特許第6616470号(P6616470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616470符号化方法、復号化方法、符号化装置及び復号化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616470
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】符号化方法、復号化方法、符号化装置及び復号化装置
(51)【国際特許分類】
   G10L 21/0388 20130101AFI20191125BHJP
   G10L 19/02 20130101ALI20191125BHJP
   G10L 19/26 20130101ALI20191125BHJP
【FI】
   G10L21/0388 100
   G10L19/02 150
   G10L19/26 B
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-161132(P2018-161132)
(22)【出願日】2018年8月30日
(62)【分割の表示】特願2017-91250(P2017-91250)の分割
【原出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2018-200488(P2018-200488A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2018年8月30日
(31)【優先権主張番号】201310014342.4
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲賓▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲澤▼新
(72)【発明者】
【氏名】苗 磊
【審査官】 冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/066238(WO,A2)
【文献】 特開2000−099095(JP,A)
【文献】 特表2009−545775(JP,A)
【文献】 特表2008−535024(JP,A)
【文献】 特開平08−160996(JP,A)
【文献】 米国特許第6167371(US,A)
【文献】 Jie Zhan,Bandwidth Extension for China AVS-M standard,2009 IEEE International Conference on Acoustics,米国,IEEE,2009年 4月24日,pp.4149-4152
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 19/00−19/26
G10L 21/038−21/0388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声信号を符号化するための符号化方法であって、
符号化される時間ドメイン信号を低帯域信号と高帯域信号とに分割するステップと、
前記低帯域信号で符号化を実行して低周波数符号化パラメータを取得するステップと、
前記高帯域信号で線形予測符号化(LPC)分析を実行してLPC係数を取得し、前記低周波数符号化パラメータを使用して高周波数励起信号を予測し、前記高周波数励起信号と前記LPC係数に従って決定された合成フィルタとを使用して合成高帯域信号を取得するステップと、
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するステップであり、前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、前記LPC係数に基づいて零極型ポストフィルタの係数を設定し、前記零極型ポストフィルタを使用することにより、前記合成高帯域信号でフィルタリング信号を実行することを含むステップと、
前記高帯域信号及び前記短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算するステップと
を有する符号化方法。
【請求項2】
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、
前記零極型ポストフィルタを使用することにより、前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行した後に、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタを使用することにより、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行することを有し、
μは、前記LPC係数及び前記合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である、請求項1に記載の符号化方法。
【請求項3】
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、
前記零極型ポストフィルタを使用することにより、前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行した後に、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタを使用することにより、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行することを有し、
μは、予め設定された定数である、請求項に記載の符号化方法。
【請求項4】
前記零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式を使用することにより計算され、
【数8】
a1,a2,...aMは前記LPC係数であり、Mは前記LPC係数のオーダーであり、β及びγは予め設定された定数であり、0<β<γ<1を満たす、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の符号化方法。
【請求項5】
前記符号化方法は、前記低周波数符号化パラメータ、前記LPC係数及び前記高周波数利得に従って符号化ビットストリームを生成するステップを更に有する、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の符号化方法。
【請求項6】
音声信号を復号化するための復号化方法であって、
符号化された情報から低周波数符号化パラメータとLPC係数と高周波数利得とを区別するステップと、
前記低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得するステップと、
前記低周波数符号化パラメータに従って高周波数励起信号を復元し、前記LPC係数に従って合成フィルタを生成し、前記合成フィルタを使用することにより、前記高周波数励起信号でフィルタリングを実行して合成高帯域信号を取得するステップと、
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するステップであり、前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、前記LPC係数に基づいて零極型ポストフィルタの係数を設定し、前記零極型ポストフィルタを使用することにより、前記合成高帯域信号でフィルタリング信号を実行することを含むステップと、
前記高周波数利得を使用することにより、前記短時間フィルタリング信号を調整して高帯域信号を取得するステップと、
前記低帯域信号と前記高帯域信号とを結合して最終的な復号化信号を取得するステップと
を有する復号化方法。
【請求項7】
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、
前記零極型ポストフィルタを使用することにより、前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行した後に、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタを使用することにより、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行することを有し、
μは、前記LPC係数及び前記合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である、請求項6に記載の復号化方法。
【請求項8】
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、
前記零極型ポストフィルタを使用することにより、前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行した後に、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタを使用することにより、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行することを有し、
μは、予め設定された定数である、請求項に記載の復号化方法。
【請求項9】
記零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式を使用することにより計算され、
【数9】
a1,a2,...aMは前記LPC係数であり、Mは前記LPC係数のオーダーであり、β及びγは予め設定された定数であり、0<β<γ<1を満たす、請求項6ないし8のうちいずれか1項に記載の復号化方法。
【請求項10】
音声信号を符号化するための符号化装置であって、
符号化される時間ドメイン信号を低帯域信号と高帯域信号とに分割するように構成された分割ユニットと、
前記低帯域信号で符号化を実行して低周波数符号化パラメータを取得するように構成された低周波数符号化ユニットと、
前記高帯域信号で線形予測符号化(LPC)分析を実行してLPC係数を取得するように構成された高周波数符号化ユニットと、
前記低周波数符号化パラメータに従って高周波数励起信号を予測し、前記高周波数励起信号が前記LPC係数に従って決定された合成フィルタに渡されて合成高帯域信号を取得可能にするように構成された合成ユニットと、
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するように構成されたフィルタリングユニットであり、前記フィルタリングユニットは、前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された零極型ポストフィルタを含み、前記零極型ポストフィルタの係数は、前記LPC係数に基づいて設定されるフィルタリングユニットと、
前記高帯域信号及び前記短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算するように構成された計算ユニットと
を有する符号化装置。
【請求項11】
前記フィルタリングユニットは、前記零極型ポストフィルタの後ろに位置し、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタであり、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された1次フィルタを更に有し、
μは、前記LPC係数及び前記合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である、請求項10に記載の符号化装置。
【請求項12】
前記フィルタリングユニットは、前記零極型ポストフィルタの後ろに位置し、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタであり、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された1次フィルタを更に有し、
μは、予め設定された定数である、請求項10に記載の符号化装置。
【請求項13】
記零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式を使用することにより計算され、
【数10】
a1,a2,...aMは前記LPC係数であり、Mは前記LPC係数のオーダーであり、β及びγは定数であり、0<β<γ<1を満たす、請求項10ないし12のうちいずれか1項に記載の符号化装置。
【請求項14】
前記符号化装置は、前記低周波数符号化パラメータ、前記LPC係数及び前記高周波数利得に従って符号化ビットストリームを生成するように構成されたビットストリーム生成ユニットを更に有する、請求項10ないし13のうちいずれか1項に記載の符号化装置。
【請求項15】
符号化された情報から低周波数符号化パラメータとLPC係数と高周波数利得とを区別するように構成された区別ユニットと、
前記低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得するように構成された低周波数復号化ユニットと、
前記低周波数符号化パラメータを使用して高周波数励起信号を復元し、前記LPC係数を使用して合成フィルタを生成し、前記合成フィルタを使用して前記高周波数励起信号でフィルタリングを実行して合成高帯域信号を取得するように構成された合成ユニットと、
前記合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するように構成されたフィルタリングユニットであり、前記フィルタリングユニットは、前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された零極型ポストフィルタを含み、前記零極型ポストフィルタの係数は、前記LPC係数に基づいて設定されるフィルタリングユニットと、
前記高周波数利得を使用することにより、前記短時間フィルタリング信号を調整して高帯域信号を取得するように構成された高周波数復号化ユニットと、
前記低帯域信号と前記高帯域信号とを結合して最終的な復号化信号を取得するように構成された結合ユニットと
を有する復号化装置。
【請求項16】
前記フィルタリングユニットは、前記零極型ポストフィルタの後ろに位置し、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタであり、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された1次フィルタを更に有し、
μは、前記LPC係数及び前記合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である、請求項15に記載の復号化装置。
【請求項17】
前記フィルタリングユニットは、前記零極型ポストフィルタの後ろに位置し、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタであり、前記零極型ポストフィルタにより処理された前記合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された1次フィルタを更に有し、
μは、予め設定された定数である、請求項15に記載の復号化装置。
【請求項18】
記零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式を使用することにより計算され、
【数11】
a1,a2,...aMは前記LPC係数であり、Mは前記LPC係数のオーダーであり、β及びγは予め設定された定数であり、0<β<γ<1を満たす、請求項16又は17に記載の復号化装置。
【請求項19】
コンピュータに請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項20】
コンピュータに請求項6ないし9のうちいずれか1項に記載の方法を実行させるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2013年1月15日に“ENCODING METHOD, DECODING METHOD, ENCODING APPARATUS, AND DECODING APPARATUS”という題で中国専利局に出願された中国特許出願第201310014342.4号の優先権を主張し、その全内容を援用する。
【0002】
本発明の実施例は、通信技術の分野に関し、特に、符号化方法、復号化方法、符号化装置、復号化装置、送信機、受信機及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0003】
通信技術の絶え間ない進展により、ユーザは、音声品質に対してますます高い要件を課している。一般的に、音声品質は、音声品質の帯域幅を増加させることにより改善される。帯域幅が広い信号が従来の符号化方法で符号化された場合、ビットレートはかなり向上し、その結果、現在のネットワーク帯域幅の制限条件のため、符号化を実施することが困難になる。従って、符号化は、ビットレートが変化しない場合又はわずかに変化する場合に帯域幅が広くなる信号において実行される必要があり、この問題への対策は、帯域幅拡張(bandwidth extension)技術を使用することである。帯域幅拡張技術は、時間ドメイン又は周波数ドメインで行われてもよい。時間ドメインで帯域幅拡張を実行する基本的な原理は、2つの異なる処理方法が低帯域信号と高帯域信号とに使用されることにある。元の信号の低帯域信号では、符号化は、様々な符号器を使用することにより要件に従って符号器側で実行される。復号器側では、符号器側の符号器に対応する復号器が低帯域信号を復号化及び復元するために使用される。高帯域信号では、符号器側で、低帯域信号に使用された符号器が、高周波数励起信号(excitation signal)を予測するために低周波数符号化パラメータを取得するために使用され、処理は、高周波数符号化パラメータを取得するために元の信号の高帯域信号で実行され、合成高帯域信号は、高周波数符号化パラメータ及び高周波数励起信号に基づいて取得される。合成高帯域信号及び元の信号の高帯域信号は、高帯域信号の利得を調整するために使用される高周波数利得を取得するために比較され、高周波数利得及び高周波数符号化パラメータは、高帯域信号を復元するために復号器側に伝送される。復号器側では、低帯域信号が復号化されるときに抽出された低周波数符号化パラメータが、高周波数励起信号を復元するために使用され、合成高帯域信号は、高周波数励起信号と高帯域信号が復号化されるときに抽出された高周波数符号化パラメータとに基づいて取得される。高周波数利得は、最終的な高帯域信号を取得するために、合成高帯域信号で調整され、高帯域信号及び低帯域信号は、最終的な出力信号を取得するために結合される。
【0004】
時間ドメインで帯域幅拡張を実行する前述の技術では、高帯域信号は、特定のレートの条件で復元される。しかし、性能インジケータは不足している。復号化により復元された音声信号の周波数スペクトルと、元の音声信号の周波数スペクトルとを比較することにより、復元された音声信号はサラサラという音がし、音は十分に明瞭ではないことが分かり得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施例は、復元された信号の明瞭度を改善することができ、これにより符号化及び復号化性能を向上することができる符号化方法、復号化方法、符号化装置、復号化装置、送信機、受信機及び通信システムを提供する。
【0006】
第1の態様によれば、符号化方法が提供され、符号化される時間ドメイン信号を低帯域信号と高帯域信号とに分割し、低帯域信号で符号化を実行して低周波数符号化パラメータを取得し、高帯域信号で符号化を実行して高周波数符号化パラメータを取得し、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得し、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得し、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近く、高帯域信号及び短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算することを含む。
【0007】
第1の態様を参照して、第1の態様の実装方法では、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、高周波数符号化パラメータに基づいて零極型(pole-zero)ポストフィルタの係数を設定し、零極型ポストフィルタを使用することにより、合成高帯域信号でフィルタリング信号を実行することを含む。
【0008】
第1の態様及び前述の実装方法を参照して、第1の態様の他の実装方法では、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、零極型ポストフィルタを使用することにより、合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行した後に、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタを使用することにより、零極型ポストフィルタにより処理された合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行することを更に含んでもよく、μは、予め設定された定数又は高周波数符号化パラメータ及び合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である。
【0009】
第1の態様及び前述の実装方法を参照して、第1の態様の他の実装方法では、高帯域信号で符号化を実行して高周波数符号化パラメータを取得することは、線形予測符号化(LPC:linear predictive coding)技術を使用することにより、高帯域信号で符号化を実行してLPC係数を取得し、LPC係数を高周波数符号化パラメータとして使用することを含み、零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式であり、
【数1】
a1,a2,...aMはLPC係数であり、MはLPC係数のオーダーであり、β及びγは定数であり、0<β<γ<1を満たす。
【0010】
第1の態様及び前述の実装方法を参照して、第1の態様の他の実装方法では、符号化方法は、低周波数符号化パラメータ、高周波数符号化パラメータ及び高周波数利得に従って符号化ビットストリームを生成することを更に含んでもよい。
【0011】
第2の態様によれば、復号化方法が提供され、符号化された情報から低周波数符号化パラメータと高周波数符号化パラメータと高周波数利得とを区別し、低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得し、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得し、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得し、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近く、高周波数利得を使用することにより、短時間フィルタリング信号を調整して高帯域信号を取得し、低帯域信号と高帯域信号とを結合して最終的な復号化信号を取得することを含む。
【0012】
第2の態様を参照して、第2の態様の実装方法では、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、高周波数符号化パラメータに基づいて零極型(pole-zero)ポストフィルタの係数を設定し、零極型ポストフィルタを使用することにより、合成高帯域信号でフィルタリング信号を実行することを含む。
【0013】
第2の態様及び前述の実装方法を参照して、第2の態様の他の実装方法では、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行することは、零極型ポストフィルタを使用することにより、合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行した後に、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタを使用することにより、零極型ポストフィルタにより処理された合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行することを含んでもよく、μは、予め設定された定数又は高周波数符号化パラメータ及び合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である。
【0014】
第2の態様及び前述の実装方法を参照して、第2の態様の他の実装方法では、高周波数符号化パラメータは、線形予測符号化(LPC:linear predictive coding)技術を使用することにより符号化を実行することにより取得されたLPC係数を含んでもよく、零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式であり、
【数2】
a1,a2,...aMはLPC係数であり、MはLPC係数のオーダーであり、β及びγは定数であり、0<β<γ<1を満たす。
【0015】
第3の態様によれば、符号化装置が提供され、符号化される時間ドメイン信号を低帯域信号と高帯域信号とに分割するように構成された分割ユニットと、低帯域信号で符号化を実行して低周波数符号化パラメータを取得するように構成された低周波数符号化ユニットと、高帯域信号で符号化を実行して高周波数符号化パラメータを取得するように構成された高周波数符号化ユニットと、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得するように構成された合成ユニットと、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するように構成されたフィルタリングユニットであり、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近いフィルタリングユニットと、高帯域信号及び短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算するように構成された計算ユニットとを含む。
【0016】
第3の態様を参照して、第3の態様の実装方法では、フィルタリングユニットは、合成高帯域信号でフィルタリング信号を実行するように構成された零極型(pole-zero)ポストフィルタを含んでもよく、零極型ポストフィルタの係数は、高周波数符号化パラメータに基づいて設定されてもよい。
【0017】
第3の態様及び前述の実装方法を参照して、第3の態様の他の実装方法では、フィルタリングユニットは、零極型ポストフィルタの後ろに位置し、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタであり、零極型ポストフィルタにより処理された合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された1次フィルタを更に含んでもよく、μは、予め設定された定数又は高周波数符号化パラメータ及び合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である。
【0018】
第3の態様及び前述の実装方法を参照して、第3の態様の他の実装方法では、高周波数符号化ユニットは、線形予測符号化(LPC:linear predictive coding)技術を使用することにより、高帯域信号で符号化を実行してLPC係数を取得し、LPC係数を高周波数符号化パラメータとして使用してもよく、零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式であり、
【数3】
a1,a2,...aMはLPC係数であり、MはLPC係数のオーダーであり、β及びγは定数であり、0<β<γ<1を満たす。
【0019】
第3の態様及び前述の実装方法を参照して、第3の態様の他の実装方法では、符号化装置は、低周波数符号化パラメータ、高周波数符号化パラメータ及び高周波数利得に従って符号化ビットストリームを生成するように構成されたビットストリーム生成ユニットを更に含んでもよい。
【0020】
第4の態様によれば、復号化装置が提供され、符号化された情報から低周波数符号化パラメータと高周波数符号化パラメータと高周波数利得とを区別するように構成された区別ユニットと、低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得するように構成された低周波数復号化ユニットと、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得するように構成された合成ユニットと、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するように構成されたフィルタリングユニットであり、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近いフィルタリングユニットと、高周波数利得を使用することにより、短時間フィルタリング信号を調整して高帯域信号を取得するように構成された高周波数復号化ユニットと、低帯域信号と高帯域信号とを結合して最終的な復号化信号を取得するように構成された結合ユニットとを含む。
【0021】
第4の態様を参照して、第4の態様の実装方法では、フィルタリングユニットは、合成高帯域信号でフィルタリング信号を実行するように構成された零極型(pole-zero)ポストフィルタを含んでもよく、零極型ポストフィルタの係数は、高周波数符号化パラメータに基づいて設定されてもよい。
【0022】
第4の態様及び前述の実装方法を参照して、第4の態様の他の実装方法では、フィルタリングユニットは、零極型ポストフィルタの後ろに位置し、zドメインの伝達関数がHt(z)=1-μz-1である1次フィルタであり、零極型ポストフィルタにより処理された合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するように構成された1次フィルタを更に含んでもよく、μは、予め設定された定数又は高周波数符号化パラメータ及び合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である。
【0023】
第4の態様及び前述の実装方法を参照して、第4の態様の他の実装方法では、高周波数符号化パラメータは、線形予測符号化(LPC:linear predictive coding)技術を使用することにより取得されたLPC係数を含んでもよく、零極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は以下の式であり、
【数4】
a1,a2,...aMはLPC係数であり、MはLPC係数のオーダーであり、β及びγは定数であり、0<β<γ<1を満たす。
【0024】
第5の態様によれば、送信機が提供され、第3の態様による符号化装置と、ビットストリームを生成するために、符号化装置により生成された高周波数符号化パラメータ及び低周波数符号化パラメータにビットを割り当て、ビットストリームを送信するように構成された送信ユニットとを含む。
【0025】
第6の態様によれば、受信機が提供され、ビットストリームを受信し、ビットストリームから符号化された情報を抽出するように構成された受信ユニットと、第4の態様による復号化装置とを含む。
【0026】
第7の態様によれば、通信システムが提供され、第5の態様による送信機又は第6の態様による受信機を含む。
【0027】
本発明の実施例による前述の技術的対策では、高周波数利得が符号化及び復号化処理において合成高帯域信号に基づいて計算される場合、短時間フィルタリング信号を取得するために短時間のフィルタリング処理が合成高帯域信号で実行され、高周波数利得が短時間フィルタリング信号に基づいて計算される。これは、復元された信号からサラサラ音を低減又は除去することができ、符号化及び復号化効果を改善することができる。
【0028】
本発明の実施例の技術的対策を更に明確に説明するために、実施例又は従来技術を説明するために必要な添付図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における添付図面は、本発明の単にいくつかの実施例を示しているに過ぎず、当業者は、依然として創造的取り組みを行うことなく、これらの図面から他の図面を導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施例による符号化方法を概略的に示すフローチャート
図2】本発明の実施例による復号化方法を概略的に示すフローチャート
図3】本発明の実施例による符号化装置を概略的に示すブロック図
図4】本発明の実施例による符号化装置のフィルタリングユニットを概略的に示すブロック図
図5】本発明の実施例による復号化装置を概略的に示すブロック図
図6】本発明の実施例による送信機を概略的に示すブロック図
図7】本発明の実施例による受信機を概略的に示すブロック図
図8】本発明の他の実施例による装置の概略ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施例の添付図面を参照して、本発明の実施例の技術的対策を明確且つ完全に説明する。明らかに、記載の実施例は、本発明の実施例の全てではなく、一部に過ぎない。創造的取り組みを行うことなく、本発明の実施例に基づいて当業者により得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲内に入るものとする。
【0031】
本発明の技術的対策は、GSM、符号分割多重アクセス(CDMA:Code Division Multiple Access)、広帯域符号分割多重アクセス(WCDMA:Wideband Code Division Multiple Access)、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)、及びロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)のような様々な通信システムに適用されてもよい。
【0032】
帯域幅拡張技術は、時間ドメイン又は周波数ドメインで行われてもよく、本発明では、帯域幅拡張は時間ドメインで行われる。
【0033】
図1は、本発明の実施例による符号化方法100を概略的に示すフローチャートである。符号化方法100は、符号化される時間ドメイン信号を低帯域信号と高帯域信号とに分割し(110)、低帯域信号で符号化を実行して低周波数符号化パラメータを取得し(120)、高帯域信号で符号化を実行して高周波数符号化パラメータを取得し、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得し(130)、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得し、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近く(140)、高帯域信号及び短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算する(150)ことを含む。
【0034】
110において、符号化される時間ドメイン信号は、低帯域信号と高帯域信号とに分割される。この分割は、低帯域信号及び高帯域信号が別々に処理され得るように、時間ドメイン信号を処理のために2つの信号に分割することである。分割は、いずれかの従来又は将来の分割技術を使用することにより実施されてもよい。ここでの低周波数の意味は、高周波数の意味に対して相対的なものである。例えば、周波数閾値が設定されてもよく、周波数閾値より低い周波数は低周波数であり、周波数閾値より高い周波数は高周波数である。実際には、周波数閾値は要件に従って設定されてもよく、信号における低帯域信号成分及び高帯域信号成分も、分割を実施するために、他の方法を使用することにより区別されてもよい。
【0035】
120において、低帯域信号は、低周波数符号化パラメータを取得するように符号化される。符号化により、低帯域信号は、低周波数符号化パラメータを取得するように処理され、これにより、復号器側は、低周波数符号化パラメータに従って低帯域信号を復元する。低周波数符号化パラメータは、低帯域信号を復元するために復号器側により必要とされるパラメータである。一例として、符号化は、代数符号励振線形予測(ACELP:Algebraic Code Excited Linear Prediction)アルゴリズムを使用した符号器(ACELP符号器)を使用することにより実行されてもよく、この場合に取得される低周波数符号化パラメータは、例えば、代数コードブックと、代数コードブック利得と、適応コードブックと、適応コードブック利得と、ピッチ期間とを含んでもよく、また、他のパラメータを含んでもよい。低周波数符号化パラメータは、低帯域信号を復元するために復号器側に伝送される。更に、代数コードブック及び適応コードブックが符号器側から復号器側に伝送される場合、代数コードブックインデックス及び適応コードブックインデックスが伝送されてもよく、復号器側は、復元を実施するために、代数コードブックインデックス及び適応コードブックインデックスに従って、対応する代数コードブック及び適応コードブックを取得する。実際には、低帯域信号は、要件に従って適切な符号化技術を使用することにより符号化されてもよい。符号化技術が変化する場合、低周波数符号化パラメータの構成も変化してもよい。
【0036】
本発明のこの実施例では、ACELPアルゴリズムを使用した符号化技術が説明の一例として使用される。
【0037】
130において、高帯域信号は、高周波数符号化パラメータを取得するように符号化され、合成高帯域信号は、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って取得される。例えば、線形予測符号化(LPC:linear Predictive Coding)分析が、LPC係数のような高周波数符号化パラメータを取得するために、元の信号の高帯域信号で実行されてもよく、低周波数符号化パラメータは、高周波数励起信号を予測するために使用され、高周波数励起信号は、LPC係数に従って決定された合成フィルタを使用することにより、合成高帯域信号を取得するために使用される。実際には、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得するために、要件に従って他の技術が採用されてもよい。
【0038】
低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得する処理において、予測を実行するために低周波数符号化パラメータを使用することにより取得される高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦である。しかし、実際の高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦ではない。この差は、合成高帯域信号のスペクトル包絡線が元の信号の高帯域信号のスペクトル包絡線と共に変化しないことを生じ、更に、復元された音声信号におけるサラサラ音を生じる。
【0039】
140において、短時間フィルタリング信号を取得するために、短時間のポストフィルタリング処理が合成高帯域信号で実行される。合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。
【0040】
例えば、合成高帯域信号でポストフィルタリング処理を実行するために使用されるフィルタは、高周波数符号化パラメータに基づいて形成されてもよく、フィルタは、短時間フィルタリング信号を取得するために合成高帯域信号でフィルタリングを実行するために使用される。合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。例えば、零極型ポストフィルタの係数は、高周波数符号化パラメータに基づいて設定されてもよく、零極型ポストフィルタは、合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するために使用されてもよい。或いは、全極型(all-pole)ポストフィルタの係数は、高周波数符号化パラメータに基づいて設定されてもよく、全極型ポストフィルタは、合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するために使用されてもよい。線形予測符号化(LPC)技術を使用することにより符号化が高帯域信号で実行されることは、以下では説明の例として使用される。
【0041】
線形予測符号化(LPC)技術を使用することにより符号化が高帯域信号で実行される場合、高周波数符号化パラメータは、LPC係数a1,a2,...aMを含み、MはLPC係数のオーダーであり、係数伝達関数が以下の式(1)で計算される零極型ポストフィルタがLPC係数に基づいて設定されてもよい。
【数5】
ただし、β及びγは定数であり、0<β<γ<1を満たす。実際には、β=0.5、γ=0.8になってもよい。伝達関数が式(1)に示される零極型ポストフィルタにより処理された合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状は、高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近いため、復元された信号のサラサラ音を回避し、符号化効果を改善する。式(1)に示す伝達関数は、zドメインの伝達関数であるが、この伝達関数は、時間ドメイン又は周波数ドメインのような他のドメインの伝達関数でもよい。
【0042】
更に、零極型ポストフィルタリング処理の後の合成高帯域信号はローパス効果を有するため、零極型ポストフィルタを使用することにより合成高帯域信号でフィルタリング処理が実行された後に、処理は、zドメインの伝達関数が以下の式(2)で計算される1次フィルタを使用することにより更に実行されてもよい。
【数6】
ただし、μは、予め設定された定数又は高周波数符号化パラメータ及び合成高帯域信号に従って実行された適応的計算により取得された値である。例えば、符号化が線形予測符号化(LPC)係数を使用することにより高帯域信号で実行される場合、μは、LPC係数、β及びγ、並びに合成高帯域信号を関数として使用することによる計算により取得されてもよく、当業者は、計算を実行するために様々な既存の方法を使用してもよい。詳細はここでは再び説明しない。零極型ポストフィルタのみによるフィルタリング処理から取得された短時間フィルタリング信号に比べて、零極型ポストフィルタと1次フィルタとの双方によるフィルタリング処理から取得された短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の変化は、元の高帯域信号のスペクトル包絡線の変化に近く、符号化効果が更に改善され得る。
【0043】
符号化が線形予測符号化(LPC)技術を使用することにより高帯域信号で実行される場合、短時間のポストフィルタリング処理が全極型ポストフィルタを使用することにより実施される場合には、係数が高周波数符号化パラメータに基づいて設定される全極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は、以下の式(3)で示されてもよい。
【数7】
ただし、β及びγは予め設定された定数であり、0<β<γ<1を満たす。a1,a2,...aMは高周波数符号化パラメータのLPC係数として使用され、MはLPC係数のオーダーである。
【0044】
150において、高周波数利得は、高帯域信号及び短時間フィルタリング信号に基づいて計算される。高周波数利得は、元の高帯域信号と短時間フィルタリング信号(すなわち、短時間のポストフィルタリング処理の後の合成高帯域信号)との間のエネルギー差を示すために使用される。信号復号化が実行される場合、合成高帯域信号が取得された後に、高周波数利得は、高帯域信号を復元するために使用されてもよい。
【0045】
高周波数利得、高周波数符号化パラメータ及び低周波数符号化パラメータが取得された後に、符号化ビットストリームは、低周波数符号化パラメータ、高周波数符号化パラメータ及び高周波数利得に従って生成され、これにより符号化を実施する。本発明のこの実施例による前述の符号化方法では、短時間のポストフィルタリング処理は、短時間フィルタリング信号を取得するために合成高帯域信号で実行され、高周波数利得は、短時間フィルタリング信号に基づいて計算される。これは、復元された信号からサラサラ音を低減又は除去することができ、符号化効果を改善することができる。
【0046】
図2は、本発明の実施例による復号化方法200を概略的に示すフローチャートである。復号化方法200は、符号化された情報から低周波数符号化パラメータと高周波数符号化パラメータと高周波数利得とを区別し(210)、低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得し(220)、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得し(230)、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得し、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近く(240)、高周波数利得を使用することにより、短時間フィルタリング信号を調整して高帯域信号を取得し(250)、低帯域信号と高帯域信号とを結合して最終的な復号化信号を取得する(260)ことを含む。
【0047】
210において、低周波数符号化パラメータ、高周波数符号化パラメータ及び高周波数利得は、符号化された情報から区別される。低周波数符号化パラメータは、例えば、代数コードブックと、代数コードブック利得と、適応コードブックと、適応コードブック利得と、ピッチ期間と、他のパラメータを含んでもよく、高周波数符号化パラメータは、例えば、LPC係数と、高周波数利得パラメータと、他のパラメータとを含んでもよい。更に、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータは、代替として異なる符号化技術に従って他のパラメータを含んでもよい。
【0048】
220において、復号化は、低帯域信号を取得するように、低周波数符号化パラメータで実行される。特定の復号化方法は、符号器側の符号化方法に対応する。例えば、ACELPアルゴリズムを使用したACELP符号器が符号器側で符号化を実行するために使用される場合、220において低帯域信号を取得するためにACELP復号器が使用される。
【0049】
230において、合成高帯域信号は、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って取得される。例えば、低周波数符号化パラメータは、高周波数励起信号を復元するために使用され、高周波数符号化パラメータのLPC係数は、合成フィルタを生成するために使用され、合成フィルタは、高周波数励起信号でフィルタリングを実行して合成高帯域信号を取得するために使用される。実際には、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに基づいて合成高帯域信号を取得するために、要件に従って他の技術が更に採用されてもよい。
【0050】
前述のように、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得する処理において、予測を実行するために低周波数符号化パラメータを使用することにより取得される高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦である。しかし、実際の高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦ではない。この差は、合成高帯域信号のスペクトル包絡線が元の信号の高帯域信号のスペクトル包絡線と共に変化しないことを生じ、更に、復元された音声信号におけるサラサラ音を生じる。
【0051】
240において、短時間フィルタリング信号を取得するために、短時間のポストフィルタリング処理が合成高帯域信号で実行される。合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。
【0052】
例えば、合成高帯域信号でポストフィルタリング処理を実行するために使用されるフィルタは、高周波数符号化パラメータに基づいて形成されてもよく、フィルタは、短時間フィルタリング信号を取得するために合成高帯域信号でフィルタリングを実行するために使用される。合成高帯域信号に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。例えば、零極型ポストフィルタの係数は、高周波数符号化パラメータに基づいて設定されてもよく、零極型ポストフィルタは、合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するために使用されてもよい。或いは、全極型(all-pole)ポストフィルタの係数は、高周波数符号化パラメータに基づいて設定されてもよく、全極型ポストフィルタは、合成高帯域信号でフィルタリング処理を実行するために使用されてもよい。
【0053】
線形予測符号化(LPC)技術を使用することにより符号化が高帯域信号で実行される場合、高周波数符号化パラメータは、LPC係数a1,a2,...aMを含み、MはLPC係数のオーダーであり、LPC係数に基づいて設定される零極型ポストフィルタのzドメインの係数伝達関数は前述の式(1)でもよく、LPC係数に基づいて設定される全極型フィルタのzドメインの伝達関数は前述の式(3)でもよい。零極型ポストフィルタ(又は全極型ポストフィルタ)により処理されていない合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、零極型ポストフィルタ(又は全極型ポストフィルタ)により処理された合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状は、元の高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。これは、復元された信号のサラサラ音を回避し、符号化効果を改善する。
【0054】
更に、前述のように、式(1)で示す零極型ポストフィルタリング処理の後の合成高帯域信号はローパス効果を有するため、零極型ポストフィルタを使用することにより合成高帯域信号でフィルタリング処理が実行された後に、処理は、符号化効果を更に改善するために、zドメインの伝達関数が前述の式(2)である1次フィルタを使用することにより更に実行されてもよい。
【0055】
240の説明について、図1を参照して行われる140の前述の説明に参照が行われてもよい。
【0056】
250において、高周波数利得は、高帯域信号を取得するために、短時間フィルタリング信号を調整するために使用される。これに対応して、復号器側では、高周波数利得は、高帯域信号及び短時間フィルタリング信号を使用することにより取得され(図1の150)、250において、高周波数利得は、高帯域信号を復元するために短時間フィルタリング信号を調整するために使用される。
【0057】
260において、低帯域信号及び高帯域信号は、最終的な復号化信号を取得するために結合される(260)。この結合方法は、図1の110における分割方法に対応する。これにより、最終的な出力信号を取得するように復号化を実施する。
【0058】
本発明のこの実施例による前述の復号化方法では、短時間のポストフィルタリング処理は、短時間フィルタリング信号を取得するために合成高帯域信号で実行され、高周波数利得は、短時間フィルタリング信号に基づいて計算される。これは、復元された信号からサラサラ音を低減又は除去することができ、復号化効果を改善することができる。
【0059】
図3は、本発明の実施例による符号化装置300を概略的に示すブロック図である。符号化装置300は、符号化される時間ドメイン信号を低帯域信号と高帯域信号とに分割するように構成された分割ユニット310と、低帯域信号で符号化を実行して低周波数符号化パラメータを取得するように構成された低周波数符号化ユニット320と、高帯域信号で符号化を実行して高周波数符号化パラメータを取得するように構成された高周波数符号化ユニット330と、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得するように構成された合成ユニット340と、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するように構成されたフィルタリングユニット350であり、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近いフィルタリングユニット350と、高帯域信号及び短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算するように構成された計算ユニット360とを含む。
【0060】
入力された時間ドメインの信号を受信した後に、分割ユニット310は、処理を実行するために、符号化される時間ドメインの信号を2つの信号(低帯域信号及び高帯域信号)に分割する。分割は、いずれかの従来又は将来の分割技術を使用することにより実施されてもよい。ここでの低周波数の意味は、高周波数の意味に対して相対的なものである。例えば、周波数閾値が設定されてもよく、周波数閾値より低い周波数は低周波数であり、周波数閾値より高い周波数は高周波数である。実際には、周波数閾値は要件に従って設定されてもよく、信号における低帯域信号成分及び高帯域信号成分も、分割を実施するために、他の方法を使用することにより区別されてもよい。
【0061】
低周波数符号化ユニット320は、低帯域信号で符号化を実行するために、要件に従って適切な符号化技術を使用してもよい。例えば、低周波数符号化ユニット320は、低周波数符号化パラメータ(例えば、代数コードブック、代数コードブック利得、適応コードブック、適応コードブック利得及びピッチ期間を含んでもよい)を取得するように符号化を実行するためにACELP符号器を使用してもよい。使用される符号化技術が変化する場合、低周波数符号化パラメータの構成も変化してもよい。取得された低周波数符号化パラメータは、低帯域信号を復元するために必要なパラメータであり、取得された低周波数符号化パラメータは、低帯域信号を復元するために復号器に伝送される。
【0062】
高周波数符号化ユニット330は、高周波数符号化パラメータを取得するために、高帯域信号で符号化を実行する。例えば、高周波数符号化ユニット330は、LPC係数のような高周波数符号化パラメータを取得するために、元の信号の高帯域信号で線形予測符号化(LPC:Linear Predictive Coding)を実行してもよい。高帯域信号で符号化を実行するために使用される符号化技術は、本発明の実施例に対する限定を構成しない。
【0063】
合成ユニット340は、高周波数励起信号を予測するために低周波数符号化パラメータを使用し、高周波数励起信号が合成高帯域信号を取得するためにLPC係数に従って決定された合成フィルタに渡ることを可能にする。実際には、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得するために、要件に従って他の技術が更に採用されてもよい。低周波数符号化パラメータを使用することによる予測を実行することにより、合成ユニット340により取得された高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦である。しかし、実際の高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦ではない。この差は、合成高帯域信号のスペクトル包絡線が元の信号の高帯域信号のスペクトル包絡線と共に変化しないことを生じ、更に、復元された音声信号におけるサラサラ音を生じる。
【0064】
フィルタリングユニット350は、短時間フィルタリング信号を取得するために、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行するように構成される。合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。以下では、図4を参照してフィルタリングユニット350について説明する。
【0065】
図4は、本発明の実施例による符号化装置300のフィルタリングユニット350を概略的に示すブロック図である。
【0066】
フィルタリングユニット350は、合成高帯域信号でフィルタリング信号を実行するように構成された零極型ポストフィルタ410を含んでもよく、零極型ポストフィルタの係数は、高周波数符号化パラメータに基づいて設定されてもよい。高周波数符号化ユニット330が線形予測符号化(LPC)技術を使用することにより高帯域信号で符号化を実行する場合、零極型ポストフィルタ410のzドメインの伝達関数は、前述の式(1)で示されてもよい。零極型ポストフィルタ410により処理された合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状は元の高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。これは、復元された信号のサラサラ音を回避することにより、符号化効果を改善する。任意選択で、フィルタリングユニット350は、零極型ポストフィルタの後ろに位置する1次フィルタ420を更に含んでもよい、1次フィルタ420のzドメインの伝達関数は、前述の式(2)で示されてもよい。零極型ポストフィルタ410のみによるフィルタリング処理から取得された短時間フィルタリング信号に比べて、零極型ポストフィルタ410と1次フィルタ420との双方によるフィルタリング処理から取得された短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の変化は、元の高帯域信号のスペクトル包絡線の変化に近く、符号化効果が更に改善され得る。
【0067】
図4に示すフィルタリングユニット350の置換として、短時間フィルタリング信号を取得するための短時間のポストフィルタリング処理を実行するために、全極型ポストフィルタが更に使用されてもよい。合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近い。符号化が線形予測符号化(LPC)技術を使用することにより高帯域信号で実行される場合、全極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は、前述の式(3)で示されてもよい。
【0068】
フィルタリングユニット350の説明について、図1を参照して行われる140の前述の説明に参照が行われてもよい。
【0069】
計算ユニット360は、分割ユニットにより提供された高帯域信号と、フィルタリングユニット350により出力された短時間フィルタリング信号とに基づいて高周波数利得を計算する。高周波数利得、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータは、併せて符号化情報を構成し、符号化情報は、復号器側において信号の復元のために使用される。
【0070】
更に、符号化装置300は、ビットストリーム生成ユニットを更に含んでもよく、ビットストリーム生成ユニットは、低周波数符号化パラメータ、高周波数符号化パラメータ及び高周波数利得に従って符号化ビットストリームを生成するように構成される。符号化ビットストリームを受信した復号器側は、低周波数符号化パラメータ、高周波数符号化パラメータ及び高周波数利得に基づいて復号化を実行してもよい。図3に示す符号化装置のユニットにより実行される動作については、図1を参照して行われる符号化方法の説明に参照が行われてもよい。
【0071】
本発明のこの実施例による前述の符号化装置300では、短時間のポストフィルタリング処理は、短時間フィルタリング信号を取得するために合成高帯域信号で実行され、高周波数利得は、短時間フィルタリング信号に基づいて計算される。これは、復元された信号からサラサラ音を低減又は除去することができ、符号化効果を改善することができる。
【0072】
図5は、本発明の実施例による復号化装置500を概略的に示すブロック図である。復号化装置500は、符号化された情報から低周波数符号化パラメータと高周波数符号化パラメータと高周波数利得とを区別するように構成された区別ユニット510と、低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得するように構成された低周波数復号化ユニット520と、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得するように構成された合成ユニット530と、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得するように構成されたフィルタリングユニット540であり、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近いフィルタリングユニット540と、高周波数利得を使用することにより、短時間フィルタリング信号を調整して高帯域信号を取得するように構成された高周波数復号化ユニット550と、低帯域信号と高帯域信号とを結合して最終的な復号化信号を取得するように構成された結合ユニット560とを含む。
【0073】
区別ユニット510は、符号化された情報から低周波数符号化パラメータと高周波数符号化パラメータと高周波数利得とを区別する。低周波数符号化パラメータは、例えば、代数コードブックと、代数コードブック利得と、適応コードブックと、適応コードブック利得と、ピッチ期間と、他のパラメータを含んでもよく、高周波数符号化パラメータは、例えば、LPC係数と、他のパラメータとを含んでもよい。更に、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータは、代替として異なる符号化技術に従って他のパラメータを含んでもよい。
【0074】
低周波数復号化ユニット520は、符号器側の符号化方法に対応する復号化方法を使用し、低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得する。例えば、ACELP符号器が符号器側で符号化を実行するために使用される場合、低周波数復号化ユニット520は、低帯域信号を取得するためにACELP復号器を使用する。
【0075】
LPC係数(すなわち、高周波数符号化パラメータ)がLPC分析を使用することにより取得されることが、一例として使用される。合成ユニット530は、高周波数励起信号を復元するために低周波数符号化パラメータを使用し、合成フィルタを生成するためにLPC係数を使用し、高周波数励起信号でフィルタリングを実行して合成高帯域信号を取得するために合成フィルタを使用する。実際には、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに基づいて合成高帯域信号を取得するために、要件に従って他の技術が更に採用されてもよい。
【0076】
低周波数符号化パラメータを使用することによる予測を実行することにより合成ユニット530により取得される高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦である。しかし、実際の高周波数励起信号の周波数スペクトルは平坦ではない。この差は、合成高帯域信号のスペクトル包絡線が元の信号の高帯域信号のスペクトル包絡線と共に変化しないことを生じ、更に、復元された音声信号におけるサラサラ音を生じる。
【0077】
例えば、フィルタリングユニット540の構成が図4に示され得る。或いは、フィルタリングユニット540は、短時間のポストフィルタリング処理を実行するために全極型ポストフィルタを更に使用してもよい。符号化が線形予測符号化(LPC)技術を使用することにより高帯域信号で実行される場合、全極型ポストフィルタのzドメインの伝達関数は前述の式(3)で示されてもよい。フィルタリングユニット540は図3のフィルタリングユニット350と同じであるため、フィルタリングユニット350を参照して行われる前述の説明に参照が行われてもよい。
【0078】
符号化装置300における高帯域信号及び短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算する動作に対応して、高周波数復号化ユニット550は、高帯域信号を取得するために、短時間フィルタリング信号を調整するために高周波数利得を使用する。
【0079】
符号化装置300の分割ユニットにより使用される分割方法に対応する結合方法で、結合ユニット560は、低帯域信号と高帯域信号とを結合し、これにより、復号化を実施し、最終的な出力信号を取得する。
【0080】
本発明のこの実施例による前述の復号化装置500では、短時間のポストフィルタリング処理は、短時間フィルタリング信号を取得するために合成高帯域信号で実行され、高周波数利得は、短時間フィルタリング信号に基づいて計算される。これは、復元された信号からサラサラ音を低減又は除去することができ、復号化効果を改善することができる。
【0081】
図6は、本発明の実施例による送信機600を概略的に示すブロック図である。図6の送信機600は、図3に示す符号化装置300を含んでもよいため、繰り返しの説明は必要に応じて省略される。更に、送信機600は、ビットストリームを生成するために、符号化装置300により生成された高周波数符号化パラメータ及び低周波数符号化パラメータにビットを割り当て、ビットストリームを送信するように構成された送信ユニット610を更に含んでもよい。
【0082】
図7は、本発明の実施例による受信機700を概略的に示すブロック図である。図7の受信機700は、図5に示す復号化装置500を含んでもよいため、繰り返しの説明は必要に応じて省略される。更に、受信機700は、復号化装置500による処理のため、符号化信号を受信するように構成された受信ユニット710を更に含んでもよい。
【0083】
本発明の他の実施例では、通信システムが更に提供される。通信システムは、図6を参照して説明した送信機600又は図7を参照して説明した受信機700を含んでもよい。
【0084】
図8は、本発明の他の実施例による装置の概略ブロック図である。図8の装置800は、前述の方法の実施例のステップ及び方法を実施するように構成されてもよい。装置800は、様々な通信システムにおける基地局又は端末に適用されてもよい。図8の実施例では、装置800は、送信回路802と、受信回路803と、符号化プロセッサ804と、復号化プロセッサ805と、処理ユニット806と、メモリ807と、アンテナ801とを含む。処理ユニット806は、装置800の動作を制御し、処理ユニット806はまた、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)と呼ばれてもよい。メモリ807は、読み取り専用メモリとランダムアクセスメモリとを含んでもよく、処理ユニット806のための命令及びデータを提供する。メモリ807の一部は、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM:nonvolatile random access memory)を更に含んでもよい。特定の用途では、装置800は、移動電話のような無線通信デバイス内に構築されてもよく、装置800自体が無線通信デバイスでもよい。装置800は、装置800と遠隔位置との間のデータ送信及び受信を可能にするために、送信回路802と受信回路803とを収容するキャリアを更に含んでもよい。送信回路802及び受信回路803は、アンテナ801に結合されてもよい。装置800の構成要素は、バスシステム809を使用することにより一緒に結合される。データバスに加えて、バスシステム809は、電力バスと、制御バスと、状態信号バスとを更に含む。しかし、説明を簡潔にするため、様々なバスは図面においてバスシステム809として示される。装置800は、信号を処理する処理ユニット806を更に含んでもよく、更に、装置800は、符号化プロセッサ804と復号化プロセッサ805とを更に含む。
【0085】
本発明の前述の実施例に開示された符号化方法は、符号化プロセッサ804に適用されてもよく、符号化プロセッサ804により実施されてもよい。本発明の前述の実施例に開示された復号化方法は、復号化プロセッサ805に適用されてもよく、復号化プロセッサ805により実施されてもよい。符号化プロセッサ804及び復号化プロセッサ805は、集積回路チップでもよく、信号処理機能を有する。実施プロセスにおいて、前述の方法は、符号化プロセッサ804又は復号化プロセッサ805のハードウェアの集積論理回路を用いて行われてもよく、ソフトウェアの形式の命令を用いて行われてもよい。この命令は、プロセッサ806と協力することにより実施又は制御されてもよく、本発明の実施例に開示された方法を実行するために使用される。前述の復号化プロセッサは、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)若しくは他のプログラム可能な論理コンポーネント、ディスクリート・ゲート(discrete gate)若しくはトランジスタ論理コンポーネント、又はディスクリート・ハードウェア・アセンブリでもよく、本発明の実施例に開示された方法、ステップ及び論理ブロック図を実施又は実行してもよい。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサでもよく、プロセッサはまた、いずれかの従来のプロセッサ、復号器等でもよい。本発明の実施例を参照して開示された方法のステップは、ハードウェア復号化プロセッサを使用することにより直接実行されて行われてもよく、復号化プロセッサのハードウェアモジュール及びソフトウェアモジュールの組み合わせを使用することにより実行されて行われてもよい。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能読み取り専用メモリ、電気的消去可能プログラム可能メモリ、又はレジスタのような当該技術分野において成熟した記憶媒体に存在してもよい。記憶媒体は、メモリ807に存在し、符号化プロセッサ804又は復号化プロセッサ805はメモリ807からの情報を読み取り、ハードウェアと組み合わせて前述の方法を行う。例えば、メモリ807は、符号化又は復号化の間に符号化プロセッサ804又は復号化プロセッサ805により使用するため、取得された低周波数符号化パラメータを格納してもよい。
【0086】
例えば、図3の符号化装置300は、符号化プロセッサ804により実装されてもよく、図5の復号化装置500は、復号化プロセッサ805により実装されてもよい。
【0087】
更に、例えば、図6の送信機610は、符号化プロセッサ804、送信回路802、アンテナ801等により実装されてもよい。図7の受信機710は、アンテナ801、受信回路803、復号化プロセッサ805等により実装されてもよい。しかし、前述の例は単なる例であり、本発明の実施例をこの特定の実装形式に限定することを意図するものではない。
【0088】
特に、メモリ807は、プロセッサ806及び/又は符号化プロセッサ804が以下の動作、すなわち、符号化される時間ドメイン信号を低帯域信号と高帯域信号とに分割し、低帯域信号で符号化を実行して低周波数符号化パラメータを取得し、高帯域信号で符号化を実行して高周波数符号化パラメータを取得し、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得し、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得し、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近く、高帯域信号及び短時間フィルタリング信号に基づいて高周波数利得を計算することを実施可能にする命令を格納する。メモリ807は、プロセッサ806又は復号化プロセッサ805が以下の動作、すなわち、符号化された情報から低周波数符号化パラメータと高周波数符号化パラメータと高周波数利得とを区別し、低周波数符号化パラメータで復号化を実行して低帯域信号を取得し、低周波数符号化パラメータ及び高周波数符号化パラメータに従って合成高帯域信号を取得し、合成高帯域信号で短時間のポストフィルタリング処理を実行して短時間フィルタリング信号を取得し、合成高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に比べて、短時間フィルタリング信号のスペクトル包絡線の形状は高帯域信号のスペクトル包絡線の形状に近く、高周波数利得を使用することにより、短時間フィルタリング信号を調整して高帯域信号を取得し、低帯域信号と高帯域信号とを結合して最終的な復号化信号を取得することを実施可能にする命令を格納する。
【0089】
本発明の実施例による通信システム又は通信装置は、前述の符号化装置300、送信機610、復号化装置500、受信機710等の一部又は全部を含んでもよい。
【0090】
当業者は、この明細書に開示された実施例に記載の例と組み合わせて、ユニット及びアルゴリズムのステップが、電子ハードウェアにより実施されてもよく、コンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせにより実施されてもよいことを認識し得る。機能がハードウェアにより実行されるかソフトウェアにより実行されるかは、技術的対策の特定の用途及び設計上の制約条件に依存する。当業者は、特定の用途毎に記載の機能を実施するために異なる方法を使用してもよいが、これは、この実施が本発明の範囲を超えるものとして考えられるべきではない。
【0091】
便宜上の説明及び簡潔な説明の目的で、前述のシステム、装置及びユニットの詳細な動作処理について、前述の方法の実施例の対応する処理に参照が行われてもよいことが、当業者に明確に分かる。詳細はここでは再び説明しない。
【0092】
この出願で提供される複数の実施例では、開示のシステム、装置及び方法は、他の方法で実施されてもよいことが分かる。例えば、記載された装置の実施例は単なる例である。例えば、ユニット分割は単なる論理的な機能分割であり、実際の実装では他の分割でもよい。例えば、複数のユニット又はコンポーネントは他のシステムに結合又は統合されてもよく、いくつかの機能は無視されてもよく実行されなくてもよい。
【0093】
別々の部分として記載したユニットは、物理的に別々でもよく別々でなくてもよく、ユニットとして表示された部分は物理的ユニットでもよく物理的ユニットでなくてもよく、1つの位置に存在してもよく、複数のネットワークユニットに分散されてもよい。ユニットの一部又は全部は、実施例の対策の目的を実現するために、実際のニーズに従って選択されてもよい。
【0094】
前述の説明は、本発明の単に特定の実装方法に過ぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。本発明に開示された技術的範囲内で当業者により容易に理解できる如何なる変更又は置換も、本発明の保護範囲内に入るものとする。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8