【0015】
各回転刃の凸部のピッチ及び数は、特に限定されないが、次の態様を例示する。
[1]60°のピッチで6個の凸部が設けられている。
[2]45°のピッチで8個の凸部が設けられている。
[3]30°のピッチで12個の凸部が設けられている。
[4]20°のピッチで18個の凸部が設けられている。
[5]12°のピッチで30個の凸部が設けられている。
[6]8°のピッチで45個の凸部が設けられている。
[7]6°のピッチで60個の凸部が設けられている。
【実施例1】
【0018】
図1〜
図9に示す本実施例1のロールクラッシャ1は、胡椒の実を破砕(粗挽き)するための装置である。このロールクラッシャ1は、2本のロール9,9と、4つの軸受装置50,50・・と、ケース60と、2つの油圧モータ70,70とから構成されている。
【0019】
[ロール9]
2本のロール9,9は、
図2等に示すように平行に並べて設置される。そして、各ロール9は、
図7等に示すように、複数の回転刃部材10,10・・と、複数のスペーサ20,20・・と、シャフト40とを含み構成されている。
【0020】
回転刃部材10は、
図8等に示すように、外周部に回転刃11を備えた円盤状の部材である。各回転刃11は、凸部12,12・・及び凹部13,13・・を軸周方向に交互に備えている。凸部12及び凹部13の数は、それぞれ30個ずつである。その30個の凸部12,12・・は、軸周方向に等間隔の角度ピッチθ(即ち、θ=12°)で設けられている。
【0021】
また、回転刃部材10は、中心部に軸孔34を備えている。そして、軸孔34の内周面に第一嵌合凹部34aと第二嵌合凹部34bとを軸周方向に90°の角度ピッチで備えている。そして、第一嵌合凹部34aの中央線C1は、一の凸部12の中央線12cと一致している。そして、第二嵌合凹部34bの中央線C2は、一の凹部13の中央線13cと一致している。そのため、
図8bに示すように、両嵌合凹部34a,34b間を2等分する2等分線Zを軸に、回転刃部材10を半回転(180°回転)させると、第一嵌合凹部34aと第二嵌合凹部34bとの位置が入れ替わると共に、凸部12,12・・の位置と、凹部13,13・・の位置とが入れ替わる。
【0022】
各回転刃部材10の直径は、凹部13から凹部13までの部分で114mmである。そして、各凸部12,12・・の軸径方向の突出長は3mmである。よって、各回転刃部材10の直径は、凸部12から凸部12までの部分で120mmである。そして、各回転刃部材10の厚さは、2mmである。
【0023】
スペーサ20は、
図7等に示すように、間隔部21を構成する円盤状の部材である。このスペーサ20も、回転刃部材10と同様に、軸孔34と、第一及び第二嵌合凹部34a,34bとを備えている。各スペーサ20は、直径が114mmで厚さが3mmである。
【0024】
シャフト40は、
図7等に示すように、外周部に軸長方向に延びる突条状の2本のキー40a,40bを軸周方向に90°のピッチで備えている。
【0025】
そして、各ロール9は、
図7等に示すように、複数の回転刃部材10,10・・を軸長方向に、各間にスペーサ20,20・・を挟んで、
図5等に示す第1状態αと
図6等に示す第2状態βとに変更可能にシャフト40で連結したものである。よって、各ロール9は、いずれの状態α,βにおいても、複数の回転刃11,11・・を軸長方向に、各間に間隔部21,21・・おいて並べて備える。そして、各ロール9の回転刃11,11・・とその他方のロール9の間隔部21,21・・とで破砕対象物(胡椒の実)を挟み込んで破砕する。
【0026】
詳しくは、
図5等に示す第1状態αでは、全ての回転刃部材10,10・・が一方の側面A,A・・を軸長方向一方にして挟んで並んでいる。そして、シャフト40が各軸孔34,34・・を挿通している。そして、一方のキー40aが、全ての回転刃部材10,10・・の第一嵌合凹部34a,34a・・に嵌合している。そして、他方のキー40bが、全ての回転刃部材10,10・・の第二嵌合凹部34b,34b・・に嵌合している。この第一状態αでは、全ての回転刃部材10,10・・の凸部12,12・・の軸周方向の位置が揃う。
【0027】
また、
図6,
図7等に示す第2状態βでは、一方の側面Aを軸長方向一方にした回転刃部材10と、他方の側面Bを前記軸長方向一方にした回転刃部材10とが軸長方向に交互に並んでいる。そして、シャフト40が各軸孔34,34・・を挿通している。そして、2本のそれぞれのキー40a,40bが、軸長方向に並ぶ回転刃部材10,10・・の第一嵌合凹部34aと第二嵌合凹部34bとに交互に嵌合している。この第2状態βでは、回転刃部材10,10・・の上記の形状により、各回転刃部材10の凸部12の軸周方向の位置が、1つ隣の回転刃部材10の凹部13及び2つ隣の回転刃部材10の凸部12の軸周方向の位置と揃う。
【0028】
なお、
図7等に「48」で示す部材は補強軸48であり、各回転刃部材10,10・・及びスペーサ20,20・・に貫設された補強軸孔38,38・・に挿通されることで、連結を補強している。また、
図5等に「29」で示す部材は、端板部材29,29であり、回転刃部材10,10・・とスペーサ20,20・・との並びの両端に設置されている。この端板部材29は、回転刃部材10及びスペーサ20と同様に、軸孔34、第一及び第二嵌合凹部34a,34b、補強軸孔38,38・・を備えている。
【0029】
[軸受装置50]
軸受装置50は、
図3等に示すように、軸受下部50bと、軸受下部50bに対して蝶番52で開閉可能に取り付けられた軸受上部50aとを備えている。そして、
図2に示すように、軸受下部50bから軸受上部50aを開いて軸受下部50bの上にシャフト40を載置してから、
図3等に示すように軸受上部50aを閉じて、軸受下部50bに対して軸受上部50aをロック51でロックすると、シャフト40が回転可能に支持される。詳しくは、軸受下部50bに回転可能に取り付けられた2つの下側ローラ54,54と、軸受上部50aに回転可能に取り付けられた2つの上側ローラ53,53とでシャフト40を4方から囲むことで、シャフト40を回転可能に支持する。そして、ロック51を解除して、
図4等に示すように軸受下部50bから軸受上部50aを開くと、シャフト40が取外し可能になる。
【0030】
[ケース60]
ケース60は、
図3等に示すように、ケース下部60bと、ケース下部60bに対して蝶番62で開閉可能に取り付けられたケース上部60aとを備えている。そして、ケース上部60aには、
図1に示すように、破砕対象物(胡椒の実)を投入するための投入口65が設けられている。そして、
図2に示すように、ケース下部60bからケース上部60aを開いてケース下部60bの上方にロール9,9を配置してから、
図3等に示すようにケース上部60aを閉じて、ケース下部60bに対してケース上部60aをロック61でロックすると、ロール9,9がケース60の内側の投入口65の下方に配置される。そして、ロック61を解除して、
図4等に示すようにケース下部60bからケース上部60aを開くと、ロール9,9が取外し可能になる。
【0031】
[油圧モータ70]
油圧モータ70は、
図1等に示すように、ロッド71の先端部に固定された第一ギア73と、シャフト40に固定されて第一ギア73と噛み合った第二ギア74とを介して、ロール9を回転駆動するように構成されている。
【0032】
本実施例1によれば、各条件に応じて2本のロール9,9を、
図9に示すように、両方が第1状態α,αである第1の組合せ(
図9a)と、一方が第1状態αで他方が第2状態βである第2の組合せ(
図9b)と、両方が第2状態β,βである第3の組合せ(
図9c)とに、変更することができる。そのため、これら3つの中から最適な組合せを選択することで、破砕対象物(胡椒の実)をより希望に合う状態に破砕することができる。
【0033】
実際に本実施例1では、第1の組合せα,αで胡椒の実を粗挽きしたところ、粒の大きさが揃わず微粉成分が多く、歩留まりが悪かった。そこで、第3の組合せβ,βに変更して胡椒の実を粗挽きすると、粒の大きさが揃い微粉成分が少なくなり、歩留まりが良くなった。