(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616652
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】連結システム
(51)【国際特許分類】
F16L 37/28 20060101AFI20191125BHJP
A47K 5/12 20060101ALI20191125BHJP
B65D 25/38 20060101ALI20191125BHJP
F16L 37/02 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
F16L37/28
A47K5/12 Z
B65D25/38
F16L37/02
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-206869(P2015-206869)
(22)【出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2017-78467(P2017-78467A)
(43)【公開日】2017年4月27日
【審査請求日】2018年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】710006932
【氏名又は名称】株式会社パックプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(72)【発明者】
【氏名】中谷 友彰
【審査官】
渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−511416(JP,A)
【文献】
特開2007−239921(JP,A)
【文献】
特開平03−056793(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0099224(US,A1)
【文献】
特開2004−144198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/28
A47K 5/12
B65D 25/38
F16L 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる導通路を有する雌部材と、前記雌部材の先端部に着脱自在に係合するプラグと、前記雌部材の導通路に着脱自在に挿入される雄部材とを備え、
前記雄部材が前記雌部材の導通路に挿入される場合、前記雌部材の先端部に係合している前記プラグが前記雄部材の先端部に係合して、前記雄部材の挿入に伴って前記雌部材の導通路の先端部開口を開放する一方、前記雄部材が前記雌部材の導通路から抜かれる場合、前記雄部材の先端部に係合している前記プラグが前記雌部材の先端部に係合して、前記雌部材の導通路の先端部開口を閉蓋する連結システムであって、
前記雄部材は、前記プラグに係合する頭部と、前記雌部材の導通路に嵌合する胴体部とを有し、前記胴体部の先端部に気密維持用の第1の突起部が設けられるとともに、前記胴体部の中間部に姿勢規制用の第2の突起部が設けられ、
前記雄部材が前記雌部材の導通路に挿入される過程であって、雌部材の先端部に係合している前記プラグが前記雄部材の先端部に完全に係合するとき、および/または前記雄部材が前記雌部材の導通路から抜かれる過程であって、前記雄部材の先端部に係合している前記プラグが前記雌部材の先端部に完全に係合するときにおいて、前記第1の突起部と前記第2の突起部が前記雌部材の導通路に摺動しながら接することにより、前記雄部材または前記雌部材の姿勢を軸方向に規制することを特徴とする連結システム。
【請求項2】
前記雌部材と前記雄部材は下記の関係式を有する請求項1に記載の連結システム。
d=(d1−d2)/2
−0.010≦d/C≦0.042
d1:雌部材の導通路の内径
d2:雄部材の第2の突起部を含む外径
d:雌部材の導通路の内径と雄部材の第2の突起部を含む外径との半径差
C:雌部材の先端部に係合している前記プラグが前記雄部材の先端部に完全に係合したとき、あるいは前記雄部材の先端部に係合している前記プラグが前記雌部材の先端部に完全に係合したときの位置における、雌部材の導通路と雄部材の第1の突起部の接触点から、雌部材の導通路と雄部材の第2の突起部の接触点の最大長さ
【請求項3】
前記第2の突起部は、少なくとも前記第1の突起部と前記胴体部(雄部材における頭部を除く部分)の長さ方向の中心部との間に設けられている請求項1または請求項2に記載の連結システム。
【請求項4】
前記第2の突起部は、前記第1の突起部に連設している請求項3に記載の連結システム。
【請求項5】
前記第2の突起部は、前記胴体部の長さ方向に延びるリブ状に形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の連結システム。
【請求項6】
前記第2の突起部は、前記胴体部の周方向に沿って複数設けられている請求項5に記載の連結システム。
【請求項7】
前記第2の突起部は、前記胴体部の周方向に延びる環状に形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の連結システム。
【請求項8】
前記第2の突起部は、前記胴体部の径方向に突出する凸状に形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の連結システム。
【請求項9】
前記第2の突起部は、前記胴体部の中間部の周面全体に亘って平面状に形成されている請求項1から請求項4のいずれかに記載の連結システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の連結システムに用いられる雄部材であって、前記プラグに係合する頭部と、前記雌部材の導通路に嵌合する胴体部とを有し、前記胴体部の先端部に気密維持用の第1の突起部が設けられるとともに、前記胴体部の中間部に姿勢規制用の第2の突起部が設けられていることを特徴とする連結システム用雄部材。
【請求項11】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の連結システムが用いられる包装容器。
【請求項12】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の連結システムが用いられる印刷装置。
【請求項13】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の連結システムが用いられるディスペンサー。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の連結システムが用いられる液体サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種流体が収容された容器から流体を別の容器や装置等に排出するための雌部材、雄部材およびプラグからなる連結システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化学品、化粧品、医薬品、洗剤、食品、飲料、接着剤、塗料、インク等における各種流体が収容された容器から流体を別の容器や装置等に排出するため、雌部材、雄部材およびプラグからなる連結システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この連結システムは、
図8に示すように、軸方向に延びる導通路11を有する雌部材1と、雌部材1の先端部に着脱自在に係合するプラグ2と、雌部材1の導通路11に着脱自在に挿入される雄部材3とを備える。
【0004】
而して、雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入されていない場合、プラグ2が雌部材1の先端部に係合することにより、雌部材1の導通路11の先端部開口を閉蓋している。そして、雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入された場合、雌部材1の先端部に係合しているプラグ2が雄部材3の先端部に係合し、雄部材3の挿入に伴って雌部材1の導通路11の先端部開口を開放して、雌部材1側の容器の流体が雄部材3の内部の流通路を通じて雄部材3側の容器や装置に排出される。そして、雄部材3が雌部材1の導通路11から抜かれる場合、雄部材3の先端部に係合しているプラグ2が雌部材1の先端部に係合することにより、雌部材1の導通路11の先端部開口を閉蓋する。
【0005】
一般に、このような雄部材3は、プラグ2に係合する頭部31と、雌部材1の導通路11に嵌合する胴体部32とを有しており、該胴体部32の先端部に気密維持用の突起部35が設けられている。これにより、雌部材1の導通路11に雄部材3が挿入された際、雄部材3の気密維持用の突起部35が雌部材1の導通路11に密着状態に接することにより、雌部材1と雄部材3の気密性を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−308221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、雄部材3と雌部材1を連結する場合、雌部材1の導通路11に雄部材3が挿入される過程において、
図8に示すように、雄部材3の気密維持用の突起部35が支点となって雌部材1または雄部材3の姿勢が傾くことにより、雌部材1の軸方向と雄部材3の軸方向が微妙にずれた状態となる場合があった。
【0008】
このため、プラグ2が雄部材3の先端部31aに係合せずに雄部材3の先端部31aから外れたり、あるいはプラグ2が雄部材3の先端部31aに傾いた状態で係合してしまい、その後に雄部材3が雌部材1の導通路11から抜かれるときにプラグ2が雌部材1の先端部12に確実に係合しないという係合不良の状態が生じる場合があった。
【0009】
また、雌部材1の導通路11に雄部材3が挿入される過程において、仮にプラグ2が雄部材3の先端部31aに確実に係合しても、雄部材3と雌部材1の連結を解除する場合、雌部材1の導通路11から雄部材3が抜かれる過程において、雄部材3の気密維持用の突起部35が支点となって雌部材1または雄部材3の姿勢が傾くことにより、雌部材1の軸方向と雄部材3の軸方向が微妙にずれた状態となり、同様に係合不良の状態になる場合があった。
【0010】
このようなプラグ2の係合不良の状態において、雄部材3が雌部材1の導通路11から完全に抜かれてしまうと、雌部材1側の容器内の流体が導通路11を通じて外部に漏れ出る虞があった。
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、プラグの係合不良の状態を防止することができる連結システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、軸方向に延びる導通路を有する雌部材と、前記雌部材の先端部に着脱自在に係合するプラグと、前記雌部材の導通路に着脱自在に挿入される雄部材とを備え、前記雄部材が前記雌部材の導通路に挿入される場合、前記雌部材の先端部に係合している前記プラグが前記雄部材の先端部に係合して、前記雄部材の挿入に伴って前記雌部材の導通路の先端部開口を開放する一方、前記雄部材が前記雌部材の導通路から抜かれる場合、前記雄部材の先端部に係合している前記プラグが前記雌部材の先端部に係合して、前記雌部材の導通路の先端部開口を閉蓋する連結システムであって、前記雄部材は、前記プラグに係合する頭部と、前記雌部材の導通路に嵌合する胴体部とを有し、前記胴体部の先端部に気密維持用の第1の突起部が設けられるとともに、前記胴体部の中間部に姿勢規制用の第2の突起部が設けられ、前記雄部材が前記雌部材の導通路に挿入される過程、および/または前記雄部材が前記雌部材の導通路から抜かれる過程において、前記第1の突起部と前記第2の突起部が前記雌部材の導通路に摺動しながら接することにより、前記雄部材または前記雌部材の姿勢を軸方向に規制することを特徴とする。
【0013】
これによれば、雄部材が雌部材の導通路に挿入される過程、あるいは雄部材が雌部材の導通路から抜かれる過程において、第1の突起部および第2の突起部が導通路に摺動しながら接することにより雄部材または雌部材の姿勢が軸方向に規制される。このため、雌部材の導通路に雄部材が挿入される過程において、プラグを雄部材の先端部に精度良く係合し、その後における雌部材の導通路から雄部材が抜かれる過程においても、プラグが雌部材の先端部の係合に精度良く係合するため、プラグの係合不良の状態を防止することができる。
【0014】
前記雌部材と前記雄部材は下記の関係を有するのが好ましい。
d=(d1−d2)/2
−0.010≦d/C≦0.042
d1:雌部材の導通路の内径
d2:雄部材の第2の突起部を含む外径
d:雌部材の導通路の内径と雄部材の第2の突起部を含む外径との半径差
C:雌部材の先端部に係合している前記プラグが前記雄部材の先端部に完全に係合したとき、あるいは前記雄部材の先端部に係合している前記プラグが前記雌部材の先端部に完全に係合したときの位置における、雌部材の導通路と雄部材の第1の突起部の接触点から、雌部材の導通路と雄部材の第2の突起部の接触点の最大長さ
【0015】
これによれば、雄部材と雌部材を連結するときのプラグの係合不良の状態をより一層確実に防止することができる。
【0016】
また、前記第2の突起部は、少なくとも前記第1の突起部と前記胴体部の長さ方向の中心部との間に設けられているのが好ましい。特に前記第2の突起部は、前記第1の突起部に連設しているのが好ましい。これによれば、雌部材に雄部材が挿入され始める段階から、第2の突起部が雌部材の導通路に接するため、雌部材または雄部材の姿勢を早い段階から軸方向に規制することができる。また、雌部材から雄部材が抜かれる後半の段階まで、第2の突起部が雌部材の導通路に接するため、雌部材または雄部材の姿勢を後半の段階まで軸方向に規制することができる。
【0017】
また、前記第2の突起部は、前記胴体部の長さ方向に延びるリブ状に形成されていてもよい。これによれば、第2の突起部が胴体部の長さ方向に沿って雌部材の導通路に接するため、雌部材または雄部材の姿勢を安定して軸方向に規制することができる。
【0018】
また、前記第2の突起部は、前記胴体部の周方向に沿って複数設けられていてもよい。これによれば、第2の突起部がさらに胴体部の周方向に沿って雌部材の導通路に接するため、雌部材または雄部材の姿勢をさらに安定して軸方向に規制することができる。
【0019】
また、前記第2の突起部は、前記胴体部の周方向に延びる環状に形成されていてもよい。また、前記第2の突起部は、前記胴体部の径方向に突出する凸状に形成されていてもよい。また、前記第2の突起部は、前記胴体部の中間部の周面全体に亘って平面状に形成されていてもよい。
【0020】
また、本発明に係る連結システム用雄部材は、上記連結システムに用いられる雄部材であって、前記プラグに係合する頭部と、前記雌部材の導通路に嵌合する胴体部とを有し、前記胴体部の先端部に気密維持用の第1の突起部が設けられるとともに、前記胴体部の中間部に姿勢規制用の第2の突起部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る包装容器は、上記連結システムが用いられる包装容器である。
【0022】
また、本発明に係る印刷装置は、上記連結システムが用いられる印刷装置である。
【0023】
また、本発明に係るディスペンサーは、上記連結システムが用いられるディスペンサーである。
【0024】
また、本発明に係る液体サーバーは、上記連結システムが用いられる液体サーバーである。なお、液体サーバーとは、ウォーターサーバーなど、飲料等の液体(粘性体を含む)を収容するためのサーバーのことをいう。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、雄部材が雌部材の導通路に挿入される過程、あるいは雄部材が雌部材の導通路から抜かれる過程において、第1の突起部および第2の突起部が導通路に摺動しながら接することにより雄部材または雌部材の姿勢が軸方向に規制される。このため、雌部材の導通路に雄部材が挿入される過程において、プラグを雄部材の先端部に精度良く係合し、その後における雌部材の導通路から雄部材が抜かれる過程においても、プラグが雌部材の先端部の係合に精度良く係合するため、プラグの係合不良の状態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本システムにおける雄部材と雌部材が連結した状態を示す縦断面図である。
【
図2】本連結システムの雄部材の側面図とA−A線断面矢視図である。
【
図3】雄部材と雌部材の連結または連結解除の過程を示す縦断面図である。
【
図4】雄部材と雌部材が完全に連結した状態の要部を拡大した縦断面図である。
【
図8】従来の連結システムにおける雄部材と雌部材が連結した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明に係る連結システムの実施形態について
図1〜
図3を参照しつつ説明する。なお、
図1に示すように、雄部材を挿入する方向Aを先端部の方向として、雄部材を抜く方向を基端部の方向とする。
【0028】
本連結システムは、パウチ等の容器の流出入口に固着される雌部材1と、雌部材1の先端部31aに着脱自在に係合するプラグ2と、別の容器や装置等の流出入口に固定される雄部材3とを備える。
【0029】
前記雌部材1は、
図1に示すように、円筒状に形成された合成樹脂製の筒状部材であり、内部において軸方向に延びる導通路11が設けられている。この導通路11は、雌部材1の先端部12から基端部13にかけて貫通しており、先端部12が容器内側に向けて開口するとともに、基端部13が容器外側に向けて開口している。なお、前記雌部材1は、一般に容器の流出入口にヒートシールで固着されるが、その他の方法により容器の流出入口に設けられてもよい。
【0030】
前記プラグ2は、
図1に示すように、円柱状に形成された合成樹脂製の部材であり、内部には先端部側に設けられた第1凹部21と、基端部側に設けられた第2凹部22とを備える。
【0031】
前記第1凹部21は、雄部材3の先端部31aの形状に沿う内面形状を有しており、その内径が雄部材3の先端部31aの外径と同一または小さく形成されている。このため、雄部材3の挿入時では第1凹部21が雄部材3の先端部31aに密着状態に係合して、雄部材3の挿入に伴って雌部材1の導通路11の先端部開口を開放する。
【0032】
前記第2凹部22は、雌部材1の先端部12の形状に沿う内面形状を有しており、その内径が雌部材1の先端部12の外径と同一または小さく形成されている。このため、雄部材3の未挿入時では、第2凹部22が雌部材1の先端部12に密着状態に係合して、雌部材1の導通路11の先端部開口を閉蓋する。
【0033】
前記雄部材3は、
図1および
図2に示すように、略円柱状に形成された合成樹脂製の部材であり、先端部側に設けられた頭部31と、基端部側に設けられた胴体部32とを備え、内部において軸方向に延びる流通路33が設けられている。
【0034】
前記頭部31は、円錐台状に形成された先端部31aと、円柱状に形成された本体部31bとを備え、
図3(b)に示すように、雄部材3が雌部材1の導通路11に完全に挿入された際、雌部材1の導通路11の先端部開口から容器内側に突き出た状態となる。なお、頭部31の本体部31bの周面には流通孔34が形成されており、雄部材3の内部の流通路33に連通している。
【0035】
前記胴体部32は、雌部材1の長さよりも長く形成されており、
図3(b)に示すように、雄部材3が雌部材1の導通路11に完全に挿入された際、雌部材1の導通路11に嵌合した状態となる。この胴体部32は、先端部に気密維持用の第1の突起部35が設けられるとともに、上部に姿勢規制用の第2の突起部36が設けられている。
【0036】
前記第1の突起部35は、胴体部32の周方向に延びる環状に形成され、外径d1が雌部材1の導通路11の内径と同じかやや大きく形成されている。このため、雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入された際、第1の突起部35が雌部材1の導通路11の先端部に密着状態に接することにより、雄部材3と雌部材1の気密性を維持することができる。
【0037】
前記第2の突起部36は、第1の突起部35と胴体部32の長さ方向の中心部との間において、胴体部32の長さ方向に延びるリブ状に形成され、胴体部32の周方向に沿って等間隔に4個設けられている。
【0038】
このため、雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入される過程や、雄部材3が雌部材1の導通路11から抜かれる過程において、第1の突起部35と第2の突起部36が雌部材1の導通路11の中間部に摺動しながら接することにより、雌部材1の姿勢を軸方向に規制することができる。
【0039】
具体的に説明すると、従来のように第1の突起部35だけだと、
図8に示すように、該第1の突起部35が支点となって雌部材1の軸方向が傾く場合があったが、本連結システムによると、
図1に示すように、第1の突起部35と第2の突起部36が雌部材1の導通路11を2か所で接するため、雌部材1の軸方向と雄部材3の軸方向が一致して、雌部材1の姿勢を軸方向に規制することができる。
【0040】
特に、本実施形態では、第2の突起部36が第1の突起部35と胴体部32の中心部との間に設けられているため、雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入され始める段階で第2の突起部36が雌部材1の導通路11に接することになり、雌部材1の姿勢を早い段階で軸方向に規制することができる。また、雄部材3が雌部材1の導通路11から完全に抜かれるまでの後半の段階まで第2の突起部36が雌部材1の導通路11に接することになり、雌部材1の姿勢を後半の段階まで軸方向に規制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、
図4に示すように、前記雌部材と前記雄部材は下記の関係式1を有している。これによれば、雄部材と雌部材を連結するときのプラグの係合不良の状態をより一層確実に防止することができる。
[関係式1]
d=(d1−d2)/2
−0.010≦d/C≦0.042
d1:雌部材の導通路の内径
d2:雄部材の第2の突起部を含む外径
d:雌部材の導通路の内径と雄部材の第2の突起部を含む外径との半径差
C:雌部材の先端部に係合している前記プラグが前記雄部材の先端部に完全に係合したとき、あるいは前記雄部材の先端部に係合している前記プラグが前記雌部材の先端部に完全に係合したときの位置における、雌部材の導通路と雄部材の第1の突起部の接触点αから、雌部材の導通路と雄部材の第2の突起部の接触点βの最大長さ
【0042】
また、前記雄部材3の胴体部32は、基端部に抜け防止用の第3の突起部37が設けられている。この第3の突起部37は、胴体部32の長さ方向に延びるリブ状に形成され、胴体部32の周方向に沿って等間隔に4個設けられ、外径が雌部材1の導通路11の内径よりもやや大きく形成されている。このため、雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入された際、雌部材1の導通路11の基端部に密着状態に接することにより、雄部材3が雌部材1から浮き上がって抜けることを防止することができる。
【0043】
次に、雄部材3と雌部材1の連結の方法について説明する。
【0044】
上述のように、雌部材1は容器の流出入口に固着される一方、雄部材3は別の容器または装置等の流出入口に固定されており、雌部材1側の容器を回転させながら雄部材3を雌部材1の導通路11に雄部材3に挿入するものとする。
【0045】
まず、雌部材1側の容器の回転動作に伴って雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入されると、
図3(a)に示すように、雄部材3の胴体部32の第1の突起部35と第2の突起部36が雌部材1の導通路11に長さ方向に沿って接することにより、雌部材1の姿勢が雄部材3の軸方向に規制された状態となる。
【0046】
そして、雌部材1側の容器のさらなる回転動作に伴って雄部材3が雌部材1の導通路11に挿入されると、
図3(b)に示すように、雄部材3の胴体部32の第1の突起部35と第2の突起部36が雌部材1の導通路11に摺動しながら接することにより、雌部材1の姿勢が雄部材3の軸方向に規制された状態を維持する。このため雌部材1の先端部12に係合しているプラグ2(第1凹部21)が雄部材3の先端部31aに嵌り込む態様で精度良く係合する。
【0047】
そして、雌部材1側の容器のさらなる回転動作に伴って雄部材3が雌部材1の導通路11にさらに挿入されると、
図3(c)に示すように、雄部材3が雌部材1とプラグ2の係合を解除して、雌部材1の導通路11の先端部開口を開放する。このとき、上述のようにプラグ2は雄部材3に嵌り込む態様で精度良く係合しているため、プラグ2が雄部材3の先端部31aに係合せずに雌部材1の先端部12から外れたり、あるいはプラグ2が雄部材3の先端部31aに傾いた状態で係合することを防止することができる。
【0048】
次に、雄部材3と雌部材1の連結解除の方法について説明する。
【0049】
上述の連結方法と同様にして、雌部材1は容器の流出入口に固着される一方、雄部材3は別の容器または装置等の流出入口に固定されており、雌部材1側の容器を回転させながら雄部材3を雌部材1の導通路11から抜くものとする。
【0050】
まず、雌部材1側の容器の回転動作に伴って雄部材3が雌部材1の導通路11から抜かれると、
図3(c)に示すように、雄部材3の胴体部32の第1の突起部35と第2の突起部36が雌部材1の導通路11に摺動しながら接するため、雌部材1の姿勢が軸方向に規制された状態を維持している。
【0051】
そして、雌部材1側の容器のさらなる回転動作に伴って雄部材3が雌部材1の導通路11から抜かれると、
図3(b)に示すように、雌部材1の姿勢が軸方向に規制された状態のまま、雄部材3の先端部31aに係合しているプラグ2が雌部材1の先端部12に係合して、雌部材1の導通路11の先端部開口を確実に閉蓋する。このとき、上述のようにプラグ2が雄部材3の先端部31aに嵌り込む態様で精度良く係合しており、しかも雌部材1の姿勢が軸方向に規制されているため、プラグ2は雌部材1の先端部12に嵌り込むように精度良く係合する。
【0052】
そして、雌部材1側の容器のさらなる回転動作に伴って雄部材3が雌部材1の導通路11から抜かれると、
図3(a)に示すように、その後も途中まで雌部材1の姿勢が軸方向に規制された状態を維持しながら、雄部材3が雌部材1の導通路11から完全に抜かれることなる。
【0053】
このように、前記雄部材3が前記雌部材1の導通路11に挿入される過程や、前記雄部材3が雌部材1の導通路11から抜かれる過程において、第1の突起部35および第2の突起部36が導通路11に摺動しながら接することにより雌部材1の姿勢が軸方向に規制されるため、プラグの係合不良の状態を防止することができる。
【0054】
次に、本発明に係る連結システムの雄部材3の変形例について説明する。
【0055】
変形例1に係る雄部材3では、
図5に示すように、第2の突起部36が、第1の突起部35と胴体部32の長さ方向の中心部との間において、前記胴体部32の周方向に延びる環状に形成されている。
【0056】
変形例2に係る雄部材3では、
図6に示すように、第2の突起部36が、第1の突起部35と胴体部32の中心部との間において、前記胴体部32の径方向に突出する凸状に形成されている。この場合、第2の突起部36は、雄部材3の胴体部32の周方向に沿って所定の間隔で複数設けられるのが好ましい。
【0057】
変形例3に係る雄部材3では、
図7に示すように、第2の突起部36が、第1の突起部35と胴体部32の中心部との間において、周面全体に亘って平面状に形成されている。
【0058】
なお、本実施形態では、第2の突起部36は、第1の突起部35と胴体部32の長さ方向の中心部との間に設けられるものとしたが、第1の突起部35の中心部と胴体部32の基端部の間に設けられてもよい。ただ、雄部材3または雌部材1の姿勢を早い段階で軸方向に規制するために、第1の突起部35と胴体部32の中心部の間であって第1の突起部35に近い位置に設けられるのが好ましい。例えば、第1の突起部35と胴体部32の先端部から1/3の長さ位置との間に設けられることが挙げられる。
【0059】
また、第2の突起部36は、第1の突起部35と離れて構成するものとしたが、第1の突起部35に連設してもよい。
【実施例】
【0060】
次に本発明に係る連結システムを用いた回転脱着器の実施例について説明する。
【0061】
この回転脱着器は、インク等の液体が収容された複数のパウチが脱着可能に設けられるものである。そして、雌部材1がパウチの流出入口に溶着されるとともに、複数の雄部材3が回転脱着器本体に横並びに固定されており、パウチを側方から回転させることによりパウチの雌部材1に本体の雄部材3を挿入するようになっている。
【0062】
本実施例では、
図1に示すような構造の連結システムであって、上記関係式1の値が異なる連結システムA〜Jについて、パウチに1000mlの水を充填して、パウチの雌部材1に本体の雄部材3を挿入および抜く試験を100回行い、下記の数値を測定した。
【0063】
【表1】
θ
aMAX[°]:抜取時の雄部材3と雌部材1の中心ずれの最大角度
θ
bMAX[°]:挿入時の雄部材3と雌部材1の中心ずれの最大角度
F
MAX[N]:雌部材1に雄部材3を挿入するときに必要となる最大応力
【0064】
本試験結果によると、連結システムD〜Gについて、挿入時の係合不良発生回数および抜取時の係合不良発生回数のいずれも100回中0回であり、また挿入時の容易さ(挿入感)も全く問題なく、総合的に極めて良好(○)であると判定した。このことから雄部材3と雌部材1は下記の関係式1−1を有する場合が最も好ましい。
[関係式1−1]
0<d/C≦0.030
【0065】
また、連結システムCについて、挿入時の係合不良発生回数および抜取時の係合不良発生回数のいずれも100回中0回であり、また挿入時の容易さ(挿入感)もほとんど問題なく、総合的に極めて良好である(○)と判定した。このことから雄部材3と雌部材1は下記の関係式1−2を有する場合が次に好ましい。
[関係式1−2]
−0.005<d/C≦0.030
【0066】
また、連結システムBについて、挿入時の係合不良発生回数および抜取時の係合不良発生回数のいずれも100回中0回であり、挿入時の容易さ(挿入感)は60Nを超えるが使用上問題なく、総合的に良好である(△)と判定した。このことから雄部材3と雌部材1は下記の関係式1−2を有する場合が次に好ましい。
[関係式1−3]
−0.010≦d/C≦0.030
【0067】
また、一方、連結システムH、Iについて、挿入時の係合不良回数は100回中0回であるが、抜取時の係合不良発生回数が多少生じたものの許容範囲であり、挿入時の容易さ(挿入感)は良く、総合的に良好である(△)と判定した。このことから雄部材3と雌部材1は下記の関係式1−3を有する場合が次に好ましい。
[関係式1−4]
−0.010≦d/C≦0.042
【0068】
なお、連結システムAについては、挿入時の係合不良発生回数および抜取時の係合不良発生回数のいずれも100回中0回であるが、雌部材1に雄部材3を挿入するときに必要となる最大応力が88Nと些か大きく、挿入時の容易さ(挿入感)に多少問題があるため、総合的に問題がある(×)と判定した。
【0069】
また、連結システムJについては、挿入時の係合不良発生回数および抜取時の係合不良発生回数が多いことから、総合的に問題がある(×)と判定した。
【0070】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1・・・雌部材
11・・・導通路
12・・・先端部
13・・・基端部
2・・・プラグ
21・・・第1凹部
22・・・第2凹部
3・・・雄部材
31・・・頭部
31a・・・先端部
31b・・・本体部
32・・・胴体部
33・・・流通路
34・・・流通孔
35・・・第1の突起部
36・・・第2の突起部
37・・・第3の突起部