(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導光体の前記発光面と対向する側とは反対側に位置して、前記発光面とは反対側から出射された光を前記発光面側に向けて反射するリフレクターを備えることを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
前記導光体の前記発光面と対向する側に位置して、前記発光面から出射された光のうち一部の光を透過させ、一部の光を反射させる複数の半透過反射面が設けられたインナーレンズを備えることを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、導光体の発光面を平面とした場合、この発光面が平坦な面となるため、この発光面の発光を立体的に視認することができない。したがって、この場合、発光面の発光により立体感を演出することは困難である。
【0005】
一方、導光体の発光面を曲面とした場合は、導光体内で導光される光の光軸が一方向を向いているため、この光軸の方向を発光面の曲率に合わせて曲げることはできない。このため、光軸の方向によっては反射面で反射された光の一部が発光面に届かずに、発光面に発光ムラを生じさせることがある。また、この場合も、発光面が平坦な面となるため、発光面の発光により立体感を演出することは困難である。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の車両用灯具では、中央部が凸となる階段状の導光体とすることで、発光面の発光により立体感を演出することが行われている(
図7を参照。)。しかしながら、導光体の形状をこのような正面視で凸形状(又は凹形状)としてしまうと、導光体の両端(特許文献2では上下端)に複数の光源を配置した上で、その光を導光体に入射させなければならない。このため、光源が増加することによるコストアップや、複数の光源を配置するスペースを確保したことによる大型化などの問題が発生してしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、光源数の増加や大型化を回避しつつ、発光面の発光により立体感を演出できる導光体、並びにそのような導光体を備えた車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、光源からの光を導光させて一面に設けられた発光面を発光させる導光体であって、前記光源からの光のうち一方の光を一の方向に向けて出射する導光出射面と、前記導光出射面から出射された光が入射する導光入射面と、前記光源からの光のうち他方の光又は前記導光入射面から入射した光を前記発光面側に向けて反射する導光反射面とを有し、前記導光反射面は、前記一の方向に異なる高さで並んで配置され
、前記導光出射面、前記導光入射面及び前記導光反射面は、前記発光面と相対する側において、前記一の方向に並ぶ複数の段差部により構成され、前記複数の段差部は、前記一の方向に対して平行となる複数の段差面を有し、且つ、当該段差部が並ぶ方向の両端に向かって前記段差面の高さが順に高くなる凹構造を有し、前記一の方向に向かって前記段差面の高さが順に低くなる複数の段差面の各間に、前記一の方向に対して傾斜する前記導光反射面と、前記一の方向に対して直交する前記導光出射面とが配置され、前記一の方向に向かって前記段差面の高さが順に高くなる複数の段差面の各間に、前記一の方向に対して直交する前記導光入射面と、前記一の方向に対して傾斜する前記導光反射面とが配置されていることを特徴とする導光体である。
【0009】
請求項1に記載の発明では、光源からの光のうち、高さの異なる導光反射面で反射されて発光面側に向かう光と、導光出射面から出射され、導光入射面に入射した後、高さの異なる導光反射面で反射されて発光面側に向かう光とによって、発光面の発光を立体的に視認させることができる。
また、請求項1に記載の発明では、複数の段差部の形状に応じて、発光面の発光を立体的に視認させることができる。
また、請求項1に記載の発明では、複数の段差部により構成される凹構造に応じて、発光面の発光を凸状に視認させることができる。
【0014】
また、請求項
2に記載の発明は、
光源からの光を導光させて一面に設けられた発光面を発光させる導光体であって、前記光源からの光のうち一方の光を一の方向に向けて出射する導光出射面と、前記導光出射面から出射された光が入射する導光入射面と、前記光源からの光のうち他方の光又は前記導光入射面から入射した光を前記発光面側に向けて反射する導光反射面とを有し、前記導光反射面は、前記一の方向に異なる高さで並んで配置され、前記導光出射面、前記導光入射面及び前記導光反射面は、前記発光面と相対する側において、前記一の方向に並ぶ複数の段差部により構成され、前記複数の段差部は、前記一の方向に対して平行となる複数の段差面を有し、且つ、当該段差部が並ぶ方向の両端に向かって前記段差面の高さが順に低くなる凸構造を有し、前記一の方向に向かって前記段差面の高さが順に高くなる複数の段差面よりも前記一の方向の手前側に位置して、前記一の方向に対して直交する前記導光出射面が配置され、前記一の方向に向かって前記段差面の高さが順に高くなる複数の段差面の各間に、前記一の方向と直交する前記導光入射面と、前記一の方向に対して傾斜する前記導光反射面とが配置され、前記一の方向に向かって前記段差面の高さが順に低くなる複数の段差面の各間に、前記一の方向に対して傾斜する前記導光反射面が配置されていることを特徴とする
導光体である。
【0015】
請求項2に記載の発明では、光源からの光のうち、高さの異なる導光反射面で反射されて発光面側に向かう光と、導光出射面から出射され、導光入射面に入射した後、高さの異なる導光反射面で反射されて発光面側に向かう光とによって、発光面の発光を立体的に視認させることができる。
また、請求項2に記載の発明では、複数の段差部の形状に応じて、発光面の発光を立体的に視認させることができる。
また、請求項
2に記載の発明では、複数の段差部により構成される
凸構造に応じて、発光面の発光を凹状に視認させることができる。
【0016】
また、請求項
3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の導光体において、前記導光反射面は、ライン状に形成されて、前記一の方向に複数並んで配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項
3に記載の発明では、発光面に表示された複数の発光ラインを立体的に視認させることができる。
【0018】
また、請求項
4に記載の発明は、請求項1〜
3の何れか一項に記載の導光体において、前記発光面が平坦面であることを特徴とする。
【0019】
請求項
4に記載の発明では、発光面が平坦面であっても、発光面の発光を立体的に視認させることができる。
【0020】
また、請求項
5に記載の発明は、光源と、前記光源からの光を導光させて一面に設けられた発光面を発光させる導光体とを備え、前記導光体は、請求項1〜
4の何れか一項に記載の導光体であることを特徴とする車両用灯具である。
【0021】
請求項
5に記載の発明では、光源数の増加や大型化を回避しつつ、導光体の立体的に視認される発光面の発光によって、立体感を演出することが可能である。
【0022】
また、請求項
6に記載の発明は、請求項
5に記載の車両用灯具において、前記導光体の前記発光面と対向する側とは反対側に位置して、前記発光面とは反対側から出射された光を前記発光面側に向けて反射するリフレクターを備えることを特徴とする。
【0023】
請求項
6に記載の発明では、リフレクターが発光面とは反対側から出射された光を発光面側に向けて反射することから、発光面の発光による輝度を高めることができる。
【0024】
また、請求項
7に記載の発明は、請求項
6に記載の車両用灯具において、前記導光体の前記発光面と対向する側に位置して、前記発光面から出射された光のうち一部の光を透過させ、一部の光を反射させる複数の半透過反射面が設けられたインナーレンズを備えることを特徴とする。
【0025】
請求項
7に記載の発明では、インナーレンズの各半透過反射面を透過した相対的に弱い光と、各半透過反射面の間を通過した相対的に強い光との輝度差によって、奥行き感を演出することが可能である。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、光源数の増加や大型化を回避しつつ、発光面の発光により立体感を演出できる導光体、並びにそのような導光体を備えた車両用灯具を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0029】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として
図1、
図2及び
図3に示す車両用灯具1Aについて説明する。なお、
図1は、車両用灯具1Aを用いたリアコンビネーションランプの外観を示す正面図である。
図2は、
図1に示す車両用灯具1Aの構成を示す分解斜視図である。
図3は、
図1に示す車両用灯具1Aの線分B−Bによる断面図である。
【0030】
車両用灯具1Aは、
図1に示すように、車両(図示せず。)の後部両端(本例は右端)に搭載されるテールランプであり、車両のバックゲート(又はトランクリッド)に搭載されるリッドランプ100と共に、リアコンビネーションランプを構成している。また、車両用灯具(テールランプ)1Aとリッドランプ100とは、車幅方向に並設されることによって、リアコンビネーションランプとして一体的にデザインされている。
【0031】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1Aを正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0032】
車両用灯具1Aは、
図2及び
図3に示すように、前面が開口したハウジング2と、このハウジング2の開口を覆う透明なアウターレンズ3とを備え、ハウジング2とアウターレンズ3とにより灯室が構成されている。
【0033】
また、車両用灯具1Aは、LEDユニット4と、第1インナーレンズ5と、第2インナーレンズ6Aと、リフレクター7と、第3インナーレンズ8と、エクステンション9とを備え、これらは灯室の内部に収容されている。
【0034】
LEDユニット4は、DICS(Direct Coupler Socket) と呼ばれるカプラー付ソケットであり、光源となる発光ダイオード(LED)41と、LED41が装着されるソケット本体42とを有している。LEDユニット4は、ハウジング2の後面側に設けられた孔部(図示せず。)から灯室の内部へと着脱自在に収容されている。LEDユニット4は、LED41が発する光を前方(車両後方)に向けて放射状に出射する。
【0035】
第1インナーレンズ5は、柱状の導光体であり、LEDユニット4の前方に配置されて、このLEDユニット4から出射された光を内部で導光しながら、左右方向に拡散した光を前方(車両後方)に向けて出射する機能を有している。
【0036】
具体的に、この第1インナーレンズ5は、
図4(a)〜(d)に示すような構成を有している。なお、
図4(a)は、第1インナーレンズ5の正面図である。
図4(b)は、
図4(a)中に示す線分C−Cによる断面図である。
図4(c)は、
図2中に示す線分D−Dによる断面図である。
図4(d)は、
図4(c)中の囲み部分Eを拡大した断面図である。
【0037】
第1インナーレンズ5は、
図2及び
図4(a)〜(d)に示すように、左右方向に延びる長尺柱状の透光性基材からなる。第1インナーレンズ5は、入射部51と、第1反射面52と、第2反射面53と、第3反射面54と、出射面55とを有している。
【0038】
入射部51は、
図4(b)に示すように、第1インナーレンズ5のLEDユニット4と対向する面(後面)の中間部から後方(車両前方)に突出して設けられている。入射部51は、LEDユニット4のLED41と対向する位置にあり、このLED41が発する光Lの光軸Axを対称軸として回転対称な形状を有している。
【0039】
具体的に、この入射部51は、第1集光入射面511と、第2集光入射面512と、集光反射面513とを有している。このうち、第1集光入射面511は、その中心部から後方に向かって凸となる自由曲面(非球面)により構成されている。一方、第2集光入射面512は、第1入射面511の周囲を囲む位置から後方に突出した部分の略円筒状の内周面により構成されている。一方、集光反射面513は、第1入射面511の周囲を囲む位置から後方に突出した部分の略截頭円錐状の外周面により構成されている。また、第1集光入射面511は、その焦点近傍にLED41が位置するように配置されている。
【0040】
入射部51では、LEDユニット4から出射された光Lのうち、第1集光入射面511から入射した光Lを前方(車両後方)の第1反射面52に向けて光軸Ax寄りに集光させる。一方、第2集光入射面512から入射した光Lを第1反射面52で内部反射(全反射)させた後、前方(車両後方)の第1反射面52に向けて光軸Ax寄りに集光させる。
【0041】
第1反射面52は、
図4(b)に示すように、第1インナーレンズ5のLEDユニット4と対向する側とは反対側の面(前面)の中間部を上下方向に切り欠くV字状の溝部により構成されている。すなわち、この第1反射面52は、入射部51と相対する位置にあり、光軸Axを対称軸として互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面により構成されている。
【0042】
第1反射面52では、入射部51から第1インナーレンズ5の内部に入射した光Lを左右両側に分岐するように、それぞれ第2反射面53に向けて内部反射(全反射)させる。
【0043】
第2反射面53は、
図4(c)に示すように、第1インナーレンズ5の第1反射面52を挟んだ左右両側の下端部により構成されている。具体的に、この第2反射面53は、
図4(d)に拡大して示すように、第1インナーレンズ5の第1反射面52を挟んだ左右両側の下端部において、それぞれ左右方向に並ぶ複数の段差部により構成されている。これらの段差部は、第1反射面52で反射された光Lの進行方向に対して平行となる複数の段差面532を有し、且つ、第1インナーレンズ5の左右の両端に向かって段差面532の高さが順に高くなる形状を有している。第2反射面53は、これら複数の段差面532の各間に位置して、互いに同一方向に傾斜する複数の傾斜面531により構成されている。
【0044】
第2反射面53では、第1反射面52で反射された後、第1インナーレンズ5の左右両側に向かう光Lを、各傾斜面531から上方の第2反射面53に向けて内部反射(全反射)させる。
【0045】
第3反射面54は、
図3に示すように、第1インナーレンズ5の上端部に設けられた傾斜面により構成されている。具体的に、この第3反射面54は、第1反射面52よりも上方に位置して、前方に向かって約45°で傾斜した傾斜面により構成されている。また、第3反射面54は、第1インナーレンズ5の左右方向に延びるように形成されている。
【0046】
第3反射面54では、第2反射面53で反射された後、第1インナーレンズ5の上方に向かう光Lを前方(車両後方)の出射面55に向けて内部反射(全反射)させる。
【0047】
出射面55は、
図3及び
図4(a)に示すように、第1インナーレンズ5の上端部から前方(車両後方)に突出した部分の前面に位置して、前後方向に対して略垂直な平面により構成されている。また、出射面55は、第3反射面54と相対する位置にあり、左右方向に延びるように形成されている。
【0048】
出射面55では、第3反射面54で反射された光Lを第1インナーレンズ5の外部へと出射する。これにより、第1インナーレンズ5では、左右方向に拡散した光を出射面55から前方(車両後方)の第2インナーレンズ6Aに向けて出射することが可能となっている。
【0049】
第2インナーレンズ6Aは、本発明を適用した板状の導光体であり、第1インナーレンズ5の前方に配置されて、この第1インナーレンズ5(出射面55)から左右方向に拡散されて出射された光を内部で導光しながら、更に上下方向に拡散した光を前方(車両後方)に向けて出射する機能を有している。
【0050】
具体的に、この第2インナーレンズ6Aは、
図5(a)〜(c)に示すような構成を有している。なお、
図5(a)は、第2インナーレンズ6Aの正面図である。
図5(b)は、
図5(a)中に示す線分F−Fによる断面図である。
図5(c)は、
図5(b)中の囲み部分Gを拡大した断面図である。
【0051】
第2インナーレンズ6Aは、
図2、
図3及び
図5(a)に示すように、略矩形平板状の透光性基材からなる。第2インナーレンズ6Aは、第1導光入射面61と、第1導光反射面62と、第2導光反射面63と、第1導光出射面64と、第2導光入射面65と、第3導光反射面66と、第2導光出射面67とを有している。
【0052】
このうち、第1導光出射面64は、本発明を適用した導光体の「導光出射面」に対応する。一方、第2導光入射面65は、本発明を適用した導光体の「導光入射面」に対応する。一方、第2導光反射面63及び第3導光反射面66は、本発明を適用した導光体の「導光反射面」に対応する。一方、第2導光出射面67は、本発明を適用した導光体の「発光面」に対応する。
【0053】
第1導光入射面61は、第2インナーレンズ6Aの上端部から後方(車両前方)に突出した部分の後面に位置して、前後方向に対して略垂直な平面により構成されている。また、第1導光入射面61は、第1インナーレンズ5の出射面55と対向する位置にあり、この出射面55の形状に合わせて左右方向に延びるように形成されている。
【0054】
第1導光入射面61では、第1インナーレンズ5の出射面55から出射された光Lを第2インナーレンズ6Aの内部へと入射させる。すなわち、第1インナーレンズ5の出射面55から出射された光Lは、第1導光入射面61から前方(車両後方)の第1導光反射面62に向けて入射する。
【0055】
第1導光反射面62は、第2インナーレンズ6Aの上端部の前面に位置して、下方に向かって約45°で傾斜した傾斜面により構成されている。また、第1導光反射面62は、第1導光入射面61と相対する位置にあり、第2インナーレンズ6Aの左右方向に延びるように形成されている。
【0056】
第1導光反射面62では、第1導光入射面61から入射した後、第2インナーレンズ6Aの前方(車両後方)に向かう光Lを第2インナーレンズ6Aの下方に向けて内部反射(全反射)させる。
【0057】
また、第1導光反射面62には、
図2及び
図5(a),(b)に示すように、この第1導光反射面62で反射される光Lを左右方向に略均等に拡散させるための複数のレンズカット62aが設けられている。
【0058】
複数のレンズカット62aは、第1導光反射面62を上下方向に切り欠く略鋸歯状の溝部が左右方向に並ぶことによって構成されている。複数のレンズカット62aは、後述する第2インナーレンズ6Aの発光面(第2導光出射面67)を略均一に発光させるため、第2インナーレンズ6Aの形状に合わせて、第1導光反射面62で反射される光Lの左右方向の拡散を制御している。なお、本実施形態における第2インナーレンズ6Aの発光面(第2導光出射面67)は、下方に向かうに従って幅広となり、且つ、左右方向で湾曲した凸面となっている。
【0059】
具体的には、
図5(c)に拡大して示すように、各レンズカット62aのカットピッチP、カット角度α及びカット曲率Rを第2インナーレンズ6Aの発光面(第2導光出射面67)の形状に合わせて設定する。なお、
図5(c)では、第1導光反射面62で反射される光Lの反射方向を実線の矢印で模式的に示し、光Lの拡散方向を破線の矢印で模式的に示している。
【0060】
このうち、カットピッチPについては、発光面(第2導光出射面67)の発光による見栄えや、第2インナーレンズ6Aの製造性などを考慮して設定される。例えば、カットピッチPを小さくした場合、発光面(第2導光出射面67)の発光による見栄えは良好となるものの、加工難度の上昇による工数増や、研磨し難くなることによる面精度の低下などにより、金型加工性の悪化を招くことになる。逆に、カットピッチPを大きくした場合、カット高さが高くなり成形性が悪化する。したがって、これらのバランスを考慮してカットピッチPを良好な値に設定する。
【0061】
一方、カット角度αについては、カットピッチPの数と、発光面(第2導光出射面67)の湾曲した凸面の角度と、後述する発光面(第2導光出射面67)に向けて反射される光Lの方向から逆算して最適な値に設定される。
【0062】
一方、カット曲率Rについては、上述した最適な値に設定されたカット角度αのカット面(光を反射させる面)が、所望の拡散方向に対応して湾曲するように設定される。
【0063】
第1導光反射面62では、上述した各レンズカット62aのカットピッチP、カット角度α及びカット曲率Rを最適な値に設定することで、
図5(a)に示すように、第2インナーレンズ6Aの形状に合わせて、各レンズカット62aで反射される光Lの反射方向を互いに異ならせている。
【0064】
これにより、第1導光反射面62から第2インナーレンズ6Aの下方に向けて反射される光Lの分布を左右方向で略均等とすることができる。その結果、第2インナーレンズ6Aの発光面(第2導光出射面67)に発光ムラを生じることを防ぐことが可能である。
【0065】
第2導光反射面63、第1導光出射面64、第2導光入射面65及び第3導光反射面66は、
図3に示すように、第2インナーレンズ6Aの後面に位置して、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向(本発明を適用した導光体の「一の方向」に対応する。)に並ぶ複数の段差部68Aにより構成されている。
【0066】
複数の段差部68Aは、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向に対して平行となる複数の段差面69を有している。複数の段差部68Aは、これら複数の段差部68Aが並ぶ方向(上下方向)の両端(上下端)に向かって段差面69の高さが順に高くなる凹構造を有している。具体的に、この凹構造では、第2インナーレンズ6Aの上下方向の略中央部から上下端に向かって段差面69の高さが順に高くなっている。また、各段差面69は、第2インナーレンズ6Aの左右方向にライン状に形成されている。
【0067】
第2インナーレンズ6Aの上端から略中央に向かって段差面69の高さが順に低くなる複数の段差面69の各間には、第2導光反射面63及び第1導光出射面64が配置されている。
【0068】
第2導光反射面63は、高位(上段)側の段差面69と第1導光出射面64との間に位置して、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向に対して互いに同一方向に略45°で傾斜する傾斜面により構成されている。また、第2導光反射面63は、第2インナーレンズ6Aの左右方向にライン状に延びるように形成されている。
【0069】
第2導光反射面63では、第1導光反射面62で反射された光(本発明の「他方の光」に相当する。)Lを前方(車両後方)の第2導光出射面67に向けて内面反射(全反射)させる。(
図3では、第2導光反射面63で反射された光Lを実線L1で表記する。)
【0070】
第1導光出射面64は、第2導光反射面63と低位(下段)側の段差面69との間に位置して、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向に対して直交する平面により構成されている。また、第1導光出射面64は、第2インナーレンズ6Aの左右方向にライン状に延びるように形成されている。
【0071】
第1導光出射面64では、第1導光反射面62で反射された光(本発明の「一方の光」に相当する。)Lを第2インナーレンズ6Aの外部へと出射する。すなわち、第1導光反射面62で反射された光Lは、第1導光出射面64から下方に向けて出射される。
【0072】
一方、第2インナーレンズ6Aの略中央から下端に向かって段差面69の高さが順に高くなる複数の段差面69の各間には、第2導光入射面65及び第3導光反射面66が配置されている。
【0073】
第2導光入射面65は、第3導光反射面66と低位(下段)側の段差面69との間に位置して、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向に対して直交する平面により構成されている。また、第2導光入射面65は、高位(上段)側の段差面69よりも後方(車両前方)に突き出している。さらに、第2導光入射面65は、第2インナーレンズ6Aの左右方向にライン状に延びるように形成されている。
【0074】
第2導光入射面65では、第1導光出射面64から出射された光Lを第2インナーレンズ6Aの内部へと入射させる。すなわち、第1導光出射面64から出射された光Lは、第2導光入射面65から下方に向けて入射される。
【0075】
第3導光反射面66は、高位(上段)側の段差面69と第2導光入射面65との間に位置して、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向に対して互いに同一方向且つ第2導光反射面63と同じ向きに略45°で傾斜する傾斜面により構成されている。また、第3導光反射面66は、第2インナーレンズ6Aの左右方向にライン状に延びるように形成されている。
【0076】
第3導光反射面66では、第2導光入射面65から入射した光Lを前方(車両後方)の第2導光出射面67に向けて内面反射(全反射)させる。(
図3では、第3導光反射面66で反射された光Lを破線L2で表記する。)
【0077】
第2導光出射面67は、第2インナーレンズ6Aの前面に位置して、前後方向に対して略垂直な平坦面により構成されている。一方、第2導光出射面67は、
図2及び
図5(a)に示すように、下方に向かうに従って幅広となり、且つ、左右方向で湾曲した凸面となっている。
【0078】
第2導光出射面67では、第2導光反射面63及び第3導光反射面66で反射された光L1,L2を第2インナーレンズ6Aの外部へと出射する。また、ライン状の第2導光反射面63及び第3導光反射面66が上下方向に複数並んで配置されることによって、第2導光出射面67には、上下方向に並ぶ複数の発光ラインが表示されることなる。
【0079】
これにより、第2インナーレンズ6Aでは、複数の発光ラインによる光L1,L2を前方(車両後方)の第3インナーレンズ8に向けて出射することが可能となっている。
【0080】
リフレクター7は、第2インナーレンズ6Aの後面側に位置して、その反射面が複数の段差部68Aと対向するように配置されている。そして、リフレクター7は、第2インナーレンズ6Aの後面から後方に向けて出射された光L3を前方に向けて反射する。これにより、本実施形態の車両用灯具1Aでは、第2インナーレンズ6Aの前面(第2導光出射面67)側から出射される光L1,L2を増やし、上述した複数の発光ラインによる光L1,L2の輝度を高めることが可能である。
【0081】
また、本実施形態の車両用灯具1Aでは、LEDユニット4からの光Lをリフレクター7の後側にある第1インナーレンズ5からリフレクター7の前側にある第2インナーレンズ6Aへと導光する。このため、LEDユニット4のLED41が車両用灯具1Aの正面から直接見ない構造となっている。これにより、LEDユニット4のLED41に対応する部分が他の部分よりも強く光る、いわゆる点光りが視認されることを防ぐことが可能である。
【0082】
第3インナーレンズ8は、
図3に示すように、平行平板状の透光性基材からなり、第2インナーレンズ6Aの前方に配置されている。第3インナーレンズ8は、いわゆる素通しのレンズとして、第2インナーレンズ6Aから出射された発光ラインによる光L1,L2をそのまま通過(透過)させる。
【0083】
エクステンション9は、いわゆる目隠し用の化粧板であり、第3インナーレンズ8の周囲を覆う遮光部材からなる。これにより、エクステンション9は、第2インナーレンズ6Aの発光面(第2導光出射面67)のみを第3インナーレンズ8を通して前方(車両後方)に露出させる。
【0084】
以上のような構成を有する車両用灯具1Aでは、上述した複数の発光ラインによる光L1,L2を立体的に視認させることができる。ここで、車両用灯具1Aについて、第2インナーレンズ6Aの発光面(第2導光出射面67)において複数の発光ラインを発光させたときの光源像を
図6に示す。なお、
図6では、複数の発光ラインをBLとして表記する。
【0085】
図6に示す複数の発光ラインBLは、上述した複数の段差部68Aにより構成される凹構造の各第2導光反射面63及び第3導光反射面66の高さの差(高低差)を反映して、上下方向の略中央から上下端に向かって順に発光ラインBLの高さが低くなるように、全体として凸状に発光している。
【0086】
これにより、本実施形態の車両用灯具1Aでは、複数の発光ラインBLを立体的に視認させることができる。したがって、この車両用灯具1Aでは、光源数の増加や大型化を回避しつつ、第2インナーレンズ6Aの発光面(第2導光出射面67)が平坦面であっても、これら複数の発光ラインBLにより立体感を演出することが可能である。
【0087】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として
図7に示す車両用灯具1Bについて説明する。
なお、
図7は、車両用灯具1Bの構成を示す断面図である。また、
図7は、上記
図2に示す線分B−Bによる断面図に相当するものである。
【0088】
車両用灯具1Bは、
図7に示すように、上記車両用灯具1Aが備える第2インナーレンズ6Aの代わりに、本発明を適用した導光体である第2インナーレンズ6Bを備えている。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成である。したがって、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0089】
図7に示す第2インナーレンズ6Bは、上記第2インナーレンズ6Aと同様に、第1導光入射面61と、第1導光反射面62と、第2導光反射面63と、第1導光出射面64と、第2導光入射面65と、第3導光反射面66と、第2導光出射面67とを有している。一方、第2導光反射面63、第1導光出射面64、第2導光入射面65及び第3導光反射面66の配置が上記第2インナーレンズ6Aとは異なっている。
【0090】
具体的に、この第2インナーレンズ6Bにおいて、第2導光反射面63、第1導光出射面64、第2導光入射面65及び第3導光反射面66は、第2インナーレンズ6Bの後面に位置して、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向(一の方向)に並ぶ複数の段差部68Bにより構成されている。
【0091】
複数の段差部68Bは、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向に対して平行となる複数の段差面69を有している。複数の段差部68Bは、これら複数の段差部68Bが並ぶ方向(上下方向)の両端に向かって段差面69の高さが順に低くなる凸構造を有している。具体的に、この凸構造では、第2インナーレンズ6Bの上下方向の略中央部から上下端に向かって段差面69の高さが順に低くなっている。また、各段差面69は、第2インナーレンズ6Bの左右方向にライン状に形成されている。
【0092】
第2インナーレンズ6Bの上端から略中央に向かって段差面69の高さが順に高くなる複数の段差面69の各間には、第2導光入射面65及び第3導光反射面66が配置されている。
【0093】
一方、第2インナーレンズ6Bの略中央から下端に向かって段差面69の高さが順に低くなる複数の段差面69の各間には、第2導光反射面63が配置されている。
【0094】
さらに、第1導光出射面64は、第2インナーレンズ6Bの上端部から後方(車両前方)に突出した部分の下面に位置して、第1導光反射面62で反射された光Lの進行方向に対して直交する平面により構成されている。すなわち、この第1導光出射面64は、第1導光反射面62と相対する位置にあり、最も上方に位置する段差面69aよりも更に上方に位置して、左右方向に延びるように形成されている。
【0095】
ここで、最も上方に位置する段差面69aは、例外的に隣接する段差面69よりも高位(上段)に位置している。このため、最も上方に位置する段差面69aに隣接する位置には、第2導光反射面63aが配置されている。但し、この第2導光反射面63aは、隣接する第3導光反射面66よりも低位(下段)に位置している。
【0096】
したがって、上述した複数の段差部68Bにより構成される凸構造の各第2導光反射面63,63a及び第3導光反射面66の高さについては、この凸構造を反映して、第2インナーレンズ6Bの上下方向の略中央部から上下端に向かって順に低くなっている。なお、第2インナーレンズ6Bでは、上述した段差面69a及び第2導光反射面63aを省略した構成としてもよい。
【0097】
また、最も下方に位置する第2導光反射面63bは、第1導光出射面64から出射された光Lではなく、例外的に第2インナーレンズ6B内を導光した光Lを第2導光出射面67に向けて内部反射(全反射)させている。すなわち、第2導光反射面63,63a,63bが反射させる光L1は、第1導光出射面64から出射された光Lに限らず、第2インナーレンズ6B内を導光した光Lであってもよい。
【0098】
以上のような構成を有する車両用灯具1Bでは、上述した複数の発光ラインによる光L1,L2を立体的に視認させることができる。ここで、車両用灯具1Bについて、第2インナーレンズ6Bの発光面(第2導光出射面67)において複数の発光ラインを発光させたときの光源像を
図8に示す。なお、
図8では、複数の発光ラインをBLとして表記する。
【0099】
図8に示す複数の発光ラインBLは、上述した複数の段差部68Bにより構成される凸構造の各第2導光反射面63,63a及び第3導光反射面66の高さの差(高低差)を反映して、上下方向の略中央から上下端に向かって順に発光ラインBLの高さが高くなるように、全体として凹状に発光している。
【0100】
これにより、本実施形態の車両用灯具1Bでは、複数の発光ラインBLを立体的に視認させることができる。したがって、この車両用灯具1Bでは、光源数の増加や大型化を回避しつつ、第2インナーレンズ6Bの発光面(第2導光出射面67)が平坦面であっても、これら複数の発光ラインBLにより立体感を演出することが可能である。
【0101】
なお、本発明は、上記第1及び第2の実施形態に示す車両用灯具1A,1Bの構成に必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0102】
例えば、上記車両用灯具1A,1Bでは、
図9に示す第3インナーレンズ8Aのように、ハーフミラー処理が施されたものを用いてもよい。なお、
図9は、ハーフミラー処理が施された第3インナーレンズ8Aの要部を拡大して示す断面図である。
【0103】
具体的に、この第3インナーレンズ8Aの後面には、
図8に示すように、複数の半透過反射面81が設けられている。半透過反射面81は、第2インナーレンズ6A,6Bの各段差面69,69aと対向する位置に半透過反射膜を形成することによって構成されている。
【0104】
上記車両用灯具1A,1Bにおいて、第3インナーレンズ8Aを用いた場合には、第3インナーレンズ8Aの各半透過反射面81が一部の光L4を透過させ、一部の光L5を反射させる。また、リフレクター7と各半透過反射面81との間で反射を繰り返す。これにより、第3インナーレンズ8Aの各半透過反射面81を透過した相対的に弱い光L4と、各半透過反射面81の間を通過した相対的に強い光L6との輝度差によって、複数の発光ラインに奥行き感を演出することが可能である。また、第3インナーレンズ8Aでは、半透過反射面81の透過率を変更することによって、奥行き感を調整することが可能である。
【0105】
なお、上記第2インナーレンズ6A(6B)では、上述した複数の段差部68A(68B)による凹(凸)構造を例示しているが、本発明を適用した導光体については、このような凹(凸)構造に限らず、複数の段差部の形状や数、サイズ、高さ等を変更することによって、立体的に視認される発光ラインの形状や数、サイズ、位置等を適宜変更することが可能である。
【0106】
また、上記第2インナーレンズ6A(6B)では、発光面(第2導光出射面67)において、上下方向に並ぶ複数の発光ラインBLが表示される場合を例示しているが、本発明を適用した導光体については、このような発光ラインBLに限らず、導光反射面(第2導光反射面63及び第3導光反射面66)の形状や数、サイズ、高さ等を変更することによって、発光面の発光により表示される部分の形状や数、サイズ、位置等を適宜変更することが可能である。
【0107】
なお、上記車両用灯具1A,1Bでは、光源としてLED41を用いた構成となっているが、そのような光源に限らず、例えばレーザーダイオード(LD)や有機EL(OLED)等の発光素子や、従来より一般に使用されているハロゲンランプやHIDランプなどのランプを用いることも可能である。
【0108】
また、上記車両用灯具1A,1Bでは、テールランプに適用した場合を例示しているが、テールランプの場合、車両用灯具1A,1Bを赤色点灯させる必要がある。この場合、LEDユニット4のLED41を赤色発光させる構成としてもよい。また、LEDユニット4を白色発光させる場合は、第1インナーレンズ5と、第2インナーレンズ6と、第3インナーレンズ8と、アウターレンズ3との何れかを赤色透明な構成とすればよい。
【0109】
なお、本発明を適用した車両用灯具は、上述したテールランプ(尾灯)に限らず、例えば、前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯用(デイ)ランプ、リッドランプ、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などであってもよく、本発明が適用可能な車両用灯具であればよい。