【発明の効果】
【0011】
歯の調製状態を妥当性確認するための歯科調製ガイドの妥当性確認面を少なくとも部分的には、患者の歯集合のデジタル3D表示を用いて生成する開示の方法は、物理的歯モデルだけから妥当性確認面を定義するときに生じる不正確さの問題を解決する。
【0012】
歯科調製ガイドは仮想ガイド又は物理的ガイドであり得る。両事例における妥当性確認面は、歯の調製状態を妥当確認することができるように形成される。
【0013】
仮想の場合、歯科調製ガイドは、患者の歯集合のデジタル3D表示に関連して配置することができる仮想ユニットである。物理的な場合、物理的歯科調製ガイドは、生成された仮想調製ガイドから製造され、そして患者の口腔内に配置することができ、妥当性確認のために表面間の物理的接触又は距離を用いることができる。
【0014】
物理的歯科調製ガイドは、これが仮想妥当性確認面に相当する妥当性確認面を含むように、仮想歯科調製ガイドに基づいて製造することができる。いくつかの事例では、物理的歯科調製ガイドは、これが患者の口腔内の歯集合に関連して配置されると、妥当性確認面が、調製済の歯をその内部に閉じ込めなければならない境界を定義するように形成される。
【0015】
患者の歯集合のデジタル3D表示から生成された仮想面から歯科調製ガイドを生成すること、又は仮想面自体を仮想歯科調製ガイドの一部として使用することによって、本発明は、歯集合の物理的モデルを用いて作業するときに被るおそれのある不正確さの問題を解決する。
【0016】
仮想歯科調製ガイドの場合、例えば少なくとも何らかの歯調製が行われており、歯科医が更なる調製が必要か否かを見るために調製状態を妥当性確認しようと思うときに、患者の歯集合のデジタル3D表示と一緒に歯科調製ガイドを視覚化することに基づいて歯調製状態の妥当性確認を行うことができる。
【0017】
本発明の物理的歯科調製ガイドのいくつかの実施態様の場合、歯調製状態の妥当性確認は、歯科調製ガイドと、調製済の歯との間の物理的接触をレジストレーションすることに基づいて行われる。何らかの歯調製の後、歯科医が更なる調製が必要か否かを見るために調製状態を妥当性確認しようと思う場合がある。その場合、歯科医は患者の歯に歯科調製ガイドを置き、調製が完全であるか否か、又は更なる歯物質除去が必要とされるか否かを判断する。いくつかの事例では、歯科調製ガイドは、調製が完全なときには調製済の歯と衝突しないように設計される。
【0018】
いくつかの実施態様では、残留歯集合のデジタル3D表示は患者の歯肉の1区分を含む。仮想調製ガイド面はこの場合、歯肉の少なくとも一部を含み、製造された歯科調製ガイドは、歯科調製ガイドを患者の口腔内に使用するときにはこの歯肉区分に係合することができる。従って歯肉は歯科調製ガイドのための支持体を提供し、歯科調製ガイドは、歯面全体が修正される場合でも、調製済の歯に対して正しく配置することができる、
【0019】
いくつかの実施態様では、残留歯集合のデジタル3D表示は隣接歯のうちの少なくとも1つの一部を含む。この歯は最も隣接する歯、及び/又は調製される歯からさらに離れた歯であってよい。仮想調製ガイド面はこの場合、隣接歯の表面の少なくとも一部を含み、製造された歯科調製ガイドは、歯科調製ガイドを患者の口腔内に使用するときにはこれらの歯に係合することができる。従って隣接歯は歯科調製ガイドのための支持体を提供し、歯科調製ガイドは、歯面全体が修正される場合でも、調製済の歯に対して正しく配置することができる。隣接歯と接触する歯科調製ガイド部分は、調製済の歯に面する歯科調製ガイド部分を取り囲むウィングとして形成されてよい。
【0020】
調製されるべき歯の表面だけから歯科調製ガイドを設計する従来の方法、例えば米国特許出願公開第2011/0159451号明細書に記載された方法は、歯の調製によって歯面全体を修正しなければならない場合には不十分である。このような事例、例えば歯科修復物が完全クラウンである事例では、従来技術の歯科調製ガイドは、調製済の歯に対して適切に整列させられることを保証するように歯科調製ガイドを支持し得る表面を有することはできない。残留歯集合のデジタル3D表示が1以上の隣接歯及び/又は歯肉を含む本発明の実施態様は、このような問題点を解決する。それというのも、歯科調製ガイドの表面が、調製中には修正されない患者の歯集合の一部に係合するように成形されるからである。歯科調製ガイドは、歯面全体が調製中に修正されるときにも依然として、調製済の歯に対する正しい配置状態に向けられる。
【0021】
仮想歯科調製ガイドは、歯科修復物を実現することができ、そして仮想歯科調製ガイドに従って歯が調製されたときに調製済の歯によって歯科修復物が受け入れられ得るように成形されることが好ましい。
【0022】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドを使用して調製状態を妥当性確認する方法は、残留歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想調製ガイド面又は仮想妥当性確認面を視覚化することを含む。このことは例えば、仮想歯科調製ガイドが仮想妥当性確認面又は仮想調製ガイド面だけによって形成される場合に当てはまる。調製状態を妥当性確認するために仮想歯科調製ガイドを使用するときには、直接デジタル製造によって製造可能なソリッド・モデルを提供するために例えば仮想調製ガイド面をシェリング(shell)する必要はない。従って、仮想歯科調製ガイドが1つの表面だけ、例えば仮想調製ガイド面又は仮想妥当性確認面だけを有することが有利な場合がある。
【0023】
歯科修復物のために行われる歯集合内の少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを製造する方法であって、前記方法は:
− 実施態様のうちのいずれかに基づく方法を用いて仮想歯科調製ガイドを生成すること;そして
− 直接デジタル製造によって前記仮想歯科調製ガイド面から、歯科調製ガイドを製造すること
を含む、歯科調製ガイドを製造する方法が開示される。
【0024】
製造された歯科妥当性確認ツールは、患者の口腔内に患者の歯に関連して配置されると、歯の調製状態を妥当性確認することができるので、歯科医は調製状態が完全であるか又は調製作業がさらに必要となるかを判断することができる。
【0025】
歯科修復物のために行われる歯集合内の少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドであって、前記歯科調製ガイドが、実施態様のうちのいずれかに基づく方法によって生成された仮想妥当性確認面に従って成形された、歯に面する表面を含む、歯科調製ガイドが開示される。
【0026】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、目標歯調製状態に対して歯調製状態を妥当性確認するように構成され、目標歯調製状態は任意の歯調製の前に定義されてよい。このことは、歯科医又は歯科技工士が歯調製前に歯科修復物を設計し、そして設計された歯科修復物に基づいて目標歯調製状態を生成した場合に当てはまる。このアプローチの利点は、歯科医が歯調製開始時にすぐに、歯をどのように調製すれば好ましいかに関するガイダンスを得ることができることである。ブリッジ修復物のために複数の捻転歯を調製する場合のような困難な事例において、このことは極めて有利である。目標歯調製状態は、初期調製ステップのような処置中に定義してもよい。このアプローチは、調製されるべき歯が不健全であり、そして歯内部の堅牢性に関する詳細な知識が未知である場合に有利である。
【0027】
いくつかの実施態様では、生成された歯科調製ガイドは、妥当性確認面が歯に面した状態で、患者の歯集合に対して配置できるようになっている。歯は、調製前の歯集合の歯、又は調製済の歯集合の歯であってよい。
【0028】
いくつかの実施態様では、生成された歯科調製ガイドは、妥当性確認面が歯に面した状態で、調製前の歯集合、又は調製済の歯集合のデジタル3D表示に関連して配置できるように形成されている。デジタル3D表示に関連して配置された仮想歯科調製ガイドを視覚化することによって、更なる調製が必要となる歯の部分に関する直接的な情報が歯科医にしばしば提供される。
【0029】
本発明との関連において、「調製前の歯集合」という表現は、妥当性確認のために設計される歯調製の前の歯集合に関連して使用される。いくつかの事例では、調製前の歯集合には以前の調製、例えば他の歯の調製が施されているか、或いは、その歯全体を除去して歯科インプラントによって置き換えるべきか否かを判断するために歯の健康状態を評価する目的で最初の調製が施されている。
【0030】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、直接デジタル製造によって、例えば3Dプリント又はミリングによって製造される。歯科用途の3Dプリント及びミリング・システムの入手価格が低下しつづけるのに伴って、このような設備は歯科医にとって入手可能になってきており、ひとたび仮想歯科調製ガイドが生成されれば、歯科医は診察時に物理的ガイドを製造することができる。
【0031】
仮想の場合には、仮想歯科調製ガイドは、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示と整列させることができ、そして仮想の表面交差、又は表面間の距離を妥当性確認のために用いることができる。
【0032】
本発明との関連において、「歯科調製ガイドは...を可能にするように構成されている」という表現は、「歯科調製ガイドに基づく歯の調製が...を保証するのを可能にするように構成されている」の短縮形として用いられることがある。
【0033】
本発明との関連において、調製済の歯を歯調製状態と呼ぶこともできる。
【0034】
本発明との関連において、歯科修復物は伝統的な固定修復物、例えばインレー/オンレー、ベニア、クラウン、ブリッジ、インプラント保持構造、また同様に、取り外し可能な修復物、例えば義歯などである。
【0035】
本発明との関連において、患者は修復物の設計対象人物である。この患者の歯科治療には医学的適応症がある場合があるが、美容上の考慮事項が歯科修復を設計させるための重要な動機となることもある。
【0036】
本発明との関連において、第1面及び第2面のブール加算(Boolean addtion)によって提供される表面は、第1面及び第2面に基づく表面を有するソリッド構造の論理和(logical disjunction)によって形成されたソリッド構造の表面に相当し得る。
【0037】
本発明に利点は、従来技術の方法とは対照的に、歯科調製ガイドの妥当性確認面の形状及び位置を効率的に制御するのを可能にすることである。
【0038】
さらに、本発明の方法は、従来技術の歯科調製ガイドと比較して歯調製状態の妥当性確認がどれほど十分であるかに関する情報を提供することができる歯科調製ガイドを生成することができる。
【0039】
いくつかの実施態様において、本発明による方法は、患者の治療と並行して行われる方法である。歯科調製ガイドを生成及び/又は製造する方法は、患者の歯集合に対して歯科医が実施する歯科作業と並行して、例えば歯の調製と並行して行われてよい。従って、歯の調製は方法の部分としては考えられない。
【0040】
本発明の態様によれば、歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、前記方法が:
a:調製前の歯集合のデジタル3D表示を得ること;
b:残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去すること;
c:歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供すること;
d:少なくとも1つの歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、仮想目標歯科修復物に基づいて生成すること;そして
e:仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成すること
を含む、歯科調製ガイドを生成する方法が開示される。
【0041】
本発明の態様によれば、歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認する方法であって、前記方法が:
− 少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された仮想歯科調製ガイドを生成すること;
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得ること;そして
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に、仮想歯科調製ガイドを視覚化すること
を含む、妥当性確認する方法が開示される。
【0042】
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることは、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを結合し、これにより仮想調製ガイド面を生成することを含む。
【0043】
このアプローチの1つの利点は、生成された仮想調製ガイド面が、妥当性確認面と、調製によって修正されない歯集合区域と接触してこの区域上に位置することができる表面との両方を有することである。
【0044】
いくつかの実施態様では、目標形状及び/又は仮想目標歯科修復物は、設計された仮想診断ワックスアップに基づくか、又はライブラリから選択された一般的な歯科修復物に基づくか、又は調製前の歯集合のデジタル3D表示内の歯の形状に基づく。目標形状は、実質的に歯集合の元の形状に従って成形されてよく、或いは、調製前の歯集合のデジタル3D表示を修正することにより定義されてもよい。
【0045】
調製前の歯集合のデジタル3D表示内の歯の形状に基づく目標形状を有することの利点は、患者が慣れている歯の感触がこの事例では維持されることである。設計された仮想診断ワックスアップに基づく目標形状を有することの利点は、歯科修復物が調製済の歯のところに挿入されると、患者の歯集合の外観を修正できることである。
【0046】
いくつかの実施態様では、目標形状及び/又は仮想目標歯科修復物は、1以上の審美的パラメータに基づく。審美的パラメータは、個々の歯の形状、歯の色、又は歯の相対配列から選択されてよい。
【0047】
このことの利点は、歯集合の審美的外観に関する患者の希望に基づいて、目標歯科修復形状を設計できることである。
【0048】
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは調製前の歯集合のデジタル3D表示に基づいて形成されるか、ライブラリから選択されるか、或いは歯のための診断ワックスアップの物理的モデルを走査することによって得られる。
【0049】
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは、歯テンプレートの歯と、調製前の歯集合のデジタル3D表示とを組み合わせることによって生成される。
【0050】
歯テンプレートの歯、及び調製前の歯集合のデジタル3D表示の双方から生成された仮想診断ワックスアップの利点は、修復作業の予測結果を真に視覚化できることである。
【0051】
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは調製前の歯集合のデジタル3D表示の少なくとも一部を修正することによって生成される。修正部分は歯科修復物の歯に関連する。
【0052】
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは、仮想診断ワックスアップが調製前の歯集合及び/又は残留歯集合のデジタル3D表示と自動的に整列させられるように設計される。
【0053】
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップは、残留歯集合のデジタル3D表示と自動的に整列させられるように、歯集合のデジタル3D表示、例えば調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示に関連して設計される。従って、診断ワックスアップから定義された目標歯科修復物も、残留歯集合のデジタル3D表示と自動的に整列させられ、そして仮想妥当性確認面を残留歯集合のデジタル3D表示と直接に組み合わせることができる。
【0054】
いくつかの実施態様では、仮想診断ワックスアップの少なくとも一部は歯生成アルゴリズムを用いて形成される。このようなアルゴリズムはコンピュータ上で実行することができる。
【0055】
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面は仮想診断ワックスアップに基づいて生成される。このことは、仮想診断ワックスアップに基づいて目標歯科修復物を介して行われてよい。
【0056】
いくつかの実施態様では、この方法は、調製前の歯集合のデジタル3D表示を、歯に対応する部分と、残留歯集合のデジタル3D表示に対応する部分とに仮想的に区分化するように構成された3D区分化スプラインを定義することを含む。
【0057】
このことの1つの利点は、歯部分を仮想的に除去することができ、そして、設計プロセスを妨害する調製前の歯集合のデジタル3D表示の歯部分を有することなしに、残留歯集合のデジタル3D表示を仮想調製ガイド面の生成のために使用できることである。
【0058】
いくつかの実施態様では、歯の仮想的な除去は、前記3D区分化スプラインを定義し、そして調製前の歯集合のデジタル3D表示を、歯に対応する部分と、残留歯集合のデジタル3D表示に対応する部分とに、3D区分化スプラインにおいて仮想的に分割することを含む。
【0059】
3D区分化スプラインを使用することによりもたらされる利点は、操作者が自分でスプラインを定義し、これにより、歯部分と残留歯集合とがどこで分離されるかを見極め得ることである。
【0060】
3D区分化スプラインは、コンピュータ実行型の区分化スプライン生成アルゴリズムを用いて自動的に定義されてよい。操作者は、調製前の歯集合のデジタル3D表示に対する3D区分化スプラインの位置を、このスプラインにおける歯の除去を認める前に調べることができる。
【0061】
いくつかの実施態様では、この方法は、3D区分化スプラインを手動で定義するか、又は自動的に生成された3D区分化スプラインを手動で調節することを含む。
【0062】
いくつかの実施態様では、3D区分化スプラインを手動で定義するか、又は自動的に生成された3D区分化スプラインを手動で調節することは、3D区分化スプラインの形状を制御するために使用される区分化スプライン制御点に基づいて行われる。このような制御点の利点は、操作者がポインティング・ツール、例えばコンピュータ・マウスを使用して3D区分化スプラインを調節できることである。
【0063】
デジタル3D表示の区分化に際しては、3D区分化スプラインは、歯の歯肉縁に追従するように定義されてよい。
【0064】
このことの1つの利点は、残留歯集合のデジタル3D表示において歯面が完全に除去され、そして生成される仮想妥当性確認面を、歯面に相当するいかなる部分も有さないように成形できることである。この場合、生成された仮想妥当性確認面の形状は、歯面全体にわたって歯物質を除去したものに相当する。このことは、クラウン修復物のための歯の調製時にしばしば好ましい。
【0065】
ある歯に対応する3D区分化スプラインの少なくとも一部は、その歯が調製されるときに提供される調製ラインの予測形状に従って成形されるように構成されてよい。すなわち、3D区分化スプラインが自動的に生成される場合、そして3D区分化スプラインが手動で定義される場合の双方において、3D区分化スプラインは、操作者がある歯の調製ラインをそれに沿って定義しようと計画する経路に追従するように配置されてよい。
【0066】
このことの1つの利点は、歯科医が調製ラインを正しく配置するのを支援するように、歯科調製ガイドを設計できることである。
【0067】
いくつかの実施態様の場合、当該歯に相当するデジタル3D表示部分の仮想的な区分化は、この部分を調製前の歯集合のデジタル3D表示部分から仮想的に分離するか、又はこのデジタル3D表示部分から遠ざけるか、又はこれから削除するように行われる。
【0068】
その利点は、残留歯集合のデジタル3D表示及び歯科調製ガイドの仮想面を見たときに、除去された歯がもはや見られないことである。
【0069】
いくつかの実施態様では、残留歯集合に相当する部分から当該歯に相当する部分を仮想的に分離することによって、調製前の歯集合のデジタル3D表示から当該歯を仮想的に除去する。当該歯部分は、歯集合のデジタル3D表示の、これが除去される前と同じ位置にまだ配置されていてよいが、しかし除去された部分は残留歯集合内には含まれない。
【0070】
歯の表面が歯集合の残りの部分とは区別可能にされている限り、当該歯を仮想的に除去するステップを省くことも可能である。これは例えば、さもなければ仮想的に除去される歯の表面に情報を付加することによって実現することができる。仮想調製ガイド面又は仮想歯科調製ガイドを視覚化する際に、歯は高度に又は少なくとも僅かに透明な表面として提示することもできる。この場合、当該歯を異なる形式で視覚化させる調製前の歯集合のデジタル3D表示に関連して、3D残留歯スプラインを形成することができる。
【0071】
3D区分化スプラインを使用して、所定の歯、すなわち続いて調製前の歯集合のデジタル3D表示から仮想的に分離するか仮想的に遠ざけることができる歯を定義することができる。
【0072】
いくつかの歯が仮想的に除去されると、3D区分化スプラインは調製済の歯集合のデジタル3D表示を、これらの歯に相当する部分と、残留歯集合に相当する部分とに仮想的に区分化することができる。
【0073】
いくつかの実施態様では、3D区分化スプラインは仮想目標歯科修復物と、調製前の歯集合のデジタル3D表示との間の境界にほぼ追従する。
【0074】
当該歯を仮想的に除去することにより、残留歯集合のデジタル3D表示内に仮想穴を導入することができる。仮想穴は歯肉穴と、残留歯集合のデジタル3D表示内にまだ存在する場合には隣接歯の隣接歯間穴とを含む。仮想穴は3D区分化スプラインによって仕切られてよい。
【0075】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想穴を少なくとも部分的に閉じるように構成された、例えば仮想穴をほとんど閉じるように構成された仮想置換面を生成することを含む。仮想置換面は、ライブラリから選択された一般的な表面、又は曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて生成された表面であってよい。いくつかの実施態様では、仮想置換面は仮想歯肉面、例えば仮想歯肉を含む。いくつかの実施態様では、仮想置換面は仮想歯調製状態を含む。
【0076】
このような仮想置換面を生成することの1つの利点は、3D残留歯スプラインの隣接歯間区分を定義するときにこの表面を使用できることである。
【0077】
いくつかの実施態様では、この方法は3D残留歯スプラインを画定することを含む。
【0078】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの少なくとも1区分が、前記歯を仮想的に除去することにより、残留歯集合のデジタル3D表示内に導入された仮想穴の境界に追従するように構成される。
【0079】
3D残留歯スプラインを定義することの利点は、残留歯集合のデジタル3D表示が、仮想調製ガイド面を生成するときに使用される仮想面に結合する場所をこのスプラインがマークできることである。
【0080】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの少なくとも一部がほぼ3D区分化スプラインに基づいて成形されるように、3D残留歯スプラインは3D区分化スプラインから定義される。
【0081】
このことの利点は、3D残留歯スプラインの少なくともいくつかの区分が、調製前の歯列のデジタル3D表示を区分化するために使用したスプラインと同じ形状を有することを歯科医又は歯科技工士がしばしば好むことである。
【0082】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインは舌部分及び/又は頬/唇部分及び/又は隣接歯間部分を含む。3D残留歯スプラインの舌部分及び/又は頬/唇部分は、それぞれ歯集合の舌部分及び頬部分における仮想穴の境界に追従するように構成されてよい。
【0083】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの舌部分及び/又は頬/唇部分は、調製前の歯集合のデジタル3D表示の対応部分上の3D区分化スプラインとほぼ同一である。
【0084】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインは隣接歯間部分を含む。隣接歯間部分は3D区分化スプラインを修正することによって定義されることが好ましい。いくつかの実施態様では、3D区分化スプラインの1区分が、仮想的に除去されるべき歯とその隣接歯との間の隣接歯間境界に追従して、3D区分化スプラインが歯肉から遠ざかるようになっている。3D区分化スプラインを修正することによって3D残留歯スプラインを定義するときには、3D区分化スプラインのこの区分は、歯の隣接歯間部分に位置する歯肉に追従するように成形されてよい。
【0085】
このことの利点は、3D残留歯スプラインが解剖学的状況と似た形式で成形されることであって、この場合、3D残留歯スプラインのところで残留歯集合のデジタル3D表示に結合することによって仮想調製ガイド面を定義すると、生成された表面は、3D残留歯スプラインが隣接歯間部分のところで歯肉から離れた3D区分化スプラインと同一である事例と比較して、より均質な形状を有する。
【0086】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの隣接歯間部分は、これが前記仮想穴の少なくとも一部を隣接歯間穴と歯肉穴とに分割するように配置される。
【0087】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインの隣接歯間部分は、これが仮想置換面に追従し、そして前記仮想置換面の少なくとも一部を仮想隣接歯間面と仮想歯肉面とに分割するように配置される、
【0088】
いくつかの実施態様では、3D残留歯スプラインはこの仮想置換面に関連して定義される。3D残留歯スプラインは、残留歯集合のデジタル3D表示内に隣接歯がまだ存在するか否かに応じて、仮想置換面を仮想歯肉面と1以上の仮想隣接歯間面とに分割するように配置されてよい。
【0089】
いくつかの実施態様では、この方法は、残留歯集合のデジタル3D表示内の歯肉穴の少なくとも一部を閉じるように構成された仮想歯肉面を生成することを含む。
【0090】
この表面は、この方法において使用される他の表面又はスプラインを定義するときに使用することができ、或いは、歯科修復物のデジタル設計のため、例えばブリッジ修復物のポンティックの設計のために使用することができる。
【0091】
いくつかの実施態様では、この方法は、前記残留歯集合のデジタル3D表示内の隣接歯間穴の少なくとも一部を閉じるように構成された仮想隣接歯間面を生成することを含む。
【0092】
仮想歯肉面及び/又は仮想隣接歯間面は、曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて生成されてよい。
【0093】
いくつかの実施態様では、この方法は、残留歯集合のデジタル3D表示の仮想歯肉面及び/又は仮想隣接歯間面及び/又は仮想置換面の部分を形成することを含む。このような形成は、仮想歯肉面及び/又は仮想隣接歯間面及び/又は仮想置換面を残留歯集合のデジタル3D表示と結合することを含んでよい。これらの表面はロフティング法(lofting process)によって、残留歯集合のデジタル3D表示と結合されてよい。
【0094】
仮想歯肉面の場合、これは仮想的に除去された歯を、残留歯集合のデジタル3D表示内の仮想歯肉面で仮想的に置換することに相当し得る。この表面は例えば、ブリッジ修復物のポンティックを設計するときのような、歯科修復物の設計時に使用することができる。
【0095】
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面が、仮想目標歯科修復物に従って成形される。歯科調製ガイドを用いた妥当性確認はこの場合、調製前の歯形状と目標歯科修復物の形状との相違を推定することを含んでよい。このような歯科調製ガイドは、目標歯科修復物が調製前の歯集合における歯形状から著しく異なっている事例において有用である。それというのも、この歯科調製ガイドは、診断ワックスアップに基づく形状から歯がどれほど隔たっているか、従ってどこで、そしてどれほどの量の歯物質を除去しなければならないかという指示を歯科医に与えることができるからである。この場合、妥当性確認面よりもさらに歯を調製しなければならない。例えば、妥当性確認面と調製済の歯集合の表面との間の空間から、歯科修復物のための利用可能な空間を推定しなければならない。
【0096】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想最小調製面を生成することを含む。この場合、仮想的に除去された歯を、残留歯集合のデジタル3D表示において仮想最小調製面で置換することができる。仮想最小調製面は、調製済の歯の最大サイズ、すなわち、調製済の歯がその内部に閉じ込められなければならない境界を示すことにより、歯科修復物に十分な空間が提供されるのを保証することができる。
【0097】
いくつかの実施態様では、歯の仮想最小調製面が、仮想目標歯科修復物から割り出される。この場合、仮想最小調製面に基づいて調製された歯が、目標歯科修復物に基づいて成形された歯科修復物を受け入れ得る状態になるように、この仮想最小調製面は成形される。
【0098】
いくつかの実施態様では、歯の仮想最小調製面が、仮想目標歯科修復物の表面の少なくとも一部を内方へ向かってオフセットすることにより割り出される。オフセットのサイズは均一であってよく、或いはオフセットが例えば調製済の歯の咬合端でより大きくなるように、歯面にわたって変化してもよい。オフセットは、操作者によって入力されたパラメータ値から、又はこのようなパラメータ値の予め決められた値から割り出されてよい。
【0099】
このようなオフセットによって仮想最小調製面を割り出すことの1つの利点は、歯科修復物の機械的安定性及び例えば色変化可能性を考慮に入れ得るように、オフセットが歯科修復物の最小厚の尺度を直接に提供することである。
【0100】
いくつかの実施態様では、実際に最小調製面内部にある区域から歯物質を除去しなければならないように、仮想妥当性確認面が設計される。このことは、調製済の歯の表面をこれらの区域内で粗くして歯科修復物が調製済の歯により良好に付着するのを保証するように行われてよい。
【0101】
いくつかの実施態様では、生成された仮想歯科調製ガイドが、さもなければ歯の外側に配置されるはずである領域内の歯の表面に追従するのを可能にするように修正される。このことは例えば、当該歯の仮想最小調製面が仮想目標歯科修復物のオフセットによって形成され、そして仮想最小調製面の一部が当該歯の外側に延びる場合に行われてよい。この場合、当該歯を超えて延びるオフセット面部分は歯面上に押し付けられるか、又は歯面まで仮想的に切除される。物理的な歯科調製ガイドの場合、押し付けられた区分は、調製された歯の関連面上に位置し、こうして歯科調製ガイドが患者の歯集合に対して正しい配置関係を成して支持されるのを可能にする。
【0102】
いくつかの実施態様では、歯科修復物が製造されるべき材料の特性が考慮に入れられ、例えば仮想最小調製面を割り出すときに考慮に入れられる。歯科修復物の最小厚及び臨界角度は材料に依存する。材料特性を考慮に入れるときには、歯科修復物は何らかの所期の機械的特性及び色変化特性を有するように設計することができ、そしてこれらの特性に対する要件を満たすように設計された修復物を受け入れるように歯を調製することができる。
【0103】
修復物の最小壁厚は修復物の材料に依存する。例えば、修復物が金で形成されるときには歯科修復物の堅牢な設計を提供するために1つの最小厚が必要となる一方、修復物がセラミックで形成されるときには別の最小厚が必要とされる。
【0104】
調製済の歯の形状は、修復物の材料と適合するように調節されることも好ましい。金から形成された修復物は、調製済の歯の調製ラインに向かってテーパ終端を有することができ、これに対してセラミック修復物は多くの場合、より切り立った終端を必要とする。
【0105】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドの生成はこれらの事項を考慮に入れて、歯科調製ガイドは、テーパ終端又は切り立った終端を有する修復物を配置することができる調製済の歯を提供するために、ドリルをガイドするように構成されるようになっている。
【0106】
いくつかの実施態様では、歯科修復物が患者の歯に配置されたときに調製済の歯と歯科修復物との間にセメントのための容積が提供されるように、仮想最小調製面及び/又は仮想妥当性確認面が形成される。このことの利点は、材料をさらに研削除去することなしに、歯/歯科修復物にセメントを塗布できることである。
【0107】
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面に関連して仮想調製ラインが定義される。
【0108】
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面が、仮想最小調製面に基づく。このような事例では、仮想調製ラインは仮想最小調製面に関連して定義することができる。
【0109】
いくつかの実施態様では、仮想調製ラインは仮想妥当性確認面に基づいて定義され、そして実際の歯を調製することによって定義された調製ラインの仮想等価物に相当する。
【0110】
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面は、仮想最小調製面と残留歯集合のデジタル3D表示とを仮想的に結合することによって生成される。すなわち、仮想最小調製面と残留歯集合のデジタル3D表示とは、これらの表面を結合することにより組み合わされる。この事例では仮想妥当性確認面の少なくとも一部は、仮想最小調製面とほぼ同一である。
【0111】
いくつかの実施態様では、仮想最小調製面は仮想最小調製状態によって表される。本発明によるユーザーインターフェイスにおいて、このような仮想最小調製状態を残留歯集合のデジタル3D表示と一緒に視覚化して、最小調製状態が調製プロセスに関して、そして製造された修復物の挿入に関してどれほど良好であるかを操作者が推定できるようになっている。
【0112】
いくつかの実施態様において、仮想調製ガイド面は、仮想最小調製状態に従って成形される。仮想調製ガイド面のいくつかの部分は、仮想最小調製状態に緊密に追従するように構成されてよく、これに対して他の部分では、例えばセーフティ・ゾーンが望ましいときには、仮想調製ガイド面は仮想最小調製状態から逸脱してよい。
【0113】
いくつかの実施態様において、仮想調製ガイド面の少なくとも一部は、仮想最小調製面及び残留歯集合のデジタル3D表示をブール加算することによって生成される。
【0114】
このアプローチでは、操作者が適切であるとみなす形式で、仮想最小調製面と残留歯集合のデジタル3D表示とをひとたび互いに相対配置すれば、仮想調製ガイド面を容易に生成することができる。ユーザーインターフェイスにおいて操作者に提示された方法を実行するために、ユーザーインターフェイスは、仮想最小調製面と、残留歯集合のデジタル3D表示と、作動時にブール加算を実施する仮想ボタンとを示すウインドウを有することができる。操作者は、仮想最小調製面を動かして適合させ、且つ/又は、例えばコンピュータ・マウスを使用して残留歯集合のデジタル3D表示に対して仮想最小調製面を動かすことにより、これらのアクションを前記ウィンドウ内の仮想最小調製面上で実施することができる。
【0115】
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面の少なくとも一部は、仮想妥当性確認面及び残留歯集合のデジタル3D表示をブール加算することによって生成される。仮想最小調製面及び残留歯集合のデジタル3D表示をブール加算することに関連した上記解説はここでは仮想妥当性確認面及び残留歯集合のデジタル3D表示のブール加算にも当てはまる。
【0116】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とを結合するように構成された結合面を生成することを含む。
【0117】
結合面は、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示との間に配置された仮想調製ガイド面内の穴を閉じて、一貫した仮想調製ガイド面が形成されるようになっている。
【0118】
いくつかの実施態様では、結合面が、3D残留歯スプラインのところで前記残留歯集合のデジタル3D表示に結合するように構成されている。このアプローチの利点は、操作者が、3D残留歯スプラインの形状を介して、生成された仮想調製ガイド面が残留歯集合のデジタル3D表示においてどのように成形されるかを見極め得ることである。さらに、操作者は、残留歯集合のデジタル3D表示に従って仮想調製ガイド面がどこで成形されるか、そしてこれが仮想妥当性確認面に従ってどこで成形されるかを見極めることができる。
【0119】
いくつかの実施態様では、結合面を生成することがロフティング法を含む。ロフティングを適用することにより、2つの表面を新しい表面によって結合することができる。第1面の境界に、そして第2面の境界にパラメトリック面をフィッティングすることを含む場合がある。ロフティング法を用いて、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とを結合するように構成された結合面を定義することができる。
【0120】
いくつかの実施態様では、結合面の形成はコンピュータで制御されるか、又はコンピュータで支援される。
【0121】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想妥当性確認面に対して3D妥当性確認面スプラインを定義することを含み、そして結合面が、3D妥当性確認面スプラインで仮想妥当性確認面に結合されるように構成される。
【0122】
結合面がどこで仮想妥当性確認面に結合するように構成されるかを見極めるために3D妥当性確認面を使用することの利点は、セーフティ・ゾーンが定義されるように、例えば仮想妥当性確認面の仮想調製ラインの上方で仮想妥当性確認面に結合すべきか否かを操作者が決定できることである。
【0123】
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインはコンピュータ支援型アルゴリズムを使用して自動的に定義される。
【0124】
このことの1つの利点は、コンピュータ実行型アルゴリズムが操作者よりも迅速に3D妥当性確認面スプラインを定義し得ることである。
【0125】
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインは手動で定義されるか、又は、診断ワックスアップの視覚化と組み合わせて視覚化される仮想制御点を使用して調節される。
【0126】
このことの1つの利点は、操作者が個人的な好みに従って3D妥当性確認面を定義することが可能になることである。
【0127】
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインが、仮想調製ラインにほぼ追従するように構成される。
【0128】
いくつかの実施態様では、3D妥当性確認面スプラインが、仮想調製ラインの上方に配置される。すなわち3D妥当性確認面スプラインは、仮想調製ラインよりも歯の咬合平面に近い。
【0129】
いくつかの実施態様では、穴閉鎖及び/又は結合面の生成にコンピュータ実行型穴閉鎖アルゴリズムが適用される。
【0130】
このことの1つの利点は、コンピュータ実行型穴閉鎖アルゴリズムが、穴を仮想的に閉じることができ、且つ/又は操作者よりも迅速に結合面を生成できることである。
【0131】
ロフティング法を実施する1つの方法は、生成された表面によって結合されるべき2つの境界の頂点間の対応関係を先ず見極めることである。この対応関係は、頂点の順序が維持されるという制約下で、対応頂点間の最低平均距離をもたらす対応関係をしらみつぶし探索(exhaustive search)することによって見極めることができる。ロフティングは三次Bスプライン面に基づいてよく、この三次Bスプライン面は、複数の制御点が特定されることを必要とする。それぞれの頂点毎に、頂点法線に対して垂直なベクトルv
C、及び頂点内の境界方位ベクトルが計算される。頂点法線は、頂点に結合された三角形の三角法線の面積荷重平均として計算される。対応頂点の集合内のそれぞれの頂点毎に、2つの制御点が頂点±v
Cとして生成される。この場合、対応頂点p
1及びp
2の間の中点に付加されたv
C1及びv
C2として、付加制御点が生成される。生成された制御点の他に、2つの頂点も制御点として作用する。このプロセスが対応頂点の全ての集合に対して繰り返されると、表面は制御点によって完全に定義される。次いで表面上で、すなわち対応頂点を結合するスプライン上の頂点をサンプリングすることによって、新しい頂点がサンプリングされる。これらの頂点、及び対応頂点集合の順序から、サンプリングされた頂点間の隣接関係性が判る。これらの関係性を知ることによって、三角形によって隣接頂点を結合することが容易になる。ロフティングが適用されていると、例えば仮想妥当性確認面が結合面によって貫通されないことは保証されない。しかしこの貫通は、仮想妥当性確認面の背後に制御点を移動させることによって、例えば対応頂点間の付加的な制御点をv
C1及びv
C2に沿って後方へ向かって、制御点が仮想妥当性確認面の背後に来るまで移動させることによって、最小限にすることができる。
【0132】
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面が、仮想調製ライン及び/又は3D区分化スプラインでセーフティ・ゾーンを定義するように構成されており、前記セーフティ・ゾーンは、残留歯集合のデジタル3D表示と仮想調製ガイド面との間に所定の距離を提供する。
【0133】
従って、セーフティ・ゾーンは、歯肉に対する歯のための調製ライン及び/又は調製辺縁ラインの異なる場所間で歯科医が選択を行うことが可能になる空間を提供することができる。セーフティ・ゾーンはまた、歯科調製ガイドが患者の歯に配置されたときに傷つきやすい歯肉部分と接触しないことを保証することもできる。3D妥当性確認面スプラインが仮想調製ラインの上方に配置されたときにセーフティ・ゾーンが実現されてよい。この場合、仮想調製ガイド面は仮想調製ラインから局部的にオフセットされ、これによりセーフティ・ゾーンの空間が提供される。
【0134】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、直接デジタル製造によって、例えば3Dプリント又はミリングによって製造される。
【0135】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドが、
− 歯が仮想妥当性確認面に従って調製されている歯集合の物理的モデルを形成すること、そして
− この物理的モデルに従って歯科調製ガイドの材料を成形すること
によって製造される。
【0136】
歯科調製ガイドの材料の成形は、物理的モデル上へ材料を真空形成することを含んでよい。このアプローチの利点は、直接デジタル製造のために使用できる生体適合性材料が極めて僅かしかないのに対して、ソリッド・モデル上に真空形成することができる生体適合性材料は数多くあることである。
【0137】
いくつかの実施態様では、生成された仮想歯科調製ガイドが、シェリング(shelling)された仮想調製ガイド面を含む。
【0138】
仮想調製ガイド面をシェリングすることの1つの利点は、直接デジタル製造のためにこの表面自体を必ず使用できるとは限らないが、表面のシェリングによって定義される仮想モデルはこのような製造に適していることである。
【0139】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想調製ガイド面の少なくとも選択部分をシェリングして、仮想調製ガイドが選択部分内にインナ・シェル面とアウタ・シェル面とを含むようにすることを含む。
【0140】
いくつかの実施態様では、仮想調製ガイド面及び/又は仮想妥当性確認面は、三角形によって結合された複数の頂点によってパラメータ化される。
【0141】
いくつかの実施態様では、アウタ・シェル面は、仮想妥当性確認面に従って成形される。
【0142】
いくつかの実施態様では、アウタ・シェル面は、生成済の仮想調製ガイド面に従って成形され、そしてシェリングは、アウタ・シェル面からインナ・シェル面を定義する。この事例において、シェリングは、アウタ・シェル面におけるそれぞれの頂点のコピーを内方へ向かってオフセットし、所与の最小シェル厚よりもアウタ・シェル面に近い複数のコピー頂点を除去し、そして残留コピー頂点をトライアンギュレーションすることによってインナ・シェル面を生成することを含んでよい。
【0143】
アウタ・シェル面が生成済み仮想調製ガイド面に従って生成される場合、アウタ・シェル面は、歯科修復物の目標形状に従って形成されてよい。
【0144】
いくつかの実施態様では、シェリングされた仮想調製ガイド面から、直接デジタル製造によって中間物理的モデルが製造される。歯科調製ガイドは、前記中間物理的モデルを使用して歯科調製ガイドの材料を成形することによって製造される。中間物理的モデルの内面及び外面は、それぞれインナ・シェル面及びアウタ・シェル面によって定義されてよい。
【0145】
中間物理的モデルの外面は、仮想調製ガイド面に従って成形することができ、そして製造された歯科調製ガイドの内面が中間物理的モデルの外面に従って成形されるように、歯科調製ガイドを製造することができる。製造された歯科調製ガイドの内面は、仮想調製ガイド面のネガティブに相当し、歯科調製ガイドは仮想調製ガイド面に従って調製された歯上にフィットする。この歯がさらに調製される場合、歯科調製ガイドが患者の歯集合に配置されたときに、内面と歯科調製ガイドと歯面との間にはギャップが存在する。
【0146】
このアプローチの利点は、直接デジタル製造のために使用できる生体適合性材料が極めて僅かしかないのに対して、このような中間物理的モデル上に真空形成することができる生体適合性材料は数多くあることである。
【0147】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドの材料の成形は、中間物理的モデル上へ前記歯科調製ガイドの材料を真空形成することを含む。
【0148】
いくつかの実施態様では、インナ・シェル面が仮想妥当性確認面に従って成形されるように、歯科調製ガイドが形成される。
【0149】
いくつかの実施態様では、インナ・シェル面は、仮想調製ガイド面に従って成形され、そしてシェリングが、インナ・シェル面からアウタ・シェル面を定義する。インナ・シェル面は、歯科調製ガイドが歯に配置されたときに歯集合に面する表面であってよく、これに対してアウタ・シェル面は、周囲の頬、唇、及び舌組織、並びに対抗歯に面している。
【0150】
仮想調製ガイド面及び/又は仮想妥当性確認面がインナ・シェル面の部分である場合、シェリングはアウタ・シェル面を提供することができる。この場合、シェリングはインナ・シェル面内のそれぞれの頂点のコピーを外方へ向かってオフセットし、所与の最小シェル厚よりもインナ・シェル面に近い複数のコピー頂点を除去し、そして残留コピー頂点をトライアンギュレーションすることによってアウタ・シェル面を生成することを含んでよい。
【0151】
このアプローチの利点は、中間物理的モデルを必要とすることなしに、歯科調製ガイドを直接に製造し得ることである。
【0152】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、前記シェリングされた仮想調製ガイド面から、直接デジタル製造によって製造される。このことは、インナ・シェル面が仮想調製ガイド面に従って成形される場合に当てはまる。
【0153】
シェリングは仮想調製ガイド面を拡張させることにより、有限厚を有するシェルになり得る。多くのデバイスの場合、最小シェル厚が保証されることが有益又は重要である。
【0154】
アウタ・シェル面に基づいてシェルを提供するように構成された1つのシェリング・アルゴリズムにおいて、第1のステップは、アウタ・シェル面内のそれぞれの頂点のコピーを生成することである。アウタ・シェル面内のスケーリングされた対応頂点法線に沿って、インナ・シェルの新しい頂点を生成する。頂点法線は、面積によって加重された結合三角形の法線の平均として計算される。最小シェル厚が保証されなければならない場合、これは特定のシェル厚で頂点をオフセットするには十分でない。しかしながら、シェル厚を局部的に保証するオフセットを最大スケール・ファクターと見なすことができる。このファクターは、所定の厚さによってスケーリングされた三角法線の全長上に、スケーリングされた頂点法線バージョンを投影する。頂点に結合された三角形の法線だけが関連する。残念ながら、提案されたオフセットは局部的なシェル厚を保証するに過ぎない。凸面及び高い曲率を有する区域内では、オフセットされた頂点は、最小シェル厚に違反する傾向がある。これらの違反頂点は、適切なシェル厚を保証するために第2ステップにおいて除去される。最後に新しいインナ・シェルは、生成された頂点のトライアンギュレーションによって生成されてよい。トライアンギュレーションは、例えば“Surface Reconstruction from unorganised points”, Computer Graphics, 26(2), 1992, pp. 71-78においてHoppe他によって提案された標準3Dトライアンギュレーション法を用いて実施してよい。
【0155】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、妥当性確認面が歯に面した状態で、患者の歯集合に対して配置できるように生成される。歯は、調製前の歯集合の歯、又は調製済の歯であってよい。
【0156】
物理的歯科調製ガイドの製造前に、シェリングされた仮想調製ガイド面にベースが設けられてよい。ベースはアウタ・シェル面の咬合部分に配置されてよい。
【0157】
中間物理的モデルの製造前に、シェリングされた仮想調製ガイド面にベースが設けられてよい。ベースはシェリングされた表面の頸部に配置されてよい。
【0158】
妥当性確認面は、歯集合内の1以上の歯の調製を妥当性確認するように構成されている。いくつかの実施態様の場合、例えば歯の最小調製状態に従って妥当性確認面が形成される場合、歯の不十分な調製が、歯集合に対する目標位置に到達するのを妨げることになる。調製が十分であり、また(更なる)調製を必要とする他の歯がない場合には、歯調製ガイドを目標位置内に移動させることができる。歯科調製ガイドが比較的軟質の材料で製造される場合には、歯の調製が不十分であっても、歯科調製ガイドが目標位置に達することは可能ではあるが、しかし抵抗を被る。
【0159】
いくつかの実施態様では、歯科修復物の挿入方向を割り出すことを含み、挿入方向は、仮想妥当性確認面を生成するときに考慮に入れられて、例えば仮想最小調製面は挿入方向に基づくようになっていてよい。
【0160】
いくつかの実施態様では、挿入方向を考慮に入れることは、歯が仮想妥当性確認面に従って、例えば仮想歯科調製ガイドに基づいて製造された物理的歯科調製ガイドの妥当性確認面に従って調製される場合に、調製済の歯のアンダーカットが低減又は回避されることを可能にするように、仮想妥当性確認面が構成されるのを保証することを含む。いくつかの実施態様では、アンダーカットは、仮想妥当性確認面をトリミングすることにより低減又は回避される。
【0161】
本発明との関連において、「調製済の歯のアンダーカット」という表現は
図8に示されているような、挿入方向に沿った歯科修復物経路に対して見られるアンダーカットを意味する。図面では、このようなアンダーカットに起因して、歯科修復物は調製済の歯に配置することができない。
【0162】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想最小調製面からアンダーカットなしの仮想面を生成することを含み、そして仮想妥当性確認面が、アンダーカットなしの仮想面に基づいて生成される。アンダーカットなしの表面は、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示内のアンダーカット領域をブロックアウトするように構成された仮想ブロックアウト・ツールを使用して生成することができる。
【0163】
いくつかの実施態様では、仮想最小調製面及び/又はアンダーカットなしの仮想面に、下方へ向かって延びるテーパが設けられ、仮想調製ラインから歯の咬合面へ、テーパが所定のテーパ角を成す。テーパ角は、約0.5度〜約15度、例えば約1度〜約10度、例えば約2度〜約5度であってよい。
【0164】
いくつかの実施態様では、歯科修復物はブリッジ修復物、単独のクラウン、一時的修復物、又は取り外し可能な部分義歯を含む。
【0165】
いくつかの実施態様では、歯科修復物はブリッジ修復物を含み、歯科調製ガイドは、ブリッジ修復物のクラウン部分を受け入れるための2つ又は3つ以上の歯の調製状態を妥当性確認するように構成される。
【0166】
いくつかの実施態様では、歯科修復物は取り外し可能な部分義歯を含み、歯科調製ガイドは、患者の口腔内に部分義歯を固定するために調製された2つ又は3つ以上の歯の調製状態を妥当性確認するように構成される。
【0167】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、2つ又は3つ以上の歯の調製状態を妥当性確認するように構成される。この事例では、調製済の歯集合のデジタル3D表示から1以上の歯を仮想的に除去して、残留歯集合が調製前の歯集合と比較して1以上の歯を欠くようになっていてよい。それぞれの歯に対して、又は2つ又は3つ以上の歯に対して3D区分化スプラインを定義してよい。この場合、調製前の歯集合のデジタル3D表示内のいくつかの歯を、仮想最小調製状態によって、又は残留歯集合のデジタル3D表示内の仮想歯肉面によって置き換えてよい。例えば、ライブラリから選択されたテンプレートに基づいて、ブリッジ修復物のための仮想診断ワックスアップを設計してよい。
【0168】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、歯集合の第1領域及び第2領域に関連して使用されるように構成されており、前記第1領域は前記歯科修復物に関連する歯を含み、そして前記第2領域は少なくとも1つの付加的な歯を含み、第2領域は歯集合に対して歯科調製ガイドを正しく整列させるために使用される。
【0169】
歯科修復物が上顎骨前歯のためのブリッジ修復物であって、第8歯及び第9歯のためのポンティックと、第7歯及び第10歯に取り付けられたブリッジのクラウンとを備えているものの場合、第1領域は第7〜10歯を含むのに対して、第2領域は第6歯及び第11歯、又は第7〜第10歯からさらに離れた歯を含み得る。これらの歯はユニバーサル番号システム(universal tooth designation system)に従って番号付けされている。従ってこの場合、歯科調製ガイドは、調製済の歯だけでなく、少なくとも1つの他の歯にも係合するように構成されている。この少なくとも1つの他の歯は、歯科調製ガイドが調製済の歯に対して正しく整列させられることを保証する。製造された歯科調製ガイドは、第1領域の歯及び第2領域の歯双方に関連して配置されるように構成されていてよい。歯科調製ガイドの整列状態は第2領域の歯上でもたらされる一方、歯科調製ガイドは第7歯及び第10歯の調製状態を妥当性確認する。第8歯及び第9歯は第7歯及び第10歯の調製状態を妥当性確認する前に抜かれている。歯科調製ガイドを支持するために隣接歯を使用する代わりに、又は隣接歯を使用するのに加えて、これを目的として歯肉を使用することもでき、そして仮想調製ガイド面を生成するときには、残留歯集合のデジタル3D表示の対応部分が含まれる。
【0170】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドのシェリングされた仮想調製ガイド面内に少なくとも1つのアパーチャが形成されて、製造された歯科調製ガイドが患者の歯集合に関連して配置されるときに、アパーチャが歯の所定の区域へのアクセスを可能にするようになっている。この歯は調製済又は調製前の歯であってよい。製造された歯科調製ガイドのアパーチャを通して先の尖ったツールを入れ、歯科調製ガイドから歯の表面までの距離を測定してよい。このことは例えば、歯科調製ガイドの妥当性確認面が診断ワックスアップに従って成形されるときに利用することができる。それというのもこれにより、歯の調製によって歯科修復物のために提供された空間が、堅牢な歯科修復物を形成するのに十分に大きいか否かを歯科医が測定することが可能になるからである。
【0171】
いくつかの実施態様では、妥当性確認面は、歯の少なくとも1つの表面、例えば歯の頬側、舌側、咬合側、又は隣接歯間の表面の調製状態を妥当性確認するように構成される。いくつかの実施態様では、妥当性確認面は、当該歯の表面全体の調製状態を妥当性確認するように構成される。
【0172】
1実施態様の場合、この方法は、最小調製面の中間バージョンを生成することを含む。中間バージョンは卵殻形態に従って成形されてよい。卵殻形態は、仮想目標歯科修復物の表面の少なくとも一部を内方へ向かってオフセットし、ひいてはインナ・シェル面を形成することにより定義することができる。
【0173】
物理的又は仮想的な歯の調製は修復物が所期の審美的外観を提供するように構成されてよい。すなわち調製により、歯科修復物が所期の形状、位置、及び色を有するようになっている。
【0174】
いくつかの実施態様では、仮想目標歯科修復物と残留歯集合のデジタル3D表示とは、3D区分化スプラインのところで整列させられる。両者の間にギャップがある場合、このギャップは、穴閉鎖アルゴリズム、例えば曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて、或いは結合面を介して閉じられてよい。結合面は、仮想目標歯科修復物を残留歯集合のデジタル3D表示に結合するように構成される。
【0175】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想最小調製面と仮想妥当性確認面の歯肉部分とを組み合わせることを含む。両者の間にギャップがある場合、このギャップは、穴閉鎖アルゴリズム、例えば曲率に基づく穴閉鎖アルゴリズムを用いて閉じられてよい。
【0176】
いくつかの実施態様では、この方法は仮想妥当性確認面及び/又は仮想最小調製状態を、残留歯集合のデジタル3D表示と整列させることを含む。仮想妥当性確認面が、残留歯集合のデジタル3D表示と整列させられた仮想診断ワックスアップから生成されると、仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とが自動的に整列させられる。
【0177】
いくつかの実施態様では、この方法は、歯を調製するために使用されるドリルのサイズ及び/又は形状に関連する情報が提供されること、そして歯科調製ガイドを前記情報を考慮に入れて生成することを含む。
【0178】
情報を考慮に入れることなしに歯科調製ガイドが生成され、調製済の歯の推定形状が視覚化され、推定された形状は、情報を考慮に入れて導き出される。
【0179】
いくつかの実施態様では、この方法は、調製済の歯によって受け入れられるように歯科修復物を修正することを含む。このことは、例えば歯科医が歯科調製ガイドに従って歯を調製することができない場合に必要とされる。いくつかの場合、歯科修復物を僅かに変化させることにより問題を解決し、そして歯科修復物を調製済の歯によって受け入れることを保証することができる。
【0180】
いくつかの実施態様では、この方法は、残留歯集合のデジタル3D表示に関連して仮想目標歯科修復物を視覚化することを含む。このことの利点は、歯科修復物が患者の口腔内に挿入されたときの歯の審美的外観を歯科医と患者とが判断できることである。
【0181】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想調製ラインを挿入方向に沿って並進させることにより描かれた表面を有する仮想構造を生成することを含む。
【0182】
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面は、仮想妥当性確認面が挿入方向を考慮に入れるように、仮想構造に基づいて生成される。このことの利点は、製造された歯科修復物を、歯科調製ガイドに従って調製された歯のところに挿入し得ることである。
【0183】
いくつかの実施態様では、仮想調製ラインから歯の咬合面までの仮想構造に、所定のテーパ角を成す下方へ向かって延びるテーパが提供されて、仮想構造が切頭体として成形されるようになっている。
【0184】
挿入方向が無視される場合、妥当性確認面に従って歯が調製されたときにもアンダカット面が生成されることがある。
【0185】
いくつかの実施態様では、この方法は仮想最小調製面及び仮想面からアンダーカットなしの仮想面を生成することを含む。いくつかの実施態様では、アンダーカットなしの仮想面に基づいて妥当性確認面を生成する。アンダーカットなしの表面は、特定サイズ未満の小さなアンダーカットが受け入れられるように形成されてよい。
【0186】
このことの利点は、妥当性確認面に従って成形された調製状態が(挿入方向に対する)アンダーカット領域を有することがなく、歯科修復物を調製済の歯に配置し得ることである。
【0187】
いくつかの実施態様では、アンダーカットなしの仮想面は、仮想構造と、仮想最小調製面に従う表面を有するソリッド構造とをブール加算することによって形成された仮想ソリッド構造の表面に相当する。
【0188】
いくつかの実施態様では、デジタル3D表示は、歯集合を口腔内走査することによって、又は歯集合の物理的モデル又はインプレッションを走査することによって提供される。
【0189】
いくつかの実施態様では、3D走査は、レーザー光走査、白色光走査、プローブ走査、X線走査、及び/又はCT走査によって実施される。
【0190】
いくつかの実施態様では、デジタル3D表示は歯肉の少なくとも一部を含む。
【0191】
デジタル3D表示はポイントクラウド、サーフェス(ファセット/メッシュ)、又はボリュメトリックであり得る。ファセット/メッシュ・モデルがポイントクラウドよりも好ましいことがあるが、しかし例えばトライアンギュレーションによってポイントクラウドからファセット/メッシュ・モデルを生成することもできる。ボリュメトリック・モデルは、透過性放射線を適用するスキャナ、例えばCTスキャナを用いて得ることができる。
【0192】
調製前の歯集合の歯において何らかの初期調製が実施されていてよい。この方法は例えば、患者の歯集合を調製するための反復手順における1つのステップであってよく、この場合、調製前の歯集合における歯の形状は、前の処置ステップにおける初期調製の状態に対して施された歯の走査の際に見られる中間形状であってよい。
【0193】
いくつかの実施態様では、調製前の歯集合は、いずれかの調製の前の患者の歯集合に相当する。
【0194】
歯集合は患者の全ての歯、又は患者の歯の一部を含んでよい。
【0195】
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示は、調製済の歯を含む調製済領域を走査し、そして調製済領域の走査から得られたデジタル3D表示と、調製前の歯集合の、前に得られたデジタル3D表示とを合体させることによって得られる。このことの利点は、調製済の歯集合を走査するときにフル走査が必要とされないので時間を節約できることである。調製済領域に相当する調製前の歯集合のデジタル3D表示部分は、消去するか、又は調製済の歯集合から区別可能にして、事実上この部分が調製済領域のデジタル3D表示と置き換えられるようになっていてよい。
【0196】
いくつかの実施態様の場合、歯科調製ガイドを生成するときに歯科修復物に関連する1以上のパラメータを考慮に入れる。この1以上のパラメータは、修復物の壁の最小厚、修復物の材料、歯を調製するためのドリルのアクセス、又は歯科修復物の挿入方向から選択されてよい。
【0197】
いくつかの実施態様の場合、歯の調製を妥当性確認するために使用される仮想歯科調製ガイドは、本発明による歯科調製ガイドを生成する方法を用いて生成される。
【0198】
歯科調製状態の妥当性確認は、調製済の歯が、前記歯科修復物を実現して調製済の歯のところにこれを挿入できるような形状を有していることを確認することを含んでよい。妥当性確認は、歯科修復物に関連する1以上のパラメータに基づいてよい。
【0199】
いくつかの実施態様では、この方法は、仮想調製ガイド面に従って歯を調製することを妥当性確認することを含む。
【0200】
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示は、口腔内スキャナで患者の口腔内を走査することによって得られる。この際に調製済の歯集合のデジタル3D表示は仮想歯科調製ガイドと一緒に視覚化されてよく、例えば患者がまだ歯科用チェアに座っている間に仮想調製ガイド面と一緒に視覚化されてよい。
【0201】
その利点は、調製処置と同時に口腔内スキャナを使用して、歯科医が歯調製状態を妥当性確認し得ることである。歯科医は、歯を調製しつつある領域を走査することができる。この領域をこうして走査することによって得られた領域のデジタル3D表示と、仮想歯科調製ガイドとを比較することによって、歯科医は歯物質を十分に切除しているか否か、又はより多くの物質を切除する必要があるか否か、そして歯上のどこで物質を除去するべきかを見ることができる。このような口腔内走査による妥当性確認処置は、物理的調製ガイドを用いることの代わりに、且つ/又はこれに加えて行うことができる。
【0202】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドが歯に配置されたときにドリルが歯に接近して係合できるように、歯科調製ガイドは設計される。ドリルの直径はこの特定修復部分における所期修復物厚に相当して、例えば2mmの歯物質を除去するべき歯区域内では、歯科調製ガイドが2mmドリルのための空間を形成するようになっている。
【0203】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、歯の調製の際に歯科医又は歯科調製機械をガイドするように構成される。
【0204】
所定の歯、例えば臼歯の場合、舌側、頬/唇側の面、及び/又は咬合面における歯物質を除去する結果、歯の咬頭にエッジがもたらされることがある。
【0205】
所定の修復物材料、例えばセラミックの場合、シャープなエッジを回避することが好ましい。いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドの妥当性確認面は、調製済の歯の表面がこのようなシャープなエッジを有さないように構成されている。このことは、例えば調製済の歯の舌側の面と咬合面との間の推移を平滑化することによって達成することができる。
【0206】
いくつかの実施態様では、歯の調製状態を妥当性確認する方法は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と仮想妥当性確認面又は仮想歯科調製ガイドとの間の距離を、歯面上の1以上の選択個所で割り出すことを含む。ここでは、距離を測定するときには、歯科調製ガイドが仮想的又は物理的に歯に配置されることが考えられる。すなわちこの距離は、歯調製ガイドが歯に関連した目標位置に配置されるときに割り出すことができる。
【0207】
いくつかの実施態様では、この方法は最小距離を割り出すことを含む。歯科調製ガイドと調製済の歯面との間の測定距離はこの最小距離を下回ってはならない。最小距離は歯面全体にわたって変化して、歯肉の近くよりも咬合面の近くで大きくなるようになっていてよい。最小距離は、歯科修復物材料、及び審美的外観、例えば要求された歯の色の変化に依存してよい。
【0208】
この距離は仮想妥当性確認面がデジタル3D表示よりも歯の中心に近いときにポジティブと呼ばれる。この場合、歯(この歯部分)の更なる調製が必要となることがある。
【0209】
この距離はデジタル3D表示が仮想妥当性確認面よりも歯の中心に近いときにネガティブと呼ばれる。この場合、歯(この歯部分)の更なる調製は必要とならない。
【0210】
この距離は、歯面上の特定位置で割り出すことができる。極めて多くの場合、距離は妥当性確認面全体にわたって変化する。距離は例えば妥当性確認面のいくつかの部分でポジティブであり、他の部分でネガティブであってよい。
【0211】
いくつかの実施態様では、歯の調製を妥当性確認する方法は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と仮想妥当性確認面又は仮想歯科調製ガイドとの間の距離を、歯科調製ガイドの目標位置内への挿入方向に沿った仮想的な移動中に割り出すことを含む。
【0212】
いくつかの実施態様では、この距離は歯科調製ガイドの目標位置内への挿入方向に沿った仮想的な移動中に得られた(妥当性確認面の特定部分における)最小値として割り出される。
【0213】
このことの利点は、歯科調製ガイドに従って歯を調製したときに、歯科修復物を調製済の歯上へ挿入方向に沿って挿入できることが保証されることである。
【0214】
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想歯科調製ガイドを視覚化することは、色コード化を用いることを含む。
【0215】
色コード化の利点は、例えばスクリーンのような視覚的ディスプレイ・ユニットを使用することにより、歯の調製状態の現時点での妥当性を容易に視覚的検査できるようになることである。
【0216】
いくつかの実施態様では、歯の調製状態を妥当性確認する方法は、歯面上の前記1以上の選択個所のうちの少なくともいくつかの個所での距離を視覚化すること、例えば距離色コード化を用いて距離を視覚化すること、又はミリメートルで測定された距離を表す数値を用いて距離を示すことによって距離を視覚化することを含む。
【0217】
距離色コード化、例えば、歯が更なる調製を必要とするようなポジティブ距離を赤色が示すのに対して、更なる処理が必要でないネガティブ距離状態を青色が示す距離色コード化において、種々異なる色範囲を用いることができる。
【0218】
色コード化は、調製済の歯に相当する調製済の歯集合のデジタル3D表示部分を識別し、他のデジタル3D表示部分とは異なる色でこの部分を提示することによって、色コード化を実現することができる。他の部分を例えばグレー又は褐色を帯びた色で視覚化してもよく、これに対して調製済の歯は、仮想調製ガイド面からの距離に応じて、クリア色、例えば青色又は赤色で視覚化することができる。
【0219】
いくつかの実施態様では、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に行われる仮想調製ガイド面の視覚化は、仮想調製ガイド面と、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示内の歯の形状との差異を示す差異マップを含む。差異マップは差異色コーディングを用いて差異を視覚化してよい。
【0220】
例えば差異マップ及び差異カラーコード化を用いることの利点は、どの部分が更なる調製を必要とするかを歯科医が視覚化からすぐに見ることができることである。
【0221】
いくつかの実施態様では、この方法は仮想歯科調製ガイドの視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることを含み、この場合、調製済の歯集合のデジタル3D表示と関連して仮想調製ガイド面を視覚化することが、調製済の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間で変化させることを含む。視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることによって、歯科医は、調製済の歯のどの部分が更なる調製を必要とするかを容易に判断することができる。
【0222】
いくつかの実施態様では、この方法は仮想歯科調製ガイドの視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることを含み、この場合、調製前の歯集合のデジタル3D表示と関連して仮想調製ガイド面を視覚化することが、調製前の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間で変化させることを含む。視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることによって、歯科医は、調製前の歯のどの部分を調製処置に際して除去しなければならないか、そして歯物質の除去を開始する前でさえ、種々異なる歯部分においてどれほどの量の物質を除去しなければならないかを容易に判断することができる。
【0223】
いくつかの実施態様では、この方法は仮想目標歯科修復物の視覚化をトグル・スイッチによってオンオフ切り換えすることを含み、この場合、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示と関連して仮想目標歯科修復物を視覚化することが、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想目標歯科修復物との組み合わせで視覚化することとの間で変化させることを含む。このことは、例えば歯の審美的外観に関して患者の歯集合のためにどれほど良好に仮想目標歯科修復物が設計されているかを歯科医に示す。
【0224】
いくつかの実施態様では、視覚化は、仮想調製ガイド面又は仮想歯科調製ガイド又は仮想妥当性確認面を、調製前又は調製済の歯集合のデジタル3D表示上にオーバーレイすることを含む。
【0225】
いくつかの実施態様では、視覚化は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想最小調製状態を視覚化することを含む。このことは調製される歯が仮想最小調製状態からどれほどかけ離れているか、ひいてはどれほどの量の歯物質を種々異なる歯部分で除去しなければならないかを、歯科医に示す。
【0226】
いくつかの実施態様では、仮想歯科調製ガイドは深さマップを含む。深さマップは、歯科調製ガイドに従って受け入れることができる調製済の歯の形状を提供するために、どれほどの量の歯物質を種々異なる歯部分で除去しなければならないかを示す。深さマップは、深さ色コード化を利用して、どれほどの量の歯物質を除去しなければならないかを視覚化してよい。このような深さマップを使用することの利点は、これが、どれほどの量の歯物質を種々異なる歯部分で除去しなければならないかを歯科医に直接に示すことである。
【0227】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドを使用する方法は、仮想歯科調製ガイドと、前記調製済の歯集合のデジタル3D表示とを整列させることを含む。
【0228】
いくつかの実施態様では、仮想妥当性確認面は、仮想目標歯科修復物の形状に従って生成され、生成後には残留歯集合のデジタル3D表示と結合される。
【0229】
いくつかの実施態様では、仮想目標歯科修復物は残留歯集合のデジタル3D表示と結合され、続いて仮想妥当性確認面は仮想目標歯科修復物に基づいて成形される。
【0230】
仮想歯科調製ガイドが歯集合のデジタル3D表示に対する目標位置に配置されるとき、歯の調製が不十分な場合には、歯集合のデジタル3D表示の歯部分は仮想妥当性確認面内に貫入することがある。デジタル3D表示の歯部分も、歯の調製が不十分な場合には、挿入方向に沿った仮想移動中に仮想妥当性確認面内に貫入することがある。
【0231】
処置中に、仮想歯科調製ガイドを調節することができる。少なくとも1つの歯が調製されているか又は少なくとも部分的に調製されている歯集合の目下の形状から、仮想歯科調製ガイドを割り出すことができる。例えば目標歯科修復物の表面と現在の歯集合形状との差異は、どの程度の空間が歯科修復物のために提供されるかを定義する。この空間を評価して、歯科修復物のための余地があるか否かを割り出すことができる。この評価は歯のその都度のドリリング後に行うことができ、またこの評価は、調製済の歯の目下の形状と、ここに記載された仮想妥当性確認面とを比較することを含んでよい。
【0232】
いくつかの実施態様では、歯科調製ガイドは、第1部分と第2部分とを含む2ピース・デバイスである。第1部分は一時的クラウンとして形成され、そして健常歯面と類似するように成形された外面と、仮想妥当性確認面に基づく形状を有する内面とを有するように設計される。第2部分は、第1部分の外面に係合するように構成された内面を有するように設計されて、2ピース歯科調製ガイドを形成するように第1部分と第2部分とを解離可能に結合し得るようになっている。第1部分と第2部分とが解離可能に結合されるので、歯の調製状態を妥当性確認するために歯科調製ガイドが歯科医によって使用された後、これらを係合解離することができる。この場合、第1部分は調製済の歯に固定して、最終修復物が製造されるまで一時的修復物として機能することができる。
【0233】
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された、第1部分と第2部分とを含む2ピース歯科調製ガイドであって、前記歯科調製ガイドが:
− 第1部分は一時的クラウンとして形成され、健常歯面と類似するように成形された外面と、仮想妥当性確認面に基づく形状を有する内面とを有するように設計されており;そして
− 第2部分は、第1部分の外面に係合するように構成された内面を有するように設計されていて、第1部分と第2部分とが一緒に歯科調製ガイドを形成するように、第2部分が第1部分と解離可能に結合することができる、
2ピース歯科調製ガイドが開示される。
【0234】
歯の調製状態を妥当性確認するために歯科医によって使用された後、2ピース歯科調製ガイドの第1部分と第2部分とを係合解離することができ、そして第1部分は調製済の歯に固定して、最終修復物が製造されるまで一時的修復物として機能することができる。この2ピース歯科調製ガイドの1つの利点は、調製済の歯に従って特定形状に成形された歯科調製ガイドの部分を再利用できること、そして歯が調製されたら一時的修復物が容易に利用可能であることである。従来技術の方法及び歯科調製ガイドの場合、歯科調製ガイド及び一時的クラウンの両方を製造しなければならない。
【0235】
歯科修復物のために行われる歯集合内の少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、前記方法は:
a: 歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去することにより、残留歯集合を仮想的に形成すること;
b: 前記少なくとも1つの歯の歯科修復物の目標形状を表す目標歯科修復物を仮想的に提供し、そして目標歯科修復物に基づいて妥当性確認面を仮想的に生成すること;そして
c: 前記妥当性確認面と、前記残留歯集合の少なくとも一部とを組み合わせることにより、歯科調製ガイドを仮想的に生成すること
を含む、
歯科調製ガイドを生成する方法が開示される。
【0236】
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成する方法であって、前記方法が:
a: 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得て、調製済の歯に相当するデジタル3D表示部分を識別すること;
b: 調製済の歯部分及び所要の最小歯科修復物厚から仮想最小修復面を生成すること;
c: 生成された仮想最小修復面と、得られた調製済の歯集合のデジタル3D表示とのオーバーラップを割り出すこと
を含む、歯科調製ガイドを生成する方法が開示される。
【0237】
実施態様のうちのいずれかに基づく方法をデータ処理システムに実施させるためのプログラム・コード手段を含むコンピュータ・プログラム製品であって、前記プログラム・コード手段がデータ処理システム上で実行される、コンピュータ・プログラム製品が開示される。
【0238】
いくつかの実施態様では、コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード手段が記憶されているコンピュータ可読媒体を含む。
【0239】
コンピュータ・プログラムが記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体であって、実施態様のうちのいずれかに基づく方法を実施することによって、歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドをコンピュータの支援によって生成させるように、前記コンピュータ・プログラムが構成されている、非一時的コンピュータ可読媒体が開示される。
【0240】
歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するシステムであって、前記システムが:
・ 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得るように構成されたスキャナと;
・ 歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供する手段と;
・ 調製前の歯集合の前記デジタル3D表示から、且つ/又は前記仮想目標歯科修復物から歯科調製ガイドを生成する手段と
を含み、歯科調製ガイドに従って歯を調製することによって、歯科修復物を実現することができ、そして調製済の歯のところにこれを挿入することができることが保証されることを可能にするように、歯科調製ガイドが構成されている、
歯科調製ガイドを生成するシステムが開示される。
【0241】
いくつかの実施態様では、生成手段は、1以上のコンピュータ命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体を含み、前記コンピュータ命令が、本発明による方法を実施するための命令を含む。
【0242】
歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するシステムであって、前記システムが:
・ 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得るように構成されたスキャナと、
・ 調製済の歯集合の前記デジタル3D表示及び/又は仮想目標歯科修復物から歯科調製ガイドを生成するように構成されたデータ処理デバイスとを含み、歯科調製ガイドに従って歯を調製することによって、歯科修復物を実現することができ、そして調製済の歯のところにこれを挿入することができることが保証されることを可能にするように、歯科調製ガイドが構成され、そして前記仮想目標歯科修復物が歯科修復物の目標形状を表し、
データ処理デバイスは、1以上のコンピュータ命令が記憶されている非一時的コンピュータ可読媒体を含み、前記コンピュータ命令が、本発明による方法を実施するための命令を含む、
歯科調製ガイドを生成するシステムが開示される。
【0243】
生成される歯科調製ガイドは仮想歯科調製ガイドであってよく、仮想歯科調製ガイドは、仮想環境中で歯の調製状態を直接に妥当性確認するために使用することができ、且つ/又は、物理的歯科調製ガイドを製造するために使用することができる。
【0244】
調製済の歯が歯科修復物を受け入れることができるか否かを割り出すために、調製済の歯集合内の少なくとも1つの歯の調製を妥当性確認する方法であって、前記方法が:
− 歯の調製状態を妥当性確認するように構成された物理的歯科調製ガイドを得ること;
− 患者の調製済の歯集合に対して歯科調製ガイドを配置すること;
− 物理的歯科調製ガイドと調製済の歯集合との物理的相互作用から、調製済の歯が歯科修復物を受け入れることができるように成形されているか否かを妥当性確認すること
を含む、妥当性確認する方法が開示される。
【0245】
いくつかの実施態様では、物理的な歯科調製ガイドは、本発明による仮想歯科調製ガイドから製造される。
【0246】
調製済の歯が仮想目標歯科修復物の歯科修復物を受け入れることができるか否かを割り出すために、調製済の歯集合内の歯の調製状態を妥当性確認する方法であって、前記方法が:
a: 歯集合の仮想目標歯科修復物を得ること;
b: 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得ること;
c: 調製済の歯集合の調製済の歯が歯科修復物を受け入れることができるように成形されているか否かを妥当性確認すること
を含む、妥当性確認する方法。
【0247】
いくつかの実施態様では、妥当性確認は、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒と一緒に仮想目標歯科修復物を視覚化することを含んで、前記視覚化に基づいて行い得るようになっている。
【0248】
仮想目標歯科修復物は歯集合の仮想診断ワックスアップを含んでよい。
【0249】
歯科修復物のための歯の調製状態を妥当性確認する方法であって、前記方法は:
− 歯の調製を妥当性確認するように構成された仮想歯科調製ガイドを得ること;
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示を得ること;そして
− 調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想歯科調製ガイドを視覚化すること
ことを含む、妥当性確認する方法が開示される。
【0250】
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するユーザーインターフェイスであって、ユーザーインターフェイスは:
a:調製前の歯集合のデジタル3D表示を得;
b:残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去し;
c:歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供し;
d:歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、仮想目標歯科修復物に基づいて生成し;そして
e:仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成する
ように構成された、ユーザーインターフェイスが開示される。
【0251】
歯科修復物のための少なくとも1つの歯の調製状態を妥当性確認するように構成された歯科調製ガイドを生成するユーザーインターフェイスであって、ユーザーインターフェイスは:
− 残留歯集合のデジタル3D表示が形成されるように、得られた調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去し;
− 歯の調製状態を歯科調製ガイドによって妥当性確認し得るように形成された、歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を、歯科修復物目標形状を表す提供された仮想目標歯科修復物に基づいて生成し;そして
− 仮想妥当性確認面と、残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることによって、仮想調製ガイド面を生成する
ように構成されている、ユーザーインターフェイスが開示される。
【0252】
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、得られた調製前の歯集合のデジタル3D表示、及び生成された仮想調製ガイド面を視覚化するように構成されている。
【0253】
視覚化は、視覚化項目の少なくとも1つが他の視覚化項目のうちの少なくとも1つの前に視覚化されるように順次に実施することができる。生成された仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示とがユーザーインターフェイスの1つの部分において視覚化され、そして調製前の歯集合のデジタル3D表示が別の部分において視覚化される場合のように、数多くの視覚化項目を同時に視覚化することもできる。
【0254】
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、コンピュータ・スクリーンを使用して操作者に対して視覚化されるように、そして操作者が、コンピュータ・キーボード又はコンピュータ・マウスによって、ユーザーインターフェイスにデータを入力してユーザーインターフェイスに提示された選択肢から選択するのを可能にするように構成されている。
【0255】
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、調製済の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想調製ガイド面を視覚化するように構成されており、そしてユーザーインターフェイスは作動時に、調製済の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間でトグル切り換えするための仮想トグル・ツールを含む。
【0256】
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、調製前の歯集合のデジタル3D表示と一緒に仮想調製ガイド面を視覚化するように構成されており、そしてユーザーインターフェイスは作動時に、調製前の歯集合のデジタル3D表示を単独で視覚化することと、デジタル3D表示を仮想調製ガイド面との組み合わせで視覚化することとの間でトグル切り換えするための仮想トグル・ツールを含む。
【0257】
ユーザーインターフェイスはコンピュータ・システムを使用して実行することができる。ここでユーザーインターフェイスは、ユーザーインターフェイスの種々異なる成分、例えば本発明の実施態様に基づく方法の1以上のステップを実施するように構成されたデータ入力フィールド及び仮想押しボタンを示すコンピュータ・スクリーンを使用して視覚化される。データ入力手段、例えばコンピュータ・マウス及びコンピュータ・キーボードはコンピュータ・システムに接続し、そしてユーザーインターフェイス内へデータを入力するため、そして例えばコンピュータ・マウスを使用して前記仮想押しボタンを押すことによって選択を行うために使用することができる。
【0258】
いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスは、操作者が本発明の実施態様に基づく方法を実施するのを可能にするように構成されている。下記ステップ、すなわち、調製前の歯集合のデジタル3D表示を得て、調製前の歯集合のデジタル3D表示から前記少なくとも1つの歯を仮想的に除去することにより残留歯集合のデジタル3D表示を形成するステップ、歯科修復物の目標形状を歯科修復物の目標形状を表す仮想目標歯科修復物を提供するステップと、仮想目標歯科修復物に基づいて歯科調製ガイドのための仮想妥当性確認面を生成するステップ、及び仮想妥当性確認面と残留歯集合のデジタル3D表示面の少なくとも一部とを組み合わせることにより仮想調製ガイド面を生成するステップのうちの少なくとも1つを、前記ユーザーインターフェイスを使用して操作者によって実施し得ることが好ましい。いくつかの実施態様では、この方法のステップは順次に実施され、またユーザーインターフェイスは、これらのステップの視覚的提示を操作者に順次に提供するように構成して、ユーザーインターフェイスのシーケンスがこの方法のシーケンスに一致するようにすることができる。いくつかの実施態様では、ユーザーインターフェイスはこれらのステップのうちの2つ又は3つ以上の視覚的提示を操作者に同時に提供するように構成される。
【0259】
本発明は、上記及び下記の方法、使用、及びシステム、並びに、対応する方法、使用、及びシステムを含む種々異なる態様に関し、これらはそれぞれ、最初に述べた態様に関連して説明された利益及び利点のうちの1以上をもたらし、またそれぞれ、最初に述べた態様に関連して説明され、且つ/又は添付の請求項において開示された実施態様に対応する1以上の実施態様を有する。
【0260】
添付の図面を参照しながら本発明の実施態様を下記に例示的且つ非制限的に詳述することによって、本発明の上記の及び/又は付加的な目的、特徴、及び利点をさらに明らかにする。