(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなガラスリボン製造装置では、作業者は、成形されたガラスリボンの形状等に異常が見られるときに、成形部やローラ等の製造設備に何らかの異常が生じていることを把握し、その異常に対する対策を行うが、これでは、製造設備に異常が生じてから作業者によって対策がなされるまでに時間を要してしまい、この点においてなお改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、製造設備の異常に対する迅速な対策を可能としたガラス物品の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するガラス物品の製造装置は、ガラスリボンを流下成形する成形部と、前記成形部から流下される前記ガラスリボンと接触しつつ回転するローラと、前記ローラの状態異常を検知する異常検知部と、前記異常検知部による異常検知に基づき対処動作を行う対処部とを備えている。
【0007】
この構成によれば、ローラに状態異常が生じたとき、その状態異常が異常検知部にて検知され、その異常検知に基づいて対処部による対処動作が行われるため、ローラやその他の製造設備の異常に対する迅速な対策が可能となる。
【0008】
上記ガラス物品の製造装置において、前記異常検知部による異常検知に基づき前記ローラの状態異常を報知する報知部を前記対処部として備えることが好ましい。
この構成によれば、ローラに状態異常が生じたときにその異常が報知部にて報知されるため、ローラやその他の製造設備に異常が生じたことを作業者が迅速に把握することができる。その結果、成形部及びローラを含む製造設備における異常箇所の確認、及びその異常への対応を速やかに実行することが可能となる。
【0009】
上記ガラス物品の製造装置において、前記異常検知部は、前記ローラの回転速度の異常を検知することが好ましい。
この構成によれば、製造設備の種々の異常及びそれに起因するガラスリボンの形状異常がローラの回転速度に反映されやすいため、ローラの回転速度の異常が異常検知部にて検知されることで、様々な異常の多くに対応できる。
【0010】
上記ガラス物品の製造装置において、前記ローラは、前記ガラスリボンの流れに追従して受動的に回転する非駆動ローラであることが好ましい。
この構成によれば、異常検知部の異常検知の対象となるローラが非駆動ローラである。非駆動ローラは、ガラスリボンの流れに追従して受動的に回転するものであることから、設備異常に起因するガラスリボンの形状異常が非駆動ローラの回転速度に反映されやすい。このため、ガラスリボンの形状異常、ひいてはそれを引き起こす設備異常を作業者がより好適に把握することが可能となる。
【0011】
上記ガラス物品の製造装置において、前記ローラを前記ガラスリボンの流下方向に沿って複数備え、複数の前記ローラは、前記非駆動ローラと、駆動源と接続され能動的に回転する駆動ローラとをそれぞれ少なくとも1つ含んで構成され、前記異常検知部は、前記非駆動ローラの回転速度の異常を検知することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、複数のローラがガラスリボンの流下方向に沿って設けられたガラス物品の製造装置において、ガラスリボンの形状異常、ひいてはそれを引き起こす設備異常を作業者がより好適に把握することが可能となる。
【0013】
上記ガラス物品の製造装置において、前記異常検知部による異常検知に基づき前記ローラを前記ガラスリボンから退避させる退避駆動部を前記対処部として備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、異常検知部による異常検知に基づく退避駆動部の駆動によって、ローラがガラスリボンから退避される。これにより、状態異常が生じているローラがガラスリボンに与える影響を小さく抑えることができる。
【0015】
上記ガラス物品の製造装置において、前記異常検知部は、前記ローラの位置の変化に基づいて前記ローラの状態異常を検知することが好ましい。
この構成によれば、異常検知部がローラの位置の変化に基づいてローラの状態異常を検知するため、ローラに生じた軸ぶれ等の異常を異常検知部によって検知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のガラス物品の製造装置によれば、製造設備の異常を作業者が迅速に把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ガラス物品の一例としてガラスリボン(帯状ガラス)を製造する製造装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0019】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、ガラスリボン製造装置11は、ダウンドロー法を用いてガラスリボンGを成形する成形部12を備えている。本実施形態のガラスリボン製造装置11は、ダウンドロー法の一種であるオーバーフローダウンドロー法を用いてガラスリボンGを製造する装置である。なお、ガラスリボンGの用途としては、例えば、ディスプレイ用途、タッチパネル用途、光電変換パネル用途、電子デバイス用途、窓ガラス用途、建材用途、及び車両用途が挙げられる。
【0020】
図1(b)に示すように、ガラスリボン製造装置11の成形部12は、溶融ガラスMGをオーバーフローさせる溝12aと、オーバーフローした溶融ガラスMGの流下を案内する第1案内面12b及び第2案内面12cとを有している。第2案内面12cは、第1案内面12bの反対側に位置し、第1案内面12bと第2案内面12cとに沿って流下した溶融ガラスMGが成形部12の下端で融合されることによりガラスリボンGが成形される。
【0021】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、ガラスリボン製造装置11は、成形部12の下方において、ガラスリボンGの流下方向Zの上流側から順に、第1駆動ローラ13、非駆動ローラ14a、非駆動ローラ14b及び第2駆動ローラ15を備えている。換言すると、流下方向Zにおける第1及び第2駆動ローラ13,15の間に各非駆動ローラ14a,14bが配置された構成となっている。
【0022】
第1駆動ローラ13は、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部をそれぞれ厚み方向Yに挟み込むものであって、該ガラスリボンGの幅方向Xの両端部に一対ずつで計4つ設けられている。各第1駆動ローラ13は、モータ16から回転駆動力が付与される構成となっており、該モータ16の駆動によって第1駆動ローラ13が回転駆動されるようになっている。これら第1駆動ローラ13は、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部と接触することにより、ガラスリボンGの幅方向内側への収縮を抑えてガラスリボンGの幅方向長さを確保する役割を主になしている。
【0023】
非駆動ローラ14aは、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部をそれぞれ厚み方向Yに挟み込むものであって、該ガラスリボンGの幅方向Xの両端部に一対ずつで計4つ設けられている。各非駆動ローラ14aは、第1駆動ローラ13とは異なり、モータ等の駆動源から回転駆動力が付与されない構成となっており、ガラスリボンGの流れに追従して受動的に回転するようになっている。これら非駆動ローラ14aは、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部と接触することにより、ガラスリボンGの幅方向内側への収縮を抑えてガラスリボンGの幅方向長さを確保する役割を主になしている。
【0024】
また、非駆動ローラ14bも同様に、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部をそれぞれ厚み方向Yに挟み込むものであって、該ガラスリボンGの幅方向Xの両端部に一対ずつで計4つ設けられている。各非駆動ローラ14bは、第1駆動ローラ13とは異なり、モータ等の駆動源から回転駆動力が付与されない構成となっており、ガラスリボンGの流れに追従して受動的に回転するようになっている。これら非駆動ローラ14bは、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部と接触することにより、ガラスリボンGの幅方向内側への収縮を抑えてガラスリボンGの幅方向長さを確保する役割を主になしている。
【0025】
なお、上記の第1駆動ローラ13及び非駆動ローラ14a,14bに対してガラスリボンGの幅方向端部を冷却する役割を持たせる場合には、ローラ13,14a,14bの内部に中空部を設け、その中空部に冷媒を流通させることが好ましい。そして、このように第1駆動ローラ13及び非駆動ローラ14a,14bによってガラスリボンGの幅方向端部を冷却するように構成した場合、ガラスリボンGの幅方向内側への収縮をより好適に抑えることができる。
【0026】
第2駆動ローラ15は、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部をそれぞれ厚み方向Yに挟み込むものであって、該ガラスリボンGの幅方向Xの両端部に一対ずつで計4つ設けられている。なお、本実施形態では、第2駆動ローラ15は、表側及び裏側の2つずつがそれぞれ1本の回転軸17で一体回転可能に連結されている。各第2駆動ローラ15には、回転軸17を介してモータ18からの回転駆動力が付与される構成となっており、該モータ18の駆動によって第2駆動ローラ15が回転駆動されるようになっている。第1駆動ローラ13及び非駆動ローラ14a,14bよりも下流側に配置された第2駆動ローラ15は、ガラスリボンGの幅方向Xの両端部を挟んだ状態で回転駆動されることで、ガラスリボンGを流下方向Zに牽引する役割をなしている。なお、各第2駆動ローラ15にて牽引されたガラスリボンGは、切断工程等の後工程に搬送される。
【0027】
また、ガラスリボン製造装置11は、前記モータ16,18の駆動を制御する制御部20と、各非駆動ローラ14aの回転情報を検出するための回転検出部21と、報知部22とを備えている。
【0028】
回転検出部21は、非駆動ローラ14aの回転に基づく出力信号を制御部20に出力する。制御部20は、回転検出部21からの出力信号に基づいて例えば非駆動ローラ14aの回転速度(周速度)を算出する。そして、制御部20は、算出した非駆動ローラ14aの回転速度が予め設定された正常範囲内でない場合には、非駆動ローラ14aの回転に異常が生じていると判定し、報知部22に異常検出信号を出力する。
【0029】
報知部22は、制御部20から入力された異常検出信号に基づいて非駆動ローラ14aの回転に異常が生じていることを報知する。本実施形態では、報知部22は、ディスプレイ23とスピーカ24とを備え、異常検出信号に基づいてスピーカ24から警報音を発生させるとともに、非駆動ローラ14aの回転に異常が発生した旨の警告情報をディスプレイ23に表示させるようになっている。
【0030】
次に、本実施形態の作用について説明する。
成形部12から流下するガラスリボンGは、各第1駆動ローラ13及び各非駆動ローラ14a,14bにて幅方向Xへの広がりを確保されつつ、各第2駆動ローラ15にて流下方向Zに牽引される。このとき、各第1駆動ローラ13及び各第2駆動ローラ15はそれぞれモータ16,18の駆動によって回転される一方で、非駆動ローラ14a,14bはガラスリボンGの流れに追従して受動的に回転される。なお、ガラスリボンGを牽引する第2駆動ローラ15の回転速度(周速度)は、第1駆動ローラ13の回転速度(周速度)よりも速く設定され、それら第1及び第2駆動ローラ13,15間に位置する非駆動ローラ14a,14bは、第1駆動ローラ13の回転速度以上、かつ第2駆動ローラ15の回転速度以下の回転速度(周速度)で回転されることが好ましい。なお、前述のように、第1駆動ローラ13及び非駆動ローラ14a,14bがガラスリボンGの幅方向端部を冷却する冷却ローラとして構成された場合には、ガラスリボンGの幅方向中間部に対して端部の粘度が高くなり、ガラスリボンGの幅方向内側への収縮がより好適に抑えられるようになっている。
【0031】
ここで、非駆動ローラ14aやそれ以外の製造設備(成形部12及び第1及び第2駆動ローラ13,15を含む設備)の異常が原因で、非駆動ローラ14aの回転速度に異常が生じる、つまり、非駆動ローラ14aの回転速度が正常範囲よりも速く又は遅くなることがある。例えば、成形部12や第1駆動ローラ13等の非駆動ローラ14aよりも上段の製造設備の何らかの異常によって、非駆動ローラ14aに到達するガラスリボンGの形状に異常が生じた場合、非駆動ローラ14aの回転速度に異常が生じる。また、例えば、非駆動ローラ14aを軸支するベアリングの不具合によって非駆動ローラ14aのスムーズな回転が阻害されている場合や、非駆動ローラ14aに軸ぶれ(軸直交方向への振動)が発生している場合、非駆動ローラ14aの回転速度に異常が生じる。
【0032】
非駆動ローラ14aに回転異常が生じると、回転検出部21からの出力信号に基づいて制御部20にて算出される非駆動ローラ14aの回転速度が異常値を示し、制御部20から報知部22に異常検出信号が出力される。そして、その異常検出信号に基づいて報知部22のディスプレイ23及びスピーカ24にて非駆動ローラ14aの回転異常の報知が実行される。つまり、この報知によって、非駆動ローラ14aやその他の製造設備(成形部12及び第1及び第2駆動ローラ13,15等)に異常が生じていることを作業者が把握することが可能となっている。
【0033】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)ガラスリボン製造装置11は、非駆動ローラ14aの回転を検出する回転検出部21と、回転検出部21にて検出された非駆動ローラ14aの回転情報に基づいて該非駆動ローラ14aの状態異常を検出する制御部20と、制御部20による異常検出に基づいて非駆動ローラ14aの状態異常を報知する報知部22とを備える。この構成によれば、非駆動ローラ14aに状態異常が生じたときに、報知部22が対処動作としてその状態異常を報知するため、非駆動ローラ14aやその他の製造設備に異常が生じたことを作業者が迅速に把握することができる。その結果、成形部12及び各種ローラ13,14a,14b,15を含む製造設備における異常箇所の確認、及びその異常への対応を速やかに実行することが可能となる。
【0034】
(2)回転検出部21及び制御部20によって非駆動ローラ14aの回転速度の異常が検知され、その回転速度の異常が報知部22にて報知される。この構成によれば、製造設備の種々の異常及びそれに起因するガラスリボンGの形状異常が非駆動ローラ14aの回転速度に反映されやすいため、非駆動ローラ14aの回転速度の異常が報知部22にて報知されることで、様々な異常の多くに対応できる。
【0035】
(3)回転検出部21及び制御部20による異常検知の対象を非駆動ローラ14aとしている。非駆動ローラ14aは、ガラスリボンGの流れに追従して受動的に回転するものであることから、設備異常に起因するガラスリボンGの形状異常が非駆動ローラ14aの回転速度に反映されやすい。このため、ガラスリボンGの形状異常、ひいてはそれを引き起こす設備異常を作業者がより好適に把握することが可能となる。
【0036】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、非駆動ローラ14a,14bのうちの非駆動ローラ14aの回転速度を検出し、その回転速度に基づいて異常を検出しているが、非駆動ローラ14bの回転速度、又は非駆動ローラ14a,14b両方の回転速度を検出し、その回転速度に基づいて異常を検出してもよい。
【0037】
・上記実施形態では特に言及しなかったが、制御部20から入力される異常検出信号に基づいて非駆動ローラ14aをガラスリボンGから厚み方向Y又は幅方向Xに離間するように退避させる例えば流体圧シリンダ等の退避駆動部25(
図1参照)を設けてもよい。この場合、制御部20は、非駆動ローラ14aの回転異常を検出すると、報知部22及び退避駆動部25に異常検出信号を出力し、報知部22にて回転異常の報知が実行されるとともに、退避駆動部25の駆動によって非駆動ローラ14aがガラスリボンGに対して厚み方向Y又は幅方向Xに退避される。
【0038】
このような構成によれば、非駆動ローラ14aの回転異常が検出されると、非駆動ローラ14aが退避駆動部25の駆動によってガラスリボンGから離間されるため、回転異常が生じている非駆動ローラ14aがガラスリボンGに与える影響を小さく抑えることができる。例えば、ベアリング等の不具合によって非駆動ローラ14aの回転が極めて鈍くなった場合では、ガラスリボンGが非駆動ローラ14aとの接触によって飛散し、その飛散したガラスが後段の設備(第2駆動ローラ15やそれ以降の設備)に降りかかるおそれがある。
【0039】
その点、この構成では、回転異常が検出されると非駆動ローラ14aが退避駆動部25の駆動によってガラスリボンGから退避されるため、回転異常が生じた非駆動ローラ14aによってガラスリボンGが飛散するといった事態を免れることができ、非駆動ローラ14aに回転異常が生じたことによる影響を小さく抑えることができる。また、このような構成によれば、非駆動ローラ14aが異常検出に基づいて自動で退避されるため、対処動作としての非駆動ローラ14aの退避をより迅速に実行させることができる。
【0040】
なお、上記では、制御部20からの異常検出信号に基づいて対処動作を行う対処部として報知部22と退避駆動部25の両方を備えた構成を説明したが、報知部22を備えずに退避駆動部25のみを対処部として備えた構成としてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、制御部20は、回転検出部21の出力信号から算出した非駆動ローラ14aの回転速度に基づいて非駆動ローラ14aの回転異常を検出するが、これ以外に例えば、回転検出部21の出力信号から算出した非駆動ローラ14aの回転加速度に基づいて該非駆動ローラ14aの回転異常を検出するようにしてもよい。また、第1駆動ローラ13と非駆動ローラ14aとの回転速度差(又は速度比率)、又は第2駆動ローラ15と非駆動ローラ14aとの回転速度差(又は速度比率)に基づいて該非駆動ローラ14aの回転異常を検出するようにしてもよい。なお、複数の駆動ローラが設けられている場合、非駆動ローラ14aとの距離が最も近い駆動ローラの回転速度と、非駆動ローラ14aの回転速度とを比較して回転異常を検出することが好ましい。ローラ間の距離が近いほど正常時の回転速度が近くなり、異常状態を、より容易かつ正確に検出し易くなる。
【0042】
・また、上記実施形態では、回転検出部21及び制御部20にて非駆動ローラ14aの回転異常を検出し、その回転異常の検出に基づいて制御部20が報知部22に異常検出信号を出力するが、これに特に限定されるものではない。例えば、非駆動ローラ14aの変位異常を検出し、その変位異常の検出に基づいて制御部20が報知部22に異常検出信号を出力するようにしてもよい。
【0043】
この場合の一例を
図2に示す。同図の例では、非駆動ローラ14aの変位異常を検出するための手段として、CCDやCMOS等の撮像素子を有するカメラからなる撮像部31を備えている。撮像部31は非駆動ローラ14a(及び回転軸)の一部又は全体を撮像し、その撮像した画像データを制御部20に出力する。制御部20は、撮像部31により得られた画像データに基づいて非駆動ローラ14aの変位特性値(例えば、非駆動ローラ14aの位置情報)を算出する。そして、制御部20は、算出した非駆動ローラ14aの変位特性値に基づいて非駆動ローラ14aの変位(位置)が異常か否かを判定し、異常が生じていると判定した場合、報知部22に異常検出信号を出力する。
【0044】
この構成によれば、例えば、非駆動ローラ14aに軸ぶれが生じている場合等に、制御部20にて算出される非駆動ローラ14aの変位特性値が異常値を示し、制御部20から報知部22に異常検出信号が出力される。そして、その異常検出信号に基づいて報知部22のディスプレイ23及びスピーカ24にて非駆動ローラ14aの変位異常の報知が実行される。これにより、非駆動ローラ14aに軸ぶれ等の変位異常が生じて所望のガラスリボンGが形成されないといった状況を、報知部22による報知によって作業者が迅速に把握することができる。
【0045】
なお、
図2に示す例では、非駆動ローラ14aの変位異常を検出するための手段とし撮像部31を備えたが、これに特に限定されるものではなく、例えば、接触式変位センサや光学式等の非接触変位センサによって非駆動ローラ14a(又は回転軸)の変位異常を検出してもよい。
【0046】
また、
図2に示す例では、非駆動ローラ14a,14bのうちの非駆動ローラ14aの変位異常を撮像部31にて検出しているが、非駆動ローラ14bの変位異常、又は非駆動ローラ14a,14b両方の変位異常を検出する構成としてもよい。
【0047】
また、例えば、
図3に示すように、非駆動ローラ14aに内蔵した温度センサ32にて該非駆動ローラ14aの温度異常を検出し、その温度異常の検出に基づいて報知部22に異常検出信号が出力されるようにしてもよい。なお、非駆動ローラ14aに温度異常が生じる状態では、ガラスリボンGの所望の形状が形成されないといった状況となる。このことは、非駆動ローラ14aがガラスリボンGの幅方向端部を冷却する冷却ローラである場合は特に顕著となる。
【0048】
このような構成によれば、温度センサ32にて測定される非駆動ローラ14aの温度が異常値を示し、制御部20から報知部22に異常検出信号が出力されると、その異常検出信号に基づいて報知部22のディスプレイ23及びスピーカ24にて非駆動ローラ14aの温度異常の報知が実行される。これにより、非駆動ローラ14aの温度異常によって所望のガラスリボンGが形成されないといった状況を、報知部22による報知によって作業者が迅速に把握することができる。
【0049】
なお、非駆動ローラ14aに軸ぶれや温度異常が生じた場合には、非駆動ローラ14aの回転速度が変動する傾向があるため、上記実施形態のように回転速度の異常を検知する構成でも非駆動ローラ14aの軸ぶれや温度異常に対応できる。
【0050】
また、
図3に示す例では、非駆動ローラ14a,14bのうちの非駆動ローラ14aの温度異常を温度センサ32にて検出しているが、非駆動ローラ14bの温度異常、又は非駆動ローラ14a,14b両方の温度異常を検出する構成としてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、制御部20からの異常検出信号に基づいてスピーカ24から警報音を発生させるとともに、非駆動ローラ14aの回転に異常が発生した旨の警告情報をディスプレイ23に表示させるようにしたが、報知部22による報知の態様はこれに限定されるものではなく、例えば、警告灯の点灯によって報知するように構成してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、非駆動ローラ14aの状態異常(上記実施形態では回転異常)を報知部22にて報知可能に構成されたが、これ以外に例えば、第1及び第2駆動ローラ13,15の少なくとも一方の状態異常(例えば回転異常)を報知部22にて報知可能に構成してもよい。また、非駆動ローラ14a及び第1及び第2駆動ローラ13,15の全ての状態異常を報知部22にて報知可能に構成してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、成形部12の下方において上流側から順に第1駆動ローラ13、非駆動ローラ14a,非駆動ローラ14b及び第2駆動ローラ15が配置されたローラ構成としているが、成形部12の下方におけるローラ構成は上記実施形態に限定されるものではなく、構成に応じて適宜変更してもよい。また、上記実施形態では各第2駆動ローラ15がガラスリボンGの表面側及び裏面側でそれぞれ1本の回転軸17によって一体回転する例を示したが、これ以外に例えば、各第2駆動ローラ15を個別の回転軸により所謂片持ち状態で回転させてもよい。
【0054】
・上記実施形態では、ガラス物品の製造装置11は、ダウンドロー法を用いてガラスリボンGを成形する成形部12を備えているが、ダウンドロー法に限定されず、ガラスを流下成形する成形部に変更することもできる。
【0055】
・上記の実施形態並びに各変形例は適宜組み合わせてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス物品の製造装置において、
前記異常検知部は、前記ローラの変位の異常を検知することを特徴とするガラス物品の製造装置。
【0056】
この構成によれば、ローラに変位異常が生じたときにその変位異常が報知部にて報知されるため、ローラに軸ぶれ等の変位異常が生じたことを作業者が迅速に把握することができる。
【0057】
(ロ)請求項1〜4及び上記付記(イ)のいずれか1項に記載のガラス物品の製造装置において、
前記異常検知部は、前記ローラの温度の異常を検知することを特徴とするガラス物品の製造装置。
【0058】
この構成によれば、ローラに温度異常が生じたときにその温度異常が報知部にて報知されるため、ローラに温度異常が生じたことを作業者が迅速に把握することができる。