(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置および車両用表示装置の表示方法につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図1から
図9を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置および車両用表示装置の表示方法に関する。
図1は、実施形態に係る車両用表示装置の正面図、
図2は、実施形態の車両用表示装置においてリングが第二の位置にある状態を示す正面図、
図3は、実施形態に係る画像表示装置の正面図、
図4は、実施形態の画像表示装置における通常表示を示す正面図、
図5は、実施形態の画像表示装置における警告表示の開始を示す正面図、
図6は、実施形態の画像表示装置におけるアニメーション表示の説明図、
図7は、実施形態の画像表示装置におけるアニメーション表示後を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用表示装置1は、筐体2、画像表示装置3、リング4、および文字板5を有する。本実施形態の車両用表示装置1は、車両用のメータ装置としての表示機能を有している。車両用表示装置1は、車両における運転者の前方に配置され、例えば、インストルメントパネルに配置される。
【0013】
筐体2は、画像表示装置3、リング4、および文字板5を含む部材や装置を内部に収容して保持する。筐体2は、開口21を有する。筐体2は、開口21を運転者側に向けて、言い換えると車両後方に向けて配置される。以下では、車両用表示装置1の説明において車両前後方向の後側を「前面側」と称し、車両前後方向の前側を「背面側」と称する。車両用表示装置1は、前面側を運転者に向けて配置されている。運転者は、開口21を介して画像表示装置3、リング4、および文字板5を視認する。
【0014】
図1に示すように、正面から見た場合の筐体2の形状は、車幅方向Wの長さが車両上下方向Hの長さよりも長い矩形状である。筐体2は、金属や合成樹脂等によって形成されている。筐体2の前面には、開口21から前面側に向けて突出する見返し22が設けられている。見返し22は、筒状の構成部であり、筐体2の本体部分と一体に形成されている。見返し22の前面側は、透明なカバーによって閉塞される。
【0015】
文字板5は、板状の部材であり、開口21を背面側から閉塞するように配置されている。文字板5は、例えば、合成樹脂で形成されている。文字板5は、筐体2に対して固定されている。文字板5の中央部には、窓51が設けられている。窓51は、光を透過させる部分である。窓51は、文字板5を貫通する貫通孔であってもよく、文字板5に設けられた透光性の領域であってもよい。窓51の形状は、車幅方向Wの長さが車両上下方向Hの長さよりも長い横長の形状である。本実施形態の窓51の形状は、矩形の短辺部分を車幅方向Wに向けて円弧状に突出させた形状である。窓51の円弧部分の形状は、リング4の形状と対応している。
【0016】
車幅方向Wにおける窓51の両側には、表示意匠領域52,53が設けられている。表示意匠領域52は、窓51に対して車幅方向Wの一方側に配置され、表示意匠領域53は、窓51に対して車幅方向Wの他方側に配置されている。表示意匠領域52,53には、それぞれ複数の表示意匠54が配置されている。表示意匠54は、車両に関する各種の情報を示す図形や文字である。表示意匠54は、例えば、文字板5に対する印刷の中抜き領域であり、透光性の領域である。表示意匠領域52,53の背面側には、それぞれの表示意匠54に対して光源が配置されている。表示意匠54は、対応する光源が点灯されることにより文字または図形を表示する。
【0017】
画像表示装置3は、文字板5の背面側に配置されている。本実施形態の画像表示装置3は、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。
図3に示すように、画像表示装置3は、液晶表示部31および枠部材32を有する。枠部材32は、液晶表示部31の縁部を囲み、液晶表示部31を支持している。
【0018】
画像表示装置3は、液晶表示部31を前面側に向けて配置されている。液晶表示部31の背面側には、バックライトユニットが配置されている。また、画像表示装置3は、液晶表示部31およびバックライトユニットを制御する制御部を有している。液晶表示部31は、制御部の指令に応じて任意の画像を表示する。液晶表示部31に表示された画像は、バックライトユニットが照射する光によって前面側に向けて投影される。
【0019】
文字板5の窓51の大きさは、液晶表示部31の大きさよりも小さい。窓51は、液晶表示部31の主要部と対向している。運転者側からは、窓51を介して液晶表示部31の主要部を視認可能である。文字板5は、窓51の周辺部分によって液晶表示部31の縁部や液晶表示部31を保持する枠部材32を運転者側から遮蔽している。液晶表示部31において、窓51に対応する領域を「画像表示領域31a」(
図3参照)と称する。画像表示領域31aは、各種の画像が表示される領域であり、運転者側から視認可能な領域である。
【0020】
図1に戻り、リング4は、文字板5の前面側に配置された部材である。本実施形態のリング4の形状は、円環形状である。リング4の外径D1は、開口21の車両上下方向Hにおける最大幅H1よりもわずかに小さい。リング4の内径D2は、窓51の車両上下方向Hの幅H2よりも小さい。リング4の上端は、窓51の上端よりも車両上側に位置しており、リング4の下端は、窓51の下端よりも車両下側に位置している。
【0021】
本実施形態のリング4は、文字板5に対して車幅方向Wに相対移動可能である。より詳しくは、リング4の上端部は、図示しない上側保持部材を介して駆動機構に連結されている。上側保持部材は、筐体2に取り付けられたカバー部材6によって運転者側から遮蔽されている。駆動機構は、モータやギアを有しており、モータが発生する回転トルクを車幅方向Wの駆動力に変換してリング4に伝達する。駆動機構は、モータの回転方向を切り替えることによりリング4を車幅方向Wの左側LSあるいは右側RSに向けて移動させる。
【0022】
また、リング4の下端部は、図示しない下側保持部材を介して案内部に接続されている。下側保持部材は、筐体2に取り付けられたカバー部材7によって運転者側から遮蔽されている。案内部は、車幅方向Wに沿って延在するガイドレール等である。案内部によって車幅方向Wにおけるリング4の可動範囲が規定されている。本実施形態のリング4は、
図1に示す第一の位置と
図2に示す第二の位置との間で車幅方向Wに移動可能である。第一の位置は、リング4の可動範囲における最も車両左側LSの位置である。第二の位置は、リング4の可動範囲における最も車両右側RSの位置である。
【0023】
本実施形態における第一の位置は、開口21における車幅方向Wの中央部である。第一の位置は、窓51における車幅方向Wの中央部でもある。本実施形態における第二の位置は、開口21における車両右側RSの端部寄りの位置である。第二の位置は、窓51における車両右側RSの端部である。より具体的には、第二の位置にあるリング4は、
図2に示すようにその右端部42が窓51の右端部と重なる。
【0024】
図4に示すように、画像表示装置3は、画像表示領域31aに目盛り画像61、指針画像62、車速画像63、シフトポジション画像64、走行情報画像65等を表示する。画像表示装置3は、これらの画像61,62,63,64,65をリング4よりも内側の領域である内側領域31bに表示する。内側領域31bは、画像表示領域31aの一部の領域である。内側領域31bの位置は、車幅方向Wに沿ったリング4の移動に応じて変化してもよい。ただし、これに限定されるものではなく、内側領域31bは、リング4が第一の位置にあるときに囲まれる位置や第二の位置にあるときに囲まれる位置であってもよい。
【0025】
目盛り画像61は、車両に搭載された駆動源の出力速度に対応する物理量の指標として表示される。本実施形態では、駆動源がエンジンであり、出力速度に対応する物理量がエンジン回転速度[RPM]である。指針画像62は、エンジン回転速度の現在値を示す指針として表示される。より具体的には、指針画像62は、周方向に沿って配置された複数の目盛り画像61のうち、現在のエンジン回転速度に対応する位置の目盛り画像62を指し示すように表示される。
【0026】
車速画像63は、車両の現在の走行速度を示す数字の画像である。車速画像63は、内側領域31bにおける中心よりも画像上下方向の上側の位置に表示される。シフトポジション画像64は、現在のシフトポジションを示す画像である。シフトポジション画像64は、画像横方向における車速画像63の右側に表示される。走行情報画像65は、車両の走行情報の画像である。走行情報画像65は、現在までの走行距離[miles]についての数字や現在の燃費[MPG]についての数字を含む。走行情報画像65は、車速画像63およびシフトポジション画像64に対して画像上下方向の下側に表示される。
【0027】
本実施形態の車両用表示装置1は、
図5から
図7を参照して説明するように、画像表示領域31aの一部の領域31c(
図5および
図6参照)に警告を割り込みで表示する。以下の説明では、この一部の領域31cを「割り込み領域31c」と称する。本実施形態の車両用表示装置1は、割り込み領域31cに警告を割り込み表示する場合、割り込み領域31cに警告画像70および枠画像71を表示する。車両用表示装置1は、枠画像71の表示開始時に枠画像71の位置および形状の少なくとも一方を変化させるアニメーション表示を行う。枠画像71がアニメーション表示されることで、警告画像70が表示されたことに運転者が気づきやすくなる。
【0028】
本実施形態の割り込み領域31cは、内側領域31bの一部の領域である。より詳しくは、割り込み領域31cは、内側領域31bの中央部分から内側領域31bの下部にかけての領域である。本実施形態の割り込み領域31cの形状は、矩形である。割り込み領域31cは、車速画像63が表示される領域およびシフトポジション画像64が表示される領域よりも下側の領域である。また、割り込み領域31cは、走行情報画像65が表示される領域と重なる領域である。
【0029】
本実施形態の警告画像70は、
図7に示すように、図形画像70Aおよび文字画像70Bを有する。図形画像70Aは、警告内容を示す図形の画像である。文字画像70Bは、警告内容を示す文字の画像である。警告内容には、例えば、車両の駆動源や制動装置、変速装置等に関する警告や、車両の制御システムに関する警告などが含まれる。警告画像70は、図形画像70Aおよび文字画像70Bの何れか一方であってもよい。本実施形態では、図形画像70Aが割り込み領域31cにおける中央よりもわずかに上側の位置に表示される。文字画像70Bは、割り込み領域31cにおける図形画像70Aの下側に表示される。
【0030】
本実施形態の枠画像71は、上側枠画像72および下側枠画像73を有する。上側枠画像72は、警告画像70を上側から囲む。下側枠画像73は、警告画像70を下側から囲む。上側枠画像72は、直線部72aおよび突出部72bを有する。直線部72aは、割り込み領域31cの一端から他端まで画像横方向に沿って延在する。突出部72bは、直線部72aの両端から画像下側に向けて突出している。下側枠画像73は、直線部73aおよび突出部73bを有する。直線部73aは、割り込み領域31cの一端から他端まで画像横方向に沿って延在する。突出部73bは、直線部73aの両端から画像上側に向けて突出している。上側枠画像72と下側枠画像73とは画像上下方向において対向している。対称な形状の上側枠画像72と下側枠画像73との組み合わせは、枠画像71を視認する者に矩形の領域を注視させる。
【0031】
本実施形態の画像表示装置3は、枠画像71の表示開始時に枠画像71の位置および形状の少なくとも一方を変化させるアニメーション表示を行う。
図5に示すように、枠画像71の表示開始時には、割り込み領域31cにおける画像上下方向の中央寄りの位置に枠画像71が表示される。本実施形態の画像表示装置3は、警告画像70の表示開始と同時に枠画像71を表示させる。表示開始時には、上側枠画像72は、割り込み領域31cの上端よりも画像下側の位置に表示される。下側枠画像73は、割り込み領域31cの下端よりも画像上側の位置に表示される。上側枠画像72および下側枠画像73において
図5に示す表示位置を「初期表示位置」と称する。また、
図7に示す上側枠画像72および下側枠画像73の表示位置を「最終表示位置」と称する。
【0032】
画像表示装置3は、
図6を参照して説明するように、枠画像71を初期表示位置から最終表示位置までアニメーション表示する。画像表示装置3は、
図6に矢印Y1で示すように、上側枠画像72の表示位置を初期表示位置から最終表示位置へ徐々に変化させる。画像表示装置3は、上側枠画像72の移動に対応させて
図6に矢印Y2で示すように下側枠画像73の表示位置を初期表示位置から最終表示位置へ徐々に変化させる。すなわち、画像表示装置3は、枠画像71で囲まれる領域を画像上下方向に拡大させるアニメーション表示を行う。
【0033】
このように枠画像71のアニメーション表示が実行されることで、枠画像71が表示されたことに運転者が気づきやすくなる。枠画像71が表示されたことに気づいた運転者は、枠画像71によって囲まれた警告画像70にも気づく。従って、本実施形態の車両用表示装置1は、警告メッセージの表示開始を運転者に認識させやすくすることができる。
【0034】
また、本実施形態の車両用表示装置1は、枠画像71をフェードイン表示させる。
図5に示すように、初期表示位置の枠画像71は、
図7に示す最終表示位置の枠画像71よりも低い輝度で表示される。画像表示装置3は、枠画像71をアニメーション表示させながら、枠画像71の輝度を徐々に増加させていく。アニメーション表示とフェードイン表示の両方が組み合わされることで、運転者にとって枠画像71および警告画像70の出現がより認識しやすくなる。
【0035】
また、本実施形態の画像表示装置3は、枠画像71をフェードイン表示させる際に、割り込み領域31cに表示されていた画像をフェードアウトさせる。本実施形態において、割り込み領域31cに表示されていた画像は、走行情報画像65である。画像表示装置3は、
図5に示すように、枠画像71を初期表示位置に表示させるのと連動して、走行情報画像65の輝度を枠画像71の表示前の輝度よりも低輝度に変化させる。また、画像表示装置3は、
図6に示すように枠画像71をアニメーション表示させていく間に、走行情報画像65をフェードアウトさせる。画像表示装置3は、枠画像71が最終表示位置に移動するまでの間に走行情報画像65の表示を終了させる。
【0036】
本実施形態の画像表示装置3は、枠画像71の表示開始時には警告画像70のうち一部を表示する。
図5に示すように、枠画像71が初期表示位置に表示されたときには、警告画像70のうち枠画像71で囲まれた部分のみが表示される。枠画像71のアニメーション表示によって枠画像71に囲まれる領域が画像上下方向に広がると、その領域の拡大に応じて警告画像70の残りの部分が表示される。このように枠画像71のアニメーション表示によって警告画像70が徐々に現れてくることで、警告画像70に運転者の注意を向けさせることができる。
【0037】
また、本実施形態の画像表示装置3は、指針画像62の透過アニメーションを行う。透過アニメーションにおいて、画像表示装置3は、割り込み領域31cの背面側に指針画像62が存在しているかのように指針画像62を表示する。透過アニメーションは、例えば、指針画像62の前面側に割り込み領域31cに相当する透過部材が配置されているかのように演出するものである。画像表示装置3は、
図7等に示すように、指針画像62における割り込み領域31cに表示される部分62bの輝度を割り込み領域31cの外部に表示される部分62aの輝度よりも低輝度とする。以下の説明では、割り込み領域31cに表示される部分62bを単に「重畳部分62b」と称し、割り込み領域31cの外部に表示される部分62aを単に「露出部分62a」と称する。画像表示装置3は、重畳部分62bに対して透過率を下げるマスク処理を行う。マスク処理後の重畳部分62bの輝度は、運転者から視認可能な輝度とされる。すなわち、画像表示装置3は、マスク処理において、運転者によって視認可能な範囲で重畳部分62bの輝度を低下させる。
【0038】
画像表示装置3は、指針画像62が回動する場合、指針画像62の回動に応じて露出部分62aの形状および重畳部分62bの形状を変化させる。よって、運転者には、警告画像70および枠画像71が指針画像62よりも前面側に現れているかのように見える。従って、本実施形態の車両用表示装置1は、警告メッセージの存在を運転者に認識させやすくすることができる。
【0039】
本実施形態の画像表示装置3は、警告表示を終了する場合、警告表示の開始時とは逆のアニメーション表示を行う。すなわち、画像表示装置3は、枠画像71を画像上下方向に沿って互いに近づく方向に移動させるアニメーション表示を行ってから枠画像71の表示を終了する。また、画像表示装置3は、警告表示を終了する場合、警告画像70および枠画像71をフェードアウトさせる。このフェードアウトは、枠画像71のアニメーション表示と並行してなされる。更に、警告画像70および枠画像71のフェードアウトと並行して走行情報画像65のフェードイン表示がなされる。警告表示の終了時にアニメーション表示やフェードアウトがなされることで、運転者に警告表示の終了を認識させやすくなる。
【0040】
本実施形態の画像表示装置3は、
図8および
図9を参照して説明するように、運転者の操作に応じてギア段表示を切り替える。
図8および
図9に符号31dで示す領域は、可変領域である。通常の走行中は、
図8に示すように可変領域31dには車速画像63が表示される。車速画像63は、可変領域31dの中央に大きな文字サイズで表示される。運転者のパドルシフト操作によるギア段変更がなされたり、運転者によってマニュアルモードへ移行する操作がなされたりした場合、
図9に示すように可変領域31dには車速画像63に加えてギア段画像66が表示される。
【0041】
画像表示装置3は、ギア段画像66を表示させる際に、車速画像63のアニメーション表示を行う。車速画像63のアニメーション表示は、車速画像63を可変領域31dの上部の領域に向けて移動させながら車速画像63の文字サイズを縮小させるものである。車速画像63のアニメーション表示により、可変領域31dの下部の領域が確保される。ギア段画像66は、可変領域31dの下部の領域に表示される。画像表示装置3は、ギア段画像66のアニメーション表示と、車速画像63の表示を並行して行う。画像表示装置3は、車速画像63を移動させつつギア段画像66をフェードイン表示させる。画像表示装置3は、更に、ギア段画像66を車速画像63と同方向に移動させるアニメーション表示を行ってもよい。
【0042】
運転者がパドル操作によるギア段の変更を行ったり、マニュアルモードへの移行操作を行ったりした場合、運転者にとって現在のギア段に関する情報の優先度合いが高くなる。また、このような場合には、表示情報の優先度として、デジタル車速よりもギア段数の表示を運転者が要求していると考えられる。本実施形態の画像表示装置3は、ギア段数の表示優先度が高くなった場合にギア段画像66を可変領域31dに表示することで、運転者に対して必要な情報を適切に提供することができる。走行状態に応じて可変領域31dに車速画像63を単独で表示する状態と、可変領域31dに車速画像63およびギア段画像66を表示する状態とを切り替えることで、限られた表示スペースを有効利用することができる。本実施形態の車両用表示装置1は、車両と一体となった操作感を演出することが可能となり、よりスポーツマインドを掻き立てるメータとなっている。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、車両における運転者の前方に配置され、画像を表示する画像表示装置3を有する。画像表示装置3は、画像表示領域31aの割り込み領域31cに警告を割り込み表示する場合、割り込み領域31cに警告内容を示す警告画像70および枠画像71を表示する。枠画像71は、警告画像70を囲む任意の画像である。画像表示装置3は、枠画像71の表示開始時に枠画像71の位置および形状の少なくとも一方を変化させるアニメーション表示を行う。本実施形態の車両用表示装置1は、枠画像71のアニメーション表示によって警告画像70の表示開始を適切に運転者に認識させることができる。
【0044】
また、本実施形態の画像表示装置3は、枠画像71のアニメーション表示において、枠画像71を割り込み領域31cの中央寄りの位置から割り込み領域31cの縁に向けて移動させる。言い換えると、アニメーション表示において、枠画像71を警告画像70から離れる方向へ向けて移動させる。これにより、割り込み領域31cの大きさを有効に利用して目立ちやすい警告画像70を表示することが可能となる。
【0045】
本実施形態の画像表示装置3は、枠画像71のアニメーション表示において、更に、枠画像71をフェードイン表示させる。従って、警告表示の開始が運転者によって認識されやすくなる。
【0046】
本実施形態の車両用表示装置1において、画像表示装置3は、車両の駆動源の出力速度に対応する物理量を示す指針画像62を画像表示領域31aに表示する。画像表示装置3は、指針画像62が割り込み領域31cと重なる場合、指針画像62における割り込み領域31cに表示される部分62bの輝度を、割り込み領域31c以外に表示される部分62aの輝度よりも低輝度とする。従って、警告画像70を認識し易くしたまま指針画像62を視認可能とする。
【0047】
本実施形態の車両用表示装置の表示方法は、車両用表示装置1における割り込み領域31cに警告を割り込み表示する割り込み表示ステップを含む。割り込み表示ステップは、
図5から
図7に示されている。上記表示方法は、割り込みステップにおいて、割り込み領域31cに警告内容を示す警告画像70および枠画像71を表示し、枠画像71の表示開始時に枠画像71の位置および形状の少なくとも一方を変化させるアニメーション表示を行う。本実施形態の車両用表示装置の表示方法は、警告表示の開始を適切に認識させることができるという効果を奏する。
【0048】
なお、警告表示の開始時に走行情報画像65の表示を終了させる方法は、フェードアウトには限定されない。例えば、走行情報画像65の表示はONからOFFへ瞬時に切り替えられてもよい。この場合、走行情報画像65の表示がOFFとなってから警告表示が開始されてもよい。
【0049】
警告画像70の表示開始と枠画像71の表示開始は同時でなくてもよい。例えば、枠画像71が先に表示されてから警告画像70が表示されてもよい。この場合に、枠画像71のアニメーション表示の途中で警告画像70が表示されても、枠画像71のアニメーション表示が終了してから警告画像70が表示されてもよい。
【0050】
警告画像70が枠画像71よりも先に表示されてもよい。この場合、警告画像70が既に表示された状態で枠画像71が表示され、枠画像71のアニメーション表示がなされる。警告画像70がフェードイン表示される場合、警告画像70のフェードイン表示の途中で枠画像71が表示されても、フェードイン表示の終了と同時に枠画像71が表示されても、フェードイン表示の終了後に枠画像71が表示されてもよい。
【0051】
枠画像71は、上側枠画像72あるいは下側枠画像73の何れか一方であってもよい。枠画像71は、画像上下方向において警告画像70を囲むことに代えて、画像横方向において警告画像70を囲んでもよい。枠画像71は、本実施形態のように閉じていないものに代えて、警告画像70の周りを囲む閉じた形状のものであってもよい。例えば、枠画像71の形状は、警告画像70を囲む矩形やその他の多角形、円形等であってもよい。
【0052】
枠画像71の形状は、例示したものには限定されない。本実施形態の枠画像71は矩形の一部であったが、これに代えて、その他の多角形の一部、円形の一部等であってもよい。
【0053】
枠画像71の表示開始時におけるアニメーション表示は、例示したものには限定されない。例えば、アニメーション表示における枠画像71の移動方向は、互いに近づく方向であってもよい。この場合、初期表示位置は、割り込み領域31cにおける最も外側の位置とされてもよい。なお、本実施形態で例示したようにアニメーション表示において枠画像71を割り込み領域31cの中央寄りの位置から割り込み領域31cの縁に向けて移動させる場合、警告画像70のサイズを大きく設定できるという効果がある。すなわち、割り込み領域31cを最大限に使って警告画像70を表示させることができる。
【0054】
画像表示装置3は、アニメーション表示において、枠画像71の位置を変化させることに加えて、あるいは位置を変化させることに代えて、枠画像71の形状を変化させてもよい。例えば、画像表示装置3は、アニメーション表示において、画像横方向における枠画像71の長さを変化させてもよい。その一例として、表示開始時のアニメーション表示において枠画像71が画像横方向に伸ばされてもよい。また、アニメーション表示において、枠画像71の太さが変化させられてもよい。
【0055】
割り込み領域31cは、内側領域31b以外の部分に設けられてもよい。例えば、割り込み領域31cは、画像表示領域31aにおけるリング4の外側に設けられてもよい。また、割り込み領域31cの位置は、固定されていなくてもよい。割り込み領域31cの位置は、例えば、画像表示領域31aにおける相対的に優先度の低い画像が表示されている領域に設定されてもよい。
【0056】
[実施形態の変形例]
実施形態の変形例について説明する。
図10は、実施形態の変形例に係る警告表示の説明図である。変形例において、画像表示装置3は、
図10に示すように複数の警告画像70C,70Dを交互に表示する。複数の警告表示を行う際に、一つの割り込み領域31cに複数の警告画像70C,70Dが交互に表示される。これにより、警告表示のためのスペースを最小限とすることができる。
【0057】
画像表示装置3は、新たに発生した警告を表示する場合、その警告表示が初めて表示されることを運転者に認識させやすくする。具体的には、画像表示装置3は、それぞれの警告表示70C,70Dが割り込み領域31cに初めて表示される場合は枠画像71のアニメーション表示を行い、警告表示70C,70Dが二回目以降に割り込み領域31cに表示される場合は枠画像71のアニメーション表示を行わない。
【0058】
図10を参照して変形例の警告表示方法について説明する。
(a)第一の警告画像70Cが割り込み領域31cに初めて表示される場合、画像表示装置3は枠画像71の表示開始時に枠画像71のアニメーション表示を行う。アニメーション表示がなされることで、運転者は第一の警告画像70Cが初めて表示されることを容易に知ることができる。
【0059】
(b)次に、第二の警告画像70Dが割り込み領域31cに初めて表示される。この場合、画像表示装置3は、枠画像71の表示開始時に枠画像71のアニメーション表示を行う。アニメーション表示がなされることで、運転者は第二の警告画像70Dが初めて表示されることを容易に知ることができる。言い換えると、運転者は、新たに警告が発生したことを容易に知ることができる。
【0060】
(c)次に、第一の警告画像70Cが再び割り込み領域31cに表示される。二回目以降の表示では、画像表示装置3は枠画像71のアニメーション表示を行わない。従って、運転者は、第一の警告画像70Cが新たに発生した警告のものではないことを容易に知ることができる。
【0061】
(d)次に、第二の警告画像70Dが再び割り込み領域31cに表示される。二回目以降の表示では、画像表示装置3は枠画像71のアニメーション表示を行わない。
【0062】
以上説明したように、本変形例の画像表示装置3は、割り込み領域31cに複数の警告画像70C,70Dを交互に切り替えて表示する場合、それぞれの警告画像70C,70Dが割り込み領域31cに初めて表示される場合は枠画像71のアニメーション表示を行い、警告画像70C,70Dが二回目以降に割り込み領域31cに表示される場合はアニメーション表示を行わない。よって、本変形例の画像表示装置3は、それぞれの警告画像70C,70Dの表示開始を適切に運転者に認識させることができる。
【0063】
なお、本変形例において、交互に切り替えて表示される警告画像70の数は、三以上であってもよい。
【0064】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。