特許第6616144号(P6616144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616144
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】浴室構造
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/02 20060101AFI20191125BHJP
   A47K 4/00 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   A47K3/02
   A47K4/00
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-190769(P2015-190769)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-63921(P2017-63921A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(73)【特許権者】
【識別番号】397071436
【氏名又は名称】株式会社アールビー
(74)【代理人】
【識別番号】100110179
【弁理士】
【氏名又は名称】光田 敦
(72)【発明者】
【氏名】荒井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋明
【審査官】 中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−067802(JP,A)
【文献】 特開2007−330711(JP,A)
【文献】 特開2002−191519(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0117925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02−4/00
E03C 1/12−1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の洗い場側側面に設けられる浴槽エプロンと浴槽エプロンの洗い場側に隣接して浴室壁に設けられカウンタ本体とカウンタエプロンを有するカウンタを備えた浴室構造において、
浴槽エプロンは浴槽側に凹み点検口部を備えた凹部と凹部をカバーする外蓋を備えるとともに、凹部の上方に浴槽フランジの洗い場側端面と略同位置まで洗い場側に飛び出した凸部を備え、凸部の下端はカウンタ本体の下端と略同一高さに形成されており、外蓋はカウンタの浴槽側端面に重ならないように設けられており、カウンタエプロンの浴槽側端面が外蓋の洗い場側面よりも浴槽側に位置していることを特徴とする浴室構造。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室構造であって、外蓋は第一外蓋と第二外蓋を備え、第一外蓋はカウンタエプロンの下方に設けられることを特徴とする浴室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の洗い場側側面に設けられる浴槽エプロンと、浴槽エプロンの洗い場側に隣接して浴室壁に設けられカウンタと、を備えた浴室構造は知られている。
【0003】
そのような浴室構造において、浴槽エプロンは、作業口を開口して左右方向へ延びるエプロン本体と、エプロン本体に着脱可能に取付けて作業口を覆う内蓋と、エプロン本体の一方側を覆う一方の外蓋と、一方の外蓋に隣接してエプロン本体の他方側を覆う着脱自在な他方の外蓋とを備え、一方の外蓋とカウンタの端部を重なるように、前後で対向させた構成が公知である(特許文献1参照)
【0004】
また、バスエプロン、小型の第1エプロン部材と大型の第2エプロン部材とから分割形成されており、第1エプロン部材は、一部が洗い場カウンタの一側端の全体と干渉する位置に配置されており、第2エプロン部材は、全体が洗い場カウンタの一側端と干渉しない位置に配置され、第2エプロン部材を取り外してから、第1エプロン部材を、第2エプロン部材が外れたことにより形成されたスペースに移動させて洗い場カウンタが浴室の壁に取付けられた状態で着脱可能である構成が公知である(特許文献2参照)。
【0005】
なお、浴室エプロンであって、2つの外蓋が、あたかもメガネのレンズのように互いに離れて設けられており、通常、メガネエプロンとも呼ばれている構成が知られている構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4956389号公報
【特許文献2】特許第5577663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載の発明は、一方の外蓋とカウンタの端部とを、重なるように前後で対向させた構成であり、一方の外蓋は、他方の外蓋を外してから、横方向にずらす等して取り外す必要がある。
【0008】
また、カウンタと一方の外蓋の当接箇所にコーキングを施すと、一方の外蓋を外す際には、コーキングを破断しなくてはならない。パッキンを貼ってもよいが、外蓋を横方向にずらして取り外す際に、剥がれてしまう等の問題がある。
【0009】
また、特許文献2記載の発明では、第1エプロン部材は、一部が洗い場カウンタの一側端の全体と干渉する位置に配置されているので、第2エプロン部材を外して形成したスペースに移動ずらさないと外すことができない。
【0010】
上記メガネエプロンについては、カウンタの浴室側端を外蓋に当接して設ける場合には、カウンタの奥行き寸法が大きくなったり、取付け高さが変更したりすると、その変更に応じた形状のメガネエプロンが必要となる。
【0011】
本発明は、上記問題を解決することを目的とし、浴槽エプロンの点検口部を覆う2つの外蓋とカウンタを備えた浴室構造において、カウンタを取り外すことなく外蓋を取り外すことができ、メンテナンス等を簡便に行うことができる浴室構造を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、浴槽の洗い場側側面に設けられる浴槽エプロンと浴槽エプロンの洗い場側に隣接して浴室壁に設けられカウンタ本体とカウンタエプロンを有するカウンタを備えた浴室構造において、浴槽エプロンは浴槽側に凹み点検口部を備えた凹部と凹部をカバーする外蓋を備えるとともに、凹部の上方に浴槽フランジの洗い場側端面と略同位置まで洗い場側に飛び出した凸部を備え、凸部の下端はカウンタ本体の下端と略同一高さに形成されており、外蓋はカウンタの浴槽側端面に重ならないように設けられており、カウンタエプロンの浴槽側端面が外蓋の洗い場側面よりも浴槽側に位置していることを特徴とする浴室構造を提供する
【0014】
外蓋は第一外蓋と第二外蓋を備え、第一外蓋はカウンタエプロンの下方に設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外蓋はカウンタの浴槽側端面に重ならないように設けられており、カウンタエプロンの浴槽側端面が外蓋の洗い場側面よりも浴槽側に位置しているので、カウンタを取り外すことなく蓋を取り外すことができ、メンテナンス等を簡便に行うことができる。またカウンタエプロンを外蓋で下方から支持することができるので、カウンタのたわみを減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る浴室構造の実施例を説明する図であり、(a)は浴室構造の要部の斜視図であり、(b)は(a)におけるB−B断面図である。なお、(a)では示していないが(b)では、浴槽の一部を点鎖線(想像線)で示す。
図2】上記実施例を説明する図であり、(a)は第一外蓋を外した状態の浴室構造の要部の斜め下方から見た斜視図であり、(b)は第一外蓋の正面図である。
図3】上記実施例を説明する図であり、第一外蓋を取付けた状態の浴室構造の要部の斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る浴室構造を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【0018】
(実施例)
本発明に係る浴室構造の実施例を、図1図3を参照して以下説明する。本発明の浴室構造1は、図1に示すように、浴槽2の洗い場側側面に設けられる浴槽エプロン3と、浴槽エプロン3の洗い場側に隣接して浴室壁6に設けられるカウンタ7を備えている。
【0019】
本明細書の説明では、浴室内で、浴槽2に向かって浴槽方向を浴槽側とし、浴槽2と反対の洗い場8の方向を洗い場側とする。また、本実施例では浴槽2に向かって右側の浴室壁6にカウンタ7が取り付けられており、カウンタ7に関する説明では、浴槽2に向かってカウンタ7の右側を浴室壁側とし、左側を洗い場側とする。
【0020】
浴槽エプロン3は、図1(a)、図2(a)、図3に示すように、浴槽エプロン本体11と外蓋12を備えている。浴槽エプロン本体11は、図1(b)、図2(a)に示すように、上方に凸部18を備え、下方に凹部20を備えている。
【0021】
凹部20は、凸部18より浴槽側に凹んでおり、点検口部19(図2(a)参照)を備えている。凹部20からみると、凸部18は、凹部20の上方に位置しており、図1(b)に示すように、浴槽フランジ13の洗い場側端面14と略同位置まで洗い場側に飛び出して形成されている。
【0022】
カウンタ7は、図1(a)、図2(a)、図3に示すように、カウンタ本体24(天板)とカウンタエプロン25を備えている。カウンタ本体24は、図1(a)に示すように、その洗い場側の側部には、浴室壁6側(図1では浴槽2に向かって右側)に向かい下方に傾斜した傾斜面28が形成されている。
【0023】
カウンタエプロン25は、図1(a)、図2(a)、図3に示すように、カウンタ本体24の底面から、下方に向けて浴室壁6側に傾斜した傾斜面26と、傾斜面26に連なる水平な底面27と、を備えており、傾斜面26の上端には、図1(b)、図2(a)、図3に示すように、カウンタ本体24の底面に一体化された水平なフランジ部29が形成されている。
【0024】
カウンタ本体24は、図1(b)、図2(a)に示すように、浴槽側に向けてカウンタエプロン25より短く形成されている。カウンタ本体24の浴槽側端面30のうち、カウンタ本体24の浴槽側端面31は、浴槽エプロン3の凸部18に当接し、カウンタエプロン25の浴槽側端面32は、浴槽エプロン3の凹部20に当接するように構成されている。
【0025】
カウンタ7は、浴槽エプロン3の凸部18の下端38(凹部20の上端39でもある)は、カウンタ本体24の下端33と略同一高さになるように、浴室壁6に取り付けられている。カウンタ本体24の浴槽側端面31及び浴槽側端面32が凹部20に当接している当接箇所の周縁36には、コーキングを施してシールする。
【0026】
浴槽エプロン3の点検口部19(図2(a)参照)を覆って凹部20をカバーする外蓋12を備えており、外蓋12は、図1(a)、図3に示すように、第一外蓋46と第二外蓋47を有する。外蓋12における第一外蓋46と第二外蓋47のいずれもが、カウンタ7の浴槽側端面30、即ちカウンタ本体の浴槽側端面31及びカウンタエプロン25の浴槽側端面32に重ならない(干渉しない)ように設けられている。
【0027】
第一外蓋46は、図3に示すように、カウンタ7の下方に、浴槽エプロン本体11の凹部20に着脱可能に設けられている。そして、第一外蓋46は、図2(b)に示すように、正面視で、上部の台形部51と下部の矩形部52を一体で備えている。台形部51は、上面部53と傾斜面部54を備え、傾斜面部54の下端は、矩形部52の上面部55に連続している。
【0028】
第一外蓋46を浴槽エプロン3の凹部20に取り付けた状態では、台形部51の上面部53には、図3に示すように、浴槽エプロン3の凹部20に当接されたカウンエプロン25のフランジ部29が載置されている。
【0029】
そして、台形部51の傾斜面部54及び矩形部52の上面部55には、カウンタエプロン25の傾斜面26及び底面27(正確には傾斜面26及び底面27の浴槽側の端部)が載置されている。これによって、カウンタ7における浴槽側の端部は、第一外蓋46によって下方から支持される。
【0030】
第二外蓋47は、浴槽エプロン3の凹部20に着脱可能に設けられている。具体的には、第二外蓋47は、図1(a)、図2(a)、図3に示すように、浴槽2を正面側から見て、第一外蓋46の左側に隣接し、かつ第二外蓋47の上端62が第一外蓋46の上端(第一外蓋46の台形部51の上面部53)と略同じ高さに設けられている。
【0031】
しかも、第二外蓋47は、カウンタ7の浴槽側端面30、即ちカウンタ本体24の浴槽側端面31及びカウンタエプロン25の浴槽側端面32に重ならない(干渉しない)ように設けられている。カウンタエプロン25の浴槽側端面32は、外蓋12の洗い場側の面(第一外蓋46の洗い場側の面60及び第二外蓋47の洗い場側の面61)よりも浴槽側に位置している。
【0032】
(作用)
上記構成から成る実施例の浴室構造1の作用について、以下説明する。浴室構造1では、外蓋12、即ち第一外蓋46及び第二外蓋47は、それぞれカウンタ7の浴槽側端面30に重ならない構成であり、しかも、カウンタエプロン25の浴槽側端面32が、外蓋12の洗い場側の面(第一外蓋46の洗い場側の面60及び第二外蓋47の洗い場側の面61)よりも浴槽側に位置し、浴槽エプロン3の凹部20に当接している。
【0033】
従って、カウンタ7と凹部20の当接箇所の周縁36にコーキングを施しても、コーキングを破断してカウンタ7を取り外すことなく、第一外蓋46及び第二外蓋47を外すことができるので、カウンタ7の水密性を損なうことなく、また再度コーキングを施すことなく、点検口部19を露出して、点検、修理等のメンテナンスを簡便に行うことができる。
【0034】
なお、従来の浴室構造のように、メンテナンスのために、外蓋12を外す際に、第二外蓋47を取り外してから第一外蓋46をずらしながら取り外すようなことなく、第一外蓋46及び第二外蓋47のいずれからでも、単独に取り外すことも可能である。
【0035】
カウンタエプロン25は、その浴槽側の端部において、第一外蓋46の台形部51の上面部53、傾斜面部54及び矩形部52の上面部55によって下方から支持されている。従って、カウンタ7の浴槽側の端部に生じる撓みや変形を低減することが可能となる。
【0036】
以上、本発明に係る浴室構造を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る浴室構造は上記のような構成であるから、浴槽エプロン及びカウンタを備えた各種の浴室に適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 浴室構造
2 浴槽
3 浴槽エプロン
6 浴室壁
7 カウンタ
8 洗い場
11 浴槽エプロン本体
12 外蓋
13 浴槽フランジ
14 浴槽フランジの洗い場側端面
18 凸部
19 点検口部
20 凹部
24 カウンタ本体
25 カウンタエプロン
26 カウンタエプロンの傾斜面
27 カウンタエプロンの底面
28 カウンタ本体の傾斜面
29 カウンタエプロンのフランジ部
30 カウンタの浴槽側端面
31 カウンタ本体の浴槽側端面
32 カウンタエプロンの浴槽側端面
33 カウンタ本体の下端
36 カウンタ本体の浴槽側端面と凹部の当接箇所の周縁
38 凸部の下端
39 凹部の上端
46 第一外蓋
47 第二外蓋
51 第一外蓋の台形部
52 第一外蓋の矩形部
53 台形部の上面部
54 台形部の傾斜面部
55 矩形部の上面部
60 第一外蓋の洗い場側の面
61 第二外蓋の洗い場側の面
62 第二外蓋の上端
図1
図2
図3