(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
仕切り柵は、空間を仕切るように配置されることによって、たとえば安全性を向上させる安全柵として機能する。仕切り柵は、用途に応じて目隠し手段として機能したり、標示手段として機能したりもする。室内で使用される仕切り柵は、幼児やペットの移動や侵入を規制する。仕切り柵は、網戸や、オフィス内のブラインドやパーテーションとしても使用される。工場の中では、いわゆるチェーン式の安全柵も多用されているが、空間を仕切ることが可能な仕切り柵は、目隠し機能や標示機能を兼ね備えた安全柵としても用いられる。
【0003】
特開2002−021376号公報(特許文献1)に開示された仕切り柵は、一対の支柱と、一対の支柱の下端同士を連結する下枠と、これらの内側に配置された開閉式(ヒンジ式)の扉とを備えている。特開2007−014587号公報(特許文献2)に開示された仕切り柵は、四角の枠形状を呈するように組み立てられた4本の棒状部材と、これらの内側に配置された伸縮可能な保護部材とを備えている。
【0004】
特許文献1に開示された仕切り柵は、柵の高さを調節することができない。これに対して特許文献2に開示された仕切り柵においては、4本の棒状部材が四角の枠形状を呈するように組み立てられ、これらのうち、上段に位置する部材(以下、上段部材という)が上下方向にスライド移動可能である。上段部材の両端には、レバーによって操作されるロック機構がそれぞれ設けられている。仕切りを開放する際には、レバー操作によってロックを解除し、上段部材を下降させる。通行者は、高さの低くなった仕切り柵を跨ぐことで、通行可能となる。
【0005】
仕切り柵とは技術分野が異なるが、特開2011−252363号公報(特許文献3)には、梯子の踏桟を、支柱の任意の位置に固定することが可能なロック装置が開示されている。特開2010−203046号公報(特許文献4)には、柵としての機能は有していないが、窓の遮光、室内の目隠し、あるいは仕切り等の用途に用いることが可能な吊り下げ式のロールカーテンが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2002−021376号公報(特許文献1)に開示された仕切り柵は、ヒンジによって支持された開閉扉の構造を有しており、柵の高さを調節することができない。また、開閉扉の下には、一定の高さを有する下枠が常に存在している。開閉扉を開けたとしても、通路上には下枠が障害物として残存している。通行する人は下枠を跨ぐ必要があり、つま先などを下枠にひっかけてしまう可能性もある。
【0008】
特開2007−014587号公報(特許文献2)に開示された仕切り柵は、4本の棒状部材が四角の枠形状を呈するように組み立てられる。これらのうち、上段に位置する部材が上下方向にスライド移動可能であるため、柵の高さを調節することができる。しかしながら、下段部材が固定式であるため、一定の高さを有する下段部材が常に足元に存在することとなる。上段部材の位置を下げて柵の高さを低くすることにより通行可能となるが、通路上には障害物が残存し、通行する人は障害物を跨ぐ必要があり、つま先などをこの障害物にひっかけてしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、上述のような実情に鑑みて創作されたものであって、柵の高さを調節できるだけでなく、柵を開いた際に足元に障害物が残らないようにすることが可能な構成を備えた仕切り柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に基づく仕切り柵は、互いの間に間隔を空けて平行に配置される一対の支柱と、棒状の形状を有し、両端に上段ロック部がそれぞれ設けられ、両端の上記上段ロック部を介して上記一対の支柱に取り付けられる上段部材と、棒状の形状を有し、両端に下段ロック部がそれぞれ設けられ、両端の上記下段ロック部を介して上記一対の支柱に取り付けられる下段部材と、上記一対の支柱と上記上段部材と上記下段部材との内側に形成される空間を覆うように配置され、一端が上記上段部材に取り付けられ、他端が上記下段部材に取り付けられたシート部材と、を備え、上記上段ロック部は、上記上段部材を上記一対の支柱に固定する固定状態と、上記一対の支柱に対する上記上段部材のスライド移動を許容する非固定状態とを形成可能であり、上記下段ロック部も、上記下段部材を上記一対の支柱に固定する固定状態と、上記一対の支柱に対する上記下段部材のスライド移動を許容する非固定状態とを形成可能である。
【0011】
上記仕切り柵において好ましくは、上記上段部材および上記下段部材は、これらの長さを調整可能に構成されている。
【0012】
上記仕切り柵において好ましくは、上記シート部材は、ロール式カーテンから構成されている。
【0013】
上記仕切り柵において好ましくは、上記ロール式カーテンは、上記上段部材に取り付けられる固定端と、上記下段部材に設けられた巻き取り部と、を有している。
【0014】
上記仕切り柵において好ましくは、上記下段部材には、ストッパ溝が設けられ、上記巻き取り部は、上記ストッパ溝に係脱可能なストッパ金具を有しており、上記ストッパ金具が上記ストッパ溝に係止することによって、上記巻き取り部の回転が規制される。
【0015】
上記仕切り柵において好ましくは、上記ロール式カーテンの上記固定端の側には面ファスナーが設けられており、上記ロール式カーテンの上記固定端の側は、袖形状を呈するように折り返され、上記面ファスナーによって上記袖形状が保持され、上記袖形状の内側に上記上段部材が挿通されている。
【発明の効果】
【0016】
上記の構成によれば、柵の高さを調節できるだけでなく、柵を開いた際に足元に障害物が残らないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0019】
[実施の形態]
図1は、実施の形態における仕切り柵10を示す正面図である。仕切り柵10は、一対の支柱1L,1R、上段部材4、下段部材6、シート部材8を備える。仕切り柵10は、たとえば、天井21、壁面22、床面23、壁面24の間に形成された通路上に配置される。
【0020】
一対の支柱1L,1Rは、床面23から天井21に向かって略垂直方向に起立しており、互いの間に水平方向の間隔を空けるようにして平行に配置される。支柱1L,1Rの長さは、たとえば1500mm〜2000mmである。支柱1L,1Rの上端には、圧接部2L,2Rが設けられる。支柱1L,1Rの下端には、圧接部3L,3Rが設けられる。
【0021】
圧接部2L,2R,3L,3Rは、たとえばボールねじから構成される。圧接部2L,2R,3L,3Rを回転させることによって、支柱1L,1Rの全体長さを調節することができる。圧接部2L,2R,3L,3Rの突っ張り力によって、支柱1L,1Rは、天井21と床面23との間で固定される。
【0022】
(上段部材4)
図1に示すように、上段部材4は、棒状の形状を有し、その両端には上段ロック部5L,5Rがそれぞれ設けられる。上段部材4は、小径部4Aおよび大径部4Bを含む。小径部4A、大径部4Bは、いずれも筒状の形状を有し、小径部4Aは大径部4Bの中に差し込まれる。
【0023】
螺合や摩擦嵌合などの各種の固定構造によって、小径部4Aの大径部4Bに対する位置を固定可能である。小径部4Aの大径部4Bからの突出量を増減させることによって、上段部材4の全体長さを調整できる。支柱1L,1Rの間の距離に応じて(仕切り柵10の幅に応じて)、上段部材4の全体長さが適宜調整される。上段部材4の全体長さを調整可能であるという構成は、必要に応じて採用することが可能である。
【0024】
図2は、仕切り柵10に備えられる上段ロック部5L,5R(固定状態)などを拡大して示す正面図である。上段部材4は、上段ロック部5L,5Rを介して支柱1L,1Rに取り付けられる。上段ロック部5L,5Rは、上段部材4を支柱1L,1Rに固定する固定状態(
図2に示す状態)と、支柱1L,1Rに対する上段部材4のスライド移動を許容する非固定状態(
図3に示す状態)とを形成可能である。
【0025】
図2を参照して、具体的には、支柱1L,1R(レールラック)は、長手方向(ここでは鉛直方向)に沿って延びるガイドレール11を有しており、支柱1L,1Rの内部には、上段部材4や下段部材6の取付高さを決めるための複数の突起12が設けられている(
図4,
図5も参照)。
【0026】
上段部材4の支柱1L側に位置する端部4Tは、支柱1Lのガイドレール11を挟持しており、上段部材4の支柱1R側に位置する端部4Tは、支柱1Rのガイドレール11を挟持している。当該挟持によって、上段部材4は支柱1L,1Rに対してスライド移動することができる。
【0027】
上段ロック部5L,5Rは、挟持部51、凹部52、操作部53、付勢バネ54を有している。付勢バネ54によって、上段ロック部5L,5Rの挟持部51は、それぞれ、支柱1L,1Rに近づく方向(矢印AR1方向)に付勢されている。凹部52は、挟持部51の外側端に設けられている。凹部52が突起12に係合することによって、上段部材4(小径部4Aおよび大径部4B)の両端は、上段ロック部5L,5Rを介して支柱1L,1Rに固定されることとなる。この固定状態は、付勢バネ54の矢印AR1方向への付勢力によって保持される。
【0028】
図3は、仕切り柵10に備えられる上段ロック部5L,5R(非固定状態)などを拡大して示す正面図である。
図3に示すように、操作部53に手指などを挿入し、付勢バネ54の付勢力に抗して、上段ロック部5L,5Rを矢印AR2方向に移動させる。これにより、凹部52は突起12から離れ、非固定状態が形成される。上段部材4は、支柱1L,1Rに対してスライド移動することが可能となる。固定状態において、上段部材4を支柱1L,1Rに確実に固定するためには、たとえば特開2011−252363号公報(特許文献3)に開示されているような、二重ロック構造を備えたロック装置が上段ロック部5L,5Rとして用いられてもよい。
【0029】
(下段部材6)
図1を再び参照して、下段部材6は、棒状の形状を有し、その両端には下段ロック部7L,7Rがそれぞれ設けられる。下段部材6も、小径部6Aおよび大径部6Bを含む。小径部6A、大径部6Bは、いずれも筒状の形状を有し、小径部6Aは大径部6Bの中に差し込まれる。
【0030】
螺合や摩擦嵌合などの各種の固定構造によって、小径部6Aの大径部6Bに対する位置を固定可能である。小径部6Aの大径部6Bからの突出量を増減させることによって、下段部材6の全体長さを調整できる。支柱1L,1Rの間の距離に応じて(仕切り柵10の幅に応じて)、下段部材6の全体長さが適宜調整される。下段部材6の全体長さを調整可能であるという構成は、必要に応じて採用することが可能である。
【0031】
上段部材4の場合と同様に、下段部材6は、下段ロック部7L,7Rを介して支柱1L,1Rに取り付けられる。下段ロック部7L,7Rも、上段ロック部5L,5Rの場合と同様に、下段部材6を支柱1L,1Rに固定する固定状態と、支柱1L,1Rに対する下段部材6のスライド移動を許容する非固定状態とを形成可能である。操作部に手指などを挿入し、付勢バネの付勢力に抗して下段ロック部7L,7Rを移動させる。これにより、凹部72(
図5参照)は突起12から離れ、非固定状態が形成される。
【0032】
下段部材6の支柱1L側に位置する端部は、支柱1Lのガイドレール11を挟持しており、下段部材6の支柱1R側に位置する端部は、支柱1Rのガイドレール11を挟持している。当該挟持によって、下段部材6は支柱1L,1Rに対してスライド移動することができる。下段ロック部7L,7Rに関するさらなる説明は、上段ロック部5L,5Rと同様であるため、ここでは繰り返さないものとする。
【0033】
(シート部材8)
図1に示すように、シート部材8は、一対の支柱1L,1Rと上段部材4と下段部材6との内側に形成される空間を覆うように配置され、シート部材8の一端が上段部材4に取り付けられ、シート部材8の他端は下段部材6に取り付けられている。シート部材8は、メッシュ形状を有していてもよいし、遮光性を有するカーテンの構成を有していてもよいし、レース状のカーテンの構成を有していてもよい。
【0034】
図4は、
図1中のIV−IV線に沿った矢視断面図であり、
図5は、
図1中のV−V線に沿った矢視断面図である。
図1、
図4、
図5に示すように、本実施の形態のシート部材8は、ロール式カーテンから構成されている。ロール式カーテンは、シート部材8を必要な長さに設定することが可能である。シート部材8は、じゃばら式の部材から構成されていても構わないが、ロール式カーテンは、すっきりとした美観を有しており、じゃばら式の部材に比べてほこり等がたまりにくいというメリットがある。
【0035】
ロール式カーテン(シート部材8)は、上段部材4に取り付けられる固定端8A(
図4)と、下段部材6に設けられた巻き取り部8B(
図5)とを有している。ロール式カーテンの固定端8Aの側には、面ファスナー9(
図4)が設けられている。ロール式カーテンの固定端8Aの側は、袖形状を呈するように折り返される。面ファスナー9は、たとえばマジックテープ(登録商標)から構成され、面ファスナー9によって袖形状が保持され、袖形状の内側に上段部材4が挿通されている。
【0036】
図6は、下段部材6および巻き取り部8Bを模式的に示す斜視図である。本実施の形態の下段部材6は、固定軸6Mと、固定軸6Mの外周側に配置される回転軸6Nと、を有している。固定軸6Mは、支柱1L,1Rに下段ロック部7L,7Rを介して固定されており、シート部材8(ロール式カーテン)の高さ寸法を調節したとしても回転することはない。
【0037】
回転軸6Nは、固定軸6Mに対して回転可能であり、回転軸6Nの周囲にシート部材8が複数回にわたって巻き付けられている(
図5参照)。回転軸6Nの内部には、回転軸6Nを付勢し、シート部材8を巻き取る方向に回転軸6Nを回転させるスプリング(図示せず)が配置されている。回転軸6Nと、このスプリングとによって、巻き取り部8Bが構成されている。
【0038】
図5および
図6に示すように、下段部材6の固定軸6Mには、ストッパ溝6Gが設けられている。ストッパ溝6Gは、固定軸6Mの周方向に沿って延びる溝部6G1と、固定軸6Mの軸方向に対して平行な方向に延びる複数の溝部6G2とを有している。複数の溝部6G2は、周方向において等角度の間隔を空けて並ぶように配置されており、複数の溝部6G2の端部は、いずれも溝部6G1に接続されている(
図6参照)。
【0039】
巻き取り部8Bは、ストッパ溝6Gの溝部6G2に係脱可能なストッパ金具6Sを有している。ストッパ金具6Sは、回転軸6Nの端面6Uからストッパ溝6Gの位置に向かって突出するように配置されており、回転軸6Nと一体的に周方向に回転移動可能である。
【0040】
ストッパ金具6Sは、全体として略L字形状を有しており、その先端部6Qがストッパ溝6Gの溝部6G2(
図6)に係止することによって(
図6に示す状態が形成されることによって)、巻き取り部8B(回転軸6N)の固定軸6Mに対する回転が規制される。上段部材4の高さおよび下段部材6の高さを調整した際、これらの間の間隔によっては、シート部材8の長さが足りなくなったり、あるいは、シート部材8の長さが余ってシート部材8が撓んでしまったりすることがある。
【0041】
シート部材8の長さを適正値とするためには、ストッパ金具6Sの先端部6Qを溝部6G1まで引き出し、ストッパ金具6Sの溝部6G2に対する係合状態を解除し、回転軸6Nを固定軸6Mに対して回転可能とする。この状態で、シート部材8の長さを調整する。その後、ストッパ金具6Sの先端部6Qを、ストッパ溝6Gの溝部6G2の内端面6T(
図6)に向かって移動させる(矢印DR)。
【0042】
巻き取り部8Bの回転が規制されることで、シート部材8の適正長さが保持され、その後にシート部材8の長さが足りなくなったり、あるいは、シート部材8の長さが余ってシート部材8が撓んでしまったりすることを防止できる。
図5に示すように、このような機能を有するストッパ金具6Sは、1つ設けられていてもよいが、180°の間隔で2つ設けられていてもよいし、あるいはそれ以上の個数で設けられていてもよい。
【0043】
(設置態様1)
図7を参照して、上段ロック部5L,5Rを操作して非固定状態とすることで、上段部材4を支柱1L,1Rの上端付近にまでスライド移動させることができる。その後、上段ロック部5L,5Rを操作して固定状態とすることにより、上段部材4を支柱1L,1Rの上端付近に固定することができる。
【0044】
同様に、下段ロック部7L,7Rを操作して非固定状態とすることで、下段部材6を支柱1L,1Rの下端付近にまでスライド移動させることができる。その後、下段ロック部7L,7Rを操作して固定状態とすることにより、下段部材6を支柱1L,1Rの下端付近に固定することができる。
【0045】
上段部材4や下段部材6を移動させる際に、シート部材8の長さ(巻き取られていない部分の長さ)が足りない場合には、ストッパ金具6Sを操作して、巻き取り部8Bを回転可能にする。これにより、シート部材8が巻き取り部8Bから引き出されることとなり、シート部材8の長さを最適化できる。その後、ストッパ金具6Sを操作して、シート部材8の長さを固定する。
【0046】
天井21、壁面22、床面23、壁面24の間に形成された通路は、設置態様1のように設置された仕切り柵10によって仕切られることとなり、この通路を介した通行は遮られることとなる。シート部材8の表面には、必要に応じて「通行止め」や「実験中(試験中)」といった標識を付していても構わない。デザイン性を有する絵柄を印刷しておくことで、目隠し効果だけでなく、使用者に美観を提供することも可能となる。
【0047】
(設置態様2)
図8に示すように、必要に応じて、上段ロック部5L,5Rおよび下段ロック部7L,7Rを操作して非固定状態とし、上段部材4および下段部材6の両方を、支柱1L,1Rの下端付近にまでスライド移動させても構わない。天井21、壁面22、床面23、壁面24の間に形成された通路は、容易に通行したり、物品を運んだりすることが可能となる。これは、ペットや幼児などが不在にしている場合などにも有効に活用できる設置態様である。
【0048】
設置態様2においては、上段部材4、下段部材6およびシート部材8が、一定の高さを有する障害物を足元に形成している。このような設置態様2も、目的に応じて十分に活用できるものである。ところが、通行する人はこの障害物を跨ぐ必要があり、つま先などをこの障害物にひっかけてしまう可能性がある。
【0049】
(設置態様3)
図9に示すように、本実施の形態の仕切り柵10によれば、上段ロック部5L,5Rおよび下段ロック部7L,7Rを操作して非固定状態とし、上段部材4および下段部材6の両方を、支柱1L,1Rの上端付近にまでスライド移動させても構わない。天井21、壁面22、床面23、壁面24の間に形成された通路は、足元に障害物が存在していないという点において、設置態様2(
図8)に比べて容易に通行したり、物品を運んだりすることが可能となる。設置態様3の場合、車椅子による通行も実現可能であり、床面23を容易に掃除することも可能となる。
【0050】
[実施の形態の変形例]
上述の実施の形態においては、支柱1L,1Rの上端に圧接部2L,2Rが設けられ、支柱1L,1Rの下端に圧接部3L,3Rが設けられている。このような構成に限られず、
図10に示すように、支柱1L,1Rの上端の外側に圧接部2L,2Rが設けられ、支柱1L,1Rの下端の外側に圧接部3L,3Rが設けられていてもよい。
【0051】
圧接部2L,2R,3L,3Rは、これらそのものが必須の構成ではなく、支柱1L,1Rが直接的に床面23、壁面22,24等に、ボルトやネジ、接着剤などによって固定されていてもよい。支柱1L,1Rは、これら自体で自立可能な構成を有していても構わない。
【0052】
上述の実施の形態においては、上段部材4および下段部材6の全体長さを調整することが可能である。この構成は必要に応じて採用することが可能である。なお、上段部材4および下段部材6の全体長さを調整可能な構成によれば、仕切り柵10の幅を調整可能となる。上段部材4および下段部材6の全体長さ(支柱1L,1Rの間の間隔)に応じて、最適な幅寸法を有するシート部材8を選択して使用してもよい。
【0053】
上述の実施の形態においては、ロール式カーテン(シート部材8)の固定端8Aが上段部材4に取り付けられ(
図4)、巻き取り部8Bが下段部材6に設けられている(
図5,
図6)。この構成によれば、上段部材4および下段部材6が上方に配置された際に、下段部材6に設けられているストッパ金具6Sにアクセスしやすくなる。このような構成に限られず、必要に応じて、ロール式カーテン(シート部材8)の固定端8Aが下段部材6に取り付けられ、巻き取り部8Bが上段部材4に設けられていても構わない。必要に応じて、上段部材4および下段部材6の両方に、ロール式カーテン(シート部材8)の巻き取り部8Bが設けられていても構わない。
【0054】
上述の実施の形態においては、支柱1L,1Rが壁面22,24の内側(通路側)に配置されている。建物を作る際に、支柱1L,1Rが壁面22,24と面一になるように、支柱1L,1Rを壁の凹部に埋め込むように配置しても構わない。天井21や床面23に、いわゆる戸袋のような凹部を設けて、その凹部の中に、上段部材4、下段部材6およびシート部材8を収容可能にしてもよい。必要に応じて、無駄な出っ張りが生じない構成とすることができ、フリーアクセスが可能となり、車いすを使用する方の家庭や施設にも活用できる。
【0055】
制御システムを組み合わせることにより、上段部材4や下段部材6の高さをリモートコントロールすることも可能である。たとえば、両手が塞がった状態でも、ボタンを押すだけで上段部材4や下段部材6の位置を変更でき、設置態様1〜3の状態を容易に形成することが可能となり、高い利便性を発揮することができる。
【0056】
以上、実施の形態について説明したが、上記の開示内容はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。