特許第6616971号(P6616971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616971
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】ロールクラッシャ
(51)【国際特許分類】
   B02C 18/18 20060101AFI20191125BHJP
   B02C 18/24 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   B02C18/18 B
   B02C18/24
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-136439(P2015-136439)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-18860(P2017-18860A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年4月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】315006872
【氏名又は名称】明和テクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】大森 悠生
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5528615(JP,B2)
【文献】 特開2008−132494(JP,A)
【文献】 特開2007−075725(JP,A)
【文献】 特開2010−125419(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203019561(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0047062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のロール(9)を並べて備え、各ロール(9)は、複数の回転刃(11)を軸長方向に各間に間隔部(21)おいて並べて備え、各回転刃(11)は、凸部(12)及び凹部(13)を軸周方向に交互に備え、各ロール(9)の回転刃(11)とその他方のロール(9)の間隔部(21)とで破砕対象物を挟み込んで破砕するロールクラッシャにおいて、
各ロール(9)は、回転刃(11)を備えた円盤状の複数の回転刃部材(10)を軸長方向に、各間に間隔部(21)を構成する円盤状のスペーサ(20)を挟んで、第1状態(α)と第2状態(β)とに変更可能にシャフト(40)で連結したものであり、
各回転刃部材(10)及び各スペーサ(20)は、中心部に軸孔(34)を備えると共に、各軸孔(34)の内周面に嵌合凹部(34a,34b)を備え、シャフト(40)は、外周部に軸長方向に延びる突条状のキー(40a,40b)を備え、
嵌合凹部(34a,34b)は、軸周方向に間隔をおいて並設された第一嵌合凹部(34a)と第二嵌合凹部(34b)とを含み、キー(40a,40b)は、軸周方向に間隔をおいて並設された2本のキー(40a,40b)を含み、
第1状態(α)は、全ての回転刃部材(10)の凸部(12)の軸周方向の位置が揃い、全ての回転刃部材(10)が一方の側面(A)を軸長方向一方にして並んだ状態で、シャフト(40)が各軸孔(34)を挿通し、一方のキー(40a)が、全ての回転刃部材(10)の第一嵌合凹部(34a)に嵌合し、他方のキー(40b)が、全ての回転刃部材(10)の第二嵌合凹部(34a)に嵌合した状態であり、
第2状態(β)は、各回転刃部材(10)の凸部(12)の軸周方向の位置が1つ隣の回転刃部材(10)の凹部(13)及び2つ隣の回転刃部材(10)の凸部(12)の軸周方向の位置と揃い、一方の側面(A)を軸長方向一方にした回転刃部材(10)と、他方の側面(B)を前記軸長方向一方にした回転刃部材(10)とが軸長方向に交互に並んだ状態で、シャフト(40)が各軸孔(34)を挿通し、2本のそれぞれのキー(40a,40b)が、軸長方向に並ぶ回転刃部材(10)の第一嵌合凹部(34a)と第二嵌合凹部(34b)とに交互に嵌合した状態であることを特徴とするロールクラッシャ。
【請求項2】
2本のロール(9)を並べて備え、各ロール(9)は、複数の回転刃(11)を軸長方向に各間に間隔部(21)おいて並べて備え、各回転刃(11)は、凸部(12)及び凹部(13)を軸周方向に交互に備え、各ロール(9)の回転刃(11)とその他方のロール(9)の間隔部(21)とで破砕対象物を挟み込んで破砕するロールクラッシャにおいて、
各ロール(9)は、回転刃(11)を備えた円盤状の複数の回転刃部材(10)を軸長方向に、各間に間隔部(21)を構成する円盤状のスペーサ(20)を挟んで、第1状態(α)と第2状態(β)とに変更可能にシャフト(40)で連結したものであり、
各回転刃部材(10)及び各スペーサ(20)は、中心部に軸孔(34)を備えると共に、各軸孔(34)の内周面に1つずつの嵌合凹部(34a)を備え、シャフト(40)は、外周部に軸長方向に延びる突条状の1本のみのキー(40a)を備え、
嵌合凹部(34a)の中央線(C1)に最も近い凸部(12)の中央線(12c)は、嵌合凹部(34a)の中央線(C1)から軸周方向の一方に凸部(12,12・・)の角度ピッチ(θ)の4分の1の角度(θ/4)ずれており、嵌合凹部(34a)の中央線(C1)に最も近い凹部(13)の中央線(13c)は、嵌合凹部(34a)の中央線(C1)から軸周方向の他方に凸部(12,12・・)の角度ピッチ(θ)の4分の1の角度(θ/4)ずれており、
第1状態(α)は、全ての回転刃部材(10)の凸部(12)の軸周方向の位置が揃い、全ての回転刃部材(10)が一方の側面(A)を軸長方向一方にして並んだ状態で、シャフト(40)が各軸孔(34)を挿通し、キー(40a)が各嵌合凹部(34a)に嵌合した状態であり、
第2状態(β)は、各回転刃部材(10)の凸部(12)の軸周方向の位置が1つ隣の回転刃部材(10)の凹部(13)及び2つ隣の回転刃部材(10)の凸部(12)の軸周方向の位置と揃い、一方の側面(A)を軸長方向一方にした回転刃部材(10)と、他方の側面(B)を前記軸長方向一方にした回転刃部材(10)とが軸長方向に交互に並んだ状態で、シャフト(40)が各軸孔(34)を挿通し、キー(40a)が各嵌合凹部(34a)に嵌合した状態であることを特徴とするロールクラッシャ。
【請求項3】
軸受装置(50)を備え、軸受装置(50)は、軸受下部(50b)と、軸受下部(50b)に対して開閉可能に構成された軸受上部(50a)とを備え、軸受下部(50b)から軸受上部(50a)を開いて軸受下部(50b)の上にシャフト(40)を載置してから軸受上部(50a)を閉じてロックすると、シャフト(40)が回転可能に支持され、ロックを解除して軸受下部(50b)から軸受上部(50a)を開くとシャフト(40)が取外し可能になるように構成された請求項1又は2記載のロールクラッシャ。
【請求項4】
軸受下部(50b)に対して軸受上部(50a)が蝶番(52)で開閉可能に取り付けられた請求項記載のロールクラッシャ。
【請求項5】
軸受装置(50)は、軸受下部(50b)に回転可能に取り付けられた複数の下側ローラ(54)と、軸受上部(50a)に回転可能に取り付けられた複数の上側ローラ(53)とで、シャフト(40)を周囲から囲むことで、シャフト(40)を回転可能に支持するように構成された請求項3又は4記載のロールクラッシャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、木材、樹脂、ゴム、金属、セラミックス、ガラス等の破砕対象物を破砕するロールクラッシャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロールクラッシャとしては、次に示すものがある。即ち、2本のロールを並べて備え、各ロールは、複数の回転刃を軸長方向に各間に間隔部おいて並べて備えている。そして、各ロールの回転刃とその他方のロールの間隔部とで破砕対象物を挟み込んで破砕する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−251094号公報
【特許文献2】特開平8−155322号公報
【特許文献3】特開平9−38515号公報
【特許文献4】特開2001−293388号公報
【特許文献5】特開2004−344776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
破砕対象物を、例えば粒の大きさが揃わない等、希望の状態に破砕できないことがある。その課題に関して、本発明者は、2本のロールの凸部及び凹部の配置を各条件に応じて随時変更することで、改善可能であると考えた。
【0005】
そこで、2本のロールの凸部及び凹部の配置を変更可能にすることを目的とする。なお、ロールの凸部及び凹部の配置が特徴的なロールクラッシャを示す文献としては、上記の特許文献1〜5等がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のロールクラッシャは、2本のロールを並べて備え、各ロールは、複数の回転刃を軸長方向に各間に間隔部おいて並べて備え、各回転刃は、凸部及び凹部を軸周方向に交互に備え、各ロールの回転刃とその他方のロールの間隔部とで破砕対象物を挟み込んで破砕するロールクラッシャにおいて、各ロールは、回転刃を備えた円盤状の複数の回転刃部材を軸長方向に、各間に間隔部を構成する円盤状のスペーサを挟んで、第1状態と第2状態とに変更可能にシャフトで連結したものであり、第1状態は、全ての回転刃部材の凸部の軸周方向の位置が揃う状態であり、第2状態は、各回転刃部材の凸部の軸周方向の位置が1つ隣の回転刃部材の凹部及び2つ隣の回転刃部材の凸部の軸周方向の位置と揃う状態であることを特徴とする。
【0007】
第1状態及び第2状態を実現するための具体的な態様として、次のa,bの態様のうち、より実施し易い点で、aの態様を本発明は採用する
[a]第1状態は、全ての回転刃部材が一方の側面を軸長方向一方にして並んだ状態である。第2状態は、一方の側面を軸長方向一方にした回転刃部材と、他方の側面を前記軸長方向一方にした回転刃部材とが軸長方向に交互に並んだ状態である。
[b]第1状態は、全ての回転刃部材がその所定箇所を軸周方向の同じ位置にして並んだ状態である。第2状態は、所定箇所を第一位置にした回転刃部材と、前記所定箇所を第一位置から軸周方向に離れた第二位置にした回転刃部材とが軸長方向に交互に並んだ状態である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2本のロールの両方が第1状態である第1の組合せと、一方が第1状態で他方が第2状態である第2の組合せと、両方が第2状態である第3の組合せとに、各条件に応じて変更することができる。そのため、これら3つの中から最適な組合せを選択することで、例えば粒の大きさが揃う等、破砕対象物をより希望に合う状態に破砕することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のロールクラッシャを示す平面図である。
図2図1の状態から、ケース及び軸受装置を開いた状態を示す平面図である。
図3図1のロールクラッシャを右側から見た右側面図である。
図4図3の状態から、ケース及び軸受装置を開いてロールを取り出した状態を示す右側面図である。
図5】aは、上記ロールの第1状態を示す斜視図、bは、その部分拡大図である。
図6】aは、上記ロールの第2状態を示す斜視図、bは、その部分拡大図である。
図7図6aを分解した状態を示す分解斜視図である。
図8】aは、上記ロールの回転刃部材の一方の側面を示す側面図、bは、その回転刃部材を半回転させた状態を示す側面図である。
図9】aは、2本の上記ロールの第1の組合せを示す平面図、bは、第2の組合せを示す平面図、cは、第3の組合せを示す平面図である。なお、2点鎖線で示すハッチングは、凸部を示すものであり、断面を示すものではない。
図10】aは、実施例2の回転刃部材の一方の側面を示す側面図、bは、その回転刃部材を半回転させた状態を示す側面図である。
図11】aは、実施例3の回転刃部材の一方の側面を示す側面図、bは、その回転刃部材を半回転させた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記aのより具体的な態様として、次の態様を本発明は採用する。即ち、各回転刃部材及び各スペーサは、中心部に軸孔を備えると共に、各軸孔の内周面に嵌合凹部を備えている。シャフトは、外周部に軸長方向に延びる突条状のキーを備えている。第1状態は、全ての回転刃部材が一方の側面を軸長方向一方にして並んだ状態で、シャフトが各軸孔を挿通すると共にキーが各嵌合凹部に嵌合した状態である。第2状態は、一方の側面を軸長方向一方にした回転刃部材と、他方の側面を前記軸長方向一方にした回転刃部材とが軸長方向に交互に並んだ状態で、シャフトが各軸孔を挿通すると共にキーが各嵌合凹部に嵌合した状態である。
【0011】
この上記aの具体的な態様において、嵌合凹部及びキーの数等として、次のa1の態様を第1の本発明は採用し、a2の態様を第2の本発明は採用する
[a1]嵌合凹部は、軸周方向に間隔をおいて並設された第一嵌合凹部と第二嵌合凹部とを含んでいる。キーは、軸周方向に間隔をおいて並設された2本のキーを含んでいる。第1状態は、一方のキーが、全ての回転刃部材の第一嵌合凹部に嵌合すると共に、他方のキーが、全ての回転刃部材の第二嵌合凹部に嵌合した状態である。第2状態は、2本のそれぞれのキーが、軸長方向に並ぶ回転刃部材の第一嵌合凹部と第二嵌合凹部とに交互に嵌合した状態である。
[a2]嵌合凹部は、各軸孔毎に1つずつである。キーは、1本のみである。第1状態及び第2状態は、いずれも1本のキーが全ての回転刃部材の1つずつの嵌合凹部に嵌合した状態である。
【0012】
シャフトの軸受の態様は、特に限定されないが、シャフトの取外しが簡単になる点で次の態様が好ましい。即ち、ロールクラッシャは軸受装置を備えている。軸受装置は、軸受下部と、軸受下部に対して開閉可能に構成された軸受上部とを備えている。軸受装置は、軸受下部から軸受上部を開いて軸受下部の上にシャフトを載置してから軸受上部を閉じてロックすると、シャフトが回転可能に支持され、ロックを解除して軸受下部から軸受上部を開くとシャフトが取外し可能になるように構成されている。
【0013】
この軸受装置の開閉構造は、特に限定されないが、次のア,イの態様を例示する。但し、開閉し易くなる点で、アの態様であることが好ましい。
[ア]軸受下部に対して軸受上部が蝶番で開閉可能に取り付けられている。
[イ]軸受下部に対して軸受上部が取外し可能に構成されている。
【0014】
この軸受装置のシャフトを支持する部分は、滑り軸受であってもよいが、より摩擦が減る点で転がり軸受であることが好ましい。その転がり軸受の態様は、特に限定されないが、次の態様を例示する。即ち、軸受装置は、軸受下部に回転可能に取り付けられた複数の下側ローラと、軸受上部に回転可能に取り付けられた複数の上側ローラとでシャフトを周囲から囲むことで、シャフトを回転可能に支持するように構成されている。
【0015】
各回転刃の凸部のピッチ及び数は、特に限定されないが、次の態様を例示する。
[1]60°のピッチで6個の凸部が設けられている。
[2]45°のピッチで8個の凸部が設けられている。
[3]30°のピッチで12個の凸部が設けられている。
[4]20°のピッチで18個の凸部が設けられている。
[5]12°のピッチで30個の凸部が設けられている。
[6]8°のピッチで45個の凸部が設けられている。
[7]6°のピッチで60個の凸部が設けられている。
【0016】
破砕対象物は、特に限定されないが、食品、木材、樹脂、ゴム、金属、セラミックス、ガラス等を例示する。そして、食品は、香辛料原料(胡椒の実等)、岩塩、肉、骨、魚、野菜、果実等を例示する。
【0017】
次に本発明の実施例を示す。但し、本発明は実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成や形状を任意に変更して実施することもできる。
【実施例1】
【0018】
図1図9に示す本実施例1のロールクラッシャ1は、胡椒の実を破砕(粗挽き)するための装置である。このロールクラッシャ1は、2本のロール9,9と、4つの軸受装置50,50・・と、ケース60と、2つの油圧モータ70,70とから構成されている。
【0019】
[ロール9]
2本のロール9,9は、図2等に示すように平行に並べて設置される。そして、各ロール9は、図7等に示すように、複数の回転刃部材10,10・・と、複数のスペーサ20,20・・と、シャフト40とを含み構成されている。
【0020】
回転刃部材10は、図8等に示すように、外周部に回転刃11を備えた円盤状の部材である。各回転刃11は、凸部12,12・・及び凹部13,13・・を軸周方向に交互に備えている。凸部12及び凹部13の数は、それぞれ30個ずつである。その30個の凸部12,12・・は、軸周方向に等間隔の角度ピッチθ(即ち、θ=12°)で設けられている。
【0021】
また、回転刃部材10は、中心部に軸孔34を備えている。そして、軸孔34の内周面に第一嵌合凹部34aと第二嵌合凹部34bとを軸周方向に90°の角度ピッチで備えている。そして、第一嵌合凹部34aの中央線C1は、一の凸部12の中央線12cと一致している。そして、第二嵌合凹部34bの中央線C2は、一の凹部13の中央線13cと一致している。そのため、図8bに示すように、両嵌合凹部34a,34b間を2等分する2等分線Zを軸に、回転刃部材10を半回転(180°回転)させると、第一嵌合凹部34aと第二嵌合凹部34bとの位置が入れ替わると共に、凸部12,12・・の位置と、凹部13,13・・の位置とが入れ替わる。
【0022】
各回転刃部材10の直径は、凹部13から凹部13までの部分で114mmである。そして、各凸部12,12・・の軸径方向の突出長は3mmである。よって、各回転刃部材10の直径は、凸部12から凸部12までの部分で120mmである。そして、各回転刃部材10の厚さは、2mmである。
【0023】
スペーサ20は、図7等に示すように、間隔部21を構成する円盤状の部材である。このスペーサ20も、回転刃部材10と同様に、軸孔34と、第一及び第二嵌合凹部34a,34bとを備えている。各スペーサ20は、直径が114mmで厚さが3mmである。
【0024】
シャフト40は、図7等に示すように、外周部に軸長方向に延びる突条状の2本のキー40a,40bを軸周方向に90°のピッチで備えている。
【0025】
そして、各ロール9は、図7等に示すように、複数の回転刃部材10,10・・を軸長方向に、各間にスペーサ20,20・・を挟んで、図5等に示す第1状態αと図6等に示す第2状態βとに変更可能にシャフト40で連結したものである。よって、各ロール9は、いずれの状態α,βにおいても、複数の回転刃11,11・・を軸長方向に、各間に間隔部21,21・・おいて並べて備える。そして、各ロール9の回転刃11,11・・とその他方のロール9の間隔部21,21・・とで破砕対象物(胡椒の実)を挟み込んで破砕する。
【0026】
詳しくは、図5等に示す第1状態αでは、全ての回転刃部材10,10・・が一方の側面A,A・・を軸長方向一方にして挟んで並んでいる。そして、シャフト40が各軸孔34,34・・を挿通している。そして、一方のキー40aが、全ての回転刃部材10,10・・の第一嵌合凹部34a,34a・・に嵌合している。そして、他方のキー40bが、全ての回転刃部材10,10・・の第二嵌合凹部34b,34b・・に嵌合している。この第一状態αでは、全ての回転刃部材10,10・・の凸部12,12・・の軸周方向の位置が揃う。
【0027】
また、図6図7等に示す第2状態βでは、一方の側面Aを軸長方向一方にした回転刃部材10と、他方の側面Bを前記軸長方向一方にした回転刃部材10とが軸長方向に交互に並んでいる。そして、シャフト40が各軸孔34,34・・を挿通している。そして、2本のそれぞれのキー40a,40bが、軸長方向に並ぶ回転刃部材10,10・・の第一嵌合凹部34aと第二嵌合凹部34bとに交互に嵌合している。この第2状態βでは、回転刃部材10,10・・の上記の形状により、各回転刃部材10の凸部12の軸周方向の位置が、1つ隣の回転刃部材10の凹部13及び2つ隣の回転刃部材10の凸部12の軸周方向の位置と揃う。
【0028】
なお、図7等に「48」で示す部材は補強軸48であり、各回転刃部材10,10・・及びスペーサ20,20・・に貫設された補強軸孔38,38・・に挿通されることで、連結を補強している。また、図5等に「29」で示す部材は、端板部材29,29であり、回転刃部材10,10・・とスペーサ20,20・・との並びの両端に設置されている。この端板部材29は、回転刃部材10及びスペーサ20と同様に、軸孔34、第一及び第二嵌合凹部34a,34b、補強軸孔38,38・・を備えている。
【0029】
[軸受装置50]
軸受装置50は、図3等に示すように、軸受下部50bと、軸受下部50bに対して蝶番52で開閉可能に取り付けられた軸受上部50aとを備えている。そして、図2に示すように、軸受下部50bから軸受上部50aを開いて軸受下部50bの上にシャフト40を載置してから、図3等に示すように軸受上部50aを閉じて、軸受下部50bに対して軸受上部50aをロック51でロックすると、シャフト40が回転可能に支持される。詳しくは、軸受下部50bに回転可能に取り付けられた2つの下側ローラ54,54と、軸受上部50aに回転可能に取り付けられた2つの上側ローラ53,53とでシャフト40を4方から囲むことで、シャフト40を回転可能に支持する。そして、ロック51を解除して、図4等に示すように軸受下部50bから軸受上部50aを開くと、シャフト40が取外し可能になる。
【0030】
[ケース60]
ケース60は、図3等に示すように、ケース下部60bと、ケース下部60bに対して蝶番62で開閉可能に取り付けられたケース上部60aとを備えている。そして、ケース上部60aには、図1に示すように、破砕対象物(胡椒の実)を投入するための投入口65が設けられている。そして、図2に示すように、ケース下部60bからケース上部60aを開いてケース下部60bの上方にロール9,9を配置してから、図3等に示すようにケース上部60aを閉じて、ケース下部60bに対してケース上部60aをロック61でロックすると、ロール9,9がケース60の内側の投入口65の下方に配置される。そして、ロック61を解除して、図4等に示すようにケース下部60bからケース上部60aを開くと、ロール9,9が取外し可能になる。
【0031】
[油圧モータ70]
油圧モータ70は、図1等に示すように、ロッド71の先端部に固定された第一ギア73と、シャフト40に固定されて第一ギア73と噛み合った第二ギア74とを介して、ロール9を回転駆動するように構成されている。
【0032】
本実施例1によれば、各条件に応じて2本のロール9,9を、図9に示すように、両方が第1状態α,αである第1の組合せ(図9a)と、一方が第1状態αで他方が第2状態βである第2の組合せ(図9b)と、両方が第2状態β,βである第3の組合せ(図9c)とに、変更することができる。そのため、これら3つの中から最適な組合せを選択することで、破砕対象物(胡椒の実)をより希望に合う状態に破砕することができる。
【0033】
実際に本実施例1では、第1の組合せα,αで胡椒の実を粗挽きしたところ、粒の大きさが揃わず微粉成分が多く、歩留まりが悪かった。そこで、第3の組合せβ,βに変更して胡椒の実を粗挽きすると、粒の大きさが揃い微粉成分が少なくなり、歩留まりが良くなった。
【実施例2】
【0034】
図10に示す実施例2のロールクラッシャ2は、実施例1と比較して、次の点で相違し、その他の点で同様である。即ち、各回転刃部材10の直径は、凹部13から凹部13までの部分で108mmである。そして、各凸部12,12・・の軸径方向の突出長は、6mmである。よって、各回転刃部材10の直径は、凸部12から凸部12までの部分で120mmである。本実施例2は、凸部12,12・・の突出長が長い方が、破砕対象物をより上手く破砕することができる場合に好適である。
【実施例3】
【0035】
図11に示す実施例3のロールクラッシャ3は、実施例1と比較して、次の点で相違し、その他の点で同様である。即ち、第二嵌合凹部34b及び第二キー40bを備えない。よって、各回転刃部材10及びスペーサ20の嵌合凹部は、「34a」の1つのみであり、シャフト40のキーも、「40a」の1つのみである。そして、嵌合凹部34aの中央線C1に最も近い凸部12の中央線12cは、嵌合凹部34aの中央線C1から軸周方向の一方に凸部12,12・・の角度ピッチθの4分の1の角度(θ/4=3°)ずれている。そして、嵌合凹部34aの中央線C1に最も近い凹部13の中央線13cは、嵌合凹部34aの中央線C1から軸周方向の他方に凸部12,12・・の角度ピッチθの4分の1の角度(θ/4=3°)ずれている。そのため、図11bに示すように、嵌合凹部34aの中央線C1を軸に回転刃部材10を半回転(180°回転)させると、嵌合凹部34aの位置はそのままで、凸部12,12・・の位置と、凹部13,13・・の位置とが入れ替わる。本実施例3によれば、キー40a及び嵌合凹部34aが1つずつでも、本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ロールクラッシャ(実施例1)
2 ロールクラッシャ(実施例2)
3 ロールクラッシャ(実施例3)
9 ロール
10 回転刃部材
11 回転刃
12 凸部
13 凹部
20 スペーサ
21 間隔部
34 軸孔
34a 第一嵌合凹部
34b 第二嵌合凹部
40 シャフト
40a 第一キー
40b 第二キー
50 軸受装置
50a 軸受上部
50b 軸受下部
51 ロック
52 蝶番
53 上側ローラ
54 下側ローラ
A 回転刃部材の一方の側面
B 回転刃部材の他方の側面
α 第1状態
β 第2状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11