特許第6616641号(P6616641)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616641
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】弾性クローラおよび弾性クローラ装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/253 20060101AFI20191125BHJP
【FI】
   B62D55/253 E
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-196126(P2015-196126)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-65610(P2017-65610A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100097238
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 治
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】立石 健二
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−193533(JP,A)
【文献】 特開平06−048334(JP,A)
【文献】 特開平09−207840(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/073060(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/253
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する無端帯状の本体と、
前記本体の内周面から突出するとともに、当該本体の周方向に間隔を置いて配置される、複数の突起と、
前記本体の内周面から突出するとともに、前記突起の高さよりも低く、かつ、前記突起における前記本体の幅方向外縁よりも幅方向外側であって、回転体の内面よりも幅方向内側幅方向外縁が配置される複数の第1補助突起と、を備え、
前記第1補助突起は、前記突起に代わって前記回転体と接触するように構成されているとともに、前記本体の周方向に隣り合う前記突起の相互間に配置されている、ことを特徴とする、弾性クローラ。
【請求項2】
請求項1において、前記第1補助突起と前記突起とを一体に形成した、弾性クローラ。
【請求項3】
請求項1において、前記第1補助突起は、当該第1補助突起と前記本体の周方向に隣り合う前記突起と間隔を置いて配置されたものである、弾性クローラ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記突起の幅方向外側に、前記本体の内周面から突出するとともに、前記突起の高さよりも低く、かつ、前記突起における前記本体の幅方向外縁よりも幅方向外側であって、回転体の内面よりも幅方向内側幅方向外縁が配置される複数の第2補助突起を有し、前記第2補助突起はそれぞれ、前記突起に代わって前記回転体と接触するように構成されている、弾性クローラ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、前記補助突起は、幅方向断面視で、前記突起と幅方向全体にわたって重複するように延在するものである、弾性クローラ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、前記本体の幅方向で、前記突起と前記補助突起とのそれぞれの中心が一致する、弾性クローラ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の弾性クローラと、前記弾性クローラが巻き掛けられる、駆動輪、従動輪および転輪と、を備えることを特徴とする、弾性クローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性クローラおよび弾性クローラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
弾性クローラには、無端帯状の本体の内周面に設けた複数の突起(中心案内ラグ)を周方向に間隔を置いて配置し、当該突起に、駆動側に設けた複数の係合部を順次係合させつつ駆動側に設けた転輪等を本体の内周面上で転動させることで、動作させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−320051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、弾性クローラは一般に、転輪が本体の内周面上を前記突起の幅方向外側で転動するため、弾性クローラの斜行特性(弾性クローラに生じ得る特有の片寄り)や旋回時のスラスト荷重等によって、弾性クローラが転輪に対して幅方向にずれると、転輪と突起との間で干渉を生じてしまうことが考えられる。この場合、弾性クローラを無理に駆動させると、基本的に弾性体で構成される突起に摩耗を生じさせ、弾性クローラの耐久性を損ねる虞がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、耐久性に優れた、弾性クローラおよび弾性クローラ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る弾性クローラは、弾性を有する無端帯状の本体と、前記本体の内周面から突出するとともに、当該本体の周方向に間隔を置いて配置される、複数の突起と、前記本体の内周面から突出するとともに、前記突起の高さよりも低く、かつ、前記突起における前記本体の幅方向外縁よりも幅方向外側に幅方向外縁が配置される、複数の第1補助突起と、を備え、前記補助突起は、前記本体の周方向に隣り合う前記突起の相互間に配置されている、ことを特徴とする。
本発明に係る弾性クローラによれば、優れた耐久性を得ることができる。
【0007】
本発明に係る弾性クローラにおいて、前記第1補助突起と前記突起とを一体に形成したものであることが好ましい。
この場合、耐久性をより向上させることができる。
【0008】
本発明に係る弾性クローラにおいて、前記第1補助突起は、当該第1補助突起と前記本体の周方向に隣り合う前記突起と間隔を置いて配置されたものであることが好ましい。
この場合、曲げ剛性の増大を抑制しつつ耐久性を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る弾性クローラにおいて、前記突起の幅方向外側に、前記本体の内周面から突出するとともに、前記突起の高さよりも低く、かつ、前記突起における前記本体の幅方向外縁よりも幅方向外側に幅方向外縁が配置される、第2補助突起を有する、ことが好ましい。
この場合、耐久性をさらに向上させることができる。
【0010】
本発明に係る弾性クローラにおいて、前記補助突起は、幅方向断面視で、前記突起と幅方向全体にわたって重複するように延在するものであることが好ましい。
この場合、より耐久性を向上させることができる。
【0011】
本発明に係る弾性クローラでは、前記本体の幅方向で、前記突起と前記補助突起とのそれぞれの中心が一致することが好ましい。
この場合、優れた耐久性をより確実に得ることができる。
【0012】
本発明に係る弾性クローラ装置は、上記に記載の弾性クローラと、前記弾性クローラが巻き掛けられる、駆動輪、従動輪および転輪と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る弾性クローラ装置によれば、優れた耐久性を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐久性に優れた弾性クローラおよび弾性クローラ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る弾性クローラを内周面側から視た平面図である。
図2図1のX−X断面図である。
図3図1のY−Y断面図である。
図4図1の弾性クローラにおいて、弾性クローラが転輪に対して横ずれしたときの作用を説明する断面図である。
図5】従来の弾性クローラにおいて、弾性クローラが転輪に対して横ずれしたときの作用を説明する断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る弾性クローラを内周面側から視た平面図である。
図7図6のX−X断面図である。
図8図6のY−Y断面図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係る弾性クローラを内周面側から視た平面図である。
図10図9のX−X断面図である。
図11図9のY−Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施形態に係る弾性クローラを説明する。
【0016】
図1図3中、符号10は、本発明の第1の実施形態に係る弾性クローラである。弾性クローラ10は、弾性を有する無端帯状のクローラ本体(本体)2を有する。本実施形態では、クローラ本体2は、ゴム材料で構成されている。以下の説明では、符号Wは、クローラ本体2の幅方向(本体の幅方向)(以下、単に「幅方向」ともいう)である。また、符号Lは、クローラ本体2の周方向(本体の周方向)(以下、単に「周方向」ともいう)である。さらに、符号Dは、クローラ本体の厚み方向(以下、単に「厚み方向」ともいう)である。なお、ここで、厚み方向とは、クローラ本体2を水平に伸ばしたときの垂線の方向とする。
【0017】
本実施形態では、図2及び図3に示すように、クローラ本体2に、メインコード層3aが配置されている。メインコード層3aは、例えば、クローラ本体2の周方向を周回する複数の抗張体(例えば、スチールコード)を、幅方向に間隔を置いて配置してなる。なお、クローラ本体2には、メインコード層3aと共に補強層を設けることができる。補強層としては、例えば、幅方向に延びる、1層又は2層の0°プライや、斜めに延びる、2層のバイアスプライが挙げられる。
【0018】
また、弾性クローラ10は、複数のラグ4を有している。ラグ4は、クローラ本体2の外周側に周方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態では、ラグ4は、ゴム材料で構成されている。
【0019】
また、弾性クローラ10は、複数のガイド突起(突起)5を有している。図3に示すように、ガイド突起5は、クローラ本体2の内周面2fから突出するとともに周方向に間隔を置いて配置されている。本実施形態では、後述する回転体Rを摩擦式の駆動輪として、回転体Rをクローラ本体2の内周面2f上で転動させることで、クローラ本体2に駆動力を伝達するものである。
【0020】
また、弾性クローラ10は、複数の補助突起(第1補助突起)6を有している。図3に示すように、補助突起6は、クローラ本体2の内周面2fから突出するとともに、周方向に隣り合うガイド突起5の相互間に配置されている。補助突起6の高さは、ガイド突起5の高さよりも低い。なお、本発明において、ガイド突起5または補助突起6の「高さ」とは、それぞれ、クローラ本体2の内周面2fから、ガイド突起5または補助突起6の厚み方向最内周側の位置までの、厚み方向の距離をいう。本実施形態では、図2に示すように、ガイド突起5の高さh5 は、クローラ本体2の内周面2fからガイド突起5の頂面までの高さであり、補助突起6の高さh6 は、クローラ本体2の内周面2fから補助突起6の頂面までの高さである。さらに詳細には、補助突起6の高さh6 は、ガイド突起5の高さh5 よりも低い。なお、h6 /h5 は、0.2〜0.5であることが好ましい。
【0021】
また、弾性クローラ10では、図1及び図2に示すように、補助突起6の幅方向外縁6eは、ガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に配置されている。本実施形態では、補助突起6の2つの幅方向外縁6e1 が、それぞれ、ガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に配置されている。また、本実施形態では、補助突起6は、幅方向に延在している。さらに、本実施形態では、ガイド突起5及び補助突起6はそれぞれ、図2に示すように、幅方向断面視で、ガイド突起5と重複するように、幅方向に延在している。
【0022】
具体的には、図2に示すように、補助突起6の幅方向長さW6 をガイド突起5の幅方向長さW5 よりも長くしている。なお、W6 /W5 は、10〜30であることが好ましい。
詳細には、クローラ本体2の幅方向で、ガイド突起5と補助突起6とのそれぞれの中心を一致させている。より詳細には、図1に示すように、クローラ本体2の幅方向中心を通るクローラ本体周方向中心線O2L、ガイド突起5の幅方向中心を通るガイド突起周方向中心線O5L、及び、補助突起6の幅方向中心を通る補助突起周方向中心線O6Lを一致させることで、又は、図2に示すように、クローラ本体2の幅方向中心を通るクローラ本体厚さ方向中心線O2D、ガイド突起5の幅方向中心を通るガイド突起厚さ方向中心線O5D、及び、補助突起6の幅方向中心を通る補助突起厚さ方向中心線O6Dを一致させるように配置しることで、すなわち、図1及び図2に示すように、クローラ本体2の幅方向中心にガイド突起5及び補助突起6の幅方向中心を一致させるように配置させることで、補助突起6の幅方向外縁6e1 がガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側になるように配置されている。
【0023】
このように、クローラ本体2の幅方向で、ガイド突起5と補助突起6とのそれぞれの中心を一致させれば、ガイド突起5及び補助突起6のセンタリングが可能になることで、補助突起6の両幅方向外縁6eのそれぞれを、ガイド突起5の幅方向外縁5eに対して均等な位置に配置することができる。特に、本実施形態では、補助突起6の幅方向長さW6 をガイド突起5の幅方向長さW5 よりも長くして、クローラ本体2の幅方向中心にガイド突起5及び補助突起6の幅方向中心を一致させるように、クローラ本体2の内周面2f上にガイド突起5及び補助突起6を配置しているため、補助突起6の幅方向外縁6eを、ガイド突起5の幅方向外縁5eとともに、クローラ本体2の幅方向中心に対して均等な位置に配置することができる。
【0024】
次に、本実施形態に係る弾性クローラ10の作用を説明する。
【0025】
図4中、符号Rは、弾性クローラ10のクローラ本体2の内周面2fを転動する、駆動側の回転体である。本実施形態では、回転体Rは、回転体Rの本体を構成する金属製の鉄輪部R1 と、鉄輪部R1 の外周面に環状に設けられたゴムライニング部R2 とで構成されている。この場合、ゴムライニング部R2 の厚さhr は、補助突起6の高さh6 とほぼ等しいことが好ましい。本実施形態では、回転体Rは、上述のとおり摩擦式の駆動輪であるため、駆動輪、従動輪及び転輪であるが、駆動側の駆動輪がスプロケットの回転軸周りに複数のピン部材(係合部)を配置したスプロケットの場合には、回転体Rは転輪又は従動輪である。
【0026】
本実施形態に係る弾性クローラ10では、補助突起6の高さがガイド突起5よりも低く、かつ、補助突起6の幅方向外縁6eがガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に配置されているため、クローラ本体2が回転体Rに対して幅方向に横ずれしても、回転体Rは補助突起6の幅方向外縁6eと接触することで、ガイド突起5の幅方向外縁5eとは接触しないか、又は、接触が抑制される。このため、本実施形態に係る弾性クローラ10によれば、回転体Rがガイド突起5に干渉することで生じる、ガイド突起5の摩耗を防止乃至抑制することができる。従って、本実施形態に係る弾性クローラ10によれば、優れた耐久性を得ることができる。また、本実施形態に係る弾性クローラ10では、補助突起6は、幅方向断面視で、ガイド突起5と幅方向全体にわたって重複するように延在するものであるので、より耐久性を向上させることができる。
【0027】
加えて、本実施形態に係る弾性クローラ10では、補助突起6は、当該補助突起6と周方向に隣り合うガイド突起5と間隔を置いて配置されたものである。この場合、ガイド突起5と補助突起6との間に、幅方向に延在する隙間が形成されることで、クローラ本体2を曲げ易くすることができる。このため、本実施形態に係る弾性クローラ10によれば、曲げ剛性の増大を抑制しつつ耐久性を向上させることができる。
【0028】
また、本実施形態に係る弾性クローラ10では、クローラ本体2の幅方向で、ガイド突起5と補助突起6とのそれぞれの中心が一致している。この場合、ガイド突起5及び補助突起6のセンタリングができることで、回転体Rに対して弾性クローラ10が幅方向に横ずれすることを防止できることで、優れた耐久性をより確実に得ることができる。
【0029】
なお、本実施形態では、補助突起6は、図1の平面視で、補助突起6の幅方向外縁6e1 に周方向に繋がる、2つの隅角縁6e2 を有している。隅角縁6e2 はそれぞれ、幅方向に延在する補助突起6の周方向端縁から幅方向外縁6e1 に近づくに従って幅方向外側に向かって幅方向外側に湾曲している。この場合、回転体Rが補助突起6の幅方向外縁6e1 付近で周方向から斜めに接触するときも、隅角縁6e2 に沿って回転体Rを幅方向外側に逃がすことで、ガイド突起5の耐久性をさらに向上させることができる。
【0030】
一方、図5に示すように、従来の弾性クローラは、回転体Rに対して横ずれすると、ガイド突起5と干渉してしまう。こうした干渉は、弾性クローラを無理に駆動させると、ガイド突起5に摩耗を生じさせる虞がある。
【0031】
次に、図6図8中、符号20は、本発明の第2の実施形態に係る弾性クローラである。なお、以下の説明において、第1の実施形態と実質的に同一の構成については、同一の符号をもってその説明を省略する。
【0032】
本実施形態に係る弾性クローラ20では、補助突起6はそれぞれ、補助突起6と周方向に隣り合うガイド突起5に繋がっている。具体的には、図6及び図8に示すように、補助突起6と周方向に隣り合うガイド突起5の間を埋めるようにクローラ本体2の内周面2f上に一体に成形されている。これにより、補助突起6の幅方向外縁6e1 は、図6図8に示すように、局所的に、ガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に配置されている。
【0033】
本実施形態に係る弾性クローラ20も、補助突起6の高さがガイド突起5よりも低く、かつ、補助突起6の幅方向外縁6e1 がガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に配置されているため、クローラ本体2が回転体Rに対して幅方向に横ずれしても、回転体Rは補助突起6の幅方向外縁6e1 と接触することで、ガイド突起5の幅方向外縁5eとは接触しないか、又は、接触が抑制される。このため、本実施形態に係る弾性クローラ20によれば、回転体Rがガイド突起5に干渉することで生じる、ガイド突起5の摩耗を防止乃至抑制することができる。従って、本実施形態に係る弾性クローラ20によれば、ガイド突起5の早期摩耗及び欠け、裂傷を防ぐことができ、優れた耐久性を得ることができる。また、本実施形態に係る弾性クローラ20でも、補助突起6は、幅方向断面視で、ガイド突起5と幅方向全体にわたって重複するように延在するものであるので、より耐久性を向上させることができる。
【0034】
加えて、本実施形態に係る弾性クローラ20では、補助突起6は、補助突起6と周方向に隣り合うガイド突起5に繋がっている。この場合、ガイド突起5と補助突起6とを繋いで、補助突起6の強度を向上させることで、更にガイド突起5の早期摩耗及び欠け、裂傷を防ぐことができ、より耐久性を向上させることができる。また、クローラ本体2が回転体Rに対して幅方向に斜めに横ずれしても、回転体Rは補助突起6の幅方向外縁6eと接触することで、より確実に、ガイド突起5の幅方向外縁5eとは接触しないか、又は、接触が抑制される。このため、本実施形態に係る弾性クローラ30によれば、回転体Rがガイド突起5に干渉することで生じる、ガイド突起5の摩耗をより確実に防止乃至抑制することができる。本実施形態に係る弾性クローラ20では、図6に示すように平面視で、ガイド突起5の周方向側には隅角縁が形成されないことで、ガイド突起5に対する干渉の可能性をより低減することができる。
【0035】
特に、本実施形態に係る弾性クローラ20では、補助突起6は、図6の平面視で、周方向に沿って補助突起6の幅方向外縁6e1 に周方向に繋がる、2つの周方向隅角縁6e2 を有している。周方向隅角縁6e2 はそれぞれ、ガイド突起5の幅方向外縁5eと補助突起6の幅方向外縁6e1 との間を幅方向外側に向かって傾斜している。この場合、回転体Rが補助突起6の幅方向外縁6e1 付近で周方向に斜めに接触するときも、周方向隅角縁6e2 に沿って回転体Rを幅方向外側に逃がすことで、ガイド突起5の耐久性をさらに向上させることができる。
【0036】
さらに、図9図11中、符号30は、本発明の第3の実施形態に係る弾性クローラである。なお、以下の説明において、他の実施形態と実質的に同一の構成については、同一の符号をもってその説明を省略する。
【0037】
本実施形態に係る弾性クローラ30は、第2の実施形態に係る弾性クローラ20の変形例である。本実施形態に係る弾性クローラ30では、ガイド突起5の幅方向外側に、クローラ本体2の内周面2fから突出するとともに、ガイド突起5の高さよりも低く、かつ、ガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に幅方向外縁6eが配置される、補助突起6(第2補助突起)を有する。本実施形態では、補助突起6はそれぞれ、ガイド突起5を含める範囲で、ガイド突起5の周りと全体的に繋がっている。具体的には、図9図11に示すように、補助突起6は、ガイド突起5の幅方向外側にも補助突起6を有するようにクローラ本体2の内周面2f上に一体に成形されている。これにより、補助突起6の幅方向外縁6eは、図9及び図10に示すように、クローラ本体2の周方向全体に配置されている。
【0038】
本実施形態に係る弾性クローラ30も、補助突起6の高さがガイド突起5よりも低く、かつ、補助突起6の幅方向外縁6eがガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に配置されているため、クローラ本体2が回転体Rに対して幅方向に斜めに横ずれしても、回転体Rは補助突起6の幅方向外縁6eと接触することで、ガイド突起5の幅方向外縁5eとは接触しないか、又は、接触が抑制される。このため、本実施形態に係る弾性クローラ30によれば、回転体Rがガイド突起5に干渉することで生じる、ガイド突起5の摩耗を防止乃至抑制することができる。従って、本実施形態に係る弾性クローラ30によれば、ガイド突起5の早期摩耗及び欠け、裂傷を防ぐことができ、優れた耐久性を得ることができる。また、本実施形態に係る弾性クローラ30でも、補助突起6は、幅方向断面視で、ガイド突起5と幅方向全体にわたって重複するように延在するものであるので、より耐久性を向上させることができる。
【0039】
加えて、本実施形態に係る弾性クローラ30では、ガイド突起5の幅方向外側に、クローラ本体2の内周面2fから突出するとともに、ガイド突起5の高さよりも低く、かつ、ガイド突起5の幅方向外縁5eよりも幅方向外側に幅方向外縁6eが配置される、補助突起6を有し、ガイド突起5の相互間に配置された補助突起6の幅方向外縁6eと幅方向で一致している。この場合、図9に示すように、ガイド突起5の幅方向外縁5e全体が補助突起6の幅方向外縁6eよりも幅方向内側に配置されることで、クローラ本体2が回転体Rに対して幅方向に横ずれしても、回転体Rは補助突起6の幅方向外縁6eと接触することで、最も確実に、ガイド突起5の幅方向外縁5eとは接触しないか、又は、接触が抑制される。このため、本実施形態に係る弾性クローラ30によれば、回転体Rがガイド突起5に干渉することで生じる、ガイド突起5の摩耗を最も確実に防止乃至抑制することができる。このため、本実施形態に係る弾性クローラ30では、耐久性を最も向上させることができる。なお、他の補助突起6は、本実施形態のように、ガイド突起5と一体に設けることなく、ガイド突起5とは別体に、幅方向外側に配置することもできる。
【0040】
また、本発明に係る弾性クローラ装置は、本発明に係る弾性クローラを備える。
例えば、本発明の一実施形態に係る弾性クローラ装置は、上記弾性クローラ10〜30のいずれかを備えている。具体的には、本実施形態に係る弾性クローラ装置は、少なくとも、上記弾性クローラ10〜30のいずれかと、回転体Rとを有している。本実施形態に係る弾性クローラ装置によれば、優れた耐久性を得ることができる。
【0041】
このように、本発明によれば、耐久性に優れた、弾性クローラおよび弾性クローラ装置を提供することができる。
【0042】
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態を開示したにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、上述の各実施形態では、本発明に係る弾性クローラを、芯金を有しない弾性クローラで説明したが、本発明は、芯金を有する弾性クローラに適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、弾性を有する無端帯状の本体と、前記本体の内周面から突出するとともに当該本体の周方向に間隔を置いて配置される、複数の突起と、を有する、弾性クローラ及び弾性クローラ装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
2;クローラ本体(本体), 2f;クローラ本体の内周面, 3a,3b;メインコード層, 4;ラグ, 5;ガイド突起(突起), 5e;ガイド突起の幅方向外縁, 6;補助突起, 6e;補助突起の幅方向外縁, 6e1 ;補助突起の幅方向外縁, 6e2 ;補助突起の周方向隅角縁, 10;弾性クローラ(第1の実施形態), 20;弾性クローラ(第2の実施形態), 30;弾性クローラ(第3の実施形態), O2L;周方向クローラ本体中心軸線, O5L;ガイド突起周方向中心線, O6L;補助突起周方向中心線, O2D;クローラ本体厚さ方向中心線, O5D;ガイド突起厚さ方向中心線, O6D;補助突起厚さ方向中心線, h5 ;ガイド突起の高さ, h6 ;補助突起の高さ, W5 ;ガイド突起の幅方向長さ, W6 ;補助突起の幅方向長さ, R;回転体, D;クローラ本体の厚み方向(本体の厚み方向) ,L;クローラ本体の周方向(本体の周方向), W;クローラ本体の幅方向(本体の幅方向)
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図11