特許第6616401号(P6616401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616401
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】光結合効率の検出
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20191125BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20191125BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20191125BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20191125BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20191125BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20191125BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   A61F9/007 200Z
   G02B6/32
   F21S2/00 610
   F21V8/00 200
   F21V7/00 570
   F21V23/00 113
   F21V23/00 140
   F21V14/06
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-511168(P2017-511168)
(86)(22)【出願日】2015年8月18日
(65)【公表番号】特表2017-528213(P2017-528213A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】US2015045641
(87)【国際公開番号】WO2016032797
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2018年7月24日
(31)【優先権主張番号】14/468,696
(32)【優先日】2014年8月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド ティー.スミス
(72)【発明者】
【氏名】ビット アリンスカス
(72)【発明者】
【氏名】ベン ツェ
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−512851(JP,A)
【文献】 特開平08−167754(JP,A)
【文献】 特開2006−126738(JP,A)
【文献】 特開2000−147311(JP,A)
【文献】 特開2008−093444(JP,A)
【文献】 特開2008−186805(JP,A)
【文献】 特表2014−513307(JP,A)
【文献】 特開2005−265473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
A61B 90/30
G02B 6/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを生成するように構成された光源と、
光ファイバーとインターフェイスするように構成されたファイバーポートと、
前記ファイバーポートで前記光ファイバー内に前記光ビームの少なくとも一部を結合するように構成されたコンデンサーと、
前記ファイバーポートと前記コンデンサーとの間に配設されたビームスプリッターであって、前記コンデンサーからの前記光ビームを受光して前記光ビームを前記光ファイバーに結合される第1のビームとモニタリングファイバーに結合される第2のビームとにスプリットするように構成されたビームスプリッターと、
前記モニタリングファイバーからの前記第2のビームの出力量を検出するように構成された光センサーと、
を含み、
前記モニタリングファイバーが複数のファイバーを含み、
前記光センサーが前記複数のファイバー間で前記第2のビームの位置を検出するように構成される、眼内照明システム。
【請求項2】
前記ビームスプリッターが、前記第1のビームに垂直な方向に前記第2のビームを分岐するように構成される、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項3】
前記モニタリングファイバーが前記光ファイバーよりも小さい直径を有する、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項4】
前記ビームスプリッターと前記光ファイバーのビーム受光端との間の距離が、前記ビームスプリッターと前記モニタリングファイバーのビーム受光端との間の距離と同一である、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項5】
前記ビームスプリッターが、前記光ビームを前記第1のビームと前記第2のビームとに所定の比でスプリットするように構成される、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項6】
前記ビームスプリッター、前記ファイバーポート、および前記モニタリングファイバーがアサーマル化アセンブリー内に配設される、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項7】
前記光ファイバーが内設されたエンドイルミネーターファイバープローブをさらに含み、前記エンドイルミネーターファイバープローブが、前記第1のビームを受光するために前記ファイバーポートに接続される、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項8】
前記モニタリングファイバーで検出された前記第2のビームの出力量に基づいて前記光ファイバーにおける前記第1のビームの結合効率を決定するように構成されたプロセッサーをさらに含む、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項9】
前記コンデンサーを移動させて前記第1のビームの結合位置を調整するようにかつそれに対応して前記第2のビームの結合位置を調整するように構成されたアクチュエーターをさらに含む、請求項に記載の眼内照明システム。
【請求項10】
前記プロセッサーが、前記モニタリングファイバーで前記第2のビームの出力量の減少を検出してそれ応じて前記アクチュエーターを制御することにより前記コンデンサーを移動させて前記第1のビームの結合位置および前記第2のビームの対応する結合位置を再アライメントするように構成される、請求項に記載の眼内照明システム。
【請求項11】
前記モニタリングファイバーで検出された前記第2のビームの出力量を所定の値に戻す際に前記結合位置が再アライメントされる、請求項10に記載の眼内照明システム。
【請求項12】
前記ビームスプリッターがビームスプリッターキューブを含む、請求項1に記載の眼内照明システム。
【請求項13】
光ビームを生成するように構成された光源と、
前記光ビームを第1のビームと第2のビームとにスプリットするように構成された光源ビームスプリッターと、
第1の光ファイバーとインターフェイスするように構成された第1のファイバーポートと、
第2の光ファイバーとインターフェイスするように構成された第2のファイバーポートと、
前記第1のファイバーポートで前記第1の光ビームの少なくとも一部を前記第1の光ファイバー内に結合するように構成された第1のコンデンサーと、
前記第2のファイバーポートで前記第2の光ビームの少なくとも一部を前記第2の光ファイバー内に結合するように構成された第2のコンデンサーと、
前記第1のファイバーポートと前記第1のコンデンサーとの間に配設された第1のビームスプリッターであって、前記第1のコンデンサーからの前記第1の光ビームを受光して前記第1の光ビームを前記第1の光ファイバー内に結合される第3のビームと第1のモニタリングファイバー内に結合される第4のビームとにスプリットするように構成された第1のビームスプリッターと、
前記第2のファイバーポートと前記第2のコンデンサーとの間に配設された第2のビームスプリッターであって、前記第2の光ビームを前記第2の光ファイバー内に結合される第5のビームと第2のモニタリングファイバー内に結合される第6のビームとにスプリットするように構成された第2のビームスプリッターと、
前記第1のモニタリングファイバーからの前記第4のビームの出力量を検出するように構成された第1の光センサーと、
前記第2のモニタリングファイバーからの前記第6のビームの出力量を検出するように構成された第2の光センサーと、
を含み、
前記第1のモニタリングファイバーが複数のファイバーを含み、
前記第1の光センサーが前記複数のファイバー間で前記第4のビームの位置を検出するように構成される、眼内照明システム。
【請求項14】
記第のモニタリングファイバーで検出された前記第6のビームの出力量に基づいて前記第2の光ファイバーにおける前記第5のビームの結合効率を決定するように、
構成されたプロセッサーをさらに含む、請求項13に記載の眼内照明システム。
【請求項15】
前記光源で生成された光ビームの量を検出するように構成されたパワーモニターをさらに含む、請求項14に記載の眼内照明システム。
【請求項16】
前記プロセッサーが、前記パワーモニターと前記第1の光センサーと前記第2の光センサーとから受信した検出シグナルに基づいて、前記第のモニタリングファイバーで検出された前記第のビームの出力量の減少が前記第のコンデンサーで前記結合効率の減少により引き起こされたかまたは前記光源で生成された前記光ビームの量の減少により引き起こされたかを決定するようにさらに構成される、請求項15に記載の眼内照明システム。
【請求項17】
光ビームを眼内照明プローブの光ファイバーに結合される第1のビームとモニタリングファイバーに結合される第2のビームとにスプリットするようにビームスプリッターを介してコンデンサーにより光ビームを結合する工程であって、前記モニタリングファイバーが複数のファイバーを含む、工程と、
前記モニタリングファイバーからの前記第2のビームの出力量を光センサーにより検出する工程であって、前記光センサーが前記複数のファイバー間で前記第2のビームの位置を検出するように構成される、工程と、
前記モニタリングファイバーで検出された前記第2のビームの出力量に基づいて前記光ファイバーにおける前記第1のビームの結合効率を決定する工程と、
を含む方法。
【請求項18】
前記光ファイバーにおける前記第1のビームの結合効率が所定の値未満である場合にユーザーに知らせる通知を発生する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コンデンサーの位置を調整して前記第1のビームの結合効率を所定の値に維持する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、一般的には、光ファイバー内に方向付けられた光ビームの結合効率の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
眼内照明プローブは、眼科手術で照明を提供するために使用される。特定的には、眼内照明プローブは、眼科手術時に眼内に照明を提供するために眼内に挿入しうる。典型的には、眼内照明プローブは、眼内照明システムからの光を受光するために眼内照明システムの光ポートに接続される。眼内照明システムは、光を生成する光源と、眼内照明プローブの光ファイバー内に光を結合するコンデンサーと、を含みうる。
【0003】
眼内照明システムの光ポートのアセンブル時、コンデンサーからの光ビームの位置およびチルトは、光ポートで接続された眼内照明プローブ内への光ビームの結合効率が最適値に達するまで調整される。次いで、光ポートのアセンブリーは、眼内照明プローブ内への光ビームの結合位置および結合効率を維持するように固定化または不動化される。それにもかかわらず、各種因子、たとえば、輸送時および設置時に光ポートアセンブリーに加わる衝撃および振動、熱誘起膨張、光ビームを方向付けるために使用されるオプトメカニカルマウントの回転および歪み、光ファイバーポートの熱誘起運動、またはシステム内の調整可能な反射素子たとえば回転可能もしくは並進可能な可変ビームスプリッターの移動により引き起こされるビーム運動は、結合効率の損失をもたらす結合位置の移動を引き起こすおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、先行技術の欠点の1つ以上に対処するデバイス、システム、および方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な態様では、本開示は眼内照明システムに関する。眼内照明システムは、光ビームを生成しうる光源と、光ファイバーを受容しうるファイバーポートと、ファイバーポートで受容された光ファイバー内に光ビームの少なくとも一部を結合しうるコンデンサーと、ファイバーポートとコンデンサーとの間に配設されたビームスプリッターと、を含みうる。ビームスプリッターは、コンデンサーからの光ビームを受光して光ビームを光ファイバーに結合される第1のビームとモニタリングファイバーに結合される第2のビームとにスプリットするように構成しうる。眼内照明システムまた、モニタリングファイバーからの第2のビームの出力量を検出するように構成された光センサーを含みうる。
【0006】
態様では、眼内照明システムは、モニタリングファイバーで検出された第2のビームの量に基づいて光ファイバーにおける第1のビームの結合効率を決定するように構成されたプロセッサーを含みうる。プロセッサーはまた、モニタリングファイバーで第2のビームの量の減少を検出してそれ応じてアクチュエーターを制御することによりコンデンサーを移動させて第1のビームの結合位置および第2のビームの対応する結合位置を再アライメントするように構成しうる。
【0007】
他の例示的な態様では、本開示は複数のファイバーポートを含む眼内照明システムに関する。眼内照明システムは、光ビームを生成するように構成された光源と、光ビームを第1のビームと第2のビームとにスプリットするように構成された光源ビームスプリッターと、第1の光ファイバーを受容するように構成された第1のファイバーポートと、第2の光ファイバーを受容するように構成された第2のファイバーポートと、第1のファイバーポートで受容された第1の光ファイバー内に第1の光ビームの少なくとも一部を結合するように構成された第1のコンデンサーと、第2のファイバーポートで受容された第2の光ファイバー内に第2の光ビームの少なくとも一部を結合するように構成された第2のコンデンサーと、第1のファイバーポートと第1のコンデンサーとの間に配設された第1のビームスプリッターと、を含みうる。第1のビームスプリッターは、第1のコンデンサーからの第1の光ビームを受光して第1の光ビームを第1の光ファイバー内に結合される第3のビームと第1のモニタリングファイバー内に結合される第4のビームとにスプリットするように構成しうる。
【0008】
眼内照明システムまた、第2のファイバーポートと第2のコンデンサーとの間に配設された第2のビームスプリッターを含みうる。第2のビームスプリッターは、第2の光ビームを第2の光ファイバー内に結合される第5のビームと第2のモニタリングファイバー内に結合される第6のビームとにスプリットするように構成しうる。眼内照明システムは、第1のモニタリングファイバーからの第4のビームの出力量を検出するように構成された第1の光センサーと、第2のモニタリングファイバーからの第6のビームの出力量を検出するように構成された第2の光センサーと、をさらに含みうる。
【0009】
プロセッサーは、第1のモニタリングファイバーで検出された第4のビームの量に基づいて第1の光ファイバーにおける第3のビームの第1の結合効率を決定するために、かつ第1のモニタリングファイバーで検出された第6のビームの量に基づいて第2の光ファイバーにおける第5のビームの第2の結合効率を決定するために、眼内照明システム内に提供しうる。眼内照明システムは、光源で生成された光ビームの量を検出するように構成されたパワーモニターをさらに含みうる。
【0010】
プロセッサーは、パワーモニターと第1の光センサーと第2の光センサーとから受信した検出シグナルに基づいて、第1のモニタリングファイバーで検出された第4のビームの量の減少が第1のコンデンサーで第1の結合効率の減少により引き起こされたかまたは光源で生成された光ビームの量の減少により引き起こされたかを決定するようにさらに構成しうる。
【0011】
さらに他の例示的な態様では、本開示は、光ビームを眼内照明プローブの光ファイバーに結合される第1のビームとモニタリングファイバーに結合される第2のビームとにスプリットするようにビームスプリッターを介してコンデンサーにより光ビームを結合する工程と、モニタリングファイバーからの第2のビームの出力量を光センサーにより検出する工程と、モニタリングファイバーで検出された第2のビームの量に基づいて光ファイバーにおける第1のビームの結合効率を決定する工程と、を含む方法に関する。
【0012】
態様では、本方法はまた、光ファイバーにおける第1のビームの結合効率が所定の値未満である場合にユーザーに知らせる通知を発生する工程を含みうる。さらに、本方法は、第1のビームの結合効率を所定の値に維持するようにコンデンサーの位置を調整する工程を含みうる。
【0013】
以上の一般的な説明および以下の詳細な説明は両方とも、本質的に例示的かつ解説的なものであり、本開示の範囲を限定するものではなく本開示の理解を助けることを意図したものであることを理解すべきである。それに関連して、本開示のそのほかの態様、特徴、および利点は、当業者であれば以下の詳細な説明から明らかであろう。
【0014】
添付の図面は、本明細書に開示されるデバイスおよび方法の実施形態を例示しており、本明細書と合わせて本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本開示の原理に適合する一実施形態に従って例示的な外科システムの斜視図を例示している。
図2図2は、本開示の原理に適合する態様に従って外科システムの模式図を例示している。
図3図3は、本開示の原理に適合する態様に従って例示的な眼内照明システムの模式図を例示している。
図4図4は、本開示の原理に適合する態様に従って例示的な眼内照明システムの詳細模式図を例示している。
図5図5は、本開示の原理に適合する態様に従ってアクチュエーターを含む例示的な眼内照明システムの模式図を例示している。
図6図6は、本開示の原理に適合する態様に従って複数のファイバーポートを含む例示的な眼内照明システムの模式図を例示している。
図7図7は、本開示の原理に適合する態様に従って光ファイバーおよびモニタリングファイバーの結合効率マップを例示している。
図8図8は、本開示の原理に適合する態様に従って光ファイバーの結合効率を検出する方法を例示するフローチャートである。
図9図9は、本開示の原理に適合する態様に従って光ファイバーのアレイを含むモニタリングファイバーの斜視図を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本開示の原理の理解を促進する目的で、図面に例示された実施形態を参照し、特定の用語を用いてそれを説明する。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定は意図されないことが理解されよう。本開示が関連する技術分野の当業者であれば普通に思い付くであろうが、記載のシステム、デバイス、および方法のなんらかの変更およびさらなる修正ならびに本開示の原理のなんらかのさらなる適用は十分に企図される。特定的には、一実施形態に関して記載されたシステム、デバイス、および/または方法と本開示の他の実施形態に関して記載された特徴、要素、および/または工程とを組み合わせうることは十分に企図される。しかしながら、簡潔にするために、これらの組合せを何度も繰り返して個別に記載することはしない。簡単にするために、いくつかの場合には、図面全体を通じて同一の参照番号を用いて同一または類似の部分を参照する。
【0017】
本明細書に記載のデバイス、システム、および方法は、眼用ファイバープローブ内に結合された光ビームの光結合効率を検出するように構成された眼内照明システムを提供する。特定的には、眼内照明システムは、眼内照明システムのファイバーポートに接続された眼用ファイバープローブの基端内に光ビームを結合するように構成されたコンデンサーを含みうる。ビームスプリッターは、光ビームを眼用ファイバープローブ内に結合される第1のビームとモニタリングファイバー内に結合される第2のビームとにスプリットするためにコンデンサーとファイバーポートとの間に提供される。光センサーは、モニタリングファイバーからの第2のビームの出力量を検出するために提供される。ビームスプリッターにより第2のビームが第1のビームと異なる方向に分岐される以外は第1のビームと第2のビームとはパーフォーカルであるので、モニタリングファイバーで検出された第2のビームの量に基づいて眼用ファイバープローブ内への第1のビームの結合効率を決定しうる。
【0018】
実施形態では、アクチュエーターは、コンデンサーの位置を調整して眼用ファイバープローブ内への第1のビームの結合効率を維持するために提供しうる。たとえば、結合効率がある特定の閾値未満であることを眼内照明システムにより決定する場合、眼内照明システムは、アクチュエーターを制御することによりコンデンサーの位置を調整して結合効率を改善しうる。このため、眼内照明システムは、連続的にモニターして結合効率を維持するためにアクティブフィードバック運動制御システムを提供しうる。
【0019】
図1は、全体が100で表される例示的な外科システムを例示している。外科システム100は、外科手順時にシステム操作および性能に関するデータを示す関連ディスプレイスクリーン110を備えた外科ユーティリティー供給デバイス102を含みうる。外科システム100はまた、外科ユーティリティーコネクター108を介して外科ユーティリティー供給デバイス102に接続するように構成された外科用具104を含みうる。外科ユーティリティー供給デバイス102は、イメージング光、照明光、圧縮空気、真空、加圧液体などの各種ユーティリティーをさまざまな種類の外科用具に供給しうる。たとえば、外科ユーティリティー供給デバイス102は、眼用ファイバープローブに可視光を供給しうるか、または外科硝子体切除プローブに圧縮空気を供給しうる。外科医などのユーザーは外科用具を用いて手術を行いうる。外科ユーティリティー供給デバイス102は、ある特定のタイプのユーティリティーを出力するようにそれぞれ構成された1つ以上のユーティリティーポート106を含みうる。たとえば、外科ユーティリティー供給デバイス102は、眼用ファイバープローブを受容するように構成されたファイバーポートに可視光を出力しうる。異なるタイプのユーティリティーは、外科ユーティリティー供給デバイス102から異なるタイプの外科用具104に同時に供給しうる。
【0020】
ユーティリティーは、ユーティリティーポート106から外科ユーティリティーコネクター108への出力でありうるとともに、チューブファイバーまたはケーブル(本明細書ではケーブル114として参照される)により外科用具104に運びうる。外科用具104は、外科ユーティリティーコネクター108によりユーティリティーポート106に対して選択的に装着または取外しを行いうる。たとえば、外科用具104は、ユーティリティーポート106から外科ユーティリティーコネクター108を取り外すことにより外科ユーティリティー供給デバイス102から取り外しうる。外科ユーティリティー供給デバイス102は、外科用具104の接続を検出しうるとともに、接続後に外科用具104へのユーティリティーの供給を行いうる。外科システム100はまた、外科システム100からのユーティリティーのディスペンスを制御するために外科ユーティリティー供給デバイス102に接続されたフットペダル112を含みうる。たとえば、ユーザーは、フットペダル112を選択的に押圧または解放することによりユーティリティーのディスペンスを制御しうる。
【0021】
図2は、例示的な外科ユーティリティー供給デバイスたとえば外科ユーティリティー供給デバイス102の模式図を例示している。外科ユーティリティー供給デバイス102は、外科ユーティリティー供給デバイス102の各種操作を制御するために計算および決定を行うように構成されたプロセッサー202を含みうる。プロセッサー202は、各種シグナル入力を受信してシグナル入力に基づいて各種決定を行いうる。たとえば、プロセッサー202は、光出力の量を検出するように構成された光センサーからのシグナルを受信して光ファイバー内への光ビームの結合効率を決定しうる。プロセッサー202はまた、外科ユーティリティー供給デバイス102の操作に関する各種情報を表示してユーザーに各種情報を知らせるようにディスプレイスクリーン110を制御しうる。
【0022】
外科ユーティリティー供給デバイス102は、外科ユーティリティー供給デバイス102の各種操作に関する情報を永久的または一時的に保存するように構成されたメモリー204を含みうる。たとえば、メモリー204は、外科ユーティリティー供給デバイス102の種々の機能を発揮するためにプロセッサー202により実行しうるプログラムを保存しうる。メモリー204はまた、操作履歴、ユーザーのプロファイルまたは選好性、各種操作、外科現場などに関する各種データを保存しうる。メモリー204内に記憶されたプログラムおよび情報は、外科ユーティリティー供給デバイス102の操作のカスタム化および改善を提供するために継続的に更新しうる。メモリー204はまた、異なるファイバーポートにおける結合効率の操作パラメーターに関するプログラムおよび情報を含みうる。
【0023】
外科ユーティリティー供給デバイス102はまた、眼内照明システム206を含みうる。眼内照明システム206は、外科ユーティリティー供給デバイス102のユーティリティーポートたとえばファイバーポートで接続された眼用ファイバープローブ内に光ビームを結合するように構成された光学コンポーネントを含みうる。特定的には、眼内照明システム206は、光源からの光を受光して光を光ビームにコリメートするように構成されたコリメーターと、光ビームをフィルターして所望のスペクトルにするように構成された分光フィルターと、眼用ファイバープローブの光ファイバー内に光ビームを結合するように構成されたコンデンサーと、を含みうる。
【0024】
外科ユーティリティー供給デバイス102はユーティリティージェネレーター208を含みうる。ユーティリティージェネレーター208は、モーター、発光デバイス、ポンプなどを含みうるとともに、それにより照明光、イメージング光、加圧液体、圧縮空気などの各種ユーティリティーを発生しうる。実施形態では、ユーティリティージェネレーター208は、ユーティリティーを外部から受け取るために外部ユーティリティー源に接続しうる。たとえば、ユーティリティージェネレーター208は、真空または圧縮空気を受け取るために真空源またはエアコンプレッサーに接続しうる。ユーティリティージェネレーター208は、各種ユーティリティーをそれぞれのユーティリティーポート106に供給しうる。
【0025】
外科ユーティリティー供給デバイス102は通信ユニット210を含みうる。通信ユニット210は、外科ユーティリティー供給デバイスによる他のデバイスとの情報の送受信を可能にしうる各種通信デバイス、たとえば、イーサネットカード、wi−fi通信デバイス、電話デバイス、ディジタルI/O(入出力)ポートなどを含みうる。たとえば、通信ユニット210は、他の外科デバイスからの入力を受信して外科手術を調整しうる。他の例では、通信ユニット210は、ある特定の情報をユーザーに知らせるためにユーザーのモバイルデバイスに対してメッセージまたは通知、たとえば、eメール、テキスト、または他のメッセージもしくは通知の送受信を行いうる。
【0026】
外科ユーティリティー供給デバイス102はまた、ユーザーインターフェース212を含みうる。ユーザーインターフェース212は、ユーザーによる外科ユーティリティー供給デバイス212への命令の入力を可能にするユーザーインプットデバイス、たとえば、キーボード、タッチスクリーン、フットペダル112、マウス、マイクロフォンなどを含みうる。たとえば、ユーザーは、ユーティリティーのパラメーターを入力してフットペダル112を操作することにより外科用具104にユーティリティーをディスペンスしうる。ユーザーインターフェース212はまた、ユーザーに情報を伝えるユーザー出力デバイス、たとえば、ディスプレイスクリーン110、オーディオスピーカー、LED(発光ダイオード)ライト、または他の視覚シグナルもしくは触覚シグナルを含みうる。たとえば、オーディオスピーカーは、外科手術時に特定のファイバーポートの結合効率がある特定の閾値未満に低下した場合にアラームを発しうる。したがって、ユーザーインターフェース212は、外科手術時にユーザーによる外科ユーティリティー供給デバイス102との対話を可能にしうる。
【0027】
図3は、一実施形態に従って眼内照明システム206の模式図を例示している。眼内照明システム206は、光ビーム305を受光するように構成されたコンデンサー302を含みうる。特定的には、光源(図3には示されていない)は、コリメーター(図示せず)により光ビーム305にコリメートしうる光を生成しうる。コンデンサー302は、光ビーム305を受光してユーティリティーポート106たとえばファイバーポートに接続された外科用具104たとえば眼用ファイバープローブの光ファイバー310内に光ビーム305を結合しうる。
【0028】
眼内照明システム206は、コンデンサー302と光ファイバー310との間に配設されてコンデンサー302からの光ビーム311を第1のビーム312と第2のビーム314とにスプリットするように構成されたビームスプリッター304を含みうる。たとえば、ビームスプリッター304は、コンデンサー302からの結合光ビームを受光して光ビームの一部を透過しうるとともに光ビームの一部を反射しうる。このため、第1のビーム312は透過され続いて光ファイバー310に達する。したがって、第1のビーム312は光ファイバー310内に結合しうる。第2のビームは、反射されるかまたは異なる方向たとえば第1のビームに垂直に方向に分岐されてモニタリングファイバー306に向かう。したがって、第2のビームはモニタリングファイバー306内に結合しうる。
【0029】
ビームスプリッター304は、光ビームを受光して光ビームを2つの異なる光ビームにスプリットするように構成されたビームスプリッターキューブまたは任意の他の光学デバイスでありうる。ビームスプリッター304は、光ビームを受光して光ビームの一部たとえばビームパワーの0.8%〜1.5%を第2のビーム314に分岐しうる。光ビームの主要部分たとえばビームパワーの99.2%〜97.5%は、透過されて眼用ファイバープローブの光ファイバー310内にそのまま進入する。例示的な実施形態では、光ファイバー310は、25μmコアおよび0.26NAのマルチモード光ファイバーであり、7μmの公差コア直径を有する。他の実施形態では、異なる直径またはサイズを有する光ファイバーを使用しうる。
【0030】
第2のビーム314はモニタリングファイバー306内に集束しうる。モニタリングファイバー306は光ファイバー310よりも小さいコア直径を有しうる。たとえば、モニタリングファイバー306の例示的な一実施形態は、4.3μmコアおよび0.12NAのシングルモード光ファイバーである。モニタリングファイバー306は基端で第2の光ビーム314を受光しうる。第2の光ビーム314は、モニタリングファイバー306内を伝播してモニタリングファイバー306の先端で出射しうる。モニタリングファイバー306は、モニタリングファイバー306のクラッドからのいかなる光のモードも実質的に排除されるように数インチの長さを有しうる。光センサー308は、先端で第2のビーム314のパワーまたは量を検出するためにモニタリングファイバー306の先端に提供しうる。
【0031】
ビームスプリッター304、モニタリングファイバー306の基端、および光ファイバー310の基端は、第2のビーム314が曲げられる以外は第1のビームと第2のビームとがパーフォーカルになるように特定の方法で配置しうる。たとえば、曲げられる第2のビーム314が曲げられない場合、第2のビーム314および第1のビーム312は空間的に一致しうる。特定的には、曲げられない場合、第2のビーム314およびモニタリングファイバー306の入口アパーチャーの位置は、第1のビーム312および光ファイバー310の入口アパーチャーと空間的に一致しうる。したがって、光ファイバー310の基端における第1のビーム312の結合位置および/または結合効率は、モニタリングファイバー306の基端における第2のビーム314の結合位置および/または結合効率に直接対応しうる。したがって、モニタリングファイバー306で第2のビーム314の量をモニターすることにより、光ファイバー310における第1のビーム312の結合効率を決定しうる。
【0032】
図4は、一実施形態に従って例示的な眼内照明システムの詳細模式図を例示している。図4に示されるように、眼内照明システム206は、光ビームを集束するように構成された1つ以上の光学レンズまたは他の光学コンポーネントを含みうるコンデンサー302を含みうる。眼内照明システム206は、図1に示されるユーティリティーポート106の1つでありうるファイバーポート404を含みうる。ファイバーポート404は、ファイバーコネクター406たとえば図1に示されるユーティリティーコネクター108を受容するように構成しうる。ファイバーコネクター406は、光ファイバー310をファイバーポート404に接続しうる。光ファイバー310は、ケーブル114(図1)内に延在しうるとともに、エンドイルミネータープローブなどの外科用具104(図1)に光ビームを案内しうる。ファイバーコネクター406は、眼内照明システム206からエンドイルミネータープローブを取り外すためにファイバーポート404から除去可能でありうる。
【0033】
ファイバーコネクター406は、フロントボディー408とリヤボディー410とを含みうる。チャネル411は、フロントボディー408およびリヤボディー410のそれぞれを介して形成しうる。フェルール414は、チャネル411内に提供しうる。光ファイバー310は、フェルール414に収容しうる。ファイバーポート404は、ファイバーコネクター406のフロントボディー408を受容するように構成された円筒状陥凹部を含みうる。円筒状陥凹部は、ファイバーコネクター406がファイバーポート404に接続されたときにファイバーコネクター406のフロントボディー408の一部を取り囲みうる円筒状壁418により形成しうる。
【0034】
ファイバーコネクター406は、ファイバーポート404にファイバーコネクター406を固定するためにファイバーポート404の円筒状壁418の外表面上に設けられた雄ネジと相互作用しうる雌ネジを内表面上に含むナット416を含みうる。ファイバーポート404の円筒状陥凹部は内端表面422を含みうる。開口は内端表面422を介して形成しうるとともに、光ビームは開口を介して照射されて光ファイバー310内に結合しうる。ファイバーコネクター406がファイバーポート404に接続された場合、フェルール412の基端表面は、光ファイバー310の基端表面が内端表面422の開口に位置決めされるように内端表面422に当接しうる。スリーブ426は、光ファイバー310の基端が内端表面422の開口に正確に位置決めされるようにフェルール412を収容して位置決めするために提供しうる。スリーブ426は、フェルール412および光ファイバー310が内端表面422の開口に正確に位置決めされるように容易に変形や形状変化を起こさない材料で形成しうる。スプリング420は、フェルール412にバイアス力を作用させてファイバーポート404の内端表面422にフェルール412をしっかりと当接するためにファイバーコネクター406に提供しうる。
【0035】
ビームスプリッター304はコンデンサー302とファイバーポート404との間で提供しうる。ビームスプリッター304はファイバーポート404に当接しうる。実施形態では、ビームスプリッター304とファイバーポート404との間に空間を提供しうる。モニタリングファイバー306はフェルール424内に提供しうる。フェルール424はビームスプリッター304上に位置決めしうる。以上に述べたように、フェルール424、ファイバーポート404、およびビームスプリッター304は、ビームスプリッター304からの透過光ビームと反射光ビームとの間にパーフォーカル関係をもたらす方法で位置決めしうる。このため、ファイバーポート404における結合位置からの偏倚は、モニタリングファイバー306における結合位置からの偏倚に対応する。
【0036】
フェルール424内のモニタリングファイバー306、ファイバーポート404、およびビームスプリッター304は、図4に鎖線領域として示されるアサーマル化アセンブリー402内に提供しうる。このアセンブリー内では、パーフォーカル関係などのアセンブリーの光学特性は温度が変化しても同一に維持される。たとえば、アサーマル化アセンブリーは10℃〜35℃で同一の光学特性を維持しうる。
【0037】
図5は、一実施形態に従ってアクチュエーターを含む例示的な眼内照明システムの模式図を例示している。図5の眼内照明システム206は、図3にアクチュエーター502を追加したものと実質的に同一である。特定的には、アクチュエーター502は、コンデンサー302の位置または向きを変化させるためにコンデンサー302に配設しうる。アクチュエーター502は、コンデンサー302に精度の高い移動を提供するように構成された圧電アクチュエーター、MEMS(マイクロ電気機械システム)アクチュエーター、または任意のアクチュエーターでありうる。
【0038】
例示的な一構成では、アクチュエーター502は、コンデンサー302をX軸、Y軸、およびZ軸の方向に移動させるように構成された3組の作動機構を含む。X方向はZ方向に垂直な横水平方向でありうるし、Y方向はX方向に垂直な方向または横垂直方向でありうるし、Z方向はビームスプリッター304に向かうかまたはそれから離れる軸水平方向でありうる。実施形態では、コンデンサー302はxyz並進ステージ上に配設しうるとともに、アクチュエーター502は並進ステージを移動させることによりコンデンサー302を移動させうる。
【0039】
アクチュエーター502は、コンデンサー302を移動させて結合効率を改善するためにプロセッサー202により制御しうる。特定的には、プロセッサー202は、モニタリングファイバー306で検出された第2のビーム314の量を表す光センサー308からのシグナルを受信しうる。第2のビーム314の量がある特定の閾値未満に低下した場合、プロセッサー202は、モニタリングファイバー306におけるおよび同様に光ファイバー310における結合効率の損失を決定しうる。したがって、プロセッサー202は、制御シグナルを発生してアクチュエーター502に送ることによりコンデンサー302を移動させて結合位置を調整しうる。アクチュエーター502は、各種方法により、たとえば、X軸、Y軸、およびZ軸のそれぞれの両方向、各種向きのチルト、回転などにより、コンデンサー302を移動させうる。プロセッサー202は、続いてコンデンサーの各種位置または向きにおいて光センサー308で受信されたシグナルを解析することにより、光ファイバー310における最適結合効率にも対応するモニタリングファイバー306における最適結合効率をもたらす位置または向きを見いだしうる。
【0040】
図6は、一実施形態に従って複数のファイバーポートを含む例示的な眼内照明システムの模式図を例示している。眼内照明システム206は複数のファイバーポート404を含みうる。たとえば、図6に示されるように、3つの異なる光ファイバー310A、310B、および310Cに照明光を供給するために、それぞれ、3つのファイバーポート404A、404B、および404Cを提供しうる。特定的には、ファイバーポート404A、404B、および404Cで、それぞれ、3組のコンデンサー302A、302B、302C、ビームスプリッター304A、304B、304C、モニタリングファイバー306A、306B、および306C、光センサー308A、308B、および308C、ならびにアクチュエーター502A、502B、および502Cを提供しうる。したがって、3つのファイバーポート404A、404B、および404Cのそれぞれで結合効率を検出しうるとともに、それらのそれぞれの結合効率を維持するためにそれぞれのファイバーポート404A、404B、および404Cにおける結合効率を独立して能動的に調整しうる。図6は3つのファイバーポートを例示しているが、任意の数のファイバーポートを実現しうるものと理解される。たとえば、nが任意の整数であるポート数nを実現しうる。
【0041】
実施形態では、光源602は、3つのファイバーポート404A、404B、および404Cで使用される光612を生成しうる。光源602で生成された光612は、最初にビームスプリッター604により2つの光ビーム614および616にスプリットしうる。光ビーム614は、コンデンサー302Aに方向付けてファイバーポート404Aで光ファイバー310Aに結合しうる。光ビーム614は光源602で生成された光612の主要部分を含みうるので、ファイバーポート404Aは高パワー照明光を出力しうる。
【0042】
光ビーム616は、可変スプリッター606により光ビーム618および620にスプリットしうる。光ビーム618は、コンデンサー302Bに方向付けてファイバーポート404Bで光ファイバー310Bに結合しうる。さらに、光ビーム620は、フォールドミラー608に方向付けうるとともに、これにより光ビーム620をコンデンサー302Cに方向付けファイバーポート404Cで光ファイバー310Cに結合しうる。したがって、光源602は、3つの異なるファイバーポート404A、404B、および404Cに光を供給しうる。光源602からの光出力を検出するために光源602にパワーモニター622を配設しうる。
【0043】
パワーモニター622ならびに光センサー306A、306B、および306Cからの検出シグナルは、外科システムユーティリティー供給デバイス102のプロセッサー202により受信しうる。プロセッサー202は、シグナルを解析して各ファイバーポート404A、404B、および404Cにおける照明光の損失の原因を決定しうる。たとえば、光センサー308Aがモニタリングファイバー306Aにおける光出力の低下を検出し、かつパワーモニター622が光源602からの光出力の変化を検出しない場合、プロセッサー202は、モニタリングファイバー306Aにおける出力の低減がファイバーポート404Aにおける結合効率の損失により引き起こされうると決定しうる。したがって、プロセッサー202は、アクチュエーター502Aを制御することによりコンデンサー302Aの位置または向きを調整してファイバーポート404Aにおける結合効率を改善しうる。
【0044】
一方、光センサー308A、308B、および308Cがすべてそれぞれのモニタリングファイバー306A、306B、および306Cで光出力の低下を検出し、かつパワーモニター622もまた光源602で光出力の低下を検出した場合、プロセッサーは、モニタリングファイバー306A、306B、および306Cにおける光出力の低減が光源602における光出力の損失により引き起こされうると決定しうる。このため、コンデンサー302A、302B、および302Cにおける調整は行われない。
【0045】
図8は、一実施形態に従って光ファイバーの結合効率を検出する方法を例示するフローチャートである。802では、眼内照明システム206は1つ以上のファイバーポート404における結合効率をモニターしうる。特定的には、光センサー308はモニタリングファイバー306からの光出力を連続的に検出しうる。光センサー308からの検出シグナルは解析のためにプロセッサー202に送りうる。
【0046】
804では、プロセッサー202は、光センサー308からのシグナル出力がある特定の閾値未満であるかを決定することにより結合効率の低下が存在するかを決定しうる。存在しなければ、プロセス800は802に戻って継続してモニタリングファイバー305の出力をモニターしうる。存在するのであれば、プロセッサー202は、モニタリングファイバー306における出力量の低下の原因を決定しうる。パワーモニター622で検出された光源602からの出力が実質的に同一の状態を維持する場合、モニタリングファイバー306における出力量の低下は、ファイバーポート404における結合効率の損失により引き起こされる可能性が高い。一方、パワーモニター622で検出された光源602からの出力がパワーの低下を有する場合、プロセッサー202は、モニタリングファイバー306における出力量の損失が光源602の出力の低下により引き起こされると決定しうる。
【0047】
806では、プロセッサー202は、検出された出力および/または検出された出力の変化をユーザーに知らせうる。たとえば、プロセッサー202は、ある特定のファイバーポート404に光出力の損失が存在することおよび光出力の損失の理由、たとえば、欠陥光源、ファイバーポート404における結合位置のミスアライメントなどが存在することをユーザーに知らせるメッセージを発生しうる。いくつかの例では、プロセッサーは閾値結合効率値を記憶し、閾値を超えた場合にはプロセッサーはユーザーに知らせる。閾値は上限閾値または下限閾値でありうる。通知は、ディスプレイスクリーン110上に表示される1つ以上のメッセージ、メッセージを述べる可聴音声、外科システム100から発せられる可聴警告音、フラッシュ光などの視覚警告などでありうる。したがって、問題に対処するようにユーザーに知らせうる。たとえば、ユーザーは、光源のスイッチを切ったり、結合位置を再調整したり、または他の措置を講じたりしうる。実施形態では、通知は、問題に対処するために外科システム100が結合位置を自動で再アライメントしていることをユーザーに知らせうる。したがって、外科システム100が再アライメントプロセスを終了するまで待つようにユーザーに知らせうる。
【0048】
810では、ファイバーポート404における結合効率に損失が存在する場合、プロセッサーは、アクチュエーター502を制御することによりコンデンサー302を移動させてファイバーポート404における結合位置を調整しうる。特定的には、プロセッサー202は、最初に、最適結合位置を得るためにスキャンすべきファイバーポート404における範囲または領域を決定しうる。次いで、プロセッサー202は、アクチュエーター502を制御することによりX、Y、およびZ方向に漸進移動させて最適結合位置を見いだしうる。たとえば、プロセッサー202は、X、Y、およびZ方向のそれぞれでコンデンサー302を漸進移動させて範囲内または領域内の複数の異なる位置をスキャンしうる。これらの位置のそれぞれにおいてモニタリングファイバー306で検出された光出力を記録して比較することにより最大出力を有する位置を見いだしうる。最適結合位置は、X、Y、またはZ方向のいずれかでその位置から離れる方向にコンデンサー302を移動されたときにモニタリングファイバー306における光出力が減少する位置でありうる。
【0049】
実施形態では、モニタリングファイバー306は、眼用ファイバープローブの光ファイバー310よりも小さいコア直径を有しうる。このため、モニタリングファイバー306は光ビームが進入しうるより小さい入口表面を有するので、モニタリングファイバー306は、光ファイバー310よりも結合効率の損失に対してより敏感である。これにより、システムは、光ファイバー310で気付く前にモニタリングファイバー306のなんらかのミスアライメントまたは偏倚を検出しうる。したがって、システムは、光ファイバー310における結合効率が悪化する前にこのミスアライメントまたは偏倚を補正しうる。図7は、光ファイバー310およびモニタリングファイバー306の相対ファイバー結合効率と軸方向(z)ミスアライメントおよび横方向(r)ミスアライメントとの例示的なコンター図である。図7に示されるように、相対結合効率は、光ファイバー310たとえばコンシューマブルファイバーよりもモニタリングファイバー306の方が軸方向および/または横方向ミスアライメントに伴ってより急速に減衰する。この特徴により、システムは、光ファイバー310における結合効率が影響を受ける前にモニタリングファイバー306でミスアライメントの発生の開始を検出してミスアライメントを補正することが可能になる。
【0050】
実施形態では、モニタリングファイバー306はシングルモードファイバーの二次元アレイを含みうる。たとえば、図9に示されるように、モニタリングファイバー306は、光ファイバー310よりも小さいコア直径を有する複数の光ファイバー905を含みうる。光センサー308は、ファイバーのアレイのそれぞれからの光出力を検出しうる。ファイバーのそれぞれで光出力の変化を評価することにより、プロセッサー202は、どの方向(x、y、またはz)にビームスポット910の結合位置がミスアライメントされているかを決定しうる。図9に示されるように、破線で示されるビームスポット910は図9の左側の方向に偏倚している。したがって、光センサー308は、光ファイバー905の左側近傍からより高い出力を検出しうる。プロセッサー202は、アクチュエーター502を制御することによりモニタリングファイバー306の中心領域の方向に戻すようにビームスポット910を移動させうる。このため、光ファイバーの二次元アレイは、ミスアライメントの方向に関する追加情報を提供して適正な補正を可能にしうる。
【0051】
したがって、以上の実施形態は、眼内照明システムで結合効率の検出を実現するシステムまたは方法を提供する。特定的には、結合光ビームの一部をモニタリングファイバーに分岐させるためにビームスプリッターが提供される。結合効率は、モニタリングファイバーで検出された光出力に基づいて決定しうる。さらに、プロセッサーでアクチュエーターを制御することによりコンデンサーを移動させて結合効率を改善しうる。
【0052】
本開示に包含される実施形態が以上に記載の特定の例示的な実施形態に限定されないことは、当業者であれば分かるであろう。それに関連して、例示的な実施形態を示して説明してきたが、以上の開示において広範にわたる修正、変更、および置換が企図される。かかる変形は本開示の範囲から逸脱することなく行いうるものと理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は広義にかつ本開示に適合するように解釈するのが適切である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9