特許第6616992号(P6616992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616992
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20191125BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20191125BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   H05K9/00 K
   G06F1/16 312L
   H05K7/14 G
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-190543(P2015-190543)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-69293(P2017-69293A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】592007601
【氏名又は名称】株式会社コンテック
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】垣谷 輝男
(72)【発明者】
【氏名】長谷 日出樹
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−014496(JP,U)
【文献】 実開昭57−195890(JP,U)
【文献】 特開2015−103801(JP,A)
【文献】 特開2004−327784(JP,A)
【文献】 特開平06−164166(JP,A)
【文献】 実開昭58−140655(JP,U)
【文献】 米国特許第05617296(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
G06F 1/16
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
電子部品が実装されて前記筐体の内部に搭載される実装基板と、
前記実装基板に設けられるシグナルグランド配線と、
前記筐体と前記シグナルグランド配線とを電気的に絶縁する絶縁部材と
を有し、
前記筐体と接触すると共に前記シグナルグランド配線と電気的に導通する基板をさらに有し、
前記絶縁部材の少なくとも1つが、前記基板の前記筐体と接触する部分に設けられる絶縁性のガスケットであることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記実装基板に形成されて前記シグナルグランド配線と接触するネジ穴
をさらに有し、
前記筐体と前記実装基板が前記ネジ穴でネジ留めされ、
前記絶縁部材の少なくとも1つが、前記筐体と前記実装基板とをネジ留めするネジの少なくとも一部をなす絶縁性のスペーサであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記絶縁部材の少なくとも1つが、前記筐体と前記実装基板との間に設けられる絶縁性のブッシュであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子部品が実装される基板を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや産業用機器等の電子機器は、一般に筐体を備え、電子部品が実装される基板が筐体内に配置される。電子部品は、動作電圧を供給する電源と、基準電圧を供給するグランドとが接続されて動作する。基板には、電源配線とシグナルグランドであるシグナルグランド配線とが配線され、それぞれの電子部品に共通の電源とグランドを供給する。電子部品はノイズにより誤動作を起こしやすく、グランドを強化するために、フレームグランドであって通常接地電圧に保持されている筐体とシグナルグランドとを接続する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−23083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子機器は、工場内や車両等の電磁波の影響の強い環境で使用されることがあり、このような環境では筐体自体がノイズを受信するアンテナとして機能し、基板のシグナルグランドと筐体を接続していると、筐体に入力されたノイズが基板のシグナルグランドに混入し、かえって電子部品の誤動作を引き起こす場合があった。
【0005】
本発明は、基板に実装された電子部品に及ぼす外部ノイズの影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態にかかる電子機器は、筐体と、電子部品が実装されて前記筐体の内部に搭載される実装基板と、前記実装基板に設けられるシグナルグランド配線と、前記筐体とシグナルグランド配線とを電気的に絶縁する絶縁部材とを有し、前記筐体と接触すると共に前記シグナルグランド配線と電気的に導通する基板をさらに有し、前記絶縁部材の少なくとも1つが、前記基板の前記筐体と接触する部分に設けられる絶縁性のガスケットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、基板のシグナルグランドと筐体のフレームグランドとを絶縁することにより、フレームグランドに入力された外部ノイズがシグナルグランドに混入することを防止し、基板に実装された電子部品に及ぼす外部ノイズの影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子機器の筐体内部の概略構成を説明する分解斜視図
図2】筐体内に設置される実装基板の概略構成を例示する斜視図
図3】絶縁スペーサの構成を例示する図
図4】絶縁ブッシュの構成を例示する図
図5】絶縁ガスケットの構成を例示する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
グランドが分離された電子部品について図1図5を用いて説明する。
図1は電子機器の筐体内部の概略構成を説明する分解斜視図、図2は筐体内に設置される実装基板の概略構成を例示する斜視図、図3は絶縁スペーサの構成を例示する図、図4は絶縁ブッシュの構成を例示する図、図5は絶縁ガスケットの構成を例示する図である。
【0010】
コンピュータや産業用機器等の電子機器1は、電子部品4が実装された実装基板2が筐体3内に配置されている。筐体3内には、さらに筐体基板5が配置されていても良い。実装基板2は筐体基板5上に配置されても良く、筐体基板5は実装基板2以外の部品を搭載しても良い。また、筐体3の一面はコネクタ面6とすることもでき、コネクタ面6はUSB端子やLAN端子,電源端子等の各種端子7が配設される。
【0011】
実装基板2は、電子部品4が実装され、基準電圧であるグランドと電源電圧とが外部から供給される。実装基板2に供給されたグランドはシグナルグランドと称され、シグナルグランド配線8を介して各電子部品4に供給される。シグナルグランド配線8は実装基板2内の全面に引き回されても良い。従来の実装基板は、導電性の金属スペーサ10等で筐体3に固定される。実装基板2のネジ留めされる領域には導電性のランド9が形成され、ランド9はシグナルグランド配線8と導通される。従来の実装基板は、導電性の金属スペーサ10等で筐体3に固定され、ネジ留めされる領域にシグナルグランド配線8と導通されるランド9が形成されるため、シグナルグランド配線8と筐体3とが電気的に導通される。通常、筐体3の電位はフレームグランドと称される。そのため、従来の電子機器では、シグナルグランドとフレームグランドは同電位となっている。本発明の電子機器1は、筐体3とシグナルグランド配線8との間に絶縁部材を挿入することにより、シグナルグランドとフレームグランドとを絶縁することができることが特徴である。シグナルグランドとフレームグランドとを絶縁することにより、工場内や車両等の電磁波の影響の強い環境下で電子機器1を使用し筐体3にノイズが印加されたとしても、シグナルグランドにノイズが伝播されることが防止され、基板に実装された電子部品に及ぼす外部ノイズの影響を抑制することができる。
【0012】
従来の電子機器における実装基板を筐体に固定する金属スペーサ10に代わり、図3に示すように、本発明の電子機器1では、絶縁部材の一実施形態である絶縁性のスペーサ、例えば絶縁性の樹脂スペーサ11と金属スペーサ12とを用いる。樹脂スペーサ11は、実装基板2のランド9に形成されたネジ穴13にネジ留めされる。樹脂スペーサ11は上部にネジ穴が形成され、このネジ穴に金属スペーサ12がネジ留めされる。ネジ留めされた状態の樹脂スペーサ11と金属スペーサ12とを合わせた長さは、金属スペーサ10の長さと一致する。金属スペーサ12上に筐体3を被せ、筐体3を貫通して金属スペーサ12にネジ14をネジ留めする。これにより、実装基板2を筐体3に固定すると共に、絶縁性の樹脂スペーサ11によりシグナルグランド配線8と導通するランド9と筐体3とを絶縁し、シグナルグランドとフレームグランドとを絶縁することができる。そのため、工場内や車両等の電磁波の影響の強い環境下で電子機器1を使用し筐体3にノイズが印加されたとしても、シグナルグランドにノイズが伝播されることが防止され、実装基板2に実装された電子部品4に及ぼす外部ノイズの影響を抑制することができる。なお、筐体3と実装基板2とのネジ留めを金属スペーサ12および絶縁性の樹脂スペーサ11とにより行う場合に限らず、金属スペーサ12を用いずに、絶縁性の樹脂スペーサ11のみによりネジ留めしても良い。この場合の樹脂スペーサ11の長さは金属スペーサ10と同じ長さとする。また、上記説明ではネジ穴13の周囲にランド9を設ける例について説明したが、ランド9を設けず、シグナルグランド配線8がネジ穴13と接触することによりネジ穴13に導電性のネジがネジ留めされた場合には、このネジとシグナルグランド配線8とが電気的に導通する構成である場合においても樹脂スペーサ11を用いることができる。
【0013】
また、従来の電子機器では、実装基板の周辺にシグナルグランド配線が露出し、実装基板の周辺と筐体とが接触するように実装基板を配置し、シグナルグランドとフレームグランドとを電気的に導通させる場合があった。また、実装基板のシグナルグランド配線を筐体基板と電気的に導通させ、筐体と接触する筐体基板を介してシグナルグランドとフレームグランドとを電気的に導通させる場合もあった。このような場合、筐体3と実装基板2との間、筐体3と筐体基板5との間、あるいは実装基板2および筐体基板5と筐体3との間に、絶縁部材の一実施形態である絶縁性のブッシュ、例えば絶縁性の樹脂ブッシュ15を設ける。絶縁性のブッシュを設けることにより、筐体3と実装基板2との間、筐体3と筐体基板5との間、あるいは実装基板2および筐体基板5と筐体3との間に隙間を設け、シグナルグランドとフレームグランドとを絶縁することができる。そのため、工場内や車両等の電磁波の影響の強い環境下で電子機器1を使用し筐体3にノイズが印加されたとしても、シグナルグランドにノイズが伝播されることが防止され、実装基板2に実装された電子部品4に及ぼす外部ノイズの影響を抑制することができる。例えば、図4に示すように、実装基板2のシグナルグランド配線8と電気的に導通する筐体基板5と筐体3との間に樹脂ブッシュ15を設ける。樹脂ブッシュ15は筐体3を挟んで固定される構成であり、樹脂ブッシュ15の少なくとも一部分が筐体基板5と筐体3との間に配設される構成である。
【0014】
また、従来の電子機器では、コネクタ基板を筐体の一部をなすコネクタ面とする場合があり、コネクタ基板と実装基板のシグナルグランド配線とが電気的に導通する場合があった。そして、コネクタ基板と筐体とは接触するため、シグナルグランドとフレームグランドとを電気的に導通させる場合があった。このような場合、筐体3と接するコネクタ基板16の表面部分に絶縁部材の一実施形態である絶縁性のガスケット、例えば絶縁性の樹脂ガスケット17を設ける。絶縁性のガスケットを設けることにより、筐体3とコネクタ基板16とが電気的に絶縁され、シグナルグランドとフレームグランドとを絶縁することができる。そのため、工場内や車両等の電磁波の影響の強い環境下で電子機器1を使用し筐体3にノイズが印加されたとしても、シグナルグランドにノイズが伝播されることが防止され、実装基板2に実装された電子部品4に及ぼす外部ノイズの影響を抑制することができる。例えば、図5に示すように、コネクタ基板16のコネクタ面6の周囲に絶縁性の樹脂ガスケット17を設ける。コネクタ基板16はコネクタ面6の周囲で筐体3と接触するため、接触部分に絶縁性の樹脂ガスケット17を設けることにより、コネクタ基板16と筐体3とが電気的に絶縁され、シグナルグランドとフレームグランドとを絶縁することができる。なお、端子が設けられるコネクタ基板を例に説明したが、コネクタ基板に限らず、電子機器1の外面を構成し、筐体3と接する様々な用途の基板に絶縁性のガスケットを設けても良い。
【0015】
なお、上述の絶縁性のスペーサ、絶縁性のブッシュおよび絶縁性のガスケットは、適宜組み合わせて設けても良い。また、図1においては、筐体3として、端子部分に別の筐体を接続できる構成の密閉構造の筐体を例として示したが、単独の、例えば立方体形状の筐体を用いることもできる。さらに、使用環境に応じて、電磁波の影響の少ない環境で使用する場合は絶縁部材を用いずにシグナルグランドとフレームグランドとを導通させて使用し、工場内や車両等の電磁波の影響の強い環境下では絶縁部材を用いてシグナルグランドとフレームグランドとを電気的に絶縁して使用することにより、使用環境に応じて最適なノイズ対策を行うことができる。
【符号の説明】
【0016】
1 電子機器
2 実装基板
3 筐体
4 電子部品
5 筐体基板
6 コネクタ面
7 端子
8 シグナルグランド配線
9 ランド
10 金属スペーサ
11 樹脂スペーサ
12 金属スペーサ
13 ネジ穴
14 ネジ
15 樹脂ブッシュ
16 コネクタ基板
17 樹脂ガスケット
図1
図2
図3
図4
図5