(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6617162
(24)【登録日】2019年11月15日
(45)【発行日】2019年12月11日
(54)【発明の名称】無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルト
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20191202BHJP
【FI】
A47D13/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-567788(P2017-567788)
(86)(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公表番号】特表2018-529398(P2018-529398A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】KR2017006935
(87)【国際公開番号】WO2018048076
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2017年12月22日
(31)【優先権主張番号】20-2016-0005281
(32)【優先日】2016年9月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517449648
【氏名又は名称】チャ ボッキ
【氏名又は名称原語表記】CHA, Bok−Hee
(73)【特許権者】
【識別番号】517449659
【氏名又は名称】チェ ヒジン
【氏名又は名称原語表記】CHAE, Hee−Jun
(73)【特許権者】
【識別番号】517449660
【氏名又は名称】チェ ヒデ
【氏名又は名称原語表記】CHAE, Hee−Dae
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チャ ボッキ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒデ
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−159881(JP,A)
【文献】
特開2005−089948(JP,A)
【文献】
米国特許第05224637(US,A)
【文献】
韓国登録実用新案第20−0469068(KR,Y1)
【文献】
韓国公開特許第10−2015−0053581(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれか一方の端部に第2のベルト(103)との接合のためのスライドファスナー(107)が形成され、他方の端部の片面に面ファスナーが形成された帯状体の第1のベルト(102)と、
いずれか一方の端部に前記第1のベルト(102)との接合のためのスライドファスナーが形成され、片面に面ファスナー(106)が形成された帯状体の第2のベルト(103)と、を備え、
前記第1のベルト(102)の両端部には締結手段(109、111)付きのシートベルト(108)を備え、
前記第1のベルト(102)と前記第2のベルト(103)が前記スライドファスナー(107)と前記面ファスナー(106)により締結された状態で、前記シートベルト(108)は、前記締結手段(109、111)で前記第1のベルト(102)の両端部を締結固定しつつ前記第2のベルト(103)の片面及び前記スライドファスナー(107)と重なり、
前記第1のベルト(102)と前記第2のベルト(103)とが前記スライドファスナー(107)により接合されて腰ベルト(101)を構成し、使用者の腰に前記面ファスナー(106)の貼合により着用された状態で前記締結手段(109、111)と前記スライドファスナー(107)の解錠により前記使用者の腰から前記腰ベルト(101)を無騒音で外すようになっていることを特徴とする無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルト。
【請求項2】
前記締結手段は、バックルであることを特徴とする請求項1に記載の無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルト。
【請求項3】
前記第1のベルト(102)には、乳幼児の尻部を支持するヒップシート(104)が更に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルト。
【請求項4】
前記第1のベルト(102)には、乳幼児の上体を支持する抱っこ紐(112)が更に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抱っこ紐(子守帯)ベルトに係り、特に、着脱に際して騒音が生じないように構成されることにより、腰ベルトの着脱に際してやっと眠りについた乳幼児が腰ベルトの着脱の際に生じる騒音に気づいて起きて泣き出してしまうことのないように構成された無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、乳幼児を抱くときに両腕で乳幼児の体重を支えるが、このような姿勢は、両腕を自由に使うことができず、長時間に亘って乳幼児を抱けば、腕に無理な負担がかかってしまう。
【0003】
このため、乳幼児を背負ったり(おんぶしたり)胸に抱いたり(抱っこしたり)できるようにねんねこ半纏を使用しているが、このようなねんねこ半纏は、乳幼児の体重が保護者の肩に集中してしまうため肩に無理な負担をかけていた。
【0004】
最近には、乳幼児の体重が保護者の腰及び骨盤に分散されるように乳幼児を抱くことのできるヒップシート付き乳幼児用抱っこ紐が広く用いられている。
【0005】
上述したような乳幼児用抱っこ紐は、乳幼児の体重を腰及び骨盤に分散させ、抱っこ紐を使用者の身体に固定するために
図1に示す腰ベルト10が備えられ、前記腰ベルトに乳幼児が着座可能なヒップシート11が形成され、前記腰ベルト10に着脱可能なように肩ベルト(図示せず)が備えられる。
【0006】
従来の腰ベルト10は、使用者の腰に締めたり、使用者の腰から外したりできるように腰ベルト10の両端に面ファスナー12を形成し、前記面ファスナー12を用いて腰ベルト10を使用者の腰に締めたり、使用者の腰から外したりしている。
【0007】
ところが、前記抱っこ紐を用いて乳幼児を眠らせた後、やっと眠りについた乳幼児を寝具に寝かせるために腰ベルト10を外す過程で面ファスナー12ならではの大きな騒音が生じ、やっと眠りについた乳幼児がその騒音に気づいて起きて泣き出してしまうという問題が頻発している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、抱っこ紐の中でやっと眠りについた乳幼児を寝具に寝かせるために腰ベルトを外すときに面ファスナーならではの大きな騒音が生じないようにして、やっと眠りについた乳幼児がその騒音に気づいて起きて泣き出してしまうことのないように構成された抱っこ紐ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明による抱っこ紐ベルトは、いずれか一方の端部に第2のベルト(103)との接合のためのベルト接合手段が形成され、他方の端部の片面に面ファスナーが形成された帯状体の第1のベルト(102)と、いずれか一方の端部に前記第1のベルト(102)との接合のためのベルト接合手段が形成され、片面に面ファスナー(106)が形成された帯状体の第2のベルト(103)と、を備えることにより、第1のベルト(102)と第2のベルト(103)とがベルト接合手段により接合されて腰ベルト(101)が構成され、使用者の腰に面ファスナー(106)の貼合により着用された状態で面ファスナー(106)の剥離又はベルト接合手段の解錠を行って使用者の腰から腰ベルト(101)を外すようになっている。
【0010】
このとき、前記ベルト接合手段は、スライドファスナー(滑り式留金具)(107)、スナップボタン(113)又はバックル(114)のうちのいずれか一つであってよい。
【0011】
また、前記第1のベルト(102)の両端には締結手段付きシートベルト(108)が更に備えられることにより、使用者の腰に腰ベルト(101)が着用された状態で前記シートベルト(108)が締結手段で第1のベルト(102)の両端を締結固定することにより、スライドファスナー(107)が任意に開かないようになっていてもよい。
【0012】
更に、前記締結手段は、バックルであってもよい。
【0013】
更にまた、前記第1のベルト(102)には、乳幼児の尻部を支持するヒップシート(104)が更に設けられてもよい。
【0014】
更にまた、前記第1のベルト(102)には、乳幼児の上体を支持する抱っこ紐(112)が更に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
このような構成を有する本発明の抱っこ紐ベルトは、抱っこ紐を用いて乳幼児を眠らせた後、乳幼児を寝具に寝かせるために腰ベルトを外す際に面ファスナーならではの大きな騒音が生じないことから、やっと眠りについた乳幼児が面ファスナーの騒音に気づいて起きて泣き出してしまうことがなく、速やかに且つ手軽に腰ベルトを外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本発明による抱っこ紐ベルトを展開して示す斜視図である。
【
図3】本発明による抱っこ紐ベルトを外す過程を順次に示す斜視図である。
【
図4】本発明による抱っこ紐ベルトを外す過程を順次に示す斜視図である。
【
図5】本発明による抱っこ紐ベルトを外す過程を順次に示す斜視図である。
【
図6】本発明による無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルトに抱っこ紐を係合した状態を示す斜視図である。
【
図7】他の形態のベルト接合手段により構成された抱っこ紐ベルトを示す斜視図である。
【
図8】他の形態のベルト接合手段により構成された抱っこ紐ベルトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態及び添付図面に基づいて、本発明による無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルトについて詳細に説明するが、図中の同じ参照符号は、同じ構成要素を指し示すことを前提として説明する。
【0018】
発明の詳細な説明の欄又は特許請求の範囲において、ある構成要素が他の構成要素を「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、当該構成要素のみにより構成されることに限定されて解釈されず、他の構成要素を更に備え得ることを意味すると理解されるべきである。
【0019】
本発明による無騒音着脱が可能な抱っこ紐ベルトは、
図2に示すように、第1のベルト102及び第2のベルト103により構成され、前記第1のベルト102及び第2のベルトは、ベルト接合手段としてのスライドファスナー107を用いて接合する。
【0020】
本発明による実施形態においては、前記第1のベルト102及び第2のベルト103を接合する接合手段としてスライドファスナー107を採用することを例にとって説明する。
【0021】
通常のスライドファスナーは、一対のスライドファスナーレールと、滑動しながらスライドファスナーレールのエレメント(務歯)をかみ合わせたり離したりするスライダーと、により構成されるが、以下では、スライドファスナーレール及びスライダーの組み合わせ体を「スライドファスナー107」と通称して説明する。
【0022】
前記第1のベルト102は、片面に乳幼児が着座可能なヒップシート104が形成され、一方の端部に面ファスナー106が形成され、他方の端部にスライドファスナー107が形成される。
【0023】
前記ヒップシート104は、乳幼児が着座して乳幼児の重さを使用者の腰及び骨盤に分散させる役割を果たす。前記ヒップシート104の上部には、乳幼児が着座した状態で滑らないようにノンスリップパッド105を形成することが好ましい。
【0024】
また、
図2に示すように、第1のベルト102のヒップシート104が形成された面の両端部にそれぞれ長さが調節可能なシートベルト108を有する締付けバックル109と、固定バックル111と、が形成される。
【0025】
このような構成を有する第1のベルト102と第2のベルト103とが接合されることにより、本発明の腰ベルト101が構成される。
【0026】
前記第2のベルト103の片面には面ファスナー106が形成され、一方の端部にはスライドファスナー107が形成されることにより、第1のベルト102とスライドファスナー107により接合される。
【0027】
前記第2のベルト103の面ファスナー106は、腰ベルト101を使用者の腰に巻回して着用したとき、第1のベルト102の面ファスナー106と係合されて腰ベルト101が使用者の腰に締められる。
【0028】
このとき、前記第2のベルト103の厚さ及び幅を第1のベルト102の厚さ及び幅に等しくすることにより、第1のベルト102及び第2のベルト103をスライドファスナー107を用いて接合したときに一体感が得られるように構成することが好ましい。
【0029】
上述したような構成を有する本発明の腰ベルト101は、
図3に示すように、第1のベルト102と第2のベルト103とがスライドファスナー107により接合された状態で腰ベルト101を使用者の腰に巻回して第1のベルト102の面ファスナー106と第2のベルト103の面ファスナー106とが係合されながら腰ベルト101が使用者の腰に締められる。
【0030】
また、
図3に示すように、第1のベルト102の締付けバックル109を固定バックル111に嵌め込むことにより、第1のベルト102の両端をシートベルト108で継ぎ合わせる。
【0031】
使用者が腰ベルト101を腰に着用した状態で乳幼児をヒップシート104に着座させれば、乳幼児の荷重によりスライドファスナー107が任意に開いて乳幼児が墜落する虞もあるが、上述したように、シートベルト108が第1のベルト102の両端を継ぎ合わせて固定することにより、たとえスライドファスナー107が任意に開いたとしても、腰ベルト101が使用者の腰から外されないので、乳幼児が墜落するといった安全事故が起きることを未然に防ぐことができる。
【0032】
このような構成を有する本発明による腰ベルト101は、抱っこ紐の中で眠りについた乳幼児を寝具に寝かせるために腰ベルト101を外す際に騒音が生じないので、やっと眠りについた乳幼児がその騒音に気づいて起きて泣き出してしまうことがない。
【0033】
使用者の腰に腰ベルト101が着用された状態で本発明の腰ベルト101を外す過程は、次の通りである。
【0034】
まず、
図4に示すように、締付けバックル109及び固定バックル111の嵌合を解除して第1のベルト102の両端を固定するシートベルト108を外す。
【0035】
また、第1のベルト102及び第2のベルト103を固定する面ファスナー106を外すわけではなく、
図5に示すように、第1のベルト102及び第2のベルト103を固定するスライドファスナー107を開けて第1のベルト102及び第2のベルト103間の接合を解除することにより、使用者の腰から手軽に腰ベルト101を外すことができる。
【0036】
このとき、前記スライドファスナー107は、スライドファスナーのスライダーの引き手(つまみ)が折り畳まれた状態ではスライドファスナーレールに固定されて動かない「ロッキングスライドファスナー」を用いることが好ましい。前記「ロッキングスライドファスナー」は公知の技術であるため、これについての詳細な説明は省略する。
【0037】
すなわち、腰ベルト101を使用者の腰から外すために面ファスナー106を剥離することなく手軽にスライドファスナー107を開ければ良いので、面ファスナー106を剥離する際に大きな騒音が生じないだけではなく、騒音の発生なしに速やかに腰ベルト101を使用者の腰から外すことができる。
【0038】
また、シートベルト108で第1のベルト102の両端部を締結固定するので、スライドファスナー107が任意に開いて乳幼児が墜落するといった安全事故が起きることを未然に防ぐことができる。
【0039】
上述した本発明は、使用者の腰に着用された腰ベルト101を外すときに、通常の腰ベルトの外し方と同様にして面ファスナー106を剥離して腰ベルト101を外してもよく、面ファスナー106が貼り合わせられた状態でスライドファスナー107を開けて騒音が生じないように腰ベルト101を外してもよい。
【0040】
本発明の実施形態においては、スライドファスナー107が任意に開いてしまうことを防ぐために、第1のベルト102の両端部を継ぎ合わせるシートベルト108をバックルを用いて締結すると説明したが、スナップボタンなど種々の公知の締結手段を用いてもよく、これは、本発明の範囲に含まれるものと理解されるべきである。
【0041】
また、上述した本発明の実施形態においては、第1のベルト102及び第2のベルト103を接合するベルト接合手段としてスライドファスナー107を採用する場合を例にとって説明したが、第1のベルト102及び第2のベルト103を接合するベルト接合手段として、
図7に示すように、スナップボタン113を採用して第1のベルト102及び第2のベルト103を接合してもよく、
図8に示すように、ベルト接合手段としてバックル114を採用して第1のベルト102及び第2のベルト103を接合してもよい。
【0042】
更に、上述したシートベルト108の締結手段としてスナップボタンを採用してもよいが、スナップボタンは外力により任意に外れる虞があるため、本発明のように外力により外れないバックルを採用することが好ましい。
【0043】
このような構成を有する本発明による抱っこ紐ベルトは、ヒップシート104を備えて腰ベルト101を単独で使用してもよく、
図6に示すように、腰ベルト101に抱っこ紐112を係合して使用してもよい。
【0044】
以上、上述した実施形態に基づいて本発明の技術的思想について説明した。
本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の記載事項から上述した実施形態を種々に変形したり変更したりできるということはいうまでもない。
【0045】
また、たとえ明示的に図示又は説明されていないとしても、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の記載事項から本発明による技術的思想を含む様々な形態の変形を加えることができるということはいうまでもなく、これは、依然として本発明の権利範囲に属する。
【0046】
添付図面に基づいて説明された上記の実施形態は、単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の権利範囲はこれらの実施形態に何等制限されない。
【符号の説明】
【0047】
101 ベルト
102 第1のベルト
103 第2のベルト
104 ヒップシート
105 ノンスリップパッド
106 面ファスナー
107 スライドファスナー
108 シートベルト
109 締付けバックル
111 固定バックル
112 抱っこ紐
113 スナップボタン
114 バックル