特許第6616615号(P6616615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616615水中燃焼式気化装置、水中燃焼式気化装置の運転方法、及び、水中燃焼式気化装置の設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616615
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】水中燃焼式気化装置、水中燃焼式気化装置の運転方法、及び、水中燃焼式気化装置の設計方法
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/44 20060101AFI20191125BHJP
【FI】
   F23D14/44
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-148934(P2015-148934)
(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公開番号】特開2017-32147(P2017-32147A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年6月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄谷 仁延
(72)【発明者】
【氏名】和崎 謙一
(72)【発明者】
【氏名】矢川 憲利
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0062197(US,A1)
【文献】 特開2014−173689(JP,A)
【文献】 実開平05−077700(JP,U)
【文献】 特開2006−317047(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第01171169(GB,A)
【文献】 実開昭48−056639(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/44
F17C 9/02
F22B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、
ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、
前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、
前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備え、
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有していて、定格燃焼量での運転時に前記バーナーの噴出口から噴き出した火炎が、ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内で区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内で区画される水平燃焼領域まで延びるように構成されている水中燃焼式気化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水中燃焼式気化装置において、
前記複数本のスパージパイプは、前記水平管に沿うように、水平方向に並んで配置され、
前記垂直管内の下部及び前記水平管内の下部には、前記バーナーの運転時において、水が溜まっており、
前記垂直燃焼領域は、前記バーナーの前記噴出口から前記垂直管内の水面までの領域であり、前記水平燃焼領域は、前記水平管内の水面よりも上でかつ、前記垂直管と前記水平管との接続位置から前記垂直管に最も近い前記スパージパイプの接続位置までの領域であり、
前記ダウンカマーは、前記垂直燃焼領域の上下高さが、定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出した火炎の全長よりも短くかつ、前記垂直燃焼領域の上下高さと前記バーナーの中心軸から前記水平燃焼領域の端までの水平長さとの和が、前記火炎の全長よりも長くなるように構成されている水中燃焼式気化装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水中燃焼式気化装置において、
前記バーナーから噴き出した火炎の過半は、前記垂直燃焼領域内にある水中燃焼式気化装置。
【請求項4】
水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、
ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、
前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、
前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備えた水中燃焼式気化装置の運転方法であって、
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有し、
前記バーナーの運転時において、前記垂直管内及び前記水平管内の下部には、水が溜まっており、
前記バーナーの噴出口から噴き出した火炎が、ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内の水面よりも上に区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内の水面よりも上に区画される水平燃焼領域まで延びるように前記バーナーを運転する水中燃焼式気化装置の運転方法。
【請求項5】
請求項4に記載の水中燃焼式気化装置の運転方法において、
前記バーナーから噴き出した火炎の過半が、前記垂直燃焼領域内にあるように、前記バーナーを運転する水中燃焼式気化装置の運転方法。
【請求項6】
水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、
ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、
前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、
前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備えた水中燃焼式気化装置の設計方法であって、
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有し、
前記複数本のスパージパイプは、前記水平管に沿うように、水平方向に並んで配置され、
前記垂直管内において、前記バーナーの噴出口から前記スパージパイプの高さ位置に相当する位置までの領域である垂直燃焼領域が規定されかつ、前記水平管内において、前記スパージパイプの高さ位置に相当する位置よりも上でかつ、前記垂直管と前記水平管との接続位置から前記垂直管に最も近い前記スパージパイプの接続位置までの領域である水平燃焼領域とが規定され、
定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出す火炎の長さに基づいて、前記垂直燃焼領域の上下高さを設定する工程と、
定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出す火炎の長さに基づいて、前記水平燃焼領域の水平長さを設定する工程と、を備え、
前記垂直燃焼領域の上下高さ及び前記水平燃焼領域の水平長さは、火炎が、ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内で区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内で区画される水平燃焼領域まで延びるように、設定する水中燃焼式気化装置の設計方法。
【請求項7】
請求項6に記載の水中燃焼式気化装置の設計方法において、
前記垂直燃焼領域の上下高さ、及び、前記水平燃焼領域の水平長さを設定した後、前記バーナーの定格燃焼量に基づいて、前記垂直燃焼領域の容積及び前記水平燃焼領域の容積が所定の容積を満足するように、前記垂直管の長さ及び径、並びに、前記水平管の長さ及び径を設定する工程をさらに備えている水中燃焼式気化装置の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、水中燃焼式気化装置、水中燃焼式気化装置の運転方法、及び、水中燃焼式気化装置の設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガスといった低温液化ガスの気化装置の一つとして、水中燃焼式気化装置(Submerged Combustion Vaporizer)が知られている(例えば特許文献1参照)。水中燃焼式気化装置は、水槽内に浸漬されかつ、伝熱管内を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるバーナーと、水槽内に浸漬されかつ、バーナーからの燃焼ガスを水槽内に導くダウンカマーと、水槽内でダウンカマーに接続されかつ、燃焼ガスを水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備えている。
【0003】
特許文献1に記載されている水中燃焼式気化装置では、バーナーは下向きに火炎を噴き出すように構成されている。ダウンカマーは、上端にバーナーが取り付けられると共に、その取付箇所から水槽の底に向かって垂直に延びる垂直管と、垂直管の下部に接続されかつ、水槽内で水平に延びる水平管と、を有している。複数本のスパージパイプは、水平管に沿うように、水平方向に並んで配置されかつ、各スパージパイプの基端が、水平管に接続されている。
【0004】
水中燃焼式気化装置は、水中に気泡として噴出された燃料ガスが水槽内の水を攪拌しながら、伝熱管内を通過する低温液化ガスを加熱することによって、その低温液化ガスを気化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−2734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、水中燃焼式気化装置のバーナーの容量(つまり、定格燃焼量)を大型化することが求められている。バーナーの大型化に伴い、ダウンカマーの垂直管内において定格燃焼量に見合う燃焼ガス量を確保することができるように、ダウンカマーの垂直管を大型化することが必要になる。しかしながら、垂直管の上下長さを長くすると、水槽の深さを深くしなければならない。底の深い水槽を設置することは、製造及び設置コストの増大を招く。また、水槽の深さを深くすると、水槽の容積が大きくなってしまう。水槽の容積が大きくなると熱容量が増大するため、水槽内の水の温度を上昇させるために必要な熱量が増大すると共に、水中燃焼式気化装置の起動時間が長くなる。
【0007】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水中燃焼式気化装置の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これまでの水中燃焼式気化装置の設計思想では、バーナーに直接接続されるダウンカマーの垂直管内において、バーナーの燃焼を完結させることを前提としていた。そのため、バーナーの容量が大きくなると、その大きくなった容量に見合うだけの燃焼ガス量が垂直管内において確保できるように、垂直管の容積を大きくしていた。また、バーナーから噴き出す火炎の全長を垂直管内に収めようとすると、バーナーの容量が大きくなるほど、垂直管の上下方向の長さは長くなる。
【0009】
しかしながら、本願発明者等の検討によると、バーナーから下向きに噴き出す火炎が、垂直管内の下部において折れ曲がるようになって、火炎の先端側の一部が、垂直管に接続された水平管内に至るようなときでも、バーナーの燃焼が安定化することが判明した。ここに開示する技術は、この新たな知見が得られたことにより完成するに至った。
【0010】
具体的に、ここに開示する技術は、水中燃焼式気化装置に係り、水中燃焼式気化装置は、水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備える。
【0011】
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有している。
【0012】
そして、前記ダウンカマーは、定格燃焼量での運転時に前記バーナーの噴出口から噴き出した火炎が、ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内で区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内で区画される水平燃焼領域まで延びるように構成されている。
【0013】
この構成によると、バーナーから噴き出した火炎は、垂直管内を下向きに延びると共に、垂直管の下部において曲がって、垂直管に接続された水平管内に至る。つまり、バーナーから噴き出した火炎の一部は、垂直管内において区画される垂直燃焼領域にあり、残りの部分は、水平管内において区画される水平燃焼領域にある。バーナーの燃焼は、垂直管内において完結せず、垂直管と水平管との両方において行われる。バーナーの火炎の先端部分が水平管内の水平燃焼領域にあるため、その分、垂直管の上下長さを短くすることが可能になる。垂直管の上下長さを短くすることにより、水槽の深さを浅くすることが可能になるため、製造及び設置コストが低くなる。また、水槽の容積が小さくなるため、水槽内の水の温度を上昇させるために必要な熱量が減少すると共に、水中燃焼式気化装置の起動時間が短くなる。
【0014】
前記複数本のスパージパイプは、前記水平管に沿うように、水平方向に並んで配置され、前記垂直管内の下部及び前記水平管内の下部には、前記バーナーの運転時において、水が溜まっており、前記垂直燃焼領域は、前記バーナーの前記噴出口から前記垂直管内の水面までの領域であり、前記水平燃焼領域は、前記水平管内の水面よりも上でかつ、前記垂直管と前記水平管との接続位置から前記垂直管に最も近い前記スパージパイプの接続位置までの領域であり、前記ダウンカマーは、前記垂直燃焼領域の上下高さが、定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出した火炎の全長よりも短くかつ、前記垂直燃焼領域の上下高さと前記バーナーの中心軸から前記水平燃焼領域の端までの水平長さとの和が、前記火炎の全長よりも長くなるように構成されている、としてもよい。
【0015】
本願発明者等の知見によると、バーナーの運転時において、ダウンカマー内の水は全て排出されずに、一部の水が垂直管内及び水平管内に残る。残った水は垂直管内及び水平管内の下部に溜まる。バーナーの火炎の燃焼領域は、垂直管内及び水平管内における水面よりも上側に区画される。具体的に、垂直管内の垂直燃焼領域は、バーナーの噴出口から垂直管内の水面までの領域である。
【0016】
これまでの設計思想は、前述の通り、ダウンカマーの垂直管内においてバーナーの燃焼が完結するよう、垂直管の長さを設定するが、垂直管内の下部に水が溜まる分、火炎の実質的な燃焼領域は小さくなるため、垂直管の長さをさらに長くしなければならない。
【0017】
これに対し、ここに開示する新たな設計思想は、水平管内の一部を火炎の燃焼領域としている。水平管内の水平燃焼領域は、水平管内の水面よりも上でかつ、垂直管と水平管との接続位置から垂直管に最も近いスパージパイプの接続位置までの領域である。水平燃焼領域を形成することにより、垂直管内における実質的な燃焼領域を確保しながら、垂直管の長さを、従来の設計思想で設計した場合よりも短くすることが可能である。
【0018】
新たな設計思想は言い換えると、バーナーの運転時においても垂直管内及び水平管内に水が溜まるという前提で、水平管内の一部が火炎の燃焼領域となるように、垂直管、水平管、及びスパージパイプの長さや径、並びに、それらの取り付け寸法を設定することである。つまり、垂直管、水平管、及びスパージパイプの長さや径、並びに、それらの取り付け寸法によっては、水平管内に火炎の燃焼領域を十分に形成することができない場合も起こり得る。その場合は、垂直管内においてのみ、バーナーの燃焼が行われることになる。結果として垂直管が大型化してしまう。
【0019】
前記の構成では、水平管内に水平燃焼領域が形成されるようにした上で、垂直燃焼領域の上下高さを、定格燃焼量での運転時にバーナーから噴き出した火炎の全長よりも短くする。これにより、火炎は、垂直燃焼領域内に収まらずに、火炎の先端部分は、水平燃焼領域内に位置するようになる。
【0020】
また、垂直燃焼領域の上下高さとバーナーの中心軸から水平燃焼領域の端までの水平長さとの和を、火炎の全長よりも長くする。つまり、バーナーから噴き出した火炎は、垂直管内から、水平管内において垂直管に最も近いスパージパイプの接続位置までの範囲に収まる。
【0021】
こうすることで、垂直管の上下方向の長さを短くしても、水平燃焼領域を利用して、バーナーの燃焼が安定化する。
【0022】
尚、火炎の全長は、バーナーの燃焼試験を行うことによって決定することが可能である。例えばテストプラントにおいて、バーナーから噴き出す火炎の先端位置を観察することによって、火炎の全長を決定してもよい。火炎の先端位置は、例えば時間平均50%で火炎が存在する位置を、火炎の先端位置と定めてもよい。
【0023】
前記バーナーから噴き出した火炎の過半は、前記垂直燃焼領域内にある、とすることが好ましい。
【0024】
前述したように、垂直燃焼領域の下端は、垂直管内の水面によって区画される。また、水平燃焼領域の下側も、水平管内の水面によって区画される。垂直管内及び水平管内の水面近くでは、火炎が水によって冷やされるようになり、燃焼温度の低下を招く。燃焼温度の低下は、排気ガス中の一酸化炭素を増やす。本願発明者等の知見によると、バーナーから噴き出した火炎において、バーナーの噴出口から所定の距離だけ離れた火炎の中間部分が、燃焼反応が最も顕著になって、最高温度となる部分である。この中間部分が、垂直管内の水面によって冷やされると燃焼温度が大きく低下し、一酸化炭素が多量に発生する。
【0025】
また、最高温度となる中間部分が垂直管内の水面近くに位置すると、バーナーから噴き出した火炎の全長に対し、水によって冷やされる虞のある部分の割合が増えることにもなる。つまり、垂直燃焼領域における燃焼が少なくなり、水平燃焼領域における燃焼が多くなると、排気ガス中の一酸化炭素が増大する。
【0026】
そこで、バーナーから噴き出した火炎の過半は、垂直燃焼領域内にあるようにすることが好ましい。こうすることで、排気ガス中の一酸化炭素を低減することが可能になる。
【0027】
ここに開示する技術はまた、水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備えた水中燃焼式気化装置の運転方法である。
【0028】
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有し、前記バーナーの運転時において、前記垂直管内及び前記水平管内の下部には、水が溜まっている。
【0029】
この運転方法では、前記バーナーの噴出口から噴き出した火炎が、ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内の水面よりも上に区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内の水面よりも上に区画される水平燃焼領域まで延びるように前記バーナーを運転する。こうすることで、小型化したダウンカマーにおいて、バーナーの燃焼が安定化する。
【0030】
また、水中燃焼式気化装置の運転方法において、前記バーナーから噴き出した火炎の過半が、前記垂直燃焼領域内にあるように、前記バーナーを運転する、ことが好ましい。こうすることで、排気ガス中の一酸化炭素が低減する。
【0031】
ここに開示する技術はさらに、水槽内に浸漬されかつ、内部を通過する低温液化ガスを気化させるように構成された熱交換器と、ブロワーから供給された空気及び燃料供給源から供給された燃料を混合して燃焼させるよう構成されたバーナーと、前記水槽内に浸漬されかつ、前記バーナーからの燃焼ガスを前記水槽内に導くよう構成されたダウンカマーと、前記水槽内で前記ダウンカマーに接続されかつ、前記燃焼ガスを前記水槽内に噴出するよう構成された複数本のスパージパイプと、を備えた水中燃焼式気化装置の設計方法である。
【0032】
前記ダウンカマーは、下向きに火炎を噴き出すよう構成された前記バーナーが上端に取り付けられると共に、その取付箇所から前記水槽の底に向かって垂直に延びるよう構成された垂直管と、前記垂直管の下部に接続されかつ、前記水槽内で水平に延びるよう構成された水平管と、を有し、前記複数本のスパージパイプは、前記水平管に沿うように、水平方向に並んで配置される。
【0033】
前記垂直管内において、前記バーナーの噴出口から前記スパージパイプの高さ位置に相当する位置までの領域である垂直燃焼領域が規定されかつ、前記水平管内において、前記スパージパイプの高さ位置に相当する位置よりも上でかつ、前記垂直管と前記水平管との接続位置から前記垂直管に最も近い前記スパージパイプの接続位置までの領域である水平燃焼領域とが規定される。
【0034】
この設計方法は、定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出す火炎の長さに基づいて、前記垂直燃焼領域の上下高さを設定する工程と、定格燃焼量での運転時に前記バーナーから噴き出す火炎の長さに基づいて、前記水平燃焼領域の水平長さを設定する工程と、を備え、前記垂直燃焼領域の上下高さ及び前記水平燃焼領域の水平長さは、火炎が、ダウンカマー内での追加の燃料供給なしに、前記垂直管内で区画される垂直燃焼領域から、前記水平管内で区画される水平燃焼領域まで延びるように、設定する。
【0035】
この設計方法によれば、バーナーから噴き出す火炎の長さに着目し、垂直管内の垂直燃焼領域の上下高さと、水平管内の水平燃焼領域の水平長さとを設定する。つまり、バーナーから噴き出した火炎が、垂直管内において区画される垂直燃焼領域から、水平管内において区画される水平燃焼領域まで延びるように、垂直燃焼領域の上下高さと水平燃焼領域の水平長さとを設定する。こうすることで、バーナーの燃焼を安定化しつつ、垂直管の上下方向の長さを、短くすることが可能になる。
【0036】
前記水中燃焼式気化装置の設計方法は、前記垂直燃焼領域の上下高さ、及び、前記水平燃焼領域の水平長さを設定した後、前記バーナーの定格燃焼量に基づいて、前記垂直燃焼領域の容積及び前記水平燃焼領域の容積が所定の容積を満足するように、前記垂直管の長さ及び径、並びに、前記水平管の長さ及び径を設定する工程をさらに備えている、としてもよい。
【0037】
バーナーの燃焼の安定化には、バーナーの容量に応じた燃焼ガス量が、ダウンカマー内で確保可能となるように、ダウンカマーの容積を確保することが望ましい。バーナーの定格燃焼量に基づいて、火炎が存在する垂直燃焼領域の容積及び水平燃焼領域の容積が所定の容積を満足するように、設定された垂直燃焼領域の上下高さ、及び、前記水平燃焼領域の水平長さから、垂直管の長さ及び径、並びに、水平管の長さ及び径を設定する。このことによって、バーナーの燃焼の安定化が図られる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、前記の水中燃焼式気化装置によると、バーナーの燃焼を安定化しながら、水中燃焼式気化装置の小型化を図ることが可能になる。
【0039】
前記の水中燃焼式気化装置の運転方法によると、垂直管の上下長さが短くても、バーナーの燃焼が安定化する。
【0040】
前記の水中燃焼式気化装置の設計方法によると、バーナーの燃焼を安定化することを実現しつつ、水中燃焼式気化装置が小型化し、製造及び設置コストの低減、並びに、水中燃焼式気化装置の省エネ化及び起動時間の短縮が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】水中燃焼式気化装置の構成を概念的に示す図である。
図2】ダウンカマーの寸法関係を説明する図である。
図3】ダウンカマーの寸法パラメータH/Lと、排気ガス中の一酸化炭素量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、水中燃焼式気化装置、水中燃焼式気化装置の運転方法、及び、水中燃焼式気化装置の設計方法について、図を参照しながら説明する。尚、以下の説明は例示である。
【0043】
(水中燃焼式気化装置の全体構成)
図1は、水中燃焼式気化装置1全体の構成を概念的に示している。図2は、水中燃焼式気化装置1のダウンカマー13の構成を示している。この水中燃焼式気化装置1は、液化天然ガス(LNG)の気化装置である。水中燃焼式気化装置1は、例えば直方体状の水槽11に浸漬される熱交換器12を備えている。熱交換器12は、LNGの流路となる多数の伝熱管12aが多段に曲げ成形されて構成されている。図1では、伝熱管12aは、簡易化して図示しているが、実際には、図1の紙面に直交する方向に多数列の伝熱管12aを配置している。熱交換器12の一端は、LNGの入口となるLNG導入管12bに連通している。熱交換器12の他端は、気化した天然ガス(NG)を排出させるNG排出管12cに連通している。
【0044】
水槽11には、ダウンカマー13が浸漬している。ダウンカマー13は、水槽11の上端部から底に向かって上下方向に延びる垂直管131と、垂直管131の下端部に接続されかつ、水槽11内の底部において水平方向(図1における紙面に直交する方向、図2も参照)に延びる水平管132とを備えている。ダウンカマー13の構成については、後で詳述する。
【0045】
垂直管131の上端には、バーナー2が取り付けられている。バーナー2は、図外の燃料供給源から燃料供給管6を介して供給された燃料ガスとブロワー14を通じて供給された空気とを混合して燃焼させる。ダウンカマー13は、バーナー2からの燃焼ガスを水槽11内に導く。
【0046】
水槽11の底部には、スパージパイプ15が配置されている。スパージパイプ15は、熱交換器12の下側に配設されている。スパージパイプ15は、図1では1本しか描いていないが、実際には、図2に示すように、水平管132に沿うように、水平方向に複数本並べられている。各スパージパイプ15の基端は、水平管132に接続されている。スパージパイプ15には、バーナー2の燃焼ガスを水中に噴出する多数の小孔15aが形成されている。
【0047】
水槽11の上端開口は、天板11aによって覆われている。天板11aには、スタック16が設けられている。スタック16の上端は大気に開放されている。水中に噴き出した燃焼ガスは、スタック16を通じて排気される。
【0048】
水中燃焼式気化装置1は、バーナー2の燃焼ガスをスパージパイプ15の小孔15aを通じて水槽11内に気泡Bとして噴出させる。このことによって、水槽11内の水を撹拌しつつ、熱交換器12内を通過するLNGを加熱する。水中燃焼式気化装置1は、LNGを気化させてNGとし、NGを、NG排出管12cを通じて送り出すように構成されている。水中燃焼式気化装置1は、燃焼ガスを気泡Bとして水槽11内に噴出して水槽11内の水を撹拌すること、及び、スタック16から排出する排気ガスの温度を、水槽11内の温水温度とほぼ同じ温度にまで低くすることにより、燃焼ガス中の燃焼生成水を100%再凝縮させ、その潜熱を全て温水に与えることが可能であることから熱効率が極めて高いという特徴がある。
【0049】
この水中燃焼式気化装置1は、バーナー2の容量が大きくても、小型化するように設計されている。以下、ダウンカマーの構成、及び、ダウンカマーの設計方法の詳細を、図面を参照しながら説明する。
【0050】
(ダウンカマーの構成、及び、ダウンカマーの設計方法)
図2は、前述したように、水中燃焼式気化装置1のダウンカマー13の構成を示す図である。ダウンカマー13は、垂直管131と水平管132とを備えている。垂直管131は円筒状である。水平管132もまた円筒状である。これまでの水中燃焼式気化装置の設計思想では、バーナー2に直接接続される垂直管131内において、バーナー2の燃焼を完結させるようにしていた。具体的には、バーナー2の容量に見合うだけの燃焼ガス量が垂直管131内において確保できるように、垂直管131の容積を設定し、その容積を満足するように、垂直管131の径、及び、上下方向の長さを設定していた。従って、バーナー2の容量が大きくなると、その大きくなった容量に見合うだけの燃焼ガス量が垂直管131内において確保できるように、垂直管131の容積を大きくしていた。結果として、垂直管131の上下方向の長さが長くなっていた。垂直管131の上下方向の長さが長くなると、水槽11を深くしなければならない。この場合、水槽11の製造及び設置コストが増大する。また、水槽11の容積が大きくなるため、水槽11の熱容量が大きくなる。このため、水の温度を上昇させるために必要な熱量が増大すると共に、水中燃焼式気化装置1の起動時間が長くなる。
【0051】
これに対し、ここに開示する新たな設計思想は、例えば図2に概念的に示すように、バーナー2から噴き出す火炎が、垂直管131の下端部において曲がって、火炎の先端側の一部が、水平管132内にあるようなときでも、バーナー2の燃焼が安定化するという、本願発明者等が得た新たな知見に基づく。つまり、新たな設計思想では、バーナー2の燃焼を垂直管131内において完結させるのではない。
【0052】
具体的に、ここに開示する新たな設計思想は、これまでの設計思想では考慮していなかった、バーナー2から噴き出す火炎の長さLを考慮する。長さLは、バーナー2を、定格燃焼量で運転しているときの、火炎の長さである。火炎の長さLは、例えばバーナー2の燃焼試験によって決定することが可能である。また、理論的な演算によって、火炎の長さLを決定してもよい。火炎の長さLが、ダウンカマー13内に区画される燃焼領域内に収まるように、ダウンカマー13の垂直管131及び水平管132の寸法を設定する。
【0053】
ダウンカマー13内の燃焼領域は、新たな設計思想では、垂直管131内の垂直燃焼領域131aと、水平管132内の水平燃焼領域132aとから構成される。本願発明者等のこれまでの知見から、バーナー2の運転時においても、垂直管131内及び水平管132内の水は全て吐き出されずに、一部の水が垂直管131内及び水平管132内に残っている。これにより、垂直管131内及び水平管132内には、水槽11の水面WLとは異なる、水面WLが形成される。水面WLは、これまでの知見では、スパージパイプ15の高さ位置に、ほぼ相当する。そこで、図2の例では、水面WLをスパージパイプ15の中心軸の高さ位置としている。
【0054】
垂直管131内の垂直燃焼領域131aは、バーナー2の火炎の噴出口(言い換えると、垂直管131の上端)から、垂直管131内の水面WLまでの領域である(図2のハッチングを付した領域を参照)。また、水平管132内の水平燃焼領域132aは、水平管132内の水面WLよりも上側でかつ、水平管132と垂直管131との接続位置から、垂直管131に最も近いスパージパイプ15の接続位置までの領域である(図2のハッチングを付した領域を参照)。垂直管131に最も近いスパージパイプ15以降の水平管132の箇所、つまり、水平管132において複数本のスパージパイプ15が接続された箇所は、燃焼ガスを排出する箇所であるため、火炎の燃焼領域を構成しない。尚、スパージパイプ15の接続位置は、ここでは、スパージパイプ15の中心位置としている。
【0055】
ここに開示する新たな設計思想では、垂直燃焼領域131aの上下の高さHが、バーナー2の火炎の長さLよりも短くなるように(つまり、H/L<1)、垂直燃焼領域131aの上下の高さH、ひいては垂直管131の上下長さを設定する。こうすることで、バーナー2から下向きに噴き出した火炎が、垂直管131の下部において曲がるようになって、火炎の先端部が水平燃焼領域132aに至るようになる。垂直燃焼領域131aの上下の高さHは、バーナー2の容量に対して短めになるため、垂直管131の上下長さが短くなる。
【0056】
また、垂直燃焼領域131aの上下高さHとバーナー2の中心軸から水平燃焼領域132aの端までの水平長さLとの和(H+L=L)が、火炎の全長Lよりも長くなるように(つまり、1<L/L)、水平長さを設定する。こうすることで、火炎の全体が、垂直燃焼領域131a及び水平燃焼領域132a内に収まるようになり、バーナー2の燃焼の安定化が図られる。
【0057】
ここに開示する新たな設計思想では、前述した火炎の全長Lに基づいて、上下高さH及び水平長さを設定した後、バーナー2の定格燃焼量Qに基づいて、垂直燃焼領域131aの容積V及び水平燃焼領域132aの容積Vをそれぞれ設定する。具体的には、Q/Vが所定値T以下となるように、垂直燃焼領域131aの容積Vを設定する。また、Q/(V+V)が所定値T以下となるように、水平燃焼領域132aの容積Vを設定する。つまり、垂直燃焼領域131a及び水平燃焼領域132aの容積を、バーナー2の燃焼に必要な燃焼ガス量が確保できる程度に大きくする。こうすることで、バーナー2の燃焼の安定化が図られる。上下高さH及び水平長さ、並びに、容積V及び、容積Vにより、垂直管131の長さ及び径、並びに、水平管132の長さ及び径が設定される。
【0058】
この新たな設計思想は、バーナー2の運転時においても水平管132内に水が溜まるという前提で、水平管132内の一部に、火炎の燃焼領域が形成されるように、垂直管131、水平管132及びスパージパイプ15の長さや径を設定すると共に、それらの取り付け寸法を設定する、ということができる。
【0059】
図3は、前述した垂直燃焼領域131aの上下高さHと、バーナー2から噴き出す火炎の全長Lとを含む、ダウンカマー13の寸法パラメータH/Lと、排気ガス中に含まれる一酸化炭素量との関係を示している。図3における各プロット点は、排気ガス中の酸素濃度の実測値から換算した一酸化炭素量である。曲線は、各プロット点に基づく近似曲線である。尚、各プロット点において、排気ガス中の窒素酸化物量(つまり、排気ガス中の酸素濃度の実測値から換算した窒素酸化物量)は全て同じである。
【0060】
寸法パラメータH/Lが小さいほど、垂直燃焼領域131aの上下高さHが低くなるため、バーナー2から噴き出す火炎の全体に対して、垂直燃焼領域131a内にある部分の割合が小さくなり、水平燃焼領域132a内にある部分の割合が大きくなる。逆に、寸法パラメータH/Lが大きいほど、垂直燃焼領域131aの上下高さHが高くなるため、バーナー2から噴き出す火炎の全体に対して、垂直燃焼領域131a内にある部分の割合が大きくなり、水平燃焼領域132a内にある部分の割合が小さくなる。図3から明らかなように、寸法パラメータH/Lが小さいと、排気ガス中の一酸化炭素量が増大し、寸法パラメータH/Lが大きいと、排気ガス中の一酸化炭素量が減少する。また、本願発明者等の知見によると、バーナー2から噴き出した火炎において、バーナー2の噴出口から所定の距離だけ離れた火炎の中間部分が、燃焼反応が最も顕著になって、最高温度となる部分であり、この中間部分が、垂直管131内の水面によって冷やされると燃焼温度が大きく低下し、一酸化炭素が多量に発生してしまう。寸法パラメータH/Lが小さいと、最高温度となる中間部分が、垂直管131内の水面に近づくことになるため、このこともまた、排気ガス中の一酸化炭素量の増大を招く。
【0061】
図3における一点鎖線は、排気ガス中の一酸化炭素量の基準値である。排気ガス中の一酸化炭素量を減らす上では、1未満の範囲で寸法パラメータH/Lを大きくすることが好ましい。
【0062】
これは、垂直燃焼領域131aの下面及び水平燃焼領域132aの下面はそれぞれ、水面WLによって区画されており、この付近では火炎が水によって冷やされる結果、燃焼温度が低下して一酸化炭素が増えるためと考えられる。寸法パラメータH/Lが小さくてバーナー2から噴き出す火炎の全体に対して、垂直燃焼領域131a内にある部分の割合が小さくなり、水平燃焼領域132a内にある部分の割合が大きくなると、火炎の全体に対し、水によって冷やされる範囲が大きくなるため、排気ガス中の一酸化炭素が増える。
【0063】
従って、新たな設計思想によって、垂直燃焼領域131aの上下高さHを短くすることができるとしても、上下高さHが短すぎることは好ましくない。バーナー2から噴き出した火炎の過半は、垂直燃焼領域131a内にあることが好ましい。排気ガス中の一酸化炭素量を十分に少なくするためには、寸法パラメータH/Lは0.6以上とすることが好ましく、より好ましくは0.7以上である。
【0064】
(まとめ)
以上説明したように、ここに開示する水中燃焼式気化装置1は、バーナー2から噴き出した火炎が、垂直管131内において区画される垂直燃焼領域131aから、水平管132内において区画される水平燃焼領域132aまで延びるように、ダウンカマー13が構成されている。
【0065】
つまり、ダウンカマー13は、垂直燃焼領域131aの上下高さHが、定格燃焼量での運転時にバーナー2から噴き出した火炎の全長Lよりも短くかつ、垂直燃焼領域131aの上下高さHとバーナー2の中心軸から水平燃焼領域132aの端までの水平長さLとの和Lが、火炎の全長Lよりも長くなるように構成されている。
【0066】
このことを言い換えると、ここに開示する水中燃焼式気化装置1の運転方法では、バーナー2から噴き出した火炎が、垂直管131内において区画される垂直燃焼領域131aから、水平管132内において区画される水平燃焼領域132aまで延びるように、バーナー2を運転する。
【0067】
これらの構成により、バーナー2の燃焼が安定化する一方で、垂直管131の上下長さを短くすることが可能になる。垂直管131の上下長さを短くすることにより、水槽11の深さを浅くすることが可能になるため、製造及び設置コストが低くなる。また、水槽11の容積が小さくなるため、水槽11内の水の温度を上昇させるために必要な熱量が減少すると共に、水中燃焼式気化装置1の起動時間が短くなる。
【0068】
バーナー2から噴き出した火炎の過半が、垂直燃焼領域131a内にあるようにすれば、排気ガス中の一酸化炭素を低減することが可能になる。
【0069】
また、ここに開示する水中燃焼式気化装置の設計方法は、定格燃焼量での運転時にバーナー2から噴き出す火炎の長さLに基づいて、垂直燃焼領域131aの上下高さHを設定する工程と、定格燃焼量での運転時にバーナー2から噴き出す火炎の長さLに基づいて、水平燃焼領域132aの水平長さを設定する工程と、を備えている。
【0070】
バーナー2から噴き出す火炎の長さLを考慮して、ダウンカマー13の寸法を設定することにより、バーナー2の燃焼の安定化を確保しながら、ダウンカマー13の小型化を図ることが可能になる。
【0071】
また、垂直燃焼領域131aの上下高さ、及び、水平燃焼領域132aの水平長さを設定した後、バーナー2の定格燃焼量に基づいて、垂直燃焼領域131aの容積V及び水平燃焼領域132aの容積Vが所定の容積を満足するように、垂直管131の長さ及び径、並びに、水平管132の長さ及び径を設定する工程をさらに備えるようにすれば、バーナー2の燃焼をさらに安定化することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 水中燃焼式気化装置
11 水槽
12 熱交換器
13 ダウンカマー
131 垂直管
131a 垂直燃焼領域
132 水平管
132a 水平燃焼領域
14 ブロワー
15 スパージパイプ
2 バーナー
21 噴出口
図1
図2
図3