(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1の炊飯器では、鍋の有無という条件が成立すれば、他の条件を考慮せずに蓋体が閉駆動又は開駆動することが可能になるため、ユーザが意図しないような不都合が生じることがある。
【0005】
本発明は、ユーザが意図しないような不都合の発生を防止でき、使用性が良好な調理器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調理器は、調理器本体と、調理器本体に取り付けられており、調理器本体の開口部を覆った閉位置と、調理器本体の開口部を開放した開位置との間を回転可能な蓋体と、蓋体を閉位置又は開位置に向けて回転駆動可能な駆動部と、駆動部を駆動させるための操作部と、操作部からの駆動信号の入力により駆動部を駆動させる制御部と、調理器の状態を検出するための1以上の検出部とを備えている。検出部による検出結果が予め定めた所定条件に合致する場合に、制御部は、操作部からの駆動信号を無効にする。
【0007】
ここで、検出部によって検出される「調理器の状態」とは、調理器の構成部品の位置や装着状態、及び調理器の動作状態を意味する。構成部品の位置によっては、その構成部品に蓋体が干渉することがある。また、構成部品が未装着状態の場合には、定めた通り調理を行うことができない。また、調理処理の実行中に蓋体が開放されても、定めた通り調理を行うことができない。
【0008】
これらのようなユーザが意図しない不都合の発生を防止するために、本発明の調理器では、ユーザが蓋体を回転駆動させるために操作部を操作しても、検出部による検出結果が予め定めた所定条件に合致する場合には、制御部は操作部からの駆動信号を無効にするようにしている。よって、ユーザが意図しないような不都合が生じることはないため、調理器の使用性を向上できる。
【0009】
1以上の検出部には、調理器本体に回転可能に取り付けられているハンドルの回転角度位置を検出する第1検出部が含まれていてもよい。この場合、第1検出部によって検出したハンドルの回転角度位置が、回転駆動される蓋体とハンドルとが干渉する蓋体の回転範囲に位置している場合に、制御部は、操作部からの駆動信号を無効にする。ここで、例えばユーザがハンドルを持って調理器を移動させている際に蓋体が開放すると、ユーザの手に蓋体が衝突する可能性がある。しかし、この態様によれば、蓋体とハンドルとが干渉する蓋体の回転範囲にハンドルが位置している場合には、蓋体が回転駆動しないため、このような不都合が生じることを防止できる。
【0010】
また、1以上の検出部には、蓋体の回転角度位置を検出する第2検出部が含まれていてもよい。この場合、第2検出部によって検出した蓋体の回転角度位置が、予め定めた所定角度位置よりも閉位置側に位置する場合に、制御部は、蓋体を閉位置に向けて回転させるための駆動信号を無効にする。ここで、蓋体が閉位置側に回転した状態、即ち蓋体が閉位置に近い回転角度位置から、蓋体を閉位置に向けて回転駆動させると、蓋体は直ぐに閉まる。この際、調理器本体の上にユーザが手を載せていると、調理器本体と蓋体の間に手が挟み込まれる可能性がある。しかし、この態様によれば、蓋体が所定角度位置よりも閉位置側に位置する場合には蓋体が回転駆動しないため、このような不都合が生じることを防止できる。
【0011】
また、1以上の検出部には、蓋体に対して取外可能な内蓋が装着されているか否かを検出する第3検出部が含まれていてもよい。この場合、第3検出部の検出結果が、内蓋の未装着を示している場合に、制御部は、蓋体を閉位置に向けて回転させるための駆動信号を無効にする。ここで、内蓋が装着されていない状態で調理が行われると、調理物に必要な熱を加えることができないため、料理の仕上がりが悪くなる可能性がある。しかし、この態様によれば、内蓋の未装着状態では蓋体が閉じず、調理を開始することはできないため、このような不都合が生じることを防止できる。
【0012】
また、制御部は、調理器本体に設けられている加熱部を制御して調理処理を実行することが可能であり、1以上の検出部には、鍋の温度を検出する第4検出部が含まれていてもよい。この場合、調理処理の実行中に第4検出部によって検出した検出温度が、予め定めた温度を越えている場合に、制御部は、蓋体を開位置に向けて回転させるための駆動信号を無効にする。ここで、調理処理の実行中には鍋が高温になり、この状態で蓋体が開放されると、調理物に必要な熱を加えることができないため、料理の仕上がりが悪くなる可能性がある。また、鍋内の水分が吹きこぼれる可能性がある。しかし、この態様によれば、調理処理中の鍋の検出温度が予め定めた温度を越えている場合には、蓋体を開位置に向けて回転駆動しないため、このような不都合が生じることを防止できる。
【0013】
また、1以上の検出部には、蓋体が閉位置に位置しているか否かを検出する第5検出部が含まれていてもよい。
この場合、第5検出部の検出結果が、蓋体が閉位置に位置しないこと示し、その検出結果が所定時間以上継続した場合に、制御部は、蓋体が閉位置に回転するように駆動部を駆動させることが好ましい。ここで、蓋体が長時間開放状態になっている場合、調理器本体内や蓋体の内面に埃等が付着する。また、調理器が保温処理の実行中の場合、料理の水分が過度に放出される。しかし、この態様によれば、蓋体が所定時間以上開放されている場合には、蓋体を閉位置に向けて回転駆動させるため、このような不都合が生じることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1及び
図2は、本実施形態に係る調理器の一例である炊飯器10を示す。この炊飯器10は、炊飯器本体14と、炊飯器本体14に回転可能に取り付けられている蓋体30とを備えている。炊飯器本体14には、蓋体30を回転駆動させるための駆動部として、駆動装置48が搭載されている。本実施形態では、蓋体30を閉じる又は開く操作をユーザが行っても、予め定めた条件に合致する場合には、蓋体30が回転駆動しないようにしている。
【0017】
(炊飯器の全体構成)
炊飯器本体14には、有底筒状の炊飯鍋12を取外可能に収容する収容部15が形成されている。この収容部15の底側外面には、炊飯鍋12を加熱する加熱部としてコイル20が配置されている。炊飯器本体14の背面側には、蓋体30を取り付けるためのヒンジ接続部17が形成されている。
【0018】
蓋体30は、ヒンジ接続部17の支軸18を中心として、
図1に実線で示す閉位置と、
図1に一点鎖線で示す開位置との間を回転可能である。蓋体30は、閉位置では収容部15の上端の開口部16を覆い、開位置では収容部15の開口部16を開放する。蓋体30には、内蓋38が取外可能に装着されている。この内蓋38は、収容部15に配置された炊飯鍋12の上端開口を開放可能に塞ぐものである。また、蓋体30には、炊飯鍋12内で発生した蒸気を外部へ排出するための排気通路(図示せず)が形成されている。
【0019】
この炊飯器10を使用する際にユーザは、希望量の飯米と、飯米量に応じて予め設定された量の水を、炊飯鍋12内に収容させる。この炊飯鍋12を収容部15内に配置して炊飯スイッチを操作すると、制御部であるマイコン45は、予め定めたプログラムに従って炊飯処理を実行する。この炊飯処理では、マイコン45は、温度センサ21の検出値に基づいてコイル20を制御する。これにより、コイル20によって炊飯鍋12が誘導加熱され、炊飯鍋12内で米飯が炊き上げられる。
【0020】
(蓋体の駆動機構の詳細)
本実施形態では、炊飯器10の使用性を向上するために、炊飯器本体14に対して蓋体30を自動開閉できるようにしている。具体的には、炊飯器本体14のヒンジ接続部17の下部には、蓋体30を回転駆動させるための駆動装置48が配置されている。また、蓋体30には、駆動装置48を駆動させるための操作部として、閉スイッチ51と開スイッチ52とが配置されている。さらに、炊飯器本体14には、炊飯器本体14に対する蓋体30の回転角度位置を検出するための蓋体用センサ49が配置されている。
【0021】
駆動装置48は、制御部としての機能を兼ねるマイコン45に電気的に接続されている。この駆動装置48は、正転及び逆転が可能な電動モータと、複数の歯車によって構成されている。駆動装置48は、支軸18を直接回転駆動することで、この支軸18を介して蓋体30を回転させる。マイコン45が駆動装置48の電動モータを正転させると、蓋体30は、炊飯器本体14に対して閉位置に向けて回転される。マイコン45が駆動装置48の電動モータを逆転させると、蓋体30は、炊飯器本体14に対して開位置に向けて回転される。以下では、駆動装置48が閉位置に向けて蓋体30を回転させる作動を閉駆動といい、駆動装置48が開位置に向けて蓋体30を回転させる作動を開駆動という。
【0022】
閉スイッチ51は、蓋体30を閉駆動させるための閉操作部であり、蓋体30の前側端部に配置されている。開スイッチ52は、蓋体30を開駆動させるための開操作部であり、蓋体30の開放操作部材31の下部に配置されている。
図1において開放操作部材31を下向きに操作すると、開スイッチ52が操作されるとともに、
図2に示すロック部材32が連動して回転される。また、ロック部材32の回転によって、ロック部材32と炊飯器本体14のロック穴19との係合が解除され、蓋体30が開位置に向けて回転可能になる。
【0023】
閉スイッチ51、及び開スイッチ52は、マイコン45に対して信号を送信可能に接続されている。これらのスイッチ51,52は、操作された状態ではオン信号を出力し、操作されない状態ではオン信号を出力しないものである。このようなスイッチ51,52としては、磁気スイッチやプッシュスイッチを用いることができる。閉スイッチ51がオン信号を出力すると、このオン信号が蓋体30の閉駆動信号としてマイコン45に入力される。開スイッチ52がオン信号を出力すると、このオン信号が蓋体30の開駆動信号としてマイコン45に入力される。なお、スイッチ51,52がオン信号を出力しない状態では、マイコン45にはオフ信号が入力される。
【0024】
蓋体用センサ49は角度センサであり、マイコン45に対して信号を送信可能に接続されている。この蓋体用センサ49としては、駆動装置48の電動モータとしてサーボモータを用いる場合には、サーボモータの回転軸の回転角度(回転数)を検出するエンコーダを用いることができる。また、他の電動モータを用いる場合には、ポテンショメータ等を用いることができる。マイコン45が内蔵している記憶部(メモリ)46には、駆動装置48の歯車のギア比に基づいた係数が予め記憶されている。マイコン45は、蓋体用センサ49から入力された回転角度と係数によって、蓋体30の回転角度、及び回転角度位置を特定できる。
【0025】
この炊飯器10では、蓋体30が開位置に位置する状態で、閉スイッチ51が操作されると、閉スイッチ51が閉駆動信号を出力する。すると、マイコン45は、蓋体30が閉駆動するように、駆動装置48に駆動電流を通電させる。これにより蓋体30は閉位置に向けて回転する。蓋体30の閉駆動中には、蓋体用センサ49は、蓋体30の回転角度を示す信号を出力する。そして、マイコン45は、入力された回転角度信号によって蓋体30が閉位置に至ったと判断すると、駆動装置48の閉駆動を停止させることで、蓋体30の回転を停止する。
【0026】
また、蓋体30が閉位置に位置する状態で、開スイッチ52が操作されると、開スイッチ52が開駆動信号を出力する。すると、マイコン45は、蓋体30が開位置に向けて回転駆動するように、駆動装置48に駆動電流を通電させる。これにより蓋体30は開位置に向けて回転する。閉駆動時と同様に、蓋体30の開駆動中には、蓋体用センサ49は、蓋体30の回転角度位置を示す信号を出力する。そして、マイコン45は、入力された回転角度信号によって、蓋体30が開位置に至ったと判断すると、駆動装置48の駆動を停止させることで、蓋体30の回転を停止する。
【0027】
(蓋体の回転駆動制御の詳細)
このようにした炊飯器10では、スイッチ51,52の操作により蓋体30を自動開閉することが可能なため、ユーザの利便性を向上できる。しかし、炊飯器10の構成部品の位置や装着状態、及び炊飯器10の動作状態等、炊飯器10の状態によっては、ユーザが意図しないような不都合が生じることがある。
【0028】
このような不都合が発生することを防止するために、本実施形態では複数の検出部を配置している。そして、これらによる検出結果のうち1つでも、予め定めた条件に合致する場合には、スイッチ51,52からの駆動信号を無効にするようにしている。ここで、スイッチ51,52からの駆動信号を無効にするとは、閉スイッチ51から閉駆動信号が入力されても、マイコン45は駆動装置48を閉駆動させず、開スイッチ52から開駆動信号が入力されても、マイコン45は駆動装置48を開駆動させないことを意味する。
【0029】
駆動装置48を駆動させない方法としては、例えばマイコン45の記憶部46に閉無効フラグfa又は開無効フラグfbを記憶する方法がある。即ち、マイコン45は、閉スイッチ51から閉駆動信号が入力された時に、閉無効フラグfaがオン状態(1)の場合には、閉駆動信号を無効にする。また、マイコン45は、開スイッチ52から開駆動信号が入力された時に、開無効フラグfbがオン状態(1)の場合には、開駆動信号を無効にする。一方、マイコン45は、スイッチ51,52から駆動信号が入力された時に、無効フラグfa,fbがオフ状態(0)の場合には、駆動装置48を駆動させる。
【0030】
(炊飯器の第1の状態:ハンドルの回転角度位置)
炊飯器本体14には、ユーザが炊飯器10を持ち運ぶ際に使用するハンドル24が取り付けられている。このハンドル24は、概ねU字形状で、一端が炊飯器本体14の一側に回転可能に支持され、他端が炊飯器本体14の他側に回転可能に支持されている。
【0031】
ハンドル24を持って炊飯器10を移動させる時以外では、ハンドル24の把持部25は、炊飯器本体14の背面側の載置部27に載せられる。この定常の姿勢では、蓋体30を回転させても、蓋体30がハンドル24に干渉することはない。一方、ハンドル24を持って炊飯器10を移動させる際には、
図3に示すように、ハンドル24は概ね鉛直方向に延びる角度位置に回転した姿勢になる。
図3に破線で示すように、この姿勢では、蓋体30の上方に位置する把持部25は、蓋体30の回転範囲に位置している。よって、蓋体30が開駆動すると、ユーザの手に蓋体30が衝突する。このような不都合が生じることを防止するために、ハンドル24が蓋体30の回転範囲に位置する場合には、蓋体30が開駆動しないようにしている。
【0032】
詳しくは、炊飯器10には、ハンドル24の回転角度位置を検出する第1検出部として、ハンドル用センサ54が炊飯器本体14内に配置されている。このハンドル用センサ54は、マイコン45に対して信号を送信可能に接続されている。ハンドル用センサ54は、ハンドル24の軸部26の回転角度(回転量)を検出し、その回転角度に相当する検出結果を出力する。このようなハンドル用センサ54としては、ポテンショメータ等を用いることができる。
【0033】
マイコン45は、ハンドル用センサ54から入力された信号によって、ハンドル24の回転角度位置D1を特定できる。また、マイコン45の記憶部46には、ハンドル24の許容回転角度範囲C1が第1の条件として記憶されている。この許容回転角度範囲C1は、例えばハンドル24の定常の姿勢の角度位置から、開位置の蓋体30にハンドル24が当接する回転角度位置までの範囲に定められている。
【0034】
マイコン45は、ハンドル24の回転角度位置が第1の条件に合致するか否かを判断する判断部の機能を兼ねる。詳しくは、マイコン45には、ハンドル24の回転角度位置D1の検出結果が予め設定された時間毎に入力される。するとマイコン45は、入力された回転角度位置D1と許容回転角度範囲C1を比較する。そして、回転角度位置D1が許容回転角度範囲C1外である場合にマイコン45は、第1の条件が合致すると判断し、記憶部46の無効フラグfa,fbをオン状態にする。一方、回転角度位置D1が許容回転角度範囲C1内である場合にマイコン45は、第1の条件が合致しないと判断し、記憶部46の無効フラグfa,fbをオフ状態にする。
【0035】
このようにした炊飯器10では、ハンドル24が許容回転角度範囲C1内に位置する場合、マイコン45は、スイッチ51,52から駆動信号が入力されると、蓋体30を回転駆動させる。一方、ハンドル24が許容回転角度範囲C1外に位置する場合、マイコン45は、スイッチ51,52から駆動信号が入力されても、その駆動信号を無効にする。よって、ハンドル24を持って炊飯器10を移動させる時に、ユーザが開放操作部材31を操作しても、蓋体30が開駆動することはない。そのため、ユーザの手に蓋体30が衝突するという不都合を防止できる。また、炊飯器10を台所に置いている状態でも、ハンドル24が許容回転角度範囲C1外に位置する場合には、蓋体30が回転駆動することはない。よって、ハンドル24に蓋体30が干渉することを防止できるため、ハンドル24や蓋体30が破損することを防止できる。
【0036】
(炊飯器の第2の状態:蓋体の回転角度位置)
駆動装置48によって蓋体30を閉じる時間は、閉駆動を開始する時の蓋体30の回転角度位置によって異なり、閉位置に近い位置からは短く、開位置に近い位置からは長くなる。よって、蓋体30が閉位置の近い位置にある状態で蓋体30を閉駆動すると、蓋体30は直ぐに閉まってしまう。この際、炊飯器本体14の上にユーザが手を載せていると、炊飯器本体14と蓋体30の間に手が挟み込まれる可能性がある。このような不都合が生じることを防止するために、蓋体30が上限角度位置C2aよりも閉位置側に位置する場合には、蓋体30が閉駆動しないようにしている。
【0037】
詳しくは、炊飯器10には、蓋体30の回転角度位置を検出するための第2検出部が設けられている。この第2検出部として、前述した蓋体用センサ49が兼用されている。勿論、蓋体用センサ49とは別に、専用の第2検出部を配置してもよい。
【0038】
マイコン45の記憶部46には、蓋体30の閉駆動禁止範囲C2が第2の条件として記憶されている。
図1に二点鎖線で示すように、この閉駆動禁止範囲C2は、上限角度位置C2aから閉位置までの範囲に定められている。上限角度位置C2aは、蓋体30が閉位置まで回転するのに要する駆動時間tによって定められている。この駆動時間tは、蓋体30の閉駆動を開始した後、炊飯器10からユーザが手を離すことが可能な長さ(例えば2秒)に設定されている。
【0039】
マイコン45は、蓋体30の回転角度位置が第2の条件に合致するか否かを判断する判断部の機能を兼ねる。詳しくは、マイコン45には、蓋体30を回転駆動していない状態でも、蓋体用センサ49から蓋体30の回転角度位置D2の検出結果が、予め設定された時間毎に入力される。するとマイコン45は、入力された回転角度位置D2と閉駆動禁止範囲C2を比較する。そして、回転角度位置D2が閉駆動禁止範囲C2内である場合にマイコン45は、第2の条件が合致すると判断し、記憶部46の閉無効フラグfaをオン状態にする。一方、回転角度位置D2が閉駆動禁止範囲C2外である場合にマイコン45は、第2の条件が合致しないと判断し、記憶部46の閉無効フラグfaをオフ状態にする。
【0040】
このようにした炊飯器10では、蓋体30が閉駆動禁止範囲C2外に位置する場合、マイコン45は、閉スイッチ51から閉駆動信号が入力されると、蓋体30を閉駆動させる。一方、蓋体30が閉駆動禁止範囲C2内に位置する場合、マイコン45は、閉スイッチ51から閉駆動信号が入力されても、その閉駆動信号の入力を無効にする。よって、この状態では蓋体30が閉駆動しないため、炊飯器本体14と蓋体30の間に手が挟み込まれるという不都合を防止できる。なお、このような状態の蓋体30を閉じる場合には、手で蓋体30を閉めるか、手で蓋体30を閉駆動禁止範囲C2外に回転させて、再び閉スイッチ51を操作する。
【0041】
(炊飯器の第3の状態:内蓋の装着状態)
炊飯器10では、内蓋38の未装着状態で炊飯処理が実行されると、炊飯鍋12内の熱及び蒸気が排気通路以外の部分から漏れてしまう。すると、炊飯に必要な熱を飯米に加えることができないため、米飯の炊き上がりが悪くなる可能性がある。このような不都合が生じることを防止するために、内蓋38が未装着の場合には、蓋体30が閉駆動しないようにしている。
【0042】
詳しくは、
図2に示すように、内蓋38は、樹脂製の枠体39を備えている。この枠体39には、一対の第1係止突起40,40と、1個の第2係止突起41とが設けられている。一方、蓋体30の炊飯器本体14側の面には、内蓋38を配置するための凹部33設けられている。凹部33には、ヒンジ接続部17側の内周面に、第1係止突起40を係止する一対の係止溝34,34が設けられている。また、凹部33における蓋体30の先端側には、第2係止突起41を離脱可能に係止する係止部材35が配置されている。
【0043】
係止部材35は、
図2において上下方向に移動可能に取り付けられている。この係止部材35を上向きに移動させることで、係止部材35と第2係止突起41との係止が解除される。これにより、蓋体30から内蓋38を取り外すことができる。また、係止部材35は、装着された内蓋38の第2係止突起41に係止するように、図示しないスプリングによって
図2において下向きに付勢されている。内蓋38の未装着状態で係止部材35は、第2係止突起41との係止位置を越えて、下側の非係止位置に移動する。よって、この係止部材35の位置を検出することで、内蓋38が装着状態であるか未装着状態であるかを検出できる。
【0044】
内蓋38の未装着状態を検出する第3検出部として、蓋体30内には内蓋用センサ56が配置されている。この内蓋用センサ56は、マイコン45に対して信号を送信可能に接続されている。内蓋用センサ56は、係止部材35が非係止位置に移動することでオン信号を出力し、係止部材35が係止位置に位置する状態ではオン信号を出力しないものである。なお、内蓋用センサ56がオン信号を出力しない状態では、マイコン45にはオフ信号が入力される。このような内蓋用センサ56としては、マイクロスイッチやフォトインタラプタ等を用いることができる。
【0045】
マイコン45は、内蓋38の装着状態が第3の条件に合致するか否かを判断する判断部の機能を兼ねる。詳しくは、マイコン45には、内蓋用センサ56による内蓋38の検出結果が予め設定された時間毎に入力される。そして、マイコン45は、内蓋用センサ56からオン信号が入力されている場合、第3の条件が合致すると判断し、記憶部46の閉無効フラグfaをオン状態にする。一方、マイコン45は、内蓋用センサ56からオフ信号が入力されている場合、第3の条件が合致しないと判断し、記憶部46の閉無効フラグfaをオフ状態にする。
【0046】
このようにした炊飯器10では、内蓋38の未装着状態で蓋体30が閉駆動しないため、ユーザは炊飯を開始することもできない。言い換えれば、内蓋38を装着しなければ、炊飯を開始できない。よって、飯米に対して炊飯に必要な熱を確実に加えることができるため、出来が悪い米飯が炊き上がるという不都合を未然に防止できる。
【0047】
(炊飯器の第4の状態:炊飯処理と鍋温度)
炊飯処理の実行中に蓋体30が開放されると、炊飯鍋12内の熱及び蒸気が排気通路以外の部分から漏れてしまう。すると、内蓋38が未装着の場合と同様に、炊飯に必要な熱を飯米に加えることができないため、米飯の炊き上がりが悪くなる可能性がある。また、炊飯鍋12が高温になった状態で蓋体30が開放されると、炊飯鍋12内の水分が吹きこぼれる可能性がある。このような不都合が生じることを防止するために、炊飯処理の実行中で、しかも炊飯鍋12が高温になると、蓋体30が開駆動しないようにしている。
【0048】
詳しくは、炊飯器10には、炊飯鍋12の温度を検出するための第4検出部が設けられている。この第4検出部として、前述した温度センサ21が兼用されている。勿論、温度センサ21とは別に、専用の第4検出部を収容部15に配置してもよい。
【0049】
マイコン45の記憶部46には、蓋体30の開駆動を禁止するための設定温度Pt(例えば70度)が第4の条件として記憶されている。また、マイコン45は、炊飯処理を実行する制御部の機能を兼ねるため、炊飯処理を実行中であるか否かを判断できる。
【0050】
マイコン45は、炊飯鍋12の温度が第4の条件に合致するか否かを判断する判断部の機能を兼ねる。詳しくは、マイコン45には、炊飯処理の実行中に、温度センサ21から炊飯鍋12の検出温度Dtが予め設定された時間毎に入力される。するとマイコン45は、入力された検出温度Dtと設定温度Ptを比較する。そして、検出温度Dtが設定温度Ptを越えた場合にマイコン45は、第4の条件が合致すると判断し、記憶部46の開無効フラグfbをオン状態にする。一方、検出温度Dtが設定温度Ptを越えていない場合にマイコン45は、第4の条件が合致しないと判断し、記憶部46の開無効フラグfbをオフ状態にする。
【0051】
このようにした炊飯器10では、炊飯処理の実行中に、炊飯鍋12の検出温度Dtが設定温度Ptを越えると、蓋体30を開駆動させることができない。そのため、飯米に対して炊飯に必要な熱を確実に加えることができるため、出来が悪い米飯が炊き上がるという不都合を未然に防止できる。また、炊飯鍋12内の水分が吹きこぼれるという不都合も確実に防止できる。
【0052】
(炊飯器の第5の状態:蓋体の開放時間)
炊飯器10では、炊飯処理の終了後に、炊飯鍋12内を所定温度に保温する保温処理が実行される。この保温処理中に蓋体30が長時間開放されると、保温中の米飯の水分が過度に放出されてしまい、食感が悪くなる。また、周囲の埃等が炊飯鍋12内や内蓋38に付着するため、衛生的に好ましくない。なお、埃の付着は、保温処理の実行中でなくても好ましくない。このような不都合が生じることを防止するために、蓋体30が長時間開放されている場合には、蓋体30を閉駆動するようにしている。
【0053】
詳しくは、炊飯器10には、蓋体30が閉位置に位置しているか否かを検出する第5検出部として、ロック部用センサ58が炊飯器本体14内に配置されている。このロック部用センサ58は、ロック部材32がロック穴19に係止しているか否かを検出する。ロック部材32がロック穴19に係止している状態は、蓋体30が閉位置に位置していることを示し、ロック部材32がロック穴19に係止していない状態は、蓋体30が閉位置に位置していないことを示す。ロック部用センサ58は、マイコン45に対して信号を送信可能に接続されている。ロック部用センサ58は、ロック部材32がロック穴19に係止している状態ではオン信号を出力せず、ロック部材32がロック穴19に係止していない状態ではオン信号を出力するものである。なお、ロック部用センサ58がオン信号を出力しない状態では、マイコン45にはオフ信号が入力される。このような内蓋用センサ56としては、マイクロスイッチやフォトインタラプタ等を用いることができる。なお、この第5検出部は、蓋体用センサ49が兼ねるようにしてもよい。
【0054】
マイコン45は、蓋体30の状態が第5の条件に合致するか否かを判断する判断部の機能を兼ねる。詳しくは、マイコン45には、ロック部用センサ58による蓋体30の検出結果が予め設定された時間毎に入力されている。そして、マイコン45は、ロック部用センサ58からオン信号が入力されている場合、蓋体30が閉位置に位置せず、開放されていると判断する。この判断が予め定めた設定時間(例えば300秒)継続した場合、マイコン45は、第5の条件が合致すると判断し、蓋体30を閉駆動させる。一方、マイコン45は、ロック部用センサ58からオフ信号が入力されている場合、第5の条件が合致しないと判断し、蓋体30の閉駆動は行わない。
【0055】
このようにした炊飯器10では、蓋体30が所定時間以上開放されている場合には、蓋体30が自動で閉じる。よって、保温処理の実行中の場合、米飯から水分が放出されて食感が悪くなることを防止できる。また、周囲の埃等が炊飯鍋12内や内蓋38に付着することを防止できる。さらに、保温処理中でなくでも、蓋体30が所定時間以上開放されている場合には、蓋体30が自動で閉じるため、埃の付着を防止できる。
【0056】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0057】
例えば、炊飯器10は、ハンドル24の回転角度位置、蓋体30の回転角度位置、内蓋38の装着状態、及び炊飯鍋12の温度のうち、いずれか1つだけを条件として、スイッチ51,52からの駆動信号を無効にしてもよい。また、これら以外の状態でも、スイッチ51,52からの駆動信号を無効にするようにしてもよい。
【0058】
例えば、排気通路の出口に着脱可能な蒸気口セットを備える場合、蒸気口セットの未装着を検出部によって検出可能とする。そして、マイコン45は、検出部から蒸気口セットの未装着を示す信号を受信すると、開スイッチ52からの開駆動信号を無効にする。このようにすれば、蒸気口セットの取付部に溜まった水が、蓋体30の開放により垂れ落ちることを防止できる。また、マイコン45は、炊飯鍋12の温度に拘わらず、炊飯処理中には開スイッチ52からの開駆動信号を無効にしてもよい。
【0059】
また、蓋体30が所定時間以上開放されている状態以外でも、スイッチ51,52から駆動信号の入力が無くても、蓋体30を回転駆動させてもよい。例えば、炊飯器10の周囲にユーザがいないことを検出すると、蓋体30が自動で閉じるようにしてもよい。詳しくは、周囲の明るさを検出するセンサを炊飯器10に搭載する。マイコン45は、センサによって定められた明るさより暗くなったことを検出し、この状態が前述した第5の条件(例えば300秒)よりも短い設定時間継続すると、開放状態の蓋体30を閉駆動させる。このようにすれば、時間(第5の条件)だけで判断する場合よりも、蓋体30を早く閉じることができるため、保温中の米飯の食感が悪くなることを防止できるとともに、衛生状態を保つことができる。
【0060】
また、駆動装置48を駆動させるための操作部も種々の変更が可能である。例えば、閉スイッチ51と閉スイッチ51とは、1つのスイッチで構成してもよい。また、閉スイッチ51と閉スイッチ51とは、炊飯器10とは別体のリモコンに設けてもよい。また、予め定めた言葉を音声認識させることで、蓋体30が回転駆動するようにしてもよい。また、閉スイッチ51と閉スイッチ51には、幼い子どもが操作できないようにチャイルドロック機能を設けてもよい。また、炊飯器10には、特定のユーザしか操作できないように、指紋認証機能を設けてもよい。炊飯器10に加わる振動(衝撃)を検出可能とし、保温処理中にしゃもじ又はお椀等で机をノックすると、蓋体30が自動で開くようにしてもよい。また、蓋体30の回転駆動中には、音又は光による報知を行うようにしてもよい。
【0061】
また、前記実施形態では、本発明の調理器として炊飯器を例に挙げて説明したが、検出部による検出結果が予め定めた所定条件に合致する場合に、操作部からの駆動信号を無効にするという構成は、所定の食材を調理する加熱調理器にも適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。