【実施例】
【0041】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また、%は質量%、ppmは質量ppmを意味する。
【0042】
実施例1
・ブリーディング抑制剤(EX−1)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」257.3g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)1242.7gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した。その後、「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和し、ろ過を行った後、酸化防止剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(表1中、「OX1」と記す)をろ過回収物に対して200ppm添加し、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物を含むブリーディング抑制剤(EX−1)を得た。
【0043】
実施例2
・ブリーディング抑制剤(EX−2)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」318.9g及び水酸化カリウム3.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド2681.1gを0.4MPaのゲージ圧にて6時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、その後、回収し、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物からなるブリーディング抑制剤(EX−2)を得た。
【0044】
実施例3
・ブリーディング抑制剤(EX−3)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」338.5g及びtert−ブトキシカリウム10.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4661.5gを0.4MPaのゲージ圧にて7時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、その後、回収した。「キョーワード600(協和化学工業社製)」を用いて中和し、ろ過を行い、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物からなるブリーディング抑制剤(EX−3)を得た。
【0045】
実施例4
・ブリーディング抑制剤(EX−4)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」272.5g及び水酸化カリウム5.0gを仕込んだ。次いで、反応系を130℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4727.5gを0.4MPaのゲージ圧にて8時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、その後、回収した。85%リン酸(キシダ化学社製 試薬)を加えてpH6になるよう中和、脱水し、これに酸化防止剤OX1を中和物に対して1000ppmを加えて、ブリーディング抑制剤(EX−4)を得た。
【0046】
実施例5
・ブリーディング抑制剤(EX−5)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン250.3g及びtert−ブトキシカリウム8.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、エチレンオキシドを176g仕込み、反応を開始した。圧力が低下することを確認後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4224.0gを0.4MPaのゲージ圧にて8時間かけて添加した。反応温度で1時間保持し、その後、回収した。キョーワード700(協和化学工業社製)を用いて中和し、ろ過を行い、酸化防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル(OX3)をろ過処理物に対して150ppmを加えて、ブリーディング抑制剤(EX−5)を得た。
【0047】
実施例6
・ブリーディング抑制剤(EX−6)の製造
ブリーディング抑制剤(EX−6)は、表1に示すように、実施例5において使用したビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンに代えて、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンを使用し、更に、エチレンオキシドの量を変化させたこと以外は、実施例5と同様にして製造した。
【0048】
実施例7
・ブリーディング抑制剤(EX−7)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」700.3g及び水酸化カリウム5.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4634gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持した。更に同温度にてプロピレンオキシド(表1中、「PO」と記す)を165g添加し、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、その後、回収した。キョーワード600(協和化学工業社製)を用いて中和し、ろ過を行い、ブリーディング抑制剤(EX−7)を得た。
【0049】
実施例8
・ブリーディング抑制剤(EX−8)の製造
ブリーディング抑制剤(EX−8)は、表1に示すように、エチレンオキシド(表1中、「EO」と記す)及びプロピレンオキシド(表1中、「PO」と記す)の量を変化させたこと以外は、実施例7と同様にして製造した。
【0050】
実施例9
・ブリーディング抑制剤(EX−9)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−60(三洋化成社製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計6モル付加物)」628.4g及び水酸化カリウム4.0gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド3371.7gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(150±5℃)で1時間保持し、その後、回収した。キョーワード600(協和化学工業社製)を用いて中和し、ろ過を行い、ブリーディング抑制剤(EX−9)を得た。
【0051】
比較例1
・ブリーディング抑制剤(RE−1)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、市販のジエチレングリコール106g及び水酸化カリウム4.4gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた。その後、この反応系内に、130±5℃に維持しながらエチレンオキシド4312gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(130±5℃)で1時間保持し、その後、回収した。キョーワード600(協和化学工業社製)を用いて中和し、ろ過を行い、ブリーディング抑制剤(RE−1)を得た。
【0052】
比較例2
「ニューポールBPE−100(三洋化成社製)」をそのまま用いたものをブリーディング抑制剤(RE−2)とした。
【0053】
比較例3
・ブリーディング抑制剤(RE−3)の製造
攪拌機、圧力計、及び温度計を備えた圧力容器中に、「ニューポールBPE−40(三洋化成製、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのすべての水酸基にエチレンオキシド合計4モル付加物)」451.1g及び水酸化カリウム1.5gを仕込んだ。次いで、反応系を120℃まで昇温させた後、この系中を減圧下にて脱水を1時間行った。その後、この反応系内に、150±5℃に維持しながらエチレンオキシド1048.9gを0.4MPaのゲージ圧にて5時間かけて添加した。その後、反応温度(150±5℃)で1時間保持し、その後、回収した。キョーワード600(協和化学工業社製)を用いて中和し、ろ過を行い、ブリーディング抑制剤(RE−3)を得た。
【0054】
比較例4
・ブリーディング抑制剤(RE−4)の製造
ブリーディング抑制剤(RE−4)は、水酸化カリウムの量を3.0gとし、更に表1に示すようにエチレンオキシドの量を変化させたこと以外は、比較例3と同様にして製造した。
【0055】
以上で調製した各ブリーディング抑制剤の内容を表1にまとめて示した。
【0056】
【表1】
【0057】
表1の記載について以下に説明する。
※1 式(1)中の「R
1」は、この欄に記載された化合物から水酸基を除いた残基である。
※2 RE−2は、「ニューポールBPE−100(三洋化成社製)」をそのまま用いた。
m+n(平均総付加モル数)は、「EOモル数」と「POモル数」との和の値であり、例えば、実施例1では、m+n(平均総付加モル数)は80+0=80となる。
【0058】
(実施例10〜19、比較例5〜9の評価)
表1で示したブリーディング抑制剤(水硬性組成物用ブリーディング抑制剤)をコンクリートに添加して以下の評価を行った。
【0059】
具体的には、表2に示した配合条件で、20℃の試験室内で50L強制二軸ミキサーに、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製、宇部三菱セメント社製、及び住友大阪セメント社製等量混合、密度=3.16g/cm
3)からなる水硬性結合材と、骨材として陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm
3)及び砕石(岡崎産砕石、密度=2.66g/cm
3)とを添加し、更に、AE減水剤として「チューポールEX60(竹本油脂社製)」、表1に示す各ブリーディング低減剤、及び、空気連行剤AE−300(竹本油脂社製)のそれぞれ所定量(表3参照)と、消泡剤である「AFK−2(竹本油脂社製)」とを、上記セメントに対して0.005%として練り混ぜ水(上水道水)と共に、上記ミキサーに投入して90秒間練混ぜた。スランプが18±1cm、連行空気量が4.5±0.5%の範囲となるよう、AE減水剤、空気連行剤の量を調整し、コンクリート組成物(水硬性組成物)を調製した。
【0060】
調製したコンクリート組成物について、スランプ、連行空気量、ブリーディング量を求め、結果を表3にまとめて示した。
【0061】
・連行空気量(容量%):
練り混ぜ直後のコンクリート組成物について、JIS−A1128に準拠して測定した。
【0062】
・スランプ(cm):
連行空気量の測定と同時にJIS−A1101に準拠して測定した。
【0063】
・ブリーディング量:
練り混ぜ直後のコンクリート組成物について、連行空気量及びスランプを測定後、JIS−A1123に準拠して測定した。
【0064】
【表2】
【0065】
表2中、「セメント」は、上述した普通ポルトランドセメントを示す。「細骨材」は、上述した陸砂(大井川水系産、密度=2.58g/cm
3)を示し、「粗骨材」は、砕石(岡崎産砕石、密度=2.66g/cm
3)を示す。また、「細骨材率(%)」は、式:細骨材/粗骨材×100により算出した値を示す。また、「水/セメントの割合(%)」は、式:水/セメント×100により算出した値を示す。
【0066】
【表3】
【0067】
表3の記載について以下に説明する。
添加量:セメント質量に対する添加量(%)
「セメントに対する%」は、セメント(水硬性結合材)100質量部に対する質量部を意味する。
【0068】
以上に示すように、本発明のブリーディング抑制剤は、得られる水硬性組成物のブリーディングの量を少なくすることができることが分かった。