特許第6616838号(P6616838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616838
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】内視鏡形状把握システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20191125BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   A61B1/00 552
   A61B1/045 622
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-544047(P2017-544047)
(86)(22)【出願日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】JP2017013193
(87)【国際公開番号】WO2017170842
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2017年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-70381(P2016-70381)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹内 克哉
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 幹治
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−107875(JP,A)
【文献】 特開2001−046318(JP,A)
【文献】 特開2000−079088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡スコープの挿入部の3次元的な位置情報を検出する3次元位置情報検出手段と、
前記位置情報に基づき、第1の視点から見た前記挿入部の第1の3次元画像を生成するとともに、前記第1の視点を所定の回転軸周り所定角度回転させた位置に配置される第2の視点から見た前記挿入部の第2の3次元画像を生成し、前記第1および第2の3次元画像を並べた画像を生成する画像生成手段とを備え、
前記画像生成手段は、前記第1および第2の3次元画像における前記挿入部の幅に合わせて前記第1および第2の3次元画像のトリミング幅を調整し、
前記第1の視点から見たときの前記挿入部の最大幅が、前記第2の視点から見たときの前記挿入部の最大幅よりも大きいとき、前記画像生成手段は、前記第1の3次元画像の幅が前記第2の3次元画像の幅よりも大きくなるように前記第1および第2の3次元画像の幅を調整する
ことを特徴とする内視鏡形状把握システム。
【請求項2】
前記所定角度が、0度より大きく、かつ、180度未満であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡形状把握システム。
【請求項3】
前記所定角度が90度であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡形状把握システム。
【請求項4】
前記第1、第2の視点間における前記所定角度の差を維持したまま、前記挿入部に対して前記第1、第2の視点を前記所定の回転軸周りに回転するための操作手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡形状把握システム。
【請求項5】
少なくとも前記第1および第2の3次元画像のいずれかに対してデジタルズーム処理を行うとともに、デジタルズーム処理後の前記第1および第2の3次元画像に対してトリミング幅を調整する画像処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡形状把握システム。
【請求項6】
内視鏡スコープの挿入部の3次元的な位置情報を検出する3次元位置情報検出手段と、
前記位置情報に基づき、第1の視点から見た前記挿入部の第1の3次元画像を生成するとともに、前記第1の視点を所定の回転軸周り所定角度回転させた位置に配置される第2の視点から見た前記挿入部の第2の3次元画像を生成し、前記第1および第2の3次元画像を並べた画像を生成する画像生成手段とを備え、
前記画像生成手段は、前記第1および第2の3次元画像における前記挿入部の幅に合わせて前記第1および第2の3次元画像のトリミング幅を調整し、
前記第1および第2の3次元画像の拡大率は等しい値に設定される
ことを特徴とする内視鏡形状把握システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部の形状を把握するために挿入部の位置を検出しその形状を表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いた施術において、磁場を発生するソースコイルと当該磁場を検出するセンスコイルを用いて体内に挿入した挿入部の3次元的な位置情報を取得し、挿入部の形状を把握するシステムが知られている。例えば、内視鏡挿入部に挿入される挿入形状検出用プローブの長手方向に沿って所定間隔で複数のソースコイルを配置し、これらのソースコイルで発生される磁界を被験者の周辺に配置したセンスコイルで検出するとともにソースコイルの3次元的な位置情報から挿入部の3次元形状を算出して所定の視点から見た挿入部の3次元画像を生成・表示するシステムが知られている。また同システムにおいて、互いに直交する2つの視点方向の3次元画像を生成し、両画像をモニタに同時に表示する構成も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−107875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、直交する2つの視点方向の2つの3次元画像に対して、同じトリミング幅を適用している。しかし下部消化管内視鏡の場合、挿入部は腸に沿って配置され、その分布は腹部横向への広がりの方が、前後方向への広がりよりも広いため、挿入部の横への広がりが広い画像に合わせてトリミングを行うと、他方の画像の余白領域は必要以上に広くなる。挿入部の画像はなるべく大きく、かつ挿入部全体が欠けることなく描出することが望まれるが、余白領域が大きいとその分挿入部については縮尺を縮小して描出する必要があり視認性が低下する。
【0005】
本発明は、異なる方向から見た内視鏡挿入部の画像を同時に表示する内視鏡形状把握システムにおいて、無駄な余白を減らして画像を効率的に表示することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内視鏡形状把握システムは、内視鏡スコープの挿入部の3次元的な位置情報を検出する3次元位置情報検出手段と、位置情報に基づき、第1の視点から見た挿入部の第1の3次元画像を生成するとともに、第1の視点を所定の回転軸周り所定角度回転させた位置に配置される第2の視点から見た挿入部の第2の3次元画像を生成し、第1および第2の3次元画像を並べた画像を生成する画像生成手段とを備え、画像生成手段は、第1および第2の3次元画像における挿入部の幅に合わせて第1および第2の3次元画像のトリミング幅を調整することを特徴としている。
【0007】
好ましくは、第1の視点から見たときの挿入部の最大幅が、第2の視点から見たときの挿入部の最大幅よりも大きいとき、画像生成手段は、第1の3次元画像の幅が第2の3次元画像の幅よりも大きくなるように第1および第2の3次元画像の幅を調整する。
【0008】
好ましくは、上記の所定角度が、0度より大きく、かつ、180度未満である。
【0009】
所定角度は、±90度の何れかであることがさらに好ましい。第1、第2の視点間における所定角度の差を維持したまま、挿入部に対して第1、第2の視点を所定の回転軸周りに回転するための操作手段を備えてもよい。
【0010】
内視鏡形状把握システムは、第1および第2の3次元画像に対してデジタルズーム処理を行うとともに、デジタルズーム処理後の前記第1および第2の3次元画像に対してトリミング幅を調整する画像処理部をさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の内視鏡装置は、上記の何れかに記載の内視鏡形状把握システムを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異なる方向から見た内視鏡挿入部の画像を同時に表示する内視鏡形状把握システムにおいて、無駄な余白を減らして画像を効率的に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である内視鏡形状把握システムの構成を示すブロック図である。
図2】磁場発生装置が適正位置に配置されて施術が行われるときの患者Pと磁場発生装置の位置関係を示す模式図である。
図3】従来の方式で第1、第2の3次元画像を並べて表示した画面表示の例である。
図4】本実施形態における第1、第2の3次元画像の画面表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である内視鏡形状把握システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態における観察の対象部位は、例えば、呼吸器等、消化器等である。呼吸器等は、例えば、肺、気管支、耳鼻咽喉である。消化器等は、例えば、大腸、小腸、胃、食道、十二指腸、子宮、膀胱等である。観察対象が複雑な形状の場合、内視鏡の挿入部の3D画像表示による操作支援システムの活用がより効果的である。特に、大腸は4つの急峻な屈曲部を有し、例えば胃等に比べるととても長く、きわめて施術者の操作に熟練度が求められる。また、大腸を通らないと観察できない小腸の観察でも同様の問題が生じる。さらに、気管支も分岐構造が多く、施術者の操作に熟練度が求められる。そのため、大腸用内視鏡、小腸用内視鏡、気管支用内視鏡又は膀胱用内視鏡である場合に、正確に施術者の操作支援を行うことができる本実施形態の効果がより顕著となる。以下では、一例として、大腸観察用の内視鏡について説明する。
【0016】
本実施形態の内視鏡形状把握システム10は、電子内視鏡装置11とこれに接続される3次元位置測定装置12とから構成される。電子内視鏡装置11は、例えば下部消化器内視鏡であり、電子スコープ本体13と、電子スコープ本体13からの画像信号を処理するプロセッサ装置14と、プロセッサ装置14で処理された画像を表示するモニタ装置15とを備える。なお、本実施形態のプロセッサ装置14は、内視鏡観察の照明に用いられる光源(不図示)も備える。
【0017】
電子スコープ本体13は、体内に挿入される挿入部16と、挿入部16の基端側が接続される操作部17と、ユニバーサルコードを介して操作部17を電気的、光学的にプロセッサ装置14へと接続するコネクタ部18を備える。挿入部16は可撓管からなり、その先端には撮像素子19が配置される。挿入部16の先端からは、ライトガイド(不図示)を介してプロセッサ装置14の光源からの光が伝送され、照明光として照射される。撮像素子19で撮影された画像は、プロセッサ装置14で所定の信号処理が施された後、モニタ装置15に出力され内視鏡画像として表示される。
【0018】
なお、光源は、プロセッサ装置14に設けられてもよいが、挿入部16の先端に設けられてもよい。例えば、挿入部16の先端にLED等の発光素子が搭載されてもよい。これにより、プロセッサ装置14から挿入部16の先端まで光を導くような構成も必要なくなり、装置のサイズを小型化できる。また、システムの消費電力も低減することができる。
【0019】
撮像素子19として、例えば、CCD、CMOS等を使用することができる。なお、高精細な画像を得ることができる撮像素子19を用いることが好ましい。高精細とは、例えば、100万画素以上であり、200万画素であることがより好ましく、800万画素以上であることがさらに好ましい。これにより、高精細な画像によって診断を精度よく行うことができる。また、施術者はモニタ装置15の内視鏡画像を見ながら操作部17の操作レバーを操作するため、高精細な画像を見ることで挿入部16の先端の操作も行い易くなる。
【0020】
また、挿入部16は、操作部17から延びる可撓管部16aと、挿入部16の先端部近傍に設けられた湾曲部16bとを備える。湾曲部16bは、挿入部16の先端部近傍において所定の長さに亘って設けられており、操作部17に設けられた操作レバーあるいは操作ノブ(不図示)の操作により湾曲可能に構成されている。施術者はモニタ装置15の内視鏡画像を見ながら操作部17の操作レバーを操作して挿入部16の先端を様々な方向に向けることができる。
【0021】
なお、上述の構成に加えて、挿入部16は、可撓管部16aと湾曲部16bとの間に受動湾曲部を備えてもよい。受動湾曲部は、操作部17の操作によって能動的に湾曲せず、受動的に湾曲する部である。湾曲部16bが腸壁に当たって力がかかると、この受動湾曲部が自動的にしなる。これによって、例えば腸壁を押す力が内視鏡先端部を先へ進む力へと変換される。そのため、腸壁に湾曲部16bが接触した際の患者の痛みを軽減することができる。しかし、受動湾曲部を備える内視鏡の場合、施術者の操作が必ずしもそのまま挿入部16の形状に反映されるわけではなく、操作が複雑となり、熟練度を要する傾向にある。そのため、受動湾曲部を備える内視鏡の場合、挿入部16の形状を適正に検出することができる本実施形態の効果がより顕著となる。
【0022】
また、挿入部16として、硬度可変の挿入部が採用されてもよい。挿入部16は、硬度可変のために、硬度変換コイル、硬度変換ワイヤ、ワイヤの基端に設けられた牽引部材、及び、牽引部材の長手方向位置を変更させる硬度変更操作部(例えば、リング)を有してもよい。牽引部材によって硬度変更ワイヤが牽引されていない状態のとき、硬度変更コイルに対して外力がかからないので、硬度変更コイルは軟らかな状態になる。一方、硬度変更用のリングを回転操作して牽引部材を移動させると、硬度変更コイルに圧縮力が徐々に加わっていく。これにより、挿入部16の曲げ方向に対する硬度が高くなるように徐々に変化する。硬度可変を採用した内視鏡の場合、硬度が軟らかな状態のときの挿入部16の形状の把握が重要となる。したがって、内視鏡挿入部の形状を適正に検出することができる本実施形態の効果がより顕著となる。
【0023】
本実施形態の3次元位置測定装置12は磁場式の位置測定装置であり、挿入部16には、3次元位置測定装置12の一部をなす第1コイル20がその長手方向に沿って複数配置される。3次元位置測定装置12は、挿入部16に設けられる複数の第1コイル20の他、第1コイル20の各々からの信号を受信する信号処理部22と、信号処理部22に接続され、同装置からの制御信号に基づき、第2コイル(不図示)により磁場を発生させる磁場発生装置(外部装置)23と、第1コイル20の信号に基づいて第1コイルの3次元位置情報を取得し挿入部16の3次元的な形状をグラフィック表示するモニタ24とを備える。
【0024】
第1コイル20は、例えば鉄心周りにコイルを巻いたものであり、第1コイル20の各々の磁場発生装置23に対する3次元的な位置は、磁場発生装置23で生成される磁場の歪みと、同磁場内に配置される第1コイル20の信号に基づき信号処理部22において計算される。信号処理部22は、この計算結果に基づき所定の第1の方向から見た挿入部16の3次元画像と、第1の方向とは異なる第2の方向から見た挿入部16の3次元画像を生成しモニタ24に出力する(後述)。なお、第1コイル20からの信号は、例えばコネクタ部18に設けられた中継回路25に着脱自在に接続される信号線を介して信号処理部22に送られる。
【0025】
図2は、施術が行われるときの患者Pと磁場発生装置23の位置関係を示す模式図である。図2(a)は、患者Pの頭頂部側から見た図であり、図2(b)は、図2(a)の右側から見た図である。
【0026】
図2に示されるように、患者Pは診療ベッド27の上に横向きに横たわり、磁場発生装置23は、患者Pの腹部に正対するように架台28によって保持される。3次元位置測定装置12で得られる第1コイル20の3次元座標は、磁場発生装置23からの距離に基づくため、患者Pと磁場発生装置23が図2のように配置されると、第1コイル20の3次元座標の奥行方向は、患者Pの前後方向と略一致する。
【0027】
信号処理部22では、算出された各第1コイル20の3次元座標の間を、例えばベジェ曲線等を用いた所定の方法を用いて補間し、挿入部16の全体形状を再現する。そして所定位置に視点を置いた第1の方向から挿入部16を見たときの第1の3次元画像を生成する。第1の3次元画像は、例えば患者Pの体に沿った頭頂方向(Y軸方向)を上向きとした画像として作成される。
【0028】
また本実施形態では、第1の方向とは異なる第2の方向から挿入部16を見たときの第2の3次元画像を生成する。すなわち、視点の位置を挿入部16の近傍に配置される所定の回転軸を中心に所定角度回転したときの画像を第2の3次元画像として生成する。回転軸には、例えば描出される挿入部16の基部側の端部(例えば肛門に対応)を通り、Y軸方向に沿った軸が選択され、回転角度としては例えば±90度の何れかが選択される。なお、回転軸は、第1コイル20の位置の重心を通るY軸であってもよいし、回転軸の配置や回転角度をユーザが変更できる構成としてもよい。
【0029】
なお、第1、第2の視点間における所定角度の差は、好ましくは、0度より大きく、かつ、180度未満であり、より好ましくは、45度以上、かつ、90度以下であり、さらに好ましくは、90度である。第1、第2の視点間における所定角度の差が90度の場合には、施術者による挿入部の形状の把握が容易になる。
【0030】
操作部17には、操作ボタン(スイッチ)等が設けられており、当該操作ボタンを介して第1の方向からの視点(第1視点)及び第2の方向からの視点(第2視点)を所定の回転軸周りに回転させることができる。また、操作部17の操作ボタンは、第1、第2の視点間における所定角度の差(例えば±90度)を維持したまま、挿入部16に対して第1、第2の視点を所定の回転軸周りに回転させることができる。なお、第1、第2の視点間における所定角度の差を維持したまま、挿入部16に対して第1、第2の視点を所定の回転軸周りに回転させる操作手段は、当該操作ボタンに限定されず、キーやレバー等で実装されてもよい。
【0031】
図3は、従来の方式で第1、第2の3次元画像を並べて表示した画面表示の例である。図3の右側の画像は、例えば磁場発生装置23の中心を視点とした第1の3次元画像であり、左側の画像は、第1の3次元画像の視点の位置を、回転軸Rを中心に90度回転した第2の3次元画像である。
【0032】
体内に挿入された挿入部16は、大腸に沿って挿入されるので、腹部横方向に広がりを持って配置される。患者Pと磁場発生装置23が図2のように配置されるとき、磁場発生装置23側から見た画像は、腹部を正面から見た状態に対応するので、視点を磁場発生装置23の中心に置いた図3右側の第1の3次元画像では、挿入部16が幅方向に広がった状態で描出される。これに対し、左側の第2の3次元画像は、患者Pの腹部を脇腹方向から見た画像に対応するため、挿入部16の幅方向への広がりは相対的に小さい。
【0033】
しかし、従来の表示方法では、視点の位置によって挿入部16の幅方向への広がりが大きく異なることを考慮することなく、第1、第2の3次元画像に対して同一のトリミング幅を適用している。すなわち、図3に示されるように、第1、第2の3次元画像の境界線B1は、画面Sの中心に位置し、両画像の幅は等しい。このとき、左側の第2の3次元画像では、挿入部16の画像の両側に広い余白領域が存在することとなり、描画スペースに無駄がある。なお、本実施形態において第1、第2の3次元画像の拡大率は等しい値に設定される。
【0034】
これに対して本実施形態では、第1、第2の3次元画像に描出される挿入部16の幅に合わせて第1、第2の3次元画像のトリミング幅を調整し、挿入部16の幅が狭い側の画像の左右に無駄な余白領域が設けられることを防止し、描画スペースを効率的に利用する。図4に示すように、第1、第2の3次元画像(左右の画像)の境界線はB2となり、両画像の幅は、描出される挿入部16の横幅に合わせて調整される。例えば、図4右側の第1の3次元画像では、描画される挿入部16の最大幅が広く、これに対し、左側の第2の3次元画像では、描画される挿入部16の最大幅が相対的に小さい。この場合、信号処理部22は、右側の第1の3次元画像の幅が左側の第2の3次元画像の幅よりも大きくなるように、第1および第2の3次元画像の幅を調整する。この構成によれば、描画される挿入部の幅が大きい画像の方がトリミング後に大きく表示されるため、施術者による挿入部の形状の視認性が向上する。
【0035】
トリミング幅は、例えば、各視点から見た3次元画像における挿入部16の最大幅の比で画面Sを左右に分割するように各画像のトリミング幅を設定してもよいし、例えば、第1コイル20の位置の重心を通るY軸から最も離れた第1コイル20までの距離に基づき最大のトリミング幅(磁場発生装置23の中心に視点を置いたときの3次元画像のトリミング幅)とし、これに所定係数(<1)を掛けたものを、視点を±90度回転したときのトリミング幅としてもよい。なお、所定係数は、体内での挿入部16の一般的な幅方向、奥行き方向の比から求められる。
【0036】
また、本実施形態の内視鏡形状把握システム10は、例えば操作部17の所定のボタンの操作又はキー操作等により、第1、第2の3次元画像間の描画方向の関係は維持しながら、両画像の視点を回転軸Rの周りに回転可能である。このとき両トリミング幅は、回転角に応じて変化し、磁場発生装置23の中心に視点を置いたときの3次元画像のトリミング幅が最大となるとともに、そこから視点を±90度回転したとき3次元画像のトリミング幅が最小となる。すなわち、第1、第2の3次元画像の視点の位置が±90度異なるときには、何れかの画像が磁場発生装置23の中心の視点位置から±45度回転されると、トリミング幅が等しくなり、画面Sは左右に2等分される。なお、本説明においてトリミング幅の比は、画面Sの分割比に対応する。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、異なる方向から見た内視鏡挿入部の第1および第2の3次元画像を同時に表示する内視鏡形状把握システムにおいて、第1および第2の3次元画像における挿入部の幅に合わせて第1および第2の3次元画像のトリミング幅を調整することで、無駄な余白を減らして画像を効率的に表示することができる。これにより、表示される挿入部の画像の拡大率をより大きく設定することが可能となり、挿入部の形状把握がより容易になる。
【0038】
本実施形態では、挿入部の3次元画像を3次元位置測定システムのモニタに表示したが、例えば電子内視鏡装置のモニタ装置において、主画面となる内視鏡画像(大画面)の隣に副画面(小画面)として挿入部の3次元画像を表示する場合など、挿入部の3次元画像を小画面で表示する場合には特に効果的である。
【0039】
本実施形態では電子内視鏡を例に説明を行なったが、本発明はイメージガイドファイバなどを用いた内視鏡にも適用できる。また本実施形態では電子スコープの挿入部に沿って複数の第1コイルを配置したが、例えばプローブ状の器具に複数の第1コイルを設け、同器具を鉗子口から装着する構成としてもよい。その場合、挿入部に設けられる第1コイルは、コネクタ部を介することなく信号処理部に直接接続され、3次元位置測定装置を内視鏡から独立した構成とすることができる。また、本実施形態では、患者の体外に配置される外部装置の第2コイルで磁場を発生し、患者の体内に配置される第1コイルで同磁場を検出したが、第1コイルで磁場を発生し、第2コイルで磁場を検出する構成としてもよい。更に、3次元位置測定装置は、磁場式でなくともよく、挿入部の3次元的な位置情報を検出できるものであればいかなる形式のものであってもよい。例えば、光学式の3次元位置測定装置であってもよい。
【0040】
また、3次元位置測定装置12は、デジタルズーム表示用の画像処理部をさらに備えてもよい。画像処理部は、デジタルズーム回路を有し、デジタルズームが可能に構成されている。ここで、デジタルズームとは、画像を拡大又は縮小する画像処理である。画像処理部は、少なくとも第1、第2の3次元画像のいずれかに対してデジタルズーム処理を実行するように構成されている。さらに、画像処理部は、デジタルズーム処理後の第1、第2の3次元画像に対して、上述したトリミング幅の調整を実行するように構成されている。画像処理部は、トリミング幅が調整された第1および第2の3次元画像をモニタ24に出力する。電子内視鏡の観察においてデジタルズーム表示を行うと、3次元画像もモニタ24の幅からはみ出す可能性が高まるが、デジタルズーム処理後の画像に対して上述したトリミング幅の調整を行うことで、画像のはみ出しを防止することができる。よって、より快適な電子内視鏡観察が可能となる。
【符号の説明】
【0041】
10 内視鏡形状把握システム
11 電子内視鏡装置
12 3次元位置測定装置
13 電子スコープ本体
16 挿入部
19 撮像素子
20 第1コイル
22 信号処理部
23 磁場発生装置(外部装置)
24 モニタ
図1
図2
図3
図4