(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2壁の先端に、前記第1壁と間隔をあけて対向するように前記第2壁に対して折り曲げられている第5壁を備え、この第5壁まで前記突出片が突出している、請求項4に記載の包装箱。
前記差込穴は、前記第1壁側から前記第2壁の先端に向けて漸次広がるように傾斜している一対の傾斜縁によって少なくとも一部が画定されている、請求項1に記載の包装箱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2の包装箱では、特に差込穴の内側に位置する部分まで物品が収容されている場合、差込穴に差し込んだ差込片が物品に干渉するため、封緘作業が困難である。また、特許文献2の包装箱の封緘構造は複雑であるため、封緘作業が煩雑である。
【0005】
本発明は、簡易な構成で容易に封緘可能な包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1壁と、この第1壁に対して折曲線に沿って折り曲げられている第2壁と、
前記第1壁に対向して前記第2壁に隣接する位置に配置されている第3壁とを備え、前記第2壁に差込穴が設けられているとともに、前記第3壁に前記差込穴に差し込んで前記第2壁の内面側に配置されている差込片が設けられており、前記折曲線
は、前記第1壁と前記第2壁の境界を直線状に延びる主折曲部と、前記第2壁における前記差込穴の前記第1壁側に位置する部分が外向きに膨出するように、前記第1壁の縁を外向きに突出させる膨出用折曲部
とを有し、前記膨出用折曲部は、前記主折曲部の端部から外方へ延びる第1折線と、この第1折線に連続して前記主折曲部に対して平行に延びる第2折線とを有する、包装箱を提供する。
【0007】
この包装箱によれば、
主折曲部及び膨出用折曲部に沿って第1壁に対して第2壁を折り曲げることで、膨出用折曲部によって第1壁の縁の一部が外向きに突出する。これにより、膨出用折曲部の形成部分に位置する第2壁の一部(差込穴の第1壁側)が、第2壁の他の部分より外向きに膨出する。すると、差込穴の縁が外方に位置するため、たとえ物品が第2壁と接する位置まで収容されていても、差込穴に差込片を確実に差し込むことができる。よって、折曲線に膨出用折曲部を設けるという簡易な構成で、容易かつ確実に包装箱を封緘することができる。
【0008】
前記第3壁には、前記第2壁の外面に重ねて配置されている第4壁が連設されており、この第4壁に前記差込片が設けられている。この態様によれば、差込片を差込穴に差し込んだ状態に確実に維持できるとともに、包装箱の剛性を高めることができる。
【0009】
前記差込穴は、前記折曲線に沿って延びる係止縁と、前記係止縁の両端から前記第1壁とは反対側に延びる一対の側縁とを有し、前記側縁の先端側が開放されており、前記第2壁には、
前記側縁の先端側から前記差込穴内に突出し、前記差込片の内面側に配置されている突出片が設けられている。この態様によれば、差込穴に差込片を差し込むと、差込片の外面側に第2壁が位置し、差込片の内面側に突出片が位置する。よって、差込片が第2壁と突出片とで挟み込まれた状態になるため、包装箱の封緘状態を確実に維持できる。
【0010】
前記差込穴は、前記折曲線に沿って延びる係止縁と、前記係止縁の両端から前記第1壁とは反対側に延びる一対の側縁とを有し、前記第2壁には、
前記係止縁から前記差込穴内に突出する突出片が設けられている。また、前記第2壁の先端に、前記第1壁と間隔をあけて対向するように前記第2壁に対して折り曲げられている第5壁を備え、この第5壁まで前記突出片が突出している。この態様によれば、差込穴に差し込んだ差込片の外面側を突出片によって覆うことができるため、包装箱の封緘状態を確実に維持できる。
【0011】
前記第2壁には、
前記係止縁の両端から前記折曲線に沿って延びるスリットが設けられている。この態様によれば、差込穴の第1壁側の縁を第2壁の他の部分より更に外方に位置させることができるため、差込穴に差込片を差し込む作業性を更に向上できる。
【0012】
前記差込穴は、前記第1壁側から前記第2壁の先端に向けて漸次広がるように傾斜している一対の傾斜縁によって少なくとも一部が画定されている。この態様によれば、膨出用折曲部によって外方に位置させた差込穴に容易に差込片を差し込むことができるとともに、包装箱の封緘状態を確実に維持できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、第1壁と第2壁の境界の折曲線に膨出用折曲部を設けているため、第2壁の一部に形成されている差込穴の縁を、第2壁の他の部分より外方に位置させることができる。よって、簡易な構成で容易かつ確実に差込穴に差込片を差し込むことができるとともに、包装箱を封緘する作業性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1から
図4は、第1実施形態に係る包装箱10を示す。この包装箱10は、ポスト投函できるように底壁12から蓋壁20A,20Bまでの寸法を薄型としたポストインケースである。本実施形態では、側壁14A,14Bの差込穴30に重畳壁22A,22Bの差込片35を容易に挿入できるようにして、包装箱10の封緘作業性を向上する。
【0018】
包装箱10は、肉厚が約1mm程度の薄い紙製の段ボールシートを周知の紙器打抜装置によって、
図2に示す一枚のブランクとして打ち抜いて形成される。段ボールシートは、表ライナ及び裏ライナの間に波状の中しんを配設した構成である。なお、各図中、破線は、肉厚を圧縮するように裏ライナの側から罫を入れて形成した汎用罫線である。また、実線は、表ライナから裏ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(縁)である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、包装箱10は、第1壁である四角形状の底壁12を備えている。この底壁12の対向する両側縁には、底壁12に対して折り曲げられている第2壁である側壁14A,14Bが立設されている。側壁14A,14Bは細長い四角形状で、リード罫からなる折曲線15を介して底壁12に連設されている。リード罫は、汎用罫線に沿って間隔をあけて複数の切断線を設けた構成である。
【0020】
底壁12の他の対向する両端縁には、底壁12に対して折り曲げられている端壁16A,16Bが立設されている。この端壁16A,16Bは細長い四角形状で、高さ方向の寸法が側壁14A,14Bと概ね同一であり、側壁14A,14Bに対して隣接配置されている。端壁16A,16Bは、折曲線15に対して直交方向に延びる直線状の汎用罫線からなる折曲線17を介して底壁12に連設されている。
【0021】
側壁14A,14Bの両端には、端壁16A,16Bの内面に重ねて配置される折込壁18が設けられている。この折込壁18は、折曲線15及び折曲線17に対して直交方向に延びる直線状の汎用罫線からなる折曲線19を介して側壁14A,14Bに連設されている。
図2を参照すると、ブランクの状態で折曲線19は、折曲線17に対して概ね直線上に位置している。
【0022】
端壁16A,16Bの先端縁には、底壁12に対して間隔をあけて対向する第3壁である蓋壁20A,20Bがそれぞれ設けられている。この蓋壁20A,20Bは、折曲線17に対して平行に延びる直線状の汎用罫線からなる折曲線21を介して端壁16A,16Bにそれぞれ連設されている。蓋壁20A,20Bは、互いの先端がオーバーラップする寸法の四角形状である。
図1では蓋壁20Aの外面に蓋壁20Bを重畳配置しているが、蓋壁20Bの外面に蓋壁20Aを重畳配置してもよい。
【0023】
一対の蓋壁20A,20Bの両側縁には、側壁14A,14Bの外面に重ねて配置されている第4壁である重畳壁22A,22Bがそれぞれ設けられている。この重畳壁22A,22Bは、折曲線21に対して直交方向に延びる直線状のリード罫からなる折曲線23を介して蓋壁20A,20Bに連設されている。この重畳壁22A,22Bは直角台形状で、高さ方向の寸法(全高)が側壁14A,14Bと概ね同一である。重畳壁22A,22Bは、蓋壁20A,20B側である側壁14A,14Bの両端上部から側壁14A,14Bの中央下部に向けて、斜めに傾斜する斜辺部22aを備えている。また、重畳壁22A,22Bは、斜辺部22aの端部から折曲線23に沿って平行に延び、側壁14A,14Bの中央側に位置する底辺部22bを備えている。
【0024】
(包装箱の封緘構造)
蓋壁20A,20Bの先端中央には、係合部25A,25Bがそれぞれ設けられている。また、側壁14A,14Bには差込穴30が設けられ、重畳壁22A,22Bには差込片35が設けられている。蓋壁20A,20Bの係合部25A,25Bを互いに係合させ、側壁14A,14Bの差込穴30に重畳壁22A,22Bの差込片35を差し込むことで、包装箱10が封緘状態に維持されている。
【0025】
係合部25A,25Bは、蓋壁20A,20Bの先端を切り欠いて形成した係合溝26と、係合溝26の中央から突出させた突部27とを備えている。例えば、先に折り曲げた蓋壁20Aの上面に蓋壁20Bを重畳配置する際に、蓋壁20Bの突部27を蓋壁20Aの下面に挿入することで、一対の係合溝26,26を互いに係合させることができる。
【0026】
図2及び
図3に示すように、差込穴30は、側壁14A,14Bを先端側を概ね等角台形状に切り欠くことで、底壁12と反対側に位置する先端を開放した溝として形成されている。差込穴30は、底壁12側に位置する係止縁31と、係止縁31の両端から側壁14A,14Bの先端に向けて延びる側縁32,32によって、下側が画定されている。係止縁31は、折曲線15に対して平行に延び、側縁32,32は、折曲線15に対して直交する方向に延びている。側壁14A,14Bには、側縁32,32から差込穴30内に向けて突出する突出片33が設けられている。この突出片33の縁によって、差込穴30の上部が画定されている。
【0027】
差込片35は、蓋壁20A,20Bと連続するように、蓋壁20A,20Bに連設した重畳壁22A,22Bの先端側に設けられている。この差込片35は、重畳壁22A,22Bの底辺部22bに係止縁31に係止可能な係止溝36を設けることで、概ね四角形状に形成されている。折曲線23に沿った方向の寸法である差込片35の横幅は、折曲線15に沿った方向の寸法である係止縁31の横幅の概ね半分である。
【0028】
差込片35は、差込穴30に差し込むことで側壁14A,14Bの内面側に重畳配置されている。また、差込片35の上部内面側には、突出片33が重畳配置されている。よって、差込片35は、側壁14A,14Bにおける差込穴30の下部と突出片33とで、内外から挟み込まれた状態になる。その結果、差込穴30に対する差込片35の差込状態を確実に維持できる。
【0029】
本実施形態の折曲線15には、側壁14A,14Bにおいて差込穴30の底壁12側に位置する部分(以下、膨出部39という。)を外向きに膨出させるための膨出用折曲部41が設けられている。
図4を併せて参照すると、折曲線15は、底壁12と側壁14A,14Bの境界を直線状に延びる一対の主折曲部40,40と、主折曲部40,40間に形成されている膨出用折曲部41とを有している。
【0030】
主折曲部40,40は、折曲線17の端部から側壁14A,14Bの中央に向けて延びている。主折曲部40,40の各内端部は、差込穴30の横幅より広い間隔をあけて位置している。膨出用折曲部41は、主折曲部40の内端部に連続する一対の汎用罫線からなる第1折線42,42と、各第1折線42,42の外端部に連続するリード罫からなる第2折線43とを備えている。第1折線42,42は、主折曲部40の内端部から外方へ向けて、互いの間隔が漸次狭くなるように傾斜している。第2折線43は、一方の第1折線42の外端から他方の第1折線42の外端にかけて、主折曲部40に対して平行に延びている。また、折曲線15には、主折曲部40と膨出用折曲部41の交点を通り、主折曲部40に対して直交する方向に延びる切断線44が設けられている。
【0031】
膨出用折曲部41により底壁12は、膨出部39の下縁である側縁の中央が外向きに突出している。これにより膨出部39は、側壁14A,14Bの他の部分(以下、側壁主部38という。)より外向き膨出した状態になっている。そして、側壁主部38の内面と膨出部39の内面との間には、膨出用折曲部41の突出量に相当する隙間Sが形成されている。これにより差込穴30の係止縁31も側壁主部38より外方に位置し、係止縁31と側壁主部38の間に隙間Sが形成されている。
【0032】
なお、一方の蓋壁20Bには、開封用の破断線46が設けられている。この破断線46は、蓋壁20Bの先端側中央から、基端である端壁16A,16B側の両側に向けて傾斜して延びる一対の片ジッパーからなる。また、破断線46の中央には、蓋壁20Bの先端に向けて延びるミシン目状の一対の切断線47,47が設けられている。また、切断線47,47の先端間には、汎用罫線からなる折曲線48が設けられている。
【0033】
この包装箱10に物品を収容する場合、例えば
図2に示すブランクの底壁12上に物品を配置する。次に、底壁12に対して側壁14A,14Bを折り曲げるとともに、側壁14A,14Bに対して折込壁18を折り曲げる。次に、底壁12に対して端壁16A,16Bを折り曲げるとともに、端壁16A,16Bに対して蓋壁20A,20Bを折り曲げ、各係合部25A,25Bを互いに係合させる。また、蓋壁20A,20Bに対して重畳壁22A,22Bを折り曲げ、差込片35を差込穴30に差し込む。
【0034】
この際、差込穴30の係止縁31と側壁主部38の間に隙間Sが形成されているため、たとえ収容した物品が側壁14A,14Bの内面に接した状態になっていても、差込穴30に差込片35を容易かつ確実に差し込むことができる。このように、本実施形態の包装箱10では、折曲線15に膨出用折曲部41を設けるという簡易な構成で、容易かつ確実に包装箱10を封緘することができる。また、本実施形態の包装箱10は、側壁14A,14Bの外面に重畳配置される重畳壁22A,22Bを備えているため、差込片35を差込穴30に差し込んだ状態に確実に維持できるとともに、包装箱10の剛性を高めることができる。
【0035】
(第2実施形態)
図5から
図7は第2実施形態の包装箱10を示す。
図5及び
図6に示すように、第2実施形態の包装箱10には、底壁12、側壁14A,14B、端壁16A,16B、折込壁18、蓋壁20A,20B、及び重畳壁22A,22Bが、第1実施形態と同様に形成されている。また、第2実施形態の蓋壁20A,20Bには、第1実施形態に示す係合部25A,25Bが形成されていない。また、側壁14A,14Bには、差込穴30の底壁12側に位置する係止縁31に、差込穴30内へ突出する突出片33が設けられている。
【0036】
差込穴30は、側壁14A,14Bを先端側中央を概ね四角形状に切り欠くことで、先端を開放した状態に形成されている。また、突出片33は舌片状で、係止縁31から側壁14A,14Bの概ね側壁14A,14Bまで突出するように設けられている。また、側壁14A,14Bには、係止縁31の端部から膨出用折曲部41を有する折曲線15に沿って延びる切断線からなるスリット50が設けられている。
【0037】
差込片35は、第1実施形態と同様に、係止縁31に係止可能な係止溝36を重畳壁22A,22Bに設けることで、重畳壁22A,22Bの先端側に形成されている。重畳壁22A,22Bの各係止溝36は、下側から上側に向けて互いに近づく方向に傾斜して設けられている。これにより差込片35には、側縁32より差込穴30外へ突出する係止突部51が形成されている。この係止突部51を備える差込片35を差込穴30に差し込むと、係止突部51が差込穴30の周辺部分に干渉し、また、スリット50の縁に係止するため、差込穴30から差込片35が抜け出ることを抑制できる。
【0038】
図7に示すように、第2実施形態の包装箱10に物品を収容する場合、第1実施形態と同様の手順で各壁を折り曲げて封緘する。差込片35を差込穴30に差し込む際には、膨出部39によって形成されている隙間から突出片33の内面側に差込片35を配置することで、突出片33をガイドとして差込片35を差込穴30に挿入することができる。また、第1実施形態と比較すると、突出片33を含む差込穴30は、係止縁31側に設けたスリット50によって、係止縁31を側壁主部38に対して更に外方に位置させることができる。よって、差込穴30に差込片35を差し込む際の作業性を更に向上できる。
【0039】
また、差込穴30に差込片35を差し込んだ封緘状態では、差込片35が膨出部39の内面に重畳配置され、重畳壁22A,22Bにおける差込片35の上方に位置する部分が突出片33の内面に重畳配置される。即ち、差込片35及び重畳壁22A,22Bの一部が側壁14A,14Bの一部で覆われるため、包装箱10の封緘状態を確実に維持できる。このように、第2実施形態の包装箱10では、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえ、封緘時の作業性を更に向上できる。
【0040】
(第3実施形態)
図8及び
図9は第3実施形態の包装箱10を示す。この第3実施形態の包装箱10は、概ね第2実施形態と同様であり、側壁14A,14Bの先端に、蓋壁20A,20Bの内面に重畳配置される枠壁52が設けられている点で第2実施形態と相違する。
【0041】
枠壁52は、底壁12と間隔をあけて対向するように側壁14A,14Bに対して折り曲げられている第5壁である。枠壁52は、直線状に延びるリード罫からなる折曲線53を介して側壁14A,14Bに連設されている。この折曲線53は、折曲線15の主折曲部40に対して平行に延びている。第3実施形態の差込穴30は、側壁14A,14Bから枠壁52にかけて段ボール紙を打ち抜くことで形成されており、側縁32,32間に位置する端縁58を備えている。また、突出片33は、係止縁31から枠壁52(端縁58近傍)まで突出している。
【0042】
この第3実施形態に示すように、差込穴30は、先端を開放した溝状に限られず、周囲が壁の縁で画定された孔であってもよい。また、第3実施形態では、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができるうえ、側壁14A,14Bの先端に連設された枠壁52により、封緘状態の包装箱10の剛性を高めることができる。
【0043】
(第4実施形態)
図10から
図12は第4実施形態の包装箱10を示す。
図10及び
図11に示すように、第4実施形態の包装箱10では、上端開口を閉じる一対の蓋壁20A,20Bのうち、第2壁である蓋壁20Aに差込穴30が設けられているとともに、第4壁である蓋壁20Bに差込片35が設けられている。また、膨出用折曲部41は、第1壁である端壁16Aと蓋壁20Aの境界部分に形成する折曲線21に設けられている。なお、この包装箱10には、各実施形態に示す重畳壁22A,22Bが形成されていない。なお、端壁16Bは、蓋壁20Aに対して端壁16Aと対向する位置に隣接配置されている第3壁である。
【0044】
更に詳しく説明すると、第4実施形態の包装箱10には、底壁12、側壁14A,14B、端壁16A,16B、折込壁18、及び蓋壁20A,20Bが、第1実施形態と同様に形成されている。また、側壁14A,14Bには、第3実施形態と同様に枠壁52が連設されている。そして、蓋壁20Aは、上端開口の一部だけを覆うように、端壁16A,16B間の寸法の半分未満(本実施形態では概ね1/4)の寸法で形成されている。また、蓋壁20Bは、蓋壁20Aの外面にオーバーラップされ、上端開口の大部分を覆うことが可能な寸法で形成されている。
【0045】
図12を併せて参照すると、差込穴30は、蓋壁20Aを打ち抜くことで、蓋壁20Aの打抜縁で画定されている。この打抜縁は、折曲線21側に位置する係止縁31と、係止縁31の両端から蓋壁20Aの先端に向けて延びる側縁32,32と、係止縁31と平行に延びるように側縁32,32間に位置する端縁58を備えている。また、蓋壁20Aには、係止縁31から差込穴30内に突出する突出片33と、係止縁31から折曲線21に沿って延びるスリット50とが設けられている。差込片35は、蓋壁20Bの先端中央に、係止縁31に係止可能な一対の係止溝36,36を間隔をあけて設けることで、その間に形成されている。係止溝36は、差込片35に両側へ突出する係止突部51が形成されるように、傾斜して設けられている。
【0046】
折曲線21は、端壁16Aと蓋壁20Aの境界を直線状に延びる一対の主折曲部40と、膨出用折曲部41とを有している。主折曲部40,40は、端壁16Aの両側縁から端壁16A,16Bの中央に向けて延びており、その内端部同士は差込穴30より広い間隔をあけて位置している。膨出用折曲部41は、第1実施形態と同様に、主折曲部40の内端部に連続する一対の第1折線42,42と、各第1折線42,42の外端部に連続する第2折線43とを備えている。
【0047】
この第4実施形態の包装箱10に物品を収容する場合、例えば、物品を配置した底壁12に対して側壁14A,14Bを折り曲げるとともに、側壁14A,14Bに対して折込壁18及び枠壁52を折り曲げる。次に、底壁12に対して端壁16A,16Bを折り曲げるとともに、端壁16Aに対して蓋壁20Aを折り曲げた後、端壁16Bに対して蓋壁20Bを折り曲げ、差込片35を差込穴30に差し込んで係止する。
【0048】
この際、端壁16Aと蓋壁20Aの境界には膨出用折曲部41を備える折曲線21が形成されているため、差込穴30の端壁16A側に位置する膨出部56を蓋壁主部55(蓋壁20Aの他の部分)より外向きに膨出させることができる。そのため、蓋壁主部55の内面と膨出部56の内面との間には、膨出用折曲部41の突出量に相当する隙間を形成することができる。よって、簡易な構成で容易かつ確実に差込穴30に差込片35を差し込むことができるとともに、包装箱10を封緘する作業性を向上できる。
【0049】
(第5実施形態)
図13から
図15は第5実施形態の包装箱60を示す。この第5実施形態の包装箱60は、物品として細長い部品を収容するようにした部品箱である。この包装箱60は、各実施形態と同様に紙製の段ボールシートによって形成されるが、その肉厚はポストインケースより厚いもの(例えば2mm)が用いられている。
【0050】
図13及び
図14に示すように、包装箱60は、第長方形状の底壁62を備えている。この底壁62には、各実施形態と同様に、一対の側壁64A,64Bがリード罫からなる折曲線65を介して連設されているとともに、一対の端壁66A,66Bが汎用罫線からなる折曲線67を介して連設されている。なお、側壁64A,64Bは、第1壁である底壁62に連続する第2壁である。
【0051】
側壁64A,64Bの先端縁には、底壁62に対して間隔をあけて位置する蓋壁68A,68Bがそれぞれ設けられている。本実施形態の蓋壁68A,68Bは、底壁62と間隔をあけて対向するように側壁64A,64Bに対して折り曲げられている第5壁である。この蓋壁68A,68Bは、折曲線65に対して平行に延びるリード罫からなる折曲線69を介して側壁64A,64Bに連設されている。蓋壁68A,68Bは、互いの先端がオーバーラップする寸法の長方形状である。
図13では蓋壁68Bの外面に蓋壁68Aを重畳配置しているが、蓋壁68Aの外面に蓋壁68Bを重畳配置してもよい。
【0052】
一対の蓋壁68A,68Bの両側縁には、蓋壁68A,68Bの外面に重ねて配置されている係止壁70A,70Bがそれぞれ設けられている。この係止壁70A,70Bは、側壁64A,64Bに対して底壁62と対向する位置に隣接配置されている第3壁である。この係止壁70A,70Bは、折曲線67に対して平行に延びる直線状の汎用罫線からなる折曲線71を介して端壁66A,66Bに連設されている。
【0053】
第5実施形態の包装箱60には、第2壁である側壁64A,64Bに差込穴75が設けられ、第3壁である係止壁70A,70Bに差込片80が設けられている。また、折曲線65は、底壁62と側壁64A,64Bの境界を直線状に延びる主折曲部85Aと、側壁64A,64Bの差込穴75を形成した部分を外向きに膨出させるための膨出用折曲部86Aとを備えている。また、第5実施形態の包装箱60では、側壁64A,64Bと蓋壁68A,68Bの間に形成する折曲線69も、主折曲部85Bと膨出用折曲部86Bを備えている。
【0054】
図14及び
図15に示すように、差込穴75は、側壁64A,64Bから係止壁70A,70Bにかけて打ち抜くことで、これらの壁の打抜縁で画定されている。この差込穴75の下部は、底壁62側から係止壁70A,70Bに向けて漸次広がるように傾斜している一対の係止縁76,76によって画定されている。差込穴75の上部は、係止壁70A,70Bを四角形状に打ち抜くことで、係止縁76,76に連続するように形成した端縁77によって画定されている。
【0055】
差込片80は、汎用罫線からなる折曲線81を介して係止壁70A,70Bの側縁に連設されている。この差込片80は、折曲線71から離れて位置する縁に円弧状の側辺部82を備えている。また、差込片80は、折曲線81に対して平行に延びる方向の寸法が、折曲線69に対して平行に延びる方向である差込穴75の寸法より大きく形成されている。また、差込片80の折曲線81側である基部両側には切欠部83が設けられている。
【0056】
主折曲部85A,85Bは、側壁64A,64Bの両端上部に形成されている差込穴75,75にかけて直線状に延びている。膨出用折曲部86A,86Bはそれぞれ、主折曲部85A,85Bの端部に連続する第1折線87A,87Bと、第1折線87A,87Bの外端部から側壁64A,64Bの端縁にかけて延びる第2折線88A,88Bとを備えている。第1折線87A,87Bは、主折曲部85A,85Bの端部から差込穴75に向けて傾斜している。第2折線88A,88Bは、主折曲部85A,85Bに対して平行に延びている。
【0057】
第5実施形態の包装箱60に物品を収容する場合、例えば、物品を配置した底壁62に対して側壁64A,64Bを折り曲げるとともに、側壁64A,64Bに対して蓋壁68A,68Bを折り曲げる。次に、底壁62に対して端壁66A,66Bを折り曲げるとともに、端壁66A,66Bに対して係止壁70A,70Bを折り曲げる。そして、係止壁70A,70Bに対して差込片80を折り曲げ、この差込片80を差込穴75に差し込んで係止する。
【0058】
この際、側壁64A,64Bには、上下一対の膨出用折曲部86A,86Bによって、側壁主部90と、側壁主部90に対して外方へ概ね平行に膨出した膨出部91が形成される。そして、膨出部91に差込穴75が形成されているため、各実施形態と同様に、差込穴75の係止縁76と側壁主部90の間には隙間が形成されている。よって、たとえ収容した物品が側壁64A,64Bの内面に接した状態になっていても、差込穴75に差込片80を容易かつ確実に差し込むことができる。よって、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0059】
なお、本発明の包装箱10,60は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、第1実施形態から第4実施形態の膨出用折曲部41は、
図16Aから
図16Dのようにしてもよい。
図16Aの膨出用折曲部41は、一対の第1折線42,42を異なる傾斜角度で形成している。
図16Bの膨出用折曲部41は、第1折線42を一方だけ設け、第2折線43を主折曲部40の端部に向けて傾斜させている。
図16Cの膨出用折曲部41は、一対の第1折線42,42を円弧状に湾曲させた曲線状にしている。
図16Dの膨出用折曲部41は、全体を円弧状に湾曲させた曲線状にしている。これらのようにしても、各実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0061】
また、差込穴30,75を膨出させるために膨出用折曲部41,86A,86Bを形成する包装箱10,60は、第1実施形態から第4実施形態に示すポストインケース、及び第5実施形態に示す部品箱に限られず、第1壁に対して折り曲げられる第2壁に差込穴30,75を設け、第2壁に対して第1壁と対向する位置に隣接する第3壁に差込片を設ける包装箱であれば、いずれでも適用可能である。また、包装箱10,60の形状は、平面視四角形状の直方体形状に限られず、物品を収容可能な多面体であればよい。
【0062】
そして、前記実施形態では、紙製の段ボールシートを打ち抜いて包装箱10,60を形成したが、樹脂製の段ボールシートを打ち抜いて形成してもよい。また、段ボールシートに限られず、単一の厚紙や樹脂シートにより形成してもよい。