(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された構成では、凹部内に収容されているサーミスタが凹部内で動いてしまう(位置ずれしてしまう)可能性があり、サーミスタの位置がばらつく状態では、検知される温度にバラツキが生じる虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート内における温度検知部の位置を安定させることが可能な乗物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、クッションパッドと、該クッションパッドが載せられる底壁と、前記クッションパッドの上面に取り付けられる温調部と、該温調部の作動中に前記クッションパッドと前記底壁との間で温度を検知する温度検知部と、前記クッションパッドの下面に形成された窪み状の収容部と、前記温度検知部が取り付けられた状態で前記収容部に嵌まり込むことで、前記温度検知部を前記収容部内で保持する保持部と、を有し、該温度検知部は、前記収容部内において前記クッションパッドの下面と前記保持部の上面との間に位置した状態で前記保持部によって保持され
ており、前記底壁上の前記乗物用シートの幅方向における略中央の位置には、前記保持部と並ぶ位置で突出している突出部が設けられていることにより解決される。
【0008】
以上のように構成された本発明の乗物用シートでは、クッションパッド及び底壁のうちの一方において他方と対向する部分に、窪み状の収容部が形成されている。また、収容部には、温度検知部が取り付けられた状態の保持部が嵌まり込んでいる。これにより、温度検知部は、収容部内においてクッションパッドと保持部との間に位置した状態で保持される。この結果、収容部内における温度検知部の位置を安定させ、温度検知部の位置ずれを抑えることが可能となる。
【0009】
また、上記の構成において、
前記突出部は、前記クッションパッドの底面に接触しているとともに、前記乗物用シートの幅方向において前記収容部と隣接しているとよい。
上記の構成では、底壁に設けられた突出部が保持部と並ぶ位置にある。また、突出部は、クッションパッドの底面に接触している。このような構成であれば、クッションパッドに対して荷重が掛かった際、当該荷重が作用する方向の先に突出部が存在することで、クッションパッドの変形や変位を抑えることが可能となる。この結果、クッションパッドの変形や変位に起因して保持部及び温度検知部の位置ずれを抑えることが可能となる。
【0010】
また、上記の構成において、前記突出部は、前記乗物用シートの厚み方向において前記クッションパッドが位置する側に向かって突出した凸部であり、該凸部の突出量は、前記厚み方向における前記保持部の長さよりも長いとよい。
上記の構成では、保持部よりも長い突出部(凸部)が、乗物用シートの厚み方向においてクッションパッドが位置する側に向かって突出している。これにより、例えばクッションパッドが上方から押圧された際、凸部が押圧荷重を受け止めるようになる。このような構成であれば、乗物用シートの厚み方向において荷重がクッションパッドに掛かった際に、保持部及び温度検知部の位置ずれを抑えることが可能となる。
【0011】
また、上記の構成において、前記突出部は、前記乗物用シートの前後方向において前記保持部よりも前側に設けられている前側壁であり、該前側壁は、前記乗物用シートの厚み方向において前記クッションパッドが位置する側に向かって突出しているとよい。
上記の構成では、乗物用シートの厚み方向においてクッションパッドに位置する側に向かって突出した突出部(前側壁)が、保持部よりも前側に設けられている。これにより、例えばクッションパッドが前方から押圧された際、前側壁が押圧荷重を受け止めるようになる。このような構成であれば、乗物用シートの前方から荷重がクッションパッドに掛かった際に、保持部及び温度検知部の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0012】
また、上記の構成において、前記突出部は、前記乗物用シートの幅方向において前記保持部よりも外側に設けられている側方壁であり、該側方壁は、前記乗物用シートの厚み方向において前記クッションパッドが位置する側に向かって突出しているとよい。
上記の構成では、乗物用シートの厚み方向においてクッションパッドに位置する側に向かって突出した突出部(側方壁)が、乗物用シートの幅方向において保持部よりも外側に設けられている。これにより、例えばクッションパッドが側方から押圧された際、側方壁が押圧荷重を受け止めるようになる。このような構成であれば、乗物用シートの側方から荷重がクッションパッドに掛かった際に、保持部及び温度検知部の位置ずれを抑制することが可能となる。
【0013】
また、上記の構成において、前記温度検知部は、検知した温度に応じた信号を出力し、前記温度検知部には、前記信号の伝送路をなすケーブルが接続されており、前記収容部は、前記クッションパッドの底部に形成されており、前記クッションパッドの底部において前記収容部と隣接している部分には、前記ケーブルのうち、前記収容部の端から前記収容部の外に出ている部分が入り込むための凹部が形成されているとよい。
上記の構成では、温度検知部から出力された信号の伝送路をなすケーブル(厳密には、収容部の外に出た部分)がクッションパッドの底部のうち、収容部と隣接している凹部に入り込んでいる。これにより、シート着座時にクッションパッドに掛かる荷重によって上記のケーブルが潰れてしまうのを抑制することが可能となる。
【0014】
また、上記の構成において、前記温度検知部は、緩衝材に包まれた状態で前記保持部に取り付けられており、前記収容部内では、前記温度検知部を包んだ前記緩衝材が前記保持部と前記クッションパッドの間に挟まれているとよい。
上記の構成では、温度検知部とクッションパッドや保持部との間に緩衝材が配置されている。このような構成であれば、温度検知部に掛かる荷重を緩衝材によって軽減し、温度検知部を保護することが可能となる。
【0015】
また、上記の構成において、前記乗物用シートは、乗物において外に露出した状態で搭載されており、前記保持部は、断熱性を有するクッション材からなるとよい。
上記の構成では、収容部の内部空間が保持部及びクッションパッドによって断熱される。これにより、乗物用シート自体が外気に晒された状態であっても、収容部内の温度検知部が精度よくシート温度を検知することが可能となる。この結果、検知温度に基づく温調部の制御が精度よく行われるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の乗物用シートによれば、収容部内における温度検知部の位置を安定させ、温度検知部の位置ずれを抑えることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、クッションパッドに対して荷重が掛かった際に保持部及び温度検知部の位置ずれを抑えることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、乗物用シートの厚み方向において荷重がクッションパッドに掛かった際に、保持部及び温度検知部の位置ずれを抑えることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、乗物用シートの前方から荷重がクッションパッドに掛かった際に、保持部及び温度検知部の位置ずれを抑制することが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、乗物用シートの側方から荷重がクッションパッドに掛かった際に、保持部及び温度検知部の位置ずれを抑制することが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、温度検知部から出力された信号の伝送路をなすケーブルがシート着座時に潰れてしまうのを抑制することが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、温度検知部に掛かる荷重を緩衝材によって軽減し、温度検知部を保護することが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、乗物用シート自体が外気に晒された状態であっても、収容部内の温度検知部が精度よくシート温度を検知することが可能となり、検知温度に基づく温調部の制御が精度よく行われるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)に係る乗物用シートについて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例であり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0019】
以下では、乗物の一例として自動二輪車Vを挙げ、自動二輪車Vに搭載されたシート(以下、二輪車用シートS)を本発明の乗物用シートの一例とし、二輪車用シートSの構成について説明することとする。ただし、本発明は、自動二輪車以外の乗物、例えば、自動三輪車、乗用車等の四輪車、あるいは船舶や航空機等に搭載された乗物用シートに対しても適用可能である。
【0020】
以下の説明中、「前後方向」とは、二輪車用シートSの前後方向に相当し、自動二輪車Vの走行方向と一致する。また、「幅方向」とは、二輪車用シートSの幅方向(横幅方向)に相当し、自動二輪車Vを正面したときの左右方向と一致する。また、「厚み方向」とは、二輪車用シートSの厚み方向に相当し、前後方向及び幅方向の双方に直交する方向である。厚み方向は、自動二輪車Vが水平面上で直立しているときには鉛直方向と一致する。なお、後に参照する各図(
図1〜
図13)では、前後方向、幅方向及び厚み方向のうち、図示し得る方向を矢印にて図示している。
【0021】
なお、以下では、二輪車用シートSを構成する各パーツの位置や状態を説明する際、特に断る場合を除き、自動二輪車Vが水平面上で直立している状態(左右に傾いていない状態)にあるときの内容を説明することとする。
【0022】
<<本実施形態に係る二輪車用シートの基本構成>>
本実施形態に係る二輪車用シートS(以下、単に二輪車用シートS)の基本構成について、
図1乃至
図3を参照しながら説明する。
図1は、二輪車用シートSを搭載した自動二輪車Vの側面図である。
図2Aは、後述のバックレストSbが取り付けられた状態の二輪車用シートSを示す斜視図である。
図2Bは、バックレストSbが取り外された状態の二輪車用シートSを示す斜視図である。
図3は、二輪車用シートSの構成機器図であり、二輪車用シートSを各構成パーツに分解した図である。
【0023】
二輪車用シートSは、自動二輪車Vの乗員が跨いで着座する跨座式のシートであり、
図1に図示したように、自動二輪車Vにおいて外に露出した状態で搭載されている。すなわち、二輪車用シートSは、外気に晒された状態で使用される。本実施形態において、二輪車用シートSは、
図2A及び
図2Bに示すように、前側部分及び後側部分にそれぞれ乗員が着座可能な二人乗り用のシートである。すなわち、二輪車用シートSの前側部分が前側座席Sfを構成しており、後側部分が後側座席Srを構成している。
【0024】
二輪車用シートSにおいて後側座席Srは、
図2Bに示すように、前側座席Sfの後端よりも一段高い位置にある。より詳しく説明すると、二輪車用シートSにおいて前側座席Sfと後側座席Srとの間には段差部Stが設けられている。段差部Stは、前後方向及び厚み方向に対して傾斜しており、具体的には、上方に向かうほど後側に位置するように傾斜している。
【0025】
また、
図2Aに示すように、二輪車用シートSにおいて、後側座席Srの前端部にはバックレストSbが設けられている。バックレストSbは、一人の乗員のみが二輪車用シートSの前側座席Sfに着座しているときに当該乗員(すなわち、前側座席Sfに着座している乗員)の背を支持するものである。バックレストSbは、バックレストSbの前面が段差部Stの前面と連続するように配置されている。
【0026】
また、バックレストSbは、シート本体(二輪車用シートSのうち、バックレストSb以外の部分)に対して着脱可能である。より詳しく説明すると、バックレストSbは、後側座席Srの前端部に設けられた差し込み孔にバックレストSbの下部(厳密には、不図示のピラー)が差し込まれることでシート本体に取り付けられている。反対に、上記の差し込み孔からバックレストSbのピラーを引き抜くことでバックレストSbがシート本体から取り外される。
【0027】
なお、バックレストSbが取り外された状態では、
図2Bに示すように、後側座席Srの前端部において上記の差し込み孔が樹脂カバーScによって塞がれている。
【0028】
二輪車用シートSは、
図3に示すように、底壁をなすボトムプレート10の上面にクッションパッド20を載置し、クッションパッド20を表皮Rで覆うことによって構成されている。また、本実施形態では、前側座席Sfを構成するクッションパッド20と、後側座席Srを構成するクッションパッド20と、が別々に設けられている。各クッションパッド20は、ウレタン等のクッション材を所定形状に成形することで構成されている。また、クッションパッド20の厚み(厚み方向における長さ)は、通常の二輪車用シートに用いられるクッションパッドの厚みと略同じである。
【0029】
また、
図3に示すように、二輪車用シートSには、上述した機器(ボトムプレート10、クッションパッド20及び表皮R)の他に、温調部としての電熱ヒータ30が備えられている。電熱ヒータ30は、シート表面(具体的には、乗員の臀部と当接する面)を加温するために用いられ、クッションパッド20と表皮Rとの間に配置されている。より具体的に説明すると、電熱ヒータ30は、クッションパッド20の上端面に貼り付けられている。
【0030】
なお、
図3に図示のシート構成では、前側座席Sf及び後側座席Srの各々に電熱ヒータ30が一つずつ設けられている。つまり、前側座席Sfを構成するクッションパッド20の上端面、及び、後側座席Srを構成するクッションパッド20の上端面のそれぞれに電熱ヒータ30が一台ずつ取り付けられている。
【0031】
電熱ヒータ30は、不図示の電源から給電されることで作動する。また、電熱ヒータ30のオンオフは、不図示のコントローラ(具体的には、ECU(Electronic Control Unit))によって制御される。このコントローラは、シート温度に応じて各電熱ヒータ30の作動時間(オンとなる時間)を制御する。より具体的に説明すると、二輪車用シートS内には、温度検知部としてのサーミスタ40が配置されている。サーミスタ40は、厚み方向においてクッションパッド20とボトムプレート10との間に配置されている。そして、電熱ヒータ30が作動している間、サーミスタ40は、その配置位置にて周辺温度(サーミスタ40が配置されているスペースの温度であって、厳密には、後述する収容凹部21内の温度)を検知する。上記のコントローラは、サーミスタ40が検知した温度に応じて電熱ヒータ30のオンオフを制御する。
【0032】
なお、サーミスタ40は、温度を検知すると、検知温度に応じた信号を出力する。また、サーミスタ40には、
図3に示すように、上記の伝送路をなすケーブルCが接続されている。ケーブルCは、ボトムプレート10に設けられた貫通孔を通じてボトムプレート10の裏側に回り込み、ボトムプレート10の裏側で上記のコントローラの接続端子(不図示)に接続されている。コントローラは、ケーブルCを介してサーミスタ40からの出力信号を受信する。
【0033】
<<ボトムプレートの構成について>>
ボトムプレート10の構成について
図4を参照しながら説明する。
図4は、ボトムプレート10の斜視図である。ボトムプレート10は、略舟形状に成形された樹脂成形品であり、前側座席Sfを構成する前側部分11と、後側座席Srを構成する後側部分12とを有する。後側部分12は、前側部分11よりも幾分上方に位置している。すなわち、前側部分11と後側部分12との間には段差が形成されている。
【0034】
具体的に説明すると、
図4に示すように、前側部分11と後側部分12の間には、段差部Stを構成する傾斜壁13が設けられている。傾斜壁13は、前後方向及び厚み方向に対して傾斜しており、具体的には、上方に向かうほど後側に位置するように傾斜している。ここで、傾斜壁13は、突出部の一例であり、周囲(傾斜壁13の周囲であり、より具体的には、前側部分11において傾斜壁13の手前位置にある部分)よりも幾分隆起している。また、ボトムプレート10の上にクッションパッド20(厳密には、後側座席Srを構成するクッションパッド20)が載置された状態にあるとき、傾斜壁13は、厚み方向においてクッションパッド20が位置する側に向かって突出しており、クッションパッド20の底面(裏面)に接触している。
【0035】
また、
図4に示すように、後側部分12の幅方向中央部のうち、傾斜壁13の後端と隣り合う部分には、上方に向かって突出したバックレスト取り付け用凸部14が形成されている。ここで、バックレスト取り付け用凸部14は、突出部の一例であり、周囲(バックレスト取り付け用凸部14の周囲であり、例えばバックレスト取り付け用凸部14の脇位置にある部分)よりも幾分隆起している。また、ボトムプレート10の上にクッションパッド20(厳密には、後側座席Srを構成するクッションパッド20)が載置された状態にあるとき、バックレスト取り付け用凸部14は、厚み方向においてクッションパッド20が位置する側に向かって突出しており、クッションパッド20の底面(裏面)に接触している。
【0036】
バックレスト取り付け用凸部14は、幅方向において幾分広がるように隆起しており、バックレスト取り付け用凸部14の頂面から下方に向かって延びた孔(以下、挿入孔14a)を備えている。挿入孔14aは、バックレストSbを取り付ける際にバックレストSbの下部(具体的には、ピラー部)が差し込まれる部分である。また、バックレストSbが取り外された状態では、挿入孔14aの上端開口が樹脂カバーScによって塞がれている。
【0037】
また、
図4に示すように、後側部分12の両側端部(幅方向における両端部)には、上方に向かって突出した側方立壁15が設けられている。ここで、側方立壁15は、突出部の一例であり、周囲(側方立壁15の周囲であり、具体的には、側方立壁15よりも幅方向内側にある部分)よりも隆起している。また、ボトムプレート10の上にクッションパッド20(厳密には、後側座席Srを構成するクッションパッド20)が載置された状態にあるとき、側方立壁15は、厚み方向においてクッションパッド20が位置する側に向かって突出しており、クッションパッド20の底面(裏面)に接触している。
【0038】
また、
図4に示すように、後側部分12において傾斜壁13の後端と隣り合う部分(すなわち、後側部分12中の前端部)のうち、幅方向中央部よりも若干外側に位置する部分には、取付部16が設けられている。取付部16は、後述する保持パッド50を載せて保持パッド50を取り付ける(固定する)ために設けられた部分である。すなわち、後側部分12において取付部16が設けられた部分は、保持パッド50の取り付けスペースを構成している。なお、保持パッド50を適切に設置するために、取付部16の上面は、平坦面となっている。
【0039】
また、
図4に示すように、取付部16の周囲には前述した突出部(すなわち、傾斜壁13、バックレスト取り付け用凸部14及び側方立壁15)が配置されている。具体的に説明すると、取付部16の直ぐ前方位置には傾斜壁13が設けられている。また、取付部16よりも幅方向内側で取付部16と隣接する位置には、バックレスト取り付け用凸部14が設けられている。また、取付部16よりも幅方向外側で取付部16と隣接する位置には、側方立壁15が設けられている。
【0040】
<<クッションパッドの構成>>
次に、クッションパッド20の構成、特に後側座席Srを構成するクッションパッド20について、
図5乃至
図7を参照しながら説明する。
図5は、クッションパッド20を上方から見た図である。
図6は、クッションパッド20を下方から見た図である。
図7は、クッションパッド20の底面のうち、後述する収容凹部21周辺を示した拡大図である。
図7には、収容凹部21と保持パッド50やケーブルCとの位置関係を示すため、保持パッド50及びケーブルCを破線にて図示している。
【0041】
なお、以降の説明では、特に断る場合を除き、後側座席Srを構成するクッションパッド20を単に「クッションパッド20」と呼ぶこととする。
【0042】
本実施形態に係るクッションパッド20は、比較的に高密度なウレタンパッドからなり、
図5及び
図6に図示した外形形状を有する。また、クッションパッド20の上面(厚み方向において乗員を支持する側の面)に電熱ヒータ30が貼り付けられている。より具体的に説明すると、電熱ヒータ30は、ゴム製(具体的には、エチレン・プロピレン・ジエンゴム)のマットからなる基材31と、基材31の下面に貼り合せられた不図示のヒータ線と、を有する。そして、ヒータ線がクッションパッド20の上面に対向した状態で電熱ヒータ30がクッションパッド20の上面に取り付けられている(貼合されている)。
【0043】
なお、本実施形態において、基材31を構成するマットは、独立発泡材によって構成されているが、これに限定されるものではなく、連続発泡材によって構成されてもよい。
【0044】
また、クッションパッド20の底部の下面(すなわち、厚み方向においてボトムプレート10と対向する部分)には、
図6に示すように、窪み状の収容凹部21が形成されている。収容凹部21は、収容部に相当し、周囲(収容凹部21の周囲)よりも厚み方向に幾分窪むことで形成された平面視で矩形状の凹部である。
【0045】
収容凹部21は、
図6に示すように、クッションパッド20の底部の下面において幅方向中央よりも若干外側に設けられている。より詳しく説明すると、ボトムプレート10の後側部分12にクッションパッド20が載置された状態において、収容凹部21は、取付部16の直上に位置する。
【0046】
また、
図7に示すように、クッションパッド20の底部において収容凹部21と隣接している部分には、収容凹部21と連続するケーブル収容凹部22が形成されている。ケーブル収容凹部22は、窪み状の凹部であり、その内部には、サーミスタ40からの出力信号の伝送路をなすケーブルCの一部分が入り込む。ケーブルCの一部分をケーブル収容凹部22内に入り込ませることで、ケーブルCをクッションパッド20の底部の下面で適切に配設することが可能となる。なお、本実施形態では、ケーブル収容凹部22のサイズ(断面サイズ)がケーブルCの断面に比して幾分大きくなっているため、ケーブルCをスムーズにケーブル収容凹部22内に入り込ませることが可能である。
【0047】
<<サーミスタの配置位置>>
本実施形態におけるサーミスタ40の配置位置について、
図8乃至
図11を参照しながら説明する。
図8は、後述する保持パッド50を示す斜視図である。
図9は、保持パッド50の配置位置についての説明図であり、保持パッド50が載置されたボトムプレート10の後側部分12を示す図である。
図10は、
図2BのX−X断面を示す模式図である。
図11は、
図2BのY−Y断面を示す模式図である。
【0048】
本実施形態において、サーミスタ40は、クッションパッド20の底部に形成された収容凹部21内に配置されている。また、本実施形態では、収容凹部21におけるサーミスタ40の位置ずれを抑えるための構造を採用している。具体的に説明すると、サーミスタ40を収容凹部21内で保持するにあたり、
図8に図示の保持パッド50が用いられる。
【0049】
保持パッド50は、サーミスタ40を収容凹部21内で保持する保持部であり、略直方体状のクッション材からなる。保持パッド50を構成するクッション材としては、ボトムプレート10の材質よりも軟らかく柔軟性に富み、さらに断熱性を有する材料、例えばウレタンフォーム等が利用可能である。
【0050】
保持パッド50は、若干の厚みを有しており、具体的には、収容凹部21の深さと略同じ厚みを有する。より厳密に説明すると、保持パッド50に後述する不織布41を重ねたときの高さが、収容凹部21の深さ(高さ)と略一致している。また、保持パッド50の外形形状は、収容凹部21に嵌合可能な形状となっている。
【0051】
さらに、保持パッド50の上面には、
図8に示すように、サーミスタ40が取り付けられている。なお、本実施形態では、サーミスタ40が緩衝材としての不織布41に包まれた状態で保持パッド50に取り付けられている。具体的に説明すると、サーミスタ40の上下に不織布41のシートが配置され、サーミスタ40が不織布41の間に挟まれた状態にある。不織布41のうち、サーミスタ40の上側に位置する部分と、サーミスタ40の下側に位置する部分は、それぞれ、保持パッド50の上面と同じ形状にカットされている。そして、不織布41の、サーミスタ40の上側に位置する部分と、サーミスタ40の下側に位置する部分とが貼り合わされ、さらに、サーミスタ40の下側に位置する不織布41が保持パッド50の上面に接着されている。
【0052】
サーミスタ40が取り付けられた保持パッド50は、
図9に示すように、ボトムプレート10の上面に設けられた取付部16の上に固定される。そして、ボトムプレート10の後側部分12にクッションパッド20が載置されると、保持パッド50が、クッションパッド20の底部に形成された収容凹部21内に入り込んで収容凹部21に嵌まり込むようになる。この結果、保持パッド50は、サーミスタ40を収容凹部21内で保持するようになる。
【0053】
以上のように、保持パッド50は、サーミスタ40が取り付けられた状態で収容凹部21に嵌まり込むことで、サーミスタ40を収容凹部21内で保持する。換言すると、サーミスタ40は、
図10に示すように、収容凹部21においてクッションパッド20と保持パッド50との間に位置した状態で保持パッド50によって保持される。厳密には、収容凹部21内では、サーミスタ40を包んだ不織布41が、厚み方向において保持パッド50とクッションパッド20に挟まれている。
【0054】
以上の構成により、本実施形態では、収容凹部21におけるサーミスタ40の位置を安定化させることが可能となる。また、サーミスタ40がクッションパッド20と保持パッド50との間に挟まれているため、乗員が二輪車用シートSに着座した際に荷重(着座荷重)がサーミスタ40に掛かってサーミスタ40を損傷してしまうのを効果的に抑えることが可能である。さらに、サーミスタ40が不織布41によって包まれているので、サーミスタ40をより良好に保護することが可能となる。
【0055】
なお、収容凹部21の内壁は、比較的密度が高い材料(具体的には、ウレタンパッド)によって構成されている。また、保持パッド50は、断熱性を有するクッション材(具体的には、ウレタンフォーム)によって構成されている。したがって、収容凹部21内の空間は、潰れ難く、かつ、効果的に断熱されていることになる。これにより、サーミスタ40は、収容凹部21において精度よく温度を検知することが可能となる。
【0056】
また、
図7に示したように、クッションパッド20の底部において収容凹部21と隣接している部分にはケーブル収容凹部22が形成されている。ケーブル収容凹部22には、サーミスタ40からの出力信号の伝送路をなすケーブルCのうち、収容凹部21の端から収容凹部21の外に出ている部分が入り込んでいる。
【0057】
また、本実施形態では、シート着座時にクッションパッド20に掛かる荷重によって保持パッド50が変形したり位置ずれしたりするのを抑えるための手段を、保持パッド50の周りに設けている。具体的に説明すると、
図10及び
図11に示すように、ボトムプレート10において、保持パッド50が載置される取付部16と並ぶ位置(換言すると、保持パッド50と並ぶ位置)に突出部としての傾斜壁13、バックレスト取り付け用凸部14、側方立壁15が設けられている。
【0058】
傾斜壁13は、
図11に示すように、ボトムプレート10の前側部分11の後端から上方(すなわち、厚み方向においてクッションパッド20が位置する側)に向かって突出しており、かつ、前後方向において保持パッド50よりも前側に設けられている。すなわち、傾斜壁13は、前側壁に相当する。この傾斜壁13が設けられていることで、二輪車用シートSに着座した乗員の背が段差部Stに凭れ掛かった際に荷重(以下、前方からの荷重)が掛かったとしても、保持パッド50よりも手前位置で前方からの荷重を傾斜壁13によって受けることが可能となる。この結果、前方からの荷重によって保持パッド50が変形したり移動したりするのを抑え、以てサーミスタ40の位置をより安定させることが可能となる。
【0059】
バックレスト取り付け用凸部14は、凸部の一例であり、
図10に示すように、ボトムプレート10の後側部分12の幅方向中央部分から上方(すなわち、厚み方向においてクッションパッド20が位置する側)に向かって突出している。バックレスト取り付け用凸部14は、幅方向において保持パッド50と隣り合う位置に設けられている。また、バックレスト取り付け用凸部14の高さ(換言すると、バックレスト取り付け用凸部14の突出量)は、保持パッド50の高さ(厳密には、厚み方向において取付部16からサーミスタ40までの距離)よりも長くなっている。このようなバックレスト取り付け用凸部14が設けられていることで、二輪車用シートSの後側座席Srに乗員が着座した際に荷重(以下、上方からの荷重)が掛かったとしても、保持パッド50よりも上方位置で上方からの荷重をバックレスト取り付け用凸部14によって受けることが可能となる。この結果、上方からの荷重によって保持パッド50が変形したり移動したりするのを抑え、以てサーミスタ40の位置をより安定させることが可能となる。
【0060】
側方立壁15は、
図10に示すように、ボトムプレート10の後側部分12の側端部において上方(すなわち、厚み方向においてクッションパッド20が位置する側)に向かって突出している。側方立壁15は、幅方向において保持パッド50よりも外側に位置する。すなわち、側方立壁15は、側方壁に該当する。また、側方立壁15は、左右一対設けられており、そのうち、保持パッド50から見てバックレスト取り付け用凸部14とは反対側に位置する側方立壁15は、
図10に示すように、幅方向において保持パッド50と隣り合う位置に配置されている。このような側方立壁15が設けられていることで、二輪車用シートSの後側座席Srに着座している乗員が左右に傾く等して荷重(以下、側方からの荷重)が掛かったとしても、幅方向外側の端部に位置する側方立壁15が側方からの荷重を受けるようになる。この結果、側方からの荷重によって保持パッド50が変形したり移動したりするのを抑え、以てサーミスタ40の位置をより安定させることが可能となる。
【0061】
ボトムプレート10における保持パッド50周りの構成について補足すると、例えば、
図11に示すように、取付部16において保持パッド50が取り付けられる箇所の直前位置に、凸状の位置決めリブ17が設けられていてもよい。
図12は、ボトムプレート10に位置決めリブ17を設けた場合の構成を示す図であり、
図9に図示した構成の変形例である。上記の位置決めリブ17が設けられていれば、保持パッド50を取付部16に載せて固定する際に、保持パッド50を位置決めして適切に固定することが可能となる。
【0062】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明の乗物用シートの構成について一例を挙げて説明してきたが、上記の実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態も考えられる。例えば、上記の実施形態では、収容部としての収容凹部21がクッションパッド20の底部(厚み方向においてボトムプレート10と対向する部分)に形成されていることとした。但し、これに限定されるものではなく、
図13に示すように、ボトムプレート10の上端部(すなわち、厚み方向においてクッションパッド20と対向する部分)の一部を下方に窪ませることで、収容部としての収容凹部18をボトムプレート10に設けてもよい。
図13は、変形例に係る二輪車用シートSxの構成を示す図であり、
図2BのX−X断面に相当する断面を示す図である。
【0063】
変形例に係る二輪車用シートSxでは、
図13に示すように、取付部16が収容凹部18の最深部に位置する面に設けられている。そして、
図13に示すように、サーミスタ40が取り付けられた保持パッド50が収容凹部18の上端開口から収容凹部18内に入り込み、保持パッド50が収容凹部18に嵌まり込む。これにより、サーミスタ40が収容凹部18内に保持されるようになる。
【0064】
上記の状態でボトムプレート10の後側部分12の上にクッションパッド20が載置されると、サーミスタ40は、収容凹部18内においてクッションパッド20と保持パッド50との間に位置した状態で保持されるようになる。以上の構成であれば、上記の実施形態で説明した二輪車用シートSと同様、収容凹部18内におけるサーミスタ40の位置を安定化させることが可能となる。