特許第6616672号(P6616672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616672
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】バンプストッパ、及び緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/58 20060101AFI20191125BHJP
【FI】
   F16F9/58 B
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-227816(P2015-227816)
(22)【出願日】2015年11月20日
(65)【公開番号】特開2017-96369(P2017-96369A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100181733
【弁理士】
【氏名又は名称】淺田 信二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛仁
(72)【発明者】
【氏名】山本 直紀
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−166345(JP,U)
【文献】 特開2009−204158(JP,A)
【文献】 特開2006−220162(JP,A)
【文献】 実開昭60−071746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00− 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝器の最収縮時に発生する衝撃をバンプクッションと協働して吸収するバンプストッパであって、
前記緩衝器のピストンロッドが挿通可能なロッド孔を有する板状部と、前記緩衝器のシリンダの一部を受け入れ可能な筒状部と、を有するキャップと、
前記板状部に設けられ前記バンプクッションを受けるストッパと、
前記シリンダに対向して前記板状部に設けられるカラーと、を備え、
前記キャップの肉厚は、前記ストッパ及び前記カラーの肉厚よりも薄く、
前記筒状部は、前記シリンダの外周面に固定可能な形状であることを特徴とするバンプストッパ。
【請求項2】
緩衝器の最収縮時に発生する衝撃をバンプクッションと協働して吸収するバンプストッパであって、
前記緩衝器のピストンロッドが挿通可能なロッド孔を有する板状部と、前記緩衝器のシリンダの一部を受け入れ可能な筒状部と、を有するキャップと、
前記板状部に設けられ前記バンプクッションを受けるストッパと、
前記シリンダに対向して前記板状部に設けられるカラーと、を備え、
前記カラーは、前記板状部に放射状に配置され前記板状部を支持する複数の支持部を有し、
前記キャップと前記カラーとによって、前記筒状部の内側を通って前記ロッド孔と前記筒状部の外側とを連通する通路が形成されており、
前記通路は、隣り合う前記支持部の間に形成されていることを特徴とするバンプストッパ。
【請求項3】
前記カラーは、隣り合う前記支持部を連結する連結部を更に有することを特徴とする請求項2に記載のバンプストッパ。
【請求項4】
前記ロッド孔は開口部を有し、
前記連結部は、前記開口部の内周面よりも径方向内側に位置し、かつ前記支持部に沿って平面状に形成されることを特徴とする請求項3に記載のバンプストッパ。
【請求項5】
前記ロッド孔は開口部を有し、
前記連結部は、前記開口部の内周面よりも径方向内側に位置し、かつ前記支持部に対して窪んで形成されることを特徴とする請求項3に記載のバンプストッパ。
【請求項6】
前記ロッド孔は円形状であり、
前記連結部は、前記ロッド孔の円の内周面よりも径方向内側に位置し、かつ前記支持部に対して窪んで形成されることを特徴とする請求項3に記載のバンプストッパ。
【請求項7】
前記連結部は、環状に形成されており、前記板状部の前記ロッド孔内に配置されていることを特徴とする請求項6に記載のバンプストッパ。
【請求項8】
前記複数の支持部は、互いに分離されていることを特徴とする請求項2に記載のバンプストッパ。
【請求項9】
前記ストッパの内周面は、前記板状部の前記ロッド孔の内周面よりも径方向内側に位置することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のバンプストッパ。
【請求項10】
前記ストッパ及び前記カラーは、前記キャップにプロジェクション溶接により固定されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のバンプストッパ。
【請求項11】
請求項からのいずれか1項に記載のバンプストッパと、
前記板状部の前記ロッド孔に挿通したピストンロッドと、を備え、
前記通路の流路断面は、前記ストッパと前記ピストンロッドとの間の隙間における流路断面と比較して大きいことを特徴とする緩衝器。
【請求項12】
シリンダと、
前記シリンダ内に進退自在に挿入されるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの外周に設けられるバンプクッションと、
前記シリンダに取り付けられ、最収縮時に発生する衝撃を前記バンプクッションと協働して吸収するバンプストッパと、を備え、
前記シリンダは、
チューブと、
前記チューブの内周に設けられ前記ピストンロッドの外周面と摺接するオイルシールと、を備え、
前記オイルシールは、前記チューブの端部を前記オイルシールと軸方向に対向するように折り曲げることにより前記チューブに固定されており、
前記バンプストッパは、
前記ピストンロッドが挿通可能なロッド孔を有する板状部と、前記シリンダの一部を受け入れる筒状部と、を有するキャップと、
前記板状部に設けられ前記バンプクッションを受けるストッパと、
前記チューブにおける前記オイルシールと軸方向に対向するように折り曲げられた前記端部と前記板状部との間に設けられ前記オイルシールと前記板状部とを離間するカラーと、を備えることを特徴とする緩衝器。
【請求項13】
前記キャップの肉厚は、前記ストッパ及び前記カラーの肉厚よりも薄く、
前記筒状部は、前記シリンダの外周面に固定されることを特徴とする請求項12に記載の緩衝器。
【請求項14】
シリンダと、
前記シリンダ内に進退自在に挿入されるピストンロッドと、
前記ピストンロッドの外周に設けられるバンプクッションと、
前記シリンダに取り付けられ、最収縮時に発生する衝撃を前記バンプクッションと協働して吸収するバンプストッパと、を備え、
前記シリンダは、
チューブと、
前記チューブの内周に設けられ前記ピストンロッドの外周面と摺接するオイルシールと、を備え、
前記オイルシールは、前記チューブの端部を折り曲げることにより前記チューブに固定されると共に前記チューブから前記ピストンロッドに沿って延出しており、
前記バンプストッパは、
前記ピストンロッドが挿通可能なロッド孔を有する板状部と、前記シリンダの一部を受け入れる筒状部と、を有するキャップと、
前記板状部に設けられ前記バンプクッションを受けるストッパと、
前記チューブにおける前記オイルシールが延出する折り曲げ端部と前記板状部との間に設けられ前記オイルシールと前記板状部とを離間するカラーと、を備え、
前記ストッパ及び前記カラーは、前記キャップにプロジェクション溶接により固定されていることを特徴とする緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンプストッパ、及びバンプストッパを備える緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器の最収縮時に発生する衝撃を吸収するバンプストッパが知られている(例えば特許文献1,2)。特許文献1,2に開示されるバンプストッパは、ピストンロッドが移動自在に挿入されたシリンダ体の端部上、又はシリンダ体を収容する外筒の端部上に搭載される。ピストンロッドの最収縮時の衝撃は、バンプストッパと、ピストンロッドの上端部に設けられたバンプクッションと、によって吸収される。
【0003】
特許文献1に開示されるバンプストッパは、バンプクッションを受ける水平板部と、水平板部から下方に延設されて折り畳まれる折り畳み部と、折り畳み部に形成された連通孔と、を有する。水平板部の中央には、ピストンロッドが挿通する挿通孔が設けられている。折り畳み部は、水平板部の挿通孔にピストンロッドが挿通した状態でシリンダ体の端部上に載置され、水平板部とシリンダ体との間に空間を確保する。水平板部とピストンロッドとの間の隙間からこの空間に流入した泥水及び埃は、折り畳み部の連通孔を通じてバンプストッパの外部へ排出される。
【0004】
特許文献2では、円板状のバンプストッパが開示されている。円板状のバンプストッパの下面には突条が形成されている。突条の先端は緩衝器の外筒の可締め部に溶接されており、突条によりバンプストッパの平板部と可締め部との間に空間が確保されている。バンプストッパとピストンロッドとの間の隙間からこの空間に流入したダストは、平板部の下面に形成される通路を通じて排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4048083号公報
【特許文献2】特開平9−317811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるバンプストッパでは、折り畳み部は、パイプ材又は平板をプレス加工で折り畳むことによって形成される。折り畳み部では曲げ角度が大きい(約180度)ため、パイプ材又は平板を折り畳む際に折り畳み部に亀裂が生じやすい。そのため、バンプストッパの製造に高度な技術が要求される。
【0007】
特許文献2に開示されるバンプストッパでは、突条は、平板の上面の一部を窪めることによって形成される。そのため、このバンプストッパは、緩衝器が最圧縮してバンプクッションから衝撃を受けたときに、突条及び窪みのない元の平板に戻るように変形しやすく、強度が不足する虞がある。
【0008】
このように、特許文献1,2に開示されるバンプストッパは、折り畳み部や突条といった複雑な形状を有する。そのため、バンプストッパの製造が困難であるとともに、バンプストッパが十分な強度を有しない虞がある。
【0009】
本発明は、製造が容易で十分な強度を有するバンプストッパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、板状部と筒状部とを有するキャップと、板状部に設けられるストッパと、シリンダに対向して板状部に設けられるカラーと、を備え、キャップの肉厚は、ストッパ及びカラーの肉厚よりも薄く、筒状部は、シリンダの外周面に固定可能な形状であることを特徴とする。
【0011】
第1の発明では、カラーがシリンダに対向して板状部に設けられるので、キャップを複雑な形状に形成する必要がない。
【0012】
第2の発明は、カラーが板状部に放射状に配置された複数の支持部を有し、キャップとカラーとによって、筒状部の内側を通って板状部のロッド孔と筒状部の外側とを連通する通路が形成されており、通路は、隣り合う支持部の間に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第2の発明では、通路が隣り合う支持部の間に形成されているので、板状部の通路形成部分が両側の支持部によって支えられ、変形し難い。したがって、通路の断面形状の変形を防ぐことができ、ロッド孔からキャップ内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップの外側に排出することができる。
【0014】
第3の発明は、カラーが、隣り合う支持部を連結する連結部を更に有することを特徴とする。
【0015】
第3の発明では、連結部が隣り合う支持部を連結しているので、複数の支持部が連結部により一体化される。したがって、カラーを容易に扱うことができる。
【0016】
第4の発明は、ロッド孔が開口部を有し、連結部が、開口部の内周面よりも径方向内側に位置し、かつ支持部に沿って平面状に形成されることを特徴とする。
【0017】
第4の発明では、連結部が支持部に沿って平面状に形成されるので、カラーがシンプルになる。また、連結部とストッパとが接触しないように連結部とストッパとの間の隙間を考慮してカラーを作る必要がなく、カラーを作るのが容易になる。
【0018】
第5の発明は、ロッド孔が開口部を有し、連結部が、開口部の内周面よりも径方向内側に位置し、かつ支持部に対して窪んでいることを特徴とする。
【0019】
第5の発明では、連結部が支持部に対して窪んでいるので、通路がシリンダの端面に沿って直線的に形成される。したがって、通路における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔からキャップ内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップの外側に排出することができる。
【0020】
第6の発明は、ロッド孔が円形状であり、連結部が、ロッド孔の円の内周面よりも径方向内側に位置し、かつ支持部に対して窪んで形成されることを特徴とする。
【0021】
第6の発明では、連結部がロッド孔の円の内周面よりも径方向内側に位置するので、窪みの起立部が通路の流路断面上になく、通路の幅が広がる。したがって、通路における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔からキャップ内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップの外側に排出することができる。
【0022】
第7の発明は、連結部が環状に形成されており、板状部のロッド孔内に配置されていることを特徴とする。
【0023】
第7の発明では、連結部はロッド孔内に配置しているので、連結部はキャップによって覆われない。したがって、カラーをキャップに固定する際にキャップの外側から連結部を見ることができ、連結部をロッド孔の内壁面に容易に接合することができる。
【0024】
第8の発明は、複数の支持部が互いに分離されていることを特徴とする。
【0025】
第8の発明では、複数の支持部が互いに分離されているので、隣り合う支持部の間に連結部等の部材がなく、通路の幅が広がる。したがって、通路における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔からキャップ内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップの外側に排出することができる。
【0026】
第9の発明は、ストッパの内周面が板状部のロッド孔の内周面よりも径方向内側に位置することを特徴とする。
【0027】
第9の発明では、ストッパの内周面が板状部のロッド孔の内周面よりも内側に位置するので、ストッパとピストンロッドとの間の隙間は、ロッド孔の内周面とピストンロッドとの間の隙間よりも小さい。したがって、ロッド孔の大きさに関わらず、ストッパとピストンロッドとの間の隙間にバンプクッションが入り難く、バンプクッションの破損を防止することができる。
【0028】
第1の発明は、前述のバンプストッパと、ロッド孔に挿通したピストンロッドと、を備え、通路の流路断面が、ストッパとピストンロッドとの間の隙間における流路断面と比較して大きいことを特徴とする。
【0029】
第1の発明では、通路の流路断面がストッパとピストンロッドとの間の隙間における流路断面と比較して大きいので、この隙間から通路に流入した流体及び塵埃は通路内で停滞し難い。したがって、ロッド孔からキャップ内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップの外側に排出することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、製造が容易で十分な強度を有するバンプストッパを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に係るバンプストッパを備える緩衝器の断面図である。
図2図1に示すバンプストッパの正面図である。
図3図1に示すバンプストッパの底面図である。
図4A図1及び図3に示すカラーの底面図である。
図4B図1及び図3に示すキャップの底面図である。
図4C図1及び図3に示すストッパの底面図である。
図5】第1実施形態の変形例に係るバンプストッパの底面図である。
図6図1に示す緩衝器の断面図であり、緩衝器が収縮した状態を示す。
図7】本発明の第2実施形態に係るバンプストッパを備える緩衝器の断面図である。
図8図7に示すバンプストッパの底面図である。
図9図8のIX−IX線に沿う断面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係るバンプストッパを備える緩衝器の断面図である。
図11図10に示すバンプストッパの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。ここでは、作動流体として作動油が用いられる油圧緩衝器について説明するが、作動水等の他の流体を作動流体として用いてもよい。
【0033】
<第1実施形態>
まず、図1から図4Cを参照して、本発明の第1実施形態に係るバンプストッパ100、及びバンプストッパ100を備える緩衝器1について説明する。緩衝器1は、例えば、車両の車体5と車軸(図示せず)との間に設けられ減衰力を発生させて車体5の振動を抑制する。
【0034】
緩衝器1は、図1に示すように、作動油が封入されるシリンダ10と、シリンダ10内に進退自在に挿入されるピストンロッド30と、を備える。シリンダ10にはピストン(図示せず)が摺動自在に収容されており、ピストンロッド30の一端はピストンに連結されている。ピストンにより、シリンダ10の内部が伸側室11と不図示の圧側室とに区画されている。
【0035】
シリンダ10は、略筒状のチューブ12と、チューブ12の一端部に設けられるロッドガイド13及びオイルシール14と、を有する。ロッドガイド13およびオイルシール14は、チューブ12の端部を内側に折り曲げることによりチューブ12に固定される。
【0036】
ロッドガイド13は環状に形成されており、ロッドガイド13の内周にはブッシュ15が設けられている。ピストンロッド30は、ブッシュ15を介してロッドガイド13に摺動自在に支持されている。
【0037】
オイルシール14は、環状のベースメタル14aと、ベースメタル14aの内周に設けられるリップ14b,14cと、を有する。リップ14b,14cは、加硫接着によりベースメタル14aに接合される。
【0038】
リップ14bはピストンロッド30と摺接し、シリンダ10内の作動油が外部に漏れることを防止する。リップ14cは、ピストンロッド30と摺接し、異物がシリンダ10内に流入することを防止する。
【0039】
ピストンロッド30の他端には雄ねじ部31が形成されている。雄ねじ部31が車体5の孔5aに挿通した状態で不図示のナットが雄ねじ部31に螺合することにより、ピストンロッド30は車体5に固定される。
【0040】
チューブ12の他端部にはボトム部材(不図示)が取り付けられており、ボトム部材によりチューブ12の開口が塞がれている。ボトム部材には車軸に取り付けられる連結部(不図示)が設けられており、連結部によりボトム部材(シリンダ10)が連結される。
【0041】
前述のピストンは、伸側室11と圧側室とを連通する第1及び第2ピストン通路を有する。第1及び第2ピストン通路には、それぞれ、第1及び第2減衰バルブが設けられている。
【0042】
第1減衰バルブは、緩衝器1の収縮時に圧側室と伸側室11との差圧により開弁して第1ピストン通路を開放するとともに、第1ピストン通路を通って圧側室から伸側室11に移動する作動油の流れに抵抗を与える。また、第1減衰バルブは、緩衝器1の伸長時には、第1ピストン通路を閉塞する。
【0043】
第2減衰バルブは、緩衝器1の伸長時に伸側室11と圧側室との差圧により開弁して第2ピストン通路を開放するとともに、第2ピストン通路を通って伸側室11から圧側室に移動する作動油の流れに抵抗を与える。また、第2減衰バルブは、緩衝器1の収縮時には、第2ピストン通路を閉塞する。
【0044】
このように、緩衝器1は、伸縮動作に伴って減衰力を発生し、車体5の振動を抑制する。
【0045】
また、緩衝器1は、シリンダ10と車体5との間でピストンロッド30の外周に設けられるバンプクッション40と、シリンダ10に取り付けられるバンプストッパ100と、を更に備える。
【0046】
バンプクッション40は収縮可能な材料からなる。緩衝器1の収縮時にバンプクッション40がバンプストッパ100に当たって収縮することにより、緩衝器1の作動により発生する衝撃が吸収される。このように、バンプストッパ100は、緩衝器1の最収縮時に発生する衝撃をバンプクッション40と協働して吸収する。
【0047】
図1から図3に示すように、バンプストッパ100は、シリンダ10の上端側を覆うキャップ110と、キャップ110に支持されるストッパ120と、キャップ110の内側に設けられるカラー130と、を備える。
【0048】
キャップ110は、ピストンロッド30が挿通可能な第1ロッド孔112を有する板状部111と、シリンダ10の上端側を受け入れ可能な筒状部115と、を有する。第1ロッド孔112は、板状部111の第1面(内面)111aと第2面(外面)111bとの間を貫通するように形成されている。以下において、第1ロッド孔112を、単に「ロッド孔112」とも称する。
【0049】
図4A図4B及び図4Cは、それぞれ、カラー130、キャップ110及びストッパ120の底面図である。図4A図4B及び図4Cには、ピストンロッド30が一点鎖線により描かれている。
【0050】
図4Bに示すように、ロッド孔112は、板状部111の略中央に位置している。ロッド孔112の内周面は、円弧状に形成される複数の曲面部112aと、曲面部112aから板状部111の外側に向かって窪むように形成される複数の凹状面部112bと、を有する。凹状面部112bによって、略矩形状の開口部112cが区画されている。
【0051】
本実施形態では、各凹状面部112bは3つの平面から形成されるが、1つの曲面から形成されていてもよい。凹状面部112bが1つの曲面から形成される場合には、開口部112cは、略半円形状に区画される。
【0052】
円弧状の各曲面部112aの中心は略一致し、曲面部112aの曲率半径はピストンロッド30の半径よりも大きい。そのため、バンプストッパ100がシリンダ10(図1参照)に取り付けられた状態では、ロッド孔112の内壁面とピストンロッド30との間に隙間が形成される。
【0053】
図1から図3に示すように、筒状部115は、板状部111と連続して形成されている。筒状部115がシリンダ10を受け入れた状態では、板状部111の内面111aがシリンダ10の端面(オイルシール14)と対向する。
【0054】
筒状部115は、内側に突出する複数の突部116を有する。複数の突部116は、筒状部115の外周面を窪ませることによって形成されている。筒状部115がシリンダ10を受け入れた状態では、複数の突部116は、筒状部115を押し開くようにシリンダ10の外周面に当接する。そのため、キャップ110からシリンダ10を抜き出すには比較的大きな力が必要とされ、キャップ110がシリンダ10から外れるのを防止することができる。
【0055】
ストッパ120は、板状部111の外面111bに設けられており、プロジェクション溶接によってキャップ110に固定されている。バンプクッション40は、緩衝器1の収縮時にはストッパ120によって受け止められる。
【0056】
ストッパ120の略中央には円形の第2ロッド孔121が形成されている(図4C参照)。バンプストッパ100は、第2ロッド孔121にピストンロッド30が挿通した状態でシリンダ10に取り付けられる。
【0057】
ストッパ120の第2ロッド孔121の内周面は、板状部111のロッド孔112の内周面よりも内側に位置している。そのため、ストッパ120とピストンロッド30との間の隙間は、板状部111とピストンロッド30との間の隙間よりも小さい。したがって、板状部111のロッド孔112の大きさに関わらず、バンプクッション40がストッパ120とピストンロッド30との間の隙間に入り難く、バンプクッション40の破損を防止することができる。
【0058】
また、ストッパ120は板状部111の外面111bに設けられているので、ストッパ120は、ピストンロッド30の軸方向にオイルシール14から離間される。したがって、ストッパ120とピストンロッド30との間の隙間を狭めても、ストッパ120とオイルシール14(より具体的はリップ14c)との接触を防止することができる。
【0059】
板状部111とピストンロッド30との間の隙間はストッパ120とピストンロッド30との間の隙間と比較して大きいので、板状部111のロッド孔112の内周面は、ピストンロッド30の径方向にリップ14cから離間される。したがって、板状部111とシリンダ10との間の間隔を狭めても、板状部111とリップ14cとの接触を防止することができる。
【0060】
カラー130は、板状部111の内面111aに設けられており、プロジェクション溶接によってキャップ110に固定されている。バンプストッパ100がシリンダ10に取り付けられた状態では、カラー130はシリンダ10に対向し、板状部111とシリンダ10とを離間する。そのため、ストッパ120がオイルシール14から十分に離間され、ストッパ120とオイルシール14との接触をより確実に防止することができる。
【0061】
図3及び図4Aに示すように、カラー130は、板状部111を支持する複数の支持部131と、隣り合う支持部131を連結する複数の連結部132と、を有する。複数の支持部131は、連結部132により一体化される。つまり、カラー130は1つの部材として形成される。したがって、カラー130をキャップ110に取り付ける際に、カラー130を容易に扱うことができる。後述する第2及び第3実施形態においても、同様の効果がもたらされる。
【0062】
カラー130には、複数の支持部131と複数の連結部132とによって円形の第3ロッド孔133が形成されている。バンプストッパ100は、カラー130の第3ロッド孔133にピストンロッド30が挿通した状態でシリンダ10に取り付けられる。
【0063】
カラー130の第3ロッド孔133の半径は板状部111の曲面部112aの曲率半径と一致し、第3ロッド孔133の内周面と曲面部112aとは段差なく連続している。板状部111とピストンロッド30との間の隙間がストッパ120とピストンロッド30との間の隙間と比較して大きいので、板状部111の曲面部112aと段差なく連続する第3ロッド孔133の内周面は、ピストンロッド30の径方向にリップ14cから十分に離間される。したがって、カラー130とリップ14cとの接触が防止される。
【0064】
複数の支持部131は、隣り合う開口部112cの間に放射状に配置されている。これにより、隣り合う支持部131の間には、ロッド孔112の開口部112cと連通する放射状の通路140が形成される。通路140は、シリンダ10の外周面と筒状部115の内周面との間の隙間を通じて筒状部115の外側と連通している。
【0065】
「筒状部115の外側」とは、筒状部115の内側を除いた空間を意味し、具体的には、図1において、筒状部115の左端よりも左側の空間、筒状部115の右端よりも右側の空間、筒状部115の上端よりも上側の空間、及び筒状部115の下端よりも下側の空間を含む。本実施形態では、通路140は、シリンダ10の外周面と筒状部115の内周面との間の隙間を通じて、筒状部115の下端よりも下側の空間と連通している。
【0066】
通路140が隣り合う支持部131の間に形成されているので、板状部111の通路形成部分が両側の支持部131によって支えられ、変形し難い。したがって、通路140の断面形状の変形を防ぐことができ、板状部111のロッド孔112からキャップ110内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110の外側に排出することができる。
【0067】
バンプクッション40の収縮に伴って、バンプクッション40の周辺に空気の流れが生じる。流体の流れによって、板状部111のロッド孔112の内周面とピストンロッド30との間の隙間に流体及び塵埃が流入することがある。また、板状部111のロッド孔112の内周面とピストンロッド30との間の隙間に水といった液体が流入することがある。
【0068】
本実施形態では、通路140は、筒状部115の内側を通って板状部111のロッド孔112と筒状部115の外側とを連通している。そのため、板状部111のロッド孔112の内周面とピストンロッド30との間の隙間に流入した流体や塵埃は、ロッド孔112の開口部112c及び通路140を通じてキャップ110の外側に排出される。
【0069】
連結部132は、凹状面部112bよりも径方向内側を延びるようにロッド孔112の開口部112cを跨いでいる。そのため、通路140は、ロッド孔112の開口部112cと連通する。したがって、通路140における流れが連結部132によって遮られず、ロッド孔112からキャップ110内に流入する流体や塵埃をより確実にキャップ110の外側に排出することができる。
【0070】
また、連結部132は、支持部131に対して窪むことなく、支持部131に沿って平面状に形成される。そのため、カラー130がシンプルになる。加えて、連結部132とストッパ120とが接触しないように連結部132とストッパ120との間の隙間を考慮する必要がなく、カラーを作るのが容易になる。
【0071】
通路140の流路断面は、ストッパ120とピストンロッド30との間の隙間における流路断面と比較して大きい。そのため、この隙間から通路140に流入した流体及び塵埃は、通路140内で滞留し難い。したがって、ロッド孔112からキャップ110内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110の外側に排出することができる。
【0072】
本実施形態では、ロッド孔112とキャップ110の外側とを連通する通路140がキャップ110とカラー130とによって形成されるので、キャップ110を複雑な形状に形成する必要がない。したがって、バンプストッパ100を容易に形成することができるとともに、バンプストッパ100の強度の低下を防ぐことができる。
【0073】
図5は、本実施形態の変形例に係るバンプストッパ101を示す底面図である。図5に示すように、板状部111には円形状のロッド孔112が形成されている。また、カラー130は、連結部132(図3及び図4A参照)に相当する部分を有しておらず、複数の支持部131は互いに分離されている。このようなバンプストッパ101においても、通路140がカラー130とキャップ110とによって形成される。したがって、バンプストッパ101を容易に形成することができるとともに、バンプストッパ101の強度の低下を防ぐことができる。
【0074】
バンプストッパ101では、複数の支持部131が互いに分離されているので、隣り合う支持部131の間に連結部132等の部材がなく、通路140の幅が広がる。したがって、通路140における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔121からキャップ110内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110の外側に排出することができる。
【0075】
次に、緩衝器1の動作について説明する。バンプストッパ100は、緩衝器1が収縮する際にのみバンプクッション40と協働して衝撃を吸収するので、ここでは、緩衝器1の収縮動作のみについて説明する。
【0076】
緩衝器1が収縮すると、バンプクッション40はバンプストッパ100に当たる(図6参照)。バンプクッション40が収縮することにより、緩衝器1の最収縮時に発生する衝撃が吸収される。
【0077】
バンプクッション40の収縮に伴って、バンプクッション40の周辺に空気の流れが生じる。このとき、板状部111のロッド孔112の内周面とピストンロッド30との間の隙間に流体及び塵埃が流入する。
【0078】
板状部111のロッド孔112の内周面とピストンロッド30との間の隙間に流入した流体及び塵埃は、通路140を通じてキャップ110の外側に排出される(図6中に矢印で示す経路)。したがって、キャップ110内の圧力の上昇、及びキャップ110内での塵埃の堆積を防ぐことができる。
【0079】
<第2実施形態>
次に、図7から図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るバンプストッパ200について説明する。第1実施形態における構成と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
図7は、バンプストッパ200を備える緩衝器2の断面図である。図8は、バンプストッパ200の底面図である。図9は、図8のIX−IX線に沿う断面図である。
【0081】
バンプストッパ200は、キャップ110と、ストッパ120と、キャップ110の内側に設けられるカラー230と、を備える。カラー230は、複数の支持部131と、隣り合う支持部131を連結する複数の連結部232と、を有する。
【0082】
連結部232は、ロッド孔112に入り込むように支持部131に対してピストンロッド30の軸方向に窪んでいる。具体的には、図9に示すように、連結部232は、支持部131と連続して形成された基部232aと、基部232aと連続して形成された中間部232bと、を有する。基部232aはストッパ120に向けて曲げられており、中間部232bはストッパ120に接している。
【0083】
図9に示される形態では、連結部232の厚みは支持部131の厚みと略等しく、連結部232の窪みは、基部232aを曲げることによって形成されている。そのため、連結部は支持部131に対してピストンロッド30の軸方向に突出している。
【0084】
連結部232の窪みは、基部232aを曲げることなく形成されていてもよい。例えば、連結部232の厚みを支持部131の厚みよりも薄くすることによって窪みが形成されていてもよい。
【0085】
バンプストッパ200は、第1実施形態に係るバンプストッパ100が奏する効果に加え、以下に示す効果を奏する。
【0086】
連結部232が窪んでいるので、図7に示すように、通路240が連結部232とシリンダ10との間にシリンダ10の端面(オイルシール14の表面)に沿って直線的に形成される。したがって、通路240における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔112からキャップ110内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110の外側に排出することができる。後述する第3実施形態においても、同様の効果がもたらされる。
【0087】
連結部232は、ストッパ120に接していなくてもよい。また、連結部232は、ロッド孔112の内壁面に接していてもよい。
【0088】
緩衝器2の動作については、緩衝器1の動作と略同じなので、ここではその説明を省略する。
【0089】
<第3実施形態>
次に、図10及び図11を参照して、本発明の第3実施形態に係るバンプストッパ300について説明する。第1及び第2実施形態における構成と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
図10はバンプストッパ300を備える緩衝器3の断面図である。図11は、バンプストッパ300の底面図である。
【0091】
バンプストッパ300は、キャップ310と、ストッパ120と、キャップ310の内側に設けられるカラー330と、を備える。キャップ310の板状部311には、円形のロッド孔312が形成されている。ロッド孔312にはピストンロッド30が挿通可能である。
【0092】
カラー330の連結部332は、ロッド孔312の円の内周面よりも径方向内側に位置している。加えて、連結部332は支持部131に対して窪んで形成される。
【0093】
図9に示されるように、連結部232が開口部112cに収まるように窪んでいる場合、窪みの起立部Sが通路240の流路断面上に形成される。起立部Sの分、通路240が狭まる。
【0094】
本実施形態では、連結部332がロッド孔312の円の内周面よりも径方向内側に位置するので、窪みの起立部が通路340の流路断面上になく、通路340の幅が広がる。したがって、通路340における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔312からキャップ310内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップの外側に排出することができる。
【0095】
また、カラー330の連結部332は、環状に形成され第3ロッド孔333を有する。ピストンロッド30は第3ロッド孔333に挿通可能である。複数の支持部131は、環状の連結部332の外周に配置されている。カラー330は、連結部332と板状部311のロッド孔312の内周面との接合によって、キャップ310に固定されている。
【0096】
連結部332は、板状部311のロッド孔312内に配置されている。そのため、連結部332はキャップ310によって覆われない。したがって、カラー330をキャップ310に固定する際にキャップ310の外側から連結部332を見ることができ、連結部332を板状部311のロッド孔312の内周面に容易に接合することができる。
【0097】
連結部332は、ストッパ120に接していてもよいし、接していなくてもよい。
【0098】
バンプストッパ300は、第1及び第2実施形態に係るバンプストッパ100,200が奏する効果に加え、以下に示す効果を奏する。
【0099】
連結部332がキャップ310によって覆われないので、カラー330をキャップ310に固定する際にキャップ310の外側から連結部332を見ることができ、連結部332を板状部311のロッド孔312の内周面に容易に接合することができる。
【0100】
緩衝器3の動作については、緩衝器1の動作と略同じなので、ここではその説明を省略する。
【0101】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0102】
本実施形態では、バンプストッパ100,101,200,300は、緩衝器1,2,3の最収縮時に発生する衝撃をバンプクッション40と協働して吸収する。バンプストッパ100,101,200,300は、緩衝器1,2,3のピストンロッド30が挿通可能なロッド孔112,312を有する板状部111,311と、緩衝器1,2,3のシリンダ10の一部を受け入れ可能な筒状部115と、を有するキャップ110,310と、板状部111,311に設けられバンプクッション40を受けるストッパ120と、シリンダ10に対向して板状部111,311に設けられるカラー130,230,330と、を備えることを特徴とする。
【0103】
この構成では、カラー130,230,330がシリンダ10に対向して板状部111,311に設けられるので、キャップ110,310を複雑な形状に形成する必要がない。したがって、製造が容易で十分な強度を有するバンプストッパ100,101,200,300を提供することができる。
【0104】
また、本実施形態では、バンプストッパ100,101,200,300は、カラー130,230,330が、板状部111,311に放射状に配置され板状部111,311を支持する複数の支持部131を有し、キャップ110,310とカラー130,230,330とによって、筒状部115の内側を通ってロッド孔112,312とキャップ110,310の外側とを連通する通路140,240,340が形成されており、通路140,240,340は、隣り合う支持部131の間に形成されていることを特徴とする。
【0105】
この構成では、通路140,240,340が隣り合う支持部131の間に形成されているので、板状部111,311の通路形成部分が両側の支持部131によって支えられ、変形し難い。したがって、通路140,240,340の断面形状の変形を防ぐことができ、ロッド孔112,312からキャップ110,310内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110,310の外側に排出することができる。
【0106】
また、本実施形態では、バンプストッパ100,200,300は、カラー130,230,330が、隣り合う支持部131を連結する連結部132,232,332を更に有することを特徴とする。
【0107】
この構成では、連結部132,232,332が隣り合う支持部131を連結しているので、複数の支持部131が連結部132,232,332により一体化される。したがって、カラー130,230,330を容易に扱うことができる。
【0108】
また、本実施形態では、バンプストッパ100は、ロッド孔112が開口部112cを有し、連結部132が、開口部112cの内周面よりも径方向内側に位置し、かつ支持部131に沿って平面状に形成されることを特徴とする。
【0109】
この構成では、連結部132が支持部131に沿って平面状に形成されるので、カラー130がシンプルになる。また、連結部132とストッパ120とが接触しないように連結部132とストッパ120との間の隙間を考慮してカラー130を作る必要がなく、カラー130を作るのが容易になる。
【0110】
また、本実施形態では、バンプストッパ200は、ロッド孔112が開口部112cを有し、連結部232が、開口部112cの内周面よりも径方向内側に位置し、かつ支持部131に対して窪んで形成されることを特徴とする。
【0111】
この構成では、連結部232が支持部131に対して窪んでいるので、通路240がシリンダ10の端面に沿って直線的に形成される。したがって、通路240における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔112からキャップ110内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110の外側に排出することができる。
【0112】
また、本実施形態では、バンプストッパ300は、ロッド孔312が円形状であり、連結部332が、ロッド孔312の円の内周面よりも径方向内側に位置し、かつ支持部131に対して窪んで形成されることを特徴とする。
【0113】
この構成では、連結部332がロッド孔312の円の内周面よりも径方向内側に位置するので、窪みの起立部が通路340の流路断面上になく、通路340の幅が広がる。したがって、通路340における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔312からキャップ310内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ310の外側に排出することができる。
【0114】
また、本実施形態では、バンプストッパ300は、連結部332が環状に形成されており、板状部311のロッド孔312内に配置されていることを特徴とする。
【0115】
この構成では、環状の連結部332がロッド孔312内に配置されているので、連結部332はキャップ310によって覆われない。したがって、カラー330をキャップ310に固定する際にキャップ310の外側から連結部332を見ることができ、連結部332をロッド孔312の内壁面に容易に接合することができる。
【0116】
また、本実施形態では、バンプストッパ101は、複数の支持部131が互いに分離されていることを特徴とする。
【0117】
この構成では、複数の支持部131が互いに分離されているので、隣り合う支持部131の間に連結部132等の部材がなく、通路140の幅が広がる。したがって、通路140における流れ抵抗を減らすことができ、ロッド孔121からキャップ110内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110の外側に排出することができる。
【0118】
また、本実施形態では、バンプストッパ100,101,200,300は、ストッパ120の内周面が、板状部111,311のロッド孔112,312の内周面よりも径方向内側に位置することを特徴とする。
【0119】
この構成では、ストッパ120の内周面が板状部111,311のロッド孔112,312の内周面よりも内側に位置するので、ストッパ120とピストンロッド30との間の隙間は、ロッド孔112,312の内周面とピストンロッド30との間の隙間よりも小さい。したがって、ロッド孔112,312の大きさに関わらず、ストッパ120とピストンロッド30との間の隙間にバンプクッション40が入り難く、バンプクッション40の破損を防止することができる。
【0120】
また、本実施形態では、緩衝器1,2,3は、前述のバンプストッパ100,101,200,300と、ロッド孔112,312に挿通したピストンロッド30と、を備え、通路140,240,340の流路断面は、ストッパ120とピストンロッド30との間の隙間における流路断面と比較して大きいことを特徴とする。
【0121】
この構成では、通路140,240,340の流路断面がストッパ120とピストンロッド30との間の隙間における流路断面と比較して大きいので、この隙間から通路140,240,340に流入した流体及び塵埃は通路140,240,340内で停滞し難い。したがって、ロッド孔112,312からキャップ110,310内に流入した流体及び塵埃をより確実にキャップ110,310の外側に排出することができる。
【0122】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0123】
1,2,3・・・緩衝器、10・・・シリンダ、30・・・ピストンロッド、40・・・バンプクッション、100,101,200,300・・・バンプストッパ、110,310・・・キャップ、111,311・・・板状部、112,312・・・第1ロッド孔(ロッド孔)、115・・・筒状部、120・・・ストッパ、130,230,330・・・カラー、131・・・支持部、132,232,332・・・連結部、140,240,340・・・通路
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11