(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測位衛星の測位信号に基づいて算出される車両の測位位置と、自律航法により算出される前記車両の変位量とに基づいて、地図データ上の前記車両の位置を推定するように構成された位置推定部(32、S400)と、
前記位置推定部が推定する前記車両の前記地図データ上の位置と前記車両が走行する道路の側方に存在する路側物(120、122)の前記地図データ上の位置とに基づいて、前記車両に対する前記路側物の前記地図データ上の相対位置(200、202、204)を取得するように構成された地図位置取得部(34、S402)と、
前記路側物を検出する車載センサ(10、12)の検出情報に基づいて、前記車両に対する前記路側物の相対位置(210、212、214)を取得するように構成されたセンサ位置取得部(36、S404、S406)と、
前記路側物の形状が変化する形状変化点(124、216、218)として、前記車両が走行する道路の幅員方向に前記路側物の形状が変化する幅員変化点(124)を検出するように構成された変化検出部(38、S408、S410)と、
前記変化検出部により前記幅員変化点が検出されない場合、前記地図位置取得部が取得する前記車両に対する前記路側物の前記相対位置と前記センサ位置取得部が取得する前記車両に対する前記路側物の前記相対位置との前記幅員方向のずれ量である幅員ずれ量に基づいて、前記位置推定部が推定する前記幅員方向における前記車両の位置を補正し、前記変化検出部により前記幅員変化点が検出される場合、前記車両の進行方向の位置の精度に応じて、前記位置推定部が推定する前記幅員方向における前記車両の位置を前記幅員ずれ量に基づいて補正するように構成された幅員補正部(42、S412、S416、S418)と、
を備える位置推定装置(30)。
【背景技術】
【0002】
測位衛星から受信する測位信号に基づいて算出される車両の測位位置と、車速センサとジャイロセンサ等を使用する自律航法により算出される車両の変位量とから、車両の位置を推定する技術が公知である。
【0003】
しかし、遮蔽物による電波の受信状態の悪化およびマルチパス等により、測位信号から算出される測位位置に誤差が生じることがある。また、自律航法により算出される変位量の誤差が時間経過に伴い積算され、変位量の誤差が大きくなることがある。このような測位位置と変位量とから、車両の位置を高精度に推定することは困難である。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、カメラが撮像するガードレール、道路標識等の対象物の画像データに基づいて車両と対象物との距離を算出し、算出した距離と地図データが有する対象物の位置とから車両の位置を推定する。
【0005】
そして、特許文献1に記載の技術では、車両と対象物との距離と地図データ上の対象物の位置とから推定した車両の位置により、測位信号と自律航法とにより推定した車両の位置を補正している。
【0006】
ここで、車両の位置に基づく走行制御により、例えば走行車線を維持して車両を走行させる場合、道路の幅員方向における車両の位置を高精度に推定することが求められる。
特許文献1に記載の技術においは、車両と対象物との幅員方向の距離と地図データ上の対象物の位置とから車両の幅員方向の位置を高精度に推定できれば、測位位置と変位量とに基づいて推定される車両の位置を補正して幅員方向の車両の位置を高精度に推定できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
車両との距離を算出する対象となる対象物が路側物の場合、路側物の形状が幅員方向に変化していると、車両の進行方向において形状の変化点の前後にそれぞれ存在する路側物と車両との幅員方向の距離が異なることがある。
【0009】
車両の進行方向において、幅員方向の形状が変化している路側物として、例えば縁石の次に縁石よりも道路側に位置している壁が存在すると、縁石と壁の境界が形状変化点になる。そして、縁石と車両、壁と車両との幅員方向の距離は異なる。
【0010】
この場合、車両の進行方向の位置が高精度に推定されていれば、幅員方向における車両との距離を算出される路側物が、進行方向において形状変化点よりも前か後ろのどちらに存在しているかを認識できる。これにより、認識した路側物の位置を地図データから取得できる。
【0011】
しかし、車両の進行方向の位置の精度が低い場合、幅員方向における車両との距離を算出される路側物が、進行方向において形状変化点の前後のどちらに存在しているかを誤認識することがある。すると、例えば、実際には縁石である路側物を壁と誤認識し、縁石ではなく壁の位置を地図データから取得することになる。
【0012】
その結果、車載センサの検出情報により算出される車両と路側物との幅員方向の距離と、路側物を誤認識して地図データから取得する路側物の位置とから、幅員方向の車両位置を誤って推定することになる。誤った幅員方向の車両位置により、測位信号と自律航法とにより推定した車両の幅員方向の位置を補正すると、車両の幅員方向の位置を高精度に推定できない。
【0013】
特許文献1に記載の技術では、路側物の形状が幅員方向に変化することが考慮されていないため、路側物の形状が幅員方向に変化するときに、車両の幅員方向の位置を高精度に推定できないという問題がある。
【0014】
本開示の一側面は、道路の幅員方向における車両の位置を高精度に推定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の一態様は、位置推定部(32、S400)と、地図位置取得部(34、S402)と、センサ位置取得部(36、S404、S406)と、変化検出部(38、S408、S410)と、幅員補正部(42、S412、S416、S418)と、を備えている。
【0016】
位置推定部は、測位衛星の測位信号に基づいて算出される車両の測位位置と、自律航法により算出される車両の変位量とに基づいて、車両の地図データ上の位置を推定する。地図位置取得部は、位置推定部が推定する車両の地図データ上の位置と車両が走行する道路の側方に存在する路側物(120、122)の地図データ上の位置とに基づいて、車両に対する路側物の地図データ上の相対位置を取得する。
【0017】
センサ位置取得部は、路側物を検出する車載センサの検出情報に基づいて、車両に対する路側物の相対位置を取得する。変化検出部は、路側物の形状が変化する形状変化点(124、216、218)として、車両が走行する道路の幅員方向に路側物の形状が変化する幅員変化点(124)を検出する。
【0018】
幅員補正部は、変化検出部により幅員変化点が検出されない場合、地図位置取得部が取得する車両に対する路側物の相対位置とセンサ位置取得部が取得する車両に対する路側物の相対位置との幅員方向のずれ量である幅員ずれ量に基づいて、位置推定部が推定する幅員方向における車両の位置を補正し、変化検出部により幅員変化点が検出される場合、車両の進行方向の位置精度に応じて、位置推定部が推定する幅員方向における車両の位置を幅員ずれ量に基づいて補正する。
【0019】
この構成によれば、変化検出部により幅員方向に路側物の形状が変化する幅員変化点が検出されない場合、車両の進行方向の位置に関わらず、地図位置取得部が取得する車両に対する路側物の幅員方向の相対位置は変化しない。同様に、センサ位置取得部が取得する車両に対する路側物の幅員方向の相対位置は変化しない。
【0020】
この場合、車両の進行方向の位置に関わらず、地図位置取得部が取得する車両に対する路側物の相対位置と、センサ位置取得部が取得する車両に対する路側物の相対位置との幅員方向の幅員ずれ量は変化しない。
【0021】
したがって、変化検出部により幅員変化点が検出されない場合、車両の進行方向の位置の精度に関わらず、地図位置取得部が取得する車両に対する路側物の相対位置と、センサ位置取得部が推定する路側物の車両に対する相対位置との幅員ずれ量に基づいて、位置推定部が推定する幅員方向における車両の位置を高精度に補正できる。
【0022】
これに対し、変化検出部により幅員変化点が検出される場合、車両の進行方向の位置の精度が高いほど、車両に対する進行方向における幅員変化点の位置の精度は高くなる。これにより、車両に対する幅員変化点を挟んだ進行方向の前後の路側物の進行方向の位置の精度が高くなる。その結果、センサ位置取得部が取得する車両に対する路側物の幅員方向の相対位置の精度が高くなる。
【0023】
その結果、地図位置取得部が取得する車両に対する路側物の幅員方向の相対位置と、センサ位置取得部が取得する車両に対する路側物の幅員方向の相対位置とから算出される幅員ずれ量の精度が高くなる。したがって、路側物の幅員方向の幅員ずれ量に基づいて、位置推定部が推定する幅員方向における車両の位置を補正する精度は高くなる。
【0024】
一方、車両の進行方向の位置の精度が低いほど、路側物の幅員方向の幅員ずれ量の精度は低下する。したがって、路側物の幅員方向の幅員ずれ量に基づいて、位置推定部が推定する幅員方向における車両の位置を補正する精度は低下する。
【0025】
そこで、変化検出部により幅員変化点が検出されると、車両の進行方向の位置の精度に応じて、位置推定部が推定する幅員方向における車両の位置を幅員ずれ量に基づいて補正する。これにより、幅員方向における車両の位置を、車両の進行方向の位置の精度に応じて高精度に推定できる。
【0026】
尚、この欄および特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本開示の実施形態を図に基づいて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す車載の位置推定システム2は、カメラ10と、LIDAR12と、衛星測位装置14と、車速センサ16と、ジャイロセンサ18と、ナビゲーション装置20と、位置推定装置30とを備えている。尚、LIDARは、Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Rangingの略である。
【0029】
カメラ10は、例えば単眼カメラまたはステレオカメラであり、車両の前方側と後方側とにそれぞれ取り付けられている。カメラ10は、車両の周囲を撮像した画像データを検出情報として位置推定装置30に出力する。
【0030】
LIDAR12は、車両の前方側と後方側とにそれぞれ取り付けられており、レーザ光を送信して車両の周囲に存在する物体として、他車両、路側物、歩行者、路面の表示、白線等から反射された反射光を受信するまでの時間に基づいて、物体までの距離を算出する。さらに、反射光の受信方向により車両に対する物体の方位、すなわち角度が定まる。LIDAR12は、計算した距離と角度とを検出情報として位置推定装置30に出力する。
【0031】
衛星測位装置14は、GPS、GLONASS等の測位衛星から測位信号を受信し、車両の位置を緯度、経度により測位して位置推定装置30に出力する。
車速センサ16は、車両の車速を検出する。ジャイロセンサ18は、車両のヨー角、ピッチ角、ロール角のそれぞれの変化速度を検出する。
【0032】
ナビゲーション装置20は、車両の位置と、タッチパネル式のディスプレイまたは図示しないマイクから音声により入力される車両の目的地とに基づき、目的地までの走行経路を案内する。ナビゲーション装置20は、地
図DBに記憶されている地図データに基づいて衛星測位装置14が測位する車両の位置を地図上にマッピングする。
【0033】
地
図DBには、道路を表わすリンクとノードに加え、道路の側方に存在する路側物として、縁石、ガードレール、建造物等の種類と位置とが地図データとして記憶されている。
位置推定装置30は、CPUと、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリとを備えるマイクロコンピュータを搭載している。尚、位置推定装置30を構成するマイクロコンピュータの数は一つでも複数でもよい。
【0034】
位置推定装置30の各機能は、CPUがROMまたはフラッシュメモリ等の非遷移的実体的記録媒体に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。このプログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。
【0035】
位置推定装置30は、CPUがプログラムを実行することで実現される機能の構成として、位置推定部32と、地図位置取得部34と、センサ位置取得部36と、変化検出部38と、進行補正部40と、幅員補正部42と、を備えている。
【0036】
位置推定装置30を構成するこれらの要素を実現する手法は、ソフトウェアに限るものではなく、その一部または全部の要素を、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いて実現してもよい。
【0037】
[1−2.処理]
以下、位置推定装置30が実行する位置推定処理を、
図2のフローチャートに基づいて説明する。
図2のフローチャートは所定時間間隔で常時実行される。
【0038】
S400において位置推定部32は、衛星測位装置14が測位する車両の測位位置と、車載の車速センサ16とジャイロセンサ18とを使用する自律航法により算出される測位位置からの車両の変位量とに基づいて、車両の地図データ上の位置を推定する。
【0039】
S402において地図位置取得部34は、位置推定部32が推定する車両の地図データ上の位置と、車両の地図データ上の位置の周囲に存在する路側物の地図データ上の位置とを取得する。
【0040】
さらに、S402において地図位置取得部34は、
図3に示すように、地図データ上の車両100の位置と、路側物として例えば縁石120、壁122の地図データ上の位置とに基づいて、車両100に対する縁石120の相対位置200と壁122の相対位置202とを取得する。
【0041】
S404においてセンサ位置取得部36は、カメラ10またはLIDAR12の検出情報により、車両100が走行する道路の側方に存在する路側物の3次元測距データを取得する。カメラ10が単眼カメラの場合には、単眼カメラが時間経過に伴い撮像する2次元の画像データから3次元測距データを取得する。
【0042】
S406においてセンサ位置取得部36は、3次元測距データから、車両100に対する縁石120の相対位置210と壁122の相対位置212とを取得する。
S408において変化検出部38は、地図データまたは3次元測距データに基づいて、路側物の形状を検出する。S410において変化検出部38は、路側物の形状が変化する形状変化点として、幅員方向に路側物の形状が変化する幅員変化点が存在するか否かを判定する。
【0043】
この判定は、例えば、路側物の形状が幅員方向に変化する変化量が所定量以上であるか否かに基づいて行ってもよい。変化検出部38は、変化量が所定量以上であれば幅員変化点が存在し、変化量が所定量未満であれば幅員変化点が存在しないと判定する。
【0044】
S410の判定がNoであり、
図4に示すように路側物として縁石120だけが存在し幅員変化点が検出されない場合、地図データ上における車両100に対する縁石120の幅員方向の相対位置200は、車両100の進行方向の位置の精度に関わらず変化しない。
【0045】
同様に、3次元測距データから取得する車両100に対する縁石120の幅員方向の相対位置210は、車両100の進行方向の位置の精度に関わらず変化しない。したがって、車両100の進行方向の位置の精度に関わらず、相対位置200と相対位置210との幅員方向のずれ量である幅員ずれ量は変化しない。
【0046】
この場合、S412において幅員補正部42は、S402で地図位置取得部34が取得する縁石120の相対位置200と、S406でセンサ位置取得部36が取得する縁石120の相対位置210との幅員ずれ量ΔWを算出する。そして、幅員補正部42は、算出した幅員ずれ量ΔWを車両100の幅員方向の位置を補正する補正量として設定し、処理をS418に移行する。
【0047】
S410の判定がYesであり、変化検出部38が地図データまたは3次元測距データから幅員変化点が存在することを検出すると、処理はS414に移行する。
ここで、地図位置取得部34が取得する車両100の位置が進行方向にずれていると、
図3に示すように、幅員変化点124の地図データ上の相対位置204と、3次元測距データから取得する幅員変化点124の相対位置214とに進行方向のずれが生じる。
【0048】
すると、カメラ10またはLIDAR12により、車両100に対する幅員方向の相対位置を取得している路側物が、壁122であるにも関わらず縁石120と誤認識し、縁石120であるにも関わらず壁122と誤認識することがある。
【0049】
そこで、S414において進行補正部40は、S402で地図位置取得部34が取得する幅員変化点124の相対位置204と、S406でセンサ位置取得部36が取得する幅員変化点124の相対位置214との進行方向の進行ずれ量ΔLを算出する。そして、
図3に示すように、進行補正部40は、進行ずれ量ΔLに基づいて、進行方向における車両100の位置を実線で示す車両110の位置に補正する。
【0050】
図3に示すように、縁石120よりも道路側に位置している壁122が、進行方向において縁石120の後ろに存在すれば、カメラ10またはLIDAR12により、車両100に対する幅員変化点124の進行方向における相対位置214を高精度に検出できる。
【0051】
これに対し、
図5に示すように、縁石120よりも道路側に位置している壁122が、進行方向において縁石120の前に存在すると、壁122により幅員変化点124が遮蔽される。この場合、進行方向において、壁122により遮蔽されている箇所のどの位置に実際の幅員変化点124が存在するかは、カメラ10またはLIDAR12では検出できない。
【0052】
図5において、車両100が走行している車線の中心220から縁石120までの距離をD1とし、中心220から壁122までの距離をD2とし、D1>D2であれば、壁122により幅員変化点124が遮蔽されていると判定できる。
【0053】
壁122により幅員変化点124が遮蔽されている場合、進行補正部40は、例えば、カメラ10またはLIDAR12の検出情報から壁122と縁石120との境界であると認識できる壁122の角部123を、幅員変化点124の相対位置214として取得する。
【0054】
そして、S414において進行補正部40は、車両100の位置を補正した補正後の車両110の進行方向の位置の精度を次式(1)から算出する。
進行方向の位置の精度=D2/D1 ・・・(1)
式(1)において、D1とD2との差が大きくなり、壁122により遮蔽されている遮蔽度が大きくなるほど、S414で補正された補正後の車両110の進行方向の位置の精度は低下する。進行補正部40は、式(1)から算出する精度に対し、
図3の場合には精度を1として設定する。
【0055】
S416において幅員補正部42は、
図3および
図5に示すように、縁石120の相対位置200と相対位置210との幅員ずれ量ΔW、あるいは、Δ壁122の相対位置202と相対位置212との幅員ずれ量ΔWを算出する。
【0056】
そして、幅員補正部42は、S414で進行補正部40が設定した車両110の進行方向の位置の精度を幅員ずれ量ΔWに乗算して補正量を設定する。これにより、幅員補正部42は、進行補正部40により補正された補正後の車両110の進行方向の位置の精度に応じて、位置推定部32が推定する幅員方向の車両100の位置の補正量を設定する。
【0057】
S418において幅員補正部42は、S412またはS416で設定した補正量に基づいて、位置推定部32が推定する車両100の幅員方向の位置を補正する。
図2の位置推定処理で補正された車両100の位置が車両110の位置で示されている。
【0058】
図2の位置推定処理を実行して位置推定装置30から出力される車両の幅員方向の位置は、例えば、車線を維持して目標の幅員方向の位置を走行するように車両の走行を制御する場合に、目標の幅員方向の位置とのずれ量を算出するために使用される。
[1−3.効果]
以上説明した第1実施形態によると、以下の効果を得ることができる。
【0059】
(1)路側物の形状が幅員方向に変化する幅員変化点が存在する場合、地図位置取得部34が取得する幅員変化点124の相対位置204と、車載センサが検出する車両100に対する幅員変化点124の相対位置214との進行ずれ量に基づいて、位置推定部32が推定する車両100の進行方向における位置を補正する。
【0060】
そして、進行方向の位置を補正された補正後の車両110の進行方向の位置の精度に応じて車両100の幅員方向の位置を補正するので、進行位置の精度に応じて車両100の幅員方向の位置を補正できる。これにより、幅員方向の車両100の位置を、進行方向の位置の精度に応じて高精度に推定できる。
【0061】
(2)道路標識等のように、単体で地図データ上の位置と車両に対する相対位置とを取得できる路側物が車両の周囲に存在しない場合にも、幅員変化点に基づいて車両100の幅員方向における位置を高精度に補正できる。
【0062】
以上説明した第1記実施形態において、カメラ10、LIDAR12が路側物を検出する車載センサに対応し、車速センサ16、ジャイロセンサ18が自律航法に使用されるセンサに対応し、縁石120、壁122が路側物に対応し、幅員変化点124が形状変化点に対応する。
【0063】
また、第1実施形態において、S400が位置推定部としての処理に対応し、S402が地図位置取得部としての処理に対応し、S404、S406がセンサ位置取得部としての処理に対応し、S408、S410が変化検出部としての処理に対応し、S412、S416、S418が幅員補正部としての処理に対応し、S414が進行補正部としての処理に対応する。
【0064】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態の位置推定装置の基本的な構成は第1実施形態の位置推定装置30と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0065】
第2実施形態では、形状変化点として、さらに、以下に説明する高さ変化点と勾配変化点とを検出する点が第1実施形態と異なる。
[2−2.処理]
第2実施形態では、変化検出部38は、路側物の形状が変化する形状変化点として、
図6に示すように、縁石120と壁122との境界のように高さの異なる高さ変化点216を検出する。
【0066】
また、変化検出部38は、形状変化点として、
図7に示す幅員方向における縁石120の基準の勾配方向を0°とした勾配方向の分布と、
図8に示す幅員方向における壁122の勾配方向の分布とが進行方向で変化する勾配変化点を検出する。
図6において、高さ変化点216と勾配変化点218とは、縁石120と壁122との境界が示す同じ位置になる。
【0067】
図7において、縁石120の断面形状を台形として図示しているので、幅員方向において道路と反対側の縁石120の面は隠れており勾配方向を検出できない。したがって、
図7では、勾配方向の異なる縁石120の2面を表す2個のピークが勾配方向の分布として示されている。
【0068】
また、
図8において、壁122の一面の勾配方向だけが検出されるので、1個のピークが勾配方向の分布として検出される。
図7および
図8において、出現頻度が0になる勾配方向が存在しないのでは、ノイズのためである。
【0069】
変化検出部38は、縁石120と壁122との
図7および
図8の矢印で示す勾配方向を、カメラ10であれば画像データを解析して検出し、LIDAR12であれば反射光の強弱に基づいて検出する。そして、勾配方向と、幅員方向における勾配方向の出現頻度との関係を勾配分布として生成する。
【0070】
進行補正部40は、地図位置取得部34が取得する車両100に対する高さ変化点216または勾配変化点218の相対位置と、センサ位置取得部36が取得する車両100に対する高さ変化点216または勾配変化点218の相対位置との進行ずれ量を算出する。そして、進行補正部40は、進行ずれ量に基づいて進行方向における車両100の位置を補正する。
【0071】
[2−3.効果]
第2実施形態によると、第1実施形態の効果(1)、(2)に加え、以下の効果を得ることができる。
【0072】
縁石120と壁122との幅員方向の形状の変化量が所定量未満であり、縁石120と壁122との境界を幅員変化点として検出できない場合、形状変化点として高さ変化点216または勾配変化点218を検出できれば、進行方向における車両100の位置を補正できる。
【0073】
[3.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、車両の進行方向において幅員変化点の前の路側物が幅員変化点の後ろの路側物を遮蔽する遮蔽度に応じて、車両の進行方向の位置の精度を設定した。これ以外にも、自律航法により算出する変位量で時間経過に伴って車両の位置を更新する時間の長さが長くなるほど、車両の進行方向の位置の精度を低く設定してもよい。
【0074】
(2)車両の周囲の路側物を検出する車載センサとして、LIDAR12に代えてミリ波レーダを使用してもよい。
(3)第2実施形態では、縁石120と壁122との境界を高さ変化点216または勾配変化点218として検出した。これ以外にも、車両の進行方向において、高さだけが変化する路側物であれば、高さの変化する位置を高さ変化点として検出できる。また、例えば、車両の進行方向において、幅員方向の勾配分布だけが変化する路側物であれば、勾配分布が変化する位置を勾配変化点として検出できる。
【0075】
(4)上記実施形態における一つの構成要素が有する複数の機能を複数の構成要素によって実現したり、一つの構成要素が有する一つの機能を複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を一つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される一つの機能を一つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。尚、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0076】
(5)上述した位置推定装置30の他、当該位置推定装置30を構成要素とする位置推定システム2、当該位置推定装置30としてコンピュータを機能させるための位置推定プログラム、この位置推定プログラムを記録した記録媒体、位置推定方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。