特許第6616771号(P6616771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616771光ディスクのディスクスピン速度プロファイル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616771
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】光ディスクのディスクスピン速度プロファイル
(51)【国際特許分類】
   G11B 19/28 20060101AFI20191125BHJP
【FI】
   G11B19/28 B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-537401(P2016-537401)
(86)(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公表番号】特表2016-529642(P2016-529642A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】IB2014059272
(87)【国際公開番号】WO2015028893
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2017年2月20日
(31)【優先権主張番号】13181988.0
(32)【優先日】2013年8月28日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】チン ウーイ リャン
(72)【発明者】
【氏名】デ ハーン ウィーブ
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/088611(WO,A1)
【文献】 特開2008−299881(JP,A)
【文献】 特開2008−084515(JP,A)
【文献】 特開2010−250906(JP,A)
【文献】 特開平08−115569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/00−7/013
G11B 19/20−19/28
G11B 20/10−20/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツのデータが保持されているトラックを有するディスク形記録担体から前記コンテンツを再生するためのプレーヤであって、前記ディスク形記録担体は、前記トラックの各ゾーンにおいて保持されている前記データの前記コンテンツを再生するために必要とされる、当該ゾーンにおいて直面する最大のデータレートを示すデータレートインジケータを保持しているテーブルに関連付けられ、
前記プレーヤは、テーブル検索部とディスクスピン速度調節部とを有し、
前記テーブル検索部は、前記テーブルに保持された前記データレートインジケータを導出し、
前記ディスクスピン速度調節部は、導出された前記データレートインジケータに基づいて、前記コンテンツを再生するために必要とされる最小ディスクスピン速度を得る、プレーヤ。
【請求項2】
前記ディスクスピン速度調節部は、一定の角速度プロファイル及び一定の線形速度プロファイルの組み合わせであるディスクスピン速度プロファイルを生成するように構成される、請求項に記載のプレーヤ。
【請求項3】
サーバから前記テーブルを取り出すためのネットワーク手段を有する、請求項に記載のプレーヤ。
【請求項4】
前記テーブルは、前記記録担体上に配置される、請求項に記載のプレーヤ。
【請求項5】
当該プレーヤは、前記記録担体上の全てのゾーンの選択されたデータレートを実現するために分当たりの最も高い数の記録担体回転数を要するゾーンに配置された、前記記録担体のスタートアップに必要とされるスタートアップファイルのセットを前記記録担体から取り出すように構成される、請求項に記載のプレーヤ。
【請求項6】
前記テーブル検索部は、前記スタートアップファイルのセットのための最適な読み取りシーケンスを示す読み取りシーケンスインジケータを保持する追加のテーブルを取り出すように構成され、
当該プレーヤは、前記追加のテーブルにより示された前記読み取りシーケンスで前記スタートアップファイルを取り出すように構成される、請求項に記載のプレーヤ。
【請求項7】
当該プレーヤは、全てのデータセクションのうちの最も低いデータレートを要するデータのセクションを取り出すように構成され、前記記録担体上の全てのゾーンの選択されたデータレートを実現するために分当たりの最も高い数の記録担体回転数を要するゾーンから取り出される、請求項に記載のプレーヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを保持するためのトラックを有するディスク形記録担体、斯様なディスク用のプレーヤ及び斯様なディスクのためのテーブルを保持するサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
斯様な記録担体は、データが記録担体上のトラックにおけるデジタルフォーマットにおいて格納される光記録の分野において良く知られている。
【0003】
今日のプレーヤにおいて、ディスクスピン速度は、最内部半径で最も高く、ディスク上の任意のアドレスで実現されるデータレートは、特定のディスク又はタイトルが実際に必要とするものに関係なく、規格において規定される最大ビットレートを満たすのを期待される。規格が任意の動画ディスクから期待され得る最大データレートを規定する場合、プレーヤは、斯様な高データレートを必要としない特定のタイトルであっても、最悪のデータレートを実現することを必要とする。
【0004】
これは、ディスクが要求されるものより高い速度で回転する不必要な高いスピン速度のため、ノイズをもたらす。
【0005】
US2005105885において、光ディスクドライブにおける読み取りディスクスピン速度を可変に制御するための方法が与えられる。この方法は、読み取りコマンドが発行されたか否かを決定すること、この決定ステップが読み取りコマンドが発行されたことを決定する場合に、読み取りコマンドに関連付けられた追加の情報を調べること、及び、追加の情報に従って光ディスクのための読み取りディスクスピン速度を可変に制御することを含む。それ故、読み取りコマンドを発行するホストは、ディスクスピン速度を制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これは、データレートがトラックに沿って変化するときに、ホストが、必要とするディスクスピン速度を決定し、その必要性に応じてディスクスピン速度を調整しなければならないという欠点を有する。
【0007】
本発明の目的は、この欠点を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この欠点を克服するために、本発明による記録担体は、記録担体は、トラックの各ゾーンについて最適な読込み/書込みデータレートを示すデータレートインジケータを保持するテーブルに関連付けられ、前記最適な読込み/書込みデータレートは、前記トラックの前記ゾーンにおいて保持されるデータにより要求される最大データレートに基づくことを特徴とする。
【0009】
トラックの各ゾーンのためのデータレートインジケータを含むテーブルを与えることにより、プレーヤは、テーブルを取り出すことができ、データセットの解析を伴うことなく、ゾーンにおけるデータが読み取られるべき最適なディスクスピン速度を取り出すことができる。ディスクデータレート要件の情報(効果的にはディスクのデータレートプロファイル)は、コンテンツのオーナーにより与えられる。
【0010】
一実施形態において、データレートインジケータは、トラックの前記ゾーンにおいて保持されるデータの最大データレートを示す。
【0011】
プレーヤは、トラックの各ゾーンのためのディスクスピン速度とデータレートとの間の関係を知るので、テーブルに最大データレートインジケータを設けることは、プレーヤが、この最大データレートに適合するために必要とされる最小ディスクスピン速度を決定するのを可能にし、考えられる最も低いノイズレベルをもたらす。
【0012】
他の実施形態において、テーブルはサーバに配置される。
【0013】
サーバにテーブルを配置することにより、テーブルは、記録担体の再生可能性に関する新たな情報を反映させるように中央に調整され得る。例えば、テーブル中のデータレートが適切な再生のためにあまりに高い又はあまりに低いという、その分野からの不満がコンテンツのオーナーに届いたときに、コンテンツのオーナーは、この情報又は他の新たな洞察を用いることができ、不満を改善するためにデータレートインジケータテーブルにおける入力を調節することができる。その時点から、このコンテンツを有する記録担体が再生されるときはいつでも、プレーヤは、サーバ上の更新されたテーブルにアクセスし、修正されたデータレートインジケータを取り出し、データレート及びそれ故にディスクスピン速度をセットするためにこれらを用いるだろう。
【0014】
他の実施形態において、テーブルは、記録担体上に配置される。
【0015】
サーバ上にテーブルを配置する代わりに、テーブルは、記録担体自体に配置されてもよい。
【0016】
これは、記録担体からコンテンツを取り出すときにプレーヤがサーバにアクセスする必要がないことを保証する。プレーヤは記録担体のコンテンツを取り出す前に記録担体からテーブルを取り出すことしか必要とせず、その時点から、データレートを、テーブルから取り出された最適な値に調整することができる。
【0017】
記録担体の一実施形態において、テーブルは、記録担体のリードインエリアに配置される。
【0018】
リードインは、コンテンツがデータエリアから取り出される前に読み取られ、それ故、テーブルは、コンテンツの検索が始まる前に自動的に読み取られる。
【0019】
記録担体の一実施形態において、テーブルは、溝変調(groove modulation)に記録される。
【0020】
溝変調にテーブルを記録することにより、検索は、データエリアからのコンテンツの検索と並行して実行され得る。それ故、データエリアは、コンテンツを格納するために完全に用いられ得る。
【0021】
記録担体の一実施形態において、テーブルは、記録担体のデータエリアに記録される。
【0022】
データエリアにテーブルを格納することは、プレーヤが斯様なテーブルを見つけることを期待しない予約された機能を有するエリアにテーブルを取り込むことにより互換性の問題が生じないことを保証する。
【0023】
記録担体の一実施形態において、テーブルは、ファイルに記録される。
【0024】
通常ファイルにテーブルを格納することにより、これは、テーブルの使用をサポートするプレーヤにより、命令され、容易に取り出され得る一方で、テーブルの使用をサポートしないプレーヤ(例えばレガシープレーヤ)は、ファイルを安全に無視することができる。
【0025】
一実施形態において、記録担体は、記録担体上の全てのゾーンの選択されたデータレートを実現するために分当たりの最も高い数の記録担体回転数を要するゾーンに配置される、記録担体のスタートアップ時に必要とされる記録担体スタートアップファイル、ボーナス材料ファイルのセット、又は、メニューを有する。
【0026】
記録担体スタートアップファイル、ボーナス材料ファイル及びメニューは、典型的には、動画データより低いデータレートを要する。記録担体が或るデータレートを実現するために最も速く(分当たりの最も高い回転数で)回転しなければならない記録担体上にこれらを配置することは、ディスクスピン速度の更なる低減を可能にする。ディスク形記録担体上において、記録のために利用可能であるディスクの最内ゾーンは、これらのファイルを格納するための最適位置である。
【0027】
一実施形態において、記録担体は、記録担体スタートアップファイルのセットのための最適な読み取りシーケンスを示す読み取りシーケンスインジケータを保持する追加のテーブルを有する。
【0028】
読み取りシーケンスインジケータを含むことは、プレーヤがこのインジケータを取り出し、取り出された各記録担体スタートアップファイルの後にプレーヤの光採取ユニットが記録担体のコンテンツファイルのテーブルに戻る必要はないことを保証する最適なシーケンスにおいて記録担体スタートアップファイルを取り出すのを可能にする。記録担体のオーサリングの間、記録担体スタートアップファイルは、記録担体上最適な順序で配置され、対応する読み取りシーケンスインジケータは、追加のテーブルに配置される。
【0029】
一実施形態において、全てのデータセクションの最も低いデータレートを要するデータのセクションは、記録担体上の全てのゾーンの選択されたデータレートを実現するために、分当たりの最も高い数の記録担体回転数を要するゾーンに配置される。
【0030】
動画の全てのセクションのうちの最も低いデータレートを要する動画データのセクションは、記録担体の内側ゾーンに配置され、内側ゾーンにおいてデータレートを低減し、従ってこれらのゾーンのためのディスクスピン速度を低減する。この実施形態は、トラックの各ゾーンのために最適な読込み/書込みデータレートを示すデータレートインジケータを保持するテーブルの存在からも利益を得るが、これは、独立して用いられてもよく、動画データの再生の順序、又は、セクター(例えば、プレイリスト、セクター番号又はファイルシステム)が取り出されるべき順序を示すために、記録担体上の現在のメカニズムに単に依存するだけでもよい。これは、元の位置から低いデータレートセクションを除去し、それらをディスクの内側ゾーンに再配置することにより、データのセクションの順序を効果的に変え、それ故、再配置されたセクションを取り出すときにディスクスピン速度を低減する。これが再生の間におけるプレーヤによる探索動作を本質的に取り込むとしても、これらのジャンプは、レイヤジャンプの間においてシームレスにビデオを再生することができるように、全ての現在のプレーヤ中に既に存在するバッファを用いて容易に扱われ得る。
【0031】
本発明による、データを保持するためのトラックを有するディスク形記録担体に関するテーブルを有するサーバは、トラックの各ゾーンのために最適な読込み/書込みデータレートを示すデータレートインジケータを保持するテーブルを有し、最適な読込み/書込みデータレートは、トラックの前記ゾーンにおいて保持されるデータに基づく。
【0032】
本発明によるプレーヤは、プレーヤがテーブル検索部及びディスクスピン速度調節部を有し、トラックのゾーンを取り出すときに、ディスクスピン速度調節部は、トラックのゾーンのためのテーブルからテーブル検索部により導出される最大データレートと同等のデータレートを実現するために、記録担体のディスクスピン速度を調整するように構成されることを特徴とする。
【0033】
プレーヤの一実施形態において、データレートインジケータは、トラックの前記ゾーンにおいて保持されるデータの最大データレートを示す。
【0034】
プレーヤは、トラックの各ゾーンのためのディスクスピン速度とデータレートとの間の関係を知るので、テーブルに最大データレートインジケータを設けることは、プレーヤが、この最大データレートに適合するために必要とされる最小ディスクスピン速度を決定するのを可能にし、考えられる最も低いノイズレベルをもたらす。
【0035】
プレーヤの更なる実施形態において、ディスクスピン速度調節部は、一定の角速度プロファイルの、一定の線形速度プロファイルとの組み合わせであるディスクスピン速度プロファイルを生成するように構成される。
【0036】
ディスクスピン速度プロファイルを生成することは、プレーヤがこのディスクスピン速度プロファイルを格納し、このディスクスピン速度プロファイルに基づいてディスクスピン速度を制御するのを可能にし、ディスクスピン速度調節部を簡素化する。規格により定められた最も高いデータレートに適合する一定の線形速度(Constant Linear Velocity)プロファイルを用いる代わりに、再生デバイスは、記録担体全体で異なるので、データレート要件に適合される自己のディスクスピン速度プロファイルを確立することができる。ディスクスピン速度プロファイルを一定の角速度(Constant Angular Velocity)部分で開始し、その後、一定の線形速度部分は、ディスクの最内のゾーンでディスクスピン速度を低減する。
【0037】
プレーヤの更なる実施形態において、プレーヤは、サーバからテーブルを取り出すためのネットワーク手段を有する。
【0038】
サーバにテーブルを配置することにより、テーブルは、記録担体の再生可能性に関する新たな情報を反映させるように中央に調整され得る。例えば、テーブル中のデータレートが適切な再生のためにあまりに高い又はあまりに低いという、その分野からの不満がコンテンツのオーナーに届いたときに、コンテンツのオーナーは、この情報又は他の新たな洞察を用いることができ、不満を改善するためにデータレートインジケータテーブルにおける入力を調節することができる。その時点から、このコンテンツを有する記録担体が再生されるときはいつでも、プレーヤは、そのネットワーク手段を介してサーバ上の更新されたテーブルにアクセスし、修正されたデータレートインジケータを取り出し、データレート及びそれ故にディスクスピン速度をセットするためにこれらを用いるだろう。
【0039】
プレーヤの更なる実施形態において、テーブルは、記録担体から取り出される。
【0040】
サーバ上にテーブルを配置する代わりに、テーブルは、記録担体自体に配置されてもよい。
【0041】
これは、記録担体からコンテンツを取り出すときにプレーヤがサーバにアクセスする必要がないことを保証する。プレーヤは、記録担体のコンテンツを取り出す前にテーブル検索部を用いて記録担体からテーブルを取り出すことを必要とするだけであり、その時点から、データレートを、テーブルから取り出された最適な値に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明のプレーヤを示す。
図2】ディスクのための最大データレートプロファイルを示す。
図3】従来技術で用いられるディスクスピン速度プロファイルを示す。
図4】ディスクのゾーン当たりの最大データレートを有するテーブルを示す。
図5】生ずるディスクスピン速度プロファイルを示す。
図6】改良されたディスクスピン速度プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明が説明を簡単にするために一層ディスクの実施形態において述べられるが、本発明は、一層ディスクに限定されるものではなく、多層ディスクにも適用され得ることが留意されるべきである。この場合、ディスクスピン速度プロファイルは、一層ディスクに対するものと同じ態様で層毎に確立される。それ故に得られたプロファイルは、各々がレイヤに対応する、個々のディスクスピン速度プロファイルとして格納され得るか、又は、(多層ディスクが単一の隣接データエリアとみなされる)論理データエリアに対応する単一の隣接ディスクスピン速度プロファイルを形成するように互いに追加され得る。
【0044】
図1は、本発明のプレーヤを示している。
【0045】
プレーヤ1は、種々のタスクを制御及び調整するためのプロセッサ3を有する。
【0046】
ディスク2が挿入されたときに、プロセッサは、これを検出し、モータ4を回転させるようにディスクスピン速度調節部5に指示する。光ビーム8がディスク上に投射され、データは、リーダ4を介してディスク2のトラックから読み取られる。
【0047】
ディスク2がトラックのゾーン当たりに必要とされる最大データレートを示す関連付けられたテーブルを有する場合、プレーヤ1はこの情報を取り出すだろう。
【0048】
テーブルがディスクに配置される場合、プレーヤは、リーダ4及びプロセッサ3を用いてディスクからテーブルを取り出すだろう。テーブルが取り出されると、プロセッサは、ディスクスピン速度調節部5にテーブルを与える。この時点から、ディスクスピン速度調節部5は、プレーヤ1が現在読み取っているトラックのゾーンのためのテーブルにおける入力に適合させるように、モータ4(それ故にディスク2)のスピン速度を調整するだろう。
【0049】
テーブルが外部に(例えばサーバ7に)配置される場合、プレーヤは、ネットワーク手段6を介してテーブルを取り出す。テーブルが取り出されると、プロセッサは、ディスクスピン速度調節部5にテーブルを与える。この時点から、ディスクスピン速度調節部5は、プレーヤ1が現在読み取っているトラックのゾーンのためのテーブルにおける入力に適合させるように、モータ4(それ故にディスク2)のスピン速度を調整するだろう。
【0050】
図2は、ディスクのための最大データレートプロファイルを示している。
【0051】
ディスク上のトラックは、幾つかのゾーンに分割され、レイヤ当たりの各ゾーンの最大データレートがテーブルにおいて与えられる。ゾーンは、半径方向位置から導出されるLBAに基づいて規定される。ゾーンは、マルチレイヤディスクの各レイヤの間で異なり得る。コンテンツのオーナーは、全てのゾーンにおいて発生する最大データレートを特定し、このデータレートインジケータは、ディスクに又はサーバに遠隔で、指定された位置におけるテーブルに格納される。
【0052】
ドライブは、データレート情報を用い、各ゾーンにおいて規定される最大データレートを供給し得るディスクスピン速度プロファイルを設計するだろう。ディスクからの情報は、主な動画の特徴を再生する前にスタートアップの間、ドライブにより読まれ得る。
【0053】
図2は、一層内の12ゾーンにおいてデータレート情報を有する典型的な動画タイトルの一例を示している。ディスク規格が3Xまでの最大データレートを特定することが想定される。この例で分かるように、タイトルは、ゾーン4、5及び7においてのみ最大の3Xデータレートを必要とする。他のゾーンにおいて、ドライブが直面する最大データレートは、2Xデータレートである。
【0054】
図3は、従来技術により用いられるディスクスピン速度プロファイルを示している。
【0055】
図2で示すデータレートは、3X CLV(Constant Linear Velocity)のレガシープレーヤにおけるディスクスピン速度プロファイルをもたらす。これは、ディスクの最内半径におけるゾーン1の開始時に5900rpmをもたらす。CLVを用いたときのディスクスピン速度プロファイルは、規格で指定された最大データレートを満たすように設計される。図3で分かるように、これは、ディスクのゾーン1における高いディスクスピン速度をもたらし、これは、このゾーンにおけるディスクのコンテンツを正確に再生するために実際に必要とされるものより非常に高い。
【0056】
ゾーン1が最も高いディスクスピン速度を有する(即ち、これは、記録担体上の全てのゾーンの選択されたデータレートを実現するために分当たりの最も高い数の記録担体回転数を要するゾーンである)ので、メニュー、ボーナス材料ファイルのセット又は記録担体のスタートアップ時に必要とされるスタートアップファイルのセットは、ゾーン1内に最良に配置され得る。メニュー、ボーナス材料ファイルのセット、又は、記録担体のスタートアップ時に必要とされるスタートアップファイルのセットは、典型的には、動画データと比較してより低いデータレートを要し、ディスクスピン速度の低減をもたらす。
【0057】
加えて、動画の全てのセクションの最も低いデータレートを必要とする動画データのセクションは、記録担体の内側ゾーンに配置され、内側ゾーンにおけるデータレートを低減し、従ってこれらのゾーンのためのディスクスピン速度を低減する。データ及び動画の低いデータレートセクションの再配置は、再生の間においてプレーヤによる幾つかの探索動作を本質的に取り込むが、これらのジャンプは、レイヤジャンプの間にシームレスにビデオを再生することができる全ての現在のプレーヤにおいて既に存在するバッファを用いて容易に扱われ得る。
【0058】
記録担体スタートアップファイルは、記録担体スタートアップファイルのセットのための最適な読み取りシーケンスを示す読み取りシーケンスインジケータを保持する追加のテーブルを伴い得る。追加のテーブルを読み取ることにより、プレーヤは、記録担体スタートアップファイルの検索を完了する度に記録担体のコンテンツのテーブルに戻るために、プレーヤの光採取ユニットの必要性を低減又は除去する最適な態様で記録担体スタートアップファイルを取り出すことができる。光採取ユニットの探索時間はかなり大きく、従って、各記録担体スタートアップファイルの検索の前の2つの探索(コンテンツのテーブルに戻る探索及び次の記録担体スタートアップファイルに対する他の探索)の除去は、記録担体のスタートアップのために必要とされるかなりの低減時間をもたらす。ゾーン1が、ボーナス材料ファイル及び/又はメニュー及び/又は記録担体スタートアップファイルを格納するための充分な空きをもたない場合、ボーナス材料ファイル及び/又はメニュー及び/又は余分な記録担体スタートアップファイルを格納するためにゾーン2が用いられ得る。
【0059】
図4は、ディスクのゾーン当たりの最大データレートを有するテーブルを示している。
【0060】
テーブル1は、ディスクのゾーン当たりのデータレート指標を与える。これは、ドライブがこのゾーンにおけるコンテンツを適切に再生するために必要とされるこのゾーンにおいて直面する最大データレートである。ドライブは、それ故、このテーブルを用いて、以下の式を用いることによりテーブルから得られる12のゾーンのデータレート要件から対応するディスクスピン速度プロファイルを計算することができる。
ディスクスピン速度=60/(2x半径(ゾーン)x PI/線形速度)x2
【0061】
ドライブは、その後、タイトルを再生するために、適切な"Max N-RPM PCAV_X-CLV"プロファイルを決定する。"Max N-RPM PCAV_X-CLV"プロファイルは、内側半径における一定の角速度及び外側半径のための一定の線形速度の組み合わせを用いる。このプロファイルを用いると、ディスクの各ゾーンのための最小ディスクスピン速度要件を満たすディスクスピン速度プロファイルを規定するのが容易である。プロファイルのパラメータN及びXを決定する方法は以下のように決定される。
【0062】
一定角速度部分のための変数"最大N"は、ディスクからのデータレート情報により計算される。
【0063】
プロファイルのCLV部分のための変数Xは、ディスク規格により規定される最大ビットレートにより規定される。この例に関して、特定のディスクフォーマットがデータレートに対して3Xを超える速度を要求する場合、X=3である。
最大N=最大(計算されたディスクスピン速度{ゾーン1,ゾーン2..ゾーンN})
全てのゾーンに対する計算されたディスクスピン速度から、ディスクのための最大ディスクスピン速度(最大N−rpm)が容易に決定され得る。タイトル1に対するこの例において、(計算された)最大N=3916である。
【0064】
図5は、生ずるディスクスピン速度プロファイルを示している。
【0065】
図5は、図4のテーブル中の値に基づいている、生ずるディスクスピン速度プロファイルを示している。
【0066】
理解され得るように、ディスクスピン速度プロファイルは、ゾーン1の開始時において5900rpmの極めて高いディスクスピン速度をもはや有さないが、その代わりに、ディスクスピン速度プロファイルは、4000rpmのCAV(Constant Angular Velocity)を用いる。これは、このゾーンのコンテンツを適切に再生するために必要とされる全てのものであるためである。
【0067】
おおよそ6GB(おおよそ論理セクター番号27000)において、ディスクスピン速度プロファイルは、CAVアプローチを放棄し、ディスクの残りのために3X CLVを用いる。
【0068】
それ故、ディスクスピン速度の低減が得られる一方で、ディスクの全てのゾーンに渡るコンテンツの適切な再生を依然として保証する。
【0069】
図3に対して説明されたように、ゾーン1は最も高いディスクスピン速度を有する(即ち、これは、記録担体上の全てのゾーンの選択されたデータレートを実現するために分当たりの最も高い数の記録担体回転数を要するゾーンである)ので、メニュー、ボーナス材料ファイルのセット、又は、記録担体のスタートアップに必要とされるスタートアップファイルのセットは、ゾーン1に最良に配置され得る。これは、メニュー、ボーナス材料ファイルのセット、又は、記録担体のスタートアップに必要とされるスタートアップファイルのセットは、典型的には、動画データと比較してより低いデータレートを必要とするので、更なる改良を構成する。例えば4000rpmのディスクスピン速度に対して3000rpmのディスクスピン速度を要する図5の例において、ディスクスピン速度の更なる低減及びそれ故にエネルギ消費及びノイズの低減をもたらす。加えて、動画の全てのセクションのうちの最も低いデータレートを要する動画データのセクションは、記録担体の内側ゾーンに配置され、内側ゾーンにおけるデータレートを低減し、従って、これらのゾーンのためのディスクスピン速度を低減する。
【0070】
図6は、図2のディスクのための改良されたディスクスピン速度プロファイルを示している。
【0071】
ディスクスピン速度プロファイルのセットは、例えば4500,4000,3500,3000rpmのCAVにより、予め規定され得る。
【0072】
これらは、4500,4000,3500及び3000rpmを伴う4つの異なるCAVセクションとして図6に示される。
【0073】
知られた"Max N-RPM PCAV_3-CLV"におけるNの値により、ドライブは、予め規定された"Max N-rpm PCAV 3X CLV"から最も遅いディスクスピン速度プロファイルを選択することができ、各々が、(5900、4500、4000、3500、3000rpmの)ディスクスピン速度プロファイルの異なるCAV部分を有する。図6の例において、4000rpmのCAVセクションを伴うディスクスピン速度プロファイルが選択される。3916の計算されたNよりも依然として高い最も近い値であるためである。
【0074】
図6の例に関して、プロファイル"Max 4000-rpm PCAV 3X CLV profile"は、ディスク上の動画により必要とされる最大データレートを満たし、レガシーCLVプロファイルと比較してより低い最大ディスクスピン速度を実現するように選択される。
【0075】
図6で使用されたデータレートプロファイルは図2におけるデータレートプロファイルとは異なることに留意されたい。
【0076】
図2において与えられるデータレートプロファイルのためのディスクスピン速度を更に向上させるために、ディスクスピン速度プロファイルは、ゾーン7の後に2X CLVを採用することができる。ディスク上の残りのゾーン8〜12は、最大2Xデータレートしか必要としないためである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6