特許第6616898号(P6616898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616898
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】電気接続装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20191125BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20191125BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   F17C13/02 301Z
   H01F7/16 R
   F16K31/06 380
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-525719(P2018-525719)
(86)(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公表番号】特表2019-504248(P2019-504248A)
(43)【公表日】2019年2月14日
(86)【国際出願番号】EP2016001766
(87)【国際公開番号】WO2017088945
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2018年5月28日
(31)【優先権主張番号】102015015243.2
(32)【優先日】2015年11月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ガル
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・ロナーティ
(72)【発明者】
【氏名】レナート・サンチューリ
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−229748(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0032934(US,A1)
【文献】 特開2007−139116(JP,A)
【文献】 特開2011−163485(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/129159(WO,A1)
【文献】 特開2007−113622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00−13/02
F16K31/06
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体温度を検知するための温度センサ(10)を備えた電磁弁(4)用の電気接続装置(14)であって、前記電気接続装置が電気接触プラグ(15)を備えたものにおいて、
前記電気接触プラグ(15)は、共通のハウジング(13)の一部分であり、前記ハウジングはまた、前記電磁弁(4)用のアクチュエータコイル(12)、及び前記弁(4)に前記ハウジング(13)が取り付けられたとき前記温度センサ(10)と電気的に接触するためのプラグイン接触子(18)を備えたことを特徴とする、電気接続装置(14)。
【請求項2】
前記プラグイン接触子(18)及び前記アクチュエータコイル(12)は、前記ハウジング(13)内で前記接触プラグ(15)の電極と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の電気接続装置(14)。
【請求項3】
前記プラグイン接触子(18)は、前記アクチュエータコイル(12)の中心軸に対して一直線に又は並行に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気接続装置(14)。
【請求項4】
前記接触プラグ(15)は、前記アクチュエータコイル(12)及び/又は前記プラグイン接触子(18)に対して90°の角度で配置されていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の電気接続装置(14)。
【請求項5】
温度センサを備えた電磁弁(4)であって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気接続装置(14)により特徴づけられる、電磁弁(4)。
【請求項6】
弁ハウジング(5)内の前記温度センサ(10)及び/又は前記温度センサの収容部は、角度的に正確な取り付けのためのマーキング(11)を有することを特徴とする、請求項5に記載の電磁弁(4)。
【請求項7】
前記電気接続装置(14)は、1つの着脱可能な接続手段(17)によって弁ハウジング(5)と接続されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の電磁弁(4)。
【請求項8】
前記着脱可能な接続手段は、前記アクチュエータコイル(12)の領域において軸方向かつ中心に配置されたねじ(17)として実施されていることを特徴とする、請求項7に記載の電磁弁(4)。
【請求項9】
前記電気接続装置(14)のプラグイン接触子(18)と前記温度センサ(10)とは、互いに90°の角度をなして延在することを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の電磁弁(4)。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか1項に記載の電磁弁(4)の、圧力ガス容器(3)におけるタンク弁(4)としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルにおいて詳細に定義された様式による接触プラグを備えた電気接続装置に関する。更に、本発明は、温度センサ及びそのような電気接続装置を備えた電磁弁に関する。更に、本発明は、そのような電磁弁の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサを備えた電磁弁は、先行技術から公知であり、圧力ガス容器内の媒体の温度を検知し、そして電磁弁を用いて圧力ガス容器からの媒体の取り出しを制御するために、例えば圧力ガス容器で使用される。例えば、これに関連して、そのような構成を記載している特許文献1を参照することができる。
実際にはこの場合、温度センサ及び電磁弁又はアクチュエータコイルなどのケーブル接続及び接続部が、比較的手間がかかるものとなっており、それによりこのことは、電気設備の点で、保守が必要となるとき、構成を非常に手間がかかるものにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE 10 2014 002 660 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に提示した発明の課題は、この場合、上述の欠点を回避し、容易かつ信頼性の高い取り付けを可能にする電磁弁用の電気接続装置及び電磁弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する電気接続装置によって解決される。そのような電気接続装置を備えた電磁弁は、請求項6に提示されている。請求項10では、更に、電磁弁の特に好ましい利用が言及されている。更に有利な形態は、それぞれの従属請求項から明らかである。
【0006】
媒体温度を検知するための温度センサを備えた電磁弁用の本発明による電気接続装置では、電気接触プラグがハウジングの一部分であり、そのハウジングはまた、弁用のアクチュエータコイル、及び弁にハウジングが取り付けられたとき温度センサと電気的に接触するためのプラグイン接触子を備える。したがって、電気接続装置は、例えば、電気的接続導体、特に自動車での使用時にはワイヤハーネスとの接触を確実にするため、実質的に接触プラグを有するハウジングからなる。この場合、接触プラグは、取り付けに関し、非常に単純で、かつそれによりエラーを起こしにくい接触が可能である。電気接続装置は、それ自体、電磁弁用のアクチュエータコイルを直接含み、それによりそのコイルもまたハウジングと一緒に取り付けることができ、別々に取り付けて接続する必要はない。更に、電気接続装置は、取り付けられたときに温度センサと接触するプラグイン接触子を含む。この場合、温度センサは、例えば、冒頭に記載のDE 10 2014 002 660 A1に記載のように取り付けられている。このセンサは、電磁弁装置が圧力ガス容器においてタンク弁として使用されるとき、背面側から、すなわち、圧力媒体から離れた電磁弁装置の側から、孔を介して到達可能である。これは、従来の構成の場合には、取り付け及び電気的接触を非常に手間がかかるものにする。本発明の電気接続装置により、例えば、接触プラグが孔を介して温度センサ又はその電気的接続部まで達するように接点コネクタが形成されて電気接続装置が取り付けられるとき、温度センサは、接点コネクタと非常に簡単に接触可能とされる。一体化されたコイルを備えた電気的接続装置を単に載せること、及び電気的接続装置が載せられたときに確立される電気的温度センサの接触は、すべての必要な電気端子に接続することを可能にする。これは、取り付けを非常に容易で効率的かつ耐欠陥性にする。
【0007】
この場合、着想の有利な発展形態によると、プラグイン接触子は、コイルと同様に接触プラグと接続されており、そのため、この1つの接触プラグによって、例えば、一方では電磁弁の制御のための、他方では温度データの評価のためのワイヤハーネスとの接続という更なる接続を実現することができる。
【0008】
本発明の課題は、温度センサ及び本発明によるこの種の電気接続装置を備えた電磁弁によって解決される。本発明による電磁弁装置の有利な発展形態は、温度センサ及び弁内の温度センサの収容部が角度的に正確な取り付けのためのマーキングを有することを提供する。温度センサの角度的に正確な取り付けのためのこの種のマーキングは、上述の本発明の電気接続装置の信頼性のある取り付けを非常に容易にする。温度センサの角度的に正確な配向によって、温度センサの電気接点もまた角度的に正確に配向されており、ここでは、例えば、環状の接点のような特別に形成された接点を採用する必要がない。正確に言えば、温度センサの角度的に正確な取り付けによって、プラグイン接触子における対接点との十分正確な相互作用を達成することができ、その結果、本発明による電気接続装置の取り付け及び構成は、それにより更に簡略化される。
【0009】
更に、電気接続装置が1つの着脱可能な接続手段を介して弁と接続されていることを提供することができる。そのような接続手段は、特にコイルの領域において軸方向かつ中心に配置されたねじとすることができる。温度センサの接触がプラグイン接触子を介して実現している電気接続装置の装着後、電磁コイルを適切な対要素と接続するために、例えば、電磁コイルの領域において上端にねじを導入することによって、電気接続装置を弁に固定することができる。1つのねじを介して、次いで、必要な位置における電磁コイルの位置決めだけではなく、温度センサの電気的接触もまた達成することができる。次いでこのような構成は、更に接触プラグにより非常に容易かつ効果的に接触されることができ、必要なすべての電力及び/又はデータの伝送が、十分な数の端子によって、接触プラグにおいて確実にされる。
【0010】
更に、本発明による電磁弁では有利な発展形態において、接続装置のプラグイン接触子と温度センサとが互いに90°の角度をなして延びているという着想を提供することができる。これは、部品の接触を互いに一直線上では可能にせず、代わりに互いに角度をなして可能にし、このことは、電気的接点が十分な柔軟性及び寸法を有するとき、取付けの点で非常に容易であり、またより高い部品許容度でさえ比較的信頼性高く可能である。
【0011】
温度センサを備えた電磁弁及び電気接続装置を用いて電磁弁を非常に容易かつ効率的に取り付ける可能性は、ここでは特に、対応して多くの部品数を必要とする用途において使用するために適している。その理由から、電磁弁は、圧縮天然ガス又は圧縮水素の形態の燃料の貯蔵のための圧力ガス容器が自動車において利用される場合に特に、圧力ガス容器のタンク弁の分野において特に好適に使用することができる。
【0012】
本発明による電気接続装置及び本発明による電磁弁の更に有利な形態は、残りの従属請求項から明らかであり、以下に図面と関連付けて詳細に記載する実施例に基づいて明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】圧力ガス容器を備えた自動車の模式図である。
図2】圧力ガス容器用のタンク弁としての形態の電磁弁の図である。
図3図2の視線方向IIIから見た同じ弁の図である。
図4】本発明による電気接続装置の可能な実施形態の三次元表示の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、自動車1をあくまで例示的に示している。その自動車は、気体燃料、例えば、圧縮天然ガス又は圧縮水素により駆動されるものとする。燃料は、例えば、内燃機関において又は水素の場合には特に燃料電池システムにおいて駆動力に変換することができる。圧縮ガス、例えば、水素を70MPaの公称圧力で貯蔵するために、この場合には、貯蔵装置2が自動車1内に設けられている。貯蔵装置2は、一般的に、図1に示されている複数の個別の圧力ガス容器3を含む。この圧力ガス容器3のそれぞれは、それに接続されたタンク弁4を備え、それはOTV(On Tank Valve、オン・タンク弁)とも称される。図2及び図3は、この種のタンク弁の例示的な構成を示している。タンク弁4は、電磁タンク弁4として形成されている。タンク弁は、例えば、基本的に先行技術から公知のいわゆるピボット弁の形態で実現することができ、本出願人のDE 10 2013 019 879 A1に例示的に記載されている。
【0015】
図2は、圧力ガス容器3の容器の見えない視線方向からのこの種のタンク弁4を示す。タンク弁4は、弁ハウジング5を含み、その上に、例えばガスの供給及び排出のための、6と標示された2つの接続部が示されている。このケースでは、タンク弁4の中央に、7と標示された領域を見ることができ、この領域はタンク弁4が取り付けられるとき、圧力ガス容器3の中に突出する。この構成は、図2のIIIと標示された矢印の方向からの側面図である図3においてより明確にみることができる。更に、圧力ガス容器の方向に突出している領域7は、図3に示されている、8と標示されたねじ山を有する。このねじ山8により、タンク弁4は、一般的にBOSSと称される圧力ガス容器3の対応する収容部とねじ止めされる。
【0016】
また図2において見ることができるように、領域7は、9と標示された連通接続部を有し、その連通接続部を介して、ガスは、圧力ガス容器の中へ、かつ圧力ガス容器からタンク弁4に流れることができる。更に、温度センサ10が設けられている。温度センサは、それ自体公知の手法で、例えば、冒頭のDE 10 2014 002 660 A1により記載された様式で形成されており、実際のセンサ素子、例えば、NTC抵抗器を包み込むカバーを含む。カバーを備えたこの温度センサ10は、例えば、領域7にねじ止めされていてもよい。この温度センサは、特に図2において見ることができる平面11を有し、その平面11は、また図3の図示において×印により平面として示されている。これは、取付け時に温度センサ10の角度をつけた配向を可能にし、その配向は、以下に更に記載する理由から有意義であり得る。
【0017】
電磁的に制御される弁4の操作のために、この弁は、アクチュエータとして電磁コイル12を有し、このコイルは特に図2において非常に明確に見ることができる。このコイルは、全体で14と標示された電気接続装置のハウジング13内にある。電磁コイル12の他に、電気接続装置は、ハウジング13の更なる部分として接触プラグ15を有し、この接触プラグ15によって、例えば自動車1のワイヤハーネスへの接続が、タンク弁4のアクチュエータコイルとしての電磁コイル12を制御するために確立されることができる。図4は、電気接続装置14の全体構成の、例示的な三次元図である。全体で13と標示されたハウジングは、特にハウジング13に封印されるようにアクチュエータコイル12を備える。更に、接触プラグ15を見ることができる。このプラグは、アクチュエータコイル12の中心軸に対して直角に延在する。アクチュエータコイル12を取り付けるために、図4において16と標示されたアクチュエータコイル12内の中央開口部を通して、図2及び図3において17と標示されたねじを案内することができるため、電気接続装置14は、弁ハウジング5とねじ止めされる。次いで、アクチュエータコイル12は、例えば、弁ハウジング5内のピボット弁の対応する部分と共に、所望の様式及び手法で相互作用することができる。
【0018】
図4において見ることができるように、電気接続装置14は、18と標示されたプラグイン接触子を更に有する。プラグイン接触子は、アクチュエータコイル12の軸に対して並行して延在し、電気接続装置14が取り付けられたとき、弁ハウジング5の中へ延在する。これは、図2において破線で示されている。このため、弁ハウジング5は、プラグイン接触子18が中へ突出することができる適切な開口部19を有する。
【0019】
図3は、例えば、この場合もまた冒頭に記載の独国文献と同様に、温度センサ10がタンク弁4の領域7全体を通して突出していることを示している。温度センサは、一般的には弁ハウジング5に対向する端部に、対応する接続要素を有するが、ここではそれらの要素は見ることができない。温度センサは、プラグイン接触子18用の開口部19の領域で終端する。ここで、電気接続要素14が弁ハウジング5に取り付けられる場合、プラグイン接触子18は、弁ハウジング5の内部へと突出し、温度センサ10又はその弁ハウジング5に対向するプラグイン接触子と電気的に接続する係合を形成する。一般的にプラグイン接触子18と温度センサ10との直角連結によって実現するこの接触を確実かつ信頼性高く保証するために、冒頭で既に言及したように、温度センサ10の角度をつけた配向が正確であることが重要である。そのために、様々な措置及びマーキングを設けることが可能であろう。ここに図示した実施例では、これは、11と標示された平面によって実現され、その平面は、例えば、電気接続装置14が取り付けられる弁ハウジング5の縁部に対して平行に延びるように配向される。
【0020】
したがって、温度センサ10が取り付けられると、温度センサ10はプラグイン接触子18と接触でき、したがって、電気接続装置14の簡単な差し込みによって、電気接続装置14の接触プラグ15との接触を達成することができる。アクチュエータコイル12もまた、電気接続装置14の内部で接触プラグ15の更に別の電極と接続されている。したがって、接触プラグは、対応する接触を達成するために、電気接続装置14に差し込むことで十分である。最終的に、電気接続装置は、既に言及したように、ねじ17によって固定することができる。そのようにして、電気接続装置14によってタンク弁4が非常に容易に電気的に接触し、また、設置時又は組立時に接触プラグ15に対して必要な電気的接続を保証するという可能性が生じる。自動車1のワイヤハーネスでの接続コネクタを介して、次いで、接触プラグ15は、タンク弁4の信頼性のある機能性及び温度信号の評価を保証するために、対応する制御機器と接触することができる。
図1
図2
図3
図4