特許第6616179号(P6616179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616179
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】電子キーシステム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/24 20130101AFI20191125BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   B60R25/24
   E05B49/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-251810(P2015-251810)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-114294(P2017-114294A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩下 明暁
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−298275(JP,A)
【文献】 特開2014−116998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/24
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信マスタと電子キーとの間で無線によるID照合を行い、当該ID照合の照合結果を通信マスタに書き込んで保持しつつ、該ID照合が成立すれば、前記通信マスタが設けられたキー操作対象の作動が許可又は実行される電子キーシステムにおいて、
前記電子キーは複数あり、前記通信マスタのメモリに書き込まれる前記照合結果を、使用する電子キーのそれぞれに応じて異なった書き込み内容にする情報書込部を備えた
ことを特徴とする電子キーシステム。
【請求項2】
前記電子キーには、当該電子キー及び通信マスタとの間のID照合の成立下において前記キー操作対象の操作が全て許可された第1電子キーと、前記電子キー及び通信マスタとの間のID照合が成立していても前記キー操作対象の操作が制限された第2電子キーとがあり、
前記情報書込部は、前記第1電子キー及び第2電子キーのそれぞれに応じた照合結果を前記メモリに書き込む
請求項1に記載の電子キーシステム。
【請求項3】
前記通信マスタは、複数の作動モードに設定可能であり、いま設定下にある作動モードに基づく前記照合結果のみ受け付ける
請求項1又は2に記載の電子キーシステム。
【請求項4】
前記通信マスタは、前記電子キーとしての第2電子キーが使用される状態下に入ることを認識できるトリガを入力すると、当該第2電子キーが使用可能な専用の操作制限作動モードに移行する
請求項2又は3に記載の電子キーシステム。
【請求項5】
前記通信マスタは、車両に設けられ、
前記電子キーは、車両用のキーであり、
前記ID照合が成立したときは、前記車両のエンジンの始動が許可されるとともに、そのときに使用された前記電子キーに応じた照合結果が前記メモリに書き込まれる
請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の電子キーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子キーにより無線によってID照合を行う電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を第三者等に貸与するとき、車両に使用制限をかけることが可能な電子キー(バレーキー)を貸し出して、車両のセキュリティを確保する電子キーシステムが周知である(特許文献1等参照)。この技術の開示があるように、車両を第三者に貸与するにしても、車両の使用に制限をかければ、車両盗難防止等に効果が高くなる。車両の使用制限としては、例えばエンジン始動回数、車両使用許可時間、車両使用許可距離、グローブボックスの解錠などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−340586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電子キーを貸与された第三者が、車両や電子キーのメモリ等の情報を不正に解読して、車両及び電子キーの間で無線により行われるID照合に関するデータ(例えばID照合の照合結果等)を取得しようとする可能性も否めない。この場合、不正取得したデータを基に、後日、車両に不正アクセスすることも想定され、これが車両盗難に繋がる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、不正使用に対するセキュリティ性を確保することができる電子キーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決する電子キーシステムは、通信マスタと電子キーとの間で無線によるID照合を行い、当該ID照合の照合結果を通信マスタに書き込んで保持しつつ、該ID照合が成立すれば、前記通信マスタが設けられたキー操作対象の作動が許可又は実行される構成において、前記通信マスタのメモリに書き込まれる前記照合結果を、使用する電子キーに応じた書き込み内容にする情報書込部を備えた。
【0007】
本構成によれば、ID照合の照合結果を通信マスタのメモリに書き込むにあたり、ID照合時に使用したそれぞれの電子キーに応じた書き込み内容がメモリに書き込まれる。これにより、電子キーとして例えばサブキーを第三者に貸与したとき、照合結果を不正に読み取られたとしても、正規ユーザが電子キーとしてマスターキーを使用する状況下においては、読み取った照合結果を適用することができない処理をとることが可能となる。よって、不正使用に対するセキュリティ性を確保することが可能となる。
【0008】
前記電子キーシステムにおいて、前記電子キーには、当該電子キー及び通信マスタとの間のID照合の成立下において前記キー操作対象の操作が全て許可された第1電子キーと、前記電子キー及び通信マスタとの間のID照合が成立していても前記キー操作対象の操作が制限された第2電子キーとがあり、前記情報書込部は、前記第1電子キー及び第2電子キーのそれぞれに応じた照合結果を前記メモリに書き込むことが好ましい。この構成によれば、第1電子キー又は第2電子キーが使用されたとき、各電子キーに応じた照合結果が書き込まれるので、第1電子キー及び第2電子キーを使い分けることにより、不正使用に対するセキュリティ性を確保することが可能となる。
【0009】
前記電子キーシステムにおいて、前記通信マスタは、複数の作動モードに設定可能であり、いま設定下にある作動モードに基づく前記照合結果のみ受け付けることが好ましい。この構成によれば、適合する照合結果のみ受け付けることが可能となる。
【0010】
前記電子キーシステムにおいて、前記通信マスタは、前記電子キーとしての第2電子キーが使用される状態下に入ることを認識できるトリガを入力すると、当該第2電子キーが使用可能な専用の操作制限作動モードに移行することが好ましい。この構成によれば、例えば第2電子キーを第三者に貸与するときには、通信マスタの作動モードを、第2電子キーが使用可能な専用のモードに移行しておくようにするので、通常時との切り分けが可能となる。よって、照合結果の書き込みを電子キーに応じて変えるにあたり、これを確実に行うのに有利となる。
【0011】
前記電子キーシステムにおいて、前記通信マスタは、車両に設けられ、前記電子キーは、車両用のキーであり、前記ID照合が成立したときは、前記車両のエンジンの始動が許可されるとともに、そのときに使用された前記電子キーに応じた照合結果が前記メモリに書き込まれることが好ましい。この構成によれば、必要とする正しい照合結果がメモリに書き込まれていないとエンジンが始動しないので、車両盗難を防止するのに一層有利となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不正使用に対するセキュリティ性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の電子キーシステムの構成図。
図2】第1電子キーを使用するときの照合結果の書き込み態様を示す説明図。
図3】第2電子キーを使用するときの照合結果の書き込み態様を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電子キーシステムの一実施形態を図1図3に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、車両用のキーである電子キー2と無線によるID照合を行う電子キーシステム3を備える。本例の電子キーシステム3は、例えば車両1からの通信を契機に狭域無線によってID照合を行うキー操作フリーシステムであることが好ましい。なお、キー操作フリーシステムのID照合を「スマート照合」といい、その通信を「スマート通信」という。
【0015】
車両1は、ID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)4と、車載電装品の電源を管理するボディECU5と、エンジン7を制御するエンジンECU6とを備える。これらECUは、車内の通信線8を通じて接続されている。照合ECU4のメモリ9には、ID照合時の認証に使用するキー情報10が書き込み保存されている。キー情報10は、電子キー2が持つ固有のコードである電子キーIDや、ID照合の過程で行う暗号通信で使用される暗号鍵などを含むことが好ましい。車両1には、複数の電子キー2を登録可能であり、その場合、複数のキー情報10が書き込み保存される。ボディECU5は、車両ドアの施解錠のメカ部分であるドアロック機構11の作動を制御する。
【0016】
電子キー2が車両1に複数登録される場合、電子キー2には、電子キー2及び通信マスタ14(本例は照合ECU4、以下同様)との間のID照合の成立下においてキー操作対象15(本例は車両1、以下同様)の操作が全て許可された第1電子キー2aと、電子キー2及び通信マスタ14の間のID照合が成立していてもキー操作対象15の操作が制限された第2電子キー2bとがある。なお、第1電子キー2aがマスターキーの位置付けであり、第2電子キー2bがサブキー(バレーキー)の位置付けである。
【0017】
照合ECU4には、室外に電波を送信可能な室外送信機18と、室内に電波を送信可能な室内送信機19と、車両1において電波受信を可能とする電波受信機20とが接続されている。室外送信機18及び室内送信機19は、LF(Low Frequency)帯の電波を送信可能である。電波受信機20は、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信可能である。
【0018】
電子キー2は、電子キー2の作動を制御するキー制御部23と、電子キー2において電波受信する受信部24と、電子キー2において電波送信する送信部25とを備える。キー制御部23のメモリ26には、車両1とのID照合時に使用するキー情報27が書き込み保存されている。このキー情報27も電子キーID及び暗号鍵を含むことが好ましい。受信部24は、例えばLF電波を受信する。送信部25は、例えばUHF電波を送信する。
【0019】
室外送信機18(室内送信機19)は、定期又は不定期のタイミングにおいて、電子キー2を起動させるためのウェイク信号SwkをLF送信する。電子キー2は、ウェイク信号Swkを受信すると、これを契機に起動して車両1にアック信号Sackを返信し、具体的な照合通信に入る。ID照合には、電子キーIDを認証する電子キーID照合と、暗号鍵を用いたチャレンジレスポンス認証とが含まれることが好ましい。電子キーID照合は、電子キー2に登録されている電子キーIDの正否を確認する認証である。チャレンジレスポンス認証は、送信の度に値が毎回変わるチャレンジコードを各々の暗号鍵によって双方で演算し、この演算により求まる互いのレスポンスコードの一致を確認する認証である。
【0020】
また、車両1に複数の電子キー2が登録されているときは、登録されている電子キー2を順に認証していく。すなわち、登録されている電子キー2について、例えばキー番号等を送信することによって順に呼び掛け(問い合わせ)をしていき、応答があった電子キー2について具体的なID照合が実行される。そして、前述の電子キーID照合やチャレンジレスポンス認証が成立すると、スマート照合が成立とされ、車両1の操作(車両ドアの施解錠操作やエンジン始動操作等)が許可又は実行される。
【0021】
本例の電子キーシステム3は、ID照合(スマート照合)の照合結果30をメモリ9に書き込む情報書込部31を備える。情報書込部31は、照合ECU4に設けられている。情報書込部31は、ID照合が完了すると、ID照合の照合結果30をメモリ9に書き込む。すなわち、情報書込部31は、ID照合が成立すれば、その旨の照合結果30(照合成立結果)をメモリ9に書き込み、ID照合が不成立であれば、その旨の照合結果30(照合不成立結果)をメモリ9に書き込む。メモリ9にID照合の照合結果30を書き込んでおけば、実際にID照合の通信を行わなくても、照合結果30を参照するだけでID照合の正否を判断することが可能となるので、処理のスループット向上に有利となる。照合結果30は、例えば「0」「1」の2値を組み合わせた数ビットのデータから構築されることが好ましい。
【0022】
本例の電子キーシステム3は、ID照合の照合結果30を通信マスタ14にメモリ9に書き込むにあたり、使用する電子キー2に応じた内容を書き込む照合結果書き替え機能を備える。本例の情報書込部31は、メモリ9に書き込まれる照合結果30を、使用する電子キー2に応じた書き込み内容にする。具体的には、情報書込部31は、第1電子キー2a及び第2電子キー2bのそれぞれに応じた照合結果30(30a,30b)をメモリ9に書き込む。
【0023】
次に、図2及び図3を用いて、電子キーシステム3の照合結果書き込み機能の動作を説明する。
図2に、ユーザが通常使用する位置付けの第1電子キー2aを使用して車両1を操作する例を想定する。なお、第1電子キー2aは、車両1の操作が全て許可されるマスターキーであることが好ましい。まず、前提として正規のユーザが車両1を使用する場合、車両1は、第1電子キー2aが使用可能な「通常作動モード」に入っているとする。通常作動モードは、車両1の使用が制限されておらず、自由に操作することができる状態をいう。すなわち、エンジン7の始動回数や、車両1の走行距離、車両1の使用時間に限りがなく、自由に車両1を操作できる。
【0024】
また、通常作動モード時、照合ECU4は、ID照合の照合結果として第1照合結果30a(例えばマスターキーの照合結果)のみ受け付ける状態をとる。すなわち、照合ECU4は、複数の作動モード(本例は通常作動モード、操作制限作動モード)に設定可能であり、いま設定下にある作動モードに基づく照合結果30のみ受け付ける。
【0025】
ここでは、照合ECU4のメモリ9と第1電子キー2aのメモリ26に、同じキー情報10,27が書き込み保存されているとする。すなわち、第1電子キー2aを車両1に登録する過程で、照合ECU4に第1キー情報10aが登録され、これと同じ情報群からなる第1キー情報27aが第1電子キー2aに登録されている。
【0026】
第1電子キー2aが室外送信機18又は室内送信機19の通信エリアに入ると、照合ECU4及び第1電子キー2aの間でID照合(スマート照合)が開始される。ここでは、例えば第1キー情報10a,27aの電子キーIDの正否を確認する電子キーID照合と、第1キー情報10a,27aの暗号鍵を用いたチャレンジレスポンス認証が実行される。電子キーID照合及びチャンレンジレスポンス認証の両方が成立すると、スマート照合が成立とされ、車両ドアの施解錠やエンジン始動が許可又は実行される。一方、電子キーID照合及びチャレンジレスポンス認証の少なくとも一方が成立しないと、スマート照合を不成立とし、車両1の操作を不可とする。
【0027】
ID照合(スマート照合)が完了すると、情報書込部31は、車両1の「通常作動モード」下において第1電子キー2aとの間で行われたID照合(スマート照合)の結果として、第1照合結果30aを照合ECU4のメモリ9に書き込み保存する。ID照合の第1照合結果30aを照合ECU4のメモリ9に書き込んでおくのは、例えばエンジン7を一度停止させて次に再始動するときに、第1照合結果30aを参照することにより、直ぐにエンジン7を始動できるようにするためである。
【0028】
情報書込部31は、ID照合(スマート照合)の第1照合結果30aを書き込むにあたり、ID照合が成立するとき、その旨を示す情報(照合成立結果)をメモリ9に書き込み、ID照合が不成立とき、その旨を示す情報(照合不成立結果)をメモリ9に書き込む。第1照合結果30aが例えば8ビットのデータ列から表現される場合、照合成立結果は「0110000」のビット列で表現し、照合不成立結果は例えば「01111100」のビット列で表現するとよい。
【0029】
ここで、ID照合(スマート照合)が成立していれば、照合ECU4のメモリ9には、第1照合結果30aとして照合成立結果が書き込まれる。これにより、例えば車内の第1電子キー2aとのスマート照合である車内スマート照合が成立したとき、エンジン7が一度停止された後、エンジン始動操作が行われた場合は、メモリ9の第1照合結果30aを参照することにより、直ちにエンジン7が始動に切り替わる。
【0030】
図3に、車両1を第三者等に貸し出すにあたり、サブキーの位置付けの第2電子キー2bを第三者に貸与する例を想定する。なお、車両1を第三者に貸与するときには、車両1を専用の「操作制限作動モード」に切り替えておく。車両操作制限モードは、車両1の使用が制限された状態であり、例えばエンジン7の始動回数や、車両1の走行距離、車両1の使用時間に限りがある状態をいう。また、車両操作制限モードへの車両1の切り替え方は、例えば車両1に配設されたスイッチ類を操作したり、電子キー2(第1電子キー2a、第2電子キー2bのどちらでも可)から遠隔操作したりするなど、種々の態様が採用可能である。以上のような態様の操作が実施されたとき、照合ECU4は、第2電子キー2bを使用する状況下に入るトリガStrを入力し、このトリガStrを基に、車両1の作動モードを操作制限作動モードに切り替える。
【0031】
また、この場合も、照合ECU4のメモリ9と第2電子キー2bのメモリ26に、同じキー情報10,27が書き込み保存されているとする。すなわち、第2電子キー2bを車両1に登録する過程で、照合ECU4に第2キー情報10bが登録され、これと同じ情報群からなる第2キー情報27bが第2電子キー2bに登録されている。
【0032】
第2電子キー2bが室外送信機18又は室内送信機19の通信エリアに入ると、照合ECU4及び第2電子キー2bの間でID照合(スマート照合)が開始される。ここでは、例えば第2キー情報10b,27bの電子キーIDの正否を確認する電子キーID照合と、第2キー情報10b,27bの暗号鍵を用いたチャレンジレスポンス認証が実行される。電子キーID照合及びチャンレンジレスポンス認証の両方が成立すると、スマート照合が成立とされ、これらの少なくとも一方が成立しないと、スマート照合を不成立とする。
【0033】
ID照合(スマート照合)が完了すると、情報書込部31は、車両1の「操作制限作動モード」下において第2電子キー2bとの間で行われたID照合(スマート照合)の結果として、第2照合結果30bを照合ECU4のメモリ9に書き込む。このとき、情報書込部31は、照合成立/不成立をメモリ9に保持するにあたり、第1電子キー2aのときとは異なる情報(データ列)で第2照合結果30bをメモリ9に書き込む。具体的には、ID照合が成立するとき、照合成立結果の第2照合結果30bとして、例えば「10011111」のビット列を書き込み、ID照合が成立しないとき、照合不成立結果の第2照合結果30bとして、例えば「01010101」のビット列を書き込む。
【0034】
ところで、第2電子キー2bを借りた第三者が、照合ECU4から照合成立の第2照合結果30bを不正に読み出して取得し、後日、車両1の盗難を試みることも想定される。しかし、通常作動モードに入っている車両1に対し、操作制限作動モード時に抜き取った第2照合結果30bを第1照合結果30aの代わりにしようとしても、第1照合結果30aが成立とならない。すなわち、照合ECU4の判断としてID照合(スマート照合)を成立と認識させずに済む。よって、車両盗難に対するセキュリティ性を確保することが可能となる。
【0035】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)ID照合(スマート照合)の照合結果30を照合ECU4のメモリ9に書き込むにあたり、照合時に使用したそれぞれの電子キー2(第1電子キー2a、第2電子キー2b)に応じた書き込み内容がメモリ9に書き込まれる。これにより、例えばサブキー位置付けの第2電子キー2bを第三者に貸与したとき、照合結果30を不正に読み取られたとしても、正規ユーザがマスターキー位置付けの第1電子キー2aを使用する状況下においては、読み取った照合結果30を適用することができない。よって、車両1の不正使用に対するセキュリティ性を確保することができる。
【0036】
(2)情報書込部31は、第1電子キー2a及び第2電子キー2bのそれぞれに応じた照合結果30をメモリ9に書き込む。よって、第1電子キー2a及び第2電子キー2bを使い分けることにより、車両1の不正使用に対するセキュリティ性を確保することができる。
【0037】
(3)照合ECU4は、複数の作動モード(本例は通常作動モード、操作制限作動モード)に設定可能であり、いま設定下にある作動モードに基づく照合結果30のみ受け付ける。よって、いま設定下にある作動モードに応じた適切な照合結果30のみ受け付けることができる。
【0038】
(4)照合ECU4は、第2電子キー2bが使用される状況下に入ることを認識できるトリガStrを入力すると、第2電子キー2bが使用可能な専用の操作制限作動モードに移行する。これにより、第2電子キー2bを第三者に貸与するときには、照合ECU4の作動モードを、第2電子キー2bが使用可能な専用のモードに移行しておくようにするので、通常時との切り分けが可能となる。よって、照合結果30の書き込みを電子キー2に応じて変えるにあたり、これを確実に行うのに有利となる。
【0039】
(5)通信マスタ14は車両1に設けられ、電子キー2は車両用のキーである。また、ID照合が成立したときは、車両1のエンジン7の始動が許可されるとともに、そのときに使用された電子キー2に応じた照合結果30がメモリ9に書き込まれる。よって、エンジン7を始動操作するとき、必要とする正しい照合結果30がメモリ9に書き込まれていないとエンジン7が始動しないので、車両盗難を防止するのに一層有利となる。
【0040】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1電子キー2aと第2電子キー2bは、互いに別々のキーであることに限らず、同じキーとしてもよい。
【0041】
・第2電子キー2b(バレーキー)は、例えばスマートキー(登録商標)からエマージェンシー用のメカニカルキーを取り外したキーでもよい。バレーキーは、車内に常時配備されたキーでもよい。
【0042】
・第2電子キー2bが車両1(キー保管部)にセットされていて、第2電子キー2bがキー保管部から取り外されると、車両1が自動で操作制限作動モードに切り替わる構成としてもよい。
【0043】
・照合結果30をメモリ9に保持しておく期間は、種々の態様に設定可能である。
・照合結果30は、例えばどの電子キー2で照合がOK又はNGとなったかの結果としてもよい。すなわち、電子キー2に関する情報を照合結果30に含ませてもよい。こうすれば、車両1の作動モードを切り替えずに済む。
【0044】
・照合結果30は、ID照合の成立/不成立を示す情報に限らず、ID照合の結果に関するものであれば種々の内容に変更可能である。
・照合結果30は、使用する電子キー2に応じて、書き込みのフォーマット自体を異ならせてもよい。
【0045】
・照合ECU4がとる作動モードは、通常作動モードや操作制限作動モードに限定されず、他のモードも採用可能である。また、作動モードも2種類に限らず、3種類以上設定してもよい。
【0046】
・電子キーシステム3は、キー操作フリーシステムやイモビライザーシステムに限定されず、他の通信形式を用いたシステムに変更してもよい。例としては、例えばNFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信システムがある。
【0047】
・電子キーシステム3で使用する通信形式や電波周波数は、種々の態様に変更可能である。
・電子キー2の本数は、2本に限らず、3本以上としてもよい。
【0048】
・電子キー2は、例えば高機能携帯電話等の他の端末に変更してもよい。
・通信マスタ14は、照合ECU4以外の他のコントローラに変更可能である。
・車両1は、エンジン車に限定されず、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車のいずれでもよい。
【0049】
・キー操作対象15は、車両1に限らず、他の機器や装置に変更してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0050】
(イ)前記電子キーシステムにおいて、前記通信マスタは、自身が通常作動モードに入っているとき、前記第1電子キーに基づく照合結果のみ受け付ける。この構成によれば、処理を精度よく行うのに有利となる。
【0051】
(ロ)前記電子キーシステムにおいて、照合結果は、ID照合が成立したか又は不成立であるかを示すデータ群からなる。この構成によれば、照合結果の書き込み内容が簡素で済む。
【符号の説明】
【0052】
1…キー操作対象の一例である車両、2…電子キー、2a…第1電子キー、2b…第2電子キー、3…電子キーシステム、4…通信マスタの一例である照合ECU、7…エンジン、9…メモリ、14…通信マスタ、15…キー操作対象、30…照合結果、30a…第1照合結果、30b…第2照合結果、31…情報書込部、Str…トリガ。
図1
図2
図3