(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部は、前記係合部に進入した状態で、前記第2方向に前記爪部が動作するなかで、前記保持位置と、前記係合部から離脱されることによって前記基板を開放する開放位置とが切り替えられるように構成されている請求項2に記載の基板用取り外し治具。
前記保持部は、前記保持位置の状態で、前記第2方向に対して前記第1方向に傾斜する傾斜面を介して前記係合部に係合されるように構成されている請求項2又は請求項3に記載の基板用取り外し治具。
前記爪部は、先端から基端に向かって前記第1方向における厚みが徐々に増すように構成されることによって、前記傾斜面を構成するものである請求項4に記載の基板用取り外し治具。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、基板用取り外し治具の第1実施形態として、車両に搭載されるパワーコントロールユニット(以下、「PCU」という)に取り付けられているPCU基板を、PCUから取り外す際に用いるPCU基板用取り外し治具(以下、「基板用治具」という)を例に挙げて説明する。はじめに、PCUの概略構成について説明する。本実施形態において、PCUは取付対象の一例であり、PCU基板は基板の一例である。
【0023】
図1に示すように、PCU1は、長方形状の開口部20を有するケース2と、当該開口部20を閉塞する長方形状の閉塞部30を有するカバー3とを備えている。ケース2は、アルミ等の金属材料からなり、内部にPCU構成部品4を収容する収容部21を有している。カバー3は、合成樹脂等の樹脂材料からなり、ケース2の収容部21に収容されるPCU構成部品4の一部を外部に露出させる貫通孔31を有している。PCU構成部品4は、PCU基板5を含む他、インバータ、昇降圧コンバータ、コンデンサ、電流センサ、冷却器等のことである。PCU基板5は、PCU1において、電流センサの検出結果を用いて、インバータ、昇降圧コンバータの動作を制御するものである。
【0024】
具体的には、ケース2は、その外周が壁部Wによって囲まれている。壁部Wは、開口部20の反対側の底部22の周縁から当該開口部20側に向かって延びている。そして、ケース2の内部には、壁部Wの内面によって囲まれてなる収容部21が設けられている。
【0025】
収容部21には、当該収容部21の内側に壁部Wの内面の一部が迫り出してなるステー23が設けられている。ステー23には、ボルト等の締結具24が挿入される複数(本実施形態では、4つ)の基板締結部23aが設けられている。基板締結部23aは、ステー23において、開口部20の4つ角に対応する位置に設けられているとともに、底部22側から開口部20側に向かってそれぞれ延びている。
【0026】
収容部21において、ステー23の開口部20側には、PCU基板5が収容されている。この場合、PCU基板5は、壁部Wが延びる側から締結具24を介してケース2(基板締結部23a)に固定された状態で、PCU1に取り付けられている。なお、ステー23の底部22側には、PCU基板5以外のPCU構成部品4がそれぞれ収容されている。この場合、PCU基板5以外のPCU構成部品4は、所定の固定方法によってケース2に固定された状態で、PCU1に取り付けられている。
【0027】
壁部Wのうち、開口部20の周縁の4つ角には、ボルト等の締結具25が挿入される複数(本実施形態では、4つ)のカバー締結部20aが設けられている。カバー締結部20aには、ケース2の開口部20に閉塞部30を対向させた状態でカバー3が締結具25によって締結されている。
【0028】
ここで、PCU基板5の構成について詳しく説明する。
図2に示すように、PCU基板5は、長辺及び短辺を有する平板状の基板本体50を備えている。基板本体50は、合成樹脂等の樹脂材料からなり、基板本体50の長辺の幅D5aは、ケース2の開口部20の長辺の幅D2aと比較して若干小さく設定されている。同様に、PCU基板5の短辺の幅D5bは、ケース2の開口部20の短辺の幅D2bと比較して若干小さく設定されている。これにより、PCU基板5は、PCU1に取り付けられる場合、当該PCU基板5の外郭外側において、開口部20(
図2中、仮想線で示す)との間に若干の隙間(幅D2a,D5aの差分、及び幅D2b,D5bの差分)を有するように構成されている。
【0029】
基板本体50の4つ角には、締結具24が挿入される締結用孔51がそれぞれ設けられている。締結用孔51は、PCU基板5がPCU1に取り付けられる場合に、ケース2の基板締結部23aに対応する位置に設けられている。
【0030】
基板本体50のうち、当該基板本体50の長辺及び短辺に直交する方向である肉厚方向の一方側(図中、紙面表側)の面である実装面50aには、内部コネクタ52、複数の半導体素子53、外部コネクタ54が設けられている。実装面50aは、PCU基板5がPCU1に取り付けられる場合に、カバー3に対向する対向面である。
【0031】
内部コネクタ52は、PCU構成部品4のうち電流センサ、インバータ、昇降圧コンバータとの電気的な接続を可能にするものである。半導体素子53は、内部コネクタ52を通じて、電流センサから検出結果を取得したり、インバータ、昇降圧コンバータの動作を制御したりするものである。外部コネクタ54は、PCU1の外部に設けられる機器との電気的な接続を可能にするものである。外部コネクタ54は、内部コネクタ52及び半導体素子53と比較して大型であり、PCU基板5がPCU1に取り付けられる場合に、カバー3の貫通孔31からその一部がPCU1外に露出される。
【0032】
基板本体50には、当該基板本体50の外郭外側から外郭内側に向かって凹状に切り欠かれた部位である複数(本実施形態では、4つ)の切欠き55がそれぞれ設けられている。切欠き55は、基板本体50の長辺のそれぞれに2つずつ設けられている。本実施形態において、切欠き55は、PCU基板5の実装面50aへの半導体素子53の実装等の作業時の作業補助部として機能する。
【0033】
基板本体50には、締結用孔51、内部コネクタ52、半導体素子53、外部コネクタ54、切欠き55を避ける態様で、複数(本実施形態では、2つ)の位置決め孔56が設けられている。本実施形態において、位置決め孔56は、PCU基板5の取り外し等の作業時の作業補助部として機能する。
【0034】
PCU1において、PCU基板5(内部コネクタ52、半導体素子53、外部コネクタ54)に異常が生じた場合、当該PCU基板5の正常なPCU基板への交換や、異常のある内部コネクタ52、半導体素子53、外部コネクタ54の正常な内部コネクタ、半導体素子、外部コネクタへの交換のために、PCU1からPCU基板5が取り外される。このPCU1からのPCU基板5の取り外しの際、当該PCU基板5の取り外しを補助する基板用治具6が用いられる。本実施形態の基板用治具6は、PCU1へのPCU基板5の取り付けの際にも用いられることによって、当該PCU基板5の取り付けを補助する。
【0035】
次に、基板用治具6の構成について詳しく説明する。
図3及び
図4に示すように、基板用治具6は、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、PCU基板5に対して実装面50a側から重ねて用いられる。
【0036】
具体的には、基板用治具6は、PCU基板5に対して重ねて用いられる本体部60を備えている。本体部60は、合成樹脂等の樹脂材料からなり、長辺及び短辺を有するとともに、所定の凹凸形状を有する凹凸板状をなしている。本体部60の長辺の幅D6aは、ケース2の外郭の長辺の幅D2aと略同一に設定されているとともに、PCU基板5の長辺の幅D5aと比較して大きく設定されている。本体部60の短辺の幅D6bは、ケース2の外郭の短辺の幅D2bと略同一に設定されているとともに、PCU基板5の短辺の幅D5bと比較して大きく設定されている。これにより、基板用治具6は、本体部60がPCU基板5に対して重ねられる場合(以下、「治具の使用状態」という)、当該PCU基板5の全体を実装面50a側から覆うことができるように構成されている。
【0037】
本体部60には、本体部60の長辺及び短辺に直交する方向である肉厚方向の一方に突出する複数(本実施形態では、4つ)の突出部61がそれぞれ設けられている。突出部61は、本体部60の4つ角のそれぞれに1つずつ設けられている。突出部61のうち、本体部60の対角線上の一対の突出部61には、本体部60を肉厚方向に貫通するガイド孔62がそれぞれ設けられている。以下の説明では、本体部60のうち、突出部61が突出する側の面を「表面」といい、突出部61が突出する側と反対側の面を「裏面」という。
【0038】
本体部60には、表面に対して凹状をなす複数(本実施形態では、4つ)の凹部63がそれぞれ設けられている。凹部63は、突出部61のそれぞれに1つずつ隣接して設けられている。凹部63において、最も凹んだ部位には、本体部60の表面及び裏面を導通させる導通部63aがそれぞれ設けられている。導通部63aは、治具の使用状態で、PCU基板5の締結用孔51に対応する位置に設けられているとともに、締結具24に対応する形状で構成されている。凹部63は、それ自体が壁となって導通部63aの周辺を囲うようにそれぞれ構成されている。
【0039】
本体部60には、凹部63の他、表面に対して凹状をなす領域の大小が異なる複数(本実施形態では、3つ)の凹部64がそれぞれ設けられている。凹部64において、最も凹んだ部位には、本体部60の表面及び裏面を導通させるコネクタ露出部64aがそれぞれ設けられている。コネクタ露出部64aは、治具の使用状態で、PCU基板5の内部コネクタ52に対応する位置に設けられているとともに、内部コネクタ52に対応する形状で構成されている。
【0040】
本体部60には、他の部位と比較して大きく表面側に突出するコネクタ被覆部65が設けられている。コネクタ被覆部65は、治具の使用状態で、PCU基板5の外部コネクタ54に対応する位置に設けられているとともに、外部コネクタ54に対応する形状で構成されている。
【0041】
本体部60には、他の部位と比較して大きく裏面側に突出する複数(本実施形態では、2つ)の位置決めピン66と、複数(本実施形態では、8つ)の位置決めボス67とがそれぞれ設けられている。位置決めピン66は、治具の使用状態で、PCU基板5の位置決め孔56に対応する位置に設けられているとともに、基板本体50(位置決め孔56)を通過可能な長さに設定されている。位置決めボス67は、治具の使用状態で、PCU基板5の内部コネクタ52、半導体素子53、外部コネクタ54、切欠き55を避ける位置に設けられているとともに、PCU基板5の実装面50aに当接可能な長さに設定されている。なお、位置決めボス67は、位置決めピン66と比較して小さい長さに設定されている。
【0042】
本体部60には、表面に対して凹状をなすとともに、本体部60の長手方向に延びる複数(本実施形態では、4つ)の凹部68がそれぞれ設けられている。凹部68は、本体部60の長辺に沿って延びるように設けられているとともに、凹部63(導通部63a)のそれぞれに1つずつ隣接して設けられている。凹部68において、最も凹んだ部位には、本体部60の表面及び裏面を導通させるクリップ係合部68aがそれぞれ設けられている。クリップ係合部68aは、治具の使用状態で、PCU基板5の切欠き55に対応する位置に設けられている。そして、クリップ係合部68aには、スライドクリップ70がそれぞれ係合されている。
【0043】
次に、スライドクリップ70の構成について詳しく説明する。
図3及び
図4に示すように、スライドクリップ70は、クリップ係合部68aが延びる方向である本体部60の長手方向にそれぞれ往復動作するように、当該本体部60に対して係合されている。
【0044】
具体的には、
図5〜
図7に示すように、スライドクリップ70は、合成樹脂等の樹脂材料からなり、長辺及び短辺を有し、長手方向の一方側に尖状をなす平板状のスライド部71を備えている。スライド部71には、スライド部71の長辺及び短辺に直交する方向である肉厚方向の一方側に延びるつまみ部72が設けられている。つまみ部72は、スライド部71の略中央に設けられている。本実施形態において、つまみ部72は、スライドクリップ70を往復動作させる動作力を作業者が作用させる際の作業補助部として機能する。なお、スライド部71のうち、つまみ部72が延びる側の面が上記「表面」に対応するとともに、つまみ部72が延びる側と反対側の面が上記「裏面」に対応する。
【0045】
スライド部71には、スライド部71の裏面側から延びる保持部73が設けられている。保持部73は、スライド部71の長手方向に尖状をなす側に設けられている。保持部73は、スライド部71の長辺側から見た場合に三角形をなす平板状をなしている。保持部73には、スライド部71の長手方向に尖状をなす側に突出する爪部73aが設けられている。
【0046】
特に
図7に示すように、爪部73aは、先端から基端であるスライド部71側に向かって肉厚方向の厚みが徐々に増すように構成されている。これにより、爪部73aの表面側には、スライド部71の長手方向に対して肉厚方向に傾斜する傾斜面73bが設けられている。
【0047】
スライド部71には、スライド部71の長手方向に尖状をなす側と反対側の短辺から延びる一対のスリット71aがそれぞれ設けられている。この場合、一対のスリット71aと、当該スリット71aにそれぞれ隣接するスライド部71の長辺との間の部位には、片状の両面側係合片74がそれぞれ設けられている。両面側係合片74には、表面側に突出し、隣接するスライド部71の長辺側に延びる表面側係合部74aがそれぞれ設けられている。また、両面側係合片74には、裏面側に突出し、隣接するスライド部71の長辺側に延びる裏面側係合部74bがそれぞれ設けられている。
【0048】
一方、一対のスリット71aの間の部位には、片状の中間係合片75が設けられている。中間係合片75には、裏面側に突出する裏面凸部75aが設けられている。
スライド部71には、スリット71aと反対側、すなわちスライド部71の長手方向に尖状をなす側から延びる一対のスリット71bがそれぞれ設けられている。この場合、一対のスリット71bと、当該スリット71bにそれぞれ隣接するスライド部71の長辺との間の部位には、片状の爪側係合片76がそれぞれ設けられている。爪側係合片76には、表面に対して凹状をなす複数(本実施形態では、2つ)の位置固定凹部76aがそれぞれ設けられている。位置固定凹部76aは、爪側係合片76が延びる方向に所定間隔を空けて設けられている。
【0049】
図3に拡大して示すように、スライドクリップ70は、それぞれ係合されるクリップ係合部68aに隣接する導通部63aに対して爪部73aの先端を向けた状態で係合されている。この場合、クリップ係合部68aにおいて、スライドクリップ70の両面側係合片74と係合する部位であるクリップ係合部68aの両側の長辺には、当該長辺に沿って延びる片状のガイド片68bがそれぞれ設けられている。また、クリップ係合部68aにおいて、スライドクリップ70の中間係合片75と係合する部位であるクリップ係合部68aの一方側の短辺には、他方側の短辺に向かって突出する移動規制部68cが設けられている。また、クリップ係合部68aにおいて、スライドクリップ70におけるスライド部71の長手方向に尖状をなす側の部位と係合する部位であるクリップ係合部68aの導通部63aに隣接する側の短辺には、他方側の短辺に向かって迫り出してなる板支持部68dが設けられている。また、クリップ係合部68aにおいて、スライドクリップ70の爪側係合片76と係合する部位であるクリップ係合部68aの導通部63aに隣接する側の2つの角には、表面側に突出した状態で、長辺に沿って延びる位置固定部68eがそれぞれ設けられている。
【0050】
また、
図3のVIIIa−VIIIa線である
図8(a)、及び
図3のVIIIb−VIIIb線断面図である
図8(b)に示すように、クリップ係合部68aのガイド片68bには、裏面側に突出する抜け防止凸部68baが設けられている。同じくクリップ係合部68aの移動規制部68cには、表面側に突出する移動規制凸部68caが設けられている。同じくクリップ係合部68aの位置固定部68eには、裏面側に突出する複数(本実施形態では2つ)の位置固定凸部68eaがそれぞれ設けられている。位置固定凸部68eaは、位置固定部68eが延びる方向に所定間隔を空けて設けられている。
【0051】
これにより、スライドクリップ70は、両面側係合片74の表面側係合部74a及び裏面側係合部74bによって、ガイド片68b及び当該ガイド片68bが設けられている部位を表面及び裏面の両側から挟み込むようにして、クリップ係合部68aにそれぞれ係合される。この場合、スライドクリップ70が往復動作するなかで、ガイド片68bの抜け防止凸部68baに対して、両面側係合片74の裏面側係合部74bが引っ掛かり、スライドクリップ70の抜け落ちがそれぞれ防止される。
【0052】
また、スライドクリップ70は、中間係合片75によって、移動規制部68cを表面側から押さえるようにして、クリップ係合部68aにそれぞれ係合される。なお、中間係合片75の裏面凸部75aは、移動規制部68cの移動規制凸部68caと比較してスライドクリップ70側に配置される。この場合、スライドクリップ70が往復動作するなかで、移動規制部68cの移動規制凸部68caに対して、中間係合片75の裏面凸部75aが引っ掛かり、スライドクリップ70の移動がそれぞれ規制される。
【0053】
また、スライドクリップ70は、スライド部71の長手方向に尖状をなす側の部位によって、板支持部68dにより裏面側から支持されるようにして、クリップ係合部68aにそれぞれ係合される。この場合、スライドクリップ70が往復動作するなかで、板支持部68dに対して、スライド部71が摺動し、スライドクリップ70の移動がそれぞれガイドされる。
【0054】
また、スライドクリップ70は、爪側係合片76によって、位置固定部68eを裏面側から押すようにして、クリップ係合部68aにそれぞれ係合される。この場合、スライドクリップ70が往復動作するなかで、位置固定部68eの位置固定凸部68eaに対して、爪側係合片76の位置固定凹部76aが1つ又は2つ嵌り込み、スライドクリップ70の位置がそれぞれ固定(ロック)される。
【0055】
すなわち、スライドクリップ70は、往復動作するなかで、位置固定部68eの位置固定凸部68eaに対して、爪側係合片76の位置固定凹部76aの1つが嵌り込む1点固定位置と、爪側係合片76の位置固定凹部76aの2つが嵌り込む2点固定位置とがそれぞれ切り替えられる。
【0056】
例えば、
図8(a),(b)に示すように、1点固定位置の場合、両面側係合片74の裏面側係合部74bと、ガイド片68bの抜け防止凸部68baとが当接し、中間係合片75の裏面凸部75aと、移動規制部68cの移動規制凸部68caとが当接している。この場合、スライドクリップ70は、治具の使用状態で、保持部73がPCU基板5の切欠き55から離脱される位置であって、保持部73がPCU基板5を開放する開放位置に固定される。以下の説明では、1点固定位置を「開放位置」という。
【0057】
また、例えば、
図9(a),(b)に示すように、2点固定位置の場合、両面側係合片74の裏面側係合部74bと、ガイド片68bの抜け防止凸部68baとが離間し、中間係合片75の裏面凸部75aと、移動規制部68cの移動規制凸部68caとが離間している。この場合、スライドクリップ70は、治具の使用状態で、保持部73がPCU基板5の切欠き55に係合される位置であって、保持部73がPCU基板5を保持する保持位置に固定される。以下の説明では、2点固定位置を「保持位置」という。
【0058】
以下、基板用治具6を用いることによって、PCU1からPCU基板5が取り外される際の手順について説明する。
図10に示すように、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、まず締結具25による固定がそれぞれ解除され、ケース2からカバー3が取り外される。この場合、PCU基板5は、その実装面50a側(内部コネクタ52、半導体素子53、外部コネクタ54)が切欠き55及び締結具24とともに露出される。その後、カバー締結部20aのうち対角線上の一対のカバー締結部20aには、締結具25の替わりに棒状のガイド8がそれぞれ挿入される。
【0059】
続いて、ガイド8には、ガイド孔62が嵌め込まれるように、基板用治具6が取り付けられる。この場合、
図10に拡大して示すように、スライドクリップ70、すなわち保持部73の爪部73aは、開放位置にそれぞれ固定されている。また、本体部60は、裏面側がPCU基板5の実装面50aに対向するように設置される。
【0060】
図10に矢印で示すように、基板用治具6は、ガイド孔62がガイド8を沿うようにして、PCU基板5に接近するように移動させられる。この場合、作業者は、本体部60の突出部61のうちガイド孔62が設けられていない突出部61を把持する等して作業を進める。
【0061】
続いて、
図11及び
図12に示すように、本体部60がPCU基板5に対して重ねられるように設置される。この場合、位置決めピン66がPCU基板5の位置決め孔56に挿入されるとともに、位置決めボス67がPCU基板5の実装面50aに当接することによって、PCU基板5に対して基板用治具6が位置決めされた治具の使用状態となる。これにより、導通部63aを通じて締結具24がそれぞれ露出されるとともに、コネクタ露出部64aを通じて内部コネクタ52がそれぞれ露出される。また、コネクタ被覆部65により外部コネクタ54が被覆される。
【0062】
また、スライドクリップ70において、保持部73(爪部73a)は、本体部60がPCU基板5に対して重ねられる方向、すなわち本体部60(スライド部71)の肉厚方向から切欠き55に進入させられる。なお、保持部73の爪部73aは、PCU基板5の実装面50aの反対側まで達する。本実施形態において、本体部60(スライド部71)の肉厚方向を第1方向とする場合、本体部60(スライド部71)の肉厚方向に直交する方向である本体部60(スライド部71)の長手方向は第2方向となる。
【0063】
続いて、
図11及び
図12に拡大して示すように、スライドクリップ70が開放位置から保持位置に切り替えられる。この場合、作業者は、つまみ部72を介してスライドクリップ70を動作させる動作力をそれぞれ作用させる。これにより、基板用治具6は、PCU基板5を保持する。
【0064】
具体的には、
図13(a)に示すように、治具の使用状態において、スライドクリップ70が開放位置の場合、保持部73は、本体部60がPCU基板5に対して重ねられる方向から切欠き55に進入されている。この場合、保持部73の爪部73aは、対向する切欠き55の部位に対して離間されるように、保持部73が切欠き55から離脱する位置に固定されている。
【0065】
図13(b)に示すように、スライドクリップ70が開放位置から保持位置に切り替えられる過程で、保持部73の爪部73aは、対向する切欠き55の部位に対して接近するように移動する。この接近する方向は、保持部73の切欠き55への進入方向に直交する方向である。この場合、保持部73(爪部73a)は、切欠き55に進入した状態を維持しながら移動する。
【0066】
また、保持部73の爪部73aは、対向する切欠き55の部位に対して接触した後、当該切欠き55の部位を傾斜面73bに沿わせるように移動する。これにより、切欠き55に対する保持部73(スライドクリップ70)の動作が無理なくガイドされる。このガイドによって、切欠き55に対する保持部73の動作が比較的小さな力で無理なく実施される。
【0067】
そして、
図13(c)に示すように、保持部73の爪部73aは、対向する切欠き55の部位に対して係合されるように、保持部73が切欠き55に係合する位置に固定される。この場合、保持部73(爪部73a)は、切欠き55に進入した状態を維持しながら係合される。これにより、基板用治具6は、スライドクリップ70のそれぞれの保持部73と、本体部60のそれぞれの位置決めボス67との間で、PCU基板5を挟み込んで保持する。
【0068】
続いて、
図14に示すように、締結具24による固定がそれぞれ解除され、ケース2へのPCU基板5の固定が解除される。この場合、作業者は、基板用治具6の凹部63により周囲が囲われている導通部63aを通じて露出されている締結具24に対して、工具等を用いて作業を進める。なお、ケース2へのPCU基板5の固定が解除される場合、内部コネクタ52と、電流センサ、インバータ、昇降圧コンバータとの電気的な接続も合わせて解除される。
【0069】
その後、基板用治具6とともにPCU基板5がケース2から取り外される。この場合、
図14に拡大して示すように、スライドクリップ70は、保持位置にそれぞれ固定されている。
【0070】
図14に矢印で示すように、基板用治具6は、ガイド孔62がガイド8を沿うようにして、ケース2から離間するようにPCU基板5とともに移動させられる。この場合、作業者は、本体部60の突出部61のうちガイド孔62が設けられていない突出部61を把持する等して作業を進める。
【0071】
続いて、
図15に示すように、ガイド8からガイド孔62が抜き出されるように、基板用治具6が取り外される。これにより、PCU1からのPCU基板5の取り外しが完了する。その後、
図10に拡大して示したのと同様、スライドクリップ70が保持位置から開放位置に切り替えられる。これにより、基板用治具6は、PCU基板5を開放する。
【0072】
そして、
図15に矢印で示すように、基板用治具6は、本体部60がPCU基板5から離間するように、PCU基板5から取り外される。
なお、上述の作業を逆から進めることによって、PCU1から取り外したPCU基板5をPCU1へ取り付けることができる。すなわち、作業者は、基板用治具6にPCU基板5を保持させる、基板用治具6をガイド8に取り付ける、基板用治具6とともにPCU基板5をケース2に対して設置する、締結具24を介してPCU基板5をケース2に固定する。これにより、PCU1へのPCU基板5や他のPCU基板の取り付けが完了する。これは、PCU1から取り外したPCU基板5の替わりに、他のPCU基板をPCU1へ取り付ける場合も同様である。
【0073】
以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果を奏する。
(1)
図12や
図13(a)〜(c)に示すように、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、スライドクリップ70において、保持部73(爪部73a)は、PCU基板5の外郭内側に設けられている切欠き55に係合するように、当該PCU基板5の外郭内側に配置されるようになる。この場合、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、保持部73は、PCU基板5の外郭外側に配置されることがなくなり、PCU基板5の郭外側に、保持部73が配置されるスペースがない状況であってもPCU基板5を保持することができる。これにより、より多くのPCU基板5の取付状況で基板用治具6を用いることができる。
【0074】
(2)なお、基板用治具6の保持部73とPCU基板5の切欠き55とが係合する過程で、保持部73がPCU基板5の外郭外側に配置される状況が存在していると、基板用治具6を用いることができるPCU基板5の取付状況が制限されてしまう。
【0075】
その点、本実施形態によれば、
図13(a)に示すように、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、保持部73は、本体部60がPCU基板5に対して重ねられる方向から切欠き55に対して進入されるようになる。
【0076】
この場合、
図13(b)に示すように、保持部73とPCU基板5の切欠き55とが係合する過程においても、保持部73がPCU基板5の外郭外側に配置されることがなくなる。これにより、基板用治具6を用いることができるPCU基板5の取付状況が制限されてしまうことを抑制することができる。
【0077】
(3)PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、保持部73は、PCU基板5の外郭外側に配置されることなく、PCU基板5の保持と開放とが自在に切り替えられるようになる。この場合、PCU1へのPCU基板5の取り付けの際にも基板用治具6を用いることができる。これにより、基板用治具6では、PCU1からのPCU基板5の取り外しとともに、PCU1へのPCU基板5の取り付けを補助することができ、用いられる状況の幅を広げることができる。
【0078】
(4)保持部73が保持位置に切り替えられる場合に、PCU基板5の切欠き55を保持部73の傾斜面73bに沿わせるようにして、保持部73の切り替え作業であるスライドクリップ70の切り替え作業が補助される。この場合、保持部73が保持位置に切り替えられるように動作させる際に必要な力、すなわちスライドクリップ70を動作させる際に必要な力を比較的小さくすることができる。
【0079】
(5)基板用治具6では、保持部73の爪部73aに対して傾斜面73bが設けられるようにしている。すなわち、保持部73がPCU基板5の切欠き55に係合される場合、当該切欠き55の構成に関係なく、スライド部71の長手方向に対してスライド部71の肉厚方向に傾斜する傾斜面を介した係合が実現される。これにより、保持部73が保持位置に切り替える場合に、スライドクリップ70の切り替え作業を容易にするための機能を、保持部73の構成によって基板用治具6に付加することができる。
【0080】
(6)基板用治具6では、治具の使用状態で、締結具24への接触を可能にする導通部63aが設けられるようにしている。また、導通部63aは、凹部63が壁となって周辺が囲まれるように構成されている。
【0081】
すなわち、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、PCU基板5を保持した状態で締結具24による固定をそれぞれ解除することができるようになる。この場合、締結具24による固定を解除する場合に、当該締結具24がPCU基板5側へ脱落しても、PCU基板5に実装されている半導体素子53等の部品を傷付けることが抑制される。これにより、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、PCU基板5に実装されている半導体素子53等が傷付くことを抑制するための機能を、本体部60の構成によって基板用治具6に付加することができる。
【0082】
(7)本実施形態のように、外周が壁部Wによって囲まれてなるケース2を有するPCU1を取付対象とする場合、PCU基板5の外郭外側に、保持部73を配置するスペースがない状況が生じうる。この極端な例としては、PCU1のケース2に対してその壁部Wの内側と略隙間なくPCU基板5が取り付けられる場合が挙げられる。この極端な例の場合であっても、PCU1からのPCU基板5の取り外しの際、保持部73は、PCU基板5の外郭外側に配置されることがないので、PCU基板5を効果的に保持することができる。これにより、外周が壁部Wによって囲まれてなるケース2を有するPCU1に関して、上記極端な例の場合を含みより多くのPCU1で基板用治具6を用いることができる。
【0083】
(第2実施形態)
次に、基板用取り外し治具の第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成などは、同一の符号を付すなどして、その重複する説明を省略する。
【0084】
図16に示すように、本実施形態において、本体部60には、凹部68と、クリップ係合部68aと、スライドクリップ70とが設けられる替わりに、複数(本実施形態では、4つ)のスナップフィット80がそれぞれ設けられている。
【0085】
スナップフィット80は、上記第1実施形態において、凹部68及びクリップ係合部68aが設けられていた部位周辺であって、治具の使用状態で、PCU基板5の切欠き55に対向する位置にそれぞれ設けられている。本実施形態において、スナップフィット80は、本体部60に対して一体的に設けられているが、本体部60に対して上記第1実施形態における凹部68等の構成を介して係合されるようにして設けられていてもよい。
【0086】
具体的には、スナップフィット80は、合成樹脂等の樹脂材料からなり、本体部60の表面側に突出する三角柱状の土台部81をそれぞれ備えている。土台部81には、鉤状の掛け部82が設けられている。掛け部82は、土台部81の本体部60の反対側の端部(尖状の端部)に設けられている。
【0087】
土台部81には、土台部81に対して接離する方向に揺動可能な保持部83が片状の接続部84を介して接続されている。保持部83は、長辺及び短辺を有するとともに、土台部81の壁面81aに対向する対向面を有する平板状をなしている。
【0088】
保持部83には、一方側の短辺から長手方向に突出する一対の爪部83aがそれぞれ設けられている。一対の爪部83aは、保持部83の一方側の短辺の2つの角からそれぞれ延びるように設けられており、互いに接離する方向に弾性変形可能に設けられている。爪部83aは、その先端が土台部81に対向する反対側以外の方向に突出するようにそれぞれ構成されている。爪部83aの先端には、その突出する側の外周が面取りされることによって、傾斜面83bが設けられている。
【0089】
保持部83において、爪部83aが延びる側と反対側の端部83cは、土台部81の掛け部82と対向する位置まで延びている。これにより、保持部83の端部83cは、保持部83が土台部81(対向面81)に対して揺動した際に掛け部82に係合可能に構成されている。
【0090】
本実施形態において、保持部83の長手方向を第1方向とする場合、保持部83の長手方向に直交する方向である爪部83aの先端が突出する方向は第2方向となる。なお、保持部83の長手方向は本体部60の肉厚方向と一致する。
【0091】
スナップフィット80は、保持部83が土台部81に対して揺動するなかで、土台部81の掛け部82に対して保持部83の端部83cが係合しない又は係合する、保持部83の位置がそれぞれ固定(ロック)される。
【0092】
すなわち、スナップフィット80は、保持部83が土台部81に対して揺動するなかで、土台部81の掛け部82に対して保持部83の端部83cが係合しない非係合位置と、土台部81の掛け部82に対して保持部83の端部83cが係合する係合位置とがそれぞれ切り替えられる。
【0093】
図17(a)に示すように、非係合位置の場合、スナップフィット80は、治具の使用状態で、保持部83がPCU基板5の切欠き55に係合される位置であって、保持部83がPCU基板5を保持する保持位置の状態となる。
【0094】
具体的には、保持部83は、基板用治具6がPCU基板5に接近するように移動させられる過程で、一対の爪部83aが傾斜面83b側から対応するPCU基板5の切欠き55に進入させられる。この場合、一対の爪部83aは、傾斜面83b側が切欠き55にそれぞれ接触し、傾斜面83bを沿うようにして互いに接近する方向にそれぞれ弾性変形しながら切欠き55に進入させられる。そして、一対の爪部83aは、傾斜面83bが切欠き55を通過すると、弾性変形から復元する。これにより、一対の爪部83aは、先端側が切欠き55に係合される(
図17(a)に示す保持位置の状態)。
【0095】
また、
図17(b)に示すように、係合位置の場合、スナップフィット80は、保持部83がPCU基板5の切欠き55から離脱される位置であって、保持部83がPCU基板5を開放する開放位置の状態となる。なお、本実施形態において、スナップフィット80は、基板用治具6とともにPCU基板5がケース2から取り外され、ガイド8から基板用治具6が取り外された後に係合位置に切り替えられる。
【0096】
具体的には、作業者は、保持部83の端部83c側を押す等して、保持部83を土台部81に対して揺動させる動作力をそれぞれ作用させる。この場合、保持部83は、端部83c側が土台部81に接近するように揺動させられる。これにより、一対の爪部83aは、先端側が切欠き55からそれぞれ離脱される(
図17(b)に示す開放位置の状態)。
【0097】
以上に説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)、(2)、(6)、(7)に準じた作用及び効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
【0098】
・上記第1実施形態において、スライドクリップ70では、保持部73及び爪部73aの構成が少なくとも維持されていればよい。この場合、スライドクリップ70を動作させるための構成、すなわちクリップ係合部68aに係合させるための構成については、本体部60の長手方向にそれぞれ往復動作可能に構成されていればよく、詳細な構成を変更してもよい。例えば、つまみ部72は、設けられているか設けられていないかは問わない。これは、上記第2実施形態についても同様であり、保持部83が土台部81に対して揺動可能に構成されていればよく、例えば、保持部83が土台部81に対して揺動不能に構成を変更してもよい。このような上記第2実施形態の構成を変更する場合には、基板用治具6がPCU基板5に離間するように移動させられることで、互いに接近する方向にそれぞれ弾性変形しながら切欠き55から離脱されるように構成すれば、PCU1から取り外したPCU基板5をPCU1へ取り付ける際にも保持部83を有する基板用治具6を用いることができる。
【0099】
・上記第1実施形態では、PCU基板5の実装面50aの内部コネクタ52や半導体素子53の配置によって、スライドクリップ70を配置するスペースを確保できない場合もある。スライドクリップ70を配置するスペースを確保できない部位に対しては、スライドクリップ70の替わりに、保持部73及び爪部73aの構成が少なくとも維持されるように小型化したスライドクリップを用いるようにしてもよい。この小型化したスライドクリップとしては、例えば、つまみ部72と保持部73とを互いに近付けるように構成を変更してもよい。この場合には、スライドクリップ70に対して長手方向の大きさを小型化することができる。その他、小型化したスライドクリップとしては、スライド部71に対して保持部73が設けられる位置を本体部60の内側に寄せるように構成を変更してもよい。この場合には、スライドクリップ70に対して短手方向の大きさを小型化することができる。
【0100】
・上記第1実施形態において、爪部73aの表面側には、傾斜面73bが設けられていなくてもよい。すなわち、爪部73aの表面側には、スライド部71の長手方向に対して平坦な平坦面が設けられていてもよい。この場合、例えば、PCU基板5の切欠き55の周縁(少なくとも保持部73の爪部73aと対向する部位)のうち特に裏面側には、基板本体50の長手方向に対して肉厚方向に傾斜する傾斜面が設けられるようにしてもよい。これにより、爪部73aの表面側に傾斜面73bが設けられていなくても、上記第1実施形態の(4)、(5)に準じた作用及び効果を得ることができる。
【0101】
・上記第1実施形態において、保持部73がPCU基板5を保持する機能を維持することができる場合、爪部73aの傾斜面73bを残しつつ、PCU基板5の切欠き55の周縁(少なくとも保持部73の爪部73aと対向する部位)のうち特に裏面側には、基板本体50の長手方向に対して肉厚方向に傾斜する傾斜面が設けられるようにしてもよい。
【0102】
・上記各実施形態において、導通部63aは、本体部60を肉厚方向に貫通する貫通孔であればよく、周囲が壁によって囲われていなくてもよい。
・上記各実施形態では、締結具24によるケース2へのPCU基板5の固定を解除した後、基板用治具6を用いてPCU1からのPCU基板5の取り外しを実施するようにしてもよい。この場合、本体部60には、導通部63a、すなわち凹部63が設けられないようにすることができる。
【0103】
・上記各実施形態では、内部コネクタ52と、電流センサ、インバータ、昇降圧コンバータとの電気的な接続を解除した後、基板用治具6を用いてPCU1からのPCU基板5の取り外しを実施するようにしてもよい。この場合、本体部60には、コネクタ露出部64a、すなわち凹部64が設けられないようにすることができる。つまり、本体部60は、治具の使用状態で、PCU基板5の実装面50a全体を被覆するように構成されていてもよい。
【0104】
・上記各実施形態において、PCU基板5の切欠き55は、PCU基板5の実装面50aへの半導体素子53の実装等の作業時の作業補助部として機能するものであるので、PCU1の仕様等によっては上記各実施形態に対して切欠きの数、配置、形状が異なる場合がある。この場合、切欠きの数、配置、形状に応じた数、配置、形状でスライドクリップ70及びスナップフィット80を変更して構成すればよい。一方、PCU基板5の切欠き55は、基板用治具6がPCU基板5を保持するための専用の構成であってもよい。この場合、専用の切欠きの数、配置、形状に応じた数、配置、形状でスライドクリップ70及びスナップフィット80を変更して構成すればよい。例えば、専用の切欠きの数は、例えば、3つや5つ以上としてもよいし、PCU基板5を保持可能であれば2つとしてもよい。
【0105】
・上記各実施形態において、保持部73,83(爪部73a,83a)がPCU基板5の外郭内側に設けられている切欠き55に係合するように、当該PCU基板5の外郭内側に配置されるように構成されていればよく、PCU基板5には、切欠き55の替わりに、基板本体50を肉厚方向に貫通する孔が設けられるようにしてもよい。こうした孔は、PCU基板5の外郭内側に設けられていることは言及するまでもない。その他、基板本体50には、切欠き55の替わりに、実装面50aから基板本体50の肉厚方向に延びるように、例えば、鉤状の係合部が設けられるようにしてもよい。こうした係合部は、保持部73,83の爪部73a,83aが係合可能に構成されていればよく、基板本体50に一体的に設けられているか別体として設けられているかは問わない。
【0106】
・上記各実施形態において、保持部73,83(爪部73a,83a)がPCU基板5の外郭内側に設けられている切欠き55に係合するように、当該PCU基板5の外郭内側に配置されるように構成されていればよく、保持部73,83は、締まりばめや圧入によってPCU基板5の切欠き55に係合されるようにしてもよい。この場合、保持部73,83に爪部73a,83aが設けられていなくても、上記第1実施形態の(1)に準じた作用及び効果を得ることができる。
【0107】
・上記各実施形態の基板用治具6は、言及するまでもなく外周が壁によって囲まれなるケースを有するか否かに関係なく、基板の取り外しの際に用いることができる。例えば、上記基板用治具6は、モータと制御基板とが一体化されてなるユニットから当該制御基板を取り外す際に用いることもできるし、基台に取り付けられている基板を当該基台から取り外す際に用いることもできる。
【0108】
・各変形例は、互いに組み合わせて適用してもよく、例えば、PCU基板5に切欠き55の替わりに、基板本体50を肉厚方向に貫通する孔を設けることと、その他の変形例の構成とは、互いに組み合わせて適用してもよい。