特許第6616250号(P6616250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616250
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】ウェビング巻取装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20191125BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   B60R22/46 142
   B01J7/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-122764(P2016-122764)
(22)【出願日】2016年6月21日
(65)【公開番号】特開2017-226281(P2017-226281A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2018年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 雅徳
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−024102(JP,A)
【文献】 特開2013−173400(JP,A)
【文献】 特開2011−063177(JP,A)
【文献】 特開2003−104168(JP,A)
【文献】 特開平11−263195(JP,A)
【文献】 特開平08−253089(JP,A)
【文献】 特開2001−021293(JP,A)
【文献】 特開2012−206611(JP,A)
【文献】 特開平02−164408(JP,A)
【文献】 特開2005−199730(JP,A)
【文献】 実開平07−018093(JP,U)
【文献】 特開平11−301406(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0052302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/46
B60R 22/195
B60R 21/217
B60R 21/264
A62B 99/00
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取方向へ回転されることで乗員に装着されるウェビングが巻取られるスプールと、
作動されることでガスを発生させるガス発生装置と、該ガス発生装置が挿入される筒状に形成され、前記ガス発生装置側が開放された窪み部及び該窪み部に沿って形成されていると共に前記ガス発生装置側へ向けて凸状に形成され前記ガス発生装置の一部が係止される凸状部を備えたガス発生装置取付部と、を有し、車両の緊急時に前記ガス発生装置が作動されることで前記スプールを巻取方向へ回転させるプリテンショナ機構と、
を備えたウェビング巻取装置。
【請求項2】
請求項1記載のウェビング巻取装置の製造方法であって、
筒状に形成されたパイプを支持するダイスと、前記ガス発生装置の外観形状と対応する形状に形成された第1パンチと、前記窪み部と対応する形状に形成された部分を有する第2パンチと、を用い、
前記パイプを前記ダイスにセットして、前記パイプを前記ダイスと前記第1パンチとの間で挟込むことで、前記ガス発生装置が挿入可能な部分を前記パイプに形成し、
前記パイプにおいて前記ガス発生装置が挿入可能とされた部分に第2パンチを挿入することで、前記窪み部及び前記凸状部を有する前記ガス発生装置取付部を前記パイプに形成し、
前記ガス発生装置を前記ガス発生装置取付部に挿入して、前記ガス発生装置を前記ガス発生装置取付部に固定するウェビング巻取装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェビング巻取装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、乗員に装着されるウェビングが巻取られるスプールと、車両の緊急時にウェビングの弛みを取除くプリテンショナと、を備えたウェビング巻取装置が開示されている。また、プリテンショナは、作動されることでガスを発生させるガスジェネレータと、ガスジェネレータが発生したガスが内部に供給されるパイプと、パイプ内に配置された駆動力伝達部材と、を含んで構成されている。そして、ガスジェネレータが発生したガスがパイプ内に供給されて、駆動力伝達部材が移動されることで、スプールを巻取方向へ回転させることが可能となっている。
【0003】
ところで、ガスジェネレータには、車両側に設けられた配線が接続される。そのため、ガスジェネレータをパイプに取付ける際に、ガスジェネレータのパイプに対する変位の規制がなされていることが望ましい。そこで、下記特許文献1に記載されたウェビング巻取装置では、ガスジェネレータの一部が、パイプに設けられた一対の突起によって変形されながら当該パイプに圧入されることで、ガスジェネレータのパイプに対する変位の規制がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−35748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ガス発生装置のガス発生装置取付部に対する変位を規制できるウェビング巻取装置及びその製造方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のウェビング巻取装置は、巻取方向へ回転されることで乗員に装着されるウェビングが巻取られるスプールと、作動されることでガスを発生させるガス発生装置と、該ガス発生装置が挿入される筒状に形成され、前記ガス発生装置側が開放された窪み部及び該窪み部に沿って形成されていると共に前記ガス発生装置側へ向けて凸状に形成され前記ガス発生装置の一部が係止される凸状部を備えたガス発生装置取付部と、を有し、車両の緊急時に前記ガス発生装置が作動されることで前記スプールを巻取方向へ回転させるプリテンショナ機構と、を備えている。
【0007】
請求項2記載のウェビング巻取装置の製造方法は、請求項1記載のウェビング巻取装置の製造に適用される。このウェビング巻取装置の製造方法は、筒状に形成されたパイプを支持するダイスと、前記ガス発生装置の外観形状と対応する形状に形成された第1パンチと、前記窪み部と対応する形状に形成された部分を有する第2パンチと、を用い、前記パイプを前記ダイスにセットして、前記パイプを前記ダイスと前記第1パンチとの間で挟込むことで、前記ガス発生装置が挿入可能な部分を前記パイプに形成し、前記パイプにおいて前記ガス発生装置が挿入可能とされた部分に第2パンチを挿入することで、前記窪み部及び前記凸状部を有する前記ガス発生装置取付部を前記パイプに形成し、前記ガス発生装置を前記ガス発生装置取付部に挿入して、前記ガス発生装置を前記ガス発生装置取付部に固定する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のウェビング巻取装置によれば、ガス発生装置が作動されると、スプールが巻取方向へ回転されて、ウェビングがスプールに巻取られる。ここで、請求項1記載の発明では、ガス発生装置が取付けられるガス発生装置取付部には、ガス発生装置側が開放された窪み部が形成されていると共に、ガス発生装置側へ向けて凸状に形成された凸状部が窪み部に沿って形成されている。そして、ガス発生装置の一部が凸状部に係止されることで、ガス発生装置のガス発生装置取付部に対する変位を規制できる。
【0009】
請求項2記載のウェビング巻取装置の製造方法によれば、先ず、パイプをダイスにセットして、パイプをダイスと第1パンチとの間で挟込む。これにより、ガス発生装置が挿入可能な部分がパイプに形成される。次いで、パイプにおいてガス発生装置が挿入可能とされた部分に第2パンチを挿入する。これにより、パイプにおいて第2パンチに押圧された部分に窪み部が形成されると共に、この窪み部に沿って凸状部が形成される。すなわち、窪み部及び凸状部を有するガス発生装置取付部がパイプに形成される。次いで、ガス発生装置をガス発生装置取付部に挿入して、ガス発生装置をガス発生装置取付部に固定する。ここで、ガス発生装置がガス発生装置取付部に挿入された状態では、ガス発生装置のガス発生装置取付部に対する変位が当該ガス発生装置取付部に形成された凸状部によって規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ウェビング巻取装置を示す正面図である。
図2図1に示された2−2線に沿って切断したプリテンショナ機構の断面を示す断面図である。
図3】(A)はガス発生装置取付部の断面を示す断面図であり、(B)は(A)に示された3B−3B線に沿って切断したガス発生装置取付部の断面を示す断面図である。
図4】(A)〜(D)は、ガス発生装置取付部をパイプに形成する工程を説明するための説明図である。
図5】(A)及び(B)は、三角パンチによって形成された窪み部及び凸状部を有するガス発生装置取付部を示す図3(A)及び(B)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図3を用いて、本発明の実施形態に係るウェビング巻取装置について説明する。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、スプールの回転軸方向、回転径方向及び回転周方向をそれぞれ示すものとする。また以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、スプールの回転軸方向、回転径方向、回転周方向を示すものとする。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態のウェビング巻取装置10は、乗員に装着されるウェビング12が巻取られ、ウェビング12が引出されることで引出方向へ回転されるスプール14と、スプール14を回転可能に支持するフレーム16と、を備えている。また、ウェビング巻取装置10は、車両の緊急時(車両の衝突時等におけるウェビング12のスプール14からの急激な引出し時や車両の急減速時)にスプール14の引出方向への回転を制限するロック機構18と、車両の緊急時にスプール14を強制的に巻取方向へ回転させるプリテンショナ機構20と、を備えている。
【0013】
スプール14は、略円柱状に形成された巻取部14Aを備えている。この巻取部14Aには、長尺帯状のウェビング12が基端側から巻取られており、ウェビング12は、フレーム16から上側へ延出されて、車両のシート(図示省略)に着座した乗員に装着可能にされるようになっている。また、スプール14が周方向他方側の巻取方向(矢印Cの方向とは反対方向)へ回転されることで、ウェビング12がスプール14に巻取られると共に、ウェビング12がスプール14から引出されることで、スプール14が周方向一方側(矢印C方向)へ回転される、すなわち、スプール14が引出方向へ回転されるようになっている。
【0014】
スプール14の軸方向他方側(矢印Z方向とは反対側)には、車両の緊急時にスプール14の引出方向への回転を制限するロック機構18が設けられている。また、スプール14の軸方向一方側(矢印Z方向側)には、車両の緊急時にスプール14を強制的に巻取方向へ回転させることで、乗員に装着されたウェビング12の弛みを取除くプリテンショナ機構20が設けられている。
【0015】
図2に示されるように、本実施形態のプリテンショナ機構20は、ラック&ピニオン方式によるプリテンショナ機構であり、このプリテンショナ機構20は、スプール14の軸方向一方側の部分にスプール14と一体回転可能に設けられたピニオン22と、ピニオン22と噛合うラック24を有するピストン26と、作動されることで瞬時に高圧のガスを発生させるガス発生装置としてのマイクロガスジェネレータ42(図3参照)と、マイクロガスジェネレータ42が取付けられるマイクロガスジェネレータ取付部40Aを備えていると共にピストン26が収容されるパイプ40と、を含んで構成されている。
【0016】
ピストン26の下部には、Oリング32が嵌合されており、Oリング32はパイプ40の内壁に密着している。これにより、パイプ40内に供給されたマイクロガスジェネレータ42のガスがピストン26とパイプ40との隙間から上方へ(ピニオン22側へ)抜けることが防止されている。
【0017】
図3(A)及び(B)に示されるように、マイクロガスジェネレータ42は、ガス発生剤が充填された有底円筒状のガス発生剤収容部42Aと、通電されることで発熱する点火装置を備えた円筒状の点火装置収容部42Bと、を備えている。そして、点火装置が発熱することでガス発生剤に点火されて、ガス発生剤収容部42A内に充填されたガス発生剤が燃焼することによって高圧のガスが瞬時に発生するようになっている。また、ガス発生剤収容部42A内で発生したガスの圧力により、ガス発生剤収容部42Aが膨張変形された後に破断して、ガス発生剤収容部42Aから流出した高温高圧のガスがパイプ40内に供給されるようになっている。
【0018】
次に、本実施形態の要部であるガス発生装置取付部としてのマイクロガスジェネレータ取付部40Aの構成について説明する。
【0019】
図3(A)及び(B)に示されるように、マイクロガスジェネレータ取付部40Aは、その大部分がマイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42Bの外径D1よりも大きな内径D2の円筒状に形成された第1筒状部40A1を備えている。また、マイクロガスジェネレータ取付部40Aは、第1筒状部40A1と同軸上に配置されていると共に当該第1筒状部40A1の内径D2よりも小さく、かつ、マイクロガスジェネレータ42のガス発生剤収容部42Aの外径D3よりも大きな内径D4の円筒状に形成された第2筒状部40A2を備えている。
【0020】
また、第1筒状部40A1の内周部(マイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42Bが配置される側の部分)には、一対の窪み部54が形成されており、一対の窪み部54は第1筒状部40A1の周方向に沿って等間隔に配置されている。この窪み部54は、後述する凹凸部形成パンチ70(図4(D)参照)によって第1筒状部40A1の内周部が押圧されることで形成されている。また、第1筒状部40A1の内周部において窪み部54が形成された部分の両側(第1筒状部40A1の周方向の両側)には、マイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42Bが配置される側へ向けて凸状に形成された凸状部56がそれぞれ形成されている。この凸状部56の突出方向の先端56Aを通る仮想円Cの内径D5は、第1筒状部40A1において窪み部54及び凸状部56が形成されていない部位の内径D2に比べて小さな内径とされている。これに加えて、上記仮想円Cの内径D5は、マイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42Bの外径D1よりも小さな内径とされている。
【0021】
次に、図4(A)〜(D)を用いてマイクロガスジェネレータ取付部40Aを形成する構成について説明する。
【0022】
マイクロガスジェネレータ取付部40Aは、円筒状に形成されたパイプ40を支持するダイスとしての増肉ダイス58、第1拡管ダイス60及び第2拡管ダイス62と、第1パンチとしての増肉パンチ64、第1拡管パンチ66及び第2拡管パンチ68と、第2パンチとしての凹凸部形成パンチ70と、を含んで構成されたプレス装置72を用いて形成される。
【0023】
図4(A)に示されるように、増肉ダイス58及び増肉パンチ64は、素材のパイプ40の一方側の端部の肉厚を所定の厚みに形成するためのものであり、増肉ダイス58と増肉パンチ64との間のクリアランスは、上記所定の厚みに対応するクリアランスに設定されている。
【0024】
図4(B)及び(C)に示されるように、第1拡管ダイス60及び第1拡管パンチ66、並びに、第2拡管ダイス62及び第2拡管パンチ68は、増肉ダイス58及び増肉パンチ64によって所定の厚みに形成されたパイプ40の一方側の端部を、マイクロガスジェネレータ42の外観形状と対応する形状に2段階で近づけるために用いられる。なお、第2拡管パンチ68において第1筒状部40A1を形成する部分68Aの外径D7は、マイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42B(図1参照)の外径と略同一の外径の円柱状に形成されており、第2拡管パンチ68において第2筒状部40A2を形成する部分68Bの外径D8は、マイクロガスジェネレータ42のガス発生剤収容部42Aの外径D3(図3参照)と略同一の外径の円柱状に形成されている。これにより、第2拡管ダイス62及び第2拡管パンチ68によるプレス工程を経た後に、マイクロガスジェネレータ42がパイプ40の一方側の端部に挿入された状態では、当該マイクロガスジェネレータ42をパイプ40の一方側の端部内において回転変位させることが可能となっている。
【0025】
図4(D)に示されるように、凹凸部形成パンチ70は、マイクロガスジェネレータ取付部40Aに形成された2つの窪み部54(図2参照)と対応する形状(2つの窪み部54と嵌合する形状)に形成された角部70Aを有するブロック状に形成されている。
【0026】
以上説明したプレス装置72を用い、先ず、図4(A)に示されるように、パイプ40を増肉ダイス58にセットして、パイプ40の一方側の端部を増肉ダイス58と増肉パンチ64との間で挟込みつつ増肉する(増肉工程)。これにより、素材のパイプ40の一方側の端部の肉厚が所定の厚みに形成される。
【0027】
次いで、図4(B)及び(C)に示されるように、パイプ40の一方側の端部を第1拡管ダイス60と第1拡管パンチ66との間で挟込んだ後に、パイプ40の一方側の端部を第2拡管ダイス62と第2拡管パンチ68との間で挟込むことで、パイプ40の一方側の端部を、マイクロガスジェネレータ42の外観形状と対応する形状に徐々に近づける(第1工程としての第1拡管及び第2拡管工程)。
【0028】
次いで、図4(D)に示されるように、凹凸部形成パンチ70を第2拡管ダイス62にセットされた状態のパイプ40の一方側の端部に挿入することで、窪み部54及び凸状部56を有するマイクロガスジェネレータ取付部40Aが形成される(第2工程としての凹凸部形成工程)。
【0029】
そして最後に、マイクロガスジェネレータ42をマイクロガスジェネレータ取付部40Aに挿入して、マイクロガスジェネレータ取付部40Aの軸方向基端部を径方向内側へかしめることで、マイクロガスジェネレータ42をマイクロガスジェネレータ取付部40Aに固定する(第3工程としてのマイクロガスジェネレータ固定工程)。
【0030】
以上の工程を経て本実施形態のウェビング巻取装置10の一部を構成するパイプ40のマイクロガスジェネレータ取付部40Aが形成されると共にマイクロガスジェネレータ42がマイクロガスジェネレータ取付部40Aに固定される。そして、マイクロガスジェネレータ42が固定されたパイプ40等の各構成部品が組立てることで、本実施形態のウェビング巻取装置10が製造される。
【0031】
(本実施形態実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0032】
図1に示されるように、本実施形態では、ウェビング12がスプール14から引出されることで、ウェビング12が車両の乗員の身体に装着される。
【0033】
また、ウェビング12が車両の乗員の身体に装着された状態で、車両の緊急時にロック機構18が作動すると、スプール14の引出方向への回転が制限される。その結果、スプール14からのウェビング12の引出しが制限されて、車両前方へ移動しようとする乗員の身体がウェビング12によって拘束される。
【0034】
また、図3に示されるように、車両の緊急時に、マイクロガスジェネレータ42が作動されることにより、マイクロガスジェネレータ42が発生したガスがシリンダ30の第2筒状部42内に供給されると、図2に示されるように、ピストン26が上方側へ移動される。そして、移動されたピストン26のラック24がピニオン22と噛合うと共に当該ピニオン22を巻取方向へ回転させる。これにより、スプール14が所定の回転数だけ巻取方向へ回転されて、ウェビング12がスプール14に所定の長さだけ巻取られる。その結果、乗員に装着されたウェビング12の弛みが取除かれると共にウェビング12による乗員の拘束力が増加される。
【0035】
ここで、図3(A)及び(B)に示されるように、本実施形態では、マイクロガスジェネレータ42が取付けられるマイクロガスジェネレータ取付部40Aには、マイクロガスジェネレータ42側が開放された窪み部54が形成されていると共に、マイクロガスジェネレータ42側へ向けて凸状に形成された凸状部56が窪み部54に沿って形成されている。そして、マイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42Bが凸状部56に係止されることで、マイクロガスジェネレータ42のマイクロガスジェネレータ取付部40Aに対する回転変位が規制される。これにより、本実施形態では、マイクロガスジェネレータ42のマイクロガスジェネレータ取付部40Aに対する変位を規制できる。その結果、車両に設けられた配線のコネクタをマイクロガスジェネレータ42に所定の姿勢で取付けることができる。
【0036】
また、本実施形態では、凹凸部形成パンチ70をパイプ40の一方側の端部に挿入することで、マイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42Aが係止される凸状部56を容易に形成することができる。この点、プレス装置72による加工工程を経た後に、マイクロガスジェネレータ42の点火装置収容部42Bが係止される部分を形成する工程を別途設けた場合に比べて、製造工程の単純化及び時短化を図ることができる。また、本実施形態では、各パンチ(増肉パンチ64、第1拡管パンチ66、第2拡管パンチ68及び凹凸部形成パンチ70)を同一方向へ移動させる構成とすることで、ワークであるパイプ40を容易に搬送することが可能となり、サイクルタイムの短縮すること及び同一設備で加工を行うことができる。
【0037】
なお、本実施形態では、2つの窪み部54を形成することで、この2つの窪み部54の両側部分にそれぞれ凸状部56が形成される構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5(A)及び(B)に示されるように、三角形状の断面に形成された第2パンチとしての三角パンチ74を用いることで、3つの窪み部54が形成されると共に、この3つの窪み部54の両側部分にそれぞれ凸状部56が形成されるように構成することもできる。また、窪み部54及び凸状部56は、第1筒状部40A1の軸方向の一部にのみ形成されていてもよい。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
10 ウェビング巻取装置
14 スプール
16 ウェビング
38 プリテンショナ機構
40A マイクロガスジェネレータ取付部(ガス発生装置取付部)
42 マイクロガスジェネレータ(ガス発生装置)
54 窪み部
56 凸状部
58 増肉ダイス(ダイス)
60 拡管ダイス(ダイス)
62 拡管ダイス(ダイス)
64 増肉パンチ(第1パンチ)
66 拡管パンチ(第1パンチ)
68 拡管パンチ(第1パンチ)
70 凹凸部形成パンチ(第2パンチ)
図1
図2
図3
図4
図5