特許第6617029号(P6617029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6617029ジアザビシクロオクタン誘導体の結晶とその製造法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617029
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】ジアザビシクロオクタン誘導体の結晶とその製造法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/08 20060101AFI20191125BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20191125BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20191125BHJP
   A61K 31/439 20060101ALI20191125BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20191125BHJP
【FI】
   C07D471/08
   A61P31/04
   A61P43/00 121
   A61K31/439
   !C07B61/00 300
【請求項の数】7
【全頁数】72
(21)【出願番号】特願2015-541603(P2015-541603)
(86)(22)【出願日】2014年10月8日
(86)【国際出願番号】JP2014076875
(87)【国際公開番号】WO2015053297
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年8月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-211242(P2013-211242)
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006091
【氏名又は名称】Meiji Seikaファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】阿部 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】古内 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 儀晃
(72)【発明者】
【氏名】三橋 那佳子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 由美子
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0225554(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/172368(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/046207(WO,A1)
【文献】 特許第6265892(JP,B2)
【文献】 特表2015−526501(JP,A)
【文献】 特開2011−207900(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0053350(US,A1)
【文献】 平山令明編,有機化合物結晶作製ハンドブック −原理とノウハウ−,丸善株式会社,2008年 7月25日,p.57-84
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/08
A61K 31/439
A61K 31/43
A61K 31/545
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(III):
【化76】

で示される化合物を、化合物:RONHと反応させて下記式(IV):
【化77】

で示される化合物とし、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムで処理し、下記式(VI):
【化78】

で示される化合物とした後、側鎖RONHC(=O)−が保護基を有する場合、酸により当該保護基を除去、続いて反応液に、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、および酢酸ブチルから選択される貧溶媒を加えて粗生成物を沈殿化し、下記式(VII−CR):
【化79】

で示される粗の化合物とした後、式(VII−CR)で示される粗の化合物と氷冷した緩衝液を交互に加えてpH4〜5.5の溶液とし、必要に応じて合成吸着剤による脱塩後に濃縮し、温度調節後に必要に応じて接種、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、およびテトラヒドロフランから選択される貧溶媒を加えて、結晶化することによる下記式(VII):
【化80】

(上記各式中、OBnはベンジルオキシ、Rは2,5−ジオキソピロリジン−1−イル、1,3−ジオキソ−3a,4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル、1,3−ジオキソヘキサヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル、または3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル、RはC1−6アルキルまたはヘテロシクリルを示す。Rは0から5個のRで修飾されていても良く、Rを修飾しているRは、Rでさらに修飾されてもよい。ここでRはC1−6アルキル、ヘテロシクリル、R(R)N−、または保護基である。また、RとRは各々独立して水素またはC1−6アルキルを示すか、あるいは一緒になってヘテロシクリルを形成する。さらに、R、R及びRは任意の位置で閉環することができる。保護基は、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブトキシカルボニル、トリメチルシリルエトキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、またはジフェニルメトキシカルボニルである。)
で示される化合物の製造法。
【請求項2】
下記式(IV):
【化83】

で示される化合物を、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムで処理することによる、下記式(VI):
【化84】

(上記各式中、R3およびOBnは、請求項1に記載のとおりである)
で示される化合物の製造法。
【請求項3】
下記式(VI):
【化85】

で示される化合物を、側鎖RONHC(=O)−が保護基を有する場合、酸により当該保護基を除去、続いて反応液に、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、および酢酸ブチルから選択される貧溶媒を加えて粗生成物を沈殿化することによる、下記式(VII−CR):
【化86】

(上記各式中、R3及び保護基は、請求項1に記載のとおりである)
で示される粗の化合物の製造法。
【請求項4】
式(IV)、(VI)、(VII−CR)、(VII)にてRが、
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル、
2−アミノエチル、
2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル、
2−(メチルアミノ)エチル、
2−((tert−ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)エチル、
2−(イソプロピルアミノ)エチル、
2−(ジメチルアミノ)エチル、
(2S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル、
(2S)−2−(アミノ)プロピル、
(2R)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル、
(2R)−2−(アミノ)プロピル、
3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル、
3−(アミノ)プロピル、
(2S)−tert−ブトキシカルボニルアゼチジン−2−イルメチル、
(2S)−アゼチジン−2−イルメチル、
(2R)−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−イルメチル
(2R)−ピロリジン−2−イルメチル
(3R)−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−3−イルメチル、
(3R)−ピペリジン−3−イルメチル、
(3S)−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−3−イル、
(3S)−ピロリジン−3−イル、
1−(tert−ブトキシカルボニル)アゼチジン−3−イル、
アゼチジン−3−イル、
から選ばれる化合物の請求項1〜いずれか記載の製造法。
【請求項5】
下記式(III):
【化89】

で示される化合物を、塩基存在下tert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメートと反応させて下記式(IV−1):
【化90】

で示される化合物とし、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムと処理し、下記式(VI−1):
【化91】

で示される化合物とした後、トリフルオロ酢酸によりtert−ブトキシカルボニル(Boc)基を除去、続いて反応液に酢酸エチルを滴下することにより粗生成物を沈殿化し、下記式(VII−1−CR):
【化92】

で示される粗の化合物とした後、式(VII−1−CR)で示される粗の化合物と氷冷した燐酸緩衝液を交互に加えてpH4〜5.5の溶液とし、必要に応じて合成吸着剤による脱塩後に濃縮し、温度調節後に必要に応じて接種、イソプロパノールを加えて結晶化することによる下記式(VII−1):
【化93】

(上記各式中、R1およびOBnは、請求項1に記載のとおりである)
で示される化合物の製造法。
【請求項6】
下記式(IV−1):
【化96】

で示される化合物を、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムと処理することによる、下記式(VI−1):
【化97】

(上記各式中、OBnは、請求項1に記載のとおりであり、Bocはtert−ブトキシカルボニルである)
で示される化合物の製造法。
【請求項7】
下記式(VI−1):
【化98】

で示される化合物を、トリフルオロ酢酸によりtert−ブトキシカルボニル(Boc)基を除去、続いて反応液に酢酸エチルを滴下することにより粗生成物を沈殿化することによる、下記式(VII−1−CR):
【化99】

で示される粗の化合物の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は式(VII)、特に式(VII−1)で示されるジアザビシクロオクタン誘導体の結晶とその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許4515704(特許文献1)にて新規な複素環化合物、製造法及びそれらの医薬用途について示され、代表的化合物としてナトリウム トランス−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド(NXL104)を開示している。中間体である特定のピペリジン誘導体についても特開2010−138206(特許文献2)と特表2010−539147(特許文献3)にて製造法が示され、さらにWO2011/042560(特許文献4)にてNXL104とその結晶体の製造法を開示している。
【0003】
また、特許5038509(特許文献5)では(2S,5R)−7−オキソ−N−(ピペリジン−4−イル)−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド(MK7655)が示され、特開2011−207900(特許文献6)とWO2010/126820(特許文献7)にて特定のピペリジン誘導体とMK7655の製造法を開示している。
【0004】
本発明者らも特願2012−122603(特許文献8)にて下記式(VII)で示される新規なジアザビシクロオクタン誘導体について開示している。
【0005】
【化1】

(上記式中、Rは後述するものと同様である)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本特許第4515704号明細書
【特許文献2】日本特許公開2010−138206号明細書
【特許文献3】日本特許公表2010−539147号明細書
【特許文献4】国際公開第WO2011/042560号
【特許文献5】日本特許第5038509号明細書
【特許文献6】日本特許公開2011−207900号明細書
【特許文献7】国際公開第WO2010/126820号
【特許文献8】日本特許出願2012−122603号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
【化2】

(上記式中、Rは後述するものと同様、OBnはベンジルオキシ、Bocはtert−ブトキシカルボニルである)
【0008】
上記式(VII)、特に式(VII−1)で示される(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドの工業化検討を進めるに伴い、1;非晶質形態の医薬原体(API)、特に凍結乾燥品は製造上取り扱いにくく安定性も確保しにくいため安定な結晶形態での供給が必要であること、2;側鎖RONHC(=O)−基中の保護基を脱保護した後に得られる酸を含有する粗の医薬原体の単離とその安定pH領域への調整手順の確立が必要であること、3;式(V)で示される化合物の硫酸化では側鎖RONHC(=O)−基も硫酸化される過反応を制御し、収率向上、副生成物混入を回避することが必要であること、4;上記式(V)で示される化合物は溶液中の安定性、特に反応溶媒濃縮中の安定性が低いうえに単離ロスも無視し得るものではないこと、5;上記式(IV)で示される化合物の収率も満足できるものではないこと、など種々の製造上の課題が指摘された。特に、酸を含有する粗の式(VII−1−CR)で示される化合物の単離・pH調整から式(VII−1)で示される化合物の結晶化に至る工程は、化合物の安定性、高溶解度と分解物や混入物の影響が複合的要因となり非常に困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らは、上記式(VII)で示される化合物の製造法を詳細に検討し、式(VII)で示される化合物の結晶化に影響しない高純度の式(VII)で示される化合物の溶液を供給するための一連の製造法と安定性の良い結晶の製造法を確立した。
【0010】
すなわち、(1)本発明は下記式(VII):
【化3】

で示される化合物の製造法であって、下記式(III):
【化4】

で示される化合物を、化合物:RONHと反応させて下記式(IV):
【化5】

で示される化合物とし、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムで処理し、下記式(VI):
【化6】

で示される化合物とした後、側鎖RONHC(=O)−が保護基を有する場合、酸により当該保護基を除去、続いて反応液に貧溶媒を加えて粗生成物を沈殿化し、下記式(VII−CR):
【化7】

(上記各式中、OBnはベンジルオキシ、Rは2,5−ジオキソピロリジン−1−イル、1,3−ジオキソ−3a,4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル、1,3−ジオキソヘキサヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル、または3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル、RはC1−6アルキルまたはヘテロシクリルを示す。Rは0から5個のRで修飾されていても良く、Rは連続して置換されてもよい。ここでRはC1−6アルキル、ヘテロシクリル、R(R)N−、または保護基である。また、RとRは各々独立して水素またはC1−6アルキルを示すか、あるいは一緒になってヘテロシクリルを形成する。さらに、R、R及びRは任意の位置で閉環することができる。)
で示される粗の化合物とした後、式(VII−CR)で示される粗の化合物と氷冷した緩衝液を交互に加えてpH4〜5.5の溶液とし、必要に応じて合成吸着剤による脱塩後に濃縮し、温調後に必要に応じて接種、貧溶媒を加えて、結晶化することを特徴とする、製造法に関する。
【0011】
また、(2)本発明の別の態様によれば、下記式(IV):
【化8】

で示される化合物の製造法であって下記式(III):
【化9】

(上記各式中、R1、R3およびOBnは、上記のとおりである)
で示される化合物を、化合物:RONHと反応させることを特徴とする、製造法に関する。
【0012】
また、(3)本発明の別の態様によれば、下記式(VI):
【化10】

で示される化合物の製造法であって、下記式(IV):
【化11】

(上記各式中、R3およびOBnは、上記のとおりである)
で示される化合物を、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムで処理することを特徴とする、製造法に関する。
【0013】
また、(4)本発明の別の態様によれば、下記式(VII−CR):
【化12】

で示される粗の化合物の製造法であって、下記式(VI):
【化13】

(上記各式中、R3は、上記のとおりである)
で示される化合物を、側鎖RONHC(=O)−が保護基を有する場合、酸により当該保護基を除去、続いて反応液にエステル系貧溶媒を加えて粗生成物を沈殿化することを特徴とする、製造法に関する。
【0014】
また、(5)本発明の別の態様によれば、下記式(VII):
【化14】

で示される化合物の製造法であって、下記式(VII−CR):
【化15】

(上記各式中、R3は、上記のとおりである)
で示される粗の化合物と氷冷した緩衝液を交互に加えてpH4〜5.5の溶液とし、必要に応じて合成吸着剤による脱塩後に濃縮し、温調後に必要に応じて接種、アルコール系貧溶媒を加えて、結晶化することを特徴とする、製造法に関する。
【0015】
また、(6)本発明の別の態様によれば、上記式(IV)、(VI)、(VII−CR)、(VII)にてRが、
2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エチル、
2−アミノエチル、
2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エチル、
2−(メチルアミノ)エチル、
2−((tert−ブトキシカルボニル)(イソプロピル)アミノ)エチル、
2−(イソプロピルアミノ)エチル、
2−(ジメチルアミノ)エチル、
(2S)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル、
(2S)−2−(アミノ)プロピル、
(2R)−2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル、
(2R)−2−(アミノ)プロピル、
3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロピル、
3−(アミノ)プロピル、
(2S)−tert−ブトキシカルボニルアゼチジン−2−イルメチル、
(2S)−アゼチジン−2−イルメチル、
(2R)−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−2−イルメチル
(2R)−ピロリジン−2−イルメチル
(3R)−tert−ブトキシカルボニルピペリジン−3−イルメチル、
(3R)−ピペリジン−3−イルメチル、
(3S)−tert−ブトキシカルボニルピロリジン−3−イル、
(3S)−ピロリジン−3−イル、
1−(tert−ブトキシカルボニル)アゼチジン−3−イル、
アゼチジン−3−イル、
から選ばれる化合物の製造法であって、(1)〜(5)いずれか記載の方法であることを特徴とする、製造法に関する。
【0016】
また、(7)本発明の別の態様によれば、本発明は下記式(VII−1):
【化16】

で示される化合物の製造法であって、下記式(III):
【化17】

で示される化合物を、塩基存在下tert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメートと反応させて下記式(IV−1):
【化18】

で示される化合物とし、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムと処理し、下記式(VI−1):
【化19】

で示される化合物とした後、トリフルオロ酢酸によりtert−ブトキシカルボニル(Boc)基を除去、続いて反応液に酢酸エチルを滴下することにより粗生成物を沈殿化し、下記式(VII−1−CR):
【化20】

(上記各式中、RおよびOBnは、上記のとおりである)
で示される粗の化合物とした後、式(VII−1−CR)で示される粗の化合物と氷冷した燐酸緩衝液を交互に加えてpH4〜5.5の溶液とし、必要に応じて合成吸着剤による脱塩後に濃縮し、温調後に必要に応じて接種、イソプロパノールを加えて結晶化することを特徴とする、製造法に関する。
【0017】
また、(8)本発明の別の態様によれば、下記式(IV−1):
【化21】

で示される化合物の製造法であって、下記式(III):
【化22】

(上記各式中、R1およびOBnは、上記のとおりである)
で示される化合物を、塩基存在下tert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメートと反応させることを特徴とする、製造法に関する。
【0018】
また、(9)本発明の別の態様によれば、下記式(VI−1):
【化23】

で示される化合物の製造法であって、下記式(IV−1):
【化24】

(上記各式中、OBnは、上記のとおりである)
で示される化合物を、水素雰囲気化にパラジウム炭素触媒と処理し、同時または連続して含水溶媒中で触媒量の塩基存在下に三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体により硫酸化反応に付し、硫酸水素テトラブチルアンモニウムと処理することを特徴とする、製造法に関する。
【0019】
また、(10)本発明の別の態様によれば、下記式(VII−1−CR):
【化25】

で示される粗の化合物の製造法であって、下記式(VI−1):
【化26】

で示される化合物を、トリフルオロ酢酸によりtert−ブトキシカルボニル(Boc)基を除去、続いて反応液に酢酸エチルを滴下することにより粗生成物を沈殿化することを特徴とする、製造法に関する。
【0020】
また、(11)本発明の別の態様によれば、下記式(VII−1):
【化27】

で示される化合物の製造法であって、下記式(VII−1−CR):
【化28】

で示される粗の化合物と氷冷した燐酸緩衝液を交互に加えてpH4〜5.5の溶液とし、必要に応じて合成吸着剤による脱塩後に濃縮し、温調後に必要に応じて接種、イソプロパノールを加えて結晶化することを特徴とする、製造法に関する。
【0021】
また、(12)本発明の別の態様によれば、式(VII−1):
【化29】

で示される化合物であって、粉末X線回析図形において面間隔(d)7.34、5.66、5.53、5.30、5.02、4.66、4.37、4.28、4.06、3.68、3.62、3.47、3.36、3.30、3.16、3.11、3.03、2.99、及び2.50Åに特徴的なピークを有するI形結晶に関する。
【0022】
また、(13)本発明の別の態様によれば、(12)記載のI形結晶の製造法であって、(1)〜(11)いずれか記載の方法であることを特徴とする、製造法に関する。
【0023】
また、(14)本発明の別の態様によれば、(12)記載のI形結晶の製造法であって、上記式(VII−1)で示される化合物の溶液を20〜25℃に温調し、I形結晶を接種、撹拌後にさらにイソプロパノールを加えることを特徴とする、製造法に関する。
【0024】
また、(15)本発明の別の態様によれば、(12)記載のI形結晶の、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0025】
また、(16)本発明の別の態様によれば、(12)記載のI形結晶の、アンピシリン、アモキシシリン、ピペラシリン、チカルシリン、フロモキセフ、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフタロリン、セフトロザン、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、アズトレオナムからなる群より選択されるβ−ラクタム系抗生物質と、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0026】
また、(17)本発明の別の態様によれば、式(VII−1):
【化30】

で示される化合物であって、粉末X線回析図形において面間隔(d)9.46、5.62、5.23、5.10、5.00、4.91、4.67、4.45、4.29、3.96、3.78、3.71、3.52、3.24、3.18、3.10、3.02、2.88、2.81、2.77、2.67、2.50、及び2.45Åに特徴的なピークを有するII形結晶に関する。
【0027】
また、(18)本発明の別の態様によれば、(17)記載のII形結晶の製造法であって、(1)〜(11)いずれか記載の方法であることを特徴とする、製造法に関する。
【0028】
また、(19)本発明の別の態様によれば、(17)記載のII形結晶の製造法であって、上記式(VII−1)で示される化合物の溶液を10〜15℃に温調し、イソプロパノールを加えて撹拌することを特徴とする、製造法に関する。
【0029】
また、(20)本発明の別の態様によれば、(17)記載のII形結晶の、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0030】
また、(21)本発明の別の態様によれば、(17)記載のII形結晶の、アンピシリン、アモキシシリン、ピペラシリン、チカルシリン、フロモキセフ、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフタロリン、セフトロザン、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、アズトレオナムからなる群より選択されるβ−ラクタム系抗生物質と、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0031】
また、(22)本発明の別の態様によれば、式(VII−1):
【化31】

で示される化合物であって、粉末X線回析図形において面間隔(d)8.32、6.10、5.98、5.51、5.16、5.07、4.85、4.70、4.61、4.35、4.20、4.06、4.00、3.95、3.77、3.73、3.65、3.42、3.39、3.36、3.26、3.23、3.13、3.09、2.99、2.81、及び2.52Åに特徴的なピークを有するIII形結晶に関する。
【0032】
また、(23)本発明の別の態様によれば、(22)記載のIII形結晶の製造法であって、(1)〜(11)いずれか記載の方法であることを特徴とする、製造法に関する。
【0033】
また、(24)本発明の別の態様によれば、(22)記載のIII形結晶の製造法であって、上記式(VII−1)で示される化合物の溶液を20〜25℃に温調し、III形結晶を接種、イソプロパノールを加えて撹拌することを特徴とする、製造法に関する。
【0034】
また、(25)本発明の別の態様によれば、(22)記載のIII形結晶の、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0035】
また、(26)本発明の別の態様によれば、(22)記載のIII形結晶の、アンピシリン、アモキシシリン、ピペラシリン、チカルシリン、フロモキセフ、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフタロリン、セフトロザン、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、アズトレオナムからなる群より選択されるβ−ラクタム系抗生物質と、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0036】
また、(27)本発明の別の態様によれば、式(VII−1):
【化32】

で示される化合物であって、粉末X線回析図形において面間隔(d)7.88、6.41、5.20、4.67、4.50、4.02、3.81、3.75、3.70、3.62、3.38、3.23、3.20、及び2.74Åに特徴的なピークを有するIV形結晶に関する。
【0037】
また、(28)本発明の別の態様によれば、(27)記載のIV形結晶の製造法であって、(1)〜(11)いずれか記載の方法であることを特徴とする、製造法に関する。
【0038】
また、(29)本発明の別の態様によれば、(27)記載のIV形結晶の製造法であって、上記式(VII−1)で示される化合物の溶液を20〜25℃に温調し、メタノールを加えて撹拌することを特徴とする、製造法に関する。
【0039】
また、(30)本発明の別の態様によれば、(27)記載のIV形結晶の製造法であって、(12)、(17)、または(22)記載のI、II、またはIII形結晶をメタノール、エタノールまたはイソプロパノール中で撹拌することを特徴とする、製造法に関する。
【0040】
また、(31)本発明の別の態様によれば、(27)記載のIV形結晶の、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0041】
また、(32)本発明の別の態様によれば、(27)記載のIV形結晶の、アンピシリン、アモキシシリン、ピペラシリン、チカルシリン、フロモキセフ、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフタロリン、セフトロザン、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、アズトレオナムからなる群より選択されるβ−ラクタム系抗生物質と、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0042】
また、(33)本発明の別の態様によれば、(12)、(17)、(22)、または(27)記載のI、II、III、またはIV形結晶の混合物の、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【0043】
また、(34)本発明の別の態様によれば、(12)、(17)、(22)、または(27)記載のI、II、III、またはIV形結晶の混合物の、アンピシリン、アモキシシリン、ピペラシリン、チカルシリン、フロモキセフ、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジム、セフェピム、セフタロリン、セフトロザン、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、アズトレオナムからなる群より選択されるβ−ラクタム系抗生物質と、場合によっては医学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物製造のための使用に関する。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一連の製造法により、上記式(VII)で示される化合物の結晶、特に式(VII−1)で示される化合物とその安定性の良い結晶を再現性良く高収率で製造することができる。
【0045】
【化33】
【0046】
式(VII)で示される化合物の結晶化を直接阻害する因子として一連の工程で副成する分解物の次工程への持ち込みとpH調整時の式(VII)で示される化合物の分解があったが、今回確立された式(VI)で示される化合物と式(VII−CR)で示される化合物の製造法、さらに酸を含有する式(VII−CR)で示される化合物の単離・中和・脱塩の一連の手順により式(VII)で示される化合物の分解を完全に抑制し、結晶化可能な高純度の上記式(VII)で示される化合物の溶液を高収率で得られる。
【0047】
上記式(III)で示される化合物、特にRが2,5−ジオキソピロリジン−1−イル、1,3−ジオキソ−3a,4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル、1,3−ジオキソヘキサヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル、または3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イルで示される化合物は、式(IV)で示される化合物を上記式(1)で示される化合物から合成するよりも高純度かつ高収率で与える。
【0048】
溶液中で不安定な上記式(V)で示される化合物はスケールを上げるに伴い収率が低下する傾向があったが、式(IV)で示される化合物からワンポットまたは連続反応により式(VI)で示される化合物に導くことにより、式(V)で示される化合物の濃縮中の分解物の生成、単離ロスによる収率低下、さらに硫酸化工程における過反応物の混入が回避された。式(IV)で示される化合物の脱ベンジル化反応の溶媒としてはアルコール系溶媒が優れているが、次工程の硫酸化で一般的に用いられる三酸化硫黄−ピリジン錯体はアルコール系溶媒では失活し適用できない。今回見出された三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体はアルコール系溶媒中での安定性に優れ、硫酸化反応をワンポットまたは連続して実施出来る。
【0049】
式(VII−CR)で示される化合物の製造工程にて、反応液中に吸湿性の低いエステル系溶媒またはエーテル系溶媒に代表される貧溶媒による沈殿化、特に汎用性のある酢酸エチルによる沈殿化により、吸湿性が低く分解物の少ない取扱いやすい固体として式(VII−CR)で示される化合物を再現性よく製造できる。中和工程に影響する酸成分の混入比率も湿状固体を懸濁洗浄することで10〜30モル%と次工程の許容範囲に収まり、HPLCエリア面積比も99%以上と高純度に管理できる。
【0050】
本発明で得られる式(VII−1)で示される化合物の結晶形は、含水溶媒中の懸濁条件下での長時間の撹拌または固体状態における40℃安定性試験において結晶形の転移は観察されていない。さらに、式(VII−1)で示される化合物のIII形結晶をXRD−DSC実験に付し、60%RH、160℃まで加熱、次いで63℃まで放冷したところ、約145℃付近で無水結晶に転移後そのまま推移し、放冷後約90℃付近でIII形結晶に戻った。これらの知見から式(VII−1)で示される化合物の結晶形、特にIII形結晶は通常条件にて安定形である。
【0051】
式(VII−1)で示される化合物の非晶体とI、II、III、及びIV形結晶の水分、類縁物質総量、及び含量の経時変化を40℃(75%RH)条件下に同時比較したところ、下記表1に示されるように非晶体の類縁物質総量は実験開始時0.5%に対して1ヶ月で6.6%、3ヶ月で12.3%と著しく増加し、含量も開始時99.4%に対して1ヶ月で93.3%、3ヶ月で87.5%と劣化した。一方、I、II、III、及びIV形結晶の類縁物質総量は実験開始時0.0〜0.1%に対して1ヶ月で0.0%、3ヶ月で0.0〜0.5%と変化なく、含量も実験開始時99.8〜99.9%に対して1ヶ月で99.8〜100.0%、3ヶ月で99.3〜99.9%、またI、II、III、及びIV形結晶の水分は実験開始時5.3〜5.7%、0.1%に対し3ヶ月、1ヶ月で5.5〜5.9%、0.1%と変化なく安定であった。
【0052】
【表1】
【0053】
さらに、III形結晶の原薬包装容器中の接触安定性を継時的に見たところ、下記表2、表3に示されるように実験開始時に含量、類縁物質総量、水分は99.9%、0.09%、5.20%に対して、40℃(75%RH、3ヶ月)は99.9%、0.06%、5.29%、60℃(1ヶ月)は99.9%、0.04%、5.08%と、変化なく安定である。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】I形結晶の粉末X線結晶回析である。
図2】II形結晶の粉末X線結晶回析である。
図3】III形結晶の粉末X線結晶回析である。
図4】IV形結晶の粉末X線結晶回析である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
上述したように本発明は、上記式(VII)で示される化合物、特に式(VII−1)で示される化合物の安定性の良い結晶とその製造法を提供する。
【0058】
【化34】

(上記式(VII)中、RはC1−6アルキルまたはヘテロシクリルを示す。Rは0から5個のRで修飾されていても良く、Rは連続して置換されてもよい。ここでRはC1−6アルキル、ヘテロシクリル、R(R)N−、または保護基である。また、RとRは各々独立して水素またはC1−6アルキルを示すか、あるいは一緒になってヘテロシクリルを形成する。さらに、R、R及びRは任意の位置で閉環することができる。)
【0059】
以下に、結晶形態の式(VII)で示される化合物の製造法について詳細に説明するが、本発明は提示した具体例の範囲に限定されるものではない。
【0060】
「C1−6アルキル」とは炭素数1〜6のアルキル基を示し、鎖状、分岐状、環状でもよい。
【0061】
「ヘテロシクリル」とは、環員として窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選択されるヘテロ原子を合わせて1〜3個有する3〜7員の単環性複素飽和環または非芳香環のことを示す。
【0062】
「R(R)N−」とは、RとRにより置換されたアミノ、すなわちアミノ、モノC1−6アルキルアミノまたはジC1−6アルキルアミノを示すか、あるいはRとRが窒素原子と一緒になって形成するヘテロシクリルを示す。
【0063】
「修飾」とはR中の水素をRにて置換、結合することである。
【0064】
「Rは、0から5個のRで修飾されていても良く、Rは連続して置換されてもよい。」とは、Rを修飾しているRを、Rでさらに修飾してもいいことを表し、R−(R0−5、R−(R−R0−4)、R−(R−R0−3、R−(R−R0−2、R−(R−R0−1、などが挙げられる。
【0065】
「保護基」の具体的な例は、Protective Groups in Organic Synthesis (T. W. Greene et al., Wiley, New York (1999))記載のアミノ基と水酸基の保護基であるカーバメート型保護基とトリアルキルシリルが挙げられ、好ましくはトリイソプロピルシリル(TIPS)、tert−ブチルジメチルシリル(TBDMSまたはTBS)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、4−メトキシベンジルオキシカルボニル(PMZ、Moz)、またはジフェニルメトキシカルボニルが挙げられる。
【0066】
「C1−6アルキル」の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、s−ブチル、イソブチル、ペンチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、ネオペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、イソペンチルまたはヘキシルなどの鎖状または分岐状のC1−6アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルなどのC3−6シクロアルキル基;シクロプロピルメチル、シクロブチルメチルまたはシクロペンチルメチルなどのC3−5シクロアルキル基で置換されたメチル基が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチルまたはシクロブチルメチルである。
【0067】
「ヘテロシクリル」の具体的な例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロ−2H−ピラン、テトラヒドロ−2H−チオピラン、ヘキサヒドロピリダジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、1,2−オキサゾリジン、1,3−オキサゾリジン、1,2−オキサジナン、1,3−オキサジナン、1,4−ジオキサン、1,2−チアゾリジン、1,3−チアゾリジン、1,2−チアジナン、1,3−チアジナン、アゼパン、オキセパン、チエパン、1,4−ジアゼパン、1,4−オキサゼパン、1,4−チアゼパン、1,2,5−トリアゼパン、1,4,5−オキサジアゼパン、1,2,5−オキサジアゼパン、1,4,5−チアジアゼパン、1,5,2−ジオキサゼパン、1,5,2−オキサチアゼパン、3,4−ジヒドロ−2H−ピロール、4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール、4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、4,5−ジヒドロ−1,2−オキサゾール、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサゾール、4,5−ジヒドロ−1,3−チアゾール、2,3,4,5−テトラヒドロピリジン、1,2,3,6−テトラヒドロピラジン、5,6−ジヒドロ−4H−1,2−オキサジンまたは3,6−ジヒドロ−2−H−1,4−オキサジンなどが挙げられ、好ましくはアゼチジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ピペリジン、テトラヒドロ−2H−ピラン、イミダゾリジン、1,3−オキサゾリジン、1,3−チアゾリジン、ヘキサヒドロピリダジン、ピペラジン、モルホリン、1,2−オキサジナン、アゼパン、1,4−ジアゼパンまたは1,2−オキサゼパンである。ここで上記具体例には保護基、例えばtert−ブトキシカルボニル(Boc)が結合したものも包含されることは言うまでもない。
【0068】
「R(R)N−」の具体的な例としては、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、s−ブチルアミノ、イソブチルアミノ、ペンチルアミノ、1,1−ジメチルプロピルアミノ、1,2−ジメチルプロピルアミノ、ネオペンチルアミノ、1−メチルブチルアミノ、2−メチルブチルアミノ、イソペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジ(イソプロピル)アミノ、N,N−ジブチルアミノ、N,N−ジ(tert−ブチル)アミノ、N,N−ジ(s−ブチル)アミノ、N,N−ジ(イソブチル)アミノ、N,N−ジペンチルアミノ、N,N−ジ(1,1−ジメチルプロピル)アミノ、N,N−ジ(1,2−ジメチルプロピル)アミノ、N,N−ジ(ネオペンチル)アミノ、N,N−ジ(1−メチルブチル)アミノ、N,N−ジ(2−メチルブチル)アミノ、N,N−ジ(イソペンチル)アミノまたはN,N−ジ(ヘキシル)アミノなどが挙げられ、好ましくはアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノである。ここで上記具体例には保護基、例えばtert−ブトキシカルボニル(Boc)が結合したものも包含されることは言うまでもない。
【0069】
(R)N−のRとRが結合し、ヘテロシクリルを形成した場合の具体的な例には、アゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イルまたはアゼパン−1−イルが挙げられる。ここで上記具体例には保護基として例えばtert−ブトキシカルボニル(Boc)の結合したものが包含されることは言うまでもない。
「R、R及びRは任意の位置で閉環することができる」とは、RがC1−6アルキルを示し、かつRを修飾するR、すなわちR(R)N−に含まれるRまたはRがC1−6アルキルを示す場合に、RおよびRまたはRが一緒になって、3〜7員の飽和環を形成することができることを意味する。
【0070】
続いて、RO−を形成するC1−6アルキルとヘテロシクリルにRで規定する置換基が修飾した場合の具体例をさらに詳細に代表例を挙げて説明するが、例示した具体例の範囲に留まるものではないことは言うまでもない。
【0071】
「C1−6アルキル」に、R(R)N−の代表例のアミノ(HN−)が修飾した具体的な例には、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、2−アミノ−1−メチルエチル、2−アミノブチル、3−アミノブチル、4−アミノブチル、2−アミノ−1,1−ジメチルエチル、2−アミノ−1−メチルプロピル、または3−アミノ−2−メチルプロピルなどが挙げられる。ここで上記具体例には保護基、例えばROCO−に包含されるtert−ブトキシカルボニル(Boc)が結合したものも包含されることは言うまでもない。
【0072】
ヘテロシクリルにC1−6アルキルの代表例のメチルが修飾した場合の具体的な例には、1−メチルアゼチジン、3−メチルアゼチジン、1−メチルピロリジン、3−メチルピロリジン、1−メチルイミダゾリジン、3−メチルオキサゾリジン、1−メチルピラゾリジン、1−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン、4−メチルテトラヒドロ−2H−ピラン、1−メチルピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、4−メチルモルホリン、4−メチル−チオモルホリン、1−メチルアゼパン、1−メチル−1,4−ジアゼパンまたは1,4−ジメチル−1,4−ジアゼパンなどが挙げられる。ここで上記具体例には保護基、例えばtert−ブトキシカルボニル(Boc)が結合したものも包含されることは言うまでもない。
【0073】
ヘテロシクリルにR(R)N−の代表例のアミノ(HN−)が修飾した具体的な例には,3−アミノアゼチジン、3−アミノピロリジン、3−アミノ−テトラヒドロフラン、3−アミノ−テトラヒドロチオフェン、4−アミノピラゾリジン、4−アミノピペリジン、4−アミノ−テトラヒドロ−2H−ピラン、4−アミノ−テトラヒドロ−2H−チオピラン、4−アミノ−ヘキサヒドロピリダジン、4−アミノ−1,2−オキサゾリジン、4−アミノ−1,2−オキサジナン、4−アミノアゼパン、4−アミノオキセパンまたは6−アミノ−1,4−ジアゼパンなどが挙げられる。ここで上記具体例には保護基、例えばtert−ブトキシカルボニル(Boc)が結合したものも包含されることは言うまでもない。
【0074】
1−6アルキルの代表例のメチルまたはエチルに、ヘテロシクリルが修飾した具体的な例には、アゼチジン−2−イルメチル、アゼチジン−3−イルメチル、ピロリジン−2−イルメチル、ピロリジン−3−イルメチル、テトラヒドロフラン−3−イルメチル、テトラヒドロチオフェン−3−イルメチル、ピラゾリジン−4−イルメチル、1,2−オキサゾリジン−3−イルメチル、ピペリジン−2−イルメチル、ピペリジン−3−イルメチル、ピペリジン−4−イルメチル、テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル、テトラヒドロ−2H−チオピラン−4−イルメチル、ヘキサヒドロピリダジン−4−イルメチル、ピペラジン−2−イルメチル、1,2−オキサジナン−3−イルメチル、モルホリン−2−イルメチル、モルホリン−3−イルメチル、チオモルホリン−2−イルメチル、チオモルホリン−3−イルメチル、アゼパン−2−イルメチル、アゼパン−4−イルメチル、オキセパン−2−イルメチル、オキセパン−4−イルメチル、1,4−ジアゼパン−2−イルメチル、1,4−ジアゼパン−6−イルメチル、2−(アゼチジン−1−イル)エチル、2−(ピロリジン−1−イル)エチル、2−(ピラゾリジン−1−イル)エチル、2−(ピペリジン−1−イル)エチル、2−(ヘキサヒドロピリダジン−1−イル)エチル、2−(ピペラジン−1−イル)エチル、2−(モルホリン−4−イル)エチル、2−(チオモルホリン−4−イル)エチル、2−(1,2−オキサゾリジン−2−イル)エチル、2−(1,2−オキサジナン−2−イル)エチル、2−(アゼパン−1−イル)エチル、または2−(1,4−ジアゼパン−1−イル)エチルなどが挙げられる。ここで上記具体例には保護基、例えばtert−ブトキシカルボニル(Boc)が結合したものも包含されることは言うまでもない。
【0075】
本発明により供される化学式(IV)、(VI)、(VII−CR)、(VII)で示される化合物の具体的な例としては、
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート、
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(メチル)カーバメート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(メチル)カーバメート、
(2S,5R)−N−[2−(メチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(プロパン−2−イル)カーバメート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(プロパン−2−イル)カーバメート、
(2S,5R)−7−オキソ−N−[2−(プロパン−2−イルアミノ)エトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
テトラブチルアンモニウム (2S,5R)−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
(2S,5R)−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル {(2S)−1−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {(2S)−1−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート、
(2S,5R)−N−{[(2S)−2−アミノプロピル]オキシ}−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル {(2R)−1−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {(2R)−1−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート、
(2S,5R)−N−{[(2R)−2−アミノプロピル]オキシ}−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル {3−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロピル}カーバメート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {3−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロピル}カーバメート、
(2S,5R)−N−(3−アミノプロポキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル (2S)−2−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (2S)−2−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート、
(2S,5R)−N−[(2S)−アゼチジン−2−イルメトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル (2R)−2−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシレート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (2R)−2−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシレート、
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル (3R)−3−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (3R)−3−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート、
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(3R)−ピペリジン−3−イルメトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル (3S)−3−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]ピロリジン−1−カルボキシレート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (3S)−3−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]ピロリジン−1−カルボキシレート、
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イルオキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
tert−ブチル 3−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル 3−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート、
(2S,5R)−N−(アゼチジン−3−イルメトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
から選ばれる化合物であり、下記化合物群が挙げられる。
【0076】
【化35】

(上記式中、P2はtert−ブトキシカルボニル(Boc)などの保護基または水素、Pはベンジルオキシ(OBn)、テトラブチルアンモニウムスルホオキシ、またはスルホオキシを示す。)
【0077】
最も好ましくは、tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート、
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート、
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド、
であり、上記式(IV−1)、(VI−1)、(VII−1―CR)、(VII−1)で示される。
【0078】
本発明により提供される化合物はβ−ラクタマーゼ阻害剤であり、β−ラクタム系抗菌剤の同酵素による分解を阻止する作用を示す。従って、本発明により提供される医薬はβ−ラクタム系抗菌剤と併用使用することが前提となる。
本発明により提供される医薬は、式(VII)で表される化合物および医学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物またはその溶媒和物からなる群から選ばれる物質を有効成分とし含有することを特徴としており、経口的または非経口的に投与されるが、好ましくは非経口的に投与される。本発明の化合物とβ−ラクタム系抗生物質は、用事個別に調製した各々の薬剤を併用して、同時または別々に投与する方法、あるいは予め両者の薬剤を混合した一般的には1または2以上の製剤用添加物(担体)を用いて、医薬組成物を製造し、投与することができる。
【0079】
経口投与の医薬組成物の具体的な例としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、水性および非水性の経口用溶液、ならびに懸濁液などを挙げることができる。
【0080】
非経口投与の投与経路としては、鼻腔内、点眼、点耳、経皮、気道内、直腸内、泌尿器内、皮下、筋肉内、および静脈内等を挙げることができる。
【0081】
非経口投与の医薬組成物の具体的な例としては、静脈投与用としては粉末化された形態の医薬組成物を許容される溶媒を用いた静脈注射溶液などが挙げられる。許容される溶媒とは、例えば注射用滅菌水、生理食塩水溶液、ブドウ糖液、リンゲル液、メチルパラベン及びプロピルパラベン入りの注射用静菌水、又はベンジルアルコール入りの注射用静菌水などである。
【0082】
静脈投与用の粉末形態の医薬組成物は、医薬原体である本発明の化合物とβ−ラクタム系抗生物質とを無菌化工程を経て、密封バイアルに分注することで製造される。
【0083】
ここで、本発明の化合物と併用可能なβ−ラクタム系抗生物質とは、ペニシリン、セフェム、カルバペネムなどが挙げられる。
【0084】
ペニシリン類の具体的な例としては、ベンジルペニシリン、フェネチシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、シクラシリン、アモキシリン、タランピシリン、バカンピシリン、レナンピシリン、アスポキシリン、ピペラシリン、スルベニシリン、ピブメシリナム、スルタミシリン、フェノキシメチルペニシリン、カルベニシリン、アジドシリン、プロピシリン、エピシリン、チカルシリン、ピルベニシリン、アズロシリン、メズロシリン、並びに他の公知のペニシリンなどが挙げられる。
【0085】
セフェム類の具体的な例としては、セファクロル、セファゾリン、セファトリジン、セファドロキシル、セファピリン、セファマンドール・ナフェート、セファラジン、セファレキシン、セファロチン、セフェピム、セフキシチン、セフキシム、セフジジム、セフジトレン、セフジニル、セフスロジン、セフセリス、セフゾプラン、セフタキシム、セフタジジム、セフタロリン、セフチアム、セフチゾキシム、セフチブテン、セフテゾール、セフテタム、セフトリアキソン、セフニシド、セフピラミド、セフピロム、セフブペラゾン、セフプロジル、セフペラゾン、セフポドキシム、セフミノクス、セフメタゾール、セフメノキシム、セフラジン、セフロキサジン、セフロキシム、セフトロザン(CXA101、(6R,7R)−3−[5−アミノ−4−[3−(2−アミノエチル)ウレイド]−1−メチル−1H−ピラゾール−2−イウム−2−イルメチル]−7−[2−(5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル)−2−[(Z)−1−カルボキシ−1−メチルエトキシイミノ]アセタミド]−3−セフェム−4−カルボン酸 硫酸水素塩)ならびに他の公知のセフェム類等が挙げられる。
【0086】
カルバペネム類の例としては、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、エルタペネム、テビペネムなどがあり、必要に応じてシラスタチンナトリウムなどのDHP−1阻害剤を併用することができる。
【0087】
カルバペネム類、ペニシリン類およびセフェム類以外のβ−ラクタム系抗生物質の例には、アズトレオナム、カルモナム、ラタモキセフ、フロモキセフ、ロラカルベフ、ファロペネム、リチペネムのようなβ−ラクタム系抗生物質等が挙げられる。
【0088】
本発明による化合物との併用投与に特に好適なペニシリン類には、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、アズロシリン、メズロシリンおよびチカルシリン等がある。そのようなペニシリン類は、例えばナトリウム塩のような医薬的に許容されうる塩の形で用いることができる。別の形態として、アンピシリンまたはアモキシシリンは、注射用懸濁液もしくは注入用懸濁液用の両性イオン型(アンピシリン・三水和物またはアモキシシリン・三水和物)の微粒子の形で、式(VII)で示される化合物と併用することができる。本発明による化合物との併用投与に特に好適なセフェム類には、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフタジジムおよびセフェピム等があり、それらはナトリウム塩のような医薬的に許容されうる塩の形で用いることができる。本発明による化合物との併用投与に特に好適なカルバペネム類は、イミペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、及びエルタペネムである。
【0089】
本発明による化合物との併用投与に特に好適なカルバペネム類、ペニシリン類およびセフェム類以外のβ−ラクタム系抗生物質の例には、アズトレオナムが挙げられる。
【0090】
以下に、本発明で提供する下記式(VII)で示される化合物と、その結晶の製造法について順次説明する。
【0091】
【化36】

(上記式(III)、(IV)、(VI)、(VII−CR)、(VII)中、OBn、R及びRは上述されたものと同様である。)
【0092】
下記式(III):
【化37】

(上記式(IV)中、OBn、R及びRは上述されたものと同様である。)
で示される化合物から式(IV)で示される化合物とする工程は以下のように実施される。
【0093】
用いられる溶媒には水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、2,2,2−トリフルオロエタノールなどが挙げられ、好ましくは酢酸エチル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタンであり、単独あるいは混合し用いられる。
【0094】
反応で用いられる化合物:RONHは、Rの具体例で例示したものから選ばれ、式(III)で示される化合物に対し、1〜2当量の範囲で用いられ、好ましくは1〜1.3当量である。
【0095】
反応で用いられる塩基には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルブチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、好ましくはトリエチルアミンであり、無機塩基では水溶液として用いることができる。塩基は式(III)で示される化合物に対し、0〜2当量の範囲で用いられ、好ましくは0〜1.5当量である。反応温度は−25〜50℃の範囲、好ましくは−10〜10℃の範囲である。反応時間は1時間〜24時間の範囲、好ましくは1時間〜16時間の範囲で実施される。
【0096】
式(IV)で示される化合物は、反応完了後に反応液を適当な溶媒で希釈し、順次、水、希釈した酸、塩基水溶液(例えば希塩酸、硫酸1水素カリウム、クエン酸や重曹水、飽和食塩水など)にて洗浄、溶媒を濃縮することで単離することができる。希釈に用いられる有機溶媒としては、ジエチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムが挙げられ、好ましくは酢酸エチルである。生成物は通常の後処理操作と精製操作で単離されるが、後処理のみで次工程に供することもできる。
【0097】
下記式(IV):
【化38】

で示される化合物を上記式(VI)で示される化合物とする工程は以下のように実施される。
【0098】
反応に用いられる溶媒には、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリルが挙げられ、単独あるいは混合し用いられる。脱ベンジル化反応と硫酸化を同時に実施する場合は含水溶媒が好ましく、連続して行う場合は硫酸化時の加水が好ましい。加水量は、溶媒の50〜200vol%の範囲であり、好ましくは75〜125vol%である。
【0099】
パラジウム炭素の量は、式(IV)で示される化合物に対し、5〜100wt%の範囲で用いられ、好ましくは5〜30wt%である。
水素化分解に用いられる水素の供給源は水素ガスであり、水素圧は大気圧〜1MPaの範囲で選ばれ、好ましくは大気圧〜0.5MPaである。水素の供給量は少なくとも化学量論量以上の量が用いられる。
【0100】
水素化分解の反応温度は10〜50℃の範囲、好ましくは20〜30℃の範囲である。反応時間は0.5〜3時間の範囲、好ましくは0.5〜2時間の範囲で実施される。
【0101】
硫酸化試薬として用いる三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体は、式(IV)で示される化合物に対して1〜2当量の範囲で用いられ、好ましくは1〜1.3当量用いられる。
【0102】
硫酸化に用いられる塩基には、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、燐酸水素二ナトリウム、が挙げられ、好ましくはトリエチルアミンであり、式(IV)で示される化合物に対し0.1〜1当量、好ましくは0.1〜0.3当量の範囲で用いることができる。
【0103】
硫酸化の反応温度は0〜50℃の範囲、好ましくは15〜30℃である。反応時間は12〜48時間の範囲、好ましくは12〜24時間の範囲で実施される。
【0104】
反応完了後、触媒等の不溶物をろ過、溶媒濃縮した濃縮液を、燐酸二水素ナトリウム水溶液に投入し、次いで水溶液に1〜3モル当量の硫酸水素テトラブチルアンモニウムを加え、酢酸エチル等の有機溶媒により抽出、溶媒濃縮することにより式(VI)で示される化合物を得ることができる。得られた式(VI)で示される化合物は、単離精製することなく濃縮溶液として次工程に用いることができる。
【0105】
下記式(VI):
【化39】

で示される化合物を上記式(VII−CR)で示される化合物とする工程は以下のように実施される。
【0106】
O−NHC(=O)−基中に場合により含まれる保護基、特にtert−ブトキシカルボニル(Boc)基を脱保護する工程で用いられる溶媒には酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、2,2,2−トリフルオロエタノールなどが挙げられ、好ましくはジクロロメタンまたは酢酸エチルで、単一、または混合して用いられる。用いられる溶媒量は式(VI)で示される化合物の正味量に対して2〜10vol/wtの範囲で用いられ、好ましくは2〜6vol/wtである。
【0107】
脱保護で用いられる酸には、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、テトラフルオロホウ酸などが挙げられ、好ましくはトリフルオロ酢酸である。酸は式(VI)で示される化合物の正味量に対し2〜10vol/wtの範囲で用いられ、好ましくは2〜6vol/wtである。酸の添加は−50〜0℃の範囲で実施され、好ましくは−20〜0℃の範囲である。反応温度は−5〜20℃の範囲、好ましくは−5〜5℃である。反応時間は0.5〜5時間の範囲、好ましくは0.5〜3時間の範囲で実施される。
【0108】
脱保護完了後、反応液を冷却し貧溶媒を加えて式(VII−CR)で示される化合物とする工程は以下のように実施される。用いられる貧溶媒は、エーテル系貧溶媒またはエステル系貧溶媒が挙げられ、好ましくはエステル系貧溶媒、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどが挙げられ、さらに好ましくは酢酸エチルである。用いられる量は、反応液量に対して1〜3倍量、好ましくは1.5〜2倍量用いられる。貧溶媒は、予め−5〜5℃に冷却し、分割あるいは滴下により反応液に加えられる。貧溶媒の添加完了後、さらに撹拌する。沈殿をろ取し、必要に応じて数回懸濁洗浄を行い、得られた湿状固体を真空乾燥に付し、品温が室温となるまで10時間以上乾燥して式(VII−CR)で示される化合物を得ることができる。
【0109】
下記式(VII−CR):
【化40】

で示される化合物を上記式(VII)で示される化合物とする工程は以下のように実施される。
【0110】
上記式(VII−CR)で示される化合物のpH調整に用いられる緩衝液としてはpH6.5の燐酸緩衝液が好ましい。濃度は、上記式(VII−CR)で示される化合物中に残存するトリフルオロ酢酸の量により変動するが、0.1〜0.5Mの範囲で選択され、好ましくは0.2Mである。全体使用量は(VII−CR)で示される化合物で示される化合物の正味量に対し、10〜50vol/wtの範囲で用いられる。
【0111】
pHの調整は予め5〜7vol/wtの燐酸緩衝液を0〜10℃に冷却し、式(VII−CR)で示される化合物と冷却した燐酸緩衝液をpH4〜5.5、好ましくはpH4.2〜4.8の間になるように交互に少しずつ添加溶解、最終的にpH4.6に調整、次いで全体量が式(VII−CR)で示される化合物の力価に対して25vol/wtを下回る場合は25vol/wtまで水を加えて希釈し、液温15℃以下で20vol/wtまで減圧濃縮する。さらに水溶液のpHを0.2M燐酸水素二ナトリウム水溶液にてpH5.4とし、水で希釈して36vol/wtの水溶液とすることで実施される。
【0112】
上記pH調整後の水溶液の脱塩は必要に応じて合成吸着剤を用いたカラム精製により実施される。合成吸着剤は三菱化成ダイヤイオンHP−20またはセパビーズSP−207などが用いられ、好ましくはセパビーズSP−207である。合成吸着剤量は式(VII−CR)で示される化合物の力価に対して55〜65vol/wtの範囲で用いられる。上記、水溶液を合成吸着剤に吸着し、水65〜70vol/wtにて脱塩、10%イソプロパノール150〜200vol/wtにて溶出することで実施される。活性フラクションは20〜25vol/wtの範囲に収まる。得られた活性フラクションを液温20℃以下で5〜7vol/wtまで減圧濃縮した濃縮液を用いて結晶化を実施する。
【0113】
結晶多形は、溶媒和または無水であっても良い(例えば無水物、一水和物、二水和物)。式(VII−1)で示される化合物の結晶多形には、I、II、III、及びIV形結晶が存在する。IとIII形結晶は、0〜35℃、好ましくは20〜25℃の室温で、より好ましくは種結晶の接種により結晶化し、II形結晶は15℃以下の冷却と貧溶媒添加による過飽和条件で種結晶無しで結晶化することができる。IV形結晶は、式(VII−1)で示される化合物の溶解性の良いアルコール系溶媒、例えばメタノールを貧溶媒として室温で結晶化させるか、I〜III形結晶をアルコール溶媒中で脱水条件下に再結晶することにより得られる。
I、II、及びIII形結晶は、DSC、含水イソプロパノールへの溶解度、粉末X線回析図形の面間隔パターンで区別される。含水イソプロパノールへの溶解度はI形結晶が最も低く、IIとIII形結晶は同程度である。
【0114】
上記式(VII)で示される化合物の結晶化は以下のように実施される。初期薬液量は最も溶解度の低い結晶形が十分溶解し得る濃度に調整する。式(VII−1)で示される化合物では10〜30%、好ましくは10〜20%の範囲である。接種が好ましい結晶形は事前に種結晶を用意する。I形結晶の種結晶は室温にて取得され、III形結晶の種結晶は15〜25%の範囲の濃度にて継代結晶化を繰り返すことで混入無く得ることができる。種結晶の量は0.01〜20%、好ましくは0.01〜2%用いられる。
【0115】
用いられる貧溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランが挙げられるが、好ましくはアルコール系貧溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールが挙げられる。貧溶媒の量は単離ロスが1%以下となるように溶解度から調整する。式(VII−1)で示される化合物では初期薬液量に対して1〜10倍量、好ましくは6〜7倍量用いられる。貧溶媒を添加するタイミングは、I形結晶は接種後の混合物がスラリー状態になってから、IIとIII形結晶は接種後直ちに、IV形結晶は未接種で滴下するものである。
IV形結晶に関しては、水溶液とせずにI,II、またはIII形結晶をメタノール、エタノール、またはイソプロパノール中で懸濁撹拌することにより得ることもできる。
【0116】
薬液の温度調節は所望の結晶多形をコントロールするうえで重要な因子であり、設定温度における結晶多形の析出速度を参考に決定する。式(VII−1)で示される化合物では、I、III、IV形結晶が20〜25℃の範囲で、II形結晶は15℃以下に管理する。また、水溶液からではなくI、II、またはIII形結晶を溶媒中で懸濁撹拌するIV形結晶の場合は、I、II、またはIII形結晶の溶媒への溶解度に併せ20〜100℃の範囲で、好ましくは20〜65℃の範囲で管理する。
撹拌時間は析出速度に依存するが、1〜24時間、好ましくは1〜15時間撹拌する。
析出した結晶は通常の濾過、洗浄、通気乾燥または真空乾燥することで、結晶形態の式(VII)で示される化合物を得ることができる。溶媒和した結晶の場合は、品温、乾燥減量、加湿限定真空乾燥、加湿通気乾燥等の管理手段により過乾燥を回避する。
【実施例】
【0117】
以下に本発明を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、種々の変更例が可能である。
【0118】
参考例1
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)ピペリジン−2−カルボキシレート の二塩酸塩
工程1
メチル (2S,5S)−5−ヒドロキシピペリジン−2−カルボキシレート
2M 塩化水素−メタノール溶液(12.8L)に市販の(2S,5S)−5−ヒドロキシピペリジン−2−カルボン酸(プレラベルHPLC含量84%、正味912.22g、洗い込み2M 塩化水素−メタノール 3.1L)を加え、3時間還流した(内温63〜67℃)。反応液を冷却後、1,4−ジオキサン(12.8L)を加えて溶媒を減圧留去した。残渣(4.1kg)に酢酸エチル(18.3L)と氷冷44%炭酸カリウム水溶液(23.7L)を加えて有機層を分層し、水層をさらに酢酸エチル(3x18.3L)で抽出した。50%炭酸カリウム水溶液(7.3L)を各々の有機層にて分液、有機層を併せて無水炭酸カリウム(2.37kg)で乾燥、ろ過、溶媒を減圧留去した。残渣をトルエン(9.1L)に溶解し、活性炭9.2gを加えて30分間攪拌、ろ過、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル(9.1L)にて置換濃縮して淡黄色油状の標題化合物1130gを得た(プレラベルHPLC含量78.9%、正味891.57g、収率89%)。
【0119】
工程2
メチル (2S,5S)−5−ヒドロキシ−1−(2,2,2−トリフルオロアセチル)ピペリジン−2−カルボキシレート
メチル (2S,5S)−5−ヒドロキシピペリジン−2−カルボキシレート(プレラベルHPLC含量78.8%、正味459.48g)の脱水酢酸エチル溶液(7.4L)を−40℃に冷却し、トリエチルアミン(1300g)を加え、次いでトリフルオロ酢酸無水物(1349g、洗い込み脱水酢酸エチル100mL)を−40〜−12℃にて30分間で滴下した。滴下終了後15分で−2℃に昇温し75分間撹拌、更に混合物に水(1277mL)を加え25℃にて1時間攪拌した。混合物を水(8.4L)に投入(酢酸エチル4.5Lで洗い込み)、更に酢酸エチル(2x9.8L)にて抽出、合併有機層を1M 塩酸(8.5L)、飽和重曹水(8.5L)、飽和食塩水(8.5L)にて順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム(1.8kg)で乾燥、濾過した。有機層の溶媒を減圧留去した後、残渣に酢酸エチル(3.6L)を加えて置換濃縮し、残渣を真空乾燥し標題化合物793.4gを得た(HPLC含量81.5%、正味648.66g、収率88%)。
【0120】
工程3
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)−1−(2,2,2−トリフルオロアセチル)ピペリジン−2−カルボキシレート
メチル (2S,5S)−5−ヒドロキシ−1−(2,2,2−トリフルオロアセチル)ピペリジン−2−カルボキシレート(HPLC含量81.5%、正味556.23g)の脱水アセトニトリル溶液4.0Lを−40℃に冷却し、2,6−ルチジン(259.24g)を加え(アセトニトリル 100mLで洗浄)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(645.72g)を−43〜−37℃にて1時間10分かけて滴下した(アセトニトリル 100mLで洗浄)。反応液を−35℃にて50分攪拌後、ベンジルオキシアミン(550.27g)を−35℃以下で滴下し、アセトニトリル(500mL)で洗い込んだ。反応液を徐々に−5℃まで上昇させた後、2,6−ルチジン(259.24g)を加えて、5℃で40時間攪拌した。混合物を1.8Lまで濃縮後、酢酸エチル(12.4L)で希釈し、水(12.4L)、10%クエン酸水溶液(4x8L+4.7L)、飽和重曹水(6.3L)、飽和食塩水(7.2L)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮した。残渣を真空乾燥し、標題化合物867.73gを得た(HPLC含量71.56%、収率79%)。
【0121】
工程4
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)−1−(2,2,2−トリフルオロアセチル)ピペリジン−2−カルボキシレート 塩酸塩
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)−1−(2,2,2−トリフルオロアセチル)ピペリジン−2−カルボキシレート(HPLC含量70.13%,正味673.20g)を酢酸エチル(4.8L)で希釈、活性炭48gを投入し、1時間撹拌、混合物を濾過し酢酸エチル2Lにて洗浄した。濾液を酢酸エチル4.7Lで希釈、室温で1M 塩化水素−酢酸エチル溶液(2.7L)を添加して15分撹拌、次いでヘキサン28.6Lを投入し、0℃に冷却した。3時間撹拌した後、結晶を濾過し、ヘキサン/酢酸エチル=4/1(3L)にて洗浄後、真空乾燥して標題化合物724.0gを得た(HPLC含量91.72%、収率90%)。
【0122】
工程5
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)ピペリジン−2−カルボキシレート の二塩酸塩
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)−1−(2,2,2−トリフルオロアセチル)ピペリジン−2−カルボキシレート 塩酸塩(HPLC含量92.01%、正味732.25g)を2M 塩化水素−メタノール溶液(15L)に溶解、27時間加熱還流した。混合物を室温まで冷却、3Lまで減圧濃縮した。混合物をメタノール2.7Lで希釈し、次いで酢酸エチル16.3Lを加え1時間撹拌した。析出した結晶を濾過し、酢酸エチル(3x1.1L)にて洗浄、真空乾燥して標題化合物572.0gを得た(HPLC含量98.06%、収率92%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.40-1.51 (m, 1H), 1.61-1.72 (m, 1H), 1.90-1.94 (m, 1H), 2.25-2.30 (m, 1H), 2.80 (t, J = 11.2 Hz, 1H), 3.19-3.27 (m, 1H), 3.51-3.55 (m, 1H), 3.66 (s, 3H), 3.87-3.91 (m, 1H), 4.68 (s, 2H), 7.27 (s, 5H); MS m/z 265 [M-2HCl+H]+.
【0123】
参考例2
(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸
工程1
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)ピペリジン−2−カルボキシレート
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)ピペリジン−2−カルボキシレート, 二塩酸塩(参考例1、1.319g)に酢酸エチル(20mL)、50%炭酸カリウム水溶液(20mL)を加えて分液し、水層を酢酸エチル(15mL)にて3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮、終夜真空乾燥し、標題化合物を975mg得た(収率94%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.25-1.35 (m, 1H), 1.49-1.59 (m, 1H), 1.89-2.11 (m, 2H), 2.45 (t, J = 11.7 Hz, 1H), 2.96-3.03 (m, 1H), 3.28-3.39 (m, 2H), 3.72 (s, 3H), 4.68 (s, 2H), 7.26-7.35 (m, 5H); MS m/z 265 [M+H]+.
【0124】
工程2
メチル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)ピペリジン−2−カルボキシレート(1.154g、4.37mmol)に脱水アセトニトリル(198mL)を加え、氷冷した。5℃以下でトリエチルアミン(1.60mL)、ジホスゲン(0.389mL)を順次滴下し、2℃で20分攪拌した。次いで、反応液に4−ジメチルアミノピリジン(70.0mg)を加え、室温にて10時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、酢酸エチルによる置換濃縮を3回行った後、溶液を30mLまで濃縮した。ここに酢酸エチル(20mL)、水(40mL)を加え、分液し、分離した水層を酢酸エチル(30mL)にて2回抽出した。併せた有機層を5%クエン酸水溶液(40mL)、6.5% 重曹水(30mL)、5%食塩水(30mL)で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣1.16gを酢酸エチル(5.5mL)で希釈し、n−ヘキサン(11mL)を加え、種晶を接種し結晶化させた。更にn−ヘキサン(49mL)を加え、0℃にて1時間攪拌後、結晶を濾過し、n−ヘキサン(60mL)にて洗浄後、真空乾燥し無色結晶性粉末の標題化合物を882.3mg得た(収率71%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.65-1.70 (m, 1H), 2.03-2.12 (m, 3H), 2.90 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.07 (m, 1H), 3.32 (m, 1H), 4.12 (dd, J = 4.6&4.4 Hz, 1H), 4.91 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.35-7.44 (m, 5H); MS m/z 291 [M+H]+.
【0125】
工程3
(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸
メチル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(809.0mg、2.79mmol)にテトラヒドロフラン(8mL)、水(3.6mL)を加え、0.5M 水酸化リチウム水溶液(6.41mL)を4.9℃以下で10分かけて滴下した。反応液を2℃で2時間攪拌後、水(30mL)を加え、酢酸エチル(25mL)にて洗浄した。分離した水層に酢酸エチル(15mL)を加え、1M 塩酸水溶液にて水層をpH4.0に調整し、酢酸エチルで2回抽出した(酢酸エチル:トータル65mL)。分離した水層を1M 塩酸水溶液でpH3.4に調整し、酢酸エチルで1回抽出後、水層をpH2.4に調整し、酢酸エチル抽出を2回行った。計5回の酢酸エチル抽出液(175mL)を飽和食塩水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣759.1mgを酢酸エチル(5mL)で希釈し、n−ヘキサン(3mL)を加え、種晶を接種し結晶化させた。更に酢酸エチル/n−ヘキサン(5/3)溶液(8mL)を加えて攪拌後、n−ヘキサン(20mL)を加え、4℃で14時間攪拌した。結晶を濾過し、n−ヘキサン(55mL)にて洗浄後、真空乾燥し無色結晶性粉末の標題化合物を633.6mg得た(収率82%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.67 (m, 1H), 2.04-2.26 (m, 3H), 2.85 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.13 (m, 1H), 3.35 (m, 1H), 4.12 (m, 1H), 4.91 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 7.37-7.44 (m, 5H); MS m/z 277 [M+H]+.
【0126】
参考例3
2,5−ジオキソピロリジン−1−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート
【化41】

工程1
(2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボン酸
メチル (2S,5R)−5−(ベンジルオキシアミノ)ピペリジン−2−カルボキシレート, 二塩酸塩(参考例1、65.4g、200mmol)を水(400mL)、1,4−ジオキサン(270mL)に溶解し、氷冷して5M 水酸化ナトリウム水溶液(132mL)を加えて1時間撹拌した。反応液に5M 塩酸(12mL)、炭酸カリウム(27.6g)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(48g)を加え、室温に昇温し終夜攪拌した。反応液を濃縮した水溶液を酢酸エチルで洗浄し、クエン酸・一水和物にてpH3.3に調整、酢酸エチル(500mL)で2回抽出、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過、溶媒を減圧濃縮、さらに酢酸エチルで置換濃縮し、標題化合物68.7gを得た(定量的)。本化合物は精製することなく次工程に用いられた。一部を酢酸エチル/ヘキサンより結晶化しその構造を確認した。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.46 (s, 9H), 1.50-1.72 (m, 2H), 1.98-2.10 (m, 2H), 3.12-3.19 (m, 2H), 4.13-4.20 (m, 1H), 4.76 (d, J = 11.5 Hz), 4.70 (d, J = 11.5 Hz), 4.85-4.92 (m, 1H), 7.26-7.35 (m, 5H); MS m/z 351 [M+H]+.
【0127】
工程2
2,5−ジオキソピロリジン−1−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート
(2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボン酸(参考例3の工程1、700mg、2mmol)を脱水テトラヒドロフラン(10mL)に溶解し、−20℃に冷却した。混合物にクロロギ酸イソブチル(300mg)とトリエチルアミン(444mg)を順次滴下し15分間撹拌した。反応液に1−ヒドロキシピロリジン−2,5−ジオン(253mg)を加え30分間撹拌し、室温でさらに30分間撹拌した。反応液を酢酸エチル(35mL)で希釈し、10%クエン酸(10mL)、飽和重曹水(10mL)、飽和食塩水(10mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、溶媒を減圧留去して残渣985mgを得た。本残渣全量を脱水クロロホルム(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(303mg)を加えて氷冷した。混合物にトリホスゲン(237mg)を加え30分間撹拌し、メタノール(0.1mL)を加えて30分間撹拌した。次いでメタンスルホン酸(1.3mL)のジクロロメタン(4.0mL)溶液を滴下しさらに30分間撹拌した。混合物を氷冷1M 炭酸水素カリウム水溶液(2.4g/20mL)に滴下し30分間撹拌、クロロホルム(10mL)を加えて分層、有機層を1M 塩酸(10mL)、飽和重曹水(10mL)、飽和食塩水(10mL)で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣に接種し、固体にヘキサン/酢酸エチル(1/2、3mL)を加え撹拌し、濾過、ヘキサン/酢酸エチル(1/1、3mL)、ヘキサン(3mL)で順次洗浄し、結晶の標題化合物556mgを得た(収率75%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.70-1.77 (m, 1H), 2.04-2.27 (m, 3H), 2.80-2.90 (m, 4H), 3.09-3.19 (m, 2H), 3.35 (br.s., 1H), 4.48 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.92 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 5.07 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 7.35-7.45 (m, 5H); MS m/z 374 [M+H]+.
【0128】
参考例4
(1R,2S,6R,7S)−3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート
【化42】

(2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボン酸(参考例3の工程1、14.0g、41.09mmol)を脱水テトラヒドロフラン(200mL)に溶解し、−20℃付近に冷却した。混合物にクロロギ酸イソブチル(6.11g)、次いでトリエチルアミン(8.86g)を滴下し同温で15分間撹拌した。次に反応液に(1R,2S,6R,7S)−4−ヒドロキシ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−3,5−ジオン(7.87g)を加え同温で30分間、さらに室温で30分間撹拌した。反応液を酢酸エチル(700mL)で希釈し、氷冷10%クエン酸(200mL)、飽和重曹水(200mL)、飽和食塩水(200mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。溶媒を減圧留去し再度酢酸エチルにて置換濃縮して得られた残渣25.1g(正味収率92%)全量を脱水クロロホルム(180mL)に溶解し、トリエチルアミン(5.5g)を加えて氷冷した。混合物にトリホスゲン(4.29g)を加え30分間撹拌し、次いでメタノール(1mL)を加えて30分間撹拌した。反応液にメタンスルホン酸(23.5mL)のジクロロメタン(30mL)溶液を滴下し更に30分間撹拌した。混合物を氷冷1M 炭酸水素カリウム水溶液(43.5g/200mL)に滴下し30分間撹拌、クロロホルム(100mL)を加えて分層、有機層を1M 塩酸(200mL)、飽和重曹水(200mL)、飽和食塩水(200mL)で順次洗浄した。各水層はクロロホルム(100mL)で順次逆抽出した。有機層を併せて無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。溶媒を減圧濃縮して得られた残渣をクロロホルム(70mL)に溶解しヘキサン(100mL)を加えて30分間撹拌晶析、更にヘキサン(100mL)を加えて1時間撹拌した。結晶をろ取乾燥して、標題化合物15.4gを得た(含量100%、収率88%)。
HPLC:COSMOSIL 5C18 MS-II 4.6X150mm, 35℃, 0.02M TFA/CH3CN=50/50, 1.0mL/min, UV210nm, RT 7.1min; 鏡像異性体過剰率99.9%ee以上: CHIRALPAK AD-H、4.6x150mm、40℃, Hexane/EtOH=1/1、UV210nm、1mL/min、RT 37.3min (cf. enantiomer 16.5min); Mp 196℃; [α]26D+12.686 (c 0.885, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.52 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 1.70 (m, 1H), 1.78 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 2.01-2.26 (m, 3H), 3.04-3.17 (m, 2H), 3.32 (m, 3H), 3.45 (br.s., 2H), 4.41 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 4.91 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 6.19 (br.s., 2H), 7.33-7.46 (m, 5H); MS m/z 438 [M+H]+.
【0129】
参考例5
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)
【化43】

工程1
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (IV−1)
(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(4.30g、15.56mmol)の脱水酢酸エチル(47mL)溶液を−30℃に冷却し、クロロギ酸イソブチル(2.17g、洗い込み脱水酢酸エチル1mL)、トリエチルアミン(1.61g、洗い込み脱水酢酸エチル1mL)、を順次滴下し、−30℃にて1時間撹拌した。反応液にtert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメート(3.21g)の脱水酢酸エチル(4mL)溶液を加え(洗い込み脱水酢酸エチル1mL)、0℃まで1.5時間かけて昇温、さらに終夜撹拌した。混合物を8% クエン酸水溶液(56mL)、飽和重曹水(40mL)、飽和食塩水(40mL)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過、5mLまで濃縮、さらにエタノール(10mL)で6mLまで置換濃縮した。得られた溶液にエタノール(3mL)、へキサン(8mL)を加え氷冷、接種し15分間撹拌した。混合物にヘキサン(75mL)を2時間かけて滴下し終夜撹拌した。析出結晶をろ取、ヘキサンで洗浄、真空乾燥して標題化合物5.49gを得た(正味4.98g、収率74%)。
HPLC:COSMOSIL 5C18 MS-II 4.6X150mm, 33.3mM phosphate buffer/MeCN = 50/50, 1.0mL/min, UV210nm, RT 4.4 min; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.44 (s, 9H), 1.56-1.70 (m, 1H), 1.90-2.09 (m, 2H), 2.25-2.38 (m, 1H), 2.76 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.03 (br.d., J = 11.6 Hz, 1H), 3.24-3.47 (m, 3H), 3.84-4.01 (m, 3H), 4.90 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.44 (br.s., 1H), 7.34-7.48 (m, 5H), 9.37 (br.s., 1H); MS m/z 435 [M+H]+.
【0130】
工程2
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (V−1)
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート(3.91g、9.01mmol)のメタノール溶液(80mL)に、10%パラジウム炭素触媒(50%含水、803mg)を加え、水素雰囲気下、45分間撹拌した。反応液をセライト濾過し、減圧濃縮後、標題化合物を3.11g得た(定量的)。
HPLC:COSMOSIL 5C18 MS-II 4.6X150mm, 33.3mM phosphate buffer/MeCN =75/25, 1.0mL/min, UV210nm, RT 3.9 min; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.44 (s, 9H), 1.73-1.83 (m, 1H), 1.86-1.99 (m, 1H), 2.01-2.12 (m, 1H), 2.22 (br.dd., J = 15.0, 7.0 Hz, 1H), 3.03 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.12 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.25-3.35 (m, 2H), 3.68-3.71 (m, 1H), 3.82-3.91 (m, 3H); MS m/z 345 [M+H]+.
【0131】
工程3
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (VI−1)
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート(3.09g、8.97mmol)のジクロロメタン(80mL)溶液に、2,6−ルチジン(3.20mL)、三酸化イオウ−ピリジン錯体(3.58g)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液を半飽和重曹水にあけ、水層をクロロホルムにて洗浄後、水層に硫酸水素テトラブチルアンモニウム(3.47g)とクロロホルム(30mL)を加え、10分間撹拌した。水層をクロロホルムで抽出後、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過後、減圧濃縮し標題化合物5.46gを得た(収率91%)。
HPLC:COSMOSIL 5C18 MS-II 4.6X150mm, 33.3mM phosphate buffer/MeCN = 80/20, 1.0mL/min, UV210nm, RT 2.0 min; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 12H), 1.37-1.54 (m, 8H), 1.45 (s, 9H), 1.57-1.80 (m, 9H), 1.85-1.98 (m, 1H), 2.14-2.24 (m, 1H), 2.30-2.39 (m, 1H), 2.83 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.20-3.50 (m, 11H), 3.85-3.99 (m, 3H), 4.33-4.38 (m, 1H), 5.51 (br s, 1H), 9.44 (br.s., 1H); MS m/z 425 [M-Bu4N+2H]+.
【0132】
工程4
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート(5.20g、7.82mmol)のジクロロメタン(25mL)溶液に、氷冷下トリフルオロ酢酸(25mL)を加え、0℃にて1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をジエチルエーテルにて洗浄後、重曹水にてpH7に調整し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製(水)を行い、凍結乾燥後、標題化合物を1.44g得た(収率57%)。
HPLC:COSMOSIL 5C18 MS-II 4.6X150mm, 33.3mM phosphate buffer/MeCN = 99/1, 1.0mL/min, UV210nm, RT 3.1 min; 1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.66-1.76 (m, 1H), 1.76-1.88 (m, 1H), 1.91-2.00 (m, 1H), 2.00-2.08 (m, 1H), 3.02(d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.15 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 3.18 (br d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 7.8, 2.2 Hz,1H), 4.04 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 4.07 (dd, J = 6.4&3.2 Hz, 1H); MS m/z 325 [M+H]+.
【0133】
参考例6
(2S,5R)−N−[2−(メチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−2)
【化44】

工程1
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(メチル)カーバメート (IV−2)
参考例5と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(390mg、1.41mmol)とtert−ブチル (2−(アミノオキシ)エチル)(メチル)カーバメート(436mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物347.8mgを得た(収率55%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.46 (s, 9H), 1.58-1.70 (m, 1H), 1.88-2.07 (m, 2H), 2.25-2.36 (m, 1H), 2.70-3.08 (m, 2H), 2.88 (s, 3H), 3.23-3.41 (m, 2H), 3.51-3.68 (m, 1H), 3.83-4.10 (m, 3H), 4.90 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 7.32-7.47 (m, 5H), 10.11 (br s, 1H); MS m/z 449 [M+H]+.
【0134】
工程2
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(メチル)カーバメート (V−2)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物全量より標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.46 (s, 9H), 1.73-1.83 (m, 1H), 1.86-2.00 (m, 1H), 2.01-2.13 (m, 1H), 2.14-2.28 (m, 1H), 2.93 (s, 3H), 3.04 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 3.08-3.18 (m, 1H), 3.43-3.55 (m, 2H), 3.65-3.72 (m, 1H), 3.79-3.88 (m, 1H), 3.92-4.05 (m, 2H); MS m/z 359 [M+H]+.
【0135】
工程3
(2S,5R)−N−[2−(メチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−2)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(メチル)カーバメートを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (t, J = 7.2 Hz, 12H), 1.36-1.53 (m, 8H), 1.47 (s, 9H), 1.57-1.77 (m, 9H), 1.83-1.98(m, 1H), 2.13-2.25 (m, 1H), 2.28-2.40 (m, 1H), 2.82-2.96 (m, 4H), 3.22-3.42 (m, 11H), 3.60-4.08 (m, 3H), 4.34 (br.s., 1H), 10.15 (br.s., 1H); MS m/z 437 [M-Bu4N]-.
【0136】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物149.4mgを得た(3工程収率57%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 1.73-1.97 (m, 2H), 1.98-2.07 (m, 1H), 2.08-2.18 (m, 1H), 2.74 (s, 3H), 3.09 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.21-3.32 (m, 3H), 4.04 (dd, J = 7.5, 2.0 Hz, 1H), 4.10-4.23 (m, 3H); MS m/z 337 [M-H]-.
【0137】
参考例7
(2S,5R)−7−オキソ−N−[2−(プロパン−2−イルアミノ)エトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−3)
【化45】

工程1
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(プロパン−2−イル)カーバメート (IV−3)
(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(414mg、1.50mmol)の脱水ジクロロメタン(14.1mL)溶液をアルゴン雰囲気下0℃に冷却し、クロロギ酸イソブチル(245.9mg)、次いでトリエチルアミン(197mg)を順次加え30分攪拌した。この反応混合物にtert−ブチル (2−(アミノオキシ)エチル)(イソプロピル)カーバメート(596mg)を滴下し、投入終了後に室温へと昇温し一時間攪拌した。この反応混合物を0.5M 塩酸、飽和食塩水で順次洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−に付し、標題化合物578.4mgを得た(収率81%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.15 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.46 (s, 9H), 1.55-1.70 (m, 1H), 1.89-2.07 (m, 2H), 2.25-2.37 (m, 1H), 2.73-2.90 (m, 1H), 2.98-3.08 (m, 1H), 3.22-3.38 (m, 2H), 3.40-3.60 (m, 1H), 3.83-4.06 (m, 4H), 4.90 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.35-7.46 (m, 5H), 10.29 (br.s., 1H); MS m/z 477 [M+H]+.
【0138】
工程2
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(プロパン−2−イル)カーバメート (V−3)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物全量より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.09-1.23 (m, 6H), 1.46 (s, 9H), 1.73-2.27 (m, 4H), 3.06 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.08-3.50 (m, 4H), 3.64-3.73 (m, 1H), 3.79-3.98 (m, 3H); MS m/z 387 [M+H]+.
【0139】
工程3
(2S,5R)−7−オキソ−N−[2−(プロパン−2−イルアミノ)エトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−3)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(プロパン−2−イル)カーバメートを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (d, J = 7.4 Hz, 12H), 1.10-1.20 (m, 6H), 1.33-1.77 (m, 17H), 1.46 (s, 9H), 1.84-1.97 (m, 1H), 2.12-2.25 (m, 1H), 2.28-2.40 (m, 1H), 2.79-2.95 (m, 1H), 3.17-3.45 (m, 9H), 3.50-3.67 (m, 1H), 3.80-4.07 (m, 5H), 4.34 (br.s., 1H), 10.36 (br.s., 1H); MS m/z 465 [M-Bu4N]-.
【0140】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物252.1mgを得た(3工程収率57%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 1.28 (d, J = 6.5 Hz, 6H),1.74-1.83 (m, 1H), 1.85-1.96 (m, 1H), 1.98-2.14 (m, 2H), 3.11 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 3.22-3.30 (m, 3H), 3.40 (quint, J = 6.5 Hz, 1H), 4.01 (br d, J = 5.5 Hz, 1H), 4.09-4.18 (m, 3H); MS m/z 367 [M+H]+.
【0141】
参考例8
(2S,5R)−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−4)
【化46】

工程1
(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (IV−4)
(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(553mg、2.00mmol)の脱水ジクロロメタン(10mL)溶液をアルゴン雰囲気下0℃に冷却し、クロロギ酸イソブチル(289μL、2.20mmol)を滴下した。次いで、トリエチルアミン(293μL)を加え30分攪拌することで、反応系内に混合酸無水物を調製した。この反応混合物に2−(アミノオキシ)−N,N−ジメチルエタナミン 2塩酸塩(591mg)とトリエチルアミン(930μL)を脱水ジクロロメタン(7.0mL)で洗いこみながらゆっくりと加え、そのままの温度で一時間攪拌した。この反応混合物を濾過後、残渣をメタノールで洗浄し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンと水に溶解し、ジクロロメタンで抽出した有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(アミノシリカ、クロロホルム/メタノール=10/1)に付し,無色油状の標題化合物291.1mgを得た。(収率40%)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.45-1.85 (m, 4H), 2.29 (s, 6H), 2.60 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.81 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.97 (br.d., J = 11.6 Hz, 1H), 3.28-3.34 (m, 1H), 3.92-4.07 (m, 3H), 4.90 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 7.35-7.48 (m, 5H); MS m/z 363 [M+H]+.
【0142】
工程2
(2S,5R)−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (V−4)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物全量より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.74-1.84 (m, 1H), 1.87-1.98 (m, 1H), 2.03-2.12 (m, 1H), 2.15-2.24 (m, 1H), 2.36 (s, 6H), 2.67-2.74 (m, 2H), 3.07 (br.d., J = 11.6 Hz, 1H), 3.12 (br.d., J = 11.6 Hz, 1H), 3.67-3.72 (m, 1H), 3.83 (br.d., J = 6.4 Hz, 1H), 3.96-4.06 (m, 2H); MS m/z 273 [M+H]+.
【0143】
工程3
(2S,5R)−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−4)
参考例5と同様の手法にて得られた反応混合物をクロロホルムで希釈、水洗してピリジニウム (2S,5R)−N−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミドを得、飽和重曹水にて中和した後にオクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物130.7mgを得た(2工程収率43%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.68-1.84 (m, 2H), 1.86-2.04 (m, 2H), 2.80 (s, 6H), 3.09-3.17 (m, 2H), 3.17-3.29 (m, 2H), 3.80-3.90 (m, 1H), 4.02-4.13 (m, 3H); MS m/z 353 [M+H]+.
【0144】
参考例9
(2S,5R)−N−{[(2S)−2−アミノプロピル]オキシ}−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−5)
【化47】

工程1
tert−ブチル {(2S)−1−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート (IV−5)
参考例7と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(414mg、1.50mmol)と、(S)−tert−ブチル (1−(アミノオキシ)プロパン−2−イル)カーバメート(550mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物585.6mgを得た(収率87%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.17 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.44 (s, 9H), 1.55-1.70 (m, 1H), 1.90-2.10 (m, 2H), 2.26-2.34 (m, 1H), 2.80 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.06 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.27-3.34 (m, 1H), 3.64-3.74 (m, 1H), 3.86-3.98 (m, 3H), 4.81 (br.d., J = 7.6 Hz, 1H), 4.90 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 7.34-7.45 (m, 5H), 9.68 (br.s., 1H); MS m/z 449 [M+H]+.
【0145】
工程2
tert−ブチル {(2S)−1−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート (V−5)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物全量より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.16 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.44 (s, 9H), 1.74-1.84 (m, 1H), 1.86-1.98 (m, 1H), 2.03-2.12 (m, 1H), 2.21 (br.dd., J = 15.2, 6.8 Hz, 1H), 3.06 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.14 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.68-3.72 (m, 1H), 3.74-3.87 (m, 4H); MS m/z 359 [M+H]+.
【0146】
工程3
(2S,5R)−N−{[(2S)−2−アミノプロピル]オキシ}−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−5)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {(2S)−1−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメートを得た(定量的)。MS m/z 437[M−BuN]
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物117.1mgを得た(3工程収率26%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.66-1.89 (m, 2H), 1.91-2.08 (m, 2H), 3.02 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.18 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.47-3.58 (m, 1H), 3.82 (dd, J = 11.8, 9.4 Hz, 1H), 3.92-4.02 (m, 2H), 4.05-4.10 (m, 1H); MS m/z 339 [M+H]+.
【0147】
参考例10
(2S,5R)−N−{[(2R)−2−アミノプロピル]オキシ}−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−6)
【化48】

工程1
tert−ブチル {(2R)−1−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート (IV−6)
参考例7と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(414mg、1.50mmol)と(R)−tert−ブチル (1−(アミノオキシ)プロパン−2−イル)カーバメート(569mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物625mgを得た(収率93%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.14 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.43 (s, 9H), 1.53-1.70 (m, 1H), 1.90-2.06 (m, 2H), 2.28-2.36 (m, 1H), 2.79 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.02 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.28-3.33 (m, 1H), 3.56-3.68 (m, 1H), 3.84 (dd, J = 11.2, 3.6 Hz, 1H), 3.92-4.04 (m, 2H), 4.66 (br d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.91 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.35-7.45 (m, 5H), 9.94 (br.s., 1H); MS m/z 449 [M+H]+.
【0148】
工程2
tert−ブチル {(2R)−1−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメート (V−6)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物全量より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.15 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 1.44 (s, 9H), 1.73-1.84 (m, 1H), 1.86-2.00 (m, 1H), 2.01-2.12 (m, 1H), 2.19-2.29 (m, 1H), 3.06 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.10-3.20 (m, 1H), 3.67-3.72 (m, 1H), 3.73-3.92 (m, 4H); MS m/z 359 [M+H]+.
【0149】
工程3
(2S,5R)−N−{[(2R)−2−アミノプロピル]オキシ}−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−6)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {(2R)−1−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロパン−2−イル}カーバメートを得た(定量的)。MS m/z 437[M−BuN]
【0150】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物212.6mgを得た(3工程収率45%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.17 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.66-1.78 (m, 1H), 1.78-1.88 (m, 1H), 1.90-2.06 (m, 2H), 3.02 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.18 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.48-3.58 (m, 1H), 3.83 (dd, J = 11.8, 9.0 Hz, 1H), 3.94 (br.d., J = 7.2 Hz, 1H), 3.98 (dd, J = 11.8, 3.4 Hz, 1H), 4.06-4.10 (m, 1H); MS m/z 339 [M+H]+.
【0151】
参考例11
(2S,5R)−N−(3−アミノプロポキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−7)
【化49】

工程1
tert−ブチル {3−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロピル}カーバメート (IV−7)
参考例5と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(390mg、1.41mmol)とtert−ブチル (3−(アミノオキシ)プロピル)カーバメート(730mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物398.1mgを得た(収率63%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.44 (s, 9H), 1.50-1.67 (m, 1H), 1.75-1.86 (m, 2H), 1.88-2.07 (m, 2H), 2.28-2.37 (m, 2H), 2.77 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.01 (br.d., J = 11.0 Hz, 1H), 3.20-3.38 (m, 3H), 3.89-4.04 (m, 3H), 4.90 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.17 (br.s., 1H), 7.36-7.45 (m, 5H), 9.21 (br.s., 1H); MS m/z 449 [M+H]+.
【0152】
工程2
tert−ブチル {3−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロピル}カーバメート (V−7)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物(392.8mg、876μmol)より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.43 (s, 9H), 1.73-1.99 (m, 4H), 2.01-2.12 (m, 1H), 2.13-2.24 (m, 1H), 3.07 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.09-3.21 (m, 3H), 3.69 (br.s., 1H), 3.80-3.96 (m, 3H); MS m/z 359 [M+H]+.
【0153】
工程3
(2S,5R)−N−(3−アミノプロポキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−7)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {3−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロピル}カーバメートを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 12H), 1.33-1.53 (m, 8H), 1.47 (s, 9H), 1.55-1.96 (m, 12H), 2.14-2.23 (m, 1H), 2.31-2.41 (m, 1H), 2.85 (br.d., J= 11.2 Hz, 1H), 3.15-3.42 (m, 11H), 3.88-4.07 (m, 3H), 4.35 (br.s., 1H), 5.27 (br s, 1H), 9.26 (br.s., 1H); MS m/z 437 [M-Bu4N]-.
【0154】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物138.4mgを得た(3工程収率47%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.67-2.05 (m, 6H), 3.00-3.19 (m, 4H), 3.82-3.94 (m, 3H), 4.05-4.10 (m, 1H); MS m/z 337 [M-H]-.
【0155】
参考例12
(2S,5R)−N−[(2S)−アゼチジン−2−イルメトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−8)
【化50】

工程1
tert−ブチル (2S)−2−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート (IV−8)
参考例8と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(553mg、2.00mmol)と、(S)−tert−ブチル 2−((アミノオキシ)メチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(578mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物760.1mgを得た(収率83%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.46 (s, 9H), 1.56-1.70 (m, 1H), 1.88-2.07 (m, 3H), 2.23-2.34 (m, 2H), 2.84 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.02 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.28 (br s, 1H), 3.77-4.03 (m, 4H), 4.06-4.15 (m, 1H), 4.37-4.48 (m, 1H), 4.89 (d, J =11.6 Hz, 1H), 5.04 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 7.34-7.44 (m, 5H), 10.63 (br.s., 1H); MS m/z 461 [M+H]+.
【0156】
工程2
tert−ブチル (2S)−2−{[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート (V−8)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物(699mg、1.52mmol)より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.44 (s, 9H), 1.74-1.85 (m, 1H), 1.86-1.99 (m, 1H), 2.02-2.14 (m, 1H), 2.16-2.40 (m, 3H), 3.06 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.10-3.17 (m, 1H), 3.67-3.74 (m, 1H), 3.75-3.93 (m, 3H), 4.01 (dd, J = 10.6, 10.6 Hz, 1H), 4.14 (dd, J = 10.6, 10.6 Hz, 1H), 4.37-4.47 (m, 1H); MS m/z 371 [M+H]+.
【0157】
工程3
(2S,5R)−N−[(2S)−アゼチジン−2−イルメトキシ]−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−8)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (2S)−2−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレートを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (t, J = 7.2 Hz, 12H), 1.30-2.10 (m, 19H), 1.46 (s, 9H), 2.12 -2.39 (m, 3H), 2.89 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.23-3.39 (m, 9H), 3.76-3.93 (m, 3H), 3.95-4.06 (m, 1H), 4.08-4.18 (m, 1H), 4.33 (br.s., 1H), 4.37-4.50 (m, 1H); MS m/z 449 [M-Bu4N]-.
【0158】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物172.3mgを得た(3工程収率32%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 1.71-1.83 (m, 1H), 1.84-1.97 (m, 1H), 1.98-2.16 (m, 2H), 2.36-2.49 (m, 1H), 2.50-2.61 (m, 1H), 3.10 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.22-3.30 (m, 1H), 3.92-4.12 (m, 5H), 4.25-4.36 (m, 1H), 4.68-4.77 (m, 1H); MS m/z 351 [M+H]+.
【0159】
参考例13
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−9)
【化51】

工程1
tert−ブチル (2R)−2−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシレート (IV−9)
参考例5と同様の手法にて(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(390mg、1.41mmol)と、(R)−tert−ブチル 2−((アミノオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(796mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物336mgを得た(収率50%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.45 (s, 9H), 1.52-1.72 (m, 1H), 1.80-2.09 (m, 6H), 2.27-2.39 (m, 1H), 2.84 (br.d., J = 12.4 Hz, 1H), 2.96-3.08 (m, 1H), 3.28-3.44 (m, 3H), 3.60-3.86 (m, 2H), 3.89-4.06 (m, 1H), 4.14-4.29 (m, 1H), 4.90 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.32-7.47 (m, 5H), 10.56 (s, 1H); MS m/z 475 [M+H]+.
【0160】
工程2
tert−ブチル (2R)−2−{[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシレート (V−9)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物全量より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.46 (s, 9H), 1.73-2.27 (m, 8H), 3.06 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.09-3.18 (m, 1H), 3.24-3.40 (m, 2H), 3.67-3.71 (m, 1H), 3.73-4.12 (m, 4H); MS m/z 385 [M+H]+.
【0161】
工程3
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(2R)−ピロリジン−2−イルメトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−9)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (2R)−2−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピロリジン−1−カルボキシレートを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (t, J = 7.4 Hz, 12H), 1.34-1.51 (m, 8H), 1.46 (s, 9H), 1.55-1.78 (m, 10H), 1.80-2.01 (m, 4H), 2.11-2.23 (m, 1H), 2.29-2.42 (m, 1H), 2.88 (br.d., J = 11.2 Hz, 1H), 3.21-3.43 (m, 10H), 3.60-3.86 (m, 2H), 3.88-4.07 (m, 2H), 4.16-4.28 (m, 1H), 4.34 (br.s., 1H), 10.62 (br s, 1H); MS m/z 463 [M-Bu4N+2H]+.
【0162】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物77.4mgを得た(3工程収率30%)。
1H NMR (500 MHz, D2O) δ 1.66-2.18 (m, 8H), 3.14 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.23 (br.d., J = 12.8 Hz, 1H), 3.30 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 3.89 (ddd, J = 8.2, 8.2, 3.4 Hz, 1H), 3.92-4.01 (m, 2H), 4.09-4.18 (m, 2H); MS m/z 365 [M+H]+.
【0163】
参考例14
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(3R)−ピペリジン−3−イルメトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−10)
【化52】

工程1
tert−ブチル (3R)−3−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート (IV−10)
参考例8と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(390mg、1.41mmol)と、(R)−tert−ブチル 3−((アミノオキシ)メチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(527mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物333mgを得た(収率48%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.15-2.10 (m, 8H), 1.45 (s, 9H), 2.25-2.40 (m, 1H), 2.70-3.08 (m, 4H), 3.27-3.37 (m, 1H), 3.65-4.00 (m, 5H), 4.90 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.34-7.46 (m, 5H), 9.22 (br.s., 1H); MS m/z 489 [M+H]+.
【0164】
工程2
tert−ブチル (3R)−3−{[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレート (V−10)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物全量より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.24-1.37 (m, 1H), 1.40-1.56 (m, 1H), 1.45 (s, 9H), 1.64-1.73 (m, 1H), 1.75-2.00 (m, 4H), 2.03-2.13 (m, 1H), 2.15-2.26 (m, 1H), 2.65-2.95 (m, 2H), 3.06 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.13 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.67-3.91 (m, 5H), 4.01-4.08 (m, 1H); MS m/z 399 [M+H]+.
【0165】
工程3
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(3R)−ピペリジン−3−イルメトキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−10)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (3R)−2−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}ピペリジン−1−カルボキシレートを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (dd, J = 7.6&6.8 Hz, 12H), 1.11-1.99 (m, 23H), 1.46 (s, 9H), 2.12-2.24 (m, 1H), 2.30-2.42 (m, 1H), 2.67-2.96 (m, 3H), 3.19-3.38 (m, 9H), 3.70-3.99 (m, 5H), 4.35 (br.s., 1H), 9.16 (br.s., 1H); MS m/z 477 [M-Bu4N]-.
【0166】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物106mgを得た(3工程収率41%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.16-1.28 (m, 1H), 1.54-1.88 (m, 5H), 1.92-2.16 (m, 3H), 2.72 (t, J = 12.2 Hz, 1H), 2.81 (ddd, J = 12.8&12.8&3.5 Hz, 1H), 3.02 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.15-3.28 (m, 2H), 3.37-3.44 (m, 1H), 3.70 (dd, J = 10.3&7.6 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 10.3&5.0 Hz, 1H), 3.88-3.94 (m, 1H), 4.06-4.10 (m, 1H); MS m/z 377 [M-H]-.
【0167】
参考例15
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イルオキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−11)
【化53】

工程1
tert−ブチル (3S)−3−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]ピロリジン−1−カルボキシレート (IV−11)
参考例5と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(553mg、2.00mmol)と、(S)−tert−ブチル 3−(アミノオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート(606mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物920.4mgを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.46 (s, 9H), 1.61-1.68 (m, 1H), 1.89-2.09 (m, 3H), 2.15-2.19 (m, 1H), 2.28-2.34 (m, 1H), 2.75 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.95-3.06 (m, 1H), 3.31 (br s, 1H), 3.35-3.68 (m, 4H), 3.97 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.60 (br.d., J= 23.2 Hz, 1H), 4.90 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 7.26-7.43 (m, 5H), 9.08 (br.d., J = 23.2 Hz, 1H); MS m/z 461 [M+H]+.
【0168】
工程2
tert−ブチル (3S)−3−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]ピロリジン−1−カルボキシレート (V−11)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物(869mg、1.89mmol)より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.47 (s, 9H), 1.75-2.12 (m, 4H), 2.13-2.25 (m, 2H), 3.05 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.13 (br.d., J = 12.0 Hz, 1H), 3.25-3.50 (m, 2H), 3.61 (br.d., J = 13.2 Hz, 1H), 3.70 (br.s., 1H), 3.86 (br d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.32-4.38 (m, 1H), 4.54-4.62 (m, 1H); MS m/z 371 [M+H]+.
【0169】
工程3
(2S,5R)−7−オキソ−N−[(3S)−ピロリジン−3−イルオキシ]−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−11)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル (3S)−3−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]ピロリジン−1−カルボキシレートを得た(定量的)。MS m/z 449[M−BuN]
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物170.7mgを得た(3工程収率26%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.71-1.92 (m, 2H), 1.95-2.18 (m, 3H), 2.21-2.30 (m, 1H), 3.07 (d, J = 12.2 Hz, 1H), 3.24 (br.d., J = 12.2 Hz, 1H), 3.31-3.45 (m, 3H), 3.51 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.99 (br.d., J = 6.0 Hz, 1H), 4.10-4.14 (m, 1H), 4.72-4.77 (m, 1H); MS m/z 349 [M-H]-.
【0170】
参考例16
(2S,5R)−N−(アゼチジン−3−イルメトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−12)
【化54】

工程1
tert−ブチル 3−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート (IV−12)
参考例8と同様の手法にて、(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(553mg、2.00mmol)と、tert−ブチル 3−((アミノオキシ)メチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(564mg)より得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、標題化合物699.7mgを得た(収率76%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.43 (s, 9H), 1.54-1.70 (m, 1H), 1.87-2.06 (m, 2H), 2.27-2.35 (m, 1H), 2.75 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.80-2.90 (m, 1H), 3.01 (br.d., J = 11.6 Hz, 1H), 3.32 (br.s., 1H), 3.68-3.76 (m, 2H), 3.94 (br.d., J = 7.6 Hz, 1H), 4.00-4.15 (m, 4H), 4.90 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 5.05 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 7.35-7.44 (m, 5H), 9.08 (br s, 1H); MS m/z 461 [M+H]+.
【0171】
工程2
tert−ブチル 3−{[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート (V−12)
参考例5と同様の手法にて、上記工程1の化合物(642mg、1.39mmol)より、標題化合物を得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 1.43 (s, 9H), 1.74-1.85 (m, 1H), 1.86-1.97 (m, 1H), 2.04-2.13 (m, 1H), 2.16-2.24 (m, 1H), 2.84-2.94 (m, 1H), 3.05 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.13 (br.d., J = 11.6 Hz, 1H), 3.68-3.82 (m, 3H), 3.83 (br.d., J = 6.8 Hz, 1H), 3.97-4.06 (m, 4H); MS m/z 371 [M+H]+.
【0172】
工程3
(2S,5R)−N−(アゼチジン−3−イルメトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−12)
参考例5と同様の手法にて、上記工程2の化合物全量より、テトラブチルアンモニウム tert−ブチル 3−{[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレートを得た(定量的)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.01 (t, J = 7.2 Hz, 12H), 1.37-1.51 (m, 8H), 1.46 (s, 9H), 1.54-1.75 (m, 9H), 1.82-1.97 (m, 1H), 2.13-2.25 (m, 1H), 2.29-2.40 (m, 1H), 2.77-2.95 (m, 2H), 3.24-3.40 (m, 9H), 3.64-4.16 (m, 7H), 4.36 (br.s., 1H), 9.16 (br.s., 1H); MS m/z 449 [M-Bu4N]-.
【0173】
上記テトラブチルアンモニウム塩全量をトリフルオロ酢酸により脱保護し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製後、標題化合物164.7mgを得た(3工程収率34%)。
1H NMR (400 MHz, D2O) δ 1.65-1.89 (m, 2H), 1.92-2.06 (m, 2H), 3.06 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.10-3.22 (m, 2H), 3.90-4.00 (m, 5H), 4.07-4.14 (m, 3H); MS m/z 351 [M+H]+.
【0174】
参考例17
(3aR,7aS)−2−ヒドロキシ−3a,4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
【化55】
【0175】
硫酸ヒドロキシルアミン(24.975g、0.152mol)を水(100mL)に溶解し、(3aR,7aS)−3a,4,7,7a−テトラヒドロイソベンゾフラン−1,3−ジオン(45.228g)を加えた。混合物に25%水酸化ナトリウム水溶液(50g)を15分かけて少しずつ加え、90℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、析出した結晶を吸引ろ取、30分脱液した。湿結晶を50℃で2日間真空乾燥して標題化合物42.87gを得た(収率87%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.20-2.31 (m, 2H), 2.56-2.65 (m, 2H), 3.08-3.14 (m, 2H), 5.91 (dt, J = 0.9, 2.7 Hz, 2H); MS m/z 166 [M-H]-.
【0176】
参考例18
(3aR,7aS)−1,3−ジオキソ−3a、4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート
【化56】
【0177】
工程1
1−tert−ブチル 2−((3aR,7aS)−1,3−ジオキソ−3a,4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル) (2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)ピペリジン−1,2−ジカルボキシレート
【化57】
【0178】
(2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボン酸(参考例3の工程1、3.504g、10mmol)を脱水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、−20℃付近に冷却した。混合物にクロロギ酸イソブチル(1.51g)、次いでトリエチルアミン(2.17g)を滴下し同温で15分間撹拌した。次に反応液に(3aR,7aS)−2−ヒドロキシ−3a、4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(参考例17、1.84g)を加え同温で30分間、さらに室温で30分間撹拌した。反応液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、氷冷10%クエン酸(60mL)、飽和重曹水(60mL)、飽和食塩水(60mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)に付し、無色泡状固体の標題化合物を4.689g得た(収率94%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.47 (bs, 9H), 1.59-1.75 (m, 2H), 2.04-2.32 (m, 2H), 2.16-2.35 (m, 2H), 2.61 (d, J = 15.2 Hz, 2H), 3.14-3.24 (m, 4H), 4.15-4.22 (m, 1H), 4.71 (q, J=11.6 Hz, 2H), 5.03 (bs, 1H), 5.97 (bs, 2H), 7.26-7.38 (m, 5H); MS m/z 500 [M+H]+.
【0179】
工程2
上記工程1の化合物(4.689g、9.386mmol)を脱水クロロホルム(50mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.40g)を加えて氷冷した。混合物にトリホスゲン(1.09g)を加え0.5時間撹拌し、TLCにて標題化合物への収束を確認した。混合物に氷冷下メタノール(0.255mL)を加え30分間撹拌した後、メタンスルホン酸(8.89g)を加えて30分間撹拌し、TLCにて標題化合物への収束を確認した。混合物を氷冷1M 炭酸水素カリウム水溶液(11.1g/100mL)に滴下し0.5時間撹拌、クロロホルム(30mL)を加えて分層、有機層を1M 塩酸(70mL)、飽和重曹水(70mL)、飽和食塩水(70mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をクロロホルム(16mL)に溶解しヘキサン(24mL)を加えて15分間撹拌、さらにヘキサン(8mL)を加えて15分間撹拌熟成した。析出した固体をろ取、クロロホルム/ヘキサン(2/3)の混液で洗浄、減圧乾燥し、無色結晶性粉末の標題化合物3.51gを得た(収率88%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.67-1.77 (m, 1H), 2.08 (d, J = 14.2 Hz, 1H), 2.14-2.26 (m, 2H), 2.30 (d, J = 13.8 Hz, 2H), 2.55-2.66 (m, 2H), 3.10-3.24 (m, 4H), 3.34 (bs, 1H), 4.45 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 4.91 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.06 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 5.97 (bs, 2H), 7.34-7.45 (m, 5H); MS m/z 426 [M+H]+.
【0180】
参考例19
(3aR,7aS)−2−ヒドロキシヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
【化58】
【0181】
硫酸ヒドロキシルアミン(24.975g、0.152mol)を水(75mL)に溶解し、(3aR,7aS)−ヘキサヒドロイソベンゾフラン−1,3−ジオン(48.000g)を加えた。混合物に25%水酸化ナトリウム水溶液(50g)を15分かけて少しずつ加え、90℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、クロロホルム50mLで2回抽出、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルムに溶解、不溶物をろ過して溶媒を減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルを加えて溶解し、溶液を減圧濃縮、さらに2日間真空乾燥して無色固体の標題化合物49.35gを得た(収率94%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.45 (dt, J = 3.0, 5.9 Hz, 4H), 1.71-1.90 (m, 4H), 2.84-2.92 (m, 2H), 6.01 (brs, 1H); MS m/z 168 [M-H]-.
【0182】
参考例20
(3aR,7aS)−1,3−ジオキソヘキサヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート
【化59】
【0183】
工程1
1−tert−ブチル 2−((3aR,7aS)−1,3−ジオキソヘキサヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル) (2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)ピペリジン−1,2−ジカルボキシレート
【化60】
【0184】
(2S,5R)−5−((ベンジルオキシ)アミノ)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン−2−カルボン酸(参考例3の工程1、3.504g、10mmol)を脱水テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、−20℃付近に冷却した。混合物にクロロギ酸イソブチル(1.51g)、次いでトリエチルアミン(2.17g)を滴下し同温で15分間撹拌した。次に反応液に(3aR,7aS)−2−ヒドロキシヘキサヒドロ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(参考例19、1.86g)を加え同温で30分間、さらに室温で30分間撹拌した。反応液を酢酸エチル(200mL)で希釈し、氷冷10%クエン酸(60mL)、飽和重曹水(60mL)、飽和食塩水(60mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。ろ液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=2/1)に付し、無色泡状固体の標題化合物4.521g得た(収率90%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.35-1.58 (m, 13H), 1.62 (bs, 1H), 1.76 (bs, 2H), 1.90 (bs, 4H), 1.95-2.15 (m, 2H), 3.00 (bs, 2H), 3.15-3.30 (m, 2H), 4.16-4.25 (m, 1H), 4.72 (q, J = 11.6 Hz, 2H), 5.30-5.53 (m, 1H), 7.26-7.38 (m, 5H); MS m/z 502 [M+H]+.
【0185】
工程2
上記工程1の化合物(4.521g、9.01mmol)を脱水クロロホルム(50mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.350g)を加えて氷冷した。混合物にトリホスゲン(1.043g)を加え0.5時間撹拌し、TLCにて標題化合物への収束を確認した。混合物に氷冷下メタノール(0.245mL)を加え30分間撹拌した後、メタンスルホン酸(8.53g)を加えて30分間撹拌し、TLCにて標題化合物への収束を確認した。混合物を氷冷1M 炭酸水素カリウム水溶液(10.668g/90mL)に滴下し0.5時間撹拌、クロロホルム(33mL)を加えて分層、有機層を1M 塩酸(70mL)、飽和重曹水(70mL)、飽和食塩水(70mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル=6/1)に付し、無色固体の標題化合物3.106gを得た(収率81%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.50 (bs, 4H), 1.62 (bs, 1H), 1.68-1.84 (m, 1H), 1.91 (bs, 4H), 2.04-2.27 (m, 2H), 3.02 (bs, 2H), 3.15 (s, 2H), 3.35 (bs, 1H), 4.47 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 4.92 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 5.07 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 7.34-7.45 (m, 5H); MS m/z 428 [M+H]+.
【0186】
実施例1
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (IV−1)
実施例1a
【化61】

(2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボン酸(4.80kg、17.373mol)の脱水酢酸エチル(62L)溶液を−30℃に冷却し、クロロギ酸イソブチル(2.52kg)、トリエチルアミン(1.85kg)、を順次滴下し、−30℃にて15分間撹拌した。反応液にtert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメートの脱水酢酸エチル溶液(15wt%、23.45kg)を30分で加え(洗い込み脱水酢酸エチル2L)、0℃まで1時間かけて昇温した。混合物を8%クエン酸水溶液(65L)、5%重曹水(60L)、水(60L)で順次洗浄し、24Lまで濃縮した。濃縮液に酢酸エチル(24L)を加え24Lまで置換濃縮する操作を2回行い、得られた濃縮液に酢酸エチル(29L)、へキサン(72L)を加え、終夜撹拌した。混合物にヘキサン(82L)を滴下し2時間撹拌した。析出結晶をろ取、ヘキサンで洗浄、真空乾燥して標題化合物5.51kgを得た(収率76%)。このものの機器データは参考例5の工程1のものと一致した。
【0187】
実施例1b
【化62】

2,5−ジオキソピロリジン−1−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例3、373mg、1mmol)を脱水ジクロロメタン(5mL)に溶解し、氷冷下にtert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメート(194mg)の脱水ジクロロメタン(2mL、洗い込み1mL)溶液を加え、1時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(65mL)で希釈、10%クエン酸(20mL)、飽和重曹水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過、減圧濃縮して標題化合物362mgを得た(収率83%)。このものの機器データは参考例5の工程1のものと一致した。
【0188】
実施例1c
【化63】

(1R,2S,6R,7S)−3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例4、49.7g、113.6mmol)を脱水酢酸エチル(650mL)に懸濁し、室温でtert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメート(24.2g)の脱水酢酸エチル(134mL)溶液とトリエチルアミン(13.8g)を加え、2.5時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(0.8L)で希釈、氷冷0.25M 塩酸(1L)、飽和重曹水(1L)、水(1L)で順次洗浄、減圧濃縮して、標題化合物48.08gを得た(収率98%、HPLCエリア面積比99%以上)。このものの機器データは参考例5の工程1のものと一致した。
【0189】
実施例1d
【化64】
【0190】
(3aR,7aS)−1,3−ジオキソ−3a、4,7,7a‐テトラヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例18、425mg、1mmol)を脱水クロロホルム(5mL)に溶解し、氷冷下tert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメート(211mg)の脱水酢酸エチル溶液(1.41g)とトリエチルアミン(121mg)を加え、30分間撹拌した。反応液を酢酸エチル(75mL)で希釈、10%クエン酸水溶液(35mL)、飽和重曹水(35mL)、飽和食塩水(35mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2)に付し標題化合物481mgを得た(定量的)。このものの機器データは参考例5の工程1のものと一致した。
【0191】
実施例1e
【化65】
【0192】
(3aR,7aS)−1,3−ジオキソヘキサヒドロ−1H−イソインドール−2(3H)−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例20、427mg、1mmol)を脱水クロロホルム(5mL)に溶解し、氷冷下tert−ブチル 2−(アミノオキシ)エチルカーバメート(211mg)の脱水酢酸エチル溶液(1.41g)とトリエチルアミン(121mg)を加え、30分間撹拌した。反応液を酢酸エチル(75mL)で希釈、10%クエン酸水溶液(35mL)、飽和重曹水(35mL)、飽和食塩水(35mL)で順次洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/2)に付し標題化合物418mgを得た(収率96%)。このものの機器データは参考例5の工程1のものと一致した。
【0193】
実施例2
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (V−1)
【化66】

tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (IV−1、5.52kg、12.705mol)のメタノール溶液(85L)に、10%パラジウム炭素触媒(50%含水、0.55kg)を加え、水素加圧(0.1MPa)下、1時間撹拌した。触媒を濾過し、固体をメタノール(25L)で洗浄した。ろ液を併せて、液温10℃以下で39Lまで減圧濃縮した。濃縮液にアセトニトリル(44L)を加えて液温10℃以下で39Lまで置換濃縮する操作を2回行い、混合物を0℃に冷却して終夜撹拌した。析出結晶をろ取、アセトニトリル(24L)で洗浄、真空乾燥して標題化合物を3.63kg得た(収率83%)。このものの機器データは参考例5の工程2のものと一致した。
【0194】
実施例3
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (VI−1)
実施例3a
【化67】

アセトニトリル(51L)に、水(51mL)、tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ヒドロキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート(V−1、3.53kg、10.251mol)、三酸化イオウ−ピリジン錯体(3.95kg)、2,6−ルチジン(2.21kg)を順次加え、35〜45℃で終夜撹拌した。混合物をろ過して不溶物を除き、固体をアセトニトリル(11L)で洗浄、ろ液を併せて17Lまで濃縮した。濃縮液を10℃以下に冷却し、9%燐酸二水素ナトリウム水溶液(60L)、酢酸エチル(113L)で分層し、有機層を再度9%燐酸二水素ナトリウム水溶液(11L)で抽出した。得られた水層に酢酸エチル(113L)、30%硫酸水素テトラブチルアンモニウムの水溶液(12.87kg)、37%燐酸二水素ナトリウム水溶液(56.5kg)を加え、15分間撹拌した。有機層を分層し、20%燐酸2水素ナトリウム水溶液(60L)で洗浄、無水硫酸マグネシウム(2.5kg)にて乾燥、濾過後、減圧濃縮した。濃縮液中に析出した標題化合物の結晶は酢酸エチルで溶解して全液量を20Lに調整し、標題化合物の酢酸エチル溶液32.55kgを得た(正味6.25kg、収率92%)。本溶液はさらに精製することなく次工程に付した。
【0195】
実施例3b tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (IV−1)からのワンポット合成
【化68】

tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (IV−1、515mg、1.16mmol)のイソプロパノール(7mL)溶液に、水(5mL)、三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体(196mg)、トリエチルアミン(0.0407mL)、10%パラジウム炭素触媒(53.3%含水、95.0mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて2時間撹拌した。10%パラジウム炭素触媒(53.3%含水、63.5mg)を追加し、水素雰囲気下、室温にて3時間撹拌後、アルゴン置換し、室温にて1時間撹拌した。反応液の触媒をセライト濾過し、イソプロパノール/水(1/1、40mL)で洗浄後、ミリポア濾過、イソプロパノール/水(1/1、15mL)で洗浄、イソプロパノールを減圧留去した。得られた水溶液に燐酸二水素ナトリウム(5.29g)、酢酸エチル(20mL)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(476mg)を加え、室温にて10分間撹拌後、酢酸エチルにて2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥、濾過、濃縮後、標題化合物702mgを得た(収率91%)。
【0196】
実施例3c tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (IV−1)からの連続合成
【化69】

tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート (IV−1、5.0g、11.51mmol)のイソプロパノール(80mL)溶液に、10%パラジウム炭素触媒(50%含水、0.5g)を加え、水素雰囲気化2時間撹拌した。反応液の触媒をセライト濾過し、固体をイソプロパノール(15mL)で洗浄、ろ液を併せ水(47.5mL)、三酸化硫黄−トリメチルアミン錯体(1.8g)、トリエチルアミン(0.237g)を加え、25〜30℃で24時間撹拌した。混合物を47mLまで減圧濃縮し、燐酸二水素ナトリウム(11.87g)、酢酸エチル(200mL)、硫酸水素テトラブチルアンモニウム(4.688g)を加えて10分間撹拌した。有機層を分層し、水層をさらに酢酸エチル(2x100mL)で抽出、有機相を併せて硫酸マグネシウムで乾燥、濾過した。ろ液の有機溶媒を減圧濃縮し、標題化合物の酢酸エチル溶液を得た(正味6.522g、収率85%)
【0197】
実施例4
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1―CR)
【化70】

実施例4a
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート(VI−1、788g、正味467.1g、0.701mol)のジクロロメタン(934mL)溶液を窒素気流下にて−20℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(934mL)を15分間で滴下、0℃に昇温して1時間撹拌した。反応液を−20℃に冷却しジイソプロピルエーテル(4.17L)を滴下し、混合物を−6℃に昇温して1時間撹拌した。沈殿をろ過、ジイソプロピルエーテル(2x1L)にて懸濁洗浄、湿固体を真空乾燥して標題化合物342.08gを得た(正味222.35g、収率98%、HPLCエリア面積比96.1%、CE/TFA27mol%)。
【0198】
実施例4b
テトラブチルアンモニウム tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}カーバメート(VI−1、酢酸エチル溶液15.60kg、正味2.98kg)を冷却し液温0℃以下で9Lまで濃縮した。濃縮液にジクロロメタン(9L)を加え、窒素気流下で混合物を−20℃に冷却した。混合物にトリフルオロ酢酸(16.5L)を−5℃以下にて約1時間で滴下、−5〜0℃にて1時間撹拌した。反応液に0℃に冷却した酢酸エチルを7℃以下で分割添加し(4x8.3L、24.6L、合計57.8L)、0℃で終夜撹拌した。沈殿をろ過、酢酸エチル(13.5L、9L)にて懸濁洗浄、終夜真空乾燥して標題化合物1.74kgを得た(正味1.43kg、収率99%、HPLCエリア面積比99.1%、CE/TFA10mol%、GC/EtOAc14%)。
【0199】
実施例5
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のI形結晶
実施例5a
0.5M 酢酸緩衝液(pH5.5、35mL)を氷冷し、(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1―CR、36g)と冷却した5M 水酸化ナトリウム水溶液を交互に加えてpHを5.5に調整し、オクタデシルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3.6L)に付し、水で溶出した。活性フラクションを集め、水浴温度35℃にて減圧濃縮し、析出した結晶を終夜真空乾燥した。得られた結晶2.10gを粉砕した後、氷冷下にてイソプロパノール/水(19/1、13mL)を加え、0℃にて1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、冷イソプロパノール/水(19/1、80mL)にて洗浄し、得られた結晶を真空ポンプして乾燥後、標題化合物1.68gを得た(収率80%)。DSC吸熱ピーク 111℃。60%イソプロパノール水溶液への溶解度;0.44%(10℃)、0.48%(20℃)。標題化合物は粉末X線回析図形において下記表4と図1に示すような特徴的なピークパターンを示した。なお、測定に際し粉末X線回析装置は株式会社リガクのRINT2100を用い、X線源としてはCuKα1、管電圧40kV、管電流40mA、スキャンスピード4°/min、走査範囲は2θ=3から40°で測定した。
【0200】
【表4】
【0201】
実施例5b
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1―CR、正味4.253g)を0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5、73mL)に溶解しpH5.5とし、水(20mL)で希釈した。混合物を130mLまで濃縮、レジン精製(SP207、260mL)に付し、水(238mL)、10%イソプロパノール水溶液(780mL)にて溶出した。活性フラクションを集め、30mLまで減圧濃縮し、活性炭(精製白鷺、87mg)を投入し室温にて30分撹拌した。活性炭をメンブランフィルターでろ過、ろ液を凍結乾燥に付し、非晶質形態の(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)を4.07g得た(収率95.7%)。本非晶質形態の化合物(0.2g)を水(0.8mL)に溶解し、室温でイソプロパノール(1.2mL)を加え、I形結晶(実施例5a、1mg)を接種して撹拌子で3時間撹拌、析出結晶を濾過、乾燥し標題化合物0.1gを得た(収率50%)。本結晶は粉末X線回析図形において実施例5aの結晶と同様のピークパターンを示した。
【0202】
実施例5c
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1―CR、正味2.113g)と0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5、73mL)を交互に加えpH4.6に調整し、水(27mL)で希釈した。混合物を80mLまで減圧濃縮後、0.2M燐酸緩衝液(pH6.5、16mL)でpH5.4とし、水(48mL)で希釈した。本混合物をレジン精製(SP207、240mL)に付し、水(276mL)、10%イソプロパノール水溶液(720mL)にて溶出した。活性フラクションを集め、12mLまで減圧濃縮し、活性炭(精製白鷺、40mg)を投入し室温にて30分撹拌した。活性炭をメンブランフィルターでろ過、水で14mLに希釈した。水溶液にI形結晶(実施例5b、6mg)を接種し、室温で撹拌子にて撹拌して得られた懸濁液にイソプロパノール(84mL)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間撹拌、析出結晶を濾過、乾燥し標題化合物1.834gを得た(収率86.8%)。水分:5.37%,脱水物換算含量95.3%,HPLCエリア面積比99.3%。本結晶は粉末X線回析図形において実施例5aの結晶と同様のピークパターンを示した。
【0203】
実施例6
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のII形結晶
実施例6a
0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5、0.8L)を10℃以下に冷却し、撹拌しながら(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1―CR、正味49.96g)と冷却した0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5)を交互に少量ずつ加えてpHが4.2〜5.5の間でpHを調整、最終的にpH5.5に調整した。混合物を水で希釈(全量1.8L)、液温18℃以下で1.6Lまで減圧濃縮した。濃縮液を水で1.8Lに希釈(HPLCエリア面積比96.7%)、レジン(セパビーズSP207、3L)精製に付し、水(0.83L)と10%イソプロパノール水溶液で溶出して活性フラクションを集めた。活性フラクションを併せ(1.5L)、液温15℃以下で0.5Lまで減圧濃縮し、活性炭(0.88g)を加えて30分間撹拌した。活性炭をメンブランフィルターでろ過、水(0.05Lx2)で洗浄した。ろ液を併せ液温15℃以下で0.2Lまで減圧濃縮し、液温を10〜15℃に調整、混合物にイソプロパノール(0.25L)を10分間で滴下し、1時間撹拌後さらにイソプロパノール(0.6L)を15分間で滴下した。混合物を1時間撹拌し析出した結晶をろ取、イソプロパノール(0.2L)で洗浄、湿結晶の品温が20℃になるまで真空乾燥し標題化合物44.69gを得た(収率85%、水分5.9%、HPLCエリア面積比100%)。DSC吸熱ピーク 92℃。60%イソプロパノール水溶液への溶解度;0.67%(10℃)、0.74%(20℃)。
【0204】
また、標題化合物は粉末X線回析図形において下記表5と図2に示すような特徴的なピークパターンを示した。なお、測定に際し粉末X線回析装置は株式会社リガクのRINT2100を用い、X線源としてはCuKα1、管電圧40kV、管電流40mA、スキャンスピード4°/min、走査範囲は2θ=3から40°で測定した。
【0205】
【表5】
【0206】
実施例6b
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のII形結晶の転移実験
実施例6aの結晶懸濁液を少量取り、撹拌子により室温1日撹拌し、析出結晶を集め、粉末X線結晶回析に付したところ、他の結晶形への転移は観察されなかった。
【0207】
実施例7
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のIII形結晶
実施例7a
0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5、3.0L)を10℃以下に冷却し、撹拌しながら(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1―CR、正味133.334g)と冷却した0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5、1.8L)を交互に少量ずつ加えてpHが5.1〜5.5の間でpHを調整、最終的にpH5.3に調整した。混合物を液温18℃以下で3.6Lまで減圧濃縮した。濃縮液のpHを0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5)でpH5.5に調整し、水で4.8Lに希釈、レジン(セパビーズSP207、7L)精製に付し、水(7.2L)と10%イソプロパノール水溶液で溶出して活性フラクションを集めた。活性フラクションを併せ(3.1L)、液温15℃以下で1.8Lまで減圧濃縮し、活性炭(2.66g)を加えて30分間撹拌した。活性炭をメンブランフィルターでろ過、水(0.39L)で洗浄した。ろ液を併せ液温18℃以下で0.6Lまで減圧濃縮した。濃縮液の液温を20〜25℃に調整、イソプロパノール(0.77L)を滴下後に、II形結晶(実施例6a、0.63g)を接種し1時間撹拌した。混合物にさらにイソプロパノール(1.93L)を1.5時間かけて滴下し、30分間撹拌した。析出した結晶をろ取、イソプロパノール(1L)で洗浄、湿結晶の品温が20℃になるまで真空乾燥しII形結晶を少量含む標題化合物127.3gを得た(収率90%、水分5.3%、HPLCエリア面積比99.9%)。本工程で得られた結晶を種結晶とし同様の工程を実施、さらに得られた結晶を次回の種結晶とすることで粉末X線結晶回析で単一のIII形結晶の標題化合物を得た。DSC吸熱ピーク 102℃。60%イソプロパノール水溶液への溶解度;0.76%(10℃)、0.80%(20℃)。
標題化合物は粉末X線回析図形において下記表6と図3に示すような特徴的なピークパターンを示した。なお、測定に際し粉末X線回析装置は株式会社リガクのRINT2100を用い、X線源としてはCuKα1、管電圧40kV、管電流40mA、スキャンスピード4°/min、走査範囲は2θ=3から40°で測定した。
【0208】
【表6】
【0209】
実施例7b
0.2M燐酸緩衝液(pH6.5、7.2L)を10℃以下に冷却し、撹拌しながら(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1―CR、正味1.2kg)と氷冷した0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5、3.5L)を交互に少量ずつ加えてpHが4.2〜4.8の間でpHを調整、最終的にpH4.6に調整した。混合物を水(19.3L)で希釈(全量30L)、液温18℃以下で24Lまで減圧濃縮した。濃縮液のpHを0.2M 燐酸緩衝液(pH6.5、2.4L)でpH5.4に調整し(HPLCエリア面積比98.5%)、水で43.2Lに希釈、レジン(セパビーズSP207、75L)精製に付し、水(83L)と10%イソプロパノール水溶液で溶出して活性フラクションを集めた。活性フラクションを併せ(33L)、液温15℃以下で7.2Lまで濃縮し、活性炭(24g)を加えて30分間撹拌した。活性炭をメンブランフィルターでろ過、水(0.4Lx2)で洗浄した。ろ液を併せ、液温を20〜25℃に調整、III形結晶(実施例7a、3.6g)を接種した。混合物にイソプロパノール(50.4L)を1時間かけて滴下し、終夜撹拌した。析出した結晶をろ取、イソプロパノール(4.8L)で洗浄、湿結晶の品温が20℃になるまで真空乾燥し標題化合物1.17kgを得た(収率90%、水分5.3%、HPLCエリア面積比100%)。本結晶は粉末X線回析図形において実施例7aの結晶と同様のピークパターンを示した。
【0210】
実施例7c
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のIII形結晶の転移実験
実施例7aの工程にて、接種直後とイソプロパノール滴下後の懸濁液を少量取り、それぞれ撹拌子により室温1日、4日撹拌し、析出結晶を集め、粉末X線結晶回析に付したところ、他の結晶形への転移は観察されなかった。
【0211】
実施例7d
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のIII形結晶のXRD−DSC実験
実施例7aのIII形結晶の加熱による結晶相の変化をXRD−DSCにて観察した。加熱、冷却条件は、60%RH一定、昇降温速度2℃/minにて室温から160℃まで昇温し、63℃まで冷却し、継時的に試料のDSCとXRDを測定した。なお、測定に際し粉末X線回析装置は株式会社リガクのSmartLabとXRD−DSCを用い、X線源としてはCuKα1、管電圧45kV、管電流200mA、スキャンスピード80°/min、走査範囲は2θ=5から35°で測定した。
【0212】
実施例8
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のIV形結晶
実施例8a
実施例7aのIII形結晶0.20gを水2mLに溶解させ、撹拌しながらメタノール(30mL)を滴下し、20−25℃で終夜静置した。混合物をろ過し、メタノール(2x2mL)で洗浄、室温で終夜真空乾燥して標題化合物0.13gを得た(収率68%)。
標題化合物は粉末X線回析図形において下記表7と図4に示すような特徴的なピークパターンを示した。なお、測定に際し粉末X線回析装置は株式会社リガクのRINT2100を用い、X線源としてはCuKα1、管電圧40kV、管電流40mA、スキャンスピード4°/min、走査範囲は2θ=3から40°で測定した。
【0213】
【表7】
【0214】
実施例8b
実施例7aのIII形結晶25gにメタノール(200mL)を加え、20−25℃で3.5時間撹拌した。混合物をろ過し、メタノール(2x20mL)で洗浄、室温で終夜真空乾燥して標題化合物23gを得た(収率99%)。本結晶は粉末X線回析図形において実施例8aの結晶と同様のピークパターンを示した。
【0215】
実施例8c
実施例7aのIII形結晶25gにエタノール(200mL)を加え、20−25℃で3.5時間撹拌した。混合物をろ過し、エタノール(2x20mL)で洗浄、室温で終夜真空乾燥して標題化合物23gを得た(収率99%)。本結晶は粉末X線回析図形において実施例8aの結晶と同様のピークパターンを示した。
【0216】
実施例8d
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のIV形結晶の転移実験
実施例8a〜cのIV形結晶を取り、イソプロパノール/水(6/1)を加え25℃または40℃で1週間まで懸濁撹拌した。12時間後、24時間後(1日)、48時間後(2日)、72時間後(3日)、96時間後(4日)及び168時間後(1週間)にサンプルを取り、通気乾燥後に粉末X線回折に付したところ、いずれの撹拌時間においても他の結晶形への転移は観察されなかった。
【0217】
実施例9a
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のI〜IV形結晶の安定性評価
実施例7aのIII形結晶を水に溶解し凍結乾燥に付し、非晶体の(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)を得た。また、本非晶体の化合物と実施例5〜8のI〜IV形結晶をそれぞれスクリュウ管に量り、各温湿度条件下安定性試験を実施した。類縁物質、含量、水分測定法は以下のとおりである。結果を表9に示す。
【0218】
類縁物質及び含量測定
被験物質を水に溶かして試料溶液とする。試料溶液5μLにつき,次の条件でJP16液体クロマトグラフィー<2.01>により試験を行い、個々の類縁物質の量(%)と類縁物質総量(%)及び含量を求める。
【0219】
試験条件
カラム:Waters Atlantis dc18、5μm,4.6×250mm
カラム温度:35℃付近の一定温度
注入量:5μL
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:210nm)
移動相A:リン酸水素二アンモニウム1.32gを水900mLに溶かし,リン酸を加えてpH3.0に調整した後,水を加えて1000mLとする。
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
勾配プログラム:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて制御する。
【表8】

流量:1.0mL/min
保持時間:約6.5min
測定時間:30min
【0220】
水分測定
本品約20mgを精密に量り,JP16 水分測定法<2.48> 電量滴定法により試験を行う。
【0221】
【表9】
【0222】
実施例9b
(2S,5R)−N−(2−アミノエトキシ)−7−オキソ−6−(スルホオキシ)−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキサミド (VII−1)のIII形結晶の包装容器での安定性評価
III形結晶を下記条件にて包装し、実施例9aの分析条件にて、各温湿度条件下安定性試験を実施した。結果を表10〜12に示す。
包装容器
内装:一重低密度ポリエチレン・ナイロン製結束バンド
外装:一重アルミラミネート袋・ヒートシール
【0223】
【表10】
【0224】
【表11】
【0225】
【表12】
【0226】
実施例10
tert−ブチル {2−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]エチル}(メチル)カーバメート (IV−2)
【化71】

(1R,2S,6R,7S)−3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例4、144mg、0.329mmol)を脱水ジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、tert−ブチル (2−(アミノオキシ)エチル)(メチル)カーバメート(88.8mg)の脱水ジクロロメタン(0.5mL)溶液を加え、室温で18時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈、0.25M 塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮して、標題化合物132mgを得た(収率89%)。このものの機器データは参考例6の工程1のものと一致した。
【0227】
実施例11
tert−ブチル {3−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]プロピル}カーバメート (IV−7)
【化72】

(1R,2S,6R,7S)−3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例4、148mg、0.339mmol)を脱水ジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、tert−ブチル 3−(アミノオキシ)プロピルカーバメート(90.9mg)の脱水ジクロロメタン(0.5mL)溶液を加え、室温で18時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈、0.25M 塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮して、標題化合物134mgを得た(収率88%)。このものの機器データは参考例11の工程1のものと一致した。
【0228】
実施例12
tert−ブチル (2S)−2−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート (IV−8)
【化73】

(1R,2S,6R,7S)−3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例4、145mg、0.331mmol)を脱水ジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、(S)−tert−ブチル 2−((アミノオキシ)メチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(93.2mg)の脱水ジクロロメタン(0.5mL)溶液を加え、室温で21時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈、0.25M 塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮して、標題化合物127mgを得た(収率83%)。このものの機器データは参考例12の工程1のものと一致した。
【0229】
実施例13
tert−ブチル (3S)−3−[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]ピロリジン−1−カルボキシレート (IV−11)
【化74】

(1R,2S,6R,7S)−3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(参考例4、145mg、0.332mmol)を脱水ジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、(S)−tert−ブチル 3−(アミノオキシ)ピロリジン−1−カルボキシレート(91.6mg)の脱水ジクロロメタン(0.5mL)溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈、0.25M 塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮して、標題化合物145mgを得た(収率95%)。このものの機器データは参考例15の工程1のものと一致した。
【0230】
実施例14
tert−ブチル 3−{[({[(2S,5R)−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル]カルボニル}アミノ)オキシ]メチル}アゼチジン−1−カルボキシレート (IV−12)
【化75】

(1R,2S,6R,7S)−3,5−ジオキソ−4−アザトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン−4−イル (2S,5R)−6−(ベンジルオキシ)−7−オキソ−1,6−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(実施例4、140mg、0.320mmol)を脱水ジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、tert−ブチル 3−((アミノオキシ)メチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(91.5mg)の脱水ジクロロメタン(0.5mL)溶液を加え、室温で20時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(10mL)で希釈、0.25M 塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過、減圧濃縮して、標題化合物132mgを得た(収率90%)。このものの機器データは参考例16の工程1のものと一致した。
図1
図2
図3
図4