特許第6616997号(P6616997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6616997
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/28 20060101AFI20191125BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALN20191125BHJP
【FI】
   F15B15/28 B
   !B23Q3/06 304K
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-203245(P2015-203245)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-62022(P2017-62022A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児嶋 良太
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−112805(JP,A)
【文献】 実開昭57−126603(JP,U)
【文献】 特開昭48−083276(JP,A)
【文献】 特公昭38−021660(JP,B1)
【文献】 特開2013−082025(JP,A)
【文献】 実開昭49−090791(JP,U)
【文献】 米国特許第3661053(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00−15/28
B23Q 3/00− 3/154
B23Q 3/16− 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(3)に形成された第1シリンダ孔(5)と、
前記第1シリンダ孔(5)に進退可能で保密状に挿入された第1ピストン(6)と、
前記第1ピストン(6)から先端側へ突設される出力部材(7)と、
前記第1シリンダ孔(5)の先端側に形成された第2シリンダ孔(11)であって、基端側から順に形成された小径孔(11a)と大径孔(11b)とを有する第2シリンダ孔(11)と、
前記第1ピストン(6)または前記出力部材(7)に先端側から当接可能となるように前記出力部材(7)の外周側に設けられた第2ピストン(12)であって、前記第2シリンダ孔(11)の小径孔(11a)に軸心方向へ移動可能で保密状に挿入される小径部(12a)を有すると共に、前記第2シリンダ孔(11)の大径孔(11b)に軸心方向へ移動可能で保密状に挿入される大径部(12b)を有する第2ピストン(12)と、
前記第1ピストン(6)の基端側に設けられたロック室(15)と、
前記第1ピストン(6)と前記第2ピストン(12)との間に設けられた第1リリース室(18)と、
前記第2ピストン(12)の先端側に設けられた第2リリース室(19)と、
前記1リリース室(18)と前記第2リリース室(19)とを連通させる流路(20)と、
前記第2ピストン(12)の外周部に形成された操作部(24)と、
その操作部(24)によって操作されることにより前記第2ピストン(12)の作動状態を検出する検出手段(25)であって、前記ハウジング(3)に配置された検出手段(25)と、を備え、
前記検出手段(25)は、
前記ハウジング(3)に装着されるスイッチ(30)と、
前記スイッチ(30)に当接可能となるように前記ハウジング(3)に前記の軸心方向に対して交差する方向へ移動可能で保密状に挿入される被操作部材(32)と、
前記被操作部材(32)を前記第2ピストン(12)の外周部に向けて付勢する付勢手段(35)と、を備え
前記被操作部材(32)は、前記第2ピストン(12)側へ順に設けられる被操作ピン(33)と伝動ボール(34)とを有し、
前記被操作ピン(33)の途中長さ部に、前記付勢手段(35)が当接するフランジ部(33a)が設けられる、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
請求項1のシリンダ装置において、
前記操作部(24)が、前記第2ピストン(12)の小径部(12a)に形成された凹部によって構成される、
ことを特徴とするシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピストン等の作動状態を検出する手段を備えるシリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作動状態の検出機能付きのシリンダ装置には、従来では、特許文献1(日本国・特開2013−82025号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている(図1を参照)。
ハウジング内にピストンが挿入され、そのピストンの上側にクランプ油室が形成されると共に、ピストンの下側にアンクランプ油室が形成される。ハウジングの上端壁に、ピストンの位置を検出する検出用開閉弁が設けられ、その検出用開閉弁の弁体がアンクランプ油室に向けて右方へ突設される。そして、そのピストンが下降位置に移動されたクランプ状態からアンクランプ駆動するときには、クランプ油室から圧油を排出すると共にアンクランプ油室に圧油を供給する。すると、ピストンが上昇し、そのピストンが検出用開閉弁の弁体を左方へ押動させて、右側の開弁位置から左側の閉弁位置に切換わると共に、検出用エアを供給するエア検出路を遮断する。その結果、その遮断されたエア検出路の上流側の圧力上昇を圧力スイッチが検出することにより、ピストンが上昇したことを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2013−82025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記エア検出路に設けた圧力スイッチと圧縮空気源との間には比較的に長い配管が設けられている。このため、上記の従来技術では、上記の検出用開閉弁の弁体が開弁状態から閉弁状態へ切換えられたときに、エア検出路の上流側の圧力が所定の圧力を上回るには数秒の時間が必要な場合がある。即ち、ピストンの作動状態を検出するのに時間がかかってしまう。
本発明の目的は、ピストン等の作動状態を速やかに検出するシリンダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、図1から図4Bに示すように、シリンダ装置を次のように構成した。
ハウジング3に第1シリンダ孔5が形成される。その第1シリンダ孔5に第1ピストン6が進退可能で保密状に挿入される。その第1ピストン6から出力部材7が先端側へ突設される。前記第1シリンダ孔5の先端側に第2シリンダ孔11が形成され、その第2シリンダ孔11が、基端側から順に形成された小径孔11aと大径孔11bとを有する。前記第1ピストン6または前記出力部材7に先端側から当接可能となるように、第2ピストン12が前記出力部材7の外周側に設けられる。その第2ピストン12は、前記第2シリンダ孔11の小径孔11aに軸心方向へ移動可能で保密状に挿入される小径部12aと、前記第2シリンダ孔11の大径孔11bに軸心方向へ移動可能で保密状に挿入される大径部12bとを有する。前記第1ピストン6の基端側にロック室15が設けられる。前記第1ピストン6と前記第2ピストン12との間に第1リリース室18が設けられる。前記第2ピストン12の先端側に第2リリース室19が設けられる。前記1リリース室18と前記第2リリース室19とを流路20によって連通させる。前記第2ピストン12の外周部に操作部24が形成される。前記操作部24によって検出手段25が操作されたことにより、前記第2ピストン12の作動状態を検出手段25が検出する。その検出手段25が前記ハウジング3に配置される。前記検出手段25は、前記ハウジング3に装着されるスイッチ30を有している。そのスイッチ30に当接可能となるように、被操作部材32が前記ハウジング3に前記の軸心方向に対して交差する方向へ移動可能で保密状に挿入される。前記被操作部材32を付勢手段35によって前記第2ピストン12の外周部に向けて付勢する。
【0006】
本発明は次の作用効果を奏する。
上記のシリンダ装置のリリース状態では、ロック室から圧力流体が排出され、第1リリース室および第2リリース室に圧力流体が供給されている。これにより、第1ピストンが基端側へ移動されると共に、第2ピストンが基端側の位置へ移動されている。
上記のシリンダ装置をリリース状態からロック駆動させるときには、第1リリース室および第2リリース室から圧力流体を排出すると共に、ロック室に圧力流体を供給する。すると、第1ピストンが基端側位置から先端側へ移動されていき、その移動途中位置で第1ピストンまたは出力部材または出力部材が第2ピストンに当接する。その後、第1ピストンが第2ピストンを先端側へ押動させる。これにより、その第2ピストンの操作部が検出手段の被操作部材を介してスイッチを初期状態から切換える。その結果、第2ピストンが基端側位置から先端側へ進出したことを検出手段によって速やかに検出できる。
また、シリンダ装置をロック状態からリリース駆動させるときには、ロック室から圧力流体を排出すると共に、第1リリース室および第2リリース室に圧力流体を供給する。すると、第1リリース室の圧力流体の圧力が小径部に先端側へ作用すると共に、第2リリース室の圧力流体の圧力が大径部に基端側へ作用する。ここで、第2ピストンの大径部の受圧面積が小径部の受圧面積よりも大きいので、第2リリース室の圧力流体が大径部を基端側へ押す力は、第1リリース室の圧力流体が小径部を先端側へ押す力よりも大きくなる。このため、その大径部を基端側へ押す力と小径部を先端側へ押す力との差力が、第2ピストンに基端側へ作用し、第2ピストンが第1ピストンを基端側へ押動させる。これと同時に、第1リリース室の圧力流体によって第1ピストンが下方へ移動されていく。これにより、第2ピストンの操作部が検出手段の被操作部材を介してスイッチを上記の初期状態に切換える。その結果、第2ピストンが先端側から基端側の位置へ後退したことを検出手段によって速やかに検出できる。
【0007】
本発明は、次の構成を加えることが好ましい。
例えば、図1から図4Bに示すように、前記操作部24が、前記第2ピストン12の小径部12aに形成された凹部によって構成される。
この場合、操作部を簡素な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態を示し、シリンダ装置のリリース状態を示す立面視の断面図である。
図2図2は、リリース状態からロック状態への切換え途中状態を示し、図1に類似する図である。
図3図3は、上記シリンダ装置のロック状態を示し、図1に類似する図である。
図4図4Aは、図2の4A部分を拡大した部分図を示している。図4Bは、図3の4B部分を拡大した部分図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図1から図4Bによって説明する。
この実施形態では、シリンダ装置を、ダイカスト用金型1から中子2を取り出すためのシリンダ装置に適用した場合を例示している。主として図1に基づいて上記シリンダ装置の構造を説明する。
固定台としての金型1に挿入孔1aが形成され、その挿入孔1aに中子2が挿入されている。また、その金型1にハウジング3が複数のボルト4(図1では1本だけ示す)によって取り付けられる。そのハウジング3は、上方(先端側)から順に形成される上端壁3aと胴部3bと下端壁3cとを有する。その胴部3bに第1シリンダ孔5が形成され、その第1シリンダ孔5に第1ピストン6が上下方向(軸心方向)に移動可能で保密状に挿入される。その第1ピストン6から出力部材7が上方に突設される。その出力部材7は、下方(基端側)から順に形成される押部7aとロッド部7bと先端部7cとを有する。そのロッド部7bがハウジング3の上端壁3aに保密状に挿入される。出力部材7の先端部7cに中子2が螺合される。その中子2は、上方へ順に形成されたフランジ部2aと挿入部2bとを有する。
【0010】
上記のハウジング3に第2シリンダ孔11が形成されている。より詳しくいえば、その第2シリンダ孔11は、ハウジング3の胴部3bに形成された小径孔11aと、上端壁3aに形成された大径孔11bとを備える。
【0011】
前記のロッド部7bの外周側に筒状の第2ピストン12が設けられる。その第2ピストン12が第2シリンダ孔11に挿入される。より詳しくいえば、第2シリンダ孔11の小径孔11aに第2ピストン12の小径部12aが上下方向に進退可能で保密状に挿入され、第2シリンダ孔11の大径孔11bに第2ピストン12の大径部12bが保密状に挿入される。
【0012】
前記の第1ピストン6とハウジング3の下端壁3cとの間に、ロック室15が設けられる。そのロック室15に、ロック用の圧力流体としての圧油が、ロックポート16を介して供給および排出される。
【0013】
前記の第1ピストン6と第2ピストン12との間に第1リリース室18が形成されると共に、第2ピストン12とハウジング3の上端壁3aとの間に第2リリース室19が形成される。また、ロッド部7bの外周部と第2ピストン12の内周壁との間に形成された環状隙間によって流路20が構成され、その流路20によって第1リリース室18と第2リリース室19とが連通される。また、第1リリース室18に、リリース用の圧油がリリースポート21を介して供給および排出される。
【0014】
上記の第2ピストン12の小径部12aの外周部に形成された凹部(操作部)24によって上方進出の検出手段25が操作されることにより、当該検出手段25が第2ピストン12の作動状態を電気的または電子的に検出する。その検出手段25が、図4A(及び図2)に示すように、次のよう構成される。
【0015】
上記の胴部3bに装着孔26が左右方向に形成され、その装着孔26が左方へ順に形成された雌ネジ孔26aと中径孔26bと小径孔26cとを有する。その小径孔26cは、第1リリース室18に連通されている。上記の雌ネジ孔26aに筒状のケーシング27が螺合され、そのケーシング27が押さえ28を介して封止部材29を小径孔26cに固定している。そのケーシング27の内周孔の右端部から突出部27aが半径方向の内方に突設される。また、ハウジング3にリミットスイッチ(スイッチ)30が取り付け具31を介して装着される。そのスイッチ本体30aから接触子30bが左方の装着孔26に向けて突設される。その接触子30bに当接可能となるように、被操作部材32がケーシング27の内周孔および小径孔26cに挿入される。その被操作部材32は、左方へ順に設けられる被操作ピン33と伝動ボール34とを有する。その被操作ピン33は、左右方向の途中長さ部にフランジ部33aが設けられる。そのフランジ部33aとケーシング27の突出部27aとの間に圧縮バネ(付勢手段)35が装着され、その圧縮バネ35が被操作ピン33を介して伝動ボール34を凹部24に向けて付勢している。
【0016】
図1に示すように、第1ピストン6が下限位置に移動したことを検出する下方後退の検出手段40が上記のハウジング3の下端壁3cに設けられている。その検出手段40は、次のように構成される。
上記の下端壁3cに装着孔41が左右方向に形成され、その装着孔41の左端部から摺動孔42が上方に向けて形成される。その摺動孔42によってロック室15と装着孔41とが連通されている。また、ハウジング3の下端壁3cにリミットスイッチ43が取り付け具44を介して装着され、そのリミットスイッチ43の接触子43aが装着孔41に向けて突設されている。その接触子43aに当接可能に被操作ピン45が装着孔41に左右方向に移動可能で保密状に挿入される。その被操作ピン45が圧縮バネ46によって左方へ付勢されている。その被操作ピン45の左側に伝動ボール47が挿入される。また、上記の摺動孔42にピン48が上下方向へ移動可能に挿入され、そのピン48の下端部に形成されたテーパ面が伝動ボール47に当接されている。そのピン48が第1ピストン6の下面に当接されている。
【0017】
上記のシリンダ装置は、図1から図4Bに示すように、次のように作動する。
図1のリリース状態では、ロック室15から圧油が排出されると共に、第1リリース室18及び第2リリース室19に圧油が供給されている。前記の第2リリース室19の圧油が第2ピストン12を下方へ押圧し、その第2ピストン12が前記第2シリンダ孔11の段差部11cに受止められている。前記の第1リリース室18の圧油が第1ピストン6を下方へ押圧し、その第1ピストン6がハウジング3の下端壁3cに受止められている。
このとき、上方進出の検出手段25は、初期状態となっている。その初期状態では、検出手段25の圧縮バネ35が被操作ピン33を介して伝動ボール34を凹部24に挿入させることにより、被操作ピン33がリミットスイッチ30を操作するのを止めている。この結果、第2ピストン12が下限位置に移動されたことを検出手段25が検出する。
また、第1ピストン6が下方後退の検出手段40のピン48を下限位置に押し下げている。これにより、そのピン48が伝動ボール47と被操作ピン45とを介してリミットスイッチ43を操作している。その結果、第1ピストン6が下限位置に移動されたことを検出手段40が検出する。
【0018】
図1のリリース状態から図3のロック状態へ切換えるときには、第1リリース室18及び第2リリース室19の圧油が排出されると共に、ロック室15に圧油が供給される。
まず、前記のロック室15の圧油が第1ピストン6を上方へ移動させていく。すると、図2に示すように、その第1ピストン6が出力部材7の押部7aを介して第2ピストン12の小径部12aに当接する。
引き続いて、第1ピストン6によって第2ピストン12を上昇させていくと、小径部12aに形成された凹部24の側壁が、伝動ボール34を介して検出手段25の被操作ピン33を圧縮バネ35の付勢力に抗して右方へ移動させていく。これにより、その被操作ピン33の右端部がリミットスイッチ30の接触子30bを操作する(上記の初期状態から切換える)。その結果、第2ピストン12が下限位置から上方へ進出したことが検出手段25によって検出される。
最後に、中子2のフランジ部2aが金型1の係止部1bに受け止められることにより、シリンダ装置は、図3のロック状態となる。
【0019】
図3のロック状態から図1のリリース状態へ切換えるときには、ロック室15の圧油が排出されると共に、第1リリース18室及び第2リリース室19へ圧油が供給される。
すると、まず、第1リリース18室の油圧力が第2ピストン12の小径部12aに上方に作用すると共に、第2リリース室19油圧力が第2ピストンの大径部12bに下方に作用する。ここで、大径部12bの受圧面積が小径部12aの受圧面積よりも大きいので、第2リリース室19の圧油が大径部12bを下方へ押す力が、第1リリース室18の圧油が小径部12aを上方へ押す力よりも大きくなる。このため、大径部12bを下方へ押す力と小径部12aを上方へ押す力との差力が、第2ピストン12を下方へ押動する。これと同時に、第1リリース室18の圧油が第1ピストン6を下降へ移動させる。その結果、上記の第2ピストン12が第1ピストン6を下方への押圧する力と第1リリース室18の圧油が第1ピストン6を下方へ押圧する力との合力によって、金型1内で凝固された中子2を強力に引き抜くことができる。
引き続いて、第2ピストン12が出力部材7の押部7aを介して第1ピストン6を下降させていくと、上記の第2ピストン12の凹部24が検出手段25の伝動ボール34に対面する。このとき、検出手段25の圧縮バネ35が被操作部材32を介して伝動ボール34を凹部24に挿入させる。これにより、その伝動ボール34が被操作ピン33の右端部を介してリミットスイッチ30の接触子30bを操作するのを止める(上記の初期状態に切換える)。その結果、第2ピストン12が上方から下限位置または下限位置の近傍に後退したことが検出手段25によって検出される。
その後、第2ピスト12の段差部12cが、胴部3bの上面に受け止められる。
さらに、上記の第1ピストン6が下限位置の近傍まで下降されると、第1ピストン6が検出手段40のピン48を押し下げることにより、そのピン48が伝動ボール47と被操作ピン45とを介してリミットスイッチ43を操作する。これにより、第1ピストン6が上方から下限位置または下限位置近傍に後退したことが検出手段40によって検出される。その後、第1ピストン6の下端部がハウジング3の下端壁3cに受け止められることにより、シリンダ装置は、図1のリリース状態となる。
【0020】
上記の実施形態は次の長所を奏する。
上記のシリンダ装置をリリース状態からロック駆動させるときには、まず、第1ピストン6が下方から上方へ移動される途中の位置で、その第1ピストン6が出力部材7の押部7aを介して第2ピストン12に当接する。次いで、出力部材7が第2ピストン12を上方へ押し上げる。これにより、その第1ピストン6が第2ピストン12の凹部24と伝動ボール34と検出手段25の被操作ピン33とを介してリミットスイッチ30を操作する。その結果、第2ピストン12が上方へ進出したことを検出手段25によって速やかに検出できる。
また、シリンダ装置をロック状態からリリース駆動させるときには、第2ピストン12が出力部材7の押部7aを介して第1ピストン6を上方から下限位置へ押下げる。これにより、第2ピストン12の凹部24が伝動ボール34と検出手段25の被操作ピン33とを介してリミットスイッチ30を操作することを止める。その結果、第2ピストン12が上方から下限位置または下限位置近傍に後退したことを検出手段25によって速やかに検出できる。
【0021】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
上記の圧力流体は、例示した圧油に代えて、圧縮空気であってもよい。
上記の第1ピストン6は、例示したように、前記ロック室15と前記第1リリース室18に給排される圧油によって往復駆動される構成に代えて、前記ロック室に装着したロックバネによってロック駆動されると共に前記第1リリース室に給排される圧油によってリリース駆動される構成であってもよい。
上記の第2ピストン12は、出力部材7の押部7aに当接可能に構成されることに代えて、第1ピストン6の上面に当接可能に構成されてもよい。
前記1リリース室18と第2リリース室19とを連通させる流路20は、出力部材7と第2ピストン12との間に形成された環状隙間によって構成されるのに代えて、ハウジングに形成される構成であってもよい。
上記の操作部は、例示した凹部24によって構成されるのに代えて、凸部によって構成されてもよい。また、上記の操作部は、小径部12aの外周部に形成されるのに代えて、大径部12bの外周部に形成されてもよい。
上記のスイッチ30,43は、例示した接触式のリミットスイッチに代えて、近接スイッチ等の非接触式のスイッチであってもよい。さらには、電気式のスイッチではなく、半導体素子などを用いた電子式のスイッチであってもよい。
上記のスイッチ30,43の初期状態は、例示したように、被操作部材32がスイッチ30,43を操作することを止めた状態であるのに代えて、被操作部材32がスイッチ30,43を操作した状態であってもよい。
上記の被操作部材32が進退する方向は、例示したように、軸心方向に対して直交する方向に限られず、その直交方向に対して傾斜させた方向であってもよい。また、被操作部材32は、例示した前記伝動ボール34と被操作ピン33とによって構成されるのに代えて、一体に形成する構成であってもよい。
上記の付勢手段は、例示した圧縮バネ35に代えて、流体圧によって駆動する流体圧アクチュエータであってもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0022】
3:ハウジング,5:第1シリンダ孔,6:第1ピストン,7:出力部材,11:第2シリンダ孔,11a:小径孔,11b:大径孔,12:第2ピストン,12a:小径部,12b:大径部,15:ロック室,18:第1リリース室,19:第2リリース室,20:流路,24:操作部(凹部),25:検出手段,30:スイッチ(リミットスイッチ),32:被操作部材,35:付勢手段(圧縮バネ).
図1
図2
図3
図4