(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616622
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】モータ及びそのエンドキャップアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02K 5/00 20060101AFI20191125BHJP
H02K 5/14 20060101ALI20191125BHJP
H02K 11/026 20160101ALI20191125BHJP
【FI】
H02K5/00 B
H02K5/14 A
H02K11/026
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-155688(P2015-155688)
(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公開番号】特開2016-39776(P2016-39776A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年6月5日
(31)【優先権主張番号】201410385348.7
(32)【優先日】2014年8月6日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】チ ワイ ライ
(72)【発明者】
【氏名】チン ビン ルオ
(72)【発明者】
【氏名】ゴン ウー シュー
(72)【発明者】
【氏名】シン ペン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ リン レン
(72)【発明者】
【氏名】グイ ホン ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ウェイ チャン
(72)【発明者】
【氏名】シア ハン
【審査官】
津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−223656(JP,A)
【文献】
実開平05−041368(JP,U)
【文献】
特開2013−233075(JP,A)
【文献】
米国特許第05723924(US,A)
【文献】
特開2011−125215(JP,A)
【文献】
特開2003−304666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00
H02K 5/14
H02K 11/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブラシを有するブラシアセンブリと、
前記ブラシアセンブリに対して固定された回路基板と、
前記回路基板に電気的に接続されたインダクタと、
前記ブラシと前記インダクタとの間に位置して前記ブラシから伝わる高周波電磁干渉信号を吸収する、接地された金属要素と、
を備え、
前記金属要素は、細長であり、前記インダクタが収容される収容空間を定めるU字形の断面を有し、
前記金属要素は、底板と、該底板の2つの長い側面からそれぞれ延びる2つの側板とを含み、前記底板及び前記側板は、前記収容空間を協働的に定め、
前記ブラシアセンブリは、前記金属要素が固定される絶縁ブラケットを含み、
前記金属要素の一方の側板は、外向きに曲がって固定タブを形成し、該固定タブに固定穴が形成され、前記絶縁ブラケットに固定柱が形成され、該固定柱は、前記固定穴に係合して前記金属要素を前記絶縁ブラケットに固定する、
ことを特徴とするエンドキャップアセンブリ。
【請求項2】
前記金属要素のもう一方の側板にフランジが形成され、前記絶縁ブラケットの中心にフランジが形成され、前記もう一方の側板の前記フランジは、前記絶縁ブラケットの前記フランジに重なる、
請求項1に記載のエンドキャップアセンブリ。
【請求項3】
前記ブラシアセンブリ及び前記回路基板を収容するエンドキャップをさらに備え、前記ブラシアセンブリの外周に複数のラッチブロックが形成され、前記エンドキャップの円周方向壁に、前記ラッチブロックに係合するように構成された複数のラッチが定められる、請求項1又は2に記載のエンドキャップアセンブリ。
【請求項4】
金属材料で作製された2つのブラシケージと、
前記ブラシケージ内に収容されたブラシと、
前記ブラシケージに電気的に接続されて、前記ブラシケージに結合した高周波電磁放射を吸収する、接地された金属要素と、
を備え、前記金属要素は、主本体と、該主本体の2つの側面から延びる、前記2つのブラシケージに電気的に接触する2つの側部とを含むことを特徴とするエンドキャップアセンブリ。
【請求項5】
前記側部の各々は、平坦なL字形である、
請求項4に記載のエンドキャップアセンブリ。
【請求項6】
前記金属要素は、L字形断面を有する接地部分をさらに含む、
請求項4又は5に記載のエンドキャップアセンブリ。
【請求項7】
ハウジングと、該ハウジングの壁部に配置された磁石とを有するステータと、
シャフトと、該シャフトに固定されたロータコア及び整流子とを有するロータと、
請求項1から3のいずれか1項に記載のエンドキャップアセンブリと、
を備え、前記エンドキャップアセンブリの前記金属要素は、前記ハウジングに電気的に接触する、
ことを特徴とするモータ。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記キャップアセンブリが配置される開放端を有し、前記金属要素に対応する前記ハウジングの前記開放端の縁部の一部は、内向きに曲がって圧着部を形成し、該圧着部は、前記金属要素を前記ハウジングに電気的に接触させる、
請求項7に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータに関し、具体的には、電磁干渉(EMI)を抑制するためのエンドキャップアセンブリを備えた電気モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシモータの周囲に配置された電子部品へのブラシモータによるEMIを低減するために、ブラシと外部電源の間にはフィルタ回路が配置される。このフィルタ回路は、インダクタ及び/又はコンデンサを含む。モータの動作中には、ブラシに対して回転する整流子の整流子セグメントによって電流整流及びスパークが発生し、この結果、電磁放射が生じて、隣接する電子機器に電磁干渉を引き起こすことがある。ブラシ装置のインダクタ部分及び金属部分などの金属要素がアンテナとして作用して、EMI信号の送信又は放射を行うこともある。電磁放射が高周波を有している場合には、これらの金属要素が、許容できる放射限界を越えてモータの電磁放射を伝えることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、電磁干渉信号を抑制できるモータ及びエンドキャップアセンブリに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、その1つの態様において、複数のブラシを有するブラシアセンブリと、ブラシアセンブリに対して固定された回路基板と、回路基板に電気的に接続されたインダクタと、ブラシとインダクタとの間に位置して、ブラシから伝わる高周波電磁干渉信号を吸収する、接地された金属要素と、を備えたエンドキャップアセンブリを提供する。
【0005】
金属要素は、銅製であることが好ましい。
【0006】
金属要素は、細長く、U字形の断面を有することが好ましい。
【0007】
金属要素は、インダクタが収容される収容空間を定めることが好ましい。
【0008】
金属要素は、底板と、底板の2つの長い側面からそれぞれ延びる2つの側板とを含み、底板及び側板は、協働的に収容空間を定めることが好ましい。
【0009】
ブラシアセンブリは、金属要素が固定される絶縁ブラケットを含むことが好ましい。
【0010】
金属要素の一方の側板は、外向きに曲がって固定タブを形成し、この固定タブには固定穴が形成され、絶縁ブラケットには固定柱が形成され、この固定柱は、固定穴に係合して金属要素を絶縁ブラケットに固定することが好ましい。
【0011】
金属要素のもう一方の側板にはフランジが形成され、絶縁ブラケットの中心にはフランジが形成され、もう一方の側板のフランジは、絶縁ブラケットのフランジに重なることが好ましい。
【0012】
ブラシアセンブリ及び回路基板はエンドキャップに収容され、ブラシアセンブリの外周に複数のラッチブロックが形成され、エンドキャップの円周方向壁に、ラッチブロックにそれぞれ係合するように構成された複数のラッチが定められることが好ましい。
【0013】
本発明は、その第2の実施形態によれば、金属材料で作製された少なくとも1つのブラシケージと、ブラシケージ内に収容されたブラシと、ブラシケージに電気的に接続されて、ブラシケージに結合した高周波電磁放射を吸収する、接地された金属要素と、を備えたエンドキャップアセンブリを提供する。
【0014】
ブラシケージは2つ存在し、金属要素は、主本体と、主本体の2つの側面から延びる、2つのブラシケージに電気的に接触する2つの側部とを含むことが好ましい。
【0015】
側部の各々は、平坦なL字形であることが好ましい。
【0016】
金属要素は、L字形断面を有する接地部分をさらに含むことが好ましい。
【0017】
別の実施形態によれば、本発明は、ステータと、ロータと、上述したエンドキャップアセンブリとを含むモータを提供する。ステータは、ハウジングと、ハウジングの壁部に配置された磁石とを有する。ロータは、シャフトと、シャフトに固定されたロータコア及び整流子とを有する。エンドキャップアセンブリの金属要素は、ハウジングに電気的に接触する。
【0018】
ハウジングは、キャップアセンブリが配置される開放端を有し、金属要素に対応するハウジングの開放端の縁部の一部は、内向きに曲がって圧着部を形成し、この圧着部は、金属要素をハウジングに電気的に接触させることが好ましい。
【0019】
本発明では、モータの周囲に位置する金属要素に結合された高周波電磁干渉信号を金属要素によって吸収し、最終的にモータのハウジングによって吸収することにより、効果的に抑制することができる。
【0020】
以下、添付図面の図を参照しながら、本発明の好ましい実施形態をほんの一例として説明する。図では、複数の図に出現する同一の構造、要素又は部品には、一般にこれらが出現する全ての図において同じ参照番号を付している。一般に、図に示す構成要素及び特徴部の寸法は、表現の便宜上明瞭にするために選択したものであり、必ずしも縮尺通りではない。以下、各図を列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態によって提供されるモータの等角図である。
【
図3】
図1のモータの一部であるブラシアセンブリを示す図である。
【
図4】
図1のモータのブラシアセンブリ及び回路基板の部分的分解図である。
【
図5】
図4に示すブラシアセンブリの金属要素を示す図である。
【
図6】金属要素を除去した
図4のブラシアセンブリを示す図である。
【
図8】
図1のモータと従来のモータのEMI試験結果の比較を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態によるモータのカバーを除去した図である。
【
図10】
図9のモータのエンドキャップアセンブリを示す図である。
【
図11】
図10のエンドキャップアセンブリの金属要素を示す図である。
【
図12】
図9のモータの一部の、ハウジングと金属要素の間の関係を示すためにエンドキャップアセンブリを除去した断面図である。
【
図13】
図9のモータと従来のモータのEMI試験結果の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び
図2を参照すると、本発明の第1の実施形態によって提供するモータ100は、ステータ10、ロータ20及びエンドキャップアセンブリ30を含む。ステータ10は、ハウジング12と、ハウジング12の内壁に取り付けられた磁石14とを含む。ハウジング12は、開放端を有する。ハウジング12の開放端の外周縁には、複数の位置決めスロット13が定められる。
【0023】
ロータ20は、シャフト21と、いずれもシャフト21に固定されたロータコア22及び整流子23と、コア22に巻かれて整流子23のセグメントに電気的に接続された複数のコイル(図示せず)を有するロータ巻線とを含む。
【0024】
エンドキャップアセンブリ30は、エンドキャップ31と、いずれもエンドキャップ31内に収容されたブラシアセンブリ40及び回路基板50とを含む。回路基板50は、ブラシアセンブリ40の片側に固定される。エンドキャップ31の円周方向壁には、ラッチ32が定められる。
【0025】
図3、
図4及び
図5を参照すると、ブラシアセンブリ40は、絶縁ブラケット41を含む。絶縁ブラケット41は、射出成形によってプラスチックから形成されることが好ましい。絶縁ブラケット41の外径は、絶縁ブラケット41をハウジング12の開放端に挿入できるように、実質的にハウジング12の内径に等しい。絶縁ブラケット41の外周からは、位置決め部分42が半径方向外向きに延びる。位置決め部分42は、位置決めスロット13に対応し、ブラシアセンブリ40をハウジング12に対して円周方向に固定するように位置決めスロット13内に収容される。位置決め部分42は、絶縁体をハウジングに挿入できる深さも制限する。各位置決め部分42の軸方向端部には、エンドキャップ31の対応するラッチ32に係合してエンドキャップ31をブラシアセンブリ40に固定するためのラッチブロック43が形成される。絶縁ブラケット41からは、少なくとも1つの磁石接触部分44がハウジング12内に軸方向に延びて磁石14に接触する。このようにして、エンドキャップアセンブリは、エンドキャップから離れた側の端部がハウジングの側面に形成された段部に載っている磁石の軸方向の動きを防ぐ。
【0026】
絶縁ブラケット41の内面、すなわちハウジングに隣接する面には、ブラシケージ45の形の2つのブラシ取付け部分が形成される。各ブラシケージ45内には、ブラシ46が摺動自在に収容される。ブラシ46は、バネ19の影響を受けてロータ20の整流子23と滑り接触する。回路基板50には、絶縁ブラケット41の外面、すなわちハウジングから離れた側の面が接続される。
【0027】
回路基板50上には、複数の電子要素が配置される。具体的には、回路基板50の内面、すなわち絶縁ブラケット41に面する側の表面に、コンデンサ51及びインダクタ52などのフィルタ要素が配置される。回路基板50の外面には、外部電源に接続するための電力供給端子53と、信号を送信するための信号端子54とが設けられる。電力供給端子53及び信号端子54は、回路基板50内の穴を通じて延び、半田付けによって回路基板の内面に接続される。コンデンサ51は接地コンデンサであり、電力供給端子53に近接して位置付けられる。回路基板50の外面には、2つの接地要素56が設けられる。各接地要素56の一端は、回路基板50の外面に接続され、反対端は、回路基板50の縁部から曲がって絶縁ブラケット41の周辺に沿って延びる。エンドキャップアセンブリ30とステータ10の組み立て後には、各接地要素56の反対端がハウジング12の内面に載って、この内面に電気的に接続される。コンデンサ51は、回路基板50の穴及びプリント回路を介して接地要素56に接続されて接地接続を実現する。
【0028】
絶縁ブラケット41の外面上には、回路基板50の内面上の電子部品を収容するための収容空間47が定められる。収容空間47内には、2つのインダクタ52に対応する2つの金属要素70が配置される。金属要素70は、あらゆる金属材料で作製することができ、銅製であることが好ましい。金属要素70は、ブラシ46の後部に位置し、ブラシ46によって発生した電磁放射の一部を吸収して、この電磁放射が絶縁ブラケット41の外面上に位置するインダクタ52などの金属要素に干渉するのを防ぐ。ブラシは、モータ内の電磁放射の主な発生源である。本発明において提供する金属要素70は、発生源から電磁放射を吸収し、従って電磁干渉を効果的に抑制する。
【0029】
本実施形態では、各金属要素70が、断面が概ねU字形の一般的に細長い形状を有する。各金属要素70は、底板71と、底板71の2つの長い側面からそれぞれ延びる2つの側板72、73とを含む。底板71と側板72、73との間には角度が形成される。本実施形態では、側板72、73が底板71に対して実質的に垂直である。別の実施形態では、側板72、73と底板71の間の角度を90度よりも大きく又は小さくすることができる。側板73を外向きに曲げることによって固定タブ74が形成され、絶縁ブラケット41の半径方向外側に位置付けられる。固定タブ74内には、固定穴75が定められる。絶縁ブラケット41には、固定タブ74に対応するための固定溝48が定められる。固定溝48の底部からは、金属要素70を絶縁ブラケット41に固定するための固定柱49が突出して固定穴75内に配置される。金属要素70の側板72はわずかに外向きに曲がってフランジ76を形成する。フランジ76は、金属要素70を絶縁ブラケット41上にしっかりと固定できるように、絶縁ブラケット41の中心で環状フランジ39に重なる。
【0030】
図6に示すように、回路基板50を絶縁ブラケット41上に組み立てた後には、インダクタ52の大部分が、金属要素70の側板72、73と底板71の間に定められる空間内に収容される。
【0031】
図7を参照すると、エンドキャップアセンブリ30をハウジング12に取り付けた後には、固定タブ74に対応するハウジング12の開放端の縁部の一部が内側に曲がって圧着部15を形成する。圧着部15は、固定タブ74に電気的に接触して金属要素70の接地接続を実現する。
【0032】
本実施形態では、絶縁ブラケット41の外面の主な電子要素であるインダクタ52の大部分が金属要素70内に収容されて、金属要素70は、ブラシ46からインダクタ52への経路を実質的に遮断し、従ってブラシ46によって発生した高周波電磁放射を金属要素70によって吸収した後に、ハウジング12によって吸収されるように金属要素70からハウジング12に導くことができる。この結果、ブラシ46によって発生する高周波電磁放射がインダクタ72に結合するのを防ぎ、これによって高周波電磁干渉を抑制する。
【0033】
図8に、本実施形態によって提供するモータと従来のモータのEMI試験結果の比較を示す。例示を目的として、1.447G〜1.494Gの高周波帯域の試験結果を選択した。この高周波帯域では、本実施形態において提供するモータの電磁干渉信号が約8dB減少している。
【0034】
図9に、本発明の第2の実施形態によって提供するモータ80を示す。モータ80は、ステータ81、ロータ82(
図12を参照)及びエンドキャップアセンブリ83を含む。ステータ81のハウジング84は開放端を有し、この中にエンドキャップアセンブリ83が挿入される。エンドキャップアセンブリの内部部品をより明確に示すために、エンドキャップアセンブリの一部を形成するカバー又はエンドキャップは省いている。
【0035】
図10、
図11及び
図12も参照すると、エンドキャップアセンブリ83の内面は、各々が内部にブラシ86を収容するための2つのブラシケージ85を有する。ブラシ86は、ロータ82の整流子と滑り接触する。本実施形態では、ブラシケージ85が金属材料で作製される。従って、ブラシ86がロータ82の整流子に対して回転することによって発生した高周波電磁放射がブラシケージ85に結合すると、ブラシケージ85は、高周波数干渉信号を外部に送信する送信アンテナになる。この状況を避けるために、エンドキャップアセンブリ83は、金属要素90をさらに含む。
【0036】
金属要素90は、主本体91と、主本体91の2つの側面から延びる2つの側部92と、主本体91の端部から延びる接地部分93とを含む。側板92は、L字形を有する。各側部92は、主本体91に接続された側面を有し、主本体91から外向きに広がってブラシケージ85の対応する1つに電気的に接触する。側部92と主本体91の間の角度は、90度よりも大きい。或いは、側部92と主本体91の間の角度を90度にすることもできる。
【0037】
接地部分93は、L字形断面を有する板材として構成される。接地部分93は、主本体91に接続する一端と、垂直に延びて自由端94を形成する反対端とを含む。自由端94は、主本体91に平行に面する。自由端94は、ハウジング84の壁部の内面に電気的に接触するように構成される。
【0038】
金属要素90は、ステータ81のブラシケージ85及びハウジング84の両方に接触するので、ブラシケージ85は接地される。従って、たとえブラシ86によって発生した高周波電磁放射がブラシケージ85に結合しても、この高周波電磁放射をブラシケージ85によって吸収した後にハウジング84に伝えて吸収させることにより、モータ80によって放出されるEMIを抑制することができる。
【0039】
図13に、本発明によって提供するモータ80と従来のモータのEMI試験結果の比較を示す。1.447G〜1.494Gの高周波帯域では、本実施形態によって提供するモータの電磁干渉信号が約8dB減少している。
【0040】
本出願の明細書及び特許請求の範囲では、記述する項目又は特徴の存在を明示する一方でさらなる項目又は特徴の存在を排除しないように、「備える、含む、有する(comprise、include、contain及びhave)」という動詞、並びにその派生形の各々を包括的な意味で使用している。
【0041】
明確化のために別個の実施形態の文脈で説明した本発明のいくつかの特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできると理解されたい。これとは逆に、簡潔さを期すために単一の実施形態の文脈で説明した本発明の様々な特徴を別個に、又はいずれかの好適な下位の組み合わせで提供することもできる。
【0042】
上述した実施形態はほんの一例にすぎず、当業者には、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、他の様々な修正が明らかである。
【符号の説明】
【0043】
39 環状フランジ
41 絶縁ブラケット
42 位置決め部分
43 ラッチブロック
44 磁石接触部分
47 収容空間
48 固定溝
49 固定柱
50 回路基板
51 コンデンサ
52 インダクタ
53 電力供給端子
54 信号端子
56 接地要素
70 金属要素