【課題を解決するための手段】
【0008】
これまでの水中燃焼式気化装置の設計思想では、バーナーに直接接続されるダウンカマーの垂直管内において、バーナーの燃焼を完結させることを前提としていた。そのため、バーナーの容量が大きくなると、その大きくなった容量に見合うだけの燃焼ガス量が垂直管内において確保できるように、垂直管の容積を大きくしていた。また、バーナーから噴き出す火炎の全長を垂直管内に収めようとすると、バーナーの容量が大きくなるほど、垂直管の上下方向の長さは長くなる。
【0009】
しかしながら、本願発明者等の検討によると、バーナーから下向きに噴き出す火炎が、垂直管内の下部において折れ曲がるようになって、火炎の先端側の一部が、垂直管に接続された水平管内に至るようなときでも、バーナーの燃焼が安定化することが判明した。ここに開示する技術は、この新たな知見が得られたことにより完成するに至った。
【0010】
具体的に、ここに開示する技術は、水中燃焼式気化装置に係り、水中燃焼式気化装置は、水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備える。
【0011】
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有している。
【0012】
そして、前記ダウンカマーは、定格燃焼量での運転時に前記バーナーの噴出口から噴き出した火炎が、
ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内で区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内で区画される水平燃焼領域まで延びるように構成されている。
【0013】
この構成によると、バーナーから噴き出した火炎は、垂直管内を下向きに延びると共に、垂直管の下部において曲がって、垂直管に接続された水平管内に至る。つまり、バーナーから噴き出した火炎の一部は、垂直管内において区画される垂直燃焼領域にあり、残りの部分は、水平管内において区画される水平燃焼領域にある。バーナーの燃焼は、垂直管内において完結せず、垂直管と水平管との両方において行われる。バーナーの火炎の先端部分が水平管内の水平燃焼領域にあるため、その分、垂直管の上下長さを短くすることが可能になる。垂直管の上下長さを短くすることにより、水槽の深さを浅くすることが可能になるため、製造及び設置コストが低くなる。また、水槽の容積が小さくなるため、水槽内の水の温度を上昇させるために必要な熱量が減少すると共に、水中燃焼式気化装置の起動時間が短くなる。
【0014】
前記複数本のスパージパイプは、前記水平管に沿うように、水平方向に並んで配置され、前記垂直管内の下部及び前記水平管内の下部には、前記バーナーの運転時において、水が溜まっており、前記垂直燃焼領域は、前記バーナーの前記噴出口から前記垂直管内の水面までの領域であり、前記水平燃焼領域は、前記水平管内の水面よりも上でかつ、前記垂直管と前記水平管との接続位置から前記垂直管に最も近い前記スパージパイプの接続位置までの領域であり、前記ダウンカマーは、前記垂直燃焼領域の上下高さが、定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出した火炎の全長よりも短くかつ、前記垂直燃焼領域の上下高さと前記バーナーの中心軸から前記水平燃焼領域の端までの水平長さとの和が、前記火炎の全長よりも長くなるように構成されている、としてもよい。
【0015】
本願発明者等の知見によると、バーナーの運転時において、ダウンカマー内の水は全て排出されずに、一部の水が垂直管内及び水平管内に残る。残った水は垂直管内及び水平管内の下部に溜まる。バーナーの火炎の燃焼領域は、垂直管内及び水平管内における水面よりも上側に区画される。具体的に、垂直管内の垂直燃焼領域は、バーナーの噴出口から垂直管内の水面までの領域である。
【0016】
これまでの設計思想は、前述の通り、ダウンカマーの垂直管内においてバーナーの燃焼が完結するよう、垂直管の長さを設定するが、垂直管内の下部に水が溜まる分、火炎の実質的な燃焼領域は小さくなるため、垂直管の長さをさらに長くしなければならない。
【0017】
これに対し、ここに開示する新たな設計思想は、水平管内の一部を火炎の燃焼領域としている。水平管内の水平燃焼領域は、水平管内の水面よりも上でかつ、垂直管と水平管との接続位置から垂直管に最も近いスパージパイプの接続位置までの領域である。水平燃焼領域を形成することにより、垂直管内における実質的な燃焼領域を確保しながら、垂直管の長さを、従来の設計思想で設計した場合よりも短くすることが可能である。
【0018】
新たな設計思想は言い換えると、バーナーの運転時においても垂直管内及び水平管内に水が溜まるという前提で、水平管内の一部が火炎の燃焼領域となるように、垂直管、水平管、及びスパージパイプの長さや径、並びに、それらの取り付け寸法を設定することである。つまり、垂直管、水平管、及びスパージパイプの長さや径、並びに、それらの取り付け寸法によっては、水平管内に火炎の燃焼領域を十分に形成することができない場合も起こり得る。その場合は、垂直管内においてのみ、バーナーの燃焼が行われることになる。結果として垂直管が大型化してしまう。
【0019】
前記の構成では、水平管内に水平燃焼領域が形成されるようにした上で、垂直燃焼領域の上下高さを、定格燃焼量での運転時にバーナーから噴き出した火炎の全長よりも短くする。これにより、火炎は、垂直燃焼領域内に収まらずに、火炎の先端部分は、水平燃焼領域内に位置するようになる。
【0020】
また、垂直燃焼領域の上下高さとバーナーの中心軸から水平燃焼領域の端までの水平長さとの和を、火炎の全長よりも長くする。つまり、バーナーから噴き出した火炎は、垂直管内から、水平管内において垂直管に最も近いスパージパイプの接続位置までの範囲に収まる。
【0021】
こうすることで、垂直管の上下方向の長さを短くしても、水平燃焼領域を利用して、バーナーの燃焼が安定化する。
【0022】
尚、火炎の全長は、バーナーの燃焼試験を行うことによって決定することが可能である。例えばテストプラントにおいて、バーナーから噴き出す火炎の先端位置を観察することによって、火炎の全長を決定してもよい。火炎の先端位置は、例えば時間平均50%で火炎が存在する位置を、火炎の先端位置と定めてもよい。
【0023】
前記バーナーから噴き出した火炎の過半は、前記垂直燃焼領域内にある、とすることが好ましい。
【0024】
前述したように、垂直燃焼領域の下端は、垂直管内の水面によって区画される。また、水平燃焼領域の下側も、水平管内の水面によって区画される。垂直管内及び水平管内の水面近くでは、火炎が水によって冷やされるようになり、燃焼温度の低下を招く。燃焼温度の低下は、排気ガス中の一酸化炭素を増やす。本願発明者等の知見によると、バーナーから噴き出した火炎において、バーナーの噴出口から所定の距離だけ離れた火炎の中間部分が、燃焼反応が最も顕著になって、最高温度となる部分である。この中間部分が、垂直管内の水面によって冷やされると燃焼温度が大きく低下し、一酸化炭素が多量に発生する。
【0025】
また、最高温度となる中間部分が垂直管内の水面近くに位置すると、バーナーから噴き出した火炎の全長に対し、水によって冷やされる虞のある部分の割合が増えることにもなる。つまり、垂直燃焼領域における燃焼が少なくなり、水平燃焼領域における燃焼が多くなると、排気ガス中の一酸化炭素が増大する。
【0026】
そこで、バーナーから噴き出した火炎の過半は、垂直燃焼領域内にあるようにすることが好ましい。こうすることで、排気ガス中の一酸化炭素を低減することが可能になる。
【0027】
ここに開示する技術はまた、水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備えた水中燃焼式気化装置の運転方法である。
【0028】
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有し、前記バーナーの運転時において、前記垂直管内及び前記水平管内の下部には、水が溜まっている。
【0029】
この運転方法では、前記バーナーの噴出口から噴き出した火炎が、
ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内の水面よりも上に区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内の水面よりも上に区画される水平燃焼領域まで延びるように前記バーナーを運転する。こうすることで、小型化したダウンカマーにおいて、バーナーの燃焼が安定化する。
【0030】
また、水中燃焼式気化装置の運転方法において、前記バーナーから噴き出した火炎の過半が、前記垂直燃焼領域内にあるように、前記バーナーを運転する、ことが好ましい。こうすることで、排気ガス中の一酸化炭素が低減する。
【0031】
ここに開示する技術はさらに、水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備えた水中燃焼式気化装置の設計方法である。
【0032】
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有し、前記複数本のスパージパイプは、前記水平管に沿うように、水平方向に並んで配置される。
【0033】
前記垂直管内において、前記バーナーの噴出口から前記スパージパイプの高さ位置に相当する位置までの領域である垂直燃焼領域が規定されかつ、前記水平管内において、前記スパージパイプの高さ位置に相当する位置よりも上でかつ、前記垂直管と前記水平管との接続位置から前記垂直管に最も近い前記スパージパイプの接続位置までの領域である水平燃焼領域とが規定される。
【0034】
この設計方法は、定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出す火炎の長さに基づいて、前記垂直燃焼領域の上下高さを設定する工程と、定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出す火炎の長さに基づいて、前記水平燃焼領域の水平長さを設定する工程と、を備え、前記垂直燃焼領域の上下高さ及び前記水平燃焼領域の水平長さは、火炎が、
ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内で区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内で区画される水平燃焼領域まで延びるように、設定する。
【0035】
この設計方法によれば、バーナーから噴き出す火炎の長さに着目し、垂直管内の垂直燃焼領域の上下高さと、水平管内の水平燃焼領域の水平長さとを設定する。
つまり、バーナーから噴き出した火炎が、垂直管内において区画される垂直燃焼領域から、水平管内において区画される水平燃焼領域まで延びるように、垂直燃焼領域の上下高さと水平燃焼領域の水平長さとを設定
する。こうすることで、バーナーの燃焼を安定化しつつ、垂直管の上下方向の長さを、短くすることが可能になる。
【0036】
前記水中燃焼式気化装置の設計方法は、前記垂直燃焼領域の上下高さ、及び、前記水平燃焼領域の水平長さを設定した後、前記バーナーの定格燃焼量に基づいて、前記垂直燃焼領域の容積及び前記水平燃焼領域の容積が所定の容積を満足するように、前記垂直管の長さ及び径、並びに、前記水平管の長さ及び径を設定する工程をさらに備えている、としてもよい。
【0037】
バーナーの燃焼の安定化には、バーナーの容量に応じた燃焼ガス量が、ダウンカマー内で確保可能となるように、ダウンカマーの容積を確保することが望ましい。バーナーの定格燃焼量に基づいて、火炎が存在する垂直燃焼領域の容積及び水平燃焼領域の容積が所定の容積を満足するように、設定された垂直燃焼領域の上下高さ、及び、前記水平燃焼領域の水平長さから、垂直管の長さ及び径、並びに、水平管の長さ及び径を設定する。このことによって、バーナーの燃焼の安定化が図られる。