特許第6616982号(P6616982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6616982シールド区画貫通導波管における電磁シールド構造、シールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616982
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】シールド区画貫通導波管における電磁シールド構造、シールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20191125BHJP
【FI】
   H05K9/00 K
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-162386(P2015-162386)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-41535(P2017-41535A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】買手 正浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚裕
(72)【発明者】
【氏名】近森 真洋
(72)【発明者】
【氏名】土屋 暁子
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−186393(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/043598(WO,A1)
【文献】 特開平08−162794(JP,A)
【文献】 特開平05−021981(JP,A)
【文献】 特開2002−026572(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0154325(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
E04B 1/92
G01R 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁シールド性を有したシールド区画の区画体を貫通し、導電性材料から形成された導波管と、
導電性材料から形成されて前記導波管内に複数枚が積層され、それぞれ前記導波管の軸線方向に連続する複数の凹溝を有した板体と、
前記導波管内で互いに上下に位置する板体同士において、下方の前記板体に形成された前記凹溝と上方の前記板体とにより形成され、内形寸法がシールド対象となる上限周波数における電波の波長の1/2以下とされた、内部にケーブルが挿通される筒状部と、
導電性材料からなり、互いに上下に位置する前記板体同士が互いに突き当たる部分に挟み込まれたクッション性を有するシールドガスケットと、
を備えることを特徴とするシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造。
【請求項2】
前記板体は、波形断面を有した建設用鋼板であることを特徴とする請求項に記載のシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造。
【請求項3】
前記導波管が、断面U字状で上方に向けて開口した導波管本体と、前記導波管本体の上方を覆う蓋体と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造。
【請求項4】
複数の前記板体の各々の、複数の前記凹溝の各々の間には、突条部が設けられ、凹溝と突条部は交互に形成され、
一の前記板体の上には、他の前記板体が、前記一の板体の上下を反転させた状態で、前記一の板体と前記他の板体の各々の前記凹溝同士または前記突条部同士が互いに対向するように積層されて、前記筒状部が形成され、
前記シールドガスケットは、互いに対向する前記凹溝同士の間、または前記突条部同士の間に挟み込まれている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造。
【請求項5】
シールド区画を貫通する筒状の導波管内に配置されて上面に凹溝を有した板体の前記凹溝内にケーブルを収容する工程と、
導電性材料からなり、クッション性を有するシールドガスケットを、前記板体の、前記凹溝の間に設けられた突条部の上に設け前記シールドガスケット上に他の前記板体を積層する工程と、を繰り返すことを特徴とするシールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド区画貫通導波管における電磁シールド構造、シールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型電話端末等をはじめとする様々な機器類や、各種のWi−Fi(Wireless Fidelity)、無線LAN(Local Area Network)等の無線通信において、電波が多用されている。このため、これらの電波の影響によって使用機器に誤動作が生じるのを防ぐため、放送用をはじめとする各種のスタジオ、制御室、MRI(核磁気共鳴画像法:magnetic resonance imaging)検査室、実験室等においては、壁、床、天井等を電磁シールド構造としたシールド区画を形成し、外部からの電波の侵入を抑えることが行われている。
【0003】
壁、床、天井等を電磁シールド構造としたシールド区画においては、通信、電力供給等のためのケーブルを、シールド区画の内外に貫通させる必要がある。このためシールド区画を貫通するように金属製の配管を設け、この配管にケーブルを挿通させることが行われている。また、これ以外にも、水道、排水、換気、空気調和等のために、シールド区画の内外に貫通する管路を設けることがある。
【0004】
シールド区画を貫通するケーブル用の配管や管路等の導波管を設ける場合、導波管を通して外部から電波が侵入するのを防ぐ必要がある。
そこで、導波管の管径を、シールド対象となる電波の周波数範囲の上限となる周波数(これを上限周波数と称する)における電波の波長λの1/2以下とすることが行われている。
【0005】
また、特許文献1には、シールド区画の内外の貫通部を貫通するケーブルの絶縁部外周に、例えばフェライト等の絶縁性磁性体を設ける構成が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ポリマーやゴムとフェライト等の磁性体とを含む電磁波吸収体を、ケーブルを貫通させる貫通孔に充填し、導波管におけるシールド効果を確保する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−60379号公報
【特許文献2】特開2008−98458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、スタジオ等、多数の電子機器を使用する場合、シールド区画内に数千本のケーブルを引き込むことがある。このような場合、特許文献1に開示された構成のように、それぞれのケーブルに絶縁性磁性体を設けるには、多大な手間とコストがかかる。
また、特許文献2に開示された構成のように、導波管の貫通孔に電磁波吸収体を充填するにしても、手間とコストが多大となる。
さらに、多数本のケーブルをシールド区画内に引き込むには、導波管を多数本設けなければならず、これら多数の導波管の設置にも手間とコストがかかる。
【0009】
また、シールド対象となる電波として代表的な携帯電話においては、使用する電波が高周波数化している。このため、シールド対象となる電波の上限周波数も高くなる傾向にある。これにともない、電磁シールド効果を得るため、管径を上限周波数の電波における波長λの1/2以下とすると、導波管の管径が小さくなる。このように、導波管が細くなれば、一本の導波管に挿通できるケーブルの数が少なくなる。このため、所定本数のケーブルを挿通させるには、導波管の数を増やす必要があり、上記した各種の課題は一層顕著なものとなる。
【0010】
そこでなされた本発明の目的は、シールド区画への導波管の設置、導波管内へのケーブルの挿通を容易に行うことができ、かつ所要のシールド性能を確実に得ることのできるシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造、シールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、電磁シールド性を有したシールド区画体を貫通し、導電性材料から形成された導波管と、導電性材料から形成されて前記導波管内に複数枚が積層され、それぞれ前記導波管の軸線方向に連続する複数の凹溝を有した板体と、前記導波管内で互いに上下に位置する板体同士において、下方の前記板体に形成された前記凹溝と上方の前記板体とによって形成され、内形寸法がシールド対象となる上限周波数における電波の波長の1/2以下とされた筒状部と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、複数の凹溝が形成された板体を導波管内に複数枚積層することで、電磁シールド性を有した多数の筒状部を容易に形成することができる。したがって、多数の導波管を設置する必要がない。
また、このような筒状部にケーブルを挿通させれば、シールド区画体における電磁シールド性を容易に確保することができる。
さらに、ケーブルを挿通させる際には、導波管内に配置した板体の凹溝に対し、上方からケーブルを収容した後、この板体に他の板体を積層するができるので、ケーブルの挿通作業も容易に行うことができる。
【0012】
また、導電性材料からなり、互いに上下に位置する前記板体同士が互いに突き当たる部分に挟み込まれたクッション性を有するシールドガスケットをさらに備えるようにしてもよい。これにより、互いに上下に位置する板体同士の間における電磁シールド性を確保することができる。
【0013】
また、前記板体は、波形断面を有した建設用鋼板であるようにしてもよい。これにより、板体を安価に入手することができる。
【0014】
また、前記導波管が、断面U字状で上方に向けて開口した導波管本体と、前記導波管本体の上方を覆う蓋体と、を備えるようにしてもよい。
これにより、蓋体を空けた状態で、板体の積層、凹溝内へのケーブル収容等の作業を行った後、蓋体を導波管本体に装着すれば、作業を効率よく行うことができる。
【0015】
また、本発明は、シールド区画を貫通する筒状の導波管内に配置されて上面に凹溝を有した板体の前記凹溝内にケーブルを収容する工程と、前記板体上に、他の前記板体を積層する工程と、を繰り返すことを特徴とするシールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法を提供する。
このように、導波管内に配置した板体の凹溝内にケーブルを収容した後、この板体に他の板体を積層し、積層した他の板体の凹溝内にケーブルを収容していくことで、導波管に対するケーブルの挿通作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シールド区画への導波管の設置、導波管内へのケーブルの挿通を容易に行うことができ、かつ所要のシールド性能を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係るシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造を示す平断面図である。
図2】導波管内に設けた電磁波遮蔽部の構成を示す断面図である。
図3】本実施形態に係るシールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法の流れを示す図であり、電磁波遮蔽部を構成する板体を導波管内に設置した状態を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係るシールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法の流れを示す図であり、板体の凹溝内にケーブルを収容した状態を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係るシールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法の流れを示す図であり、凹溝内にケーブルを収容した板体に、他の板体を積層した状態を示す斜視図である。
図6】本実施形態に係るシールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法の流れを示す図であり、さらに他の板体を積層した状態を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係るシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造の変形例を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明によるシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造、シールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係るシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造を示す平断面図である。図2は、導波管内に設けた電磁波遮蔽部の構成を示す断面図である。図3は、本実施形態に係るシールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法の流れを示す図であり、電磁波遮蔽部を構成する板体を導波管内に設置した状態を示す斜視図である。図4は、板体の凹溝内にケーブルを収容した状態を示す斜視図である。図5は、凹溝内にケーブルを収容した板体に、他の板体を積層した状態を示す斜視図である。図6は、さらに他の板体を積層した状態を示す斜視図である。
図1に示すように、例えば放送用のスタジオ等として用いられるシールド区画10は、電磁シールド性能を有した壁、床、天井等を形成する区画体11により、その内外が仕切られている。
シールド区画10の区画体11を貫通して、例えばケーブルCを通すため、区画体11に形成された貫通孔12に、筒状の導波管13が設けられている。導波管13は、金属等の導電性材料から形成され、区画体11の一方の側と他方の側とにそれぞれ延びて設けられている。ここで、導波管13は、例えば、断面視矩形の角管状をなしている。
【0020】
導波管13の少なくとも両端部13a,13aには、電磁波遮蔽部20が設けられている。この実施形態においては、導波管13の両端部13a,13a間の全長にわたって電磁波遮蔽部20が設けられている。
図2に示すように、電磁波遮蔽部20は、導波管13の開口部13k内に、複数枚の板体21を上下方向に積層することで形成されている。
【0021】
図2図3に示すように、各板体21は、導波管13の軸方向に直交する幅方向において、凹溝22と突条部23とが交互に形成されている。
凹溝22は、第一平面部24と、第一平面部24の幅方向両端部からそれぞれ直交する方向に立ち上がる側壁部25,25と、によって断面視略U字状に形成されている。図4に示すように、このような各凹溝22内に、複数本のケーブルCが収容される。
突条部23は、幅方向において互いに隣接する凹溝22,22の一方の凹溝22の側壁部25と、他方の凹溝22の側壁部25と、第一平面部24と平行で、これら側壁部25、25同士を接続する第二平面部26と、によって断面視略逆U字状に形成されている。
【0022】
また、各板体21の幅方向両端部には、それぞれ幅方向外方に延びる第二平面部26が形成されている。
【0023】
このような板体21としては、例えば、デッキプレート等に用いられる断面波型の建設用鋼板を好適に用いることができる。
【0024】
図2図5に示すように、導波管13内で互いに上下に位置する板体21,21同士は、それぞれの第二平面部26同士が互いに対向するように配置する。すなわち、下方の板体21Aに対し、上方の板体21Bは、第二平面部26が下方に位置し、第一平面部24が上方に位置するように上下を反転させて積層させる。
ここで、互いに上下に位置する板体21、21同士は、幅方向両端部に形成されて互いに対向する第二平面部26,26同士を、ビス27等によって締結する。
【0025】
このようにして互いに上下に位置する板体21A、21Bにおいて、凹溝22,22が互いに対向することで、断面視矩形で導波管13の軸方向に連続する筒状部30Aが形成される。
【0026】
さらに、図2図6に示すように、上下を反転させた板体21B上には、第一平面部24が下方に位置し、第二平面部26が上方に位置する板体21Aを、それぞれの第一平面部24同士が互いに対向するように積層する。
これにより、下方の板体21Bと上方の板体21Aとにおいて、突条部23,23同士が互いに対向することで、これらの間に断面視矩形で導波管13の軸方向に連続する筒状部30Bが形成される。
【0027】
このようにして、導波管13内には、第一平面部24が下方に位置し、第二平面部26が上方に位置する板体21Aと、第二平面部26が下方に位置し、第一平面部24が上方に位置する板体21Bとが、上下に交互に順次積層される。
これによって、電磁波遮蔽部20には、複数本のケーブルCを収容される、断面視矩形の筒状部30Aと筒状部30Bとが、ハニカム状(千鳥状)に多数形成される。
【0028】
ここで、筒状部30A、30Bは、その内形寸法が、シールド対象となる上限周波数の電波における波長λの1/2以下となるように形成するのが好ましい。したがって、第一平面部24、第二平面部26の幅寸法W1、W2は、シールド対象となる上限周波数の電波における波長λの1/2以下となるように形成する。また、側壁部25の高さ寸法Hは、シールド対象となる電波の上限周波数における波長λの1/4以下となるように形成する。
【0029】
また、図2図6に示すように、互いに上下に位置する板体21A、21B間において、互いに上下に位置する第一平面部24、24同士の間、第二平面部26,26同士の間には、シールドガスケット40が挟み込まれている。シールドガスケット40は、例えば、金属膜等の導電性材料からなる筒状の被覆内に、スポンジ等の弾性を有したクッション材を充填した構成を有している。このようなシールドガスケット40を挟み込むことで、互いに上下に位置する第一平面部24、24の間、第二平面部26,26同士の間を閉塞するとともに、これらの間における電磁シールド性を維持する。シールドガスケット40は、弾性を有しているので、各板体21A、21Bの幅方向両端部のみにおいて、ビス27によって連結されている構成においては、ケーブルCの重量等によって、板体21A、21Bが、幅方向中央部側で下方に撓むことがあり得る。このような板体21A、21Bの撓み等が生じた場合に、シールガスケット40によって、互いに上下に位置する板体21A,21B間における電磁シールド性を維持することができる。
【0030】
導波管13に挿通させる複数のケーブルCは、筒状部30A、30Bの何れかに挿通する。より詳しくは、筒状部30A、30Bのそれぞれに、複数のケーブルCを挿通することができる。
【0031】
上記のように電磁波遮蔽部20を構成するには、例えば以下に示すような施工方法を採用することができる。
まず、導波管13の開口部13k内に、図3に示すように、第一平面部24が下方に位置し、第二平面部26が上方に位置する板体21Aを設置する。
【0032】
次いで、図4に示すように、導波管13に挿通させるケーブルCを、板体21Aの各凹溝22内に収容する。
各凹溝22に、所定の複数本ずつのケーブルCを収めた後、図5に示すように、板体21A上に、第二平面部26が下方に位置し、第一平面部24が上方に位置する板体21Bを積層する。このとき、下方の板体21Aの各第二平面部26上にシールドガスケット40を接着剤、両面接着テープ等で仮留めしておくことで、互いに上下に位置する板体21A、21Bの第二平面部26、26の間にシールドガスケット40が挟み込まれる。そして、互いに上下に位置する板体21A、21B同士は、幅方向両側に位置する第二平面部26、26同士をビス27で締結する。
これにより、筒状部30A内に、複数本のケーブルCが挿通された状態となる。
【0033】
次に、第二平面部26が下方に位置し、第一平面部24が上方に位置する板体21B上において、下方を向く突条部23の裏面側に形成された溝状部(凹溝)23rに、導波管13に挿通させるケーブルCを収容する。
図6に示すように、このようにして、各溝状部23rに所定の複数本ずつのケーブルCを収めた後、板体21B上に、第一平面部24が下方に位置し、第二平面部26が上方に位置する板体21Aを積層する。このとき、下方に位置する板体21Bの各第一平面部24上に、シールドガスケット40を接着剤、両面接着テープ等で仮留めしておくことで、互いに上下に位置する板体21A、21Bの第一平面部24、24の間にシールドガスケット40が挟み込まれる。
これにより、筒状部30B内に、複数本のケーブルCが挿通された状態となる。
【0034】
この後は、板体21Bに、再び板体21Aを積層し、それぞれの凹溝22内に、導波管13に挿通させるケーブルCを収容していく。
このようにして、上記の工程を順次繰り返すことで、複数枚の板体21A、21Bを積層することで構成された電磁波遮蔽部20の筒状部30A、30B内にそれぞれ複数本のケーブルCを収容することができる。
したがって、これら筒状部30A、30Bによって、電磁シールド性が確保され、導波管13内を通してシールド区画11の外側から内側に電磁波が侵入するのを防ぐことができる。
【0035】
ところで、図2に示すように、筒状部30A、30BのそれぞれにおけるケーブルCの収容本数が少なく、空隙率が高い場合には、筒状部30A、30B内の空隙に、電磁波遮蔽材料50を充填してもよい。このような電磁波遮蔽材料50としては、例えば、フェライト等の磁性材料をポリマーやゴムに混入され電磁波吸収体や、銅毛等を用いることができる。
【0036】
また、導波管13は、電磁波遮蔽部20が設けられる領域において、略U字状の導波管本体14と、蓋体15とから断面視矩形に形成してもよい。導波管本体14は、底板部14aと、底板部14aの幅方向両端部から上方に向かって立ち上がる側壁部14b、14bと、から形成されている。蓋体15は、側壁部14b、14bを跨いで塞ぐように設けられている。
このような構成において、蓋体15を装着しない状態で、導波管本体14内に上記したように複数枚の板体21A,21Bを順次積層してきながら、それぞれの板体21A、21B上にケーブルCを配置する。そして、所定枚数の板体21A、21Bの積層、およびケーブルCの配置を終えたら、導波管本体14の側壁部14b、14b間を蓋体15で塞ぐ。
このようにして、蓋体15を装着せずに上方が開放された状態の導波管本体14に対し、ケーブルCの通線作業を行うことができる。
【0037】
上述したシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造、シールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法によれば、複数の凹溝22が形成された板体21を導波管13内に複数枚積層することで、電磁シールド性を有した多数の筒状部30A,30Bを容易に形成することができる。このような筒状部30A,30BにケーブルCを挿通させれば、区画体11を貫通する導波管13における電磁シールド性を容易に確保することができる。したがって、多数の細い導波管を設置する必要がない。
さらに、ケーブルCを挿通させる際には、導波管13内に配置した板体21の凹溝22のそれぞれに対し、上方から複数ケーブルCを収容した後、この板体21に他の板体21を積層していく。これによって細い導波管にケーブルCを挿通させる必要が無く、ケーブルCの挿通作業を容易に行うことができる。
このようにして、シールド区画10への導波管13の設置、導波管13内へのケーブルCの挿通を容易に行うことができ、かつ所要のシールド性能を確実に得ることが可能となる。
【0038】
また、互いに上下に位置する板体21同士が互いに突き当たる部分にシールドガスケット40を挟み込むことによって、互いに上下に位置する板体21同士の間における電磁シールド性を確保することができる。
【0039】
また、板体21として、波形断面を有した建設用鋼板を用いることができる。これにより、板体21を安価に入手し、低コスト化を図ることができる。
【0040】
また、導波管13が、断面U字状で上方に向けて開口した導波管本体14と、導波管本体14の上方を覆う蓋体15と、を備えている。これにより、蓋体15を空けた状態で、板体21の積層、凹溝22内へのケーブルC収容等の作業を行った後、蓋体15を導波管本体14に装着すれば、作業を効率よく行うことができる。
【0041】
また、導波管13の全長にわたって、電磁波遮蔽部20を構成する板体21A、21Bが設けられている。したがって、板体21A、21Bの凹溝22、溝状部23rが導波管13の全長にわたって連続するので、この凹溝22、溝状部23rに沿ってケーブルCを通せば、導波管13への挿通作業を容易に行うことができる。
【0042】
(他の実施形態)
なお、本発明のシールド区画貫通導波管における電磁シールド構造、シールド区画貫通導波管へのケーブル施工方法は、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、複数枚の板体21A、21Bを積層することで、断面視矩形の筒状部30A、30Bが形成されるようにしたが、これに限らない。例えば、凹溝22を、断面半円形、断面台形状等とした板材21を積層することで、筒状部30A、30Bを、断面視円形、六角形状等とすることもできる。
【0043】
また、上記実施形態では、導波管13の全長にわたって、電磁波遮蔽部20を設けるようにしたが、これに限らない。例えば、図7に示すように、導波管13の両端部13a,13aにのみ、それぞれ電磁波遮蔽部20を備えてもよい。さらに、この図7に示すように、導波管13は直線状に限るものではなく、例えば端部13aを屈曲させても良い。
【0044】
また、上記実施形態では、各板体20の凹溝22、溝状部23rにケーブルCを収容した後、他の板体20を積層していくようにしたが、これに限らない。予め所定枚数の板体20を積層した後、筒状部30A、30BにケーブルCを挿通するようにしてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、電磁波遮蔽部20の筒状部30A、30B内にケーブルCを挿通させるようにしたが、これに限らない。すなわち、筒状部30A、30Bを、水道、排水、換気、空気調和等のための水や空気の流路として用いることもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 シールド区画
11 区画体
12 貫通孔
13 導波管
13a 端部
14 導波管本体
15 蓋体
20 電磁波遮蔽部
21、21A、21B 板体
22 凹溝
23 突条部
23r 溝状部(凹溝)
30A、30B 筒状部
40 シールドガスケット
50 電磁波遮蔽材料
C ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7