(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理部は、前記スライス情報に基づいて前記照射部の照射面積を算出するとともに、前記照射面積及び前記水タンクの表面積に基づいて前記照射密度を算出することを特徴とする請求項1に記載の3Dプリンタ。
ステップd)では、前記処理部は、前記スライス情報に基づいて前記照射部の照射面積を算出するとともに、前記照射面積及び前記水タンクの表面積に基づいて前記照射密度を算出することを特徴とする請求項10に記載の動的印刷方法。
ステップa)では、前記処理部は、前記3Dプリンタの機台パラメータをさらに取得するとともに、前記現在温度、前記印刷パラメータ及び前記機台パラメータに基づいて複数の前記時間テーブルから1つを読み取ることを特徴とする請求項12に記載の動的印刷方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る3Dプリンタを示す図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る3Dプリンタを示すブロック図である。
図1及び
図2で示される実施形態係る印刷時間を動的に調整可能な3Dプリンタ(以下、3Dプリンタ1と称する)は、デジタル・ライト・プロセッシング(Digital Light Processing,DLP)方式の3Dプリンタ/ステレオリソグラフィー(Stereolithography,SLA)方式の3Dプリンタを例示するものである。本発明の主な目的としては、3Dプリンタの印刷時間を動的に調整することで、印刷中に固体造形材/液体造形材に蓄熱を生じて生成された3Dソリッドモデルの品質に影響を与えることを回避することである。このため、印刷中に熱エネルギーを生じる3Dプリンタであれは、本発明の技術案を適用することができる。
【0014】
説明上の便宜のため、以下、
図1及び
図2で示されるデジタル・ライト・プロセッシング方式の3Dプリンタ/ステレオリソグラフィー方式の3Dプリンタを例にして本発明を詳しく説明する。
【0015】
図1及び
図2の実施形態では、3Dプリンタ1は、主に、液体の造形材(以下、造形液2と称する)を収容するための水タンク11と、水タンク11の上方に設置される印刷ステージ12と、水タンク11の下方に設置される照射部13と、印刷ステージ12及び照射部13に電気的に接続される処理部10とを含む。
【0016】
印刷時に、処理部10は、印刷ステージ12を水タンク11内における造形液2内に浸入させるとともに1つの硬化層の硬化高さに位置させる。次に、処理部10は、水タンクの内部に向けて対応の照射を行うように照射部13を制御し、これにより、造形液2の一部を硬化させて印刷ステージ12に貼り付け、印刷ステージ12に1つの硬化層のスライスオブジェクトを形成する。また、処理部10は、上記動作を繰り返し行うように印刷ステージ12及び照射部13を制御することで、複数の硬化層のスライスオブジェクトを重ね合わせて1つの3Dソリッドモデル(不図示)を形成する。
【0017】
本実施形態では、処理部10には、少なくとも1つの時間テーブル101が予め記憶されている。時間テーブル101には、照射密度と待機時間との対応関係が記録されている。
【0018】
印刷開始前に、ユーザは、外部のコンピュータまたは3Dプリンタ1の処理部10によって1つの3Dファイルを読み取り、3Dファイルに記録されている3Dオブジェクトを開くとともに、3Dオブジェクトにスライス処理を行って複数の硬化層(印刷層とも称する)に対応するスライス情報を生成する。上記スライス処理は、3D印刷技術分野の慣用技術手段であるため、その詳細を省略する。
【0019】
印刷開始時に、処理部10は、3Dオブジェクトの複数の硬化層から1層(例えば、第1層)のスライス情報を取得する。次に、処理部10は、印刷ステージ12を造形液2内に浸入させるとともに1つの硬化層の硬化高さに位置させるように、印刷ステージ12を3Dプリンタ1のZ軸に沿って移動させる。なお、硬化高さは、硬化層の厚さと同一または近似するが、これに限定されない。
【0020】
次に、処理部10は、取得したスライス情報に基づいて、水タンク11の内部に向けて対応の照射を行うように照射部13を制御する。詳細には、処理部10は、印刷ステージ12の底部に向けて照射するように照射部13を制御し、照射部13から発光された光の形状を、スライス情報で示されるスライスオブジェクトの形状に対応させる。これにより、水タンク11内における造形液2の一部を硬化させて印刷ステージ12に粘着することで、硬化層に対応するスライスオブジェクト(不図示)を形成する。
【0021】
本発明の1つの技術的特徴としては、照射部13による照射の継続によって生じる水タンク11内における造形液2の蓄熱現象を回避するために、3Dプリンタ1は、主に複数の硬化層のスライスオブジェクトを間欠的かつ順次に印刷することである。
【0022】
詳細には、1つの硬化層のスライスオブジェクトを生成した後(すなわち、硬化を完成した後)、処理部10は、スライス情報に基づいて硬化層の照射密度を算出してから、算出された照射密度に基づいて時間テーブル101に照会し、対応する待機時間を取得する。
【0023】
一実施形態では、処理部10は、スライス情報に基づいて照射部13の照射面積を算出するとともに、照射面積及び水タンク11の表面積(主に水タンク11の底面の表面積)に基づいて照射密度を算出する。一実施形態では、待機時間とは、3Dプリンタ1が1つの硬化層を生成した後、次の硬化層を生成する前に必要な待機時間である。本発明では、3Dプリンタ1を待機させる目的は、上記蓄熱現象を回避するように、水タンク11内における、照射された造形液2を放熱させるのに十分な時間を確保するためである。
【0024】
一実施形態では、3Dプリンタ1が待機時間待機した後、水タンク11内における造形液2の温度が初期温度まで回復するようになる。他の実施形態では、3Dプリンタ1が待機時間待機した後、水タンク11内における造形液2の温度は許容温度まで回復するようになる。なお、許容温度は、初期温度よりもわずか高い。
【0025】
処理部10は、待機時間を取得した後に3Dプリンタ1を待機させる。待機時間が経過した後、処理部10は、続けて次の硬化層(例えば、第2層)のスライスオブジェクトを生成する。本発明では、3Dプリンタ1を待機時間待機させることで、各硬化層のスライスオブジェクトを印刷する場合、水タンク11内における造形液2が同一または近似した温度を有することを確保することができ、その結果、生成された3Dソリッドモデルの品質を効果的に確保することができる。
【0026】
図3は、動的印刷による影響を示す図である。
【0027】
図3の実施形態(a)では、3Dプリンタは各硬化層のスライスオブジェクトを生成した後、同じ待機時間(なお、照射時間を2秒に固定し、待機時間を8秒に固定する)待機するようになる。
【0028】
図3の実施形態(a)に示すように、第1層の照射密度が25%(すなわち、照射部の照射面積と水タンクの表面積との割合が25%)、造形液の初期温度が20℃、照射部が水タンクの内部に向けて2秒照射した後、造形液の温度が20℃から60℃(過熱)まで上昇する。第1層のスライスオブジェクトを生成した後、3Dプリンタは8秒待機し、造形液の温度がこの8秒の間に降下する。しかしながら、造形液の温度が初期温度(すなわち、20℃)に回復する前に、3Dプリンタは第2層のスライスオブジェクトの生成動作を開始する。また、第2層の照射密度は第1層の照射密度よりも大きい(第2層の照射密度が37.5%)が、3Dプリンタは第2層のスライスオブジェクトを生成した後に8秒しか待機しない。このため、水タンク内における造形液は、蓄熱現象が現れ始める。
【0029】
同様に、第3層の照射密度は第1層及び第2層の照射密度よりも大きい(第3層の照射密度が50%)が、3Dプリンタは第3層のスライスオブジェクトを生成した後に8秒しか待機しない。このように、造形液は高すぎる温度で反応速度が速くなり、続けて形成されるスライスオブジェクトに様々な程度の過硬化(overcured)現象が生じ、形成された3Dソリッドモデルの品質に影響を与える。
【0030】
図3の実施例(b)では、3Dプリンタは、各硬化層のスライスオブジェクトを生成した後、各硬化層の照射密度に基づいて、必要な待機時間を動的に調整するようになる。こうすることで、上記蓄熱問題を効果的に解決することができる。
【0031】
詳細には、第1層のスライスオブジェクトを生成した後(同様に、2秒の照射を予め設定する)、水タンク内における造形液は初期温度20℃から60℃まで上昇する。3Dプリンタは、第1層のスライスオブジェクトを生成した後、第1層の照射密度(
図3の実施例(b)では、照射密度が25%であることを例示する)に基づいて待機時間を動的に決定するとともに、決定された待機時間待機するようになる。
図3の実施例(b)に示すように、待機時間が経過した後、水タンク内における造形液は既に初期温度まで回復した。
【0032】
上記待機時間が経過した後、3Dプリンタは、続けて第2層のスライスオブジェクトを生成する。第2層のスライスオブジェクトの印刷を完成した後(同様に、2秒の照射を予め設定する)、3Dプリンタは、第2層の照射密度(
図3の実施例(b)では、照射密度が37%であることを例示する)に基づいて待機時間(
図3の実施例(b)では、45秒を例示する)を動的に決定するとともに、決定された待機時間待機するようになる。待機時間が経過した後、水タンク内における造形液は初期温度まで再回復するようになっている。
【0033】
上記説明により、照射部13の照射密度が大きいほど、水タンク11内における造形液2の温度の上昇が速くなるため、必要な待機時間が長くなることがわかった。一実施形態では、3Dプリンタ1の処理部10は、主に照射密度に基づいて、予め記憶されている時間テーブル101に照会して対応する待機時間を動的に取得する。時間テーブル101は、例えば、表1に示すようになる。
【0035】
表1に示すように、処理部10は、1つの硬化層の照射密度を算出した後、すなわち、照射密度に基づいて照会操作を行い、その後の待機に必要な待機時間を時間テーブル101から動的に取得する。
【0036】
他の実施形態では、処理部10は、複数の時間テーブル101を予め記憶してもよい。なお、各時間テーブル101は、様々な条件下における照射密度と待機時間との対応関係をそれぞれ記録する。言い換えれば、生成された3Dソリッドモデルの品質をより高めるために、様々な条件下で処理部10は様々な時間テーブル101に照会、参照する必要がある。
【0037】
詳細には、造形液2の初期温度や種類、硬化層の厚さが異なることなどによって、造形液2の温度の上昇時間や降下時間がいずれも異なる。このため、3Dプリンタ1は、各硬化層を完成した後に必要な待機時間がそれぞれ異なる可能性がある。本実施形態では、3Dプリンタ1の製造業者は、上記要因に基づいて複数の時間テーブル101を予め作成してもよい。
【0038】
例えば、表1は、「造形液A、硬化層の厚さ0.1mm」という条件に対応する時間テーブル101である。他の実施形態では、3Dプリンタ1には、「造形液A、硬化層の厚さ0.2mm」という条件に対応する第2時間テーブル、「造形液B、硬化層の厚さ0.1mm」という条件に対応する第3時間テーブルなどが予め記憶されてもよいが、これらに限定されない。
【0039】
印刷開始前に、3Dプリンタ1の処理部10は、現在温度及び印刷パラメータを予め取得し、現在温度及び印刷パラメータに基づいて予め記憶されている複数の時間テーブル101から対応する1つの時間テーブル101を読み取ってもよい。
【0040】
一実施形態では、現在温度は、例えば、3Dプリンタ1の内部検出温度であってもよい。詳細には、現在市販されている3Dプリンタには、3Dプリンタ自身の温度または3Dプリンタの内部の各部品の温度を検出するための少なくとも1つの温度センサが設置される。印刷開始前に、3Dプリンタの内部検出温度、3Dプリンタの所在位置の環境温度及び造形液の温度は非常に近似するため、3Dプリンタ1の内部検出温度をそのまま造形液2の初期温度とする。このように、3Dプリンタ1には、造形液2の温度を検出するための温度センサが増設する必要がないため、製造コストを効果的に削減することができる。
【0041】
図2に示すように、一実施形態では、3Dプリンタ1は、処理部10に電気的に接続されるマンマシンインタフェース14をさらに含む。本実施形態では、ユーザは、外部のツール(不図示)で現在温度(例えば、環境温度または造形液の温度)を測定するとともに、マンマシンインタフェース14(例えば、キーボード、タッチパネル、無線伝送モジュールなど)によって現在温度を3Dプリンタ1に入力することができる。こうすることで、3Dプリンタ1の処理部10は、取得された現在温度を造形液2の初期温度とすることができる。
【0042】
なお、3Dプリンタ1の処理部10は、上記マンマシンインタフェース14を介してユーザから入力された印刷パラメータをさらに受信してもよい。こうすることで、処理部10は、現在温度及び印刷パラメータに基づいて適切な時間テーブル101を読み取ることができる。一実施形態では、印刷パラメータは、例えば、造形液2の種類または複数の硬化層の厚さなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0043】
上記現在温度及び印刷パラメータのほか、3Dプリンタ1自身の各条件も必要な待機時間に影響を与える。このため、3Dプリンタ1の処理部10は、上記マンマシンインタフェース14を介してユーザから入力された3Dプリンタ1の機台パラメータを受信してもよい。こうすることで、処理部10は、現在温度、印刷パラメータ及び機台パラメータに基づいて、適切な時間テーブル101をより確実に読み取ることができる。
【0044】
一実施形態では、上記機台パラメータは、例えば、3Dプリンタ1の照射部13の照射方式、照射部13のパワーの大きさ、水タンク11の容量の大きさなどであってもよい。照射部13の照射方式は、例えば、スポット照射方式または面照射方式などであってもよいが、これらに限定されない。
【0045】
上述したように、参照となる条件が多いほど(例えば、造形液2の初期温度、造形液2の種類、硬化層の厚さ、照射部13の照射方式及びパワーの大きさなど)、生成した時間テーブル101内における情報が正確になる。このように、造形液2の温度を直接的に検知するための温度センサが3Dプリンタ1に配置されなくても、本発明の3Dプリンタ1は各硬化層の印刷時間(印刷を完成した後の待機時間を含む)を動的に決定することができる。こうすることで、造形液2の蓄熱現象による、生成された3Dソリッドモデルの品質の低下を回避することができる。
【0046】
図6は、本発明の第2実施形態に係る3Dプリンタを示す図である。
図6には、他の3Dプリンタ1’が示される。第2実施形態に係る3Dプリンタ1’は、処理部10に電気的に接続されて水タンク11の周囲に設置される放熱装置15をさらに含むことで第1実施形態に係る3Dプリンタ1と異なっている。
図6で示される実施形態では、放熱装置15は、水タンク11の外側に直接的に貼り付けられる放熱フィンを例示する。他の実施形態では、放熱装置15は、水タンク11の上方に設置されるファン、水タンク11の内部あるいは外部に設置される凝縮器またはこれらの装置の組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。
【0047】
上述したように、本発明の技術案により、3Dプリンタ1は、1つの硬化層のスライスオブジェクトを生成した後、一定の時間待機しないと(造形液2の温度が降下するまで待機する)、続けて次の硬化層のスライスオブジェクトを生成することができない。放熱装置15が設置された3Dプリンタ1’の場合には、各硬化層を生成するときの造形液2の上昇温度を低減するとともに、各硬化層を生成した後の造形液2の温度の降下速度が速くなり、これにより、造形液2の冷却時間を短縮することができる(すなわち、上記待機時間を短縮する)。本実施形態では、3Dプリンタ1’は、印刷を開始する前に、まず、処理部10によって放熱装置15を起動し、次に、上記生成動作の実行を開始する。こうすることで、待機時間を短縮するといった上記技術効果を得ることができる。
【0048】
上述したように、各時間テーブル101は、主に、様々な条件下における照射密度と待機時間との対応関係をそれぞれ記録する。
図6で示される3Dプリンタ1’を用いると、時間テーブル101を作成する場合、放熱装置15により提供可能な放熱性能を考慮する必要がある。言い換えれば、照射密度が同じでも、
図1で示される3Dプリンタ1及び
図6で示される3Dプリンタ1’は、異なる時間テーブル101を用いて異なる待機時間(照射密度が同一の場合、放熱装置15を有する3Dプリンタ1’が用いる待機時間が短い)を取得する可能性がある。
【0049】
図4A及び
図4Bは、それぞれ本発明の第1実施形態の第1の動的印刷及び第2の動的印刷を示すフローチャートである。本発明は、3Dプリンタの動的印刷方法(以下、印刷方法と称する)をさらに開示する。この印刷方法は、印刷中に熱エネルギーを生じる様々な3Dプリンタに適用することが可能である。説明上の便宜のため、以下、
図1及び
図2で示される3Dプリンタを例として本発明の印刷方法を説明するが、
図1及び
図2で示されるデジタル・ライト・プロセッシング方式の3Dプリンタ/ステレオリソグラフィー方式の3Dプリンタに限定されない。
【0050】
図4Aに示すように、印刷を開始する前に、3Dプリンタ1の処理部10は、現在温度(ステップS10)、印刷パラメータ(ステップS12)を取得するほか、機台パラメータを取得する(ステップS14)。次に、取得された条件(例えば、上述した現在温度、印刷パラメータ及び機台パラメータ)に基づいて、複数の時間テーブル101から対応する1つの時間テーブル101を読み取る(ステップS16)。
【0051】
一実施形態では、処理部10は、1つの時間テーブル101のみを予め記憶する可能性がある。この実施形態では、処理部10は、現在温度、印刷パラメータ及び機台パラメータなどの条件を考慮することなく、各硬化層の照射密度のみに基づいて時間テーブル101に照会して対応する待機時間を決定する。このため、印刷方法では、上述したステップS10〜ステップS14を実行しなくてもよい。
【0052】
他の実施形態では、本発明の印刷方法は、同一型番の3Dプリンタ1(すなわち、本実施形態に係る印刷方法を採用する全ての3Dプリンタ1は、同一機台パラメータを有する)のみに適用する。本実施形態では、処理部10は、上記機台パラメータを考慮することなく、現在温度及び印刷パラメータのみに基づいて、複数の時間テーブル101から対応する時間テーブル101を読み取る。このため、印刷方法では、上記ステップS14を実行しなくてもよい。
【0053】
上述したように、上記現在温度は、例えば、3Dプリンタ1の印刷開始前に、3Dプリンタ1の内部検出温度、所在位置の環境温度または造形液2の初期温度であってもよい。上記印刷パラメータは、例えば、造形液2の種類または各硬化層の厚さであってもよい。なお、厚さとは、スライス処理におけるスライス厚さのことである。スライス厚さは、外部のコンピュータまたは3Dプリンタ1によって自動的に決定されたり、ユーザによって手動で決定されたりしてもよく、3D印刷技術分野の慣用技術手段であるため、その詳細な説明を省略する。上記機台パラメータは、例えば、照射部13の照射方式やパワーの大きさ、水タンク11の容量の大きさなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0054】
ステップS16の後、3Dプリンタ1は、スライスオブジェクトの生成動作を開始する。3Dプリンタ1は、上記放熱装置15を有する場合(すなわち、
図6で示される3Dプリンタ1’)、生成動作を開始する前に処理部10によって放熱装置15を起動してもよい(ステップS18)。こうすることで、優れた放熱効果を得ることができる。なお、3Dプリンタ1が放熱装置15を有する場合、ステップS16では、放熱要因が記録されている時間テーブルを取得する必要がある。
【0055】
次に、
図4Bに示すように、3Dプリンタ1は、処理部10によって印刷したい1つの3Dオブジェクトのうちの1つの硬化層(例えば、第1層)のスライス情報を取得する(ステップS20)。次に、3Dプリンタ1は、スライス情報に基づいて印刷ステージ12及び照射部13を応動させ、硬化層に対応するスライスオブジェクトを生成する(ステップS22)。詳細には、ステップS22では、処理部10は、主に印刷ステージ12を水タンク11の造形液2内に浸入させて1つの硬化層の硬化高さに位置させるとともに、スライス情報に基づいて、水タンク11の内部に向けて対応の照射を行うように照射部13を制御する。こうすることで、印刷ステージ12及び照射部13の動作により、印刷ステージ12において硬化層のスライスオブジェクトを形成する。
【0056】
スライスオブジェクトの硬化を完成した後、処理部10は、スライス情報に基づいて硬化層の照射密度を算出する(ステップS24)。本実施形態では、処理部10は、主に、スライス情報に基づいて照射部13の照射面積を算出するとともに、照射面積及び水タンク11の表面積に基づいて照射密度を算出する。詳細には、照射密度は、照射面積を水タンク11の表面積で割って得られる割合である。本実施形態では、水タンク11の表面積は、主に水タンク11の照射部13に向ける一面の表面積であるが、これに限定されない。
【0057】
ステップS24の後、処理部10は、算出された照射密度に基づいて対応の時間テーブル101に照会して対応の待機時間を動的に取得する(ステップS26)。次に、処理部10は、3Dプリンタ1を待機させる(ステップS28)とともに、待機時間が経過したか否かを継続的に判断する(ステップS30)。待機時間が経過する前に、処理部10は、次の硬化層を一時的に生成せず、3Dプリンタ1を継続的に待機させる。
【0058】
待機時間が経過した後、処理部10は、3Dソリッドモデルを完成したか否かをさらに判断し(ステップS32)、すなわち、3Dオブジェクトの全ての硬化層のスライスオブジェクトを完成したか否かを判断する。3Dソリッドモデルを完成していない場合、処理部10は、ステップS18〜ステップS30を再実行して次の硬化層(例えば、第2層)のスライスオブジェクトの生成動作を行うとともに、次の硬化層のスライスオブジェクトを生成した後、3Dプリンタ1を対応の待機時間待機させてから、次の動作を行う。
【0059】
処理部10は、ステップS32において3Dソリッドモデルを完成したと判断すると、本発明の印刷方法を終了する。
【0060】
本発明の3Dプリンタ1及び印刷方法によれば、水タンク11内における造形液2が硬化中に蓄熱現象を生じないことを確保し、その結果、生成された3Dソリッドモデルの品質を効果的に高めることができる。
【0061】
詳細には、本発明は、1つ以上の時間テーブル101を予め生成する。印刷開始前に、1つ以上の条件に基づいて対応する時間テーブル101を読み取る。印刷開始時に、照射面積に基づいて、対応する時間テーブル101に照会して対応の待機時間を動的に取得する。このため、本発明に対して、時間テーブル101は非常に重要な技術的特徴である。
【0062】
図5は、本発明の第1実施形態の時間テーブルの生成を示すフローチャートである。なお、本発明の時間テーブル101は、主に照射密度と待機時間との対応関係を記録する。このため、上述した時間テーブル101を作成する3Dプリンタは、造形液が照射された後の温度を検知できなければならないほか、造形液がいつになったら初期温度まで回復するかを把握できなければならない。言い換えれば、上述した時間テーブル101を作成する3Dプリンタは、
図1、
図2で示される3Dプリンタ1と完全に同一ではなく、
図1、
図2で示される処理部10、印刷ステージ12、照射部13、水タンク11及び造形液2を備えるほか、造形液の温度を直接的または間接的に検知可能な温度センサを備える必要がある(
図1、
図2で示される3Dプリンタ1が主に上記時間テーブル101を使用する)。
【0063】
時間テーブル101の作成を開始する前に、3Dプリンタは外部操作を受け付けて3Dプリンタパラメータ(ステップS40)、造形液パラメータ(ステップS42)及び印刷厚さ(ステップS44)を設定するとともに、温度センサによって造形液の初期温度を取得する(ステップS46)。一実施形態では、3Dプリンタパラメータは、例えば、3Dプリンタの型番、照射部の照射方式、照射部のパワーの大きさ、水タンクの容量の大きさなどであってもよい。また、造形液パラメータは、例えば、造形液の種類や成分、メーカーなどであってもよい。印刷厚さは、例えば、コンピュータによって自動的に生成されたり、管理員によって手動で設定されたりする各硬化層の厚さであってもよい。
【0064】
ステップS46の後、3Dプリンタは第n層のスライス情報を取得して印刷ステージ及び照射部を動作させ、これにより、第n層のスライスオブジェクトを生成する(ステップS48)。本実施形態では、第n層は、第1層から始まる。
【0065】
第n層のスライスオブジェクトを生成した後、3Dプリンタは、温度センサによって造形液の温度を直接的に検知する(ステップS50)とともに、造形液の温度がステップS46で取得した初期温度まで回復したか否かを判断する(ステップS52)。造形液の温度が初期温度まで回復する前に、3Dプリンタは継続的に待機するとともに待機時間を算出する(ステップS54)。また、3Dプリンタは、造形液の温度を継続的に検出するとともに、造形液の温度が初期温度まで回復したか否かを継続的に判断する。
【0066】
造形液の温度が初期温度まで回復した後、3Dプリンタは、算出された待機時間を対応する時間テーブル内に記録する(ステップS56)。本発明では、管理者は、異なる3Dプリンタパラメータ、造形液パラメータ及び印刷厚さなどのデータを用いて、複数の異なる時間テーブルをそれぞれ生成する。ステップS40〜ステップS44の後、3Dプリンタは、取得された条件に基づいて、対応する時間テーブルを読み取るとともに、ステップS56において待機時間を対応する時間テーブル内に記録する。
【0067】
ステップS56の後、3Dプリンタは、時間テーブルの記録を完成したか否かを判断する(ステップS58)。時間テーブルの記録を完成していない場合には、n+1の動作を行う(ステップS60)とともに、ステップS48〜ステップS58を再実行して、次の層(すなわち、第n+1層)のスライスオブジェクトの生成動作を行い、対応する待機時間を記録する。
【0068】
本発明では、上記方法を用いて複数の時間テーブルを作成することで、3Dプリンタが自身の条件によって適切な時間テーブルを読み取って参照するとともに、対応する待機時間を動的に取得することができる。その結果、本発明に係る印刷方法は、様々な条件の3Dプリンタに適用することができる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施形態を挙げて説明したが、これは本発明の実施形態の一例に過ぎない。説明した実施形態は、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されたい。当業者であれば本発明の概念又は技術的思想を含む各種の変動や交換は、本発明の保護を求める範囲内に属するものである。