特許第6616810号(P6616810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616810無線端末の受信特性測定システムおよび測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616810
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】無線端末の受信特性測定システムおよび測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20191125BHJP
   G01R 29/10 20060101ALI20191125BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20191125BHJP
【FI】
   G01R29/08 A
   G01R29/10 E
   H04B17/29
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-149406(P2017-149406)
(22)【出願日】2017年8月1日
(65)【公開番号】特開2019-27978(P2019-27978A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2018年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】森田 智紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 綾
【審査官】 島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−064704(JP,A)
【文献】 特開2010−117275(JP,A)
【文献】 特開2013−083455(JP,A)
【文献】 特表2008−518567(JP,A)
【文献】 米国特許第09377495(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0176375(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02330844(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G01R 29/10
H04B 17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの電波の進入および内部での電波の反射が抑制された測定空間内の所定位置に固定された指向特性既知の測定用アンテナ(21)と、
前記測定空間内で、前記測定用アンテナの位相中心から所定距離だけ離れた位置を基準点とし、該基準点の近傍で測定対象の無線端末(1)を保持し、該保持した前記無線端末を、前記基準点を中心にして前記測定用アンテナから遠方界測定の距離条件を満たす領域内で回転させる端末保持回転機構(30)と、
前記測定用アンテナに測定用信号を供給する送信手段(40)と、
前記端末保持回転機構に保持された前記無線端末が端末アンテナを介して受信した前記測定用信号に対する応答をモニタする応答モニタ手段(45)と、
前記端末保持回転機構を制御して前記無線端末を基準位置から回転させ、その回転角毎に前記応答モニタ手段で得られた応答と、前記無線端末の端末アンテナに入射される測定用信号の電力とから、前記無線端末の受信特性を求める受信特性取得手段(51)とを備えた無線端末の受信特性測定システムであって、
前記測定空間内で、前記無線端末が前記基準位置にあるときの前記端末アンテナの位置を入力させるためのアンテナ位置入力手段(52)と、
前記入力された前記端末アンテナの位置に基づいて、前記測定用アンテナの位相中心からみた前記基準点の方向に対する前記測定用アンテナの位相中心からみた前記端末アンテナの方向のずれを表す前記無線端末の回転角毎の角度誤差、前記測定用アンテナの位相中心から前記基準点までの距離と前記測定用アンテナの位相中心から前記端末アンテナまでの距離との差によって生じる前記無線端末の回転角毎の自由空間の伝搬損失誤差、および前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性とで決まる前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差を出力する誤差情報出力手段(60、60′)と、
前記受信特性取得手段が前記無線端末の受信特性を求める際に、前記誤差情報出力手段から出力された前記伝搬損失誤差および前記利得誤差に応じて、前記送信手段から前記測定用アンテナに供給される測定用信号の電力を補正するとともに、該補正した電力の測定用信号により取得された前記回転角に対する受信特性を前記角度誤差により補正し、前記端末アンテナを前記基準点の位置で回転させたと仮定した場合の受信特性を求める補正手段(70)とを備えたことを特徴とする無線端末の受信特性測定システム
【請求項2】
前記誤差情報出力手段は、
前記入力された前記端末アンテナの位置により、前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差を算出する角度誤差算出手段(61)と、
前記入力された前記端末アンテナの位置により、前記無線端末の回転角毎の前記自由空間の伝搬損失誤差を算出する伝搬損失誤差算出手段(62)と、
前記角度誤差算出手段により算出された前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性から、前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差を算出する利得誤差算出手段(63)とを含むことを特徴とする請求項1記載の無線端末の受信特性測定システム。
【請求項3】
前記誤差情報出力手段は、
前記測定空間内で、測定対象候補の無線端末が前記基準位置にあるときの端末アンテナの位置となりうる複数の候補位置を設定し、該複数の候補位置のそれぞれについて、予め求められた前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差が記憶されている角度誤差記憶手段(65)と、
前記複数の候補位置のそれぞれについて、予め求められた前記無線端末の回転角毎の前記自由空間の伝搬損失誤差が記憶されている伝搬損失誤差記憶手段(66)と、
前記複数の候補位置のそれぞれについて、前記角度誤差記憶手段に記憶されている前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性とにより予め求められた前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差が記憶されている利得誤差記憶手段(67)と、
前記複数の候補位置のうち、前記アンテナ位置入力手段によって入力された位置に対応する候補位置に対して前記角度誤差記憶手段、前記伝搬損失誤差記憶手段および前記利得誤差記憶手段に予め記憶されていた前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差を読み出して前記補正手段に与える誤差情報読出手段(68)とを含むことを特徴とする請求項1記載の無線端末の受信特性測定システム。
【請求項4】
前記受信特性取得手段は、
前記端末アンテナに入射する測定用信号の電力と、該測定用信号に対して前記応答モニタ手段でモニタされた前記無線端末の応答から得られるスループットとの関係を表す受信特性を、前記無線端末の回転角毎に取得することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線端末の受信特性測定システム。
【請求項5】
外部からの電波の進入および内部での電波の反射が抑制された測定空間内で、所定位置に固定された指向特性既知の測定用アンテナ(21)の位相中心から所定距離離れた位置を基準点とし、該基準点の近傍で保持した測定対象の無線端末(1)を、前記測定用アンテナから遠方界測定の距離条件を満たす領域内で前記基準点を中心に基準位置から回転させ、前記測定用アンテナから送信される測定用信号を端末アンテナで受信した前記無線端末の応答をモニタし、該応答と前記無線端末の端末アンテナに入射される測定用信号の電力とから、前記無線端末の受信特性を求める無線端末の受信特性測定方法であって、
前記測定空間内で、前記無線端末が前記基準位置にあるときの前記端末アンテナの位置を入力させる段階と、
前記入力された前記端末アンテナの位置に基づいて、前記測定用アンテナの位相中心からみた前記基準点の方向に対する前記測定用アンテナの位相中心からみた前記端末アンテナの方向のずれを表す前記無線端末の回転角毎の角度誤差、前記測定用アンテナの位相中心から前記基準点までの距離と前記測定用アンテナの位相中心から前記端末アンテナまでの距離との差によって生じる前記無線端末の回転角毎の自由空間の伝搬損失誤差、および、前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性とで決まる前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差の各誤差を出力する段階と、
前記受信特性を取得する際に、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差に応じて、前記測定用アンテナに供給される測定用信号の電力を補正するとともに、該補正した電力の測定用信号により取得された前記回転角に対する受信特性を前記角度誤差により補正し、前記端末アンテナを前記基準点の位置で回転させたと仮定した場合の受信特性を求める段階とを含むことを特徴とする無線端末の受信特性測定方法。
【請求項6】
前記各誤差を出力する段階は、
前記入力された前記端末アンテナの位置を用いた演算によって、前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差を算出することを特徴とする請求項5記載の無線端末の受信特性測定方法。
【請求項7】
前記測定空間内で、測定対象候補の無線端末が前記基準位置にあるときの端末アンテナの位置となりうる複数の候補位置を設定し、該複数の候補位置のそれぞれについて、前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差、前記自由空間の伝搬損失誤差、および、前記測定用アンテナの利得誤差を求めて予め記憶しておく段階を含み、
前記各誤差を出力する段階は、前記複数の候補位置のうち、前記入力された端末アンテナの位置に対応する候補位置に対して予め記憶されていた前記角度誤差、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差を読み出すことを特徴とする請求項5記載の無線端末の受信特性測定方法。
【請求項8】
前記受信特性の取得の際には、前記端末アンテナに入射する測定用信号の電力と、該測定用信号に対して前記モニタされた前記無線端末の応答から得られるスループットとの関係を表す受信特性を、前記無線端末の回転角毎に取得することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の無線端末の受信特性測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、無線ルータ等の無線端末の受信特性を、正確に測定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代、第4世代と呼ばれる無線端末で使用されている周波数(例えば800MHz/2000MHzなど)に対して、次世代(第5世代)の無線端末で使用される周波数は、例えば24.25GHz/28GHz/39GHzなどのミリ波帯が割り当てられることが決まっており、このミリ波帯を用いる無線端末の受信特性を測定するための技術が要求されている。
【0003】
一般的に、無線端末の受信特性としては、入射波の強度の変化に対し、規定のスループットを維持できるか否か等の測定があり、入射波に対して無線端末の姿勢が変わることによる影響も調べる必要がある。
【0004】
無線端末の受信特性を実際の使用環境に近い環境で測定する場合、その無線端末の端末アンテナから遠方界測定の条件を満たす距離だけ離れた測定用アンテナから放射された電波が、無線端末のアンテナに入射する位置の電界強度あるいは入射電力の大きさ(以下、電波の強さという)を特定する必要がある。遠方界測定の距離条件とは、送受のアンテナ間の距離Rが次の条件を満たした状態で測定することである。
R≧2D/λ
ただし、λは使用電波の自由空間波長(m)、Dは送受のアンテナの開口の最大径のうち、より径の大きい方(m)である。
【0005】
仮に、Dを波長λの4倍とすると、
R≧2D/λ=2(16λ)/λ=32λ
となり、電波の周波数を30GHzとすればλ=10mmとなり、遠方界測定に必要な距離Rは32cm以上となる。
【0006】
ただし、外部からの無用な電波の進入や、測定用信号の無用な反射等の影響を受けないように測定するためには、電波無響室等の環境下で、無線端末と測定用アンテナとを距離Rだけ離し、測定用アンテナから出射した電波を無線端末の端末アンテナに所定の強さあるいは異なる強さで与えて所定の受信特性を求める処理を、端末保持回転機構により、無線端末を、その端末アンテナの位相中心を中心として、例えば水平方向および垂直方向に回転させながら行い、全方位についての受信特性を求める必要がある。
【0007】
なお、アンテナの位相中心とは、電波の発射、入射において仮想的に電波の集中点と見なせる点であり、その位置はアンテナの形式に依存している。例えば、ダイポール系のアンテナであれば給電点近傍が位相中心となり、ホーン系のアンテナではホーン開口部の中心線上でホーンのやや内側に位相中心がある。理想的なアンテナではこの位相中心は一点に定まるが、現実のアンテナでは種々の要因でばらつく。ここでは、その平均の位置をアンテナの位相中心と定義し、アンテナ自体の位相中心の位置のばらつきに関しては、測定系の他の誤差に比べて無視できる程度に十分小さいものとして扱う。また、以下の説明で、「アンテナの位置」とは、特にことわらない限り、立体的あるいは平面的な拡がりをもつアンテナの物理的な位置でなく、アンテナの電気的機能を果たす位相中心を示すものとする。
【0008】
なお、上記した遠方界測定の距離条件については、次の非特許文献1、2等に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】1989年12月30 第1版第5刷発行 オーム社 アンテナ工学ハンドブック 電子情報通信学会編 pp.439-446
【非特許文献2】昭和54年3月30日 第1版第1刷発行 オーム社 電子通信ハンドブック 電子情報通信学会編 pp.1534
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、昨今の携帯電話やスマートフォン等の無線端末の端末アンテナは端末筐体内に設けられており、その端末アンテナの位置(厳密には前記した位相中心;以下同様)が、端末保持回転機構の回転中心に一致するように無線端末を設置できれば問題ないが、試験対象となる無線端末は、機種により外形や大きさが異なり、しかも内部に設けられた端末アンテナの位置にも統一性がない。
【0011】
したがって、これら種々の無線端末について端末アンテナを含めた受信特性の測定を行なうために、その端末アンテナの位置が、端末保持回転機構の回転中心となるように無線端末を設置しなければならず、例えばXYZステージのような極めて複雑で大掛かりな位置合わせ機構が必要となり、しかもこの位置合わせ機構を無線端末の近傍に設けることによる電波への影響が避けられない。
【0012】
これに対処する方法として、端末保持回転機構の回転中心から端末アンテナまでの距離に対して回転中心から測定用アンテナまで距離Rを十分長くとり、端末アンテナの位置が回転中心からずれていることによる測定への影響を低減することも考えられる。例えば、距離Rを、回転中心から端末アンテナまでの距離(一般的なスマートフォン等の無線端末では最大で数10ミリ程度)に対して十分長い数mに設定すれば、端末アンテナの位置が回転中心からずれていることによる測定への影響をかなり小さくできる。
【0013】
ところが、図10に示すように、800MHz帯や2GHz帯に比べて、ミリ波帯(28GHz)の自由空間の伝搬損失は格段に大きく、上記のように距離Rを数m以上にすれば、伝搬損失が70dB以上となり、受信特性の測定を精度よく行なうことが困難となる。
【0014】
本発明は、この問題を解決し、試験対象の無線端末と測定用アンテナとの間の距離が、遠方界の測定条件を満たし、且つその間の伝搬損失が大きくならない比較的近距離であっても、端末アンテナの位置が端末保持回転機構の回転中心からずれていることによる測定への影響を生じさせることなく、正確な受信特性の測定が行なえる無線端末の受信特性測定システムおよび測定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の無線端末の受信特性測定システムは、
外部からの電波の進入および内部での電波の反射が抑制された測定空間内の所定位置に固定された指向特性既知の測定用アンテナ(21)と、
前記測定空間内で、前記測定用アンテナの位相中心から所定距離だけ離れた位置を基準点とし、該基準点の近傍で測定対象の無線端末(1)を保持し、該保持した前記無線端末を、前記基準点を中心にして前記測定用アンテナから遠方界測定の距離条件を満たす領域内で回転させる端末保持回転機構(30)と、
前記測定用アンテナに測定用信号を供給する送信手段(40)と、
前記端末保持回転機構に保持された前記無線端末が端末アンテナを介して受信した前記測定用信号に対する応答をモニタする応答モニタ手段(45)と、
前記端末保持回転機構を制御して前記無線端末を基準位置から回転させ、その回転角毎に前記応答モニタ手段で得られた応答と、前記無線端末の端末アンテナに入射される測定用信号の電力とから、前記無線端末の受信特性を求める受信特性取得手段(51)とを備えた無線端末の受信特性測定システムであって、
前記測定空間内で、前記無線端末が前記基準位置にあるときの前記端末アンテナの位置を入力させるためのアンテナ位置入力手段(52)と、
前記入力された前記端末アンテナの位置に基づいて、前記測定用アンテナの位相中心からみた前記基準点の方向に対する前記測定用アンテナの位相中心からみた前記端末アンテナの方向のずれを表す前記無線端末の回転角毎の角度誤差、前記測定用アンテナの位相中心から前記基準点までの距離と前記測定用アンテナの位相中心から前記端末アンテナまでの距離との差によって生じる前記無線端末の回転角毎の自由空間の伝搬損失誤差、および前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性とで決まる前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差を出力する誤差情報出力手段(60、60′)と、
前記受信特性取得手段が前記無線端末の受信特性を求める際に、前記誤差情報出力手段から出力された前記伝搬損失誤差および前記利得誤差に応じて、前記送信手段から前記測定用アンテナに供給される測定用信号の電力を補正するとともに、該補正した電力の測定用信号により取得された前記回転角に対する受信特性を前記角度誤差により補正し、前記端末アンテナを前記基準点の位置で回転させたと仮定した場合の受信特性を求める補正手段(70)とを備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項2の無線端末の受信特性測定システムは、請求項1記載の無線端末の受信特性測定システムにおいて、
前記誤差情報出力手段は、
前記入力された前記端末アンテナの位置により、前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差を算出する角度誤差算出手段(61)と、
前記入力された前記端末アンテナの位置により、前記無線端末の回転角毎の前記自由空間の伝搬損失誤差を算出する伝搬損失誤差算出手段(62)と、
前記角度誤差算出手段により算出された前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性から、前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差を算出する利得誤差算出手段(63)とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項3の無線端末の受信特性測定システムは、請求項1記載の無線端末の受信特性測定システムにおいて、
前記誤差情報出力手段は、
前記測定空間内で、測定対象候補の無線端末が前記基準位置にあるときの端末アンテナの位置となりうる複数の候補位置を設定し、該複数の候補位置のそれぞれについて、予め求められた前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差が記憶されている角度誤差記憶手段(65)と、
前記複数の候補位置のそれぞれについて、予め求められた前記無線端末の回転角毎の前記自由空間の伝搬損失誤差が記憶されている伝搬損失誤差記憶手段(66)と、
前記複数の候補位置のそれぞれについて、前記角度誤差記憶手段に記憶されている前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性とにより予め求められた前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差が記憶されている利得誤差記憶手段(67)と、
前記複数の候補位置のうち、前記アンテナ位置入力手段によって入力された位置に対応する候補位置に対して前記角度誤差記憶手段、前記伝搬損失誤差記憶手段および前記利得誤差記憶手段に予め記憶されていた前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差を読み出して前記補正手段に与える誤差情報読出手段(68)とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項4の無線端末の受信特性測定システムは、請求項1〜3のいずれかに記載の無線端末の受信特性測定システムにおいて、
前記受信特性取得手段は、
前記端末アンテナに入射する測定用信号の電力と、該測定用信号に対して前記応答モニタ手段でモニタされた前記無線端末の応答から得られるスループットとの関係を表す受信特性を、前記無線端末の回転角毎に取得することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項5の無線端末の受信特性測定方法は、
外部からの電波の進入および内部での電波の反射が抑制された測定空間内で、所定位置に固定された指向特性既知の測定用アンテナ(21)の位相中心から所定距離離れた位置を基準点とし、該基準点の近傍で保持した測定対象の無線端末(1)を、前記測定用アンテナから遠方界測定の距離条件を満たす領域内で前記基準点を中心に基準位置から回転させ、前記測定用アンテナから送信される測定用信号を端末アンテナで受信した前記無線端末の応答をモニタし、該応答と前記無線端末の端末アンテナに入射される測定用信号の電力とから、前記無線端末の受信特性を求める無線端末の受信特性測定方法であって、
前記測定空間内で、前記無線端末が前記基準位置にあるときの前記端末アンテナの位置を入力させる段階と、
前記入力された前記端末アンテナの位置に基づいて、前記測定用アンテナの位相中心からみた前記基準点の方向に対する前記測定用アンテナの位相中心からみた前記端末アンテナの方向のずれを表す前記無線端末の回転角毎の角度誤差、前記測定用アンテナの位相中心から前記基準点までの距離と前記測定用アンテナの位相中心から前記端末アンテナまでの距離との差によって生じる前記無線端末の回転角毎の自由空間の伝搬損失誤差、および、前記角度誤差と前記測定用アンテナの指向特性とで決まる前記無線端末の回転角毎の前記測定用アンテナの利得誤差の各誤差を出力する段階と、
前記受信特性を取得する際に、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差に応じて、前記測定用アンテナに供給される測定用信号の電力を補正するとともに、該補正した電力の測定用信号により取得された前記回転角に対する受信特性を前記角度誤差により補正し、前記端末アンテナを前記基準点の位置で回転させたと仮定した場合の受信特性を求める段階とを含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項6の無線端末の受信特性測定方法は、請求項5記載の無線端末の受信特性測定方法において、
前記各誤差を出力する段階は、
前記入力された前記端末アンテナの位置を用いた演算によって、前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差を算出することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項7の無線端末の受信特性測定方法は、請求項5記載の無線端末の受信特性測定方法において、
前記測定空間内で、測定対象候補の無線端末が前記基準位置にあるときの端末アンテナの位置となりうる複数の候補位置を設定し、該複数の候補位置のそれぞれについて、前記無線端末の回転角毎の前記角度誤差、前記自由空間の伝搬損失誤差、および、前記測定用アンテナの利得誤差を求めて予め記憶しておく段階を含み、
前記各誤差を出力する段階は、
前記複数の候補位置のうち、前記入力された端末アンテナの位置に対応する候補位置に対して予め記憶されていた前記角度誤差、前記伝搬損失誤差および前記利得誤差を読み出すことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項8の無線端末の受信特性測定方法は、請求項5〜7のいずれかに記載の無線端末の受信特性測定方法において、
前記受信特性の取得の際には、前記端末アンテナに入射する測定用信号の電力と、該測定用信号に対して前記モニタされた前記無線端末の応答から得られるスループットとの関係を表す受信特性を、前記無線端末の回転角毎に取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
このように、本発明の無線端末の受信特性測定システムでは、測定対象の無線端末を基準点を中心に回転させ、その回転角毎に測定用アンテナから出力された測定用信号に対する無線端末の受信特性を測定する測定システムにおいて、受信特性を求める際に、測定用アンテナに供給する測定用信号の電力を、無線端末の回転に伴って生じる伝搬損失誤差および利得誤差により補正し、その補正された電力の測定用信号により取得された回転角毎の受信特性に対し、無線端末の回転に伴って生じる角度誤差による角度補正を加えることで、無線端末の端末アンテナを基準点の位置で回転させたと仮定したときの受信特性を求めている。
【0024】
このため、試験対象の無線端末と測定用アンテナとの間の距離が、遠方界の測定条件を満たし、且つその間の伝搬損失が大きくならない比較的近距離であっても、端末アンテナの位置が回転中心からずれていることによる測定への影響を生じさせることなく、正確な受信特性の測定が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態の全体構成図
図2】受信特性の一実施例を説明するための図
図3】角度誤差を説明するための図
図4】伝搬損失誤差および角度誤差を説明するための図
図5】角度誤差に伴う測定アンテナの利得誤差を説明するための図
図6】実施形態の要部の処理を示す図
図7】実施形態の要部の処理を示す図
図8】本発明の別の実施形態の全体構成図
図9】本発明の別の実施形態の要部のデータ記憶例を示す図
図10】周波数に対する自由空間伝搬損失の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態の無線端末の受信特性測定システム(以下、単に測定システムと記す)20の構成を示している。
【0027】
この測定システム20は、測定用アンテナ21、端末保持回転機構30、送信手段40、応答モニタ手段45、コンピュータ構成の演算処理部50により構成されている。
【0028】
測定用アンテナ21は、外部からの電波の進入および内部での電波の反射が抑制された測定空間(図示せず)内の所定位置に固定された指向特性既知のアンテナであり、同様に測定空間内に配置された測定対象の無線端末1に向かって測定用信号を出力する。ミリ波帯では、図1に示しているようなホーンアンテナや、プリント基板上にアンテナ素子がパターン形成されたアンテナ(例えばテーパスロットアンテナ)等を含む各種アンテナを用いることができる。
【0029】
端末保持回転機構30は、測定空間内で、測定用アンテナ21の位相中心Qからその指向特性の基準方向(通常は開口に直交する最大利得方向)に所定距離Rだけ離れた位置を基準点Oとし、その基準点Oの近傍で測定対象の無線端末1を保持し、保持した無線端末1を、基準点Oを中心にして測定用アンテナ21から遠方界測定の距離条件を満たす領域内で回転させる。
【0030】
この実施形態では、測定空間が基準点Oを原点とするXYZ直交座標系で表されるものとし、測定用アンテナ21の位相中心QがX軸上に位置し、Z軸が図1において鉛直方向、Y軸がX軸、Z軸に直交する方向とする。端末保持回転機構30は、保持した無線端末を基準点Oを中心とし、3つの直交軸XYZのうち、少なくともZ軸回りとY軸回りに回転させる構造とする。なお、X軸回りの回転も含めた3軸構造とすることもできる。
【0031】
上記したように、ここでは、測定空間を基準点Oを原点とするXYZ直交座標系で表すが、測定空間を定義する座標系の原点位置は任意であり、基準点O以外に、例えば測定用アンテナ21の位相中心Q等を原点としてもよく、また直交座標系だけでなく、基準点Oや測定用アンテナ21の位相中心Q等を原点とする極座標系を用いることもできる。
【0032】
端末保持回転機構30の具体的な機構は詳述しないが、例えば、図1のように、無線端末1を保持する保持台31を、基準点Oを中心にしてステッピングモータやサーボモータ等の回転装置32、33によりZ軸回りおよびY軸回りに所定角度ステップで回転させる機構であれば任意の構造が採用できる。これらの回転角の制御は演算処理部50によって行なわれる。保持台31の材質、形状は、その保持機構を含めて、無線端末1の端末アンテナ1aの受信特性への影響が少ないものが採用されている。
【0033】
送信手段40は、受信特性の測定に必要な測定用信号を測定用アンテナ21に供給して、無線端末1へ送信するものであり、測定用アンテナ21に供給する測定用信号の電力を可変できる機能を有している。
【0034】
ここで、測定したい無線端末の受信特性としては、一般的に、希望波の入射電力(あるいは妨害波)の入射電力とスループットとの関係を表す特性等があり、このようなスループットを定量的に求めるためには、無線端末1に対してデータを連続的に送信し、そのデータに対して、無線端末1がデータを受信確認したことを表す受信確認メッセージ(ACKメッセージ)を送信元に返信する機能を用いることになる。スループットは、送信したデータの数に対して受信確認メッセージが返送される割合を表すものであり、スループットに関わる受信特性を測定する場合、測定用信号(データ)に対する応答がこの受信確認メッセージとなり、応答モニタ手段45がこの受信確認メッセージを検出することになる。なお、以下の説明では、電波の強さを電力で表すが電界強度を用いてもよい。
【0035】
応答モニタ手段45は、所望の受信特性を得るために無線端末1に送信した測定用信号に対する応答をモニタするものである。前記したように、受信特性が無線端末1に対する測定用信号(希望波だけでなく妨害波を含む場合もある)の入射電力とスループットとの関係を表すものであれば、無線端末1が出力する受信確認メッセージをモニタすることになる。その場合、応答モニタ手段45としては、無線端末1から出力される電波を受信して受信確認メッセージ等を復調する無線受信装置の機能を有するもので構成でき、送信手段40とともに、無線端末との間で通信を行なう基地局装置の送受信機能を用いることができる。
【0036】
また、無線受信装置以外の形態としては、無線端末1の通信用コネクタにケーブル接続して、無線端末内の通信処理部との通信により、受信確認メッセージやその他受信特性の測定に必要なメッセージ等をモニタできるものであってもよい。
【0037】
演算処理部50は、この測定システム20に必要な様々な制御および演算処理を実行するが、ここでは、前記した端末保持回転機構30に対する制御により、無線端末1の回転角毎の受信特性を取得する処理と、その受信特性を取得する際に必要な、無線端末1の回転に伴う端末アンテナの位置変化による測定系の各種誤差の算出処理および誤差補正処理を行なう。
【0038】
演算処理部50の受信特性取得手段51は、端末保持回転機構30を制御して無線端末1を基準位置から回転させるとともに、送信手段40が測定用アンテナ21に出力する測定用信号の電力を指定し、その測定用信号に対する無線端末1の応答を応答モニタ手段45から受けることで、所望の受信特性(実際には、後述するように角度誤差が含まれる仮の受信特性)を取得する。
【0039】
ここで、受信特性の内容が、例えば、図2に示すように、無線端末1の回転角が(φ,θ)のときに、希望波について入射電力の上限値P1(例えば−25dBm)と下限値P2(例えば−100dBm)のスループットU1(φ,θ)、U2(φ,θ)をそれぞれ求めるものであるとする(P1とP2以外に、その間の少なくとも一つの入射電力のスループット、例えば入射電力P3のスループットU3を求める場合もある)。
【0040】
以下の説明では、上記したように、規定の入射電力P1、P2に対するスループットの値U1(φ,θ)、U2(φ,θ)を特性値とするが、逆に、スループットが許容値(例えば95%)以上となる入射電力の上限値P1(φ,θ)と下限値P2(φ,θ)を特性値としてもよい。また、規定の入射電力に対するスループットの値と許容値との比較結果、あるいは、スループットが許容値以上となる入射電力の上限値P1(φ,θ)と許容電力値Pr1、下限値P2(φ,θ)と許容電力値Pr2との比較結果を受信特性としてもよい。
【0041】
無線端末1の端末アンテナ1aの位置が基準点Oにあると仮定したとき、その端末アンテナ1aに規定電力P1の測定用信号を入射させるための条件は、測定用アンテナ21の基準点O方向の利得(送信手段40との間の接続損失も含むとする)をGr(dB)、測定用アンテナ21から基準点Oまでの距離Rによる自由空間の伝搬損失をLr(dB)とすると、送信手段40が測定用アンテナ21に対して、
Pa=P1−Gr+Lr
の電力の測定用信号を供給すればよい。また、端末アンテナ1aに規定電力P2の測定用信号を入射させるためには、
Pb=P2−Gr+Lr
の電力の測定用信号を供給すればよい。
【0042】
したがって、上記受信特性を取得する際に、受信特性取得手段51は、送信手段40に指定する測定用信号の電力をPa、Pbとの間で切替えながら、スループットU1(φ,θ)、U2(φ,θ)の計算をそれぞれ行うという処理を、無線端末1の回転角(φ,θ)を変化させる毎に行うことになる。
【0043】
受信特性取得手段51による端末保持回転機構30に対する具体的な回転制御は、図示しない操作部などによる測定開始の指示を受けて、端末保持回転機構30の保持台31に保持された無線端末1を、基準位置(基準姿勢)から基準点Oを中心にZ軸回りとY軸回りにそれぞれ所定ステップΔφ、Δθで回転させる。また、ここでは、Z軸回りの回転角φについては、0°〜360°(0°±180°)の範囲内をΔφステップで回転させ、Y軸回りの回転角θについては、0°〜180°(0°±90°)の範囲をΔθステップで回転させることで、基準点Oを中心に全方位をカバーするものとする。
【0044】
この回転制御の順番は任意であるが、例えば、一方を1ステップ変化させてから、他方を所定ステップで例えば360°(あるいは±180°)回転させるという動作を繰り返す。仮に、Δφ=Δθ=5°とすれば、端末アンテナ1aの位置は、Z軸回りの360/5=72ポイントと、Y軸回りでθ=±90°(上下2つの極点)を除いた180/5−1=35ポイントとの積に、上下2つの極点を加えた2522箇所となる。
【0045】
また、ここでは、図1に示しているように、後述の座標変換式が適用できるように、随保持台31の端末保持面がXY平面に平行で、その上に無線端末1の表示操作面がほぼ水平状態(寝た状態)となるように保持され、その無線端末1内の端末アンテナ1aがX軸上にあり且つ測定用アンテナ21に最も近い位置にある状態を基準位置とする。この場合、基準点Oは保持台31の端末保持面より高い位置を通過する線上にあり、無線端末内部に位置する場合が多くなる。なお、端末アンテナ1aの位置がX軸より高い位置(あるいは低い位置)にある状態を基準位置とする場合、その高さ方向のずれに応じた角度でY軸回りの回転角θをオフセット補正すれば、後述の座標変換式が適用できる。また、無線端末1の基準位置は測定開始時の無線端末1の姿勢を特定するものであって、上記位置に限定されるものではなく、上記したように無線端末1の表示操作面がXY平面に平行な状態(寝た状態)だけでなく、YZ平面に平行な状態(立ち上がった状態)やXZ平面に平行な状態を基準位置(基準姿勢)としてもよい。
【0046】
ここで、上記したように、端末アンテナ1aの位置が基準点Oにある理想状態であれば、その端末アンテナ1aを含む無線端末の受信特性を正確に取得できるが、実際には端末アンテナ1aの位置が基準点Oに存在しないことによる誤差が生じるので、これを防ぐための手段として、演算処理部50には、アンテナ位置入力手段52、誤差情報出力手段60および補正手段70が設けられている。
【0047】
アンテナ位置入力手段52は、基準点Oを原点とするXYZ直交座標系で表された測定空間内で、無線端末1が基準位置にあるときの端末アンテナ1aの位置を特定する座標を入力させる。例えば、図示しない操作部等により、試験者に無線端末1が基準位置に保持されているときの端末アンテナ1aの座標(以下、初期座標と記す)A0=(X,Y,Z)を入力させるものであり、前記したように、保持台31の端末保持面がXY平面に平行となり、その上にほぼ水平状態に保持される無線端末1内の端末アンテナ1aがX軸上にあり且つ測定用アンテナ21に最も近い位置にある状態を基準位置とすれば、端末アンテナ1aの初期座標A0は(L,0,0)となる。ここで、Lは、基準点Oから端末アンテナ1aまでの距離(回転半径に等しい)である。
【0048】
誤差情報出力手段60は、アンテナ位置入力手段52により入力された端末アンテナ1aの位置に基づいて、端末アンテナ1aの位置が基準点Oに無いことによる無線端末1の回転角毎の各誤差の情報を出力するものであり、この実施形態では、入力された端末アンテナ1aの位置を用いた演算により誤差を算出する3つの誤差算出手段、即ち、角度誤差算出手段61、伝搬損失誤差算出手段62、利得誤差算出手段63で構成される。
【0049】
角度誤差算出手段61は、入力された端末アンテナ1aの初期座標A0により、測定用アンテナ21の位相中心Qからみた基準点O方向に対して、測定用アンテナ21の位相中心Qからみた端末アンテナ1aの方向のずれを表す角度誤差(φ',θ')をZ軸回りとY軸回りの回転角(φ,θ)毎に求める。
【0050】
例えば、図3に簡単な例を示しているように、端末アンテナ1aが、基準点Oから距離L離れたX軸上の初期座標A0から、Z軸回りにφ回転したとき、回転後の端末アンテナ1aの座標Axから測定用アンテナ21の位相中心へ向かう角度は、回転角φに、
φ'=tan−1[Lsinφ/(R−Lcosφ)]
を加えた角度φ+φ'となり、測定用アンテナ21からみた基準点O方向に対して、φ'だけずれた角度となっている。
【0051】
同様に、端末アンテナ1aがY軸回りにθ回転していれば、測定用アンテナ21へ実際の方向は、回転角θに対して誤差角θ'が加わった角度θ+θ'となる。
【0052】
この回転角θ、φに対する誤差角θ'、φ'は、入力された端末アンテナ1aの初期座標A0=(X,Y,Z)が決まれば、次の座標変換処理を用いることで、一義的に求められる。
【0053】
【数1】
【0054】
上記座標変換の式は、X軸回りの回転角ψも含めたものであるが、実施形態のように、Z軸回りとY軸回りだけの回転の場合には、ψ=0として、次の座標変換処理を用いればよい。
【0055】
【数2】
【0056】
例えば、図4のように、端末アンテナ1aの位置が基準位置からZ軸回りにφ、Y軸回りにθ回転したときの前記した角度誤差算出手段61によって求められる角度誤差θ'、φ'は、
θ'=tan−1[Z(φ,θ)/Ra]
φ'=tan−1{Y(φ,θ)/[R−X(φ,θ)]}
ただし Ra={Y(φ,θ)+[R−X(φ,θ)]1/2
となる。
【0057】
上記処理は、端末アンテナ1aの基準点Oを中心とする半径Lの周回移動に伴う測定用アンテナ21方向の角度ずれを求めるものであるが、この端末アンテナ1aの周回移動に伴い、測定用アンテナ21までの距離も当然変化し、端末アンテナ1aが基準点Oの位置で回転する理想状態に対してこの距離変化による自由空間伝搬損失に誤差が生じる。
【0058】
伝搬損失誤差算出手段62は、無線端末1の回転角毎の端末アンテナ1aから測定用アンテナ21の位相中心Qまでの距離Rxを求め、その距離Rxと、測定用アンテナ21の位相中心Qから基準点Oまでの距離Rとの差によって生じる自由空間の伝搬損失誤差を求める。
【0059】
例えば、図4に示しているように、端末アンテナ1aの位置が初期座標からZ軸回りにφ、Y軸回りにθ回転したときのアンテナ間距離Rxは、前述の座標変換の結果を用いれば、
Rx=[Z(φ,θ)+Ra1/2
で表される。
【0060】
したがって、測定用アンテナ21から基準点Oまでの距離Rに対応する自由空間の伝搬損失Lrに対して、回転によって生じる伝搬損失誤差E1(φ,θ)は、
E1(φ,θ)=20 log(R/Rx) [dB]
により算出することができる。
【0061】
また、利得誤差算出手段63は、端末アンテナ1aの周回移動に伴う測定用アンテナ21方向のずれ角によって決まる最大利得からの利得誤差E2(φ,θ)を求める。
【0062】
この利得誤差E2(φ,θ)は、例えば、測定用アンテナ21のXY平面におけるθ=0の指向特性が図5のHr(XY)のような場合に、理想状態であればX軸に沿って出射する電波に対する利得(一般的に最大利得)G(0,0)=Grと、実際にX軸に対してずれ角φ'をもって出射する電波に対する利得G(φ',0)との差により求めることができる。回転角を2軸に拡張した場合、Z軸回りのずれ角φ'、Y軸回りのずれ角θ'のときの利得誤差E2(φ,θ)は、入射角φ'、θ'のときの測定用アンテナの利得G(φ',θ')を用いて、
E2(φ,θ)=G(φ',θ')−G(0,0)
の演算で求めることができる。
【0063】
補正手段70は、送信電力補正手段71および角度補正手段72を有し、誤差情報出力手段60で得られた各誤差を用いて補正を行なう。
【0064】
送信電力補正手段71は、受信特性取得手段51が、無線端末1に対する受信特性を取得する際に、送信手段40に対して指定する測定用信号の供給電力Pa、Pbに対して、Pa′=Pa−E3(φ,θ)、Pb′=Pb−E3(φ,θ)の補正を行い、補正された供給電力Pa′、Pb′の測定用信号が送信手段40から測定用アンテナ21に与えられるようにする。ただし、E3(φ,θ)は利得方向の誤差であり、E1(φ,θ)+E2(φ,θ)に等しい。
【0065】
また、角度補正手段72は、供給電力Pa′、Pb′の測定用信号が送信手段40から測定用アンテナ21に与えられた状態で、受信特性取得手段51が取得した回転角毎の特性(仮の受信特性)に対して角度誤差による補正を行い、無線端末1の端末アンテナ1aが、基準点Oの位置にあって、その基準点Oを中心に回転させたと仮定したときの受信特性を求める。
【0066】
つまり、受信特性を取得する際に生じる利得方向の誤差E1(φ,θ)、E2(φ,θ)は、指定された電力値Pa、Pbに対するE3(φ,θ)=E1(φ,θ)+E2(φ,θ)の補正によりそれぞれキャンセルされて、無線端末1の端末アンテナ1aに対して回転角によらず規定の入射電力値P1、P2が与えられることになり、それによって回転角φ、θ毎のスループットU1(φ,θ)、U2(φ,θ)が、仮の受信特性として得られる。
【0067】
この利得方向に補正された仮の受信特性は、端末アンテナ1aから見た測定用アンテナ21の方向が(φ+φ',θ+θ')のものであるので、仮の受信特性の角度φ、θを、端末アンテナ1aから見た測定用アンテナ21の方向の(φ+φ',θ+θ')に置き換える補正を加えることで、角度方向にも正しく補正された受信特性を得ることができる。この角度方向の補正を全ての回転角毎の仮の受信特性に対して行なうことで、端末アンテナ1aが基準点Oの位置で回転したと仮定したときの受信特性を正確に求めることができる。
【0068】
例えば、θ=0でφ=0°±180°の範囲を回転させたときに、図6の(a)のように、伝搬損失誤差E1(φ,0)は、φ=0°で正の最大値、φ=±180°で負の最小値となり、利得誤差E2(φ,0)は、φ=0°、±180°で0、0〜±90°の範囲内でそれぞれ負の最小値となり、これを合わせた利得方向の誤差特性はE3のようになる。
【0069】
そして、受信特性を取得する際に、図6の(b)のように、受信特性指定手段51から送信手段40へ指定される電力値Pa、Pbは回転角に対して一定であるが、誤差E3の特性で回転角ごとにそれぞれ補正されてPa′(φ,0)、Pb′(φ,0)となり、この補正された電力値Pa′(φ,0)、Pb′(φ,0)が送信手段40にそれぞれ指定され、電力Pa′(φ,0)、Pb′(φ,0)の測定用信号が測定用アンテナ21から基準点O方向に出射される。
【0070】
この測定用信号は、基準点Oに対してずれた位置にある端末アンテナ1aに対して、利得方向の誤差E3をもって入射されるので、この誤差E3と測定用信号の電力補正分とがキャンセルされて、端末アンテナ1aには、図6の(c)のように、回転角によらず規定の入射電力値P1、P2が与えられることになる。
【0071】
このように、回転角によらず規定の入射電力P1、P2が与えられた状態で、無線端末1の応答からスループットU1(φ,0)、U2(φ,0)が求められ、例えば図6の(d)のような仮の受信特性が得られる。なお、回転角に対するスループットU1(φ,0)、U2(φ,0)の変化は、端末アンテナ1aの回転に伴う利得等の変化に起因するものである。
【0072】
また、角度誤差φ’は、図7の(a)のように、φ=0°、±180°で0、0〜±90°の範囲内でそれぞれ正の最大値となり、この角度誤差φ’によりスループットU1(φ,0)、U2(φ,0)の角度の補正を行なう必要がある。
【0073】
つまり、図7の(b)のように、無線端末1の回転角度φで得られた点線で示すスループットU1(φ,0)、U2(φ,0)を、角度φ+φ’の位置にずらす補正を行なうと、各角度φのスループットが、それぞれφ+φ’の角度位置にずれた実線で示す特性U1′(φ,0)、U2′(φ,0)となる。この特性が、端末アンテナ1aが基準点Oの位置でZ軸回りに±180°の範囲で回転したと仮定したときの所望の受信特性となり、これを基に、無線端末1に対する評価を正しく行なうことができる。
【0074】
前記説明では、受信特性として、規定の入射電力に対するスループットの値を求める例を示したが、前記したように、スループットが許容値(例えば95%)以上となる入射電力の上限値P1(φ,θ)と下限値P2(φ,θ)を特性値とする場合も前記同様に、例えば回転角度(φ、0)で求められた上限値P1(φ,0)と下限値P2(φ,0)を角度φ+φ’の位置にずらす補正を行なうことで対応できる。
【0075】
また、規定の入射電力に対するスループットの値U1(φ,θ)、U2(φ,θ)と許容値(例えば95%)との大小の比較結果、あるいは、スループットが許容値(例えば95%)以上となる入射電力の上限値P1(φ,θ)と許容電力値Pr1、下限値P2(φ,θ)と許容電力値Pr2との大小の比較結果を、仮の受信特性として求める場合、その比較結果H(φ,θ)を、単に(φ+φ’,θ+θ’)の角度位置のものであると補正(角度の置換)することで対応できる。
【0076】
なお、上記のような角度補正を行なう場合、無線端末1の回転角については、例えば1度ステップ、2度ステップ、5度ステップ等のように切りのよい間隔で等間隔に変化させることができるが、前記したように、角度補正された受信特性の特性値の角度位置は、角度誤差の加算により必ずしも切りのよい値とはならず、しかも補正後の特性値のプロット間隔(取得間隔)が一定にならならない。したがって、例えば、切りのよい角度の特性値の比較を行いたい場合等に不便さが生じる。
【0077】
これを解消する方法として、予め、誤差を含んだ角度(φ+φ’,θ+θ’)が、例えば360度を整数(例えば360、180、100、90、72、60、…等)で等分割するような切りのよい間隔(1度、2度、3.6度、4度、5度、6度、…等)で変化するように、無線端末1の回転角φ、θを設定する方法を採用してもよい。この場合、仮の受信特性の回転角φ、θの位置の特性値をφ+φ’、θ+θ’の位置にずらす(あるいは置換する)補正を行なえば、最終的な受信特性の特性値の位置を、切りのよい間隔で等間隔にすることができ、切りのよい角度の特性値の比較等を容易に行うことかできる。
【0078】
このように、本実施形態の測定システム20では、測定対象の無線端末1を基準点Oを中心に回転させ、その回転角毎に測定用アンテナ21から出力された測定用信号に対する無線端末1の受信特性を測定する測定システムにおいて、受信特性を求める際に、測定用アンテナ21に供給する測定用信号の電力を、無線端末1の回転に伴って生じる伝搬損失誤差および利得誤差により補正し、その補正された電力の測定用信号に対して得られた仮の受信特性に対して無線端末1の回転に伴って生じる角度誤差による角度補正を加えることで、無線端末1の端末アンテナ1aを基準点Oの位置で回転させたと仮定したときの受信特性を求めている。
【0079】
このため、試験対象の無線端末1と測定用アンテナ21との間の距離が、遠方界の測定条件を満たし、且つその間の伝搬損失が大きくならない比較的近距離であっても、端末アンテナ1aの位置が回転中心からずれていることによる測定への影響を生じさせることなく、正確な受信特性の測定が行なえる。
【0080】
上記実施形態では、測定空間内で、端末アンテナ1aの位置を特定する座標の入力値を用いた演算処理により、回転角毎の角度誤差、伝搬損失誤差、利得誤差を算出し、これらの誤差を用いて、無線端末1の端末アンテナ1aを基準点Oの位置で回転させたと仮定したときの受信特性を求めていたが、測定空間内で、測定対象の候補となる無線端末が基準位置にあるときの端末アンテナの位置となりうる複数の候補位置を予め設定し、その複数の候補位置のそれぞれについて、前記した角度誤差、伝搬損失誤差および利得誤差を、無線端末の回転角毎に求めて予め記憶しておき、実際の測定対象となる無線端末についてその端末アンテナの位置が入力されたとき、その入力された位置に対応する候補位置に対して予め記憶されていた角度誤差、伝搬損失誤差および利得誤差を読み出し、これらを用いて無線端末1の端末アンテナ1aを基準点Oの位置で回転させたと仮定したときの受信特性を求めてもよい。
【0081】
図8は、その実施形態の測定システム20′の構成を示すものであり、前記実施形態の測定システム20とは演算処理部50′の構成が異なる。
【0082】
即ち、この演算処理部50′では、前記同様に、受信特性取得手段51、アンテナ位置入力手段52、誤差情報出力手段60′、補正手段70を有しているが、誤差情報出力手段60′は、角度誤差記憶手段65、伝搬損失誤差記憶手段66、利得誤差記憶手段67および誤差情報読出手段68により構成されている。
【0083】
角度誤差記憶手段65は、例えば、上記のように基準点Oを原点とする直交座標系で表される測定空間内で、測定対象の候補となる無線端末が基準位置にあるときの端末アンテナの位置となりうる複数の候補位置の座標A1、A2、……を設定し、その複数の候補位置の座標A1、A2、……それぞれについて、測定用アンテナ21の位相中心Qからみた基準点Oの方向を基準方向とし、その基準方向に対して測定用アンテナ21の位相中心Qからみた端末アンテナ1aの方向のずれを表す角度誤差(φ',θ')が、無線端末1の回転角(φ,θ)毎に予め記憶されている。
【0084】
ここで、候補位置の座標A1、A2、……は、基準点Oを中心とする所定半径Lmax の球の内部に設定された任意の座標でよく、半径Lmax は、測定候補となる無線端末が基準位置に置かれたときの基準点から最も遠い端末アンテナまでの距離以下であればよい。ただし、実際には、無線端末1が保持される基準位置は、無線端末1の表示操作面が、XY平面またはYZ平面またはXZ平面のいずれか平行になる場合が多く、それにより、無線端末1の端末アンテナが、X、Y、Zの各軸上あるいはその近傍の領域に位置する確率が高いので、これらの領域に含まれる座標の位置のみを候補としてもよい。
【0085】
同様に、伝搬損失誤差記憶手段66には、複数の候補位置の座標A1、A2、……のそれぞれについて、測定用アンテナ21の位相中心Qから基準点Oまでの距離Rと測定用アンテナ21の位相中心Qから端末アンテナ1aまでの距離Rxとの差によって生じる自由空間の伝搬損失誤差E1(φ,θ)が、回転角(φ,θ)毎に予め記憶され、利得誤差記憶手段67には、複数の候補位置の座標A1、A2、……のそれぞれについて、角度誤差(φ',θ')と測定用アンテナ21の指向特性Hrとにより求められた測定用アンテナ21の利得誤差E2(φ,θ)が、回転角(φ,θ)毎に予め記憶されている。
【0086】
図9に、複数の候補位置の座標A1、A2、……について、回転角毎に求めた各誤差の例を示す。この図において、誤差E0(i,j,k)は、k番目の候補位置の座標Akについて、回転角(φi,θj)のときの角度誤差φ'、θ'の組を表すものとする。また、誤差E1(i,j,k)、E2(i,j,k)は、候補位置の座標毎の伝搬損失誤差、利得誤差である。
【0087】
誤差情報読出手段68は、上記複数の候補位置の座標A1、A2、……のうち、アンテナ位置入力手段52によって入力された位置に対応する候補位置の座標Akに対して角度誤差記憶手段65、伝搬損失誤差記憶手段66および利得誤差記憶手段67に予め記憶されていた角度誤差E0、伝搬損失誤差E1および利得誤差E2を読み出して、補正手段70に与える。補正手段70は、前記実施形態と同様に、これらの各誤差E0〜E2により、受信特性取得手段51が送信手段40に指定する測定用信号の電力値Pa、Pbを送信電力補正手段71により補正し、その補正された測定用信号について得られた回転角毎の受信特性(仮の受信特性)を角度情報補正手段72により補正して、無線端末1の端末アンテナ1aを基準点Oの位置で回転させたと仮定したときの受信特性を求める。
【0088】
この実施形態の場合、各候補位置のそれぞれについて、補正に必要な回転角毎の誤差情報が予め記憶されているので、端末アンテナ1aの位置が入力された段階で、直ちに補正に必要な誤差情報が得られるので、効率的に受信特性を求めることができる。
【0089】
なお、候補位置の座標の設定分解能が、端末アンテナの位置の座標入力値の分解能と等しい場合には、座標入力値と等しい候補位置について予め記憶した誤差を読み出せばよい。また、候補位置の座標の設定分解能が、端末アンテナの位置の座標入力値の分解能より大きい場合には、座標入力値に最も近い候補位置について予め記憶した誤差を読み出せばよく、この場合、各誤差の精度が僅かに低下するが、候補位置の設定数が少なくて済み、誤差の記憶に必要な記憶容量を少なくできる。
【0090】
また、前記各誤差記憶手段65〜67および誤差情報読出手段68を、図1の測定システム20の演算処理部50に設け、入力された端末アンテナの位置が新規か登録済みかを図示しない判定手段により判定し、前記各誤差憶手段65〜67に登録済みであれば誤差情報読出手段68によりその座標に対応した誤差情報を読み出して補正手段70に与えて受信特性を求め、新規の場合には、前記各誤差算出手段61〜63で各誤差を新たに算出して補正手段70に与えて受信特性を求めるとともに、新たに算出した各誤差と入力された端末アンテナの位置(新たな候補位置)と対応付けて、図示しない登録手段により、各誤差記憶手段65〜67に新規登録していくことで、各誤差記憶手段65〜67の記憶値を順次追加する構成も可能である。
【0091】
なお、上記実施形態では、規定の入射電力P1、P2の測定用信号を無線端に与えたときのスループットの値U1、U2を特性値として求めるために、受信特性取得手段51が、送信手段40に対して入射電力P1、P2に対応した供給電力Pa、Pbを指定する場合について説明したが、前記したように、スループットが許容値(例えば95%)以上となる入射電力の上限値P1(φ、θ)と下限値P2(φ、θ)を特性値として求める場合には、受信特性取得手段51が、スループットを監視しつつ送信手段40に対して指定する供給電力を変化させて上限値P1(φ、θ)と下限値P2(φ、θ)を求めるが、その場合も、補正手段70により、送信手段40に対して指定される供給電力に対する利得方向の誤差E3の補正を行なう。
【符号の説明】
【0092】
20、20′……受信特性測定システム、21……測定用アンテナ、30……端末保持回転機構、40……送信手段、50、50′……演算処理部、51……受信特性取得手段、52……アンテナ位置入力手段、60、60′……誤差情報出力手段、61……角度誤差算出手段、62……伝搬損失誤差算出手段、63……利得誤差算出手段、65……角度誤差記憶手段、66……伝搬損失誤差記憶手段、67……利得誤差記憶手段、68……誤差情報読出手段、70……補正手段、71……送信電力補正手段、72……角度補正手段
図1
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図10