特許第6616587号(P6616587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616587施設利用者管理装置および施設利用者管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616587
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】施設利用者管理装置および施設利用者管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/32 20120101AFI20191125BHJP
【FI】
   G06Q50/32
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-91687(P2015-91687)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-207149(P2016-207149A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】石毛 隆裕
【審査官】 梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−315058(JP,A)
【文献】 特開2006−074296(JP,A)
【文献】 特開2010−283647(JP,A)
【文献】 特開2006−108939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の購買またはサービスの提供に係る場所を利用する複数の利用者について、前記購買、前記サービスの利用または前記場所への入退場に関する利用者毎のデータを処理するデータ処理部と、
前記利用者に固有の識別情報の入力を受付ける入力部と、
前記識別情報を含み、前記場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスに前記利用者がログインするためのログイン情報を提供するログイン情報提供部と、
前記購買、前記サービスまたは前記入退場に関するデータと共に前記ログイン情報を印刷または表示の形態で出力する情報出力部とを備え
前記識別情報は、前記利用者の身分証明書類に基づくものであることを特徴とする施設利用者管理装置。
【請求項2】
前記情報出力部は、前記購買または前記サービスの利用に係るデータおよび前記ログイン情報をレシートとして印刷するものである請求項1に記載の施設利用者管理装置。
【請求項3】
前記情報出力部は、前記購買または前記サービスの利用に係るデータおよび前記ログイン情報を画面に表示するものである請求項1に記載の施設利用者管理装置。
【請求項4】
前記入力部が、前記身分証明書類を読み取るスキャナ、カメラまたはカードリーダである請求項1〜3の何れか一つに記載の施設利用者管理装置。
【請求項5】
前記ログイン情報は、予め定められた期間前記場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスへのログインが可能なものである請求項1〜4の何れか一つに記載の施設利用者管理装置。
【請求項6】
前記ログイン情報は、そのログイン情報を用いて一度ログインした後にログオフするか前記ログイン情報を用いて一度ログインした機器がその後に前記場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスの通信範囲から外れるまで前記サービスへのログインが可能なものである請求項1〜4の何れか一つに記載の施設利用者管理装置。
【請求項7】
前記施設利用者管理装置は、前記場所で提供されるインターネットへの接続サービスを介して外部の機器と通信を行う請求項1〜6の何れか一つに記載の施設利用者管理装置。
【請求項8】
請求項1〜6の何れか一つに記載の施設利用者管理装置としてのPOS端末または電子キャッシュレジスタと、
前記場所において前記利用者が有する携帯通信端末が、前記ログイン情報を用いてインターネットへ一時的に接続できるようにするインターネット接続部とを含んでなる施設利用者管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、施設利用者管理装置および施設利用者管理システムに関し、より詳細には購買者に係る販売データ処理すると共に前記購買者に場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスを使用可能とするサービスを提供する施設利用者管理装置および施設利用者管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの公衆無線LAN事業者によりサービスが提供されている。
公衆無線LANは、コーヒーショップ、駅、空港などの各種スポットに無線アクセスポイントが設置され、利用者はそれらの無線アクセスポイントが設置されているスポットで無線LANを介したインターネット接続サービスを受けることができる(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1のものは、インターネットサービスプロバイダに加入契約している利用者の携帯端末からの要求を受けて、利用条件の付された一時的な使用権を携帯端末に発行し、特定の無線アクセスポイントを介してその携帯端末をインターネットに接続可能とする公衆無線LANシステムである。
【0003】
しかし、特許文献1のシステムにより提供される公衆無線LANは、事前契約が必要な有料サービス、即ちインターネットサービスプロバイダのサービスに付随するサービスを前提としている。
この例のように、日本国内では無料のネットワークサービスが海外と比較して少ない。限られた場所、例えば、鉄道の主要駅構内や、国際空港の施設内では無料のインターネットへの一時的な接続サービスが提供されているが、その数は多いとはいえない。大半は、インターネットへの一時的な接続サービスそれ自体が有料であったり、有料サービスに付随するサービスであったりする。
一般、特に海外からの旅行者や一時的な利用者にとっては、インターネットへの接続サービスが利用可能になるまでの敷居が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−203329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、無料のインターネットへの一時的な接続サービスは、利用開始時にメールアドレスなどの個人情報に関わる内容を入力する必要があるものの、その情報が正確であるか否かを確認することは容易でない。例えば、反社会的な行為を目的としてインターネットへの一時的な接続サービスが使用された場合に、利用者を追跡するなど適切な対応がとれるようにしておく必要がある。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、公衆無線LAN事業者等との事前契約がなくても商品の購買やサービスの利用に係る場所において容易な操作で一時利用が可能で、かつ、利用者の照会や追跡が可能なインターネット接続サービスに供する施設利用者管理装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、商品の購買またはサービスの提供に係る場所を利用する複数の利用者について、前記購買、前記サービスの利用または前記場所への入退場に関する利用者毎のデータを処理するデータ処理部と、前記利用者に固有の識別情報の入力を受付ける入力部と、前記識別情報を含み、前記場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスに前記利用者がログインするためのログイン情報を提供するログイン情報提供部と、前記購買、前記サービスまたは前記入退場に関するデータと共に前記ログイン情報を印刷または表示の形態で出力する情報出力部とを備えることを特徴とする施設利用者管理装置を提供する。
また、この発明は、前記施設利用者管理装置としてのPOS端末または電子キャッシュレジスタと、前記場所において前記利用者が有する携帯通信端末が、前記ログイン情報を用いてインターネットへ一時的に接続できるようにするインターネット接続部とを含んでなる施設利用者管理システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
この発明による施設利用者管理装置は、前記サービスまたは前記入退場に関するデータと共に、利用者に固有の識別情報を含んだログイン情報を印刷または表示の形態で出力する情報出力部を備えるので、商品の購買やサービスの利用に係る場所において容易な操作で一時利用が可能で、かつ、利用者の照会や追跡が可能なインターネット接続サービスに供する施設利用者管理装置が実現できる。
前記施設利用者管理システムも施設利用者管理装置と前記同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明に係る公衆無線LANの構成を示すブロック図である。
図2図1に示す公衆無線LAN内の各機器の機能的なブロック図である。
図3】この発明に係る公衆無線LANの異なる構成を示すブロック図である。
図4図1に示す公衆無線LANの使用に関する手順の一例を示す説明図である。(前半)
図5図1に示す公衆無線LANの使用に関する手順の一例を示す説明図である。(後半)
図6図4および図5の手順において、利用希望者の携帯通信端末に表示される画面の例を示す説明図である。
図7図4および図5に示す手順をさらに詳しく記載した説明図である。(初期)
図8図4および図5に示す手順をさらに詳しく記載した説明図である。(中期)
図9図4および図5に示す手順をさらに詳しく記載した説明図である。(後期)
図10図7図9に示す利用者データベースに格納される項目の一例を示す説明図である。
図11図7図9と異なる態様の利用者情報を想定した手順の説明図である。(前半)
図12図7図9と異なる態様の利用者情報を想定した手順の説明図である。(後半)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
この発明による施設利用者管理装置は、施設の利用者に係る管理を利用者毎に行うものである。その施設が商品を販売しあるいはサービスを提供する施設の場合、商品の販売あるいはサービスの提供に伴う会計処理を行う装置も施設利用者管理装置に含まれる。会計処理を行う装置の典型例は、ECR(電子キャッシュレジスタ)、POS端末あるいはオーダー端末等である。また、後述のように、駐車場に設置された駐車券発行装置も施設利用者管理装置に含まれる。ここで、利用者毎とは必ずしも一人ずつに限られるものでないが、ある単位として他の利用者と区別されることを意味する。
【0010】
この発明による施設利用者管理装置は情報出力部を備えるが、好ましくは情報出力部として印刷装置または表示装置を備える。ECRやPOS端末であれば、レシート発行機能を有する装置、またはレシート発行機と接続された装置は情報出力部を備えているといえる。駐車券発光装置は、駐車券を印刷するプリンタを備えていれば、情報出力部を備えているといえる。施設利用者管理装置としてのECR、POS端末、オーダー端末あるいは駐車券発行装置は、それらが設置された店舗あるいは施設内で利用可能な公衆無線LANを介してインターネットに一時的に接続するためのログイン情報を提供する。なお、機能的に前記情報出力部は、施設利用管理装置に含まれるが、物理的には別体であってもよい。例えば、施設利用者管理装置としてのPOS端末と印刷装置とが別体であってもよいし、前記POS端末と表示装置とが別体であってもよい。
【0011】
以下、主としてPOS端末を例に、図面を参照しながら説明する。他の施設利用者管理装置に対しても下記説明と同様のことが適用できる。
公衆無線LAN10(図1参照)の利用を希望する利用希望者は、自分の身分を証明する身分証明書類31、例えばパスポート、個人情報に紐付けられた会員カード、自動車運転免許証などの提示することによって、公衆無線LAN10へ一時的にログインする際に必要なログイン情報が入手可能になる。
この実施形態における公衆無線LAN10は、利用者への課金や使用料の徴収を目的とするものでなくてよい。むしろ、前述の施設利用者管理装置が設置された店舗等の場所において、集客や宣伝のために提供される一つのサービスに位置づけられものであってよい。
【0012】
公衆無線LAN10は、インターネット接続サービスを提供する通信会社等(インターネットサービスプロバイダ)が設置するものであってもよいが、それよりもむしろ、ファストフードの飲食店等の店舗41や施設が設置するものであってよい。店舗41や施設の運営者は、インターネットサービスプロバイダと契約したうえで、店舗41に無線アクセスポイント15を設置する。そして、その店舗41を訪れた顧客が無線アクセスポイント15を介して顧客の携帯通信端末17を一時的にインターネット11に接続できる通信環境(以下、無線スポットともいう)を提供する。なお、この明細書で顧客とは、店舗41の常連客だけでなく、一度だけ店を訪れる客やその店を訪れただけで商品やサービスに係る取引を行わない客を含んでもよい。即ち、顧客は、馴染みの客や得意客といった狭い意味ではなく、店舗41を訪れる者といったような広範な意味で用いられる。
顧客は、店舗41で会計を行う際に無線スポットの利用を希望したうえで、パスポート等の身分証明書類を提示する。店舗41の接客者は、提示された身分証明書類31をカメラやスキャナ等で読み取って、その顧客に固有の識別情報を抽出する。そのカメラやスキャナは施設利用者管理装置が備えるか、あるいはその施設利用者管理装置に接続されたものである。この実施形態では、身分証明書類31としてのパスポートをPOS端末25に接続されたスキャナ27で読み取る。
公衆無線LAN10の使用を希望する顧客を利用希望者とも呼ぶ。さらに、利用を希望して一時使用権を獲得した顧客を利用者とも呼ぶ。従って、同じ人が場面に応じて顧客、利用希望者、利用者と呼び分けられることがある。
【0013】
POS端末25は、公衆無線LAN10にログインするための設定および期間を含んだ、公衆無線LAN10へのアクセス権に係るデータ(ログイン情報)を生成する。ログイン情報は、その顧客が提示した身分証明書類31に関連付けられた識別情報を含む。さらに、そのデータに基づいて専用のバーコード(態様としては2次元バーコードを想定しているが、それに限定されない)を生成し、POS端末25が発行するレシート33にそのバーコードを印刷する。前記レシートの内容は、単なるログイン情報のみでなく、顧客が店舗41で会計を行う際、精算データと共に印刷されるのが好ましい。
【0014】
会計を済ませた顧客は、レシート33に印刷されたバーコードをその顧客が所有する携帯通信端末17で読み取らせる。これにより、店舗41に設置された無線アクセスポイント15を介して公衆無線LAN10にログインし、インターネットに接続することができる。
公衆無線LAN10のインターネット接続サービスを提供するインターネットサービスプロバイダは、利用者の識別情報が紐付けられた形でインターネット接続サービスを提供する。
この態様によれば、一時的なインターネット接続のサービスであっても利用者の照会や追跡が可能であり、安全性の高い公衆無線LANシステムが提供される。また、店舗41にとっては、金銭登録処理に必要なPOS端末25等および店舗内LANを利用して公衆無線LAN10を構築し、インターネット接続サービスを顧客が利用可能とすることで顧客にサービスを訴求できる。
【0015】
≪公衆無線LANの機器構成≫
(実施の形態1)
以下、この実施形態に係る公衆無線LANの詳細な構成の一例について述べる。この実施形態に係る公衆無線LANは、施設利用者管理システムの一態様でもある。
図1は、この発明に係る公衆無線LANの構成を示すブロック図である。この実施形態では、アクセスポイント上位機13と施設利用者管理装置(ECRあるいはPOS端末)の上位機(ECR/POS上位機23)とは独立した機器である。
【0016】
図1の公衆無線LAN10は、アクセスポイント上位機13、無線アクセスポイント15を構成要素として含み、顧客の携帯通信端末17が無線アクセスポイント15を介してインターネット11に接続することを可能にする。アクセスポイント上位機13および無線アクセスポイント15は、インターネット接続部として機能する。さらに、店舗41で使用するPOS端末25あるいはECR29、ECR/POS上位機23および店舗内LAN21を構成要素に含む。POS端末25あるいはECR29、ECR/POS上位機23およびアクセスポイント上位機13は店舗内LANに接続されており、アクセスポイント上位機13を介してインターネットに接続される。また、ECR/POS上位機23およびアクセスポイント上位機13は、店舗内バックヤード43に設置されている。
【0017】
インターネット11上に、店舗41の会計データを集計する売上・在庫管理データベース19aが存在してもよい。それに代えてあるいはそれに加えて、店舗内LAN21上に売上・在庫管理データベース19bが存在してもよい。例えば、インターネット11上の売上・在庫管理データベース19aは、フランチャイズの本部に存在し、各店舗のPOS端末25に接続されて販売および在庫を管理するものである。
また、店舗内LAN21上の売上・在庫管理データベース19bは、店舗41内の販売および在庫を管理するものである。
アクセスポイント上位機13は、無線アクセスポイント15に接続してくる一時利用者の管理を行い、かつ、インターネット11へのアクセス許可等の処理を行う。アクセスポイント上位機13は、ECR29やPOS端末25等から顧客に対して公衆無線LAN10の一時的な利用(一時使用権)の要求を受ける。その要求には、カメラやスキャナで読み取られた利用者の識別情報が含まれている。
【0018】
前記要求に応答してアクセスポイント上位機13は、利用者情報データベース(図1に図示せず)を参照する。利用者情報データベースは、公衆無線LANの使用を拒否すべき者のデータが、識別情報(例えば、パスポートの旅券番号、生年月日、氏名、顔写真等)と対応付けられ予め格納されているデータベースである。利用者情報データベースは、アクセスポイント上位機13内に格納されていてもよいが、インターネット11上のサーバーにあってもよい。さらに異なる態様として、前記利用者情報データベースはアクセスポイント上位機13と共に店舗内LAN21に接続されたサーバーにあってもよい。
【0019】
利用者情報データベースを参照した結果、公衆無線LAN10の使用許可を要求する利用者が、利用者情報データベースに登録されていなければ、アクセスポイント上位機13は、公衆無線LAN10へのログインを許可すると判断する。ECR29やPOS端末25から送信された識別情報と紐付けする形でアクセスポイント上位機13は、公衆無線LAN10への一時的なログインを許可するためのデータを生成する。その一時使用権に係るデータは、ログインに必要なID、パスワードおよび接続設定を含む。さらに、それらのデータから利用者に提供するログイン情報を生成してもよい。この実施形態で、ログイン情報は利用希望者に一時使用権を与える際、レシートに印刷する2次元バーコードのデータである。ただし、2次元バーコードの形態以外で利用者にログイン情報を渡してもよい。例えば、文字データとしてログイン手順をレシートに印刷してもよい。その場合は前記文字データがログイン情報に相当する。そして、アクセスポイント上位機13は、一時使用権に係るデータまたはログイン情報を、前記要求を送信したECR29またはPOS端末25へ返信する。
【0020】
POS端末25には、画像を読み取るスキャナ27が接続されている。POS端末25は、公衆無線LAN10の使用を希望する顧客(利用希望者)から提示され、スキャナ27で読み取られた身分証明書類31から利用希望者に係る識別情報を抽出する。そして、アクセスポイント上位機13に対して公衆無線LAN10の使用許可の要求を送信する。許可が得られたら、POS端末25はレシートにログイン情報を印刷する。この実施形態でPOS端末25は、会計の際に印刷するレシートに、もしくはそのレシートと一緒に、店舗41が提供する公衆無線LAN10へのログインに関する設定や期間が埋め込まれた2次元バーコードを印刷する。
ECR29は、POS端末25に代わって、あるいはPOS端末25と共に店舗41に設置される電子キャッシュレジスタである。図1で、ECR29は、身分証明書類31の画像を読み取るスキャナを備えている。しかし、ECR29がスキャナを備えていないものであっても、身分証明書類31に記載された識別情報に係る文字や数字(例えば、パスポートの旅券番号、生年月日、氏名など)を手入力する態様が考えられる。
【0021】
ECR29は、スキャナで読み取られた身分証明書類から利用希望者に係る識別情報を抽出し、アクセスポイント上位機13に対して公衆無線LAN10の使用許可の要求を送信する。許可が得られたら、ECR29は、レシートにログイン情報を印刷する。この実施形態では、POS端末25と同様、会計の際に印刷するレシートに、もしくはそのレシートと一緒に、公衆無線LAN10へのログインに関する設定や期間が埋め込まれた2次元バーコードを印刷する。
携帯通信端末17は、利用希望者が所有するスマートフォン、タブレット型端末あるいはモバイルコンピュータ等の携帯通信端末である。利用希望者は、携帯通信端末17が備えるカメラでレシート33に印刷された2次元バーコードを読取らせて、公衆無線LAN10にログインすることができる。
各機器は、CPUあるいはマイクロコンピュータ(以下、両者を代表してCPUと記載する)を中心として、メモリ、リアルタイムクロック、入出力インターフェイス回路、通信インターフェイス回路等のハードウエア資源を備えている。また、ユーザーが操作する機器は液晶ディスプレイやLEDランプなどの表示用デバイス、タッチパネルや操作キー等の操作用デバイスを備えている。そして、メモリに予め格納された処理プログラムをCPUが実行することによって、それぞれの機器の機能が実現される。
【0022】
≪公衆無線LANの機能的構成≫
続いて、機能的な観点から公衆無線LAN10の構成を示す。
図2は、図1に示す公衆無線LAN10内の各機器で実行される処理に着目した機能的なブロック図である。
図2に示すように、アクセスポイント上位機13は機能的な処理ブロックとして、広域ネットワークとの通信接続を処理するWAN通信部13a、無線アクセスポイント15との通信を行うアクセスポイント通信部13cを備える。この実施形態では、広域ネットワークとしてインターネット11を想定している。今日では、インターネットが典型的な広域ネットワークとして広く用いられているからである。さらに、無線アクセスポイント15に接続してくる顧客、即ち公衆無線LAN10の利用者の管理を行う利用者管理部13bを備える。
【0023】
利用者管理部13bは、公衆無線LAN10の使用を希望する旨の要求をPOS端末25からECR/POS上位機23を介して受けた場合に、ログイン情報の発行可否についての判断を行う。ログイン情報の発行を許可する場合は、ログイン情報に含めるべき利用者IDを発行する。利用者IDの発行に係る処理を実行するブロックを利用者ID発行部13dとして示している。
また、前記判断に関連して利用者情報格納部13eは、公衆無線LAN10の利用を許可すべき者あるいは許可すべきでない者の識別情報を予め格納する。なお、異なる態様として、利用者情報格納部13eがインターネット11上のサーバーに格納されていてもよい。
【0024】
利用者ID発行部13dは、判断に際して利用者情報格納部13eを参照する。
利用者管理部13bは、公衆無線LAN10の利用許可を与えると判断した場合に、前記要求と共にPOS端末25から受信する利用者の識別情報と紐付けする形で一時利用の為のIDとパスワードを発行して接続設定や接続先を示すデータと共に、前記要求を発したPOS端末25へ返信する。なお、前記識別情報は、利用希望者の身分証明書類等を読み取って抽出された情報である。さらに、利用者管理部13bは、利用許可を与えた利用者に係る利用者情報と利用希望者の識別情報との紐付けを行ったうえで、その利用者が公衆無線LAN10を利用可能な期間の管理や、アクセス権限の管理を行う。アクセス権限は、通信データ量の上限、セキュリティー上あるいはサービスランク上の理由から設定されるアクセス先またはアクセス内容の制限を含む。
【0025】
アクセスポイント通信部13cは、店舗内に設置される無線アクセスポイント15と店舗内LAN21で有線接続される。
ECR/POS上位機23は機能的な処理ブロックとして、売上・在庫管理部23a、顧客情報管理部23bおよび通信部23cを備える。売上・在庫管理部23aは、店舗売上情報格納部23dおよび店舗在庫情報格納部23eを含む。店舗売上情報格納部23dは、店舗41の売上およびその集計に関するデータである。店舗在庫情報格納部23eは、店舗41の在庫および商品の発注等の管理に関するデータである。
売上・在庫管理部23aは、店舗41の商品の売価管理、在庫管理を行う。そして、POS端末25に登録された入出金に係るデータを集計し、会計データの管理を行う。
顧客情報管理部23bは、POS端末25の金銭登録処理に係る顧客情報を管理する。例えば、店舗41の会員になっている顧客の来店履歴や購買履歴を管理する。さらに、公衆無線LAN10の一時使用権に係る要求がPOS端末25から送られてきた場合に、アクセスポイント上位機13に要求を転送し、その結果をPOS端末25に転送すると共に、利用希望者の識別情報を対応する顧客の顧客情報の一要素として関連付ける。そして、その顧客について一時使用権の要求と結果とを管理する。
【0026】
通信部23cは、店舗内バックヤード43に設置されたアクセスポイント上位機13や、店舗41のPOS端末25と店舗内LAN21を介して通信する。
無線アクセスポイント15は機能的な処理ブロックとして、有線通信部15a、アクセス管理部15bおよび無線通信部15cを備える。アクセス管理部15bは、ログイン利用者情報格納部15dを含む。
有線通信部15aは、店舗内LAN21を介したアクセスポイント上位機13との通信を行う通信インターフェイスである。無線通信部15cは、一時使用権を得た利用者が店舗41で使用する携帯通信端末17との無線接続を制御する通信インターフェイスである。
アクセス管理部15bは、無線通信部15cを介してログイン要求があり、そのログイン要求に係る利用者IDおよびパスワードが、アクセスポイント上位機13が発行した利用者IDとパスワードの組み合わせに合致している場合に、要求元の携帯通信端末17のログインおよびアクセスを許可する。そして、許可した利用者IDに係る通信のログを記録し保存する。
【0027】
POS端末25は機能的な処理ブロックとして、通信部25a、データ処理部25b、入力部25c、接続情報生成部25d、よび情報出力部25eを備える。
通信部25aは、店舗内バックヤード43に設置されたECR/POS上位機23と店舗内LAN21を介して通信する。
データ処理部25bは、顧客毎の金銭登録処理、顧客情報に関する処理および顧客が公衆無線LAN10の使用を希望する際の処理を実行する。それらの処理のうち金銭登録処理は、金銭登録処理部25fが処理を実行する。なお、ログイン情報の生成に係る処理は後述する接続情報生成部25dが実行する。ここで、顧客毎とは必ずしも顧客一人ずつに限られるものでないが、ある単位として他の顧客と区別される態様を意味する。例えば、会計処理の場合、親子の買い物は一つの会計処理として一単位にまとめられるが、他人の会計とは区別される。
入力部25cは、金銭登録処理に係るデータの入力を受付けると共に、公衆無線LAN10の使用を希望する顧客が提示する身分証明書類31に係る識別情報の入力を受付ける。
【0028】
入力部25cは、画像読取部25gおよびキー入力部25hを備える。画像読取部25gは、スキャナ27が読み取ったデータ、例えば商品に付されたバーコードや身分証明書類31の画像データの入力を受付ける。キー入力部25hは、POS端末25が備える入力キー(図示せず)からの入力を受付ける。
接続情報生成部25dは、顧客が公衆無線LAN10の使用を希望し、アクセスポイント上位機13から使用許可の返信を受けた場合に、その返信に付された利用者ID、パスワード、接続先および接続設定のデータに基づいてログイン情報を生成する。そして、生成されたログイン情報を印刷部25kに印刷させ、利用希望者である顧客に提供できるようにする。また、アクセスポイント上位機13がログイン情報を生成する場合は、受信したログイン情報を印刷部25kに印刷させる。あるいは別の態様(実施の形態2)として、ログイン情報を表示部25jに表示させて利用希望者である顧客に提示されるようにする。
【0029】
情報出力部25eは、顧客および/または店舗41に提示すべき情報を出力する。情報出力部25eは、表示部25jおよび印刷部25kを含む。表示部25jは、POS端末25が備える表示装置に、オペレータおよび顧客に提示する情報を表示させ。印刷部25kは、顧客に手渡すべきレシートに精算やログイン情報を印刷する。また、異なる態様(実施の形態3)として、レシートと別に、ログイン情報を印刷するようにしてもよい。
顧客が所有する携帯通信端末17は、公衆無線LAN10の構成要素には含まれないが、公衆無線LAN10を利用する機器である。
【0030】
図2に示すように、携帯通信端末17は、無線通信部17a、処理部17b、ログイン情報読取部17cおよびログイン情報格納部17dを備える。
無線通信部17aは、無線アクセスポイント15との通信を行う。処理部17bは、アプリケーションの実行やユーザインタフェイスに関する処理を行う。ログイン情報読取部17cは、カメラなどのハードウエア資源を用いてレシート33に2次元バーコードの形態で印刷されたログイン情報を読み取る。ログイン情報格納部17dは、読み取られたログイン情報から得られるデータをフラッシュメモリやRAM等のメモリデバイスに格納する。前記データは、利用者ID、パスワード、接続先および接続設定を含む。
以上、それぞれの機器の処理ブロックとその機能を説明したが、それらの機能は主として、CPUが処理プログラムを実行することにより実現される。
なお、図2では、店舗41にPOS端末25が設置されている場合を想定しているが、ECR29が設置されている場合は、POS端末25に代えてECR29に各機能ブロックが存在する。
【0031】
(実施の形態4)
図3は、この発明に係る公衆無線LANの異なる構成を示すブロック図である。図3に示す構成は、図1に示したアクセスポイント上位機13の機能をECR/POS上位機23が包含する態様である。ECR/POS上位機23がインターネット上で売上・在庫管理データベース19aを格納するサーバーと通信することを前提として図1のアクセスポイント上位機13の機能を備えている場合は図3のように公衆無線LAN10が構成される。この態様では、ECR/POS上位機23と無線アクセスポイント15とがインターネット接続部として機能する。
【0032】
(実施の形態5)
さらに図1と異なる構成として、図1に示したアクセスポイント上位機13の機能を無線アクセスポイント15が包含する態様が考えられる。
なお、実施の形態4や5の機器構成においては、図1との構成の差異に対応して図3の処理ブロックの所在が変わるが、それらの機能的ブロック図は当業者にとって図3から容易に推測できるので図示を省略している。この態様では、無線アクセスポイント15がインターネット接続部として機能する。
【0033】
≪公衆無線LANの使用に係る手順≫
続いて、図1の公衆無線LANの使用に関する手順の一例を説明する。
この実施形態に係る公衆無線LAN10の使用形態として、次のようなシーンが想定される。
一つの例は、入店時に顧客がメニューを選んで会計を行う飲食店である。例えば、ファストフード店やコーヒーショップ等が該当する。店舗は、顧客が会計を行う際にその店舗で提供される公衆無線LAN10の一時使用権を顧客に与える。ログイン情報は、レシートに精算内容と共に印刷されて顧客に手渡される。あるいは、POS端末25が備える顧客向けのディスプレイに、会計処理中に表示されてもよい。顧客はレシートに印刷され、あるいはディスプレイに、2次元バーコードの形態で表示されたログイン情報を携帯通信端末17のカメラで読み取ってログインする(前述の実施の形態1〜5参照)。
【0034】
それと異なる例は、一つの建屋に複数の店舗が入っているショッピングモールや大型店舗等の大型施設における利用シーンである。その例によれば、施設に入場する際にその顧客の識別情報を取得して、一時使用権を顧客に与えてもよい。例えば、顧客が自動車に乗って施設に入場する場合、その自動車が施設の駐車場に入庫する際に自動車のナンバープレートに記載の番号を読み取って識別情報として紐付けしてもよい。そして、入庫の際に発行する駐車券に、ログイン情報の2次元バーコードを印刷してもよい(実施の形態6)。この態様で、一台の自動車に同乗して入場した顧客にはナンバープレート番号という一つの識別情報が割り当てられる。その場合、顧客は入場した自動車を一単位として他の顧客と区別される。
【0035】
さらに異なる例として、顧客が大型施設に入場した後、最初の会計の際に、前述のファストフード店と同様の流れで一時使用権を獲得してもよい(実施の形態7)。
【0036】
図4および図5は、図1に示す公衆無線LANの使用に関する手順の一例を示す説明図である。
また、図6は、図4および図5の手順において、利用希望者の携帯通信端末に表示される画面の例を示す説明図である。
図4および図5で、左側の鎖線枠は顧客の行動に関連して行われる処理を示しており、右側の鎖線枠は店舗41の接客者の行動に関連して行われる処理を示している。図6で、左側の鎖線枠は図4および図5と同様に、顧客の行動に関連して行われる処理を示している。以下、図4に沿って処理の手順を説明する。
公衆無線LAN10の利用を希望する顧客(利用希望者)によってパスポート等、顧客の身分証明書類31が提示されると(ステップC1)、店舗41の接客者は、その身分証明書類31をスキャナ27で読取るか、あるいは身分証明書類31に記載された内容をキー入力する。
【0037】
POS端末25にスキャナ27が接続された態様では、スキャナ27が身分証明書類31を読取る(ステップS1)。POS端末25は、スキャナ27が読取った画像の入力を受付けて文字認識により識別情報を抽出する(ステップS2)。
スキャナ27を備えないオーダー端末やECR29等、画像を読取る機能のない装置の場合は、提示された身分証明書類31に基づいて接客者が行うキー入力を受付ける(ステップS3)。
このように入力された顧客の識別情報と共に公衆無線LAN10の使用要求が、アクセスポイント上位機13に送信される。POS端末25やECR29の場合は、店舗内LAN21を介して送信される。オーダー端末の場合は、無線アクセスポイント15を介してアクセスポイント上位機13に送信される。
【0038】
アクセスポイント上位機13は、使用要求を受信すると、識別情報を用いて利用者情報データベースを参照し、識別情報に係る利用希望者の照会を行う。利用者情報データベースは、アクセスポイント上位機13に格納されていてもよいし、インターネット11を介したサーバーに格納されていてもよい。そして、利用希望者がブラックリスト該当者でなければ使用を許可してもよいと判断して、一時使用権発行の処理を行う(ステップB1)。即ち、一時使用権許可の指示を要求送信元のPOS端末25等に接続先やIDなどのデータを返信するか、あるいは前記データが2次元バーコード化されたログイン情報を生成して要求送信元のPOS端末25等に送る。
そして、一時使用権を発行した利用者について利用者情報データベースを更新する(ステップB2)。さらに、利用者情報の更新に伴って、無線アクセスポイント15の設定を更新する(ステップS6)。無線アクセスポイント15が更新された利用希望者の携帯通信端末17からログイン要求を受けた場合、利用者情報に係る有効なURLかつ有効なIDであれば、その携帯通信端末17に応答するように設定される。
【0039】
アクセスポイント上位機13から、接続先やIDなどのデータまたはそれらが2次元バーコード化されたログイン情報を受信すると、要求送信元のPOS端末25等は、前記データからログイン情報を生成して、あるいは受信したログイン情報を用いてレシートに2次元バーコードを印刷する(ステップS4)。もしくは、前記ログイン情報を表示部に表示させて顧客に提示する(ステップS5)。例えば印刷機能のないオーダー端末の場合、画面にログイン情報の2次元バーコードを表示させた状態で、接客者が顧客に提示すればよい。
利用希望者は、レシートに印刷され、あるいは表示画面が提示されたログイン情報を自分が持っている携帯通信端末17のカメラで読取らせる(図6の2次元コードスキャナ画面参照)。2次元バーコードの形態で与えられるログイン情報を読取った携帯通信端末17は、ログイン情報に接続先として指定された無線アクセスポイント15のログイン画面にアクセスする(図4のステップC2、図6の無線LAN接続画面参照)。そのログイン画面は、公衆無線LAN10にログインするかの確認の操作およびログインに必要な情報の入力を利用者に求めるものである(図4のステップC3および図6のWebブラウザ画面−1、2参照)。ログインに必要な情報の一例として、この実施形態においてはパスポートの国籍コードと出生年の入力を求める。
【0040】
ここで、2次元バーコードはログイン情報の具体的形態の一例に過ぎない。
携帯通信端末17は、前記ログイン画面で利用希望者が入力した情報を受付けると、受付けた情報を無線アクセスポイント15に送信する(図5のステップC4参照)。その情報を受信した無線アクセスポイント15は、有効な情報が入力されたか否かを確認する。有効な入力がなされた場合は、その携帯通信端末17との通信を成立させてインターネット11への接続を可能にすべくアクセスポイント上位機13に通知する(図5のステップS7参照)。
その通知を受けたアクセスポイント上位機13は、前記ステップS7でログインに成功した利用希望者に係る利用者情報の履歴を更新する。即ち、前記利用者情報データベースを更新する(ステップB4)。この実施形態でアクセスポイント上位機13は、当該利用者のログイン期間の計時を開始する。そして、公衆無線LAN10のログインに成功したことを携帯通信端末17の画面に表示させる(図6のWebブラウザ画面−3参照)。
【0041】
これらの手順を経て携帯通信端末17は公衆無線LAN10の使用が可能になる。即ち、インターネット11への一時的な接続サービスが利用できる。
アクセスポイント上位機13は、ログインの期間中に予め定められた期間が経過したか否かを監視しながら、時間の経過に伴って当該利用者の利用者情報を更新する(ステップB5)。そして、予め定められた期間が経過したら、携帯通信端末17にその旨を知らせたうえで(図6のWebブラウザ画面−4参照)、通信を切断するように無線アクセスポイント15に指示する。無線アクセスポイント15は、その指示に従って携帯通信端末17との接続を切断する(ステップB8)。
なお、ログイン後予め定められた期間が経過する前であっても、利用者が携帯通信端末17を用いてログオフの操作を行った後は、一時使用権を無効にしてもよい。あるいは、利用者が無線アクセスポイント15の通信範囲外に移動して通信不可能な状態になり、その後予め定められた期間(例えば3分)が経過した後は、一時使用権を無効にしてもよい。ただし、前述のログオフ操作や通信範囲外への移動があっても、所定期間が経過するまで一時使用権が有効であってもよい。その場合は、再ログインが可能である。
異なる態様として、ログイン後の計時は行わずに、利用者がログオフの操作を行うかあるいは携帯通信端末17が通信範囲外に移動するまで一時使用権が有効であってもよい。
以上が、公衆無線LAN10の使用に係る手順の例である。
【0042】
図7図9は、上述の手順をさらに詳しく記載した説明図である。また、図10は、図7図9に示す利用者データベースに格納される項目の一例を示す説明図である。図10では、(a),(b)および(c)の3つの例を示している。
特に、アクセスポイント上位機13の利用者管理部13bの処理の詳細を示している。図7図9において、利用者情報データベースは、パスポートの記載等に基づく識別情報に対応したいわゆるブラックリストが予め格納されており、公衆無線LAN10の利用希望者がブラックリストの該当者か否かを確認したうえで一時使用権を発行する。識別情報は、図10に例示するように、パスポートに埋め込まれたICチップに格納された旅券情報(図10(a)参照)やパスポートに記載された旅券情報(図10(b)参照)、自動車運転免許証に埋め込まれたICチップに格納された情報または自動車運転免許証に記載された情報(図10(c)参照)である。
【0043】
さらに、図11および図12は、図7図9と異なる態様の利用者情報を想定した手順の説明図である。図11および図12で、利用者情報データベースは、店舗の会員のデータベースであって、利用希望者が過去に店舗41あるいは店舗41の他の客とトラブルを起こしたことがあるか否かの履歴、即ち迷惑利用者が否かを確認したうえで、一時使用権を発行する。
【0044】
以上に述べたように、
(i)この発明による施設利用者管理装置は、商品の購買またはサービスの提供に係る場所を利用する複数の利用者について、前記購買、前記サービスの利用または前記場所への入退場に関する利用者毎のデータを処理するデータ処理部と、前記利用者に固有の識別情報の入力を受付ける入力部と、前記識別情報を含み、前記場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスに前記利用者がログインするためのログイン情報を提供するログイン情報提供部と、前記購買、前記サービスまたは前記入退場に関するデータと共に前記ログイン情報を印刷または表示の形態で出力する情報出力部とを備えることを特徴とする。
【0045】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)前記情報出力部は、前記購買または前記サービスの利用に係るデータおよび前記ログイン情報をレシートとして印刷してもよい。
このようにすれば、利用者は、購買またはサービスの利用の際に受け取るレシートに印刷されたログイン情報を用いて、その場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスにログインできる。
【0046】
(iii)前記情報出力部は、前記購買または前記サービスの利用に係るデータおよび前記ログイン情報を画面に表示してもよい。
このようにすれば、利用者は、購買またはサービスの利用の際に提示される画面に表示されたログイン情報を用いて、その場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスにログインできる。
【0047】
(iv)前記入力部が、前記利用者の身分証明書類を読み取るスキャナ、カメラまたはカードリーダであってもよい。
このようにすれば、例えばパスポート、運転免許証、健康保険証、会員カードやクレジットカード等、前記購買者の身分証明書類から読み取られた情報が前記ログイン情報に含まれるので、容易な操作で一時利用可能なインターネット接続サービスであっても、利用者の照会や追跡が可能になる。
【0048】
(v)前記ログイン情報は、予め定められた期間前記場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスへのログインが可能なものであってもよい。
このようにすれば、各利用者へのインターネット接続サービスはログイン後、予め定められた期間が経過するまでに限定されるのでサービスの管理が容易であり、また、利用者が再度その場所を訪れて購買あるいはサービスの利用を行う動機付けとなり得る。
【0049】
(vi)前記ログイン情報は、そのログイン情報を用いて一度ログインした後にログオフするか前記ログイン情報を用いて一度ログインした機器がその後に前記場所で提供されるインターネットへの一時的な接続サービスの通信範囲から外れるまで前記サービスへのログインが可能なものであってもよい。
このようにすれば、各利用者へのインターネット接続サービスはログオフあるいは通信範囲から外れるまでの期間に限定されるのでサービスの管理が容易であり、また、利用者が再度その場所を訪れて購買あるいはサービスの利用を行う動機付けとなり得る。
【0050】
(vii)前記施設利用者管理装置は、前記場所で提供されるインターネットへの接続サービスを介して外部の機器と通信を行うものであってもよい。
このようにすれば、前記施設利用者管理装置が使用するインターネット接続用の器材やサービス契約を流用して、利用者にインターネットへの一時的な接続サービスが提供できる。
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0051】
10:公衆無線LAN、 11:インターネット、 13:アクセスポイント上位機、 13a、WAN通信部、 13b:利用者管理部、 13c:アクセスポイント通信部、 13d:利用者ID発行部、 13e:利用者情報格納部、 15:無線アクセスポイント、 15a:有線通信部、 15b:アクセス管理部、 15c:無線通信部、 15d:ログイン利用者情報格納部、 17:携帯通信端末、 17a:無線通信部、 17b:処理部、 17c:ログイン情報読取部、 17d:ログイン情報格納部、 19a、19b:売上・在庫管理データベース、 21:店舗内LAN、 23:ECR/POS上位機、 23a:売上・在庫管理部、 23b:顧客情報管理部、 23c:通信部、 23d:店舗売上情報格納部、 23e:店舗在庫情報格納部、 25:POS端末、 25a:通信部、 25b:データ処理部、 25c:入力部、 25d:接続情報生成部、 25e:情報出力部、 25f:金銭登録処理部、 25g:画像読取部、 25h:キー入力部、 25j:表示部、 25k:印刷部、 27:スキャナ、 29:ECR、 31:身分証明書類、 33:レシート、 41:店舗、 43:店舗内バックヤード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12