特許第6616175号(P6616175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616175
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20191125BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   G01D11/28 B
   B60K35/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-246390(P2015-246390)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-111035(P2017-111035A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴之
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−99618(JP,U)
【文献】 特開2009−19930(JP,A)
【文献】 実開平2−110537(JP,U)
【文献】 特許第5692907(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00−13/28、
7/00−7/12
B60K 35/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルの開口部に配置され、車室側の面である前面が前記インストルメントパネルの前面と連続した面を構成しているパネル部と、
前記パネル部に設けられ、前記パネル部を貫通している複数の表示孔と、
発光部を含み、前記パネル部よりも背面側に配置された表示手段と、
前記パネル部よりも背面側に配置され、車室内の空間と前記表示手段側の空間とを仕切り、かつ前記発光部から前記表示孔に向けて光が透過する板状部材と
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記板状部材は、車室内の空間と前記表示手段側の空間とを仕切り、かつ光が透過する部材のうちで前記車両用表示装置において最も車室側にある
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記板状部材よりも背面側に配置された指針を有する
請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示孔は、平面形状が文字形状である文字孔、および平面形状が目盛り形状である目盛り孔の少なくとも何れか一方を含む
請求項1から3の何れか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
インストルメントパネルに設けられ、前記インストルメントパネルを貫通している複数の表示孔と、
発光部を含み、前記インストルメントパネルよりも背面側に配置された表示手段と、
前記インストルメントパネルよりも背面側に配置され、車室内の空間と前記表示手段側の空間とを仕切り、かつ前記発光部から前記表示孔に向けて光が透過する板状部材と
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置がある。特許文献1には、文字盤と、文字盤の周縁部に庇状に張り出して設けられた見返しと、を有する自動車用計器の技術が開示されている。特許文献1の自動車用計器では、見返しの前面側には、文字盤や指針部材の前方を覆う透明な前面カバー(表硝子)が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5692907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用表示装置について、部品点数の低減が望まれている。例えば、文字板の前方を覆う前面カバーを省略することができれば、部品点数を低減することが可能となる。
【0005】
本発明の目的は、部品点数の低減を可能とする車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、インストルメントパネルの開口部に配置され、車室側の面である前面が前記インストルメントパネルの前面と連続した面を構成しているパネル部と、前記パネル部に設けられ、前記パネル部を貫通している複数の表示孔と、発光部を含み、前記パネル部よりも背面側に配置された表示手段と、前記パネル部よりも背面側に配置され、車室内の空間と前記表示手段側の空間とを仕切り、かつ前記発光部から前記表示孔に向けて光が透過する板状部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記車両用表示装置において、前記板状部材は、車室内の空間と前記表示手段側の空間とを仕切り、かつ光が透過する部材のうちで前記車両用表示装置において最も車室側にあることが好ましい。
【0008】
上記車両用表示装置において、前記表示手段は、前記板状部材よりも背面側に配置された指針を有することが好ましい。
【0009】
上記車両用表示装置において、前記表示孔は、平面形状が文字形状である文字孔、および平面形状が目盛り形状である目盛り孔の少なくとも何れか一方を含むことが好ましい。
【0010】
本発明の車両用表示装置は、インストルメントパネルに設けられ、前記インストルメントパネルを貫通している複数の表示孔と、発光部を含み、前記インストルメントパネルよりも背面側に配置された表示手段と、前記インストルメントパネルよりも背面側に配置され、車室内の空間と前記表示手段側の空間とを仕切り、かつ前記発光部から前記表示孔に向けて光が透過する板状部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る車両用表示装置は、インストルメントパネルの開口部に配置され、車室側の面である前面がインストルメントパネルの前面と連続した面を構成しているパネル部と、パネル部に設けられ、パネル部を貫通している複数の表示孔と、発光部を含み、パネル部よりも背面側に配置された表示手段と、パネル部よりも背面側に配置され、車室内の空間と表示手段側の空間とを仕切り、かつ発光部から表示孔に向けて光が透過する板状部材とを備える。本発明に係る車両用表示装置の板状部材は、文字板と、表示手段を保護する保護部材とを兼ねている。よって、本発明に係る車両用表示装置は、部品点数の低減を可能とするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係る車両用表示装置の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係る車両用表示装置の要部断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る第二メータ孔の断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る車両用表示装置の第二表示部の一例を示す拡大平面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る車両用表示装置の斜視図である。
図6図6は、各実施形態の第1変形例に係る車両用表示装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
[第1実施形態]
図1から図4を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。図1は、本発明の第1実施形態に係る車両用表示装置の斜視図、図2は、第1実施形態に係る車両用表示装置の要部断面図、図3は、第1実施形態に係る第二メータ孔の断面図、図4は、第1実施形態に係る車両用表示装置の第二表示部の一例を示す拡大平面図である。図2には、図1のII−II断面が示されており、図3には、図1のIII−III断面が示されている。
【0015】
図1および図2に示すように、車両用表示装置1は、パネル部2、表示孔3、表示手段4、および板状部材5を有する。パネル部2は、車両のインストルメントパネル10の開口部11に配置され、開口部11を閉塞している。本実施形態の開口部11の平面形状は、横方向の幅が縦方向の幅よりも広い矩形である。
【0016】
なお、インストルメントパネル10および車両用表示装置1の説明において、「横方向」とは車室内の搭乗者から見た左右方向である。言い換えると、横方向は、車両用表示装置1が車両に搭載された状態における車幅方向である。また、「縦方向」とは、車室内の搭乗者から見た上下方向である。言い換えると、縦方向は、車両用表示装置1が車両に搭載された状態における車両上下方向である。また、「奥行き方向」とは、車室内の搭乗者から見た奥行き方向である。言い換えると、奥行き方向は、車両用表示装置1が車両に搭載された状態における車両前後方向である。奥行き方向の「前面側」とは、車室側、すなわち搭乗者側であり、典型的には車両後側である。奥行き方向の「背面側」とは、前面側と反対側であり、典型的には車両前側である。
【0017】
パネル部2は、板状の構成部であり、車室内に露出する化粧パネルである。本実施形態のパネル部2は、インストルメントパネル10と同じ素材(例えば、合成樹脂)で形成されており、かつインストルメントパネル10と同色である。パネル部2は、ロック機構や締結部材によってインストルメントパネル10に対して固定される。パネル部2の平面形状は、インストルメントパネル10の開口部11の平面形状と対応している。本実施形態のパネル部2の平面形状は、横方向の幅が縦方向の幅よりも広い矩形である。インストルメントパネル10およびパネル部2は、縦方向の中央部分が両端部分よりも前面側に突出するようにわずかに湾曲している。パネル部2の車室側の面である前面21は、インストルメントパネル10の前面12と連続した面を構成している。前面12,21は、車室内の搭乗者と対向する面である。
【0018】
ここで、前面21が前面12と連続した面を構成している場合、図2に示すように、前面21の断面形状と前面12の断面形状とが連続した直線または曲線となる。本実施形態では、前面21および前面12の断面形状が直線であり、かつ前面12,21が断面図において同一直線上にある。パネル部2の前面21とインストルメントパネル10の前面12とは、少なくとも境界部において同一面上にある、いわゆる面一となっている。
【0019】
表示孔3は、パネル部2に設けられ、かつパネル部2を貫通している貫通孔である。パネル部2には、複数の表示孔3が設けられている。図2に示すように、パネル部2は、板状の構成部であり、表示孔3はパネル部2を板厚方向に貫通している。表示孔3の軸方向は、パネル部2の前面21と直交している。
【0020】
図1に示すように、表示孔3は、第一メータ孔31、第一文字孔32、第一目盛り孔33、第二メータ孔34、第二文字孔35、第二目盛り孔36、およびインジケータ表示孔37を含む。第一メータ孔31、第一文字孔32、および第一目盛り孔33は、第一表示部6の構成要素である。第一表示部6は、更に、第一指針41を含む。第一表示部6は、パネル部2における左側に位置し、車両に搭載されたエンジン等の機関の回転速度[rpm]を表示する。
【0021】
第二メータ孔34、第二文字孔35、および第二目盛り孔36は、第二表示部7の構成要素である。第二表示部7は、更に、第二指針42を含む。第二表示部7は、パネル部2における右側に位置し、車両の走行速度[km/h]を表示する。
【0022】
インジケータ表示孔37は、インジケータ表示部8の構成要素である。インジケータ表示部8は、パネル部2における横方向の中央部に位置しており、車両の状態に関する各種の情報を表示する。インジケータ表示部8は、第一表示部6と第二表示部7との間に位置している。
【0023】
第一メータ孔31の平面形状は、円環形状である。パネル部2は、第一メータ孔31の径方向内側に配置された第一円盤部22を有する。第一円盤部22は、パネル部2の背面側に固定された筐体等によって保持されている。第一メータ孔31の径方向の幅は一定である。第一文字孔32は、文字指標の孔であり、第一メータ孔31の径方向外側に配置されている。第一文字孔32は、第一メータ孔31の周方向に沿って間隔をあけて配置されている。第一文字孔32の平面形状は、文字形状である。第一文字孔32の文字は、第一表示部6によって表示される情報の単位を示す文字「×1000rpm」、および第一指針41の指示値を示す文字「0,1,2,…」を含む。第一目盛り孔33は、目盛り指標の孔であり、第一文字孔32の径方向外側に配置されている。第一目盛り孔33は、第一メータ孔31の周方向に沿って、第一文字孔32の数値の位置に対応して設けられている。
【0024】
第二メータ孔34の平面形状は、第一メータ孔31の平面形状と同様の円環形状である。パネル部2は、第二メータ孔34の径方向内側に配置された第二円盤部23を有する。第二円盤部23は、パネル部2の背面側に固定された筐体等によって保持されている。第二メータ孔34の径方向の幅は一定である。第二文字孔35は、文字指標の孔であり、第二メータ孔34の径方向外側に配置されている。第二文字孔35は、第二メータ孔34の周方向に沿って間隔をあけて配置されている。第二文字孔35の平面形状は、文字形状である。第二文字孔35の文字は、第二表示部7によって表示される情報の単位を示す文字「km/h」、および第二指針42の指示値を示す文字「0,20,40,…」を含む。第二目盛り孔36は、目盛り指標の孔であり、第二文字孔35の径方向外側に配置されている。第二目盛り孔36は、第二メータ孔34の周方向に沿って、第二文字孔35の数値の位置に対応して設けられている。
【0025】
インジケータ表示孔37は、ウォーニング情報や車両状態に係る文字や図柄(以下、「ウォーニング図柄等」と称する。)を表示する孔である。ウォーニング図柄等には、方向指示器等の操作装置の作動状態を示す図柄や、バッテリ等の機器についての警告を示す図柄が含まれる。一種類のウォーニング図柄等に対して一つのインジケータ表示孔37が設けられている。本実施形態のインジケータ表示孔37の平面形状は、矩形や台形等の多角形である。本実施形態のパネル部2では、複数のインジケータ表示孔37が格子状に区切られている。すなわち、複数のインジケータ表示孔37は、縦方向に複数行、横方向に複数列で配置されている。なお、一部のインジケータ表示孔37は、ウォーニング図柄等に対応していない装飾用であってもよい。
【0026】
図2に示すように、板状部材5は、パネル部2よりも背面側に配置されており、車室内の空間14と表示手段4側の空間15とを仕切っている。板状部材5は、パネル部2と係合してパネル部2によって保持されていても、パネル部2の背面側に固定された筐体等によって保持されていてもよい。板状部材5は、典型的には透明または半透明な平板状の部材である。板状部材5は、例えば、合成樹脂によって形成されている。板状部材5は、車室内の空間14と表示手段4側の空間15とを仕切り、表示手段4を保護している。板状部材5は、車室内の空間14から表示手段4側の空間15への異物等の進入を規制する。
【0027】
表示手段4は、第一指針41、第二指針42、モータ43、基板44、発光部45を含む。基板44は、モータ43および発光部45を制御する制御回路を有している。基板44は、板状部材5と奥行き方向において対向している。基板44は、パネル部2の背面側に固定された筐体等によって保持されている。モータ43および発光部45は、基板44の前面側に固定されている。第一指針41は、指針本体41aと回転軸41bとを有する。回転軸41bは、奥行き方向に延在している。指針本体41aは、回転軸41bの前面側の端部とつながっている。回転軸41bは、モータ43によって保持されており、モータ43によって回転駆動される。なお、第二指針42の構成は、第一指針41の構成と同様である。基板44には、第二指針42を回転駆動するモータ43が別途設けられている。基板44は、検出された機関回転速度に応じて、モータ43によって第一指針41および第二指針42の回転位置を制御する。
【0028】
板状部材5において、インジケータ表示孔37に対応する領域には、暗色系のインクによって、ウォーニング図柄等に対応した形状が中抜きされた印刷が施されている。板状部材5には、一つのインジケータ表示孔37に対応して、一つのウォーニング図柄等が配置されている。基板44には、複数の発光部45が配置されている。各発光部45は、メータ孔31,34やインジケータ表示孔37に対して光を照射する。各発光部45は、図示しないランプ収容部に収容されている。ランプ収容部は、発光部45が対応するメータ孔31,34やインジケータ表示孔37に対して選択的に光を照射できるように発光部の周囲を囲む壁部を有している。基板44は、各発光部45の点灯/消灯や発光量を制御する。本実施形態では、一つのウォーニング図柄等に対して一つの発光部45が配置されている。基板44は、各ウォーニング図柄等に対応する発光部45の点灯/消灯により、当該図柄の表示/非表示を切替える。板状部材5において、第一メータ孔31および第二メータ孔34に対応する領域は、印刷や表面加工等によって半透明とされていてもよい。
【0029】
図3を参照して説明するように、表示孔3の形状や各部の寸法は、窓写りが生じないように定められている。図3に示す第二メータ孔34を例に説明すると、第二メータ孔34の径方向の幅W1は、車両のフロントウインドウ50から差し込む光51がパネル部2よりも表示手段4側に入射しないように定められている。これにより、表示手段4の表示内容がフロントウインドウ50に映り込まないようにされている。第二メータ孔34以外の表示孔3についても同様に窓写りの防止が図られている。
【0030】
本実施形態の車両用表示装置1では、以下に説明するように、部品点数の低減が可能である。一般的な車両用表示装置では、インストルメントパネル10の開口部にはめ込まれた透明なガラス板等の保護部材(前面カバー)が車室内の空間と表示手段側の空間とを仕切っている。この保護部材は、表示手段側の空間に異物等が入り込まないようにして、指針の回転が阻害されるなどのトラブルを未然に防ぐ。
【0031】
本実施形態の車両用表示装置1では、表示孔3よりも背面側に配置された板状部材5が車室内の空間14と表示手段4側の空間15とを仕切っている。本実施形態の板状部材5は、表示手段4を保護する保護部材と、文字板とを兼ねている。板状部材5は、保護部材として表示孔3を背面側から塞ぎ、表示孔3から表示手段4側の空間15への異物等の進入を規制する。板状部材5は、表示孔3の背面側の開口部と対向しており、当該開口部と表示手段4とを仕切っている。板状部材5は、パネル部2の背面に接して表示孔3を塞いでいることが好ましいが、表示手段4を保護できる範囲でパネル部2の背面から離間していてもよい。
【0032】
また、板状部材5は、発光部45から表示孔3に向けて光を透過させる。例えば、板状部材5は、発光部45からの光を第一メータ孔31側および第二メータ孔34側に透過させて、第一メータ孔31および第二メータ孔34を発光させる。板状部材5において、少なくとも第一メータ孔31および第二メータ孔34と対向する領域は、発光部45からの光が第一メータ孔31および第二メータ孔34に向けて透過するように、透明または半透明となっている。また、板状部材5は、発光部45からの光を第一文字孔32、第一目盛り孔33、第二文字孔35、および第二目盛り孔36側に透過させて、それぞれの孔32,33,35,36を発光させる。板状部材5において、少なくとも孔32,33,35,36と対向する領域は、発光部45からの光が孔32,33,35,36に向けて透過するように、透明または半透明となっている。
【0033】
また、板状部材5は、発光部45からの光をインジケータ表示孔37側に透過させて、ウォーニング図柄等を表示させる。板状部材5において、インジケータ表示孔37と対向する領域には、ウォーニング図柄等が中抜きされた印刷が施されている。ウォーニング図柄等は、透明または半透明であり、発光部45からの光をインジケータ表示孔37に向けて透過させる。
【0034】
本実施形態の板状部材5は、ウォーニング情報等のインジケータの文字板と、表示手段4を保護する保護部材とを兼ねている。よって、本実施形態の車両用表示装置1によれば、部品点数の低減が可能である。
【0035】
また、本実施形態の車両用表示装置1では、パネル部2において、第一文字孔32および第一目盛り孔33が設けられた領域と、第二文字孔35および第二目盛り孔36が設けられた領域は、それぞれ文字板として機能する文字板領域である。つまり、本実施形態の車両用表示装置1では、文字板と車室内の空間14とを仕切る保護部材が無く、文字板が車室内の空間14に露出しているといえる。第一表示部6および第二表示部7において、指標を指し示す指針41,42は、板状部材5よりも背面側にあり、板状部材5によって保護されている。つまり、本実施形態の車両用表示装置1では、アナログ式の第一表示部6および第二表示部7において、文字板が最も前面側にあってかつ車室内の空間14に露出している。保護部材としての板状部材5は、文字板としてのパネル部2よりも背面側にあり、指針41,42は板状部材5よりも背面側に位置している。このように、板状部材5は、第一表示部6および第二表示部7においては、主として指針41,42等の表示手段4を保護する保護部材として機能している。板状部材5は、インジケータ表示部8においては、ウォーニング図柄等が施された文字板として機能し、かつ表示手段4を保護する保護部材として機能している。
【0036】
本実施形態の板状部材5は、車室内の空間14と表示手段4側の空間15とを仕切り、かつ光が透過する部材のうちで車両用表示装置1において最も車室側にある。つまり、板状部材5よりも車室側には、一般的な車両用表示装置の表ガラスのような透明の保護部材が存在しない。文字板としての機能を有する板状部材5が保護部材を兼ねており、かつ表示孔3よりも背面側に配置されていることから、各表示部6,7,8とインストルメントパネル10の一体性が向上する。言い換えると、各表示部6,7,8と車室内の空間14とが表ガラスのような保護部材によって仕切られていないため、各表示部6,7,8とインストルメントパネル10とが融合する。また、パネル部2は、第一表示部6および第二表示部7の文字板を兼ねている。このように、インストルメントパネル10の前面12と連続した面を構成する前面21が文字板として機能することで、車両用表示装置1とインストルメントパネル10との一体性が向上する。
【0037】
また、本実施形態の車両用表示装置1では、各表示部6,7,8における奥行き方向の段差が小さい。具体的には、パネル部2の前面21から指針41,42までの段差や、前面21からウォーニング図柄等までの段差が小さい。段差を小さくする手段の一つとして、第一メータ孔31および第二メータ孔34は、それぞれ平面形状が円環形状である。第一メータ孔31および第二メータ孔34の径方向の幅W1(図3参照)は、パネル部2の板厚程度の奥行きの寸法D1に対して窓写りが防止できるように定められている。メータ孔31,34の平面形状を円環形状とすることで、メータ孔31,34の奥行き寸法D1の低減が図られている。また、文字孔32,35や目盛り孔33,36がパネル部2に設けられていることで、メータ孔31,34の幅W1を狭くすることが可能となっている。
【0038】
インジケータ表示孔37の縦方向の幅についても、パネル部2の板厚程度の奥行き寸法D1に対して窓写りが防止できるように定められている。なお、各文字孔32,35や目盛り孔33,36についても、窓写りが防止できるように平面形状の寸法が定められている。よって、本実施形態の車両用表示装置1は、各表示部6,7,8における奥行き方向の段差が小さいことで、インストルメントパネル10との一体性が向上している。
【0039】
本実施形態の車両用表示装置1では、各表示部6,7,8のデザインの自由度が向上する。例えば、保護部材を兼ねる板状部材5が表示孔3よりも背面側にあるため、インストルメントパネル10と連続した壁面を構成するパネル部2に各文字孔32,35や目盛り孔33,36を設けることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、パネル部2と、表示孔3と、表示手段4と、板状部材5とを有する。パネル部2は、インストルメントパネル10の開口部11に配置されている。パネル部2において、車室側の面である前面21がインストルメントパネル10の前面12と連続した面を構成している。表示孔3は、パネル部2に複数設けられており、パネル部2を貫通している。表示手段4は、発光部45を含み、パネル部2よりも背面側に配置されている。板状部材5は、パネル部2よりも背面側に配置され、車室内の空間14と表示手段4側の空間15とを仕切り、かつ発光部45から表示孔3に向けて光が透過する。本実施形態に係る車両用表示装置1では、板状部材5が文字板と、表示手段4を保護する保護部材とを兼ねている。よって、一般的な車両用表示装置の表ガラスのような前面側の保護部材が不要となり、部品点数の低減が可能となる。
【0041】
また、表示手段4は、板状部材5よりも背面側に配置された指針41,42を有する。つまり、板状部材5は、指針41,42よりも前面側、言い換えると車室側に配置されており、指針41,42を保護している。よって、板状部材5は、指針41,42を含む表示手段4を適切に保護することができる。
【0042】
また、本実施形態の車両用表示装置1では、一つの板状部材5が全ての表示孔3を背面側から覆っている。つまり、一つの板状部材5が、第一指針41を保護する保護部材と、第二指針42を保護する保護部材と、インジケータ表示部8の文字板とを兼ねている。これにより、部品点数の低減が図られている。また、一つの板状部材5が全ての表示孔3を覆うことで、表示手段4側への異物の進入が適切に防止される。
【0043】
また、表示孔3は、平面形状が文字形状である第一文字孔32および第二文字孔35と、平面形状が目盛り形状である第一目盛り孔33および第二目盛り孔36とを有する。表示孔3が文字孔32,35および目盛り孔33,36を含むことで、パネル部2を文字板とすることができる。これにより、部品点数の低減を図ることが可能となる。なお、表示孔3は、第一表示部6において第一文字孔32あるいは第一目盛り孔33の一方のみを有していてもよい。また、表示孔3は、第二表示部7において第二文字孔35あるいは第二目盛り孔36の一方のみを有していてもよい。
【0044】
図4には、第二表示部7の一例の拡大平面図が示されている。図4に示すように、背面側からの光によって、第二文字孔35および第二目盛り孔36が発光する。図4の例では、走行速度を示す第二文字孔35aの径方向内側および径方向外側にそれぞれ第二目盛り孔36が設けられている。径方向内側の第二目盛り孔36bは、径方向外側の第二目盛り孔36aよりも細かな間隔で配置されている。また、径方向内側の第二目盛り孔36bと第二メータ孔34との間に、走行速度の単位[km/h]を示す第二文字孔35bが形成されている。
【0045】
[第2実施形態]
図5を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図5は、第2実施形態に係る車両用表示装置の斜視図である。
【0046】
図5に示すように、第2実施形態に係る車両用表示装置1において、パネル部2の平面形状は、略台形の形状である。パネル部2の平面形状は、縦方向の上側へ向かうに従って幅が狭くなる先細形状である。インストルメントパネル10には、パネル部2の形状に対応する形状の開口部11が設けられている。パネル部2は、開口部11に配置され、開口部11を塞いでいる。パネル部2の前面21は、インストルメントパネル10の前面12と連続した面を構成している。インストルメントパネル10の前面12およびパネル部2の前面21は、縦方向の中央部が両端部よりも車室側に向けて突出するように全体的に湾曲している。
【0047】
パネル部2には、周辺よりも隆起した隆起部24が設けられている。隆起部24は、横方向におけるパネル部2の中央部分に設けられている。隆起部24の平面形状は、縦方向の上側へ向かうに従って幅が広くなる略台形形状である。パネル部2には、パネル部2を貫通している複数の表示孔60が設けられている。表示孔60は、第一メータ孔61、第二メータ孔62、およびインジケータ表示孔63を有する。第一メータ孔61および第二メータ孔62は、隆起部24に設けられている。第一メータ孔61および第二メータ孔62は、縦方向に隣接して設けられており、第一メータ孔61が第二メータ孔62よりも下側に位置している。第一メータ孔61の平面形状は、円環形状である。第二メータ孔62の平面形状は、円環形状の一部の区間を欠いた形状、言い換えると円弧形状である。
【0048】
パネル部2において、隆起部24を除く領域には、複数のインジケータ表示孔63が設けられている。インジケータ表示孔63は、隆起部24を除く領域の略全面に規則的に配置されている。インジケータ表示孔63の平面形状は、円形である。インストルメントパネル10の前面12には、複数の貫通孔13が設けられている。貫通孔13は、インストルメントパネル10を板厚方向に貫通している。貫通孔13の平面形状は、インジケータ表示孔63の平面形状と同形状の円形である。貫通孔13は、インジケータ表示孔63と同様に規則的に配置されている。本実施形態では、インジケータ表示孔63と貫通孔13とが共通の規則に従って配列されて一体的な模様を構成している。より具体的には、インジケータ表示孔63および貫通孔13は、横方向および縦方向にそれぞれ等ピッチで配列されている。
【0049】
インジケータ表示孔63および貫通孔13の大きさは、横方向に沿って共通の規則に従って変化している。インジケータ表示孔63および貫通孔13の大きさは、横方向の中央部において最も大きく、かつ横方向の端部へ向かうに従って小さくなっている。インストルメントパネル10の左端部では、左側へ向かうに従って貫通孔13の大きさが小さくなっている。パネル部2の右端部およびパネル部2よりも右側のインストルメントパネル10では、右側へ向かうに従ってインジケータ表示孔63および貫通孔13の大きさが小さくなっている。
【0050】
パネル部2よりも背面側には、板状部材5が配置されている。板状部材5は、第一メータ孔61、第二メータ孔62、およびインジケータ表示孔63を背面側から覆っている。板状部材5において、第一メータ孔61に対応する領域、および第二メータ孔62に対応する領域には、印刷等によって文字指標および目盛り指標が設けられている。第一メータ孔61に対応する領域には、車両の走行速度に関する文字指標および目盛り指標が設けられている。板状部材5よりも背面側には、第一メータ孔61の指標を指し示す第一指針41が配置されている。板状部材5において、第二メータ孔62に対応する領域には、車両の機関回転速度に関する文字指標および目盛り指標が設けられている。板状部材5よりも背面側には、第二メータ孔62の指標を指し示す第二指針42が配置されている。
【0051】
板状部材5において、インジケータ表示孔63に対応する領域には、印刷等によってウォーニング図柄等が設けられている。一つのインジケータ表示孔63に対して、一種類のウォーニング図柄等が設けられている。なお、一部のインジケータ表示孔63は、装飾用であっても、別な用途に用いられてもよい。インストルメントパネル10の貫通孔13は、装飾用であっても、エアコンの送風口等に用いられてもよい。
【0052】
第2実施形態の車両用表示装置1は、上記第1実施形態の車両用表示装置1と同様に、発光部45を含む表示手段4(図2参照)を有する。表示手段4は、パネル部2よりも背面側に配置されており、発光部45によって、第一メータ孔61、第二メータ孔62、およびインジケータ表示孔63に向けて光を照射する。
【0053】
第2実施形態の板状部材5は、上記第1実施形態の板状部材5と同様に、車室内の空間14と表示手段4側の空間15とを仕切っている。また、第2実施形態の板状部材5は、発光部45から表示孔60に向けて光が透過する。第2実施形態の板状部材5は、文字指標、目盛り指標、およびウォーニング図柄等が設けられた文字板と、表示手段4を保護する保護部材とを兼ねている。従って、第2実施形態に係る車両用表示装置1は、上記第1実施形態の車両用表示装置1と同様に部品点数の低減を可能とする。
【0054】
また、本実施形態の車両用表示装置1では、インストルメントパネル10の貫通孔13およびパネル部2のインジケータ表示孔63が同形状であり、かつ共通の規則に従って配列されている。更に、貫通孔13およびインジケータ表示孔63の大きさは、共通の規則に従って横方向に沿って変化している。よって、インストルメントパネル10とパネル部2との融合の度合いが向上する。インストルメントパネル10とパネル部2との境界部では、一つの孔がインストルメントパネル10とパネル部2にまたがって設けられており、インストルメントパネル10とパネル部2とを一体化させている。
【0055】
[上記各実施形態の第1変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態の第1変形例について説明する。上記各実施形態において、パネル部2がインストルメントパネル10と一体であってもよい。図6は、各実施形態の第1変形例に係る車両用表示装置の斜視図である。図6に示すように、第1変形例の車両用表示装置1では、インストルメントパネル10に複数の表示孔3が設けられている。表示孔3は、インストルメントパネル10を貫通している。表示孔3の形状や配置は、上記第1実施形態のパネル部2に設けられた表示孔3の形状や配置と同様である。
【0056】
インストルメントパネル10よりも背面側には、上記第1実施形態の表示手段4(図2参照)と同様の表示手段4が配置されている。また、インストルメントパネル10よりも背面側には、板状部材5が配置されている。板状部材5は、上記第1実施形態の板状部材5と同様に、車室内の空間14と表示手段4側の空間15とを仕切り、かつ発光部45から表示孔3に向けて光が透過する。第1変形例の車両用表示装置1では、上記第1実施形態の車両用表示装置1と同様に、板状部材5が文字板と表示手段4を保護する保護部材とを兼ねている。よって、第1変形例の車両用表示装置1は、部品点数の低減を可能とする。
【0057】
また、インストルメントパネル10に表示孔3が設けられることで、パネル部2の省略により、部品点数の低減が可能となる。また、インストルメントパネル10に表示孔3が設けられることで、インストルメントパネル10と車両用表示装置1との一体化が図られる。なお、上記第2実施形態の車両用表示装置1において、パネル部2がインストルメントパネル10と一体化されてもよい。
【0058】
[上記各実施形態の第2変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態の第2変形例について説明する。上記各実施形態の表示孔3,60の形状や個数、配置、表示内容などは例示したものには限定されない。例えば、メータ孔31,34,61,62の平面形状は円環形状には限定されない。また、メータ孔31,34,61,62には、走行速度等の数値がデジタル表示されてもよい。
【0059】
上記の各実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 車両用表示装置
2 パネル部
3,60 表示孔
4 表示手段
5 板状部材
6 第一表示部
7 第二表示部
8 インジケータ表示部
10 インストルメントパネル
11 開口部
12 前面
13 貫通孔
14 車室内の空間
15 表示手段側の空間
21 前面
22 第一円盤部
23 第二円盤部
24 隆起部
31,61 第一メータ孔
32 第一文字孔
33 第一目盛り孔
34,62 第二メータ孔
35 第二文字孔
36 第二目盛り孔
37,63 インジケータ表示孔
41 第一指針
42 第二指針
45 発光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6