(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抜型工程において、前記中子型の荷重以上の張力で前記中子型を上方向に引っ張りながら、前記枠を水平方向に回転させることで、前記中子から前記中子型を前記上方向に抜型することを特徴とする請求項2に記載の中子造型方法。
前記硬化工程において、前記枠から溢れる量の前記自硬性砂を前記枠内に投入した後に、前記枠内に配置された前記中子型の上端面に下端が接する除去装置で前記枠から溢れた前記自硬性砂を除去することで、前記枠内の前記自硬性砂の上端面を平坦化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中子造型方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
[第1実施形態]
(中子造型方法)
本発明の第1実施形態による中子造型方法は、例えば、スクリュ圧縮機の雄ロータや雌ロータのような、ねじれ形状を有する製品の鋳造に必要な複雑形状の中子(砂型)を、中子型を用いて造型する方法である。この中子造型方法は、硬化工程と、抜型工程と、を有している。
【0014】
(硬化工程)
硬化工程は、ねじれ形状を有する木製または金属製、あるいは樹脂製の中子型を枠内に配置した後に、砂と樹脂と硬化剤とを混練してなる自硬性砂を枠内に詰めて硬化させる工程である。
【0015】
本実施形態においては、上方が開放する枠内に中子型を上下方向に沿って配置する。そして、自硬性砂を枠の上から枠内に詰めて硬化させる。
【0016】
自硬性砂に用いる砂は、形状が多角形状または球状で、粒度がAFS130以下の新砂または再生砂である。また、粘結剤として自硬性砂に用いる樹脂は、フルフリルアルコールを含有する酸硬化性のフラン樹脂であって、砂に対する添加量は0.8%である。また、硬化触媒として自硬性砂に用いる硬化剤は、キシレンスルホン酸系硬化剤および硫酸系硬化剤を混合した、フラン樹脂用の硬化剤であって、フラン樹脂に対する添加量は40%である。このような砂や樹脂、硬化剤を自硬性砂に用いることで、中子を好適に造型することができる。
【0017】
砂と樹脂と硬化剤との混練としては、まず、砂と硬化剤とを混練し、その後、樹脂を加えてさらに混練することが好ましい。混練には、汎用の家庭用ミキサーを好適に用いることができる。家庭用ミキサーで、砂と硬化剤とを45秒混練し、その後、樹脂を加えてさらに45秒混練することで、自硬性砂とする。この自硬性砂を、中子型が上下方向に沿って内部に配置された木製または金属製、あるいは樹脂製の枠内に上から詰める。このとき、自硬性砂を加振しながら、中子型の軸方向に沿って自硬性砂を枠内に詰める。樹脂と硬化剤とが不可逆的な脱水縮合反応を起こすことで、時間の経過に伴って自硬性砂が硬化・収縮する。
【0018】
(抜型工程)
抜型工程は、中子型の軸を中心に中子型と枠とを相対回転させながら、自硬性砂が硬化してなる中子から中子型を抜型する工程である。所定の硬化時間が経過した後に、中子型の軸を中心に中子型と枠とを相対回転させることで、中子から中子型を上下方向に抜型する。ここで、硬化時間は、砂と樹脂と硬化剤との混練終了からの経過時間である。
【0019】
本実施形態においては、中子型が回転しないように固定しておき、枠を水平方向に回転させる。また、中子型の荷重以上の張力で中子型を上方向に引っ張りながら、枠を水平方向に回転させる。枠を水平方向に回転させることで、スクリュ形状の中子型は、中子から上下方向に沿って抜け出す。このとき、中子型が上方向に抜け出るように、枠の回転方向を設定することで、中子型は中子から上方向に抜型する。
【0020】
(中子造型装置)
本発明の第1実施形態による中子造型装置は、上述した中子造型方法を行うものである。中子造型装置1は、側面図である
図1に示すように、上方が開放した木製または金属製、あるいは樹脂製の枠2を有している。枠2は、枠台3上に載置される。枠2の内部には、スクリュ形状の中子型4が上下方向に沿って配置される。中子型4の軸4aは、軸保持具5により回転不能に保持される。枠2の内部には、砂と樹脂と硬化剤とを混練してなる自硬性砂が上から詰められる。
【0021】
枠台3は、枠2に対して水平方向に進退可能な側板3aを、枠2の4つの側面の各々に対して備えている。枠台3上に載置された枠2の4つの側面に側板3aをそれぞれ当接させることで、枠2が枠台3上に固定される。このとき、枠2の中心軸が、後述するモータ7の中心軸と一致するように、枠2が枠台3上に固定される。
【0022】
中子型4の軸4aを保持する軸保持具5は、上下方向に沿って架台11の側面に敷設されたレール12に沿って上下方向に移動可能にされている。
【0023】
また、中子造型装置1は、中子型4の軸を中心に中子型4と枠2とを相対回転させる回転駆動装置6を有している。回転駆動装置6は、モータ7と、電源8と、インバータ9とを備えている。モータ7は、モータ固定具10を介して架台11に固定されている。
【0024】
モータ7は、インバータ9を介して電源8に電気的に接続されている。モータ7の回転速度は、インバータ9により調整される。
【0025】
また、中子造型装置1は、引張装置13を有している。この引張装置13は、軸保持具5に接続されているワイヤ14を引っ張って巻き取るものである。引張装置13は、中子型4の荷重以上の張力で軸保持具5、ひいては、中子型4を上方向に引っ張る。より具体的には、引張装置13は、中子型4と軸保持具5とワイヤ14の合計荷重と同等または同等以上の張力で軸保持具5を上方向に引っ張る。本実施形態において、引張装置13はバランサーである。
【0026】
モータ7は、枠台3を水平方向に回転させる。これにより、枠台3上に固定された枠2が水平方向に回転する。ここで、中子型4が中子15から上方向に抜け出るように、枠2の回転方向が設定されている。
【0027】
ここで、枠2の側面図である
図2に示すように、枠2の底板2aには、中子型4の円柱状の軸4aが嵌る円柱状の凹部2bが設けられている。中子型4の軸4aと、底板2aの凹部2bとは、中子型4の中心軸と枠2の中心軸とを一致させる調整機構を構成している。枠2の内部に中子型4を配置する際に、凹部2bに中子型4の軸4aを嵌めることで、中子型4の中心軸と枠2の中心軸とが一致する。よって、枠2を水平方向に回転させる際に、中子型4の中心軸と、枠2の中心軸と、モータ7の中心軸とが一致する。
【0028】
なお、枠2の側面図である
図3に示すように、中子型4の軸4aの端が円錐状である場合には、枠2の底板2aに円錐状の凹部2cを設けて、嵌め合うようにしてもよい。
【0029】
このような構成において、
図1に示すように、まず、上方が開放した枠2を枠台3上に載置し、枠2の側面に側板3aを当接させることで、枠2を枠台3上に固定する。このとき、枠2の中心軸を、モータ7の中心軸と一致させる。
【0030】
次に、枠2の内部に中子型4を上下方向に沿って配置し、中子型4の軸4aを軸保持具5で保持する。このとき、凹部2bに中子型4の軸4aを嵌めることで、中子型4の中心軸と枠2の中心軸とを一致させる。これにより、中子型4の中心軸とモータ7の中心軸とが一致するので、モータ7で枠2を回転させた際に、中子15と中子型4との間に生じる摩擦力の摩擦係数を最小とすることができる。これにより、中子15を安定して回転させることができるので、内部破損のない、形状のばらつきの小さい中子15を造型することができる。
【0031】
次に、枠2の上方から枠2の内部に自硬性砂を投入する。そして、枠2の各側面をハンマーで叩いて自硬性砂を加振しながら自硬性砂を中子型4の軸方向に沿って枠2内に詰める。
【0032】
所定の硬化時間が経過した後に、モータ7で枠台3を水平方向に回転させることで、枠2を水平方向に回転させる。枠2の回転は、引張装置13で軸保持具5を中子型4の荷重以上の張力で上方向に引っ張りながら行う。中子型4が回転しないようにしながら枠2を回転させることで、スクリュ形状の中子型4は、中子15から上下方向に沿って抜け出してくる。ここで、中子型4が上方向に抜け出るように、枠2の回転方向が設定されている。よって、中子型4は中子15から上方向に抜型していく。抜型中に、軸保持具5はレール12に沿って上方向に移動し、ワイヤ14は引張装置13に巻き取られていく。このようにして、中子型4が中子15から完全に抜型すると、中子型4は軸保持具5で吊られた状態で中子15の上方で停止する。
【0033】
このように、枠2内に中子型4を上下方向に沿って配置しておき、枠2の上から枠2内に自硬性砂を詰めて硬化させる。そして、自硬性砂が硬化してなる中子15から中子型4を上下方向に抜型する。上下方向に沿って配置した中子型4を上下方向に抜型するので、枠2の姿勢を変える必要がない。よって、予め中子型4に対してモータ7の軸合わせをしておくことができる。これにより、作業性を向上させることができる。また、枠2の上から枠2内に自硬性砂を詰めるので、ねじれ形状を有する中子型4の谷部に自硬性砂を十分に充填することができる。これにより、形状の良好な中子15を造型することができる。
【0034】
また、枠2を水平方向に回転させることで、中子15から中子型4を上下方向に抜型する。中子型4を水平方向に回転させる場合、中子15に対して中子型4が上下方向に移動するため、中子型4を回転させるモータを上下方向に移動させる必要があり、モータを移動させる機構やモータを退避させるスペースが必要となり、装置が複雑化・大型化する。そこで、枠2を水平方向に回転させることで、枠2を上下方向に移動させることなく、中子15から中子型4を抜型することができる。これにより、モータ7を移動させる機構やモータ7を退避させるスペースが不要となるので、装置を単純化・小型化することができる。
【0035】
また、中子型4の荷重以上の張力で中子型4を上方向に引っ張りながら、中子15から中子型4を上方向に抜型する。これにより、中子型4の抜型中や抜型後に中子型4が下方向に移動しないので、中子型4の荷重が中子15に作用して中子15が軸方向に変形するのを防止することができる。
【0036】
また、枠2内に中子型4を配置する際に、中子型4の中心軸と枠2の中心軸とを一致させることで、中子型4と枠2とを相対回転させる際に、中子型4の中心軸と、枠2の中心軸と、モータ7の中心軸とを一致させることができる。
【0037】
(変形例)
なお、引張装置13により、中子型4の荷重以上の張力で中子型4を上方向に引っ張る構成に限定されない。側面図である
図4に示すように、中子造型装置201は、中子型4の軸4aにワイヤ22で接続された錘21を有し、錘21による張力が中子型4の軸4aに作用するように、滑車23,24でワイヤ22を支持する構成であってもよい。錘21の張力は、中子型4とワイヤ22との合計荷重と同等または同等以上である。このような構成であっても、中子型4の抜型中や抜型後に中子型4が下方向に移動しないようにすることができる。
【0038】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る中子造型方法および中子造型装置によると、枠2内に中子型4を上下方向に沿って配置しておき、枠2の上から枠2内に自硬性砂を詰めて硬化させる。そして、自硬性砂が硬化してなる中子15から中子型4を上下方向に抜型する。上下方向に沿って配置した中子型4を上下方向に抜型するので、枠2の姿勢を変える必要がない。よって、予め中子型4に対してモータ7の軸合わせをしておくことができる。これにより、作業性を向上させることができる。また、枠2の上から枠2内に自硬性砂を詰めるので、ねじれ形状を有する中子型4の谷部に自硬性砂を十分に充填することができる。これにより、形状の良好な中子15を造型することができる。
【0039】
また、枠2を水平方向に回転させることで、中子15から中子型4を上下方向に抜型する。中子型4を水平方向に回転させる場合、中子15に対して中子型4が上下方向に移動するため、中子型4を回転させるモータを上下方向に移動させる必要があり、モータを移動させる機構やモータを退避させるスペースが必要となり、装置が複雑化・大型化する。そこで、枠2を水平方向に回転させることで、枠2を上下方向に移動させることなく、中子15から中子型4を抜型することができる。これにより、モータ7を移動させる機構やモータ7を退避させるスペースが不要となるので、装置を単純化・小型化することができる。
【0040】
また、中子型4の荷重以上の張力で中子型4を上方向に引っ張りながら、中子15から中子型4を上方向に抜型する。これにより、中子型4の抜型中や抜型後に中子型4が下方向に移動しないので、中子型4の荷重が中子15に作用して中子15が軸方向に変形するのを防止することができる。
【0041】
また、枠2内に中子型4を配置する際に、中子型4の中心軸と枠2の中心軸とを一致させることで、中子型4と枠2とを相対回転させる際に、中子型4の中心軸と、枠2の中心軸と、モータ7の中心軸とを一致させることができる。
【0042】
[第2実施形態]
(中子造型方法)
次に、本発明の第2実施形態に係る中子造型方法について説明する。なお、上述した構成要素と同じ構成要素については、同じ参照番号を付してその説明を省略する。本実施形態の中子造型方法が第1実施形態の中子造型方法と異なる点は、硬化工程において、枠から溢れる量の自硬性砂を枠内に投入した後に、枠から溢れた自硬性砂を除去することで、枠内の自硬性砂の上端面を平坦化する点である。
【0043】
(硬化工程)
自硬性砂を枠の上から枠内に詰めた場合、自硬性砂のかさ密度などの変化により、枠内の自硬性砂に不足が生じる場合がある。そこで、硬化工程では、枠から溢れる量の自硬性砂を枠内に投入する。これにより、自硬性砂が不足することはなくなるが、枠から溢れた自硬性砂がそのまま硬化すると、中子の上端面が平坦にならず、中子を主型に設置するときに形状誤差が生じる恐れがある。そこで、抜型工程を行う前に、枠から溢れた自硬性砂を除去することで、枠内の自硬性砂の上端面を平坦化する。これにより、中子の上端面を精度よく形成することができる。
【0044】
なお、事前に自硬性砂の適切な投入量を把握しておき、その量を計測して枠内に投入することが考えられる。しかし、自硬性砂のかさ密度などの変化により不要部分や不足が生じるリスクがある。そこで、枠から溢れるだけの、十分な量の自硬性砂を枠内に投入した後に、枠から溢れた自硬性砂を除去する方が合理的である。
【0045】
不要な自硬性砂の除去は、抜型工程を行う前であれば、自硬性砂の硬化中に行ってもよいし、自硬性砂の硬化後に行ってもよい。中子型の抜型後に、中子の上端面を養生しようとすると、中子型を抜いた後の穴周りなど、局所的に肉厚が薄くなっている部分が損傷しやすい。そのために、中子型を抜く前に、枠内の自硬性砂の上端面を平坦化する。また、わずかな外力で損傷しないように、自硬性砂にある程度の強度が発現してから、枠内の自硬性砂の上端面を平坦化するのが好ましい。
【0046】
不要な自硬性砂の除去は、枠内に配置された中子型の上端面に下端が接する除去装置で行う。中子型の軸を中心に除去装置を回転させることで、除去装置が有するへら状の部材で枠から溢れた自硬性砂を削り取る。
【0047】
(中子造型装置)
第2実施形態による中子造型装置は、上述した中子造型方法を行うものである。中子造型装置301は、側面図である
図5に示すように、除去装置31を有している。枠2内には、枠2から溢れる量の自硬性砂が投入される。
【0048】
除去装置31は、中子型4の軸4aに取り付けられている。除去装置31は、中子型4の軸4aを中心に回転可能である。
【0049】
除去装置31の側面図である
図6A、および、除去装置31の上面図である
図6Bに示すように、除去装置31は、中子型4の軸4aが内部を挿通される筒状の筒部材31aと、筒部材31aの外周面に取り付けられたへら状の除去部材31bとを有している。筒部材31aの内径は、中子型4の軸4aの外径よりも大きくされている。除去部材31bは、除去装置31が回転された際に、枠2から溢れた自硬性砂を削り取る。除去部材31bは、筒部材31aの周方向に180度の間隔で2つ設けられている。除去部材31bの長さは、枠2の内側に除去部材31bの端が位置する長さにされている。
【0050】
なお、除去装置31の上面図である
図7に示すように、除去部材31bは1つであってもよい。また、除去装置31の上面図である
図8に示すように、除去部材31bは、筒部材31aの周方向に例えば120度の間隔で3つ設けられていてもよい。もちろん、4つ以上設けられていてもよい。
【0051】
図6AをA方向から見た側面図である
図9Aに示すように、除去部材31bの厚みは、上端から下端にわたって一様である。なお、
図6AをA方向から見た側面図である
図9Bに示すように、除去部材31bの厚みは、上端から下端にかけて漸減していてもよい。このように、下端側の厚みを薄くすることで、自硬性砂を削り取る能力を向上させることができる。また、
図6AをA方向から見た側面図である
図9Cに示すように、除去部材31bは、下端部が回転方向(矢印方向)とは反対側に傾斜されていたり、湾曲されていたりしてもよい。このようにすることでも、自硬性砂を削り取る能力を向上させることができる。
【0052】
図5に実線で示すように、除去装置31は、自硬性砂の投入時に、投入の邪魔にならないように枠2の上方に退避される。自硬性砂の投入後は、
図5に破線で示すように、除去装置31の下端が中子型4の上端面に接するように配置される。そして、除去装置31が手動で回転されることで、枠2から溢れた自硬性砂が除去部材31bで削り落とされる。なお、除去装置31は、自硬性砂の投入時に中子型4の軸4aから取り外され、自硬性砂の投入後に中子型4の軸4aに取り付けられる構成であってもよい。
【0053】
自硬性砂を枠2の上から枠2内に詰めた場合、自硬性砂のかさ密度などの変化により、枠2内の自硬性砂に不足が生じる場合がある。そこで、本実施形態では、枠2から溢れる量の自硬性砂を枠2内に投入する。これにより、自硬性砂が不足することはなくなるが、枠2から溢れた自硬性砂がそのまま硬化すると、中子15の上端面が平坦にならず、中子15を主型に設置するときに形状誤差が生じる恐れがある。そこで、中子型4を抜型する前に、枠2から溢れた自硬性砂を除去することで、枠2内の自硬性砂の上端面を平坦化する。これにより、中子15の上端面を精度よく形成することができる。
【0054】
また、中子型4の軸4aを中心に除去装置31を回転させることで、除去装置31が有する除去部材31bで枠2から溢れた自硬性砂を削り取る。これにより、枠2内の自硬性砂の上端面を好適に平坦化することができる。
【0055】
なお、除去装置31の側面図である
図10に示すように、除去装置31は、へら状の除去部材31bの代わりに、ブラシ31cを有していてもよい。ブラシ31cの複数の毛で枠2から溢れた自硬性砂を削り取ることで、枠2内の自硬性砂の上端面を好適に平坦化することができる。また、ブラシ31cであれば、枠2内の自硬性砂への負荷を低減させることができる。
【0056】
また、除去装置31の側面図である
図11A、および、除去装置31の上面図である
図11Bに示すように、除去装置31は、円盤状の板部材31dを有し、板部材31dに複数の切欠き部が形成されていてもよい。切欠き部は、板部材31dから切り欠かれて先端が下方に位置するように折り曲げられている。そのため、切欠き部が形成された個所では、板部材31dに穴が開いている。切欠き部で削り取られた自硬性砂は、穴を通って板部材31dの上面に移動し、板部材31dの上から手動で除去されることになる。このような構成であっても、枠2内の自硬性砂の上端面を好適に平坦化することができる。なお、板部材31dは円盤状に限定されず、扇状であってもよい。
【0057】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る中子造型方法および中子造型装置によると、枠2から溢れる量の自硬性砂を枠2内に投入した後に、枠2内に配置された中子型4の上端面に下端が接する除去装置31で枠2から溢れた自硬性砂を除去することで、枠2内の自硬性砂の上端面を平坦化する。自硬性砂を枠2の上から枠2内に詰めた場合、自硬性砂のかさ密度などの変化により、枠2内の自硬性砂に不足が生じる場合がある。そこで、枠2から溢れる量の自硬性砂を枠2内に投入する。これにより、自硬性砂が不足することはなくなるが、枠2から溢れた自硬性砂がそのまま硬化すると、中子15の上端面が平坦にならず、中子15を主型に設置するときに形状誤差が生じる恐れがある。そこで、中子型4を抜型する前に、枠2から溢れた自硬性砂を除去することで、枠2内の自硬性砂の上端面を平坦化する。これにより、中子15の上端面を精度よく形成することができる。
【0058】
また、中子型4の軸4aを中心に除去装置31を回転させることで、除去装置31が有するへら状の除去部材31bで枠2から溢れた自硬性砂を削り取る。これにより、枠2内の自硬性砂の上端面を好適に平坦化することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。