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特許6617097抗生物質を用いて過体重および肥満の患者における感染を治療するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617097
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月4日
(54)【発明の名称】抗生物質を用いて過体重および肥満の患者における感染を治療するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20191125BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20191125BHJP
【FI】
   A61K31/4709ZMD
   A61P17/00 101
【請求項の数】5
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2016-502372(P2016-502372)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-513689(P2016-513689A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】US2014027220
(87)【国際公開番号】WO2014152332
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】61/790,179
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511118805
【氏名又は名称】メリンタ サブシディアリー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ダフィー、 エリン、 エム.
【審査官】 中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】 American Journal of Emergency Medicine,2012年,Vol.30,p.1212-1214
【文献】 Clinical Microbiology and Infection,2010年,Vol.16, Supplement 2,p.S116, O519
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−31/80
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過体重または肥満の患者における急性細菌性皮膚軟部組織感染症(ABSSSI)を治療するための組成物であって、デラフロキサシンまたはその医薬的に許容される塩もしくはエステルを含み、1日2回、前記デラフロキサシンまたはその医薬的に許容される塩もしくはエステルが治療有効量となるように静脈内投与により前記患者に投与され、前記治療有効量は前記患者の体重または体表面積に基づくものではなく、前記治療有効量は300mgである、前記組成物。
【請求項2】
前記過体重または肥満の患者のBMIが25以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記過体重または肥満の患者のBMIが30以上である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記過体重または肥満の患者のBMIが35以上である、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
前記過体重または肥満の患者のBMIが40以上である、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抗生物質を用いて過体重および肥満の患者における感染を治療する方法全般に関する。
【背景技術】
【0002】
米国疾病管理予防センター(CDC)の国立健康統計センター(NCHS)によって実施された米国健康栄養調査から集計された統計によると、2009〜2010年において、米国の成人の35.7%が肥満であることが見出された。Ogden, C.L. NCHS Data Brief 2012, 82、http://www.cdc.gov/nchs/data/databiefs/db82.pdfから入手可能(直近の閲覧 2013年3月2日)。過体重および肥満である個人では、高血圧症、変形性関節症、脂質異常症、II型糖尿病、心疾患、脳卒中、胆嚢疾患、睡眠時無呼吸および呼吸器の問題、ならびに特定の癌(膵臓、腎臓、前立腺、子宮内膜、胸部、および結腸の癌など)を含む多くの疾患ならびに慢性健康障害のリスクも増加する。
【0003】
加えて、肥満は、免疫系に影響を与える様々な因子を通して感染に対する感受性が高められることと関連付けられており、それによって、このような個人は、市中感染、術後感染、およびその他の院内感染をより起こしやすくなる。Falagas, M.E.; Kompoti, M. Lancet Infect. Dis. 2006, 6(7), 438-446を参照されたい。実際、重篤な感染に罹患している患者のうちの不均衡な割合が、過体重および肥満である。この患者集団には悪循環が存在し、それは、過体重および肥満の患者は、一般的に、健康状態が良くなく、感染を受ける可能性がより高く、入院を必要とする感染からの合併症を起こす可能性がより高く、そしてそういった患者は次に、そこでの院内感染、または他の患者、病院スタッフ、汚染された物体もしくは溶液、または自分自身からの病院内感染をより起こしやすいからである。正味の結果として、過体重および肥満の患者は、過体重や肥満ではない患者と比べて、抗生物質による治療が必要である可能性が高い。
【0004】
過体重および肥満の患者に対する抗生物質の用量の決定は、過体重および肥満の患者において薬物動態および薬力学が大きく変化し得ることが研究から見出されていることから、複雑であり得る。例えば、Wurtz, R. et al. Clin. Infect. Dis. 1997, 25, 112-118を参照されたい。患者に対する用量を決定する際に医師が用いるいくつかのパラメーター(分布容積(V)、薬物クリアランス(CL)、排出半減期(t1/2)など)は、患者の体重による影響を受け、過体重および肥満の患者の場合、特定することが特に困難であり得る。Hanley, M.J. et al. Clin. Pharmacokinetics 2010, 49(2), 71-87を参照されたい。例えば、過体重および肥満の患者において、腎機能および一部の肝機能が高められ、このことによって、抗生物質の用量決定に用いられる因子の算出が複雑となり得る。例えば、Griffin, K.A. et al. Am. J. Physiol. Renal. Physiol. 2008, 294(4), F685-F696を参照されたい。投与計画を決定する目的で腎機能(例:糸球体ろ過速度(GFR)またはクレアチニンクリアランス速度)を算出する方法は、多くの場合、患者の体重に関する変数を含む。特定の抗生物質など、腎臓から排せつされる薬物の用量調節に用いられる最も一般的な方法の1つは、コッククロフト・ゴールト式であり、これは、推定クレアチニンクリアランス速度を算出するものである。しかし、GFRが患者の体重増加に従って上昇することが見出されているため、コッククロフト・ゴールト式が全体重に依存していることは問題であり、過体重および肥満の患者において、この式の信頼性を低下させるものである。Chagnac A. et al. Am. J. Physiol. Renal. Physiol. 2000, 278, F817-F822;Pai, M.P. et al. Antimicrobial Agents Chemother. 2007, 51(8), 2741-2747を参照されたい。さらに複雑なことには、肥満度指数(Body Mass Index:BMI)、体表面積、標準体重(IBW)、除脂肪体重(Fat-Free Weight)、除脂肪体重(Lean Body Weight)、補正体重、IBW比、および予測正常体重など様々なその他の体重尺度が存在する。腎疾患における食事の修正式(Modification of Diet in Renal Disease)の1つ以上のバージョンを用いた推定GFR(eGFR)の腎クリアランスを算出する方法は、体重についての補正を行わないが、この方法では、過体重および肥満の患者の場合にeGFRが過小評価され、過少体重の患者の場合にeGFRが過大評価されることが公知であり、このような患者の場合の有用性は疑わしい。
【0005】
抗生物質投与の公知の方法は、少なくとも部分的に、患者の体重に依存することから、過体重および肥満の患者に提供される用量は、過体重および肥満ではない患者に提供される用量よりも多い。このように総用量が多いことにより、過体重および肥満の患者は、アレルギー、発疹、じん麻疹、アナフィラキシー、過敏症、そう痒、注入部位疼痛、疲労、胃腸障害、血小板減少症、光毒性、肝臓酵素上昇、糖代謝異常(dysglycemia)、QT延長、下痢、腹痛、悪心、嘔吐、薬物性発熱、血清病、腟カンジダ症、腎毒性、聴器毒性、眩暈、眼振、頭痛、肝毒性、食欲不振、溶血性貧血、末梢神経障害、潮紅、低血圧、かゆみ、静脈炎、味覚変化、光線過敏症、歯変色、嗜眠、偽膜性大腸炎、黄疸、および金属味錯覚などの抗生物質薬の毒性および副作用を受ける可能性が高くなる。http://www.internalmedicinenews.com/news/more-top-news/single-view/telavancin-adds-option-for-obese-patients-with-sssis/8eedc843f6.html(直近閲覧:2013年3月2日)で閲覧可能であるSusan London "Telavancin Adds Option for Obese Patients with SSSIs" Internal Medicine News Oct. 18, 2011を参照されたい。このような毒性および副作用は、治療の不良に繋がり得る。抗生物質を受ける過体重および肥満の患者でこのようにリスクが高まることにより、このような個人は、腎および肝毒性などの副作用ならびに毒性についてのモニタリングを受ける必要のある場合が多く、このことは、総治療コストの上昇および/または有効性の低下をもたらす。これは、医師および臨床医にとって負担となり得るものであり、入院期間の延長を必要とし得るものであり、患者をさらなる院内感染にさらに暴露することになる。従って、患者のBMIに基づいた治療有効量の抗生物質化合物を投与することを含む過体重および肥満の患者における細菌感染治療のための改善された方法が依然として求められている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、すべての患者(すなわち、いずれのBMIであってもよい)において、急性細菌性皮膚軟部組織感染症(ABSSSI)の治療をデラフロキサシンまたはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒および不良の比率を比較して示す。
【0007】
図2図2は、BMIが40以上である患者(病的肥満および超肥満)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシンまたはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒および不良の比率を比較して示す。
【0008】
図3図3は、BMIが35以上である患者(重度肥満、病的肥満、および超肥満)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシンまたはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒および不良の比率を比較して示す。
【0009】
図4図4は、BMIが30以上である患者(肥満、重度肥満、病的肥満、および超肥満)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシンまたはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒および不良の比率を比較して示す。
【0010】
図5図5は、BMIが30以上である患者(肥満、重度肥満、病的肥満、および超肥満)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシン、リネゾリド、またはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒/不良の比率を比較して示す。
【0011】
図6図6は、BMIが25超および30未満である患者(過体重)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシン、リネゾリド、またはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒/不良の比率を比較して示す。
【0012】
図7図7は、BMIが25以下である患者(正常)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシン、リネゾリド、またはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒/不良の比率を比較して示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本開示は、過体重および肥満の患者における感染を、抗生物質を用いて治療する方法全般に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
1つの態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、前記治療有効量は前記患者のBMIに基づくものではない。
【0015】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、前記治療有効量は前記患者のBMIとは独立している。
【0016】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、前記治療有効量は前記患者のBMIによって決定されるものではない。
【0017】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、前記治療有効量は前記患者のBMIから算出されたものではない。
【0018】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、前記治療有効量は前記患者の体重または体表面積に基づくものではない。
【0019】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、前記治療有効量は約10mg/kgを基準とした場合に前記患者に投与される量よりも少ない。
【0020】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、約0.01mg/kgから約7mg/kgである治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含む。
【0021】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、約10mg/日から約600mg/日である治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含む。
【0022】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、アレルギー、発疹、じん麻疹、アナフィラキシー、過敏症、そう痒、注入部位疼痛、疲労、胃腸障害、血小板減少症、光毒性、肝臓酵素上昇、糖代謝異常、QT延長、下痢、腹痛、悪心、嘔吐、薬物性発熱、血清病、腟カンジダ症、腎毒性、聴器毒性、眩暈、眼振、頭痛、肝毒性、食欲不振、溶血性貧血、末梢神経障害、潮紅、低血圧、かゆみ、静脈炎、味覚変化、光線過敏症、歯変色、嗜眠、偽膜性大腸炎、黄疸、および金属味錯覚から成る群より選択される少なくとも1つの副作用を発生させる抗生物質化合物の用量の約1.5分の1から約10分の1である治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含む。
【0023】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、ここで、前記治療有効量は、過体重または肥満ではない患者に対する治療有効量に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0024】
特に断りのない限り、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合、本明細書が優先する。本明細書で述べるものと類似または同等の方法ならびに物質が本開示に従って用いられてよいが、適切な方法および物質を以下で述べる。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、その全内容が参照により本明細書に援用される。本明細書において、文脈からそうでないことが明らかでない限りにおいて、単数形は複数形も含む。矛盾が生じる場合、定義を含む本明細書が優先する。加えて、物質、方法、および例は、単に説明のためのものであり、限定することを意図するものではない。本開示のその他の特徴および利点は、以下の詳細な記述、および請求項から明らかである。
【0025】
本開示は、部分的に、感染に罹患した過体重および肥満の患者に対して抗生物質が適切に投与されておらず、その結果として有害事象および有効性低下の発生率が高められるという発見に基づいている。本発明者らは、驚くべきことに、過体重および肥満の患者における細菌感染を、患者の体重に対して抗生物質の用量を調節する必要なしに治療することができることを見出した。
【0026】
例えば、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRaSA)を含む急性細菌性皮膚軟部組織感染症(ABSSSI)の治療のためのデラフロキサシンの1つの特定の第IIb相臨床試験において、本発明者らは、デラフロキサシンが300mg BIDの一定用量で体重に関係なく患者に投与された場合、治癒率が、リネゾリド(600mg BID)およびバンコマイシン(1000〜2000mg BID)の一定用量の投与で達成される治癒率よりも優れており、有害事象の増加も見られないことを発見した。この臨床試験は、統計的有意性を示すようには設計されなかったが、治験責任医師による治癒の包括的評価(Investigators' Global Assessment of Cure)の主要評価項目において、デラフロキサシンは、肥満の患者の場合を含め、バンコマイシンと比較した場合に、統計的に有意な効能の優位性を示した(95%信頼区間、−30.3%、−2.3%、p=0.031)。加えて、デラフロキサシンは、48時間から72時間の時点での病変部拡大の停止、および発熱が無いこと、または発熱の消散という副次的評価項目において、リネゾリドおよびバンコマイシンの両方と比較して数値的有益性を示しており、治癒率は、それぞれ、およそ78%、75%、および73%であった。さらに、デラフロキサシンは、48時間から72時間の時点での30%以上の病変部サイズの減少を示す患者の割合が、いずれの比較品よりも高いことも示した。本発明者らは、驚くべきことに、この第IIb相試験で得られたデータから、デラフロキサシンの臨床活性が、患者の体重が増加しても維持され、一方リネゾリドおよびバンコマイシンの臨床活性は、過体重および肥満集団で典型的に見られるように、低下することを見出した。有効性の相対的相違は、体重の増加と共により顕著となる。デラフロキサシンはまた、典型的なABSSSI細菌に対する細菌の最小発育阻止濃度(organism minimum inhibitor concentration)あたりの効力および局所レベルの比率がより高いことも示している。さらに、デラフロキサシンは、バンコマイシン(腎臓)およびリネゾリド(骨髄)のような特定の制限毒性を持たない。
【0027】
本明細書で開示される過体重および肥満の患者における感染を治療するための方法は、本技術分野にて公知の方法と比較して数多くの利点を提供する。例えば、従来の方法では、過体重および肥満の患者の体重と共に用量が増加するため、毒性および有害事象の可能性も増加する。対照的に、本発明の方法は、一貫してより低い用量で抗生物質を提供し、それによって、先行技術の方法で見られる毒性および有害事象のリスクを低減する。さらに、先行技術の方法によって毒性および有害事象の可能性の増加がもたらされることから、患者は、密着してのモニタリングを必要とされる場合が多い。対照的に、本発明の方法で治療される過体重および肥満の患者をモニタリングする必要性は、大きく低減される。また、この結果として、外来投与または患者の早期退院とその後の経過観察、とする可能性ももたらされ、患者および医療提供者の負担が軽減される。副作用の低減により、コンプライアンスの向上も期待することができる。さらに、本発明の方法は、腎機能、分布容積、およびその他の該当する因子の複雑な計算に基づく患者に対する用量の算出という医師および臨床医の負担も軽減する。その代わりに、患者の体重を参照することなく、一定の低用量を用いることができる。さらに、過体重および肥満の患者の場合、一般的に、過体重および肥満ではない患者よりも健康状態が悪いことから、過体重および肥満の患者は、高血圧、糖尿病などのための他の医薬を服用している傾向にある。本発明の方法で用いられる抗生物質の減少された用量により、過体重および肥満の患者の他の医薬との薬物‐薬物相互作用の可能性が低減される。
【0028】
A.定義
本明細書で引用されるいずれの刊行物の内容も、参照により本明細書に援用される
【0029】
本明細書全体を通して、組成物が具体的な成分を有する(having)、含む(including)、または含む(comprising)として記述される場合、組成物はまた、列挙された成分から本質的に成る、または成ることも考慮される。同様に、方法またはプロセスが、具体的なプロセス工程を有する、含む(including)、または含む(comprising)として記述される場合、プロセスはまた、列挙されたプロセス工程から本質的に成る、または成る。さらに、工程の順番、または特定の作業を実施する順番は、方法が操作可能のままである限りにおいて重要ではないことは理解されるべきである。さらに、2つ以上の工程または作業が同時に行われてもよい。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「肥満」の用語は、30以上および35未満の肥満度指数(BMI)「重度肥満」、「病的肥満」、および「超肥満」の用語を含む。
【0031】
体重に関して本明細書で用いられる場合、「正常」の用語は、25以下のBMIを意味する。
【0032】
本明細書で用いられる場合、「過体重」の用語は、25超および30未満のBMIを意味する。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「重度肥満」の用語は、35以上および40未満のBMIを意味する。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「病的肥満」の用語は、40以上および45未満のBMIを意味する。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「超肥満」の用語は、45以上のBMIを意味する。
【0036】
「肥満度指数」(BMI)の用語は、成人の男性および女性に適用される身長と体重とに基づく体脂肪の尺度として定義される。それは、キログラム単位での患者の体重をメートル単位での身長の二乗で除するか、またはポンド単位での患者の体重をインチ単位での身長の二乗で除したものを703倍することによって算出される。これらの定義は、以下の式で表される:
BMI=体重(kg)/(高さ(m))
BMI=(体重(lb)/(高さ(in)))×703
【0037】
本明細書で用いられる場合、「治療有効量」の用語は、患者に投与された際に、認識可能な生理学的効果を患者にもたらす化合物の量を意味する。
【0038】
本明細書で用いられる場合、「治癒」または「治験責任医師による治癒の包括的評価」の用語は、経過観察来診でのすべての徴候および症状の完全な消散を意味する。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「不良」の用語は、経過観察来診でのすべての徴候および症状の完全な消散以外のいかなる状態をも意味する。
【0040】
開示される化合物は1つ以上、医薬組成物または医薬に組み込まれてよい。開示される化合物は、例えば経口、直腸内、または非経口経路(例:筋肉内、静脈内、皮下、経鼻、または局所)を含む公知の様々な方法によって投与されてよい。化合物が投与される形態は、投与の経路によって決定される。そのような形態としては、これらに限定されないが、カプセルおよび錠剤製剤(経口および直腸内投与用)、液体製剤(経口、静脈内、筋肉内、皮下、点眼、鼻腔内、吸入ベース、および経皮投与用)、および徐放性マイクロキャリア(直腸内、筋肉内、または静脈内投与用)が挙げられる。医薬組成物または医薬はまた、医薬的に許容される媒体、希釈剤、賦形剤、またはキャリア、ならびに所望に応じて、補助剤(adjuvants)、香味剤、着色剤、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、および保存剤も含有してよい。いくつかの適切な医薬的に許容される媒体としては、例えば、生理食塩水、滅菌水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。活性成分の具体的な用量レベルは、多くの因子に依存し、例えば、特定の製剤の生物学的活性、治療される患者の年齢、体重、性別、および一般的健康状態が挙げられる。
【0041】
本明細書で用いられる場合、「医薬的に許容される」の用語は、確かな医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症を起こすことなく、ヒトおよび動物の組織と接触させての使用に適し、妥当なリスク対効果比に見合った化合物、物質、組成物、および/または剤形を意味する。
【0042】
「副作用」、「有害事象」、および「有害効果」の用語は、本明細書において交換可能に用いられ、患者における所望されない生理学的効果の発生を意味する。
【0043】
本明細書で用いられる場合、「患者」の用語は、本発明で開示される方法によって治療されるヒトを意味する。
【0044】
本明細書で用いられる場合、「医薬的に許容される」の語句は、確かな医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症を起こすことなく、ヒトおよび動物の組織と接触させての使用に適し、妥当なリスク対効果比に見合った化合物、物質、組成物、キャリア、および/または剤形を意味する。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「医薬的に許容される塩」とは、酸または塩基をその塩とすることによって親化合物が修飾される場合の開示される化合物の誘導体を意味する。医薬的に許容される塩の例としては、これらに限定されないが、アミンなどの塩基性残基の無機もしくは有機酸塩、カルボン酸などの酸性残基のアルカリもしくは有機塩、などが挙げられる。医薬的に許容される塩としては、例えば無毒性の無機もしくは有機酸から形成される親化合物の従来の無毒性塩または四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の無毒性塩としては、これらに限定されないが、2‐アセトキシ安息香酸、2‐ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、重炭酸、炭酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリコリアルサニル酸(glycollyarsanilic)、ヘキシルレゾルシン酸、ヒドラバミン酸(hydrabamic)、臭化水素酸、塩化水素酸、ヨウ化水素酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフトエ酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリルスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナプシル酸(napsylic)、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、ポリガラクツロン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、亜酢酸(subacetic)、コハク酸、スルファミン酸、スルファニル酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、および一般的に存在するアミノ酸、例えばグリシン、アラニン、フェニルアラニン、アルギニンなどから選択される無機および有機酸から誘導されるものが挙げられる。
【0046】
本明細書で開示される医薬的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から、従来の化学的方法によって合成することができる。一般的に、そのような塩は、遊離酸または塩基の形態のこのような化合物を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水、または有機溶媒、またはこれら2つの混合物中で反応させることによって作製されてよい。1つの実施形態では、非水性媒体、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルが、本発明の化合物の塩の形成に有用である。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed. (Mack Publishing Company, 1990)に見出される。例えば、塩としては、これらに限定されないが、本開示の脂肪族アミン含有、ヒドロキシルアミン含有、およびイミン含有化合物の塩酸塩および酢酸塩が挙げられ得る。
【0047】
加えて、本明細書で開示される化合物、例えば化合物の塩は、水和もしくは非水和(無水)形態、または他の溶媒分子による溶媒和物として存在してよい。水和物の非限定的例としては、一水和物、二水和物などが挙げられる。溶媒和物の非限定的例としては、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などが挙げられる。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「医薬的に許容されるエステル」とは、カルボン酸のアルコールエステルまたはアルコールのカルボン酸エステルによって親化合物が修飾される場合の開示される化合物の誘導体を意味する。本明細書で開示される化合物は、エステル、例えば医薬的に許容されるエステルとして作製されてもよい。例えば、化合物中のカルボン酸官能基が、その対応するエステル、例えばメチル、エチル、またはその他のエステルに変換されてよい。また、化合物中のアルコール基が、その対応するエステル、例えばアセテート、プロピオネート、またはその他のエステルに変換されてもよい。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「単位用量」の用語は、そのすべてが投与されることを意図する医薬組成物の単一用量を意味する。単位用量は、薬物活性成分の予め測定した量を投与するのに都合の良い形態である。
【0050】
ある実施形態では、本開示の組成物は、キノロンカルボン酸化合物、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを抗微生物化合物として含む。キノロンカルボン酸化合物は、別名ピリドンカルボン酸またはピリドンカルボン酸誘導体としても知られる。本明細書で用いられる場合、「キノロンカルボン酸化合物」の用語は、Yazaki et al.に対する2000年12月5日に発行された米国特許第6,156,903号、ならびに2001年11月13日および2001年12月11日のその訂正証明書;Yazaki et al.に対する2000年10月17日に発行された米国特許第6,133,284号;Yazaki et al.に対する1999年12月7日に発行された米国特許第5,998,436号、ならびに2001年1月23日、2001年10月30日、および2002年12月17日のその訂正証明書;アボットラボラトリーズ(Abbott Laboratories)に対する2006年10月19日公開のPCT出願番号WO2006/110815;アボットラボラトリーズに対する2006年4月20日公開のPCT出願番号WO2006/042034、アボットラボラトリーズに対する2006年2月9日公開のPCT出願番号WO2006/015194;湧永製薬株式会社に対する2001年5月17日公開のPCT出願番号WO01/34595;および湧永製薬株式会社に対する1997年3月27日公開のPCT出願番号WO97/11068に、その合成、製剤、および使用を含めて記載されている本発明に有用なキノロンカルボン酸化合物を含み、上記すべての文献の全内容が参照により本明細書に援用される。
【0051】
ある実施形態では、本明細書で開示されるキノロンカルボン酸化合物は、以下の構造に対応する化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはエステルを含む。
【化1】

構造中、Rは、水素原子またはカルボキシル保護基を表し;Rは、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、または置換もしくは無置換のアミノ基を表し;Rは、水素原子またはハロゲン原子を表し;Rは、水素原子またはハロゲン原子を表し;Rは、ハロゲン原子、または置換されていてもよい飽和環状アミノ基を表し;Rは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、または保護されていてもよいアミノ基を表し;X、Y、およびZは、同一または異なっていてよく、それぞれ、窒素原子、−CH=、または−CR=(ここで、Rは、低級アルキル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表す)を表し;Wは、窒素原子または−CR=(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子、または低級アルキル基を表す)を表す。
【0052】
ある実施形態では、X、Y、およびZのうちの少なくとも1つは、窒素原子を表す。
【0053】
ある実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、R、W、X、Y、およびZは、式2に対して定められ、シクロデキストリンに対して定められる通りではない。
【0054】
ある実施形態では、Rが水素原子を表し、Rがアミノ基を表し、RおよびRがフッ素原子を表し、Rが水素原子を表し、Xが窒素原子を表し、Yが−CR=(ここで、Rはフッ素原子を表す)を表し、Zが−CH=を表し、およびWが−CR=(ここで、Rは塩素原子を表す)を表す場合、Rは、3‐ヒドロキシアゼチジン‐1‐イル基ではない。
【0055】
他の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、以下の化合物(A)に対応するキノロンカルボン酸誘導体、またはその医薬的に許容される塩もしくはエステルを含む。
【化2】

他の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、キノロンカルボン酸誘導体 D‐グルシトール,1‐デオキシ‐1‐(メチルアミノ)‐,1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシ‐1‐アゼチジニル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボキシレートを含む。他の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、キノロンカルボン酸 D‐グルシトール,1‐デオキシ‐1‐(メチルアミノ)‐,1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシ‐1‐アゼチジニル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボキシレートの結晶形態を含む。他の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、キノロンカルボン酸 D‐グルシトール,1‐デオキシ‐1‐(メチルアミノ)‐,1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシ‐1‐アゼチジニル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボキシレート 三水和物を含む。他の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、キノロンカルボン酸 D‐グルシトール,1‐デオキシ‐1‐(メチルアミノ)‐,1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシ‐1‐アゼチジニル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボキシレート 三水和物の結晶形態を含む。
【0056】
ある実施形態では、本明細書で開示される組成物は、約100mgから約500mgのデラフロキサシンメグルミンを含む。他の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、約300mgのデラフロキサシンメグルミンを含む。
【0057】
B.実施形態
本開示は、過体重および肥満の患者における感染を、抗生物質を用いて治療する方法全般に関する。
【0058】
1つの態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、ここで、治療有効量は、患者のBMIに基づくものではない。
【0059】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、ここで、治療有効量は、患者のBMIとは独立している。
【0060】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、ここで、治療有効量は、患者のBMIによって決定されるものではない。
【0061】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、ここで、治療有効量は、患者のBMIから算出されたものではない。
【0062】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、ここで、治療有効量は、患者の体重または体表面積に基づくものではない。
【0063】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に、治療有効量の前記抗生物質化合物を投与することを含み、ここで、治療有効量は、約10mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。
【0064】
ある実施形態では、治療有効量は、約9mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約8mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約7mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約6mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約5mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約4mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約3mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約2mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約1mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約0.75mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約0.5mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約0.25mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約0.1mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。ある実施形態では、治療有効量は、約0.05mg/kgを基準とした場合に患者に投与される量よりも少ない。
【0065】
ある実施形態では、治療有効量の抗生物質化合物は、mg/kg、1日1回を基準として投与される。他の実施形態では、治療有効量の抗生物質化合物は、mg/kg、1日2回を基準として投与される。
【0066】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に投与することを含み、ここで、治療有効量は、約0.01mg/kgから約7mg/kgである。
【0067】
ある実施形態では、治療有効量は、約0.1mg/kgから約5mg/kgである。ある実施形態では、治療有効量は、約0.5mg/kgから約3mg/kgである。ある実施形態では、治療有効量は、約1mg/kgから約2mg/kgである。
【0068】
ある実施形態では、治療有効量の抗生物質化合物は、mg/kg、1日1回を基準として投与される。ある実施形態では、治療有効量の抗生物質化合物は、mg/kg、1日2回を基準として投与される。
【0069】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に投与することを含み、ここで、治療有効量は、約10mg/日から約600mg/日である。
【0070】
ある実施形態では、治療有効量は、約50mg/日から約500mg/日である。ある実施形態では、治療有効量は、約100mg/日から約400mg/日である。ある実施形態では、治療有効量は、約200mg/日から約300mg/日である。
【0071】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に投与することを含み、ここで、治療有効量は、アレルギー、発疹、じん麻疹、アナフィラキシー、過敏症、そう痒、注入部位疼痛、疲労、胃腸障害、血小板減少症、光毒性、肝臓酵素上昇、糖代謝異常、QT延長、下痢、腹痛、悪心、嘔吐、薬物性発熱、血清病、腟カンジダ症、腎毒性、聴器毒性、眩暈、眼振、頭痛、肝毒性、食欲不振、溶血性貧血、末梢神経障害、潮紅、低血圧、かゆみ、静脈炎、味覚変化、光線過敏症、歯変色、嗜眠、偽膜性大腸炎、黄疸、および金属味錯覚から成る群より選択される少なくとも1つの副作用を発生させる抗生物質化合物の用量の約1.5分の1から約10分の1である。
【0072】
ある実施形態では、治療有効量は、約2分の1から約分の1である。ある実施形態では、治療有効量は、約3分の1から約6分の1である。ある実施形態では、治療有効量は、約4分の1から約5分の1である。
【0073】
別の態様では、過体重または肥満の患者における細菌感染を治療する方法が開示され、この方法は、抗生物質化合物の投与を必要とする過体重または肥満の患者に投与することを含み、ここで、治療有効量は、過体重または肥満ではない患者に対する治療有効量に基づく。
【0074】
ある実施形態では、抗生物質化合物は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシン、パロモマイシン、スペクチノマイシン、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、リファキシミン、ロラカルベフ、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム、シラスタチン、メロペネム、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフタロリンフォサミル、セフトビプロール、テイコプラニン、バンコマイシン、テラバンシン、クリンダマイシン、リノマイシン(linomycin)、ダプトマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スピラマイシン、アズトレオナム、フラゾリドン、ニトロフラントイン、リネゾリド、ポシゾリド(posizolid)、ラデゾリド(radezolid)、トレゾリド(torezolid)、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、テモシリン、チカルシリン、クラブラネート、スルバクタム、タゾバクタム、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、デラフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、マフェニド、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファジメトキシン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、スルホンアミドクリソイジン(sulfonamidochrysoidine)、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、クロファジミン、ダプソン、カプレオマイシン、サイクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、リファンピン、リファブチン、リファペンチン、ストレプトマイシン、アルスフェナミン、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、フシジン酸、メトロニダゾール、ムピロシン、プラテンシンブシン(platensimvcin)、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、チアンフェニコール、チゲサイクリン、チニダゾール、トリメトプリム、またはこれらの組み合わせから成る群より選択される。
【0075】
ある実施形態では、抗生物質化合物は、キノロンカルボン酸抗生物質である。ある実施形態では、化合物は、デラフロキサシンである。
【0076】
ある実施形態では、用量は、約10mg/日から約600mg/日である。ある実施形態では、治療有効量は、約50mg/日から約500mg/日である。ある実施形態では、治療有効量は、約100mg/日から約400mg/日である。ある実施形態では、治療有効量は、約200mg/日から約300mg/日である。
【0077】
ある実施形態では、過体重および肥満の患者の肥満度指数は、25以上である。ある実施形態では、過体重および肥満の患者の肥満度指数は、30以上である。ある実施形態では、過体重および肥満の患者の肥満度指数は、35以上である。ある実施形態では、過体重および肥満の患者の肥満度指数は、40以上である。
【0078】
第IIb相臨床試験
第IIb相臨床試験は、ABSSSI(MRSAによって引き起こされる感染を含む)の治療におけるデラフロキサシンの有効性を、アズトレオナム有りまたは無しでのZyvox(リネゾリド)と、およびアズトレオナム有りまたは無しでのバンコマイシンと比較するように設計した。
【0079】
デラフロキサシンは、2011年末までを通して評価された主要および副次的有効性評価項目を、ABSSSIにおけるFDAからのガイドライン原案に基づく評価項目を含めて満たしていた。特筆すべきは、この第IIb相臨床試験は、統計的有意性を示すようには設計されなかったが、治験責任医師による治癒の包括的評価の主要評価項目において、デラフロキサシンは、バンコマイシンと比較した場合に、統計的に有意な効能の優位性を示した(95%信頼区間、−30.3%、−2.3%;p=0.031)。加えて、デラフロキサシンは、48時間から72時間の時点での病変部拡大の停止、および発熱が無いこと、または発熱の消散という副次的評価項目において、Zyvoxおよびバンコマイシンの両方と比較して数値的有益性を示しており、治癒率は、それぞれ、およそ78%、75%、および73%であった。
【0080】
さらに、デラフロキサシンは、48時間から72時間の時点での30%以上の病変部サイズの減少を示す患者の割合が、いずれの比較品よりも高いことも示した。
【表1】
【0081】
全体としての有害事象率は、試験全体を通して統計的に同等であり、デラフロキサシン(74%)、Zyvox(72%)、およびバンコマイシン(65%)であった。デラフロキサシンに伴う主要な有害事象は、最も一般的な具体的事象としての軽度から中程度の下痢を伴う胃腸(GI)障害であった。本試験でのその他の一般的な有害事象は、悪心、嘔吐、疲労、頭痛、眩暈、および注入部位疼痛であった。Zyvoxの場合の主要な有害事象も、最も一般的な具体的事象としての悪心を伴うGI障害であった。バンコマイシンの場合の主要な有害事象は、最も一般的な具体的事象としての、そう痒またはかゆみを伴う皮膚の障害であった。Zyvox群では、2名の対象が血小板減少症を起こした。バンコマイシン群では、3名の患者が、2名の腎不全を含む腎臓の問題を起こした。重要なことには、前の第二相試験で観察されたように、デラフロキサシンは、フルオロキノロン類の抗生物質で一般的である光毒性、肝臓酵素上昇、糖代謝異常、およびQT延長などの毒性の証拠を示さなかった。
【0082】
本試験の設計は、2010年4月の第II相終了後ミーティングに続いての新たな臨床試験評価項目に係るFDAとの幅広い議論、およびそれに続く臨床試験プロトコルのFDAによるレビューの過程における議論から生まれたものである。第IIb相臨床試験に先立ち、第IIa相臨床試験が実施され、その結果は、第IIb相臨床試験を設計、実施するという本発明者らの決定を支持するものであった。第IIb相試験は、客観的有効性尺度を用いてABSSSIを持つ対象における相対的臨床応答を評価するデラフロキサシン、アズトレオナム有りまたは無しでのZyvox、およびアズトレオナム有りまたは無しでのバンコマイシンの無作為化二重盲検比較試験であり;アズトレオナムは、グラム陰性細菌の存在が考えられるまたは確認されたことに基づいて、治験責任医師が添加した。試験には、米国内34か所の施設にわたって合計256名の対象が登録した。対象は、12時間ごとにデラフロキサシン300mgの静脈内投与を受ける群、またはアズトレオナム有りもしくは無しでのZyvoxの推奨用量(600mg、12時間ごと)を受ける群、またはアズトレオナム有りもしくは無しでのバンコマイシンの推奨用量(1000〜2000mg、12時間ごと)を受ける群の3つの治療群に無作為分類した。試験の主要評価項目は、治験責任医師による治癒の包括的評価とした。加えて、今後の臨床試験での使用のために、臨床有効性のいくつかの客観的尺度の有用性、変動、および測定技術を評価することを主要な目的とした。有効性は、感染の程度/サイズ、発熱などの感染の客観的徴候および症状の評価、炎症および治癒の生化学的マーカーの測定、ならびに単離細菌の感受性試験を通して、試験の過程での複数の時間点で、投与の最初の5日間に重点を置いて評価した。デラフロキサシンはまた、治験責任医師による治癒の包括的評価、ならびに48時間および72時間の時点での病変部拡大の停止、および発熱が無いことに関して、intent‐to‐treat集団のサブセットである微生物学的intent‐to‐treat集団においても、Zyvoxおよびバンコマイシンの両方に対して数値的有益性を示した。治療を行った感染の種類には、膿瘍、創傷、蜂巣炎、および火傷に関連する感染が含まれた。
【0083】
C.図面の詳細な説明
以下の図面の詳細な説明は、本明細書で考察される第IIb相臨床試験の結果を記載するものである。
【0084】
図1は、すべての患者におけるデラフロキサシンおよびバンコマイシンによるABSSSIの治療に対する治癒/不良率を示す。このデータにおけるp値は0.0310であり、デラフロキサシンの場合はn=81、バンコマイシンの場合はn=98である。
【0085】
図2は、BMIが40以上である患者(超肥満および病的肥満)におけるデラフロキサシンおよびバンコマイシンによるABSSSIの治療に対する治癒/不良率を示す。このデータにおけるp値は0.2424であり、デラフロキサシンの場合はn=6、バンコマイシンの場合はn=6である。
【0086】
図3は、BMIが35以上である患者(重度肥満、病的肥満、および超肥満)におけるデラフロキサシンおよびバンコマイシンによるABSSSIの治療に対する治癒/不良率を示す。このデータにおけるp値は0.0202であり、デラフロキサシンの場合はn=16、バンコマイシンの場合はn=22である。
【0087】
図4は、BMIが30以上である患者(肥満、重度肥満、病的肥満、および超肥満)におけるデラフロキサシンおよびバンコマイシンによるABSSSIの治療に対する治癒/不良率を示す。このデータにおけるp値は0.0093であり、デラフロキサシンの場合はn=33、バンコマイシンの場合はn=41である。
【0088】
図5は、BMIが30以上である患者(肥満、重度肥満、病的肥満、および超肥満)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシン、リネゾリド、またはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒/不良率の比較を示す。
【0089】
図6は、BMIが25以上、30未満である患者(過体重)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシン、リネゾリド、またはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒/不良率の比較を示す。
【0090】
図7は、BMIが25以下である患者(正常)において、ABSSSIの治療をデラフロキサシン、リネゾリド、またはバンコマイシンのいずれかで行った患者の治癒/不良率の比較を示す。
【0091】
抗生物質
本明細書で開示される方法では、広範な様々な抗微生物剤を用いることができる。このような抗微生物剤は、様々な生化学的または生物物理的機構によってその治療効果を提供し得る。本開示に有用である剤としては、リボソームRNAと結合するか、またはこれを調節する剤が挙げられ、例えば、細菌リボソームRNAである。本開示に有用である剤としては、さらに、リボソーム大サブユニットと結合するか、またはこれを調節する剤を挙げることができ、例えば、細菌生物のリボソーム大サブユニットである。本開示に有用である剤としては、さらに、DNAトポイソメラーゼと結合するか、またはこれを調節する剤を挙げることができ、例えば、細菌DNAトポイソメラーゼである。本開示に有用である剤としては、さらに、細菌DNAギラーゼと結合するか、またはこれを調節する剤を挙げることができ、例えば、細菌DNAギラーゼであり、すなわち、ギラーゼはトポイソメラーゼの例である。本開示に有用であるそのような剤としては、さらに、細菌トポイソメラーゼIVと結合するか、またはこれを調節する剤を挙げることができる。
【0092】
有用な抗微生物剤としては、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および抗寄生虫剤が挙げられる。化合物の有用な化学的分類としては、オキサゾリジノン(例:リネゾリド、トレゾリド(torezolid)、テジゾリド、エペレゾリド(eperezolid)、N‐[3‐(2‐フルオロ‐4’‐{[(3H‐[1,2,3]トリアゾール‐4‐イルメチル)‐アミノ]‐メチル}‐ビフェニル‐4‐イル)‐2‐オキソ‐オキサゾリジン‐5‐(S)‐イルメチル]‐アセタミド、およびその他のオキサゾリジノン類)、マクロライド、ケトライド、ストレプトグラミンA、ストレプトグラミンB、クロラムフェニコールおよびクロラムフェニコール誘導体、フルオルフェニコール(fluorfenicol)およびフルオルフェニコール誘導体、糖ペプチド、プロイロムチリン(pleuromutilins)、アミノグリコシド、ベータ‐ラクタムおよびカルバペネム(7‐アシル化イミダゾ[5‐1,b]チアゾール‐2‐イル基がカルバペネム部分のC‐2位に直接結合したカルバペネムを含む)、セファロスポリン、リンコサミド、キノロンおよびフルオロキノロン(例:ピリドンカルボン酸誘導体、ガレノキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシンなど)、ベンゾヘテロ環式化合物、アミノメチルサイクリン化合物、ダルババンシン、ダプトマイシン、オリタバンシン、テレバンシン(televancin)、ならびにこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。本発明で有用である化合物は、場合によっては、2つ以上の方法で分類され得ることには留意されたい。1もしくは複数の化合物の記載または分類は、その1もしくは複数の化合物を限定することを意図するものではなく、便宜上行われるものである。
【0093】
本開示で有用である化合物は、その医薬的に許容される塩、エステル、またはプロドラッグを含んでよい。本開示はさらに、本開示の化合物のいずれか1つを合成するための方法も提供する。本開示はまた、本開示の化合物の1つ以上の有効量、および医薬的に許容されるキャリアを含む医薬組成物も提供する。本開示はさらに、これらの化合物、キャリア、および医薬組成物を作製するための方法も提供する。
【0094】
オキサゾリジノン
オキサゾリジノン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグが、本開示の方法、組成物、および使用で用いられてよい。リネゾリド、すなわち(N‐[[(5S)‐3‐[3‐フルオロ‐4‐(4‐モルホリニル)フェニル]‐2‐オキソ‐5‐オキサゾリジニル]メチル]アセタミド)は、商品名または商標名Zyvoxとして販売されている市販のオキサゾリジノンである。2003年5月6日に発行されたBergrenに対する米国特許第6,559,305B1号;1997年11月18日に発行されたBarbachynに対する米国特許第5,688,792号;およびM.R. Barbychan et al., "Development of Linezolid: Oxazolidinone Structure-Activity Relationships Leading to Linezolid", Angew. Chem. Int. Ed., 42, pp. 2010-2023 (2003)を参照されたい。本開示の方法、組成物、および使用に有用であるその他のオキサゾリジノンおよびその他の化合物は、2005年11月29日に発行されたLou et al.に対する米国特許第6,969,726 B2号;2006年3月2日に公開されたリブ‐X ファーマソーティカルズ社(Rib-X Pharmaceuticals, Inc.)に対するPCT特許出願番号WO2006/022794;2005年8月4日に公開されたリブ‐X ファーマソーティカルズ社に対するPCT特許出願番号WO2005/070904;2005年7月7日に公開されたリブ‐X ファーマソーティカルズ社に対するPCT特許出願番号WO2005/061468;2005年3月3日に公開されたリブ‐X ファーマソーティカルズ社に対するPCT特許出願番号WO2005/019211;2005年2月10日に公開されたリブ‐X ファーマソーティカルズ社に対するPCT特許出願番号WO2005/012271;2005年2月10日に公開されたリブ‐X ファーマソーティカルズ社に対するPCT特許出願番号WO2005/012270;2005年2月24日に公開されたZhou et al.に対する米国特許出願公開第2005/0043317 A1号;2005年7月14日に公開されたChen et al.に対する米国特許出願公開第2005/0153971 A1号:1997年8月5日に発行されたBarbachyn et al.に対する米国特許第5,654,435号;および2001年12月13日に公開されたドンAファーム社(Dong A Pharm. Co., Ltd.)に対するPCT特許出願番号WO2001/094342、および2001年11月1日に公開されたアストラゼネカABおよびアストラゼネカUK(AstraZeneca AB and AstraZeneca UK Limited)に対するPCT特許出願番号WO01/081350に記載されている。
【0095】
オキサゾリジノンの非限定的例としては、以下の化合物から成る群より選択される化合物、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグが挙げられる。塩の例は、前述のオキサゾリジノンA、B、C、およびDの一塩酸塩である。
【表2】


【0096】
上記の化合物Cの場合、以下の位置番号付与の規則が用いられてよく、ここで、トリアゾール環は、化合物の残りの部分と「4」位で結合しており、トリアゾール環の「5」位にある残った炭素原子は、無置換、すなわち水素を有しており、以下の通りとなる。
【化3】

【0097】
トリアゾール環が5員環ヘテロ芳香族環であること、およびほとんどの表示で描かれる2つの二重結合の位置が、描くことのできる複数の構造のうちの1つの任意の描写であって、便宜上用いられており、限定することを意図するものではないことは認識されるべきである。実際、1,2,3‐トリアゾールを示すために、互変異性構造と称される場合のある5つの異なる構造を描くことが可能である。このような互変異性構造は、そのように表される分子が互いに平衡であることを示す各構造間の両方向矢印と共に示され得る。例えば、化合物Cの場合、以下の互変異性構造を描くことが可能である。
【化4】
【0098】
本発明において有用であるオキサゾリジノン、ならびにオキサゾリジノンCおよびDなどの化合物に関するさらなる開示は、上記で引用した2005年11月29日に発行されたLou et al.に対する米国特許第6,969,726B2号に見出される。化合物Cは、化学名:アセタミド,N‐[[(5S)‐3‐(2‐フルオロ‐4’‐[[(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐4‐イルメチル)‐アミノ]メチル][1,1’‐ビフェニル]‐4‐イル]‐2‐オキソ‐5‐オキサゾリジニル]‐メチル]‐でも知られ、CAS登録番号は869884‐78‐6である。化合物Cの一塩酸塩は、化学名:アセタミド,N‐[[(5S)‐3‐(2‐フルオロ‐4’‐[[(1H‐1,2,3‐トリアゾール‐4‐イルメチル)‐アミノ]メチル][1,1’‐ビフェニル]‐4‐イル]‐2‐オキソ‐5‐オキサゾリジニル]‐メチル]‐,一塩酸塩でも知られ、CAS登録番号は869884‐77‐5である。
【0099】
テジゾリドは、米国特許第7,816,376号、米国特許出願第2009/0192197号、および国際特許出願公開WO2004/058886に開示されており、これらすべての全内容は参照により本明細書に援用される。
【0100】
これらおよびその他のオキサゾリジノンは、以下の式を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグに関する。
【化5】

式中、
Aは
フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、およびピリダジニル
から成る群より選択され;
Bは
フェニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、およびピリダジニル
から成る群より選択され;
Het−CH−R
【化6】

から成る群より選択され;
Mは
a)飽和、不飽和、もしくは芳香族であるC3‐14の炭素環、ならびに
b)窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和、もしくは芳香族である、3〜14員のヘテロ環
から成る群より選択され、
ここで、a)またはb)は、1つ以上のR基で置換されていてもよく;
M−Lは
a)M−X、
b)M−L
c)Μ−L−X、
d)M−X−L
e)Μ−L−Χ−L
f)Μ−Χ−L−Χ−L
g)Μ−L−Χ−L−X、
h)M−X−X−、
i)Μ−L−Χ−Χ−、
j)M−X−X−L、および
k)Μ−L−Χ−Χ−L
から成る群より選択され、
ここで
各存在位置におけるXは、それぞれ独立して
a)−O−、
b)−NR−、
c)−N(O)−、
d)−N(OR)−、
e)−S(O)−、
f)−SONR−、
g)−NRSO−、
h)−NR−N=、
i)=N−NR−、
j)−O−N=、
k)=N−O−、
l)−N=、
m)=N−、
n)−NR−NR−、
o)−NRC(O)O−、
p)−OC(O)NR−、
q)−NRC(O)NR−、
r)−NRC(NR)NR−、および
【化7】

から成る群より選択され、

a)C1‐6アルキル、
b)C2‐6アルケニル、および
c)C2‐6アルキニル
から成る群より選択され、
ここで、a)〜c)のいずれも、1つ以上のR基で置換されてもいてよく;

a)C1‐6アルキル、
b)C2‐6アルケニル、および
c)C2‐6アルキニル
から成る群より選択され、
ここで、a)〜c)のいずれも、1つ以上のR基で置換されていてもよく;
各存在位置におけるRは、それぞれ独立して
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OR、g)−CN、h)−NO、i)−NR、j)−C(O)R、k)−C(O)OR、l)−OC(O)R、m)−C(O)NR、n)−NRC(O)R、o)−OC(O)NR、p)−NRC(O)OR、q)−NRC(O)NR、r)−C(S)R、s)−C(S)OR、t)−OC(S)R、u)−C(S)NR、v)−NRC(S)R、w)−OC(S)NR、x)−NRC(S)OR、y)−NRC(S)NR、z)−NRC(NR)NR、aa)−S(O)、bb)−SONR、およびcc)R
から成る群より選択され;
各存在位置におけるRは、それぞれ独立して
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)−CF、f)−OR、g)−CN、h)−NO、i)−NR、j)−C(O)R、k)−C(O)OR、l)−OC(O)R、m)−C(O)NR、n)−NRC(O)R、o)−OC(O)NR、p)−NRC(O)OR、q)−NRC(O)NR、r)−C(S)R、s)−C(S)OR、t)−OC(S)R、u)−C(S)NR、v)−NRC(S)R、w)−OC(S)NR、x)−NRC(S)OR、y)−NRC(S)NR、z)−NRC(NR)NR、aa)−S(O)、bb)−SONR、およびcc)R
から成る群より選択され;

a)−OR、b)−NR、c)−C(O)R、d)−C(O)OR、e)−OC(O)R、f)−C(O)NR、g)−NRC(O)R、h)−OC(O)NR、i)−NRC(O)OR、j)−NRC(O)NR、k)−C(S)R、l)−C(S)OR、m)−OC(S)R、n)−C(S)NR、o)−NRC(S)R、p)−OC(S)NR、q)−NRC(S)OR、r)−NRC(S)NR、s)−NRC(NR)NR、t)−S(O)、u)−SONR、およびv)R
から成る群より選択され;
各存在位置におけるRは、それぞれ独立して
a)H、b)C1‐6アルキル、c)C2‐6アルケニル、d)C2‐6アルキニル、e)C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環、f)窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環、g)−C(O)−C1‐6アルキル、h)−C(O)−C2‐6アルケニル、i)−C(O)−C2‐6アルキニル、j)−C(O)−(C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環)、k)−C(O)−(窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環)、l)−C(O)O−C1‐6アルキル、m)−C(O)O−C2‐6アルケニル、n)−C(O)O−C2‐6アルキニル、o)−C(O)O−(C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環)、ならびにp)−C(O)O−(窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環)、
から成る群より選択され、
ここで、b)〜p)のいずれも、1つ以上のR基で置換されていてもよく;
各存在位置におけるRは、それぞれ独立して
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)=O、f)=S、g)=NR、h)=NOR、i)=N−NR、j)−CF、k)−OR、l)−CN、m)−NO、n)−NR、o)−C(O)R、p)−C(O)OR、q)−OC(O)R、r)−C(O)NR、s)−NRC(O)R、t)−OC(O)NR、u)−NRC(O)OR、v)−NRC(O)NR、w)−C(S)R、x)−C(S)OR、y)−OC(S)R、z)−C(S)NR、aa)−NRC(S)R、bb)−OC(S)NR、cc)−NRC(S)OR、dd)−NRC(S)NR、ee)−NRC(NR)NR、ff)−S(O)、gg)−SONR、およびhh)R
から成る群より選択され;
各存在位置におけるRは、それぞれ独立して
a)H、b)C1‐6アルキル、c)C2‐6アルケニル、d)C2‐6アルキニル、e)C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族炭素環、f)窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環、g)−C(O)−C1‐6アルキル、h)−C(O)−C2‐6アルケニル、i)−C(O)−C2‐6アルキニル、j)−C(O)−(C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環)、k)−C(O)−(窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環)、l)−C(O)O−C1‐6アルキル、m)−C(O)O−C2‐6アルケニル、n)−C(O)O−C2‐6アルキニル、o)−C(O)O−(C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環)、ならびにp)−C(O)O−(窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環)、
から成る群より選択され、
ここで、b)〜p)のいずれも、1つ以上のR基で置換されていてもよく;
各存在位置におけるRは、それぞれ独立して
a)F、b)Cl、c)Br、d)I、e)=O、f)=S、g)=NR、h)=NOR、i)=N−NR、j)−CF、k)−OR、l)−CN、m)−NO、n)−NR、o)−C(O)R、p)−C(O)OR、q)−OC(O)R、r)−C(O)NR、s)−NRC(O)R、t)−OC(O)NR、u)−NRC(O)OR、v)−NRC(O)NR、w)−C(S)R、x)−C(S)OR、y)−OC(S)R、z)−C(S)NR、aa)−NRC(S)R、bb)−OC(S)NR、cc)−NRC(S)OR、dd)−NRC(S)NR、ee)−NRC(NR)NR、ff)−S(O)、gg)−SONR、hh)C1‐6アルキル、ii)C2‐6アルケニル、jj)C2‐6アルキニル、kk)C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環、ならびにll)窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環、
から成る群より選択され;
ここで、hh)〜ll)のいずれも、R、F、Cl、Br、I、−CF、−OR、−SR、−CN、−NO、−NR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)R、−OC(O)NR、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−C(S)R、−C(S)OR、−OC(S)R、−C(S)NR、−NRC(S)R、−OC(S)NR、−NRC(S)OR、−NRC(S)NR、−NRC(NR)NR、−SONR、および−S(O)、から成る群より選択される1つ以上の部分で置換されていてもよく;
各存在位置におけるRは、それぞれ独立して:
a)H、b)C1‐6アルキル、c)C2‐6アルケニル、d)C2‐6アルキニル、e)C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環、f)窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環、g)−C(O)−C1‐6アルキル、h)−C(O)−C2‐6アルケニル、i)−C(O)−C2‐6アルキニル、j)−C(O)−(C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環)、k)−C(O)−(窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環)、l)−C(O)O−C1‐6アルキル、m)−C(O)O−C2‐6アルケニル、n)−C(O)O−C2‐6アルキニル、o)−C(O)O−(C3‐14の、飽和、不飽和、もしくは芳香族である炭素環)、ならびにp)−C(O)O−(窒素、酸素、および硫黄から成る群より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、3〜14員の、飽和、不飽和、もしくは芳香族であるヘテロ環)、
から成る群より選択され、
ここで、b)〜p)のいずれも、F、Cl、Br、I、−CF、−OH、−OCH、−SH、−SCH、−CN、−NO、−NH、−NHCH、−N(CH、−C(O)CH、−C(O)OCH、−C(O)NH、−NHC(O)CH、−SONH、−SONHCH、−SON(CH、および−S(O)CH、から成る群より選択される1つ以上の部分で置換されていてよく;
各存在位置におけるmは、それぞれ独立して、0、1、2、3、または4であり:
各存在位置におけるnは、それぞれ独立して、0、1、2、3、または4であり:ならびに
各存在位置におけるpは、それぞれ独立して、0、1、または2である。
【0101】
本開示の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化8】

式中、A、B、L、M、R、R、R、m、およびnは、上記で定められる。
【0102】
他の実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化9】

式中、A、B、L、M、R、R、R、m、およびnは、上記に定義するとおりである。
【0103】
特定の化合物としては、Aが、フェニルおよびピリジルから成る群より選択され;Bが、フェニルおよびピリジルから成る群より選択され;mが、0、1、または2であり;nが、0、1、または2である化合物が挙げられる。
【0104】
ある実施形態では、A−Bは:
【化10】

であり、ここで、A、R、およびnは、上記で定める通りである。特定の実施形態では、A−Bは:
【化11】


であり、Aは、上記に定義するとおりである。
【0105】
様々な実施形態では、A−Bは:
【化12】

であり、Bは、上記に定義するとおりである。
【0106】
ある実施形態では、Rは、−NHC(O)Rである。これらの実施形態に従う特定の化合物としては、Rが−CHである化合物が挙げられる。他の実施形態では、Rは:
【化13】

である。
【0107】
本開示の特定の実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化14】

式中、A、B、L、M、R、R、m、およびnは、上記に定義するとおりである。
【0108】
本開示の他の実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化15】

式中、A、L、M、R、R、およびmは、上記に定義するとおりである。
【0109】
本開示のさらに他の実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化16】

式中、A、L、M、R、およびmは、上記に定義するとおりである。
【0110】
本開示のある実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化17】


式中、L、M、およびRは、上記に定義するとおりである。これらの実施形態に従う特定の化合物としては、Rが−NHC(O)CHである化合物が挙げられる。
【0111】
本開示の他の実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化18】

式中、A、L、M、R、R、およびmは、上記に定義するとおりである。
【0112】
本開示のさらに他の実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化19】

式中、A、L、M、R、およびmは、上記に定義するとおりである。
【0113】
本開示のある実施形態は、以下の式を有する化合物またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【化20】


式中、L、M、およびRは、上記に定義するとおりである。これらの実施形態に従う特定の化合物としては、Rが−NHC(O)CHである化合物が挙げられる。
【0114】
ある実施形態では、M−Lは、M−Lであり、Lは、C1‐6アルキルである。特定の実施形態では、M−Lは、M−CH−である。
【0115】
他の実施形態では、M−Lは、M−L−X−Lであり、Xは、−NR−である。これらの実施形態に従う特定の化合物において、Xは、−NH−、−N(O)−、または−N(OR)−であり、ここで、Rは、HまたはC1‐6アルキルである。その他の化合物としては、Xが、
【化21】

である化合物が挙げられる。
【0116】
これらの実施形態に従う特定の化合物において、Lは、C1‐6アルキルであり、Lは、C1‐6アルキルである。ある実施形態では、Lは、−CH−であり、Lは、−CH−である。これらの実施形態に従う化合物の特定の例としては、M−Lが、M−CH−NH−CH−、または、
【化22】

である化合物が挙げられる。
【0117】
さらに他の実施形態では、M−Lは、M−S−L−NR−Lであり、ここで、Lは、C1‐6アルキルであり、Lは、C1‐6アルキルである。これらの実施形態に従う特定の化合物において、M−Lは、M−S−CHCH−NH−CH−である。
【0118】
特定の実施形態では、Mは:
a)フェニル、b)ピリジル、c)ピラジニル、d)ピリミジニル、e)ピリダジニル、f)オキシラニル、g)アジリジニル、h)フラニル、i)チオフェニル、j)ピロリル、k)オキサゾリル、l)イソキサゾリル、m)イミダゾリル、n)ピラゾリル、o)イソチアゾリル、p)チアゾリル、q)トリアゾリル、r)テトラゾリル、s)インドリル、t)プリニル、u)ベンゾフラニル、v)ベンゾキサゾリル、w)ベンズイソキサゾリル、x)キノリニル、y)イソキノリニル、z)キノキサリニル、aa)キナゾリニル、bb)シンノリニル、cc)シクロプロピル、dd)シクロブチル、ee)シクロペンチル、ff)シクロヘキシル、gg)シクロヘプチル、hh)オキセタニル、ii)テトラヒドロフラニル、jj)テトラヒドロピラニル、kk)アゼチジニル、ll)ピロリジニル、mm)ピペリジニル、nn)チエタニル、oo)テトラヒドロチオフェニル、pp)テトラヒドロチオピラニル、qq)ピペラジニル、rr)キヌクリジニル、ss)1‐アザビシクロ[2.2.1]ヒエプタニル(1-azabicyclo[2.2.1]hyeptanyl)、tt)モルホリニル、uu)チオモルホリニル、vv)チオオキソモルホリニル、ww)チオジオキソモルホリニル、およびxx)ベンゾチオフェニル
から成る群より選択され、
ここで、a)〜xx)のいずれも、1つ以上のR基で置換されていてもよい。特定の実施形態では、Mは、4‐イソキサゾリル、[1,2,3]トリアゾール‐1‐イル、3H‐[1,2,3]トリアゾール‐4‐イル、1H‐テトラゾール‐5‐イル、ピペリジン‐1‐イル、またはピロリジン‐1‐イルである。
【0119】
ある実施形態では、Aは、フェニル、置換フェニル、ピリジル、または置換ピリジルである。Aが、2位でM−Lによって置換されたピリジン‐4‐イルである特定の状況下では、M−Lは、(イミダゾール‐1‐イル)メチルまたは(モルホリン‐4‐イル)メチルではない。
【0120】
ある実施形態では、Bは、フェニルまたは置換フェニルである。より好ましくは、Bは、置換フェニルである。ある実施形態では、置換基は、ハロゲンを含む。Bが無置換フェニルである特定の状況下では、M−Lは、M−X、M−L−X、M−L−X−L、M−X−L−X−L、M−X−X−、M−L−X−X−、M−X−X−L、およびM−L−X−X−Lから成る群より選択される。Bが、5位でAによって置換されたピリジン‐2‐イルである特定の状況下では、M−Lは、M−X、M−L−X、M−L−X−L、M−L−X−L−X、M−X−X−、M−X−X−L、およびM−L−X−X−Lから成る群より選択される。
【0121】
キノロンおよびフルオロキノロン
本発明で有用であるピリドンカルボン酸誘導体などのキノロン誘導体は、Yazaki et al.に対する2000年12月5日に発行された米国特許第6,156,903号、および2001年12月11日のその訂正証明書;Yazaki et al.に対する2000年10月17日に発行された米国特許第6,133,284号;Yazaki et al.に対する1999年12月7日に発行された米国特許第5,998,436号、ならびに2001年1月23日および2002年12月17日のその訂正証明書;アボットラボラトリーズに対する2006年4月20日公開のPCT出願番号WO2006/042034、アボットラボラトリーズに対する2006年2月9日公開のPCT出願番号WO2006/015194;湧永製薬株式会社に対する2001年5月17日公開のPCT出願番号WO01/34595;および湧永製薬株式会社に対する1997年3月27日公開のPCT出願番号WO97/11068に、その合成、製剤、および使用を含めて記載されている。
【0122】
本開示の方法、組成物、および使用におけるピリドンカルボン酸誘導体としては、以下の構造に対応し(ピリドンカルボン酸誘導体1)、
【0123】
ピリドンカルボン酸誘導体1
【化23】

構造中、Rは、水素原子またはカルボキシル保護基を表し;Rは、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、または置換もしくは無置換のアミノ基を表し;Rは、水素原子またはハロゲン原子を表し;Rは、水素原子またはハロゲン原子を表し;Rは、ハロゲン原子、または置換されていてもよい飽和環状アミノ基を表し;Rは、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、または保護されていてもよいアミノ基を表し;X、Y、およびZは、同一または異なっていてよく、それぞれ、窒素原子、CH、またはCR(ここで、Rは、低級アルキル基、ハロゲン原子、またはシアノ基を表す)を表すが、但し、X、Y、およびZのうちの少なくとも1つは、窒素原子を表し、ならびにWは、窒素原子またはCR(ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子、または低級アルキル基を表す)を表すが、但し、Rが水素原子を表し、Rがアミノ基を表し、RおよびRがフッ素原子を表し、Rが水素原子を表し、Xが窒素原子を表し、YがCR(ここで、Rはフッ素原子を表す)を表し、ZがCHを表し、およびWがCR(ここで、Rは塩素原子を表す)を表す場合、Rは、3‐ヒドロキシアゼチジン‐1‐イル基ではない化合物、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【0124】
上記段落で述べたように、Rが、カルボキシル保護基である場合、それは、比較的容易に開裂して対応する遊離カルボキシル基を生成するいずれのカルボキシレートエステル残基であってもよい。代表的なカルボキシル保護基としては、加水分解、触媒還元、およびその他の温和条件下での処理によって脱離することができるものが挙げられ、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、i‐ブチル基、t‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、およびヘプチル基などの低級アルキル基;ビニル基、アリル基、1‐プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、およびヘプテニル基などの低級アルケニル基;ベンジル基などのアラルキル基;ならびにフェニル基およびナフチル基などのアリール基などであり;ならびに、体内で容易に脱離することができるものが挙げられ、アセトキシメチル基およびピバロイロキシメチル基などの低級アルカノイロキシ低級アルキル基;メトキシカルボニルオキシメチル基および1‐エトキシカルボニルオキシエチル基などの低級アルコキシカルボニルオキシ低級アルキル基;メトキシメチル基などの低級アルコキシメチル基;フタリジルなどのラクトニル基;1‐ジメチルアミノエチル基などのジ低級アルキルアミノ低級アルキル基;ならびに(5‐メチル‐2‐オキソ‐1,3‐ジオキソール‐4‐イル)メチル基などである。
【0125】
置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、A、J、J、J、W、X、Y、Z、e、f、およびgは、本明細書において、ピリドンカルボン酸誘導体1を例とするピリドンカルボン酸誘導体の化学構造に対して便宜上定められており、本明細書で開示されるその他の化合物に対するその他の置換基について言及するものではないことには留意されたい。
【0126】
他の実施形態では、本開示は、ピリドンカルボン酸誘導体1の構造のピリドンカルボン酸誘導体に係る方法、組成物、または使用に関し、ここで、Wは、CRであり、ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子、または低級アルキル基を表す。
【0127】
他の実施形態では、本開示は、ピリドンカルボン酸誘導体1の構造のピリドンカルボン酸誘導体に係る方法、組成物、または使用に関し、ここで、Rは、以下の式(a)または(b)で表される基であり:
【化24】

式中、Aは、酸素原子、硫黄原子、またはNR(ここで、Rは、水素原子または低級アルキル基を表す)を表し、eは、3から5の数字を表し、fは、1から3の数字を表し、gは、0から2の数字を表し、J、J、およびJは、互いに同一であっても、または異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、低級アルキル基、アミノ低級アルキル基、アミノ基、低級アルキルアミノ基、低級アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
【0128】
他の実施形態では、本開示は、ピリドンカルボン酸誘導体1の構造のピリドンカルボン酸誘導体に係る方法、組成物、または使用に関し、ここで、Rは、式(a)で表される基である。
【化25】
【0129】
他の実施形態では、本開示は、ピリドンカルボン酸誘導体1の構造のピリドンカルボン酸誘導体に係る方法、組成物、または使用に関し、ここで、式(a)中のeは、3または4である。
【化26】
【0130】
他の実施形態では、本開示は、ピリドンカルボン酸誘導体1の構造のピリドンカルボン酸誘導体に係る方法、組成物、または使用に関し、ここで、Rは、水素原子であり;Rは、アミノ基、低級アルキルアミノ基、またはジ低級アルキルアミノ基であり;Rは、ハロゲン原子であり;Rは、ハロゲン原子であり;Rは、水素原子であり;Xは、窒素原子であり;YおよびZは、CHまたはCR(ここで、Rは、低級アルキル基またはハロゲン原子である)であり;Wは、CR(ここで、Rは、ハロゲン原子または低級アルキル基である)である。
【0131】
他の実施形態では、本開示は、ピリドンカルボン酸誘導体1の構造のピリドンカルボン酸誘導体に係る方法、組成物、または使用に関し、ここで、Rは、アミノ基であり;Rは、フッ素原子であり;Rは、フッ素原子であり;Yは、CFであり;Zは、CHであり;Wは、CR(ここで、Rは、塩素原子、臭素原子、またはメチル基である)であり、式(a)中のeは、3である。
【化27】
【0132】
他の実施形態では、本開示は、前記ピリドンカルボン酸が以下の構造またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグに対応する、方法、組成物、または使用に関する。
【化28】

この上記ピリドンカルボン酸は、公に開示されているコード名ABT‐492およびWQ 3034でも知られており、また化学名1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシ‐1‐アゼチジニル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボン酸または1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシアゼチジン‐1‐イル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボン酸でも知られている。化合物のこのカルボン酸の形態は、CAS登録番号189279‐58‐1に対応している。さらに、上記で引用したWO2006/042034には、この化合物のD‐グルシトール塩[D‐グルシトール 1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシ‐1‐アゼチジニル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボキシレート(塩)]およびこの化合物のD‐グルシトール塩の三水和物[D‐グルシトール 1‐(6‐アミノ‐3,5‐ジフルオロ‐2‐ピリジニル)‐8‐クロロ‐6‐フルオロ‐1,4‐ジヒドロ‐7‐(3‐ヒドロキシ‐1‐アゼチジニル)‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボキシレート 三水和物(塩)]が開示されている。D‐グルシトール塩およびD‐グルシトール塩の三水和物は、それぞれ、CAS登録番号352458‐37−8および883105‐02‐0に対応している。D‐グルシトールは、CAS登録番号6284‐40‐8に対応している。WO2006/042034にはまた、Cu‐Kα線により約25℃で測定された場合のWO2006/042034の図1に示される粉末回折パターンを特徴とするD‐グルシトール塩の結晶形態、およびCu‐Kα線により約25℃で測定された場合のWO2006/042034の図2に示される粉末回折パターンによるD‐グルシトール塩の三水和物の結晶形態も開示されている。これらのD‐グルシトール塩は、本開示において有用である。A.R. Haight et al., "Synthesis of the Quinolone ABT-492: Crystallizations for Optimal Processing", Organic Process Research & Development (2006), 10(4), 751-756も参照されたい。
【0133】
本発明で有用であるその他のキノロン化合物としては、アスバロフロキサシン(asbalofloxacin)、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン(clinafloxacin)、エノキサシン、フレロキサシン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、パズフロキサシン、ペフロキサシン、プルリフロキサシン、ルフロキサシン、シタフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、およびトロバフロキサシンなどのフルオロキノロンが挙げられる。
【0134】
ガレノキサシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。ガレノキサシンは1‐シクロプロピル‐8‐(ジフルオロメトキシ)‐7‐(1R)‐(1‐メチル‐2,3‐ジヒドロ‐1H‐5‐イソノジル)‐4‐オキソ‐1,4‐ジヒドロ‐3‐キノリンカルボン酸メタンスルホネート一水和物として、ならびに公に開示されているコード名T‐3811およびBM 284756でも知られている。Takahata et al., "In Vitro and In Vivo Antimicrobial Activities of T-3811ME, a Novel Des-F(6)-Quinolone", Antimicrobial Agents and Chemotherapy, vol. 43, no. 5, pp. 1077-1084 (1999);2000年2月15日に発行されたTodo et al.に対する米国特許第6,025,370号;ならびに1999年8月10日に発行されたTodo et al.に対する米国特許第5,935,952号および2000年12月5日のその訂正証明書を参照されたい。
【0135】
ガチフロキサシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。ガチフロキサシンは、Tequinの商品名または商標名で販売されている。2003年7月8日に発行されたRaghavan et al.に対する米国特許第6,589,955 B2号;1999年3月9日に発行されたMatsumoto et al.に対する米国特許第5,880,283号;ならびに1990年12月25日に発行されたMasuzawa et al.に対する米国特許第4,980,470号および1992年8月11日のその訂正証明書を参照されたい。
【0136】
ゲミフロキサシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。ゲミフロキサシンは、Factiveの商品名または商標名で販売されている。2004年10月12日に発行されたAppelbaum et al.に対する米国特許第6,803,376 B1号;2004年4月20日に発行されたKim et al.に対する米国特許第6,723,734 B2号;2002年9月24日に発行されたCitron et al.に対する米国特許第6,455,540 B1号;2002年1月22日に発行されたDubois et al.に対する米国特許第6,340,689 B1号および2002年6月18日のその訂正証明書;2001年12月18日に発行されたCitron et al.に対する米国特許第6,331,550 B1号;2001年7月17日に発行されたCrabb et al.に対する米国特許第6,262,071 B1号;1999年10月5日に発行されたHong et al.に対する米国特許第5,962,468号および2000年5月9日のその訂正証明書;1998年7月7日に発行されたHong et al.に対する米国特許第5,776,944号;ならびに1997年5が宇27日に発行されたHong et al.に対する米国特許第5,633,262号を参照されたい。
【0137】
レボフロキサシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。レボフロキサシンは、Levaquinの商品名または商標名で販売されている。1991年10月1日に発行されたHayakawa et al.に対する米国特許第5,053,407号および1994年9月27日のその訂正証明書を参照されたい。
【0138】
モキシフロキサシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。モキシフロキサシンは、Aveloxの商品名または商標名で販売されている。1998年12月15日に発行されたGrunenberg et al.に対する米国特許第5,849,752号;1997年3月4日に発行されたPetersen et al.に対する米国特許第5,607,942号;ならびに1991年2月5日に発行されたPetersen et al.に対する米国特許第4,990,517号および1995年4月25日のその訂正証明書を参照されたい。
【0139】
ベンゾヘテロ環式化合物
本発明で有用であるベンゾヘテロ環式化合物は、2004年6月22日に発行されたDe Souza et al.に対する米国特許第6,753,333 B2号;2004年6月15日に発行されたPatel et al.に対する米国特許第6,750,224 B1号および2004年11月2日のその訂正証明書;2003年12月16日に発行されたde Souza et al.に対する米国特許第6,664,267 B1号;2003年8月19日に発行されたDe Souza et al.に対する米国特許第6,608,078 B2号;2003年2月4日に発行されたDe Souza et al.に対する米国特許第6,514,986 B2号;1985年11月12日に発行されたIshikawa et al.に対する米国特許第4,552,879号;ならびに1983年8月16日に発行されたIshikawa et al.に対する米国特許第4,399,134号に、その合成、製剤、および使用を含めて記載されている。
【0140】
本開示の方法、組成物、および使用のベンゾヘテロ環式化合物としては、以下の構造に対応する化合物(ベンゾヘテロ環式化合物I)、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグが挙げられる。
【0141】
ベンゾヘテロ環式化合物I
【化29】

構造中、Rは、水素原子または低級アルキル基を表し;Rは、水素原子またはハロゲン原子を表し;Rは、ヒドロキシルメチル基で置換されていてもよい1‐ピロリジニル基、1,2,5,6‐テトラヒドロ‐1‐ピリジル基、または以下の式の基を表し;
【化30】

式中、Rは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、フェニル‐低級アルキル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルキル基もしくは低級アルカノイル基で置換されていてもよいアミノ基、オキソ基、またはカルバモイル基を表し;Zは、酸素原子、硫黄原子、またはメチレン基を表し;mは、1または2であり;nは、1または2の整数である。
【0142】
置換基R、R、R、R、Z、m、およびnは、本明細書において、ベンゾヘテロ環式化合物(I)を例とするベンゾヘテロ環式化合物の化学構造に対して便宜上定められており、本開示のその他の化合物に対するその他の置換基について言及するものではないことには留意されたい。
【0143】
他の実施形態では、本開示は、nが2であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0144】
他の実施形態では、本開示は、nが1であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0145】
他の実施形態では、本開示は、Rが以下の式の基を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【化31】

式中、Rは、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、フェニル‐低級アルキル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルキル基もしくは低級アルカノイル基で置換されていてもよいアミノ基、オキソ基、またはカルバモイル基を表し;Zは、酸素原子、硫黄原子、またはメチレン基を表し;mは、1または2であり;nは、1である。
【0146】
他の実施形態では、本開示は、Rが、ヒドロキシルメチル基で置換されていてもよい1‐ピロリジニル基、または1,2,5,6‐テトラヒドロ‐1‐ピリジル基を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0147】
他の実施形態では、本開示は、Rが水素原子、ヒドロキシ基、または低級アルカノイロキシ基を表し、以下の式で表される基が結合する位置が8位であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【化32】

式中、Rが、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、フェニル‐低級アルキル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルキル基もしくは低級アルカノイル基で置換されていてもよいアミノ基、オキソ基、またはカルバモイル基を表し;Zが、酸素原子、硫黄原子、またはメチレン基を表し;mが、1または2であり;nが、1である
【0148】
他の実施形態では、本開示は、Rが低級アルキル基、低級アルコキシ基、フェニル‐低級アルキル基、低級アルキル基もしくは低級アルカノイル基で置換されていてもよいアミノ基、オキソ基、カルバモイル基を表し、以下の式で表される基が結合している位置が8位であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【化33】

式中、Rが水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、フェニル‐低級アルキル基、低級アルカノイルオキシ基、低級アルキル基もしくは低級アルカノイル基で置換されていてもよいアミノ基、オキソ基、またはカルバモイル基を表し;Zが酸素原子、硫黄原子、またはメチレン基を表し;mが1または2であり;nは1である。
【0149】
他の実施形態では、本開示は、Rがハロゲン原子を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0150】
他の実施形態では、本開示は、Rが水素原子を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0151】
他の実施形態では、本開示は、Rがフッ素原子を表し、且つ当該フッ素原子が結合している位置が9位であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0152】
他の実施形態では、本開示は、Rが塩素原子を表し、且つフッ素原子が結合している位置が9位であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0153】
他の実施形態では、本開示は、Rが低級アルキル基を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0154】
他の実施形態では、本開示は、Rがメチル基を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0155】
他の実施形態では、本開示は、Rが9位に結合したフッ素原子を表し、且つRがメチル基を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0156】
他の実施形態では、本開示は、Rがメチル基を表し、Rが9位に結合したフッ素原子を表し、且つRによって表される基が結合した位置が8位であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0157】
他の実施形態では、本開示は、Rが結合した位置が9位であるベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0158】
他の実施形態では、本開示は、Rがメチル基を表し、且つRが8位に結合したフッ素原子を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0159】
他の実施形態では、本開示は、Rがメチル基を表し、且つRが8位に結合した塩素原子を表すベンゾヘテロ環式化合物Iの構造を有するベンゾヘテロ環式化合物に係る方法、組成物、または使用に関する。
【0160】
他の実施形態では、本開示は、前記ベンゾヘテロ環式化合物が、9‐フルオロ‐8‐(4‐ヒドロキシ‐1‐ピペリジル)‐5‐メチル‐6,7‐ジヒドロ‐1‐オキソ‐1H,5H‐ベンゾ[i,j]キノリジン‐2‐カルボン酸、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグである方法、組成物、または使用に関する。
【0161】
他の実施形態では、本開示は、前記ベンゾヘテロ環式化合物が、S‐(−)‐9‐フルオロ‐6,7‐ジヒドロ‐8‐(4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐イル)‐5‐メチル‐1‐オキソ‐1H,5H‐ベンゾ[i,j]キノリジン‐2‐カルボン酸、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグである方法、組成物、または使用に関する。上記の化合物は、化学名ナジフロキサシンでも知られる。
【0162】
他の実施形態では、本開示は、前記ベンゾヘテロ環式化合物が、S‐(−)‐9‐フルオロ‐6,7‐ジヒドロ‐8‐(4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐イル)‐5‐メチル‐1‐オキソ‐1H,5H‐ベンゾ[i,j]キノリジン‐2‐カルボン酸アルギニン塩である方法、組成物、または使用に関する。
【0163】
他の実施形態では、本開示は、前記ベンゾヘテロ環式化合物が、S‐(−)‐9‐フルオロ‐6,7‐ジヒドロ‐8‐(4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐イル)‐5‐メチル‐1‐オキソ‐1H,5H‐ベンゾ[i,j]キノリジン‐2‐カルボン酸アルギニン塩の特定の多形または結晶形態である方法、組成物、または使用に関する。
【0164】
他の実施形態では、本開示は、前記ベンゾヘテロ環式化合物が、以下のX線回折データ:(2θ):10.16,11.78,12,52,16.00,18.94,19.66,20.36,21.28,21.92,22.52,24.74,25.28,30.74を有するS‐(−)‐9‐フルオロ‐6,7‐ジヒドロ‐8‐(4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐イル)‐5‐メチル‐1‐オキソ‐1H,5H‐ベンゾ[i,j]キノリジン‐2‐カルボン酸アルギニン塩である方法、組成物、または使用に関する。
【0165】
他の実施形態では、本開示は、前記ベンゾヘテロ環式化合物が、以下のX線回折データ:(2θ):18.28,18.8,19.8,20.12,20.62,21.10,21.44,21.88,22.6,23.02を有するS‐(−)‐9‐フルオロ‐6,7‐ジヒドロ‐8‐(4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐イル)‐5‐メチル‐1‐オキソ‐1H,5H‐ベンゾ[i,j]キノリジン‐2‐カルボン酸アルギニン塩である方法、組成物、または使用に関する。
【0166】
他の実施形態では、本開示は、前記ベンゾヘテロ環式化合物が、以下のX線回折データ:(2θ):14.02±0.2,14.82±0.2,19.28±0.2,22.12±0.2,22.96±0.2,23.46±0.2,28.36±0.2を有するS‐(−)‐9‐フルオロ‐6,7‐ジヒドロ‐8‐(4‐ヒドロキシピペリジン‐1‐イル)‐5‐メチル‐1‐オキソ‐1H,5H‐ベンゾ[i,j]キノリジン‐2‐カルボン酸アルギニン塩である方法、組成物、または使用に関する。
【0167】
アルギニン塩を例とするベンゾヘテロ環式化合物の特定の多形または結晶形態に関して、当該化合物に対して公に開示されているコード名は、WCK 771である。
【0168】
ベータ‐ラクタム
例えば、7‐アシル化イミダゾ[5‐1,b]チアゾール‐2‐イル基がカルバペネム部分のC‐2位に直接結合したカルバペネムを例とするカルバペネムである本発明に有用なベータ‐ラクタムは、M. Kurazano et al., "In Vitro Activities of ME1036 (CP5609), a Novel Parenteral Carbapenem, Against Methicillin-Resistant Staphylococci", Antimicrobial Agents and Chemotherapy, vol. 48, no. 8, pp. 2831-2837 (August 2004);2004年2月26日に公開されたKano et al.に対する米国特許出願公開第2004/0038967 A1号;2004年7月1日に公開された明治製菓株式会社に対するPCT出願公開WO2004/055027;および2002年5月30日に公開された明治製菓株式会社に対するPCT出願公開WO02/042312に、その合成、製剤、および使用を含めて記載されている。
【0169】
本開示の方法、組成物、および使用のベータ‐ラクタム化合物としては、以下の構造に対応する化合物(ベータ‐ラクタムI)、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグが挙げられる。
【0170】
ベータ‐ラクタムI
【化34】

構造中、Rは、水素原子またはメチルを表し、RおよびRは、同一であってもまたは異なっていてもよく、各々、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、低級アルキルチオ、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ、もしくはN‐カルバモイル低級アルキル‐N,N‐ジ‐低級アルキルアンモニノによって置換されていてもよい低級アルキル;低級シクロアルキル;低級アルキルカルボニルのアルキル部分が、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、低級アルキルチオ、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ、もしくはN‐カルバモイル低級アルキル‐N,N‐ジ‐低級アルキルアンモニノによって置換されていてもよい低級アルキルカルボニル;カルバモイル;1つもしくは2つの低級アルキル基によって置換されていてもよいアミノによって置換されていてもよいアリール;低級アルキルチオのアルキル部分が、アミノ、ヒドロキシル、アジド、ハロゲン原子、シアノ、カルバモイル、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキルチオ;モルホリニル;低級アルキルスルホニル;またはホルミルを表し;nは、0から4の整数であり、Hyは、窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1から4個のヘテロ原子を有し、4〜7員の単環式または9員もしくは10員の二環式である、飽和または不飽和のヘテロ環式基を表し、Hyで表される飽和または不飽和のヘテロ環式基は、ハロゲン原子;シアノ;低級アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子;ヒドロキシル;カルバモイル;カルボキシメチル‐置換カルバモイル;アミノ;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ;アミノによって置換されていてもよいアリール;窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、アミノスルホニルもしくはカルボキシルによって置換されていてもよい単環式または二環式のヘテロ環式基;カルボキシル;イミノ;低級アルコキシカルボニル;低級アルキルカルボニル;アミノスルホニルアミノ;アミノ低級アルキルチオ;低級アルキルスルホニル;(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;N’‐(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニル‐N’‐低級アルキルアミノ;ハロゲン化低級アルキルカルボニル;N‐アミノスルホニルピペリジニル;およびシアノから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキル;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルチオ;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、1‐イミノエチルアミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルスルホニル;ヒドロキシル;低級アルコキシ;ヒドロキシアミノフェニル置換低級アルコキシ;ハロゲン化低級アルコキシ;アミノフェニル置換低級アルコキシ;ホルミル;低級アルキルカルボニル;アリールカルボニル;カルボキシル;低級アルコキシカルボニル;カルバモイル;N‐低級アルキルカルバモイル;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノカルボニル;アミノ;N‐低級アルキルアミノ;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ;ホルミルアミノ;低級アルキルカルボニルアミノ;アミノスルホニルアミノ;(N‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ‐;(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;アリール;または窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、アミノスルホニルもしくはカルボキシルによって置換されていてもよい単環式または二環式のヘテロ環式基によって置換されていてもよい。
【0171】
置換基R、R、R、Hy、およびnは、本明細書において、ベータ‐ラクタムIおよびベータ‐ラクタムIIを例とするベータ‐ラクタムまたはカルバペネムの化学構造に対して便宜上定められており、本開示のその他の化合物に対するその他の置換基について言及するものではないことには留意されたい。
【0172】
他の実施形態では、本開示は、Rが、水素原子またはメチルを表し、RおよびRが、同一であってもまたは異なっていてもよく、各々、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキル;低級アルキルカルボニルのアルキル部分が、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキルカルボニル;カルバモイル;アリール;または低級アルキルチオのアルキル部分が、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキルチオを表し;nが、0から4の整数であり、Hyが、窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1から4個のヘテロ原子を含有し、4〜7員の単環式または9員もしくは10員の二環式である、飽和または不飽和のヘテロ環式基を表し、Hyで表される飽和または不飽和のヘテロ環式基が、ハロゲン原子;シアノ;低級アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、アリール、ならびに窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有する単環式または二環式のヘテロ環式基から選択される基によって置換されていてもよい低級アルキル;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルチオ;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルスルホニル;ヒドロキシル;低級アルコキシ;ホルミル;低級アルキルカルボニル;アリールカルボニル;カルボキシル;低級アルコキシカルボニル;カルバモイル;N‐低級アルキルカルバモイル;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノカルボニル;アミノ;N‐低級アルキルアミノ;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ;ホルミルアミノ;低級アルキルカルボニルアミノ;アミノスルホニルアミノ;(N‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;アリール;または窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有する単環式または二環式のヘテロ環式基によって置換されていてもよいベータ‐ラクタムIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0173】
他の実施形態では、本開示は、Rが、水素原子またはメチルを表し、RおよびRが、同一であってもまたは異なっていてもよく、各々、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい低級アルキル、低級シクロアルキル、低級アルキルカルボニル、カルバモイル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよい低級アルキルチオ、モルホリニル、低級アルキルスルホニル、またはホルミルを表し、nが、0から2の整数であり、Hyが、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリジニウム‐イル、置換されていてもよいテトラヒドロピリジニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいキノリニル、置換されていてもよいキノリニウム‐イル、置換されていてもよいイソキノリニル、置換されていてもよいジヒドロイソキノリニル、置換されていてもよいピペラジニル、置換されていてもよいピペリジニル、置換されていてもよいインドリル、置換されていてもよいチオモルホリニル、置換されていてもよいイミダゾリル、および置換されていてもよいピロリジニルから選択される基を表すベータ‐ラクタムIの構造のベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0174】
他の実施形態では、本開示は、Rが、水素原子またはメチルを表し、RおよびRが、同一であってもまたは異なっていてもよく、各々、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルキルカルボニル、カルバモイル、アリール、または置換されていてもよい低級アルキルチオを表し、nが、0から4の整数であり、Hyが、置換されていてもよいピリジニル、置換されていてもよいピリジニウム‐イル、置換されていてもよいテトラヒドロピリジニル、置換されていてもよいチアゾリル、置換されていてもよいピリミジニル、置換されていてもよいチエニル、置換されていてもよいキノリニル、置換されていてもよいキノリニウム‐イル、および置換されていてもよいピロリジニルから選択される基を表すベータ‐ラクタムIの構造のベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0175】
本開示の方法、組成物、および使用のベータ‐ラクタム化合物としては、以下の構造に対応する化合物(ベータ‐ラクタムII)、またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグを含む。
【0176】
ベータ‐ラクタムII
【化35】

構造中、Rは、水素原子またはメチルを表し、RおよびRは、同一であってもまたは異なっていてもよく、各々、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、低級アルキルチオ、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ、もしくはN‐カルバモイル低級アルキル‐N,N‐ジ‐低級アルキルアンモニノによって置換されていてもよい低級アルキル;低級シクロアルキル;低級アルキルカルボニルのアルキル部分が、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、低級アルキルチオ、低級アルコキシ、低級シクロアルキル、N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ、もしくはN‐カルバモイル低級アルキル‐N,N‐ジ‐低級アルキルアンモニノによって置換されていてもよい低級アルキルカルボニル;カルバモイル;1つもしくは2つの低級アルキル基によって置換されていてもよいアミノによって置換されていてもよいアリール;低級アルキルチオのアルキル部分が、アミノ、ヒドロキシル、アジド、ハロゲン原子、シアノ、カルバモイル、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキルチオ;モルホリニル;低級アルキルスルホニル;またはホルミルを表し;nは、0から4の整数であり、Hyは、窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1から4個のヘテロ原子を有し、4〜7員の単環式または9員もしくは10員の二環式である、飽和または不飽和のヘテロ環式基を表し、Hyで表される飽和または不飽和のヘテロ環式基は、ハロゲン原子;シアノ;低級アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子;ヒドロキシル;カルバモイル;カルボキシメチル‐置換カルバモイル;アミノ;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ;アミノによって置換されていてもよいアリール;窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、アミノスルホニルもしくはカルボキシルによって置換されていてもよい単環式または二環式のヘテロ環式基;カルボキシル;イミノ;低級アルコキシカルボニル;低級アルキルカルボニル;アミノスルホニルアミノ;アミノ低級アルキルチオ;低級アルキルスルホニル;(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;N’‐(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニル‐N’‐低級アルキルアミノ;ハロゲン化低級アルキルカルボニル;N‐アミノスルホニルピペリジニル;およびシアノから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキル;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルチオ;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、1‐イミノエチルアミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルスルホニル;ヒドロキシル;低級アルコキシ;ヒドロキシアミノフェニル置換低級アルコキシ;ハロゲン化低級アルコキシ;アミノフェニル置換低級アルコキシ;ホルミル;低級アルキルカルボニル;アリールカルボニル;カルボキシル;低級アルコキシカルボニル;カルバモイル;N‐低級アルキルカルバモイル;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノカルボニル;アミノ;N‐低級アルキルアミノ;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ;ホルミルアミノ;低級アルキルカルボニルアミノ;アミノスルホニルアミノ;(N‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ‐;(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;アリール;または窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有し、アミノスルホニルもしくはカルボキシルによって置換されていてもよい単環式または二環式のヘテロ環式基によって置換されていてもよい。
【0177】
他の実施形態では、本開示は、Rが、水素原子またはメチルを表し、RおよびRが、同一であってもまたは異なっていてもよく、各々、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキル;低級アルキルカルボニルのアルキル部分が、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキルカルボニル;カルバモイル;アリール;または低級アルキルチオのアルキル部分が、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、ホルミルアミノ、低級アルキルカルボニルアミノ、アミノスルホニルアミノ、もしくは低級アルキルチオによって置換されていてもよい低級アルキルチオを表し;nが、0から4の整数であり、Hyが、窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1から4個のヘテロ原子を含有し、4〜7員の単環式または9員もしくは10員の二環式である、飽和または不飽和のヘテロ環式基を表し、Hyで表される飽和または不飽和のヘテロ環式基が、ハロゲン原子;シアノ;低級アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、アリール、ならびに窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有する単環式または二環式のヘテロ環式基から選択される基によって置換されていてもよい低級アルキル;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルチオ;アルキル基上の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルバモイル、アミノ、およびアリールから選択される基によって置換されていてもよい低級アルキルスルホニル;ヒドロキシル;低級アルコキシ;ホルミル;低級アルキルカルボニル;アリールカルボニル;カルボキシル;低級アルコキシカルボニル;カルバモイル;N‐低級アルキルカルバモイル;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノカルボニル;アミノ;N‐低級アルキルアミノ;N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ;ホルミルアミノ;低級アルキルカルボニルアミノ;アミノスルホニルアミノ;(N‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ;アリール;または窒素、酸素、および硫黄原子から選択される1個以上のヘテロ原子を含有する単環式または二環式のヘテロ環式基によって置換されていてもよいベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0178】
他の実施形態では、本開示は、RおよびRで表されてよい低級アルキルおよび低級アルキルカルボニル基上の置換基が、ヒドロキシル、低級アルコキシ、N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ、またはN‐カルバモイル低級アルキル‐N,N‐ジ‐低級アルキルアンモニノであり、RおよびRで表されてよいアリール基上の置換基が、N,N‐ジ‐低級アルキルアミノであり、RおよびRで表されてよい低級アルキルチオ基上の置換基が、アミノ、ヒドロキシル、またはアジドであり、Hyで表される飽和または不飽和ヘテロ環式環上の置換基が、カルボキシメチル置換カルバモイル、カルバモイル、フェニル、アミノフェニル、N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ、アミノ、ヒドロキシル、モルホリニル、ピロリジニル、カルボキシル、イミノ、アミノ低級アルキルチオ、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニル、アミノスルホニルアミノ、ピペリジニル、低級アルキルスルホニル、(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニルアミノ、N’‐(N,N‐ジ‐低級アルキルアミノ)スルホニル‐N’‐低級アルキルアミノ、ハロゲン化低級アルキルカルボニル、N‐アミノスルホニルピペリジニル、またはシアノによって置換されていてもよい低級アルキル;カルバモイル;ピリジニル:N‐アミノスルホニルピロリジニル:2‐カルボキシピロリジニル;フェニル;ヒドロキシル;低級アルコキシ;ヒドロキシアミノフェニル置換低級アルコキシ;ハロゲン化低級アルコキシ;アミノフェニル置換低級アルコキシ;アミノ;カルボキシル;アミノによって置換されていてもよい低級アルキルチオ;アミノ低級アルキルチオ;アミノ低級アルキルスルホニル;または1‐イミノエチルアミノ低級アルキルスルホニルである、ベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0179】
他の実施形態では、本開示は、Rが、水素原子またはメチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、その1位にカルバモイルメチルを有するピリジニウム‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0180】
他の実施形態では、本開示は、nが0(ゼロ)であるベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0181】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0182】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、その1位にカルバモイル低級アルキル、カルボキシル低級アルキル、またはアミノスルホニルアミノ低級アルキルを有してよく、1位以外の位置にアミノ低級アルキルチオを有してよいピリジニウム‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0183】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、ピリジン‐3‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0184】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、1‐カルバモイルメチルピリジニウム‐3‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0185】
他の実施形態では、本開示は、R、R、およびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、1‐カルバモイルメチルピリジニウム‐3‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0186】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、1‐カルバモイルメチル‐5‐フェニルピリジニウム‐3‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0187】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、(2S)‐ピロリジン‐2‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0188】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、1‐カルボキシメチルピリジニウム‐3‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0189】
他の実施形態では、本開示は、Rが、メチルを表し、RおよびRが、水素原子を表し、nが、0(ゼロ)であり、Hyが、1‐(2‐アミノスルホニルアミノエチル)ピリジニウム‐3‐イルを表すベータ‐ラクタムIまたはベータ‐ラクタムIIの構造を有するベータ‐ラクタムに係る方法、組成物、または使用に関する。
【0190】
他の実施形態では、本開示は、前記ベータ‐ラクタムまたはカルバペネムが、以下の構造またはその医薬的に許容される塩、エステル、もしくはプロドラッグに対応する方法、組成物、または使用に関する。
【化36】

このベータ‐ラクタムまたはカルバペネムは、公に開示されているコード名ME1036およびCP5609でも知られている。
【0191】
アミノメチルサイクリン化合物
7‐メチルアミノ‐9‐(2,2‐ジメチル‐プロピル)アミノメチルサイクリンなどのアミノメチルサイクリン化合物、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。この化合物7‐メチルアミノ‐9‐(2,2‐ジメチル‐プロピル)アミノメチルサイクリンは、公に開示されているコード名PTK0796およびBAY73‐6944でても知られている。2005年1月25日に発行されたNelson et al.に対する米国特許第6,846,939 B2号;2005年3月31日に公開されたDraper et al.に対する米国特許出願第2005/0070510 A1号;2005年2月3日に公開されたNelson et al.に対する米国特許出願第2005/0026876 A1号;2005年2月3日に公開されたNelson et al.に対する米国特許出願第2005/0026875 A1号;2004年12月2日に公開されたDraper et al.に対する米国特許出願第2004/0242548 A1号;2004年10月28日に公開されたNelson et al.に対する米国特許出願第2004/0214801 A1号;2004年10月28日に公開されたLevy et al.に対する米国特許出願第2004/0214800 A1号;2004年5月13日に公開されたDraper et al.に対する米国特許出願第2004/0092490 A1号;2004年4月1日に公開されたLevy et al.に対する米国特許出願第2004/0063674 A1号;2003年9月4日に公開されたDraper et al.に対する米国特許出願第2003/0166585 A1号;2003年7月3日に公開されたNelson et al.に対する米国特許出願第2003/0125348 A1号;2005年2月3日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社(Paratek Pharmaceuticals, Inc.)に対するPCT出願番号WO2005/009944;2004年10月28日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO2004/091513;2004年8月5日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO2004/064728;2004年5月6日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO2004/038001;2004年5月6日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO2004/038000;2003年9月18日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO03/075857;2003年1月23日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO03/005971;2002年9月19日に公開されたパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO02/072031;ならびに2002年1月17日に公開されたタフツカレッジ評議会(Trustees of Tufts College)およびパラテックファーマソーティカルズ社に対するPCT出願番号WO02/04406を参照されたい。
【0192】
ダルババンシン
ダルババンシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。半合成糖ペプチドであるダルババンシンは、公に開示されているコード名VER‐001およびBI397でも知られている。G. Candiani et al., "In-Vitro and In-Vivo Antibacterial Activity of BI 397, a New Semi-Synthetic Glycopeptide Antibiotic", J. Antimicrob. Chemotherapy, 44, pp. 179-192 (1999);2005年4月28日に公開されたColombo et al.に対する米国特許出願第2005/0090433 A1号;2005年1月6日に公開されたStogniewに対する米国特許出願第2005/0004050 A1号;2004年11月11日に公開されたCavaleri et al.に対する米国特許出願第2004/0224908 A1号;2004年11月4日に公開されたCavaleri et al.に対する米国特許出願第2004/0220122 A1号;2004年10月7日に公開されたCavaleri et al.に対する米国特許出願第2004/0198715 A1号を参照されたい。
【0193】
ダプトマイシン
ダプトマイシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。ダプトマイシンは、Cubicinの商品名または商標名で販売されている。2005年2月8日に発行されたOleson, Jr. et al.に対する米国特許第6,852,689 B2号;2002年10月22日に発行されたOleson, Jr. et al.に対する米国特許第6,468,967 B1号;および1999年6月15日に発行されたBaker et al.に対する米国特許第5,912,226号;ならびに2000年4月6日に公開されたキュビストファーマソーティカルズ社(Cubist Pharmaceuticals, Inc.)に対するPCT特許出願番号WO00/18419を参照されたい。
【0194】
オリタバンシン
オリタバンシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。糖ペプチドであるオリタバンシンは、公に開示されているコード名LY333328でも知られている。R.C. Mercier et al., "Pharmacodynamic Evaluation of a New Glycopeptide, LY333328, and In Vitro Activity against Staphylococcus aureus and Enterococcus faecium", Antimicrobial Agents and Chemotherapy, vol. 41, no. 6, pp. 1307-1312 (June 1997);1999年12月7日に発行されたBerglund, et al.に対する米国特許第5,998,581号および2000年11月14日のその訂正証明書;1999年11月30日に発行されたNicas, et al.に対する米国特許第5,994,297号;1999年11月2日に発行されたCooper, et al.に対する米国特許第5,977,062号;1999年9月14日に発行されたBerglund, et al.に対する米国特許第5,952,466号;1999年8月17日に発行されたBerglund, et al.に対する米国特許第5,939,382号;1998年12月1日に発行されたCooper, et al.に対する米国特許第5,843,889号および2000年3月28日のその訂正証明書;1998年11月24日に発行されたCooper, et al.に対する米国特許第5,840,684号;2000年11月9日に公開されたエリリリーアンドカンパニー(Eli Lilly and Company)に対するPCT出願番号WO00/66144;1999年3月4日に公開されたエリリリーアンドカンパニーに対するPCT出願番号WO99/10006;1998年5月28日に公開されたエリリリーアンドカンパニーに対するPCT出願番号WO98/22121;1998年5月28日に公開されたエリリリーアンドカンパニーに対するPCT出願番号WO98/21952;および1996年10月3日に公開されたエリリリーアンドカンパニーに対するPCT出願番号WO96/30401を参照されたい。
【0195】
テレバンシン(Televancin)
テレバンシン、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。ペプチドグリカンであるテレバンシンは、順次に行うバンコマイシンの還元アミノ化、およびアミノメチルホスホン酸との反応によって作製することができる。テレバンシンはまた、シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよびトリフルオロ酢酸を介するN‐デシル‐N‐フルオレニル‐メチルオキシカルボニル‐2‐アミノアセトアルデヒドによるバンコマイシンの還元アルキル化、およびマンニッヒアミノメチル化を介するレゾルシノール位の修飾によって作製することもできる。テレバンシンはまた、ホルムアルデヒドの存在下で順次に行う保護アミノ‐アルデヒド、アミン、続いてアミノアルキルホスホン酸との反応により、バンコマイシンまたはその類似体から作製することもできる。2005年5月3日に発行されたLeadbetter et al.に対する米国特許第6,887,976 B2号;2005年4月12日に発行されたMarquess et al.に対する米国特許第6,878,686 B2号;2005年3月29日に発行されたMuに対する米国特許第6,872,804 B2号;2005年3月29日に発行されたLeadbetter et al.に対する米国特許第6,872,701 B2号;2005年2月22日に発行されたJudice et al.に対する米国特許第6,858,584 B2号;2004年12月14日に発行されたLinsellに対する米国特許第6,831,150 B2号;2004年12月7日に発行されたYang et al.に対する米国特許第6,828,299 B2号;2004年8月3日に発行されたLinsell et al.に対する米国特許第6,770,621 B2号;2003年10月21日に発行されたLeadbetter et al.に対する米国特許第6,635,618 B2号;2003年9月16日に発行されたLinsell et al.に対する米国特許第6,620,781 B2号;2003年2月11日に発行されたChen et al.に対する米国特許第6,518,242 B1号;および2002年9月24日に発行されたJudice et al.に対する米国特許第6,455,669 B1号;ならびに2003年4月10日に公開されたテラバンス社(Theravance, Inc.)に対するPCT特許出願番号WO03/029270を参照されたい。
【0196】
DK‐507k
化合物DK‐507k、ならびにその医薬的に許容される塩、エステル、およびプロドラッグを、本開示の方法、組成物、および使用に用いることができる。DK‐507kは、フルオロキノロンとして記載される場合がある。DK‐507kはまた、化学名(−)‐7‐[(7S)‐7‐アミノ‐5‐アザスピロ[2.4]ヘプタン‐5‐イル]‐6‐フルオロ‐1‐[(1R,2S)‐2‐フルオロ‐1‐シクロプロピル]‐1,4‐ジヒドロ‐8‐メトキシ‐4‐オキソ‐3‐キノリンカルボン酸一塩酸塩一水和物としても知られる。Otani et al., In Vitro and In Vivo antibacterial Activities of DK-507k, a Novel Fluoroquinolone, Antimicrobial Agents and Chemotherapy, Vol. 47, no. 12, pages 3750-3759 (2003);2004年9月2日に公開された第一製薬株式会社、日本に対する特開2004‐244380 A2;2004年7月15日に公開された第一製薬株式会社、日本に対するPCT特許出願番号WO2004/058261;2003年9月18日に公開された第一製薬株式会社、日本に対するPCT特許出願番号WO2003/076248;2003年4月3日に公開された第一製薬株式会社、日本に対する特開2003‐096075 A2;2002年9月11日に公開された第一製薬株式会社、日本に対する特開2002‐255962 A2;2002年7月16日に公開された第一製薬株式会社、日本に対する特開2002‐201191 A2;2001年10月4日に公開された第一製薬株式会社、日本に対するPCT特許出願番号WO2001/072738;2005年5月31日に発行されたTakemura et al.に対する米国特許第6,900,225 B2号;2004年7月22日に公開されたTakemura et al.に対する米国特許出願第2004/142957 A1号;2003年10月2日に公開されたTakemura et al.に対する米国特許出願第2003/187008 A1号;2001年8月16日に公開された第一製薬株式会社、日本に対するPCT特許出願番号WO2001/058876;および2003年6月26日に公開されたTakemura et al.に対する米国特許出願第2003/119848 A1号を参照されたい。
【0197】
DK‐507kは、以下の式で表すことができる。
【化37】
【0198】
この化合物はまた、粉末X線回折に掛けられた場合に6.9、10.5、14.4、23.1、26.9、および27.8(°)の回折角(2θ)の近傍に特徴的なピークを示す結晶として得ることもできる。
【0199】
上記化合物の無水遊離酸、さらにはその他の塩、エステル、およびプロドラッグ、ならびにこれらの化合物の水和物も、本開示で作製し、用いることができる。また、上記化合物のその他の結晶形態も、本開示で作製し、用いることができる。
【0200】
投与(Dosing)
本開示の方法は、例えば、皮膚感染、院内肺炎、ウイルス感染後肺炎(post-viral pneumonia)、腹部感染、尿路感染、菌血症、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的または侵襲的医療手法に起因する感染、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性生物感染、結核、キノロン耐性グラム陽性菌感染、シプロフロキサシン耐性メチシリン耐性(MRSA)感染、気管支炎、複雑性皮膚軟部組織感染症(cSSSI)、単純性皮膚軟部組織感染症(uSSSI)、市中気道感染、および多剤耐性(MDR)グラム陰性菌感染に起因する感染の治療、予防、または感染リスクの低減に有用である。
【0201】
活性化合物の用量、および例えば注射、静脈内点滴などの投与モードは、意図する患者または対象、および標的細菌生物を例とする標的とする微生物によって異なる。投与の戦略は、その全内容がすべて参照により本明細書に援用されるL.S. Goodman, et al, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 201-26 (5th ed.1975)に開示されている。
【0202】
組成物は、投与の容易性および用量の均一性のために、単位剤形として製剤されてよい。単位剤形とは、治療されるべき対象のための単位用量として適する物理的に別々である単位を意味し;各単位は、所望される治療効果を起こすように算出された所定量の活性化合物を、必要な医薬キャリアと共に含有する。本開示の単位剤形のための仕様は、活性化合物の独特の特性、および達成されるべき治療効果、ならびに個人の治療のためにそのような活性化合物を配合する技術分野に固有の制限事項によって決定され、それらに直接依存する。さらに、投与は、定期的なボーラス注射であってよく、または外部リザーバー(例:静脈注射用バッグ)からの静脈内、筋肉内、もしくは腹腔内投与によってより連続的に行われてもよい。
【0203】
活性化合物が、移植手法の一部として用いられることになる場合、活性化合物は、組織または臓器をドナーから摘出する前に、移植されるべき生組織または臓器へ提供されてよい。化合物は、ドナーホストに提供されてよい。別の選択肢として、または加えて、ドナーからの摘出後、臓器または生組織は、活性化合物を含有する保存溶液中に配置されてもよい。いずれの場合であっても、活性化合物は、組織への注射によるように、所望される組織へ直接投与されてよく、または本明細書で述べる、および/または本技術分野にて公知である方法ならびに製剤のいずれかを用いて、非経口投与によって全身へ投与されてもよい。薬物が、組織または臓器保存溶液の一部を含む場合、市販のいずれの保存溶液を用いることも有利である。例えば、本技術分野で公知の有用な溶液としては、コリンズ液、ウィスコンシン液、ベルザー液(Belzer solution)、ユーロコリンズ液、および乳酸リンゲル液が挙げられる。
【0204】
本開示の方法と合わせて、薬理ゲノミクス(すなわち、個人の遺伝子型と異種化合物または薬物に対するその個人の応答との間の関係に関する研究)が考慮されてよい。治療薬の代謝の相違によって、用量と薬理活性薬物の血中濃度との間の関係が変化することにより、重篤な毒性または治療不良が引き起こされ得る。従って、医師または臨床医は、薬物を投与するかどうかの決定、ならびに用量および/またはその薬物による治療の治療計画の調整の際に、関連する薬理ゲノミクス研究で得られた知見を適用することを考慮し得る。
【0205】
患者に投与される量は、患者の全体的な健康状態、送達される化合物の相対的生物学的有効性、薬物の製剤、製剤中の賦形剤の存在および種類、投与の経路、ならびに治療、予防、またはリスク低減すべき感染などの変動要素に依存する可能性が高い。また、投与される初期用量は、所望される血中レベルまたは組織中レベルを迅速に達成する目的で、上記の上限レベルを超えて増加されてよく、または初期用量は、最適量よりも少なくてもよいことは理解されるべきである。
【0206】
ある実施形態では、活性化合物の用量は、投与1回分あたり約0.1から約1500mgの化合物を含む。ある実施形態では、活性化合物の用量は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、約525mg、約550mg、約575mg、約600mg、約625mg、約650mg、約675mg 約700mg、約725mg、約750mg、約775mg、約800mg、約825mg、約850mg、約875mg、約900mg、約925mg、約950mg、約975mg、約1000mg、約1025mg、約1050、mg、約1075mg、約1100mg、約1125mg、約1150mg、約1175mg、約1200mg、約1225mg、約1250mg、約1275mg、約1300mg、約1325mg、約1350mg、約1375mg、約1400mg、約1425mg、約1450mg、約1475mg、および約1500mgから選択される。
【0207】
当業者であれば理解されるように、一般的に、用量が薬理活性成分に対して記載される場合、その用量は、母体(parent)部分または活性部分に基づいて与えられる。従って、母体部分もしくは活性部分の塩、水和物、または別の形態が用いられる場合、化合物の重量について対応する調節が行われるが、用量は、その場合でも、送達される母体部分または活性部分に基づいて言及される。非限定的例として、目的の母体部分または活性部分が、250の分子量を有するモノカルボン酸である場合、およびその酸の一ナトリウム塩が、同一の用量で送達されることが所望される場合、一ナトリウム塩の分子量がおよそ272となることを認識して(すなわち、マイナス1Hまたは1.008原子質量単位、およびプラス1Naまたは22.99原子質量単位)、調節が行われる。従って、母体部分または活性化合物の250mgの用量は、一ナトリウム塩の約272mgに相当することになり、これはまた、母体部分または活性化合物の250mgを送達することにもなる。言い換えると、一ナトリウム塩の約272mgは、母体部分または活性化合物の250mgの用量と同等である。
【実施例】
【0208】
以下の実施例は、本開示の範囲内の実施形態をさらに記載し、実証するものである。これらの実施例は、単に説明の目的で与えられるものであり、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くのその変更が可能であることから、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0209】
成分は、化学名、USP名、またはCTFA名によって識別される。
【0210】
以下の製剤は、当業者によく知られている混合の技術および設備を用いて作製されている。
【0211】
これらの製剤は、単純性皮膚感染、皮膚軟部組織感染症、複雑性皮膚感染を含む皮膚感染、例えば市中感染肺炎、院内感染(病院内感染)肺炎、病院内感染市中感染肺炎(hospital acquired community pneumonia)、ウイルス感染後肺炎を含む肺炎、腹部感染、尿路感染、菌血症、敗血症、心内膜炎、房室シャント感染、血管アクセス感染、髄膜炎、外科的または侵襲的医療手法に起因する感染、腹膜感染、骨感染、関節感染、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染、バンコマイシン耐性腸球菌感染、リネゾリド耐性生物感染、および結核を例とする微生物感染の治療、予防、またはリスク低減のための注射などの注入もしくはボーラスのいずれかによる患者への静脈内投与に有用である。より具体的には、この製剤は、患者に対して行われる外科的または侵襲的医療手法に起因する感染のリスク低減または予防に有用であり、このような場合、製剤は、外科的または侵襲的医療手法の直前、またはその約1時間前以降に投与され得る。
実施例1:
静脈内投与のためのデラフロキサシン‐メグルミン製剤の組成物
【表3】

【0212】
手順:
1.全バッチ重量のおよそ70%の注射用水を、適切な容器中に秤量する。
【0213】
2.必要量のCaptisol(ベータ‐シクロデキストリンスルホブチルエーテルナトリウム)をこの溶液に添加し、溶解するまで混合する。
【0214】
3.必要量のメグルミンをこの溶液に添加し、溶解するまで混合する。
【0215】
4.純度および塩含有量について補正した必要量のデラフロキサシンを添加し、溶解するまで混合する。
【0216】
5.pHを調べる。目標pHは9.0( 0.1)である。
【0217】
必要に応じて塩酸(1N溶液として)または水酸化ナトリウム(1N溶液として)を用いて調節する。
【0218】
6.最終重量または体積となるまで注射用水を十分量加える。
【0219】
7.溶液を滅菌ろ過し(0.22umの2つのフィルター)、バイアルに充填する。
【0220】
上記の配合表に基づいて、任意の用量中において、記載の成分の以下のmg分が送達される。
【表4】
【0221】
上記組成物は、微生物感染の治療、予防、またはリスク低減のための患者への静脈内投与に有用である。
実施例2:
静脈内投与のためのデラフロキサシン‐メグルミン製剤の組成物
【表5】
【0222】
手順:
1.全バッチ重量のおよそ70%の注射用水を、適切な容器中に秤量する。
【0223】
2.必要量のCaptisol(ベータ‐シクロデキストリンスルホブチルエーテルナトリウム)をこの溶液に添加し、溶解するまで混合する。
【0224】
3.必要量のメグルミンをこの溶液に添加し、溶解するまで混合する。
【0225】
4.EDTA溶液を添加し、混合する。
【0226】
5.純度および塩含有量について補正した必要量のデラフロキサシンを添加し、溶解するまで混合する。
【0227】
6.pHを調べる。目標pHは9.0(0.1)である。
【0228】
必要に応じて塩酸(1N溶液として)または水酸化ナトリウム(1N溶液として)を用いて調節する。
【0229】
7.最終重量または体積となるまで注射用水を十分量加える。
【0230】
8.溶液を滅菌ろ過し(0.22umの2つのフィルター)、バイアルに充填する。
【0231】
さらなる製剤では、添加EDTA溶液の量を、0.15mg/mLまで増加させる。
【0232】
上記組成物は、微生物感染の治療、予防、またはリスク低減のための患者への静脈内投与に有用である。
【0233】
上記の配合表に基づいて、任意の用量中において、記載の成分の以下のmg分が送達される。
【表6】

【0234】
実施例3:静脈内投与のための再構成用凍結乾燥品
製剤は、凍結乾燥品として作製されてもよい。例えば、上記実施例1および2の製剤は、凍結乾燥品として作製することもできる。これは、凍結乾燥バイアル中に溶液を滅菌ろ過し、続いて従来の凍結乾燥技術を用いてバイアルを凍結乾燥することによって達成される。
【0235】
そのような製剤は、水または別の適切な水性溶液を用いて再構成される。このような凍結乾燥品は、コンパクトであり、製剤の保存に都合の良い形態である。
実施例4:経口投与用製剤
【表7】
【0236】
別の選択肢として、微結晶セルロースを、マンニトール、ラクトース、キシリトール、または充填剤として使用可能なその他の物質などのその他の充填剤と、およそ同等の、または異なる重量で置き換えることにより、その他の製剤が作製されてもよい。
【0237】
製造プロセスには、これらに限定されないが、下記のようなものが含まれる。
【0238】
ビタミンE TPGSは、55℃のオーブン中、混合しながら溶融して均一な溶融物を形成し、次に、適量を造粒ビーカー(granulation beaker)中に秤量し、40〜55℃で保持した。
【0239】
デラフロキサシン、および例えばアルギニン、PVP、微結晶セルロースなどの(1もしくは複数の)顆粒内賦形剤(intragranular excipient)を、混合容器中に秤量し、メカニカルミキサーを用いて混合した。
【0240】
次に、この混合物を、溶融ビタミンE TPGSと混合し、造粒して、均一な顆粒を形成した。必要に応じて、造粒を補助するために水を添加してよい。
【0241】
次に、得られた混合物を、乾燥するまで30〜35℃で乾燥した。
【0242】
次に、この物質を、スクリーンに通し、混合容器中に回収した。
【0243】
次に、この物質を、メカニカルミキサーで顆粒外賦形剤(extragranular excipient)(ステアリン酸マグネシウムなど)と混合した。
【0244】
得られた物質は、圧縮して個々の錠剤とするか、または別の選択肢として、標準的なゼラチンカプセル中に充填した。
【0245】
得られた製剤は、患者における微生物感染の治療、予防、またはリスク低減のための経口投与用として有用である。
実施例5:経口投与用製剤
【表8】
【0246】
別の選択肢として、微結晶セルロースを、マンニトール、ラクトース、キシリトール、または充填剤として用いることができるその他の物質などのその他の充填剤と、およそ同等の、または異なる重量で置き換えることにより、その他の製剤が作製されてもよい。
【0247】
得られた製剤は、実施例4で上述したものと同じまたは類似のプロセスを用いて製造することができる。
【0248】
得られた製剤は、患者における微生物感染の治療、予防、またはリスク低減のための経口投与用として有用である。
実施例6:経口投与用製剤
【表9】
【0249】
別の選択肢として、微結晶セルロースを、マンニトール、ラクトース、キシリトール、または充填剤として用いることができるその他の物質などのその他の充填剤と、およそ同等の、または異なる重量で置き換えることにより、その他の製剤が作製されてもよい。
【0250】
得られた製剤は、実施例1で上述したものと同じまたは類似のプロセスを用いて製造することができる。
【0251】
得られた製剤は、患者における微生物感染の治療、予防、またはリスク低減のための経口投与用として有用である。
【0252】
均等物
本発明をその詳細な記述と合わせて記載してきたが、上記の記載は、説明を意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項の範囲によって定められる。その他の態様、利点、および改変も、以下の請求項の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7