いることができる。シート状の接着剤を用いると、第2の支持体42bより外側にはみ出す接着層32の量を少なくすることができる。また、接着層32の厚さを容易に均一にすることができる。
【0335】
また、第2の被剥離層S3の露出した部分を切除して、第1の被剥離層F3が露出する状態にしてもよい(
図21(B−1)および
図21(B−2)参照)。
【0336】
具体的には、鋭利な先端を有する刃物等を用いて、露出した第2の被剥離層S3に傷を形成する。次いで、例えば、傷の近傍に応力が集中するように粘着性を有するテープ等を露出した第2の被剥離層S3の一部に貼付し、貼付されたテープ等と共に第2の被剥離層S3の一部を剥離して、その一部を選択的に切除することができる。
【0337】
また、接合層30の第1の被剥離層F3に接着する力を抑制することができる層を、第1の被剥離層F3の一部に選択的に形成してもよい。例えば、接合層30と接着しにくい材料を選択的に形成してもよい。具体的には、有機材料を島状に蒸着してもよい。これにより、接合層30の一部を選択的に第2の被剥離層S3と共に容易に除去することができる。その結果、第1の被剥離層F3を露出した状態にすることができる。
【0338】
なお、例えば、第1の被剥離層F3が機能層と、機能層に電気的に接続された導電層F3bと、を含む場合、導電層F3bを第2の積層体92cの開口部に露出させることができる。これにより、例えば開口部に露出された導電層F3bを、信号が供給される端子に用いることができる。
【0339】
その結果、開口部に一部が露出した導電層F3bは、機能層が供給する信号を取り出すことができる端子に用いることができる。または、機能層が供給される信号を外部の装置が供給することができる端子に用いることができる。
【0340】
《支持体に開口部を有する積層体の作製方法の例2》
第2の支持体42に設ける開口部と重なるように設けられた開口部を有するマスク48を、積層体92に形成する。次いで、マスク48の開口部に溶剤49を滴下する。これにより、溶剤49を用いてマスク48の開口部に露出した第2の支持体42を膨潤または溶解することができる(
図21(C−1)および
図21(C−2)参照)。
【0341】
余剰の溶剤49を除去した後に、マスク48の開口部に露出した第2の支持体42を擦る等をして、応力を加える。これにより、マスク48の開口部に重なる部分の第2の支持体42等を除去することができる。
【0342】
また、接合層30を膨潤または溶解する溶剤を用いれば、第1の被剥離層F3を露出した状態にすることができる(
図21(D−1)および
図21(D−2)参照)。
【0343】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0344】
(実施の形態6)
本実施の形態では、実施の形態4および5で説明した、積層体に加工することができる加工部材の構成について、
図22を参照しながら説明する。
【0345】
図22は積層体に加工することができる加工部材の構成を説明する模式図である。
【0346】
図22(A−1)は、積層体に加工することができる加工部材80の構成を説明する断面図であり、
図22(A−2)は、対応する上面図である。
【0347】
図22(B−1)は、積層体に加工することができる加工部材90の構成を説明する断面図であり、
図22(B−2)は、対応する上面図である。
【0348】
<1.加工部材の構成例>
加工部材80は、第1の基板F1と、第1の基板F1上の第1の剥離層F2と、第1の剥離層F2に一方の面が接する第1の被剥離層F3と、第1の被剥離層F3の他方の面に一方の面が接する接合層30と、接合層30の他方の面が接する基材S5と、を有する
図22(A−1)および
図22(A−2)。
【0349】
なお、剥離の起点F3sが、接合層30の端部近傍に設けられていてもよい。
【0350】
《第1の基板》
第1の基板F1は、製造工程に耐えられる程度の耐熱性および製造装置に適用可能な厚さおよび大きさを備えるものであれば、特に限定されない。
【0351】
有機材料、無機材料または有機材料と無機材料等の複合材料等を第1の基板F1に用いることができる。
【0352】
例えば、ガラス、セラミックス、金属等の無機材料を第1の基板F1に用いることができる。
【0353】
具体的には、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、カリガラスまたはクリスタルガラス等を、第1の基板F1に用いることができる。
【0354】
具体的には、金属酸化物膜、金属窒化物膜若しくは金属酸窒化物膜等を、第1の基板F1に用いることができる。例えば、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、アルミナ膜等を、第1の基板F1に用いることができる。
【0355】
具体的には、SUSまたはアルミニウム等を、第1の基板F1に用いることができる。
【0356】
例えば、樹脂、樹脂フィルムまたはプラスチック等の有機材料を第1の基板F1に用いることができる。
【0357】
具体的には、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート若しくはアクリル樹脂等の樹脂フィルムまたは樹脂板を、第1の基板F1に用いることができる。
【0358】
例えば、金属板、薄板状のガラス板または無機材料等の膜を樹脂フィルム等に貼り合わせた複合材料を第1の基板F1に用いることができる。
【0359】
例えば、繊維状または粒子状の金属、ガラスもしくは無機材料等を樹脂フィルムに分散した複合材料を、第1の基板F1に用いることができる。
【0360】
例えば、繊維状または粒子状の樹脂もしくは有機材料等を無機材料に分散した複合材料を、第1の基板F1に用いることができる。
【0361】
また、単層の材料または複数の層が積層された積層材料を、第1の基板F1に用いることができる。例えば、基材と基材に含まれる不純物の拡散を防ぐ絶縁層等が積層された積層材料を、第1の基板F1に用いることができる。
【0362】
具体的には、ガラスとガラスに含まれる不純物の拡散を防ぐ酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜等から選ばれた一または複数の膜が積層された積層材料を、第1の基板F1に適用できる。
【0363】
または、樹脂と樹脂を透過する不純物の拡散を防ぐ酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜等が積層された積層材料を、第1の基板F1に適用できる。
【0364】
《第1の剥離層》
第1の剥離層F2は、第1の基板F1と第1の被剥離層F3の間に設けられる。第1の剥離層F2は、第1の基板F1から第1の被剥離層F3を分離できる境界がその近傍に形成される層である。また、第1の剥離層F2は、その上に被剥離層が形成され、第1の被剥離層F3の製造工程に耐えられる程度の耐熱性を備えるものであれば、特に限定されない。
【0365】
例えば無機材料または有機樹脂等を第1の剥離層F2に用いることができる。
【0366】
具体的には、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンから選択された元素を含む金属、該元素を含む合金または該元素を含む化合物等の無機材料を第1の剥離層F2に用いることができる。
【0367】
具体的には、ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート若しくはアクリル樹脂等の有機材料を用いることができる。
【0368】
例えば、単層の材料または複数の層が積層された材料を第1の剥離層F2に用いることができる。
【0369】
具体的には、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層が積層された材料を第1の剥離層F2に用いることができる。
【0370】
なお、タングステンの酸化物を含む層は、タングステンを含む層に他の層を積層する方法を用いて形成することができる。具体的には、タングステンの酸化物を含む層を、タングステンを含む層に酸化シリコンまたは酸化窒化シリコン等を積層する方法により形成してもよい。
【0371】
また、タングステンの酸化物を含む層を、タングステンを含む層の表面を熱酸化処理、酸素プラズマ処理、亜酸化窒素(N
2O)プラズマ処理または酸化力の強い溶液(例えば、オゾン水等)を用いる処理等により形成してもよい。
【0372】
具体的には、ポリイミドを含む層を第1の剥離層F2に用いることができる。ポリイミドを含む層は、第1の被剥離層F3を形成する際に要する様々な製造工程に耐えられる程度の耐熱性を備える。
【0373】
例えば、ポリイミドを含む層は、200℃以上、好ましくは250℃以上、より好ましくは300℃以上、より好ましくは350℃以上の耐熱性を備える。
【0374】
第1の基板F1に形成されたモノマーを含む膜を加熱し、縮合したポリイミドを含む膜を用いることができる。
【0375】
《第1の被剥離層》
第1の被剥離層F3は、第1の基板F1から分離することができ、製造工程に耐えられる程度の耐熱性を備えるものであれば、特に限定されない。
【0376】
第1の被剥離層F3を第1の基板から分離することができる境界は、第1の被剥離層F3と第1の剥離層F2の間に形成されてもよく、第1の剥離層F2と第1の基板F1の間に形成されてもよい。
【0377】
第1の被剥離層F3と第1の剥離層F2の間に境界が形成される場合は、第1の剥離層F2は積層体に含まれず、第1の剥離層F2と第1の基板F1の間に境界が形成される場合は、第1の剥離層F2は積層体に含まれる。
【0378】
無機材料、有機材料または単層の材料または複数の層が積層された積層材料等を第1の被剥離層F3に用いることができる。
【0379】
例えば、金属酸化物膜、金属窒化物膜若しくは金属酸窒化物膜等の無機材料を、第1の被剥離層F3に用いることができる。
【0380】
具体的には、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、アルミナ膜等を、第1の被剥離層F3に用いることができる。
【0381】
例えば、樹脂、樹脂フィルムまたはプラスチック等を、第1の被剥離層F3に用いることができる。
【0382】
具体的には、ポリイミド膜等を、第1の被剥離層F3に用いることができる。
【0383】
例えば、第1の剥離層F2と重なる機能層と、第1の剥離層F2と機能層の間に当該機能層の機能を損なう不純物の意図しない拡散を防ぐことができる絶縁層と、が積層された構造を有する材料を用いることができる。
【0384】
具体的には、厚さ0.7mmのガラス板を第1の基板F1に用い、第1の基板F1側から順に厚さ200nmの酸化窒化珪素膜および30nmのタングステン膜が積層された積層材料を第1の剥離層F2に用いる。そして、第1の剥離層F2側から順に厚さ600nmの酸化窒化珪素膜および厚さ200nmの窒化珪素が積層された積層材料を含む膜を第1の被剥離層F3に用いることができる。なお、酸化窒化珪素膜は、酸素の組成が窒素の組成より多く、窒化酸化珪素膜は窒素の組成が酸素の組成より多い。
【0385】
具体的には、上記の第1の被剥離層F3に換えて、第1の剥離層F2側から順に厚さ600nmの酸化窒化珪素膜、厚さ200nmの窒化珪素、厚さ200nmの酸化窒化珪素膜、厚さ140nmの窒化酸化珪素膜および厚さ100nmの酸化窒化珪素膜を積層された積層材料を含む膜を被剥離層に用いることができる。
【0386】
具体的には、第1の剥離層F2側から順に、ポリイミド膜と、酸化シリコンまたは窒化シリコン等を含む層と、機能層と、が順に積層された積層材料を用いることができる。
【0387】
《機能層》
機能層は第1の被剥離層F3に含まれる。
【0388】
例えば、機能回路、機能素子、光学素子または機能膜等もしくはこれらから選ばれた複数を含む層を、機能層に用いることができる。
【0389】
具体的には、表示装置に用いることができる表示素子、表示素子を駆動する画素回路、画素回路を駆動する駆動回路、カラーフィルタまたは防湿膜等もしくはこれらから選ばれた複数を含む層を挙げることができる。
【0390】
《接合層》
接合層30は、第1の被剥離層F3と基材S5を接合するものであれば、特に限定されない。
【0391】
無機材料、有機材料または無機材料と有機材料の複合材料等を接合層30に用いることができる。
【0392】
例えば、融点が400℃以下好ましくは300℃以下のガラス層または接着剤等を用いることができる。
【0393】
例えば、光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤または/および嫌気型接着剤等の有機材料を接合層30に用いることができる。
【0394】
具体的には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等を含む接着剤を用いることができる。
【0395】
《基材》
基材S5は、製造工程に耐えられる程度の耐熱性および製造装置に適用可能な厚さおよび大きさを備えるものであれば、特に限定されない。
【0396】
基材S5に用いることができる材料は、例えば、第1の基板F1と同様のものを用いることができる。
【0397】
《剥離の起点》
加工部材80は剥離の起点F3sを接合層30の端部近傍に有していてもよい。
【0398】
剥離の起点F3sは、第1の被剥離層F3の一部が第1の基板F1から分離された構造を有する。
【0399】
第1の基板F1側から鋭利な先端で第1の被剥離層F3を刺突する方法またはレーザ等を用いる方法(例えばレーザアブレーション法)等を用いて、第1の被剥離層F3の一部を剥離層F2から部分的に剥離することができる。これにより、剥離の起点F3sを形成することができる。
【0400】
<2.加工部材の構成例2>
積層体にすることができる、上記とは異なる加工部材の構成について、
図22(B−1)および
図22(B−2)を参照しながら説明する。
【0401】
加工部材90は、接合層30の他方の面が、基材S5に換えて第2の被剥離層S3の一方の面に接する点が加工部材80と異なる。
【0402】
具体的には、加工部材90は、第1の剥離層F2および第1の剥離層F2に一方の面が接する第1の被剥離層F3が形成された第1の基板F1と、第2の剥離層S2および第2の剥離層S2に他方の面が接する第2の被剥離層S3が形成された第2の基板S1と、第1の被剥離層F3の他方の面に一方の面を接し且つ第2の被剥離層S3の一方の面と他方の面が接する接合層30と、を有する。(
図22(B−1)および
図22(B−2)参照)。
【0403】
《第2の基板》
第2の基板S1は、第1の基板F1と同様のものを用いることができる。なお、第2の基板S1を第1の基板F1と同一の構成とする必要はない。
【0404】
《第2の剥離層》
第2の剥離層S2は、第1の剥離層F2と同様の構成を用いることができる。また、第2の剥離層S2は、第1の剥離層F2と異なる構成を用いることもできる。
【0405】
《第2の被剥離層》
第2の被剥離層S3は、第1の被剥離層F3と同様の構成を用いることができる。また、第2の被剥離層S3は、第1の被剥離層F3と異なる構成を用いることもできる。
【0406】
具体的には、第1の被剥離層F3が機能回路を備え、第2の被剥離層S3が当該機能回路への不純物の拡散を防ぐ機能層を備える構成としてもよい。
【0407】
具体的には、第1の被剥離層F3が第2の被剥離層に向けて光を射出する発光素子、当該発光素子を駆動する画素回路、当該画素回路を駆動する駆動回路を備え、発光素子が射出する光の一部を透過するカラーフィルタおよび発光素子への不純物の拡散を防ぐ防湿膜を第2の被剥離層S3が備える構成としてもよい。なお、このような構成を有する加工部材は、可撓性を有する表示装置として用いることができる積層体にすることができる。
【0408】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例1】
【0409】
本実施例では、本発明の一態様の折り曲げ可能なタッチパネルを作製した。また本実施例では、当該タッチパネルに対して曲げた状態でのセンシング試験を行った結果について説明する。
【0410】
[タッチパネルの作製]
本実施例では、可撓性を有する表示パネルの対向基板(表示面側の基板)にタッチセンサを作りこむ、インセル型のタッチパネルを作製した。さらに、タッチセンサの電極を網目状(メタルメッシュ形状ともいう)にすることで、タッチセンサと表示パネルとの負荷容量を低減する構成とした。このような構成により、使用者によって自由に折り畳みが可能な程度に、タッチパネル全体の厚さを薄くすることができる。また、負荷容量が小さいことで表示パネルからタッチセンサへのノイズの影響が抑制され、誤検出や検出不可といった不具合が生じることを抑制することができる。
【0411】
本実施例で作製したインセル型のタッチパネルの駆動方法としては、投影型静電容量方式のひとつである、相互容量方式を採用した。
【0412】
図23(A)に、本実施例で作製したタッチパネルの構成を示す。
図23(A)の中央にはタッチパネルの概略図を、左側にはタッチパネルの断面構造を、また右側にはタッチパネルを曲げた部分の拡大図をそれぞれ示している。タッチパネルは、可撓性を有する表示部(Displayと表記)と、FPCと、を有する。タッチパネルは、2枚のフレキシブル基板が接着層により貼り合わされた構成を有する。また可撓性基板のそれぞれ対向する面上には、パッシベーション層が設けられている。一方の可撓性基板上には、パッシベーション層上にFET層及び有機EL素子(OLEDと表記)が形成されている。また他方の可撓性基板上には、パッシベーション層上にタッチセンサとカラーフィルタが形成されている。
図23(A)に示すように本実施例で作製したタッチパネルは、表示面が凸状になるように曲げること、及び凹状になるように曲げることが可能である。
【0413】
図23(B)には、より具体的な断面構造を示している。一方の可撓性基板側において、有機EL素子の両端には隔壁(Partitionと表記)を有し、隔壁上にはスペーサが設けられている。他方の可撓性基板の有機EL素子側の面には、パッシベーション層上にブラックマトリクス、タッチセンサを構成するセンサ電極(Sensor metalと表記)、及びブリッジ電極(Bridge metal)、カラーフィルタが順に形成されている。カラーフィルタは有機EL素子と重ねて配置されている。ブラックマトリクス、センサ電極、ブリッジ電極、カラーフィルタのそれぞれの間には、絶縁層(Inter layerと表記)が設けられている。センサ電極、ブリッジ電極のそれぞれは、ブラックマトリクスと重ねて配置されている。センサ電極とブリッジ電極よりも表示面側にブラックマトリクスを配置することで、これらによる外光の反射を抑制することができる。さらにブラックマトリクスの幅よりも内側にセンサ電極とブリッジ電極を配置することで、開口率(光取り出し効率)への影響を最小限に抑えることができる。
【0414】
タッチパネルの作製は、まず、ガラス基板上に剥離層、パッシベーション層、FET層、有機EL素子を形成した。
【0415】
FET層に含まれるトランジスタ(トランジスタ502tに対応)としては、チャネルが形成される半導体に酸化物半導体を用いたトランジスタを適用した。ここで、本実施例では、酸化物半導体として膜面に概略垂直方向にc軸が配向し、且つ膜面方向の結晶粒界が確認されない結晶性の酸化物半導体(CAAC−OS:C−Axis Aligned Crystalline−Oxide Semiconductor)を用いた。
【0416】
CAAC−OSは、膜面に対して、結晶のc軸が概略垂直配向した結晶性酸化物半導体のことである。CAAC−OSは結晶粒界が確認されないという特徴を有するため、大面積に安定で均一な膜を形成することが可能で、また可撓性を有する発光装置を湾曲させたときの応力によってCAAC−OS膜にクラックが生じにくい。
【0417】
本実施例では、酸化物半導体材料としてIn−Ga−Zn系酸化物を用いた。
【0418】
画素電極(下部電極)としては、反射率の極めて高い銀を含む合金を用いた。また副画素の構成に応じて、マイクロキャビティ効果が得られるよう、適切な厚さの透明電極層(光学調整層ともいう)を画素電極上に形成した。
【0419】
有機EL素子には、トップエミッション型の白色EL素子を用いた。当該有機EL素子は、青色の発光ユニットと、黄色の発光ユニットとを積層したタンデム構造とした。
【0420】
また、上記とは異なるガラス基板上に、剥離層、パッシベーション層、ブラックマトリクス、センサ電極、ブリッジ電極、カラーフィルタ、及びこれらの間の絶縁層を形成した。
【0421】
続いて、2枚の基板を接着層により貼り合せた。この時の基板間の距離(セルギャップ)を5μm程度に調整した。その後、それぞれの基板を剥離層とパッシベーション層との間で剥離し、フレキシブル基板を貼り付けた。フレキシブル基板としては、厚さ約20μmのプラスチック基板を用いた。
【0422】
以上のようにして、タッチパネルを作製した。タッチパネルの仕様は、表示部の大きさが対角8.67inch、画素数が1080×RGBY×1920、精細度が254ppi、開口率が約46%である。またタッチセンサは、メッシュ状のセンサ電極を用い、表示部の長辺方向に送信用電極を48本、短辺方向に受信用電極を27本形成した。またそれぞれの間隔を4mmとした。またタッチセンサは、表示部が有する40×40の画素の領域が、タッチセンサの1ユニットに相当する。
【0423】
作製したタッチパネルは、その表示面を平面にした状態から凸状に曲げたとき、及び凹状に曲げたときの両方で、正常に表示ができることを確認した。さらに、タッチパネルの表面が平面である部分、凸状である部分、及び凹状である部分のそれぞれで、正常に検出できることを確認した。
【0424】
[曲げ部における寄生抵抗・寄生容量の評価]
作製したタッチパネルを曲げる操作が、受信電極と表示パネルとの間の寄生容量及び寄生抵抗に与える影響について評価した。
【0425】
測定は、タッチパネルの表示面を平面にした状態、凸状に曲げた状態、凹状に曲げた状態の3通りについて行った。またその曲率半径Rが10mmのとき、5mmのときの2通りについて調べた。
【0426】
測定はLCRメータ(アジレント・テクノロジー株式会社製、4275A)を用いて行った。
【0427】
図24に、表示面を平面にした状態を基準としたときの、曲げた状態における寄生抵抗及び寄生容量の変化率を示している。測定数は6である。
図24に示すように、表示面を凸状に曲げた状態(Outside bendと表記)、凹状に曲げた状態(inside bendと表記)のいずれの状態でも、また曲率半径を5mmとした状態であっても、寄生抵抗及び寄生容量の変動率は0.1%未満と、極めて小さいことが確認できた。この結果から、タッチパネルを曲げることによる検出感度への影響は極めて小さいことが確認できた。
【実施例2】
【0428】
以下では、タッチセンサの電極を設けることによる、光取り出し効率への影響を調べた結果について説明する。
【0429】
実施例1で作製したタッチパネルはトップエミッション型の発光素子を用いたため、発光素子からの光は対向側の基板を介して取り出される。そのため、タッチセンサ電極を形成したフレキシブル基板と、これを形成しないフレキシブル基板の両方を作製し、その光透過率を測定した。
【0430】
図25(A)(B)(C)に、測定方法と作製した試料の断面概略図を示す。
【0431】
図25(A)は基準となる光源からの光の輝度を直接測定する測定系に対応する。
図25(B)は、メッシュ状のセンサ電極を形成した試料(w/ metal meshと表記)を測定する測定系に対応する。
図25(C)は、比較として、メッシュ状のセンサ電極等を形成しない試料(w/o metal meshと表記)を測定する測定系に対応する。
【0432】
図25(B)に示す試料は、
図23(B)で示した構造において、カラーフィルタよりも上層の積層構造と、フレキシブル基板の位置が異なる以外は同一である。フレキシブル基板は、
図25(B)では、フレキシブル基板が接着層を介してカラーフィルタ側に貼り付けられている。
【0433】
図25(C)に示す試料は、パッシベーション層上にブラックマトリクスとカラーフィルタが形成され、これとフレキシブル基板とを接着層を介して貼り付けた構成である。
【0434】
測定は、面光源上に試料を配置し、試料を介して上方へ透過する光の輝度を測定器により測定した。測定数は12である。面光源にはエッジ式バックライト(ショットモリテックス株式会社製 MEBL−CW145)を用いた。測定器には、色彩輝度計(株式会社トプコンテクノハウス社製 BM−5AS)を用いた。
【0435】
面光源上に各試料を配置して比較したところ、目視ではその差は確認できなかった。
図26に測定した結果を示す。
図26には、試料を配置しないとき(
図25(A))を100%とし、それぞれの試料について測定された輝度を透過率として示している。メッシュ状のセンサ電極を形成した試料の透過率は約16.0%であり、センサ電極を形成しない試料の透過率は約16.3%であり、ほとんど差がないことが確認できた。メッシュ状のセンサ電極を形成した試料で透過率が若干低いのは、積層構造の違いに起因すると考えられる。
【0436】
以上により、本発明の一態様のタッチセンサは、光取り出し効率にほとんど影響しないことが確認できた。