(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617095
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】収納庫とカートを連結する連結構造
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20191125BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20191125BHJP
B62B 3/10 20060101ALI20191125BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20191125BHJP
A21B 3/15 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
B62B5/00 C
B65G1/00 501C
B62B3/10 Z
B62B3/00 D
A21B3/15
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-225294(P2016-225294)
(22)【出願日】2016年11月18日
(65)【公開番号】特開2018-79896(P2018-79896A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】花井 崇
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 隆史
【審査官】
森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−006802(JP,A)
【文献】
特開2005−125858(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0072646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
A21B 3/15
B62B 3/00
B62B 3/10
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納庫と、前記収納庫の前側から収納物を運ぶカートを着脱可能に連結する連結構造であり、
前記カートは、前記収納庫の底部と同じ高さにて前記収納物を載置する天板部と、前記天板部の後端部から後方に突出して設けたガイド板と、前記ガイド板の上側に設けられて前記収納庫と前記カートを連結する連結板とを備え、
前記収納庫の底部には、前記収納物を載置する上板部と、前記上板部の周縁部下側に設けた側壁部と、前記側壁部を構成する前側壁部に前記ガイド板が挿通されるガイド孔と、前記上板部の前部に形成された前記連結板に係合する係合孔とを形成したベースプレートを備え、
前記連結板は前記ガイド板の上側にて後端部が上下動するように前端部が水平軸線回りに回動可能に軸支され、前記連結板の後端部には前記ベースプレートの上板部の上側から斜め前下方に延びて前記係合孔に着脱可能に係合されるフック部と、前記連結板の前端部には下側に延びる操作板部とを備え、
前記天板部には前後方向に移動可能に支持されて前記操作板部を押動操作して前記連結板を回動させる操作棒を備えたことを特徴とする収納庫とカートの連結構造
【請求項2】
請求項1に記載の収納庫とカートの連結構造において、
前記カートの前部にはカートの移動操作に用いるハンドルを前方に突出して設け、前記操作棒の前端部に設けた操作摘みを前記カートと前記ハンドルとの間に配置したことを特徴とする収納庫とカートの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納庫と、収納庫内に収納するモービルラックを運ぶためのカートとを連結する連結構造である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはスチームコンベクションオーブン等の加熱調理器にホテルパン等のトレーを多段上に支持するラック(子台車)ごと調理庫に収納する親子台車の発明が開示されている。この親子台車は、ワゴン状の親台車と、親台車に載せられて搬送可能な子台車とから構成され、親台車は搬入先である加熱調理器への移動に用いられ、子台車は親台車と調理庫との間を走行して出し入れされる。親台車は、略矩形のボックス状に組み立てられた台枠を備え、台枠の下部四隅に移動のためのキャスターを備えている。親台車の台枠の上部には上方へ開口した浅い箱状のレール皿が設けられており、レール皿の上側に子台車が載せられる。
【0003】
レール皿の前端部にはレール皿と調理庫とを架け渡す渡し板が設けられており、レール皿の上側に載せた子台車はこの渡し板を通って調理庫に移動可能となる。渡し板は、先端部を上方へ上げた格納位置と先端部を水平に下げた展開位置との間で回動されるように、レール皿の前端部に水平軸線回りに回動可能に支持されている。渡し板の下側にはカムが設けられており、カムの回動によって格納位置と展開位置との間で回動される。また、レール皿の下側にはカムを回動させるカム軸が設けられており、カムはカム軸の先端部に設けたハンドルの回動操作によって回動する。調理庫の底部には上方に突出する突部が設けられており、渡し板には突部が係合する係合孔が設けられている。渡し板を調理庫に架け渡すときに、渡し板の係合孔に調理庫の突部を係合させることで、渡し板は調理庫に連結される。
【0004】
また、特許文献2には搬送台車を電動車両に連結してバッテリの交換に用いるバッテリ交換装置の発明が開示されている。バッテリ交換装置の搬送台車には前方に延びるロック部材が設けられており、電動車両にはロック部材が係合するロック孔が設けられている。ロック部材は自然状態においてはばねによってロック方向に付勢されており、搬送台車を電動車両に近づけると、ロック部材は電動車両に設けたスロープ板の表面を案内されてロック解除方向に回動し、電動車両がバッテリの乗せ替え位置までくると、ロック部材がロック孔の上側に至ってロック孔に係合し、搬送台車が電動車両に連結される。また、搬送車両にはロック部材を回動させる操作レバーが設けられており、操作レバーはリンク部材によってロック部材に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−006802号公報
【特許文献2】特開2003−212125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の親子台車では、親台車と調理庫を連結するときに、渡し板をハンドルの回動操作によって格納位置から展開位置に回動させなければならなく面倒であった。これに対し、特許文献2の搬送台車は、電動車両に近づけるだけで、ロック部材がスロープ板の表面を案内されてロック孔の上側に移動して自重によってロック孔に係合するようになるものの、ロック部材はばねによってロック方向に付勢されているとともに、多数の部品よりなるリンク機構によって操作されるため、部品点数が多くコストが高くなる問題があった。本発明は、収納庫内に収納する収納物を運ぶための収納庫とカートを連結する連結構造の操作性を良好にしつつコストを低廉に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、収納庫と、収納庫の前側から収納物を運ぶカートを着脱可能に連結する連結構造であり、カートは、収納庫の底部と同じ高さにて収納物を載置する天板部と、天板部の後端部から後方に突出して設けたガイド板と、ガイド板の上側に設けられて収納庫とカートを連結する連結板とを備え、収納庫の底部には、収納物を載置する上板部と、上板部の周縁部下側に設けた側壁部と、側壁部の前面にガイド板が挿通されるガイド孔と、上板部の前部に形成された連結板に係合する係合孔とを形成したベースプレートを備え、連結板はガイド板の上側にて後端部が上下動するように前端部が水平軸線回りに回動可能に軸支され、連結板の後端部にはベースプレートの上板部の上側から斜め前下方に延びて係合孔に着脱可能に係合されるフック部と、連結板の前端部には下側に延びる操作板部とを備え、天板部には前後方向に移動可能に支持されて操作板部を押動操作して連結板を回動させる操作棒を備えたことを特徴とする収納庫とカートの連結構造を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した収納庫とカートの連結構造においては、カートを収納庫の前側から収納庫に近づくように移動させたときに、連結板の後端部のフック部はベースプレートの上板部と周壁部の角部に当たることで、連結板はカートの移動ともに上側に回動する。連結板のフック部の下端は上板部の上側にて係合孔の上側に移動し、連結板は自重によって下側に回動してフック部が係合孔に係合し、カートは収納庫のベースプレートに連結される。収納庫とカートとを連結した後で、操作棒を押動操作すると、連結板は先端部のフック部が上側に移動するように回動し、フック部が係合孔から離脱してカートが移動可能となり、カートを収納庫から前側に遠ざかるように移動させることができる。このように、簡易な構造で収納庫とカートを着脱可能に連結することができ、コストを低廉に抑えることができた。
【0009】
上記のように構成した収納庫とカートの連結構造においては、カートの前部にはカートの移動操作に用いるハンドルを前方に突出して設け、操作棒の前端部に設けた操作摘みをカートとハンドルとの間に配置するのが好ましい。このようにしたときには、カートを移動させる作業者が操作棒の操作摘みを接触したことによって誤って押動させるのをハンドルにより防ぐことができ、カートを誤って収納庫から離脱させるのを防ぐことができた。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】加熱調理器の扉を開放した状態の正面図である。
【
図2】加熱調理器の扉を開放した状態の斜視図である。
【
図4】トレイを収容したときのモービルラックの斜視図である。
【
図5】レールの様々な実施形態を示す概略図である。
【
図6】レールを着脱可能とした実施形態の概略図である。
【
図8】カートの下部にモービルラックを収容した状態での斜視図である。
【
図10】カートの天板部と調理庫のベースプレートの高さを調整するためのリンク機構を備えた実施形態の概略図である。
【
図11】調理庫とカートを連結した状態の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の収納庫とカートの連結構造の一実施形態として、モービルラック(収納物)を運ぶカートとスチームコンベクションオーブン等の加熱調理器の調理庫(収納庫)の連結構造の実施形態を添付図面を参照して説明する。加熱調理器10はスチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、調理庫12内を蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。この加熱調理器10は、一般的に作業者の腰の高さ程度(約800mm)のテーブルに設置されて使用される。
図1及び
図2に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内に食材を加熱調理するための調理庫12と、ハウジング11内にて調理庫12を除いた空間に機械室13を備えている。調理庫12の前部には食材を出し入れする前側開口12aが設けられており、前側開口12aにはこれを開閉する扉14が設けられている。調理庫12には食材を入れるホテルパン等のトレイTが上下方向に多段状に収納可能となっており、この実施形態では上下に10段のトレイTを収納可能している。この加熱調理器10は、調理庫12内に多数(10段)のトレイTを一度に素早く収納可能とするために、多数(10段)のトレイTを収容可能としたモービルラック20を用いて、モービルラック20ごとトレイTを調理庫12に収納させるものである。
【0012】
図1及び
図2に示したように、調理庫12の底部にはベースプレート15が設けられており、ベースプレート15はモービルラック20を載置する上板部15aと、上板部15aの周縁部下側に設けた側壁部15bとを備えている。ベースプレート15の側壁部15bを構成する前側壁部15b1には後述するカート30のガイド板34が挿通されるガイド孔15cが形成されており、ベースプレート15の上板部15aの前部には後述するカート30の連結板35が係合する係合孔15dが形成されている。また、ベースプレート15は前部が上動可能となるように調理庫12内に支持されている。ベースプレート15の上板部15aの前部上面の高さが後述するカート30の天板部31dの後部上面の高さより低いときに、ベースプレート15の上板部15aの前部上面はカート30の天板部31dの後部上面の高さと同じ高さに調整可能となっている。
【0013】
図3及び
図4に示したように、モービルラック20はホテルパン等のトレイTを上下に多段状(10段)に収容するものであり、トレイTを収容した状態で調理庫12内に収納されるものである。モービルラック20は略直方体形状のフレーム21を備え、フレーム21は前後左右の四隅に立設した支柱部材21aと、四隅の支柱部材21aを下端部で前後及び左右に連結する前後左右の水平部材21bと、四隅の支柱部材21aを上端部で連結する天板21cを備えている。また、フレーム21の下端部の前後に延びる左右の水平部材21bには車輪22が設けられており、モービルラック20は車輪22によって走行(移動)可能となっている。フレーム21の左右両側には前後の支柱部材21aとの間に前後に延びるレール21dが設けられており、レール21dはトレイTの上縁の左右のフランジ部を前後に摺動可能に支持するものである。この実施形態では左右のレール21dは支柱部材21aの上下方向に10箇所設けられている。
【0014】
図5(a)に示したように、レール21dは垂直板部と、垂直板部の上端及び下端から内側に延出させた上板部及び下板部を備えた内側に開いた略コ字形をしている。レール21dは、上板部を垂直板部から斜め上方、下板部を垂直板部から斜め下方となるように上下に開いた略コ字形をしており、レール21dの内側にトレイTの上縁の左右のフランジ部を入れやすくしている。また、レール21dの下板部は下側に傾斜しているために、トレイTの上縁の左右のフランジ部がレール21dの下板部に対して線接触により係止して、レール21dの下板部の先端部がトレイTの上縁のフランジ部を前後に摺動移動させても削られにくくなり、レール21dの下板部の先端部が鋭利に削られないようになる。
【0015】
なお、レール21dの形状は上下に開いたコ字形に限られるものでなく、
図5(b)に示したように、コ字形の下板部の先端をさらに上側に屈曲させた略G字形としたものや、
図5(c)に示したように、コ字形の下板部の上面先端に前後に延びるリブを形成したものであってもよい。また、レール21dの下板部の先端が鋭利に削られたときに容易に交換できるように、レール21dを支柱部材21aに着脱可能に取り付けるようにしてもよい。この場合に、
図6(a)に示したように、レール21dにはクランク部材を取り付け、クランク部材を支柱部材21aに形成したカギ形状の係合孔に係合させてもよいし、
図6(b)に示したように、レール21dには頭部大径のピンを取り付け、頭部大径のピンを支柱部材21aに形成しただるま形状の係合孔に係合させてもよい。頭部大径のピンをだるま形状の係合孔に係合させるようにして、レール21dを支柱部材21aに取り付けるようにしたときには、支柱部材21aにはレール21dの抜け止めのための抜け止め板を設けるようにするのが好ましい。
【0016】
フレーム21の前側および後側にはトレイストッパ23が回動自在に設けられており、トレイストッパ23はフレームの前側または後側位置にある係止位置にあるときにトレイTの前後の移動を規制している。
【0017】
図7及び
図8に示したように、カート30はモービルラック20を移動させることを目的としたものである。カート30は略直方体形状のフレーム31を備え、フレーム31は前後左右の四隅に立設した支柱部材31aと、四隅の支柱部材31aを下端部で前後及び左右に連結する前後左右の下部水平部材31bと、四隅の支柱部材31aを上端部で左右に連結する前後の上部水平部材31cと、上部水平部材31cの上側に設けた天板部31dを備えている。
【0018】
前後に延びる左右の下部水平部材31bには車輪32が設けられており、カート30は車輪32によって走行(移動)可能となっている。左右に延びる前後の下部水平部材31bには前後に延びる左右一対の収納レール33が設けられている。収納レール33は使用しないときのモービルラック20をフレーム31の内側に収納するためのものであり、
図8に示したように、モービルラック20は収納レール33の上側でフレーム31内に収容される。また、収納レール33にはモービルラック20の車輪22と対向する位置に凹部33aが形成されており、モービルラック20は車輪22を凹部33aに係合させることによって前後への移動が規制されている。
【0019】
天板部31dは上面にモービルラック20を載置するものであり、天板部31dの上面の高さは調理庫12内の底部に設けたベースプレート15の上板部15aの上面の高さと略同じとなっている。天板部31dの左右両側はモービルラック20の左右への移動を規制するために上側に折り曲げられた折曲部31eが形成されている。天板部31dの後端部(調理庫側)は後側の支柱部材31a及び後側の上部水平部材31cよりも後方に突き出ており、天板部31dの後端部は調理庫12の前端部に連結可能となっている。
【0020】
図7及び
図8に示したように、天板部31dの後端部の左右方向の中央部には切欠き部31fが形成されている。天板部31dの後端部下面には切欠き部31fが形成された位置を下側から覆うようにして後方(調理庫側)に突出するガイド板34が設けられており、ガイド板34は調理庫12の底部のベースプレート15のガイド孔15cに挿通可能となっている。
図9に示したように、ガイド板34は先端部に下側に傾斜した傾斜部34aを備えており、天板部31dの後部上面がベースプレート15の上板部15aの前部上面よりも少し高くなっていても、ガイド板34は傾斜部34aによってガイド孔15cに挿通可能となっている。天板部31dの後部上面がベースプレート15の上板部15aの前部上面よりも少し高くなっている状態で、ガイド板34を先端部の傾斜部34aからベースプレート15のガイド孔15cに挿通すると、ベースプレート15の上板部15aの前部上面が天板部31dの後部上面と同じ高さとなるように持ち上げられる。なお、
図10(a)に示したように、ベースプレート15の内部にベースプレート15を持ち上げるリンク機構を配設したり、
図10(b)に示したように、カート30のフレーム31に天板部31dを持ち上げるリンク機構を配設して、ベースプレート15の上板部15aの上面と天板部31dの上面とを同じ高さに調整可能としてもよい。
【0021】
図9に示したように、天板部31dの後端部には切欠き部31fが形成され位置にてガイド板34の上側に連結板35が水平軸線回りに回動可能に設けられており、連結板35は後端部が上下動するように前端部が水平軸線回りに回動可能に軸支されている。連結板35の後端には斜め前下方に延びるフック部35aが設けられており、フック部35aはベースプレート15の係合孔15dに係合可能となっている。また、ガイド板34の上側に配置される連結板35の後端、すなわちフック部35aの上端はベースプレート15の上板部15aよりも高い位置に配置されており、フック部35aの下端はベースプレート15の上板部15aよりも低い位置に配置されている。調理庫12の前側にあるカート30を調理庫12に近づくように後側に移動させたときに、連結板35のフック部35aはベースプレート15の上板部15aと前側壁部15b1との間の角部に当たり、連結板35は先端部のフック部35aが上板部15aの上側位置となるように上側に回動する。連結板35の前端部には下側に延びる操作板部35bが設けられており、操作板部35bを後側(調理庫側)に押動操作すると連結板35の先端部が上側に回動するようになっている。
【0022】
図9に示したように、天板部31dの下面には連結板35の前側にて操作棒36が前後方向に移動可能に支持されており、操作棒36は連結板35の操作板部35bを後側に押動操作するものである。操作棒36の前端部はフレーム31の前側の上部水平部材31cより前方に延び、操作棒36の前端部には操作棒36を押動操作するための操作摘み36aが設けられている。操作棒36の操作摘み36aを後側に移動するよう押動操作すると、連結板35の操作板部35bが後側に押されて、連結板35の後端部のフック部35aが上側に回動する。操作棒36の操作摘み36aを離すと、連結板35のフック部35aが自重によって下側に回動し、連結板35の操作板部35bが後側に押された状態から前側に戻り、操作棒36が後側に移動した状態から前側に戻される。
【0023】
図7〜
図9に示したように、フレーム31の前部(調理庫12側の反対側)にはカート30の移動操作に用いるハンドル37が前側(外側)に突出して設けられている。ハンドル37は後側に開いた略コ字形をし、後側の左右の支柱部材31aの上端部に固定されている。ハンドル37の内側にはカート30のフレーム31との間に操作棒36の操作摘み36aが配置されている。
【0024】
上記のように構成した調理庫12とカート30の連結構造を用いたときのカート30から調理庫12へのモービルラック20の移動作業について説明する。カート30の天板部31dの上面にモービルラック20を載置し、モービルラック20の各レール21dにホテルパン等のトレイTを収容する。この状態で、カート30を調理庫12の前側から調理庫12に近づけると、ガイド板34がベースプレート15のガイド孔15cに挿通され、連結板35のフック部35aがベースプレート15の上板部15aと前側壁部15b1との間の角部に当たって、連結板35は先端部のフック部35aが上側に回動する。連結板35のフック部35aの下端がベースプレート15の上板部15aの上側に至ると、連結板35のフック部35aが下側に回動し、フック部35aが上板部15aの係合孔15dに係合する。
図11に示したように、連結板35のフック部35aがベースプレート15の係合孔15dに係合することで、カート30の天板部31dが調理庫12のベースプレート15に連結される。
【0025】
カート30の天板部31dの上側のモービルラック20を調理庫12のベースプレート15の上側に移した後で、操作棒36の操作摘み36aを摘んで後側に移動するように押動操作すると、連結板35の操作板部35bは後側に押され、連結板35の先端部のフック部35aが上側に回動してベースプレート15の係合孔15dから離脱し、天板部31dと調理庫12のベースプレート15の連結状態が解除される。この状態で、カート30を前方に移動させると、カート30は加熱調理器10の調理庫12から離間させることができる。カート30を調理庫12の前側から前方に移動させた後で、操作棒36の操作摘み36aを離すだけで、連結板35のフック部35aが自重によって下側に回動し、連結板35の操作板部35bが後側に押された状態から前側に戻り、操作棒36が後側に移動した状態から前側に戻される。このように、本発明の調理庫12とカート30の連結構造は、簡易な構造でカート30と調理庫12を着脱可能に連結することができ、コストを低廉に抑えることができた。また、カート30の調理庫12側と反対側にはカート30の移動操作に用いるハンドル37を外側に突出して設け、操作棒36の操作摘み36aをカート30とハンドル37との間に配置した。これにより、カート30を移動させる作業者が操作棒36の操作摘み36aを接触したことによって誤って押動させるのをハンドル37により防ぐことができ、カート30を誤って調理庫12から離脱させるのを防ぐことができた。
【0026】
なお、この実施形態では、収納庫とカートの連結構造の一例として、加熱調理器10の調理庫12とカートの連結構造について説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、他の収納庫として、冷蔵庫、ブラストチラーの冷却庫等に、モービルラックのような収納物を収納するものであってもよい。
【符号の説明】
【0027】
12…収納庫(調理庫)、15…ベースプレート、15a…上板部、15b…側壁部、15b1…前側壁部、15c…ガイド孔、15d…係合孔、20…収納物(モービルラック)、30…カート、31d…天板部、34…ガイド板、35…連結板、35a…フック部、35b…操作板部、36…操作棒、36a…操作摘み、37…ハンドル。