(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像処理装置は、設定されている前記切り出し画角で切り出された前記画像に、前記初期切り出し画角で切り出された前記画像の外枠と同等もしくはほぼ同等の大きさの光透過性の外枠を、重ね合わせる重ね合わせ部を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両周辺視認装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両周辺視認装置の実施形態(実施例)の1例および変形例の3例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態および変形例によりこの発明が限定されるものではない。この明細書および特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両周辺視認装置を車両Cに搭載した際の車両Cの前、後、上、下、左、右である。
【0016】
図8において、横軸は、ステアリング角度θを示し、縦軸は、切り出し画角Xを示す。
図11において、縦軸は、ステアリング角度θの変化と切り出し画角Xの変更との相対関係を示し、横軸は、車速Sを示す。
図12において、縦軸は、切り出し画角Xを示し、横軸は、時間Tを示す。
【0017】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜
図8は、この発明にかかる車両周辺視認装置の実施形態1を示す。以下、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置の構成について説明する。この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、
図2に示すように、撮像装置(カメラ)1と、検出装置2と、画像処理装置(画像処理ECU)3と、表示装置(モニタ)4と、を備えるものである。
【0018】
(撮像装置1の説明)
前記撮像装置1は、
図1に示すように、車両Cの左右のドアにそれぞれ搭載されている。前記撮像装置1は、車両用リヤビュミラー、この例では、前記車両Cの左右のドアに装備されるアウトサイドミラー装置(ドアーミラー装置)の代替えである。以下、前記車両Cの右側に搭載されている前記撮像装置1について説明する。なお、前記車両Cの左側に搭載されている前記撮像装置1は、前記車両Cの右側に搭載されている前記撮像装置1とほぼ同様の構成をなすものであるから、説明を省略する。
【0019】
前記撮像装置1は、前記画像処理装置3に接続されている。前記撮像装置1は、前記車両Cの周辺であって、前記車両Cの後方および側方の情報(
図3参照)を撮像し、撮像した前記車両Cの後方および側方の情報を画像データとして前記画像処理装置3に出力するものである。前記撮像装置1は、この例では、2,560×1,440の画角サイズ(画像サイズ、画素数)のカメラを使用する。
【0020】
(検出装置2の説明)
前記検出装置2は、前記車両Cに搭載されている。前記検出装置2は、前記画像処理装置3に接続されている。前記検出装置2は、前記車両Cの情報を検出し、検出した車両情報を検出信号として前記画像処理装置3に出力するものである。前記検出装置2は、この例では、ステアリング角度検出部(ステアリング角度センサ)と、ギアポジション検出部(ギアポジションセンサ)と、を備えるものである。なお、前記検出装置2は、前記の検出部以外に、車速検出部(車速センサ)と、方向指示検出部(方向指示センサ)と、車両位置検出部(車両位置センサ)と、超音波検出部(超音波センサ)と、その他の検出部と、を備える場合がある。
【0021】
前記ステアリング角度検出部は、ステアリングハンドル(ステアリングホイール、ハンドルなど同意語)のステアリング角度(操舵角、舵角と同意語)θを検出して、ステアリング角度信号を前記画像処理装置3に出力するものである。すなわち、前記ステアリング角度検出部は、たとえば、前記車両Cが交差路を左折したり右折したりする場合に、また、前記車両Cが曲路(左カーブの道路や右カーブの道路)を走行する場合に、さらに、前記車両Cが走行している車線を右側にあるいは左側に変更する場合に、ドライバーが操作するステアリングハンドルの前記ステアリング角度(回転角度)θを検出して、ステアリング角度信号を前記画像処理装置3に出力するものである。前記ステアリング角度検出部が検出する前記車両情報は、前記車両Cが交差点や曲路などにおいて左折右折する際の、あるいは、前記車両Cが車線変更する際の前記ステアリング角度θである。前記ステアリング角度θは、前記ステアリングハンドルの左回転および右回転において、0°から最大θB°までである。なお、前記ステアリング角度検出部は、前記ステアリング角度θの検出以外に、ステアリングハンドルの操作方向(回転方向)や角速度を検出して、操作方向信号および角速度信号を前記画像処理装置3に出力するものであっても良い。
【0022】
前記ギアポジション検出部は、ドライバーが切り替え操作したギアポジションを検出してギアポジション信号を前記画像処理装置3に出力するものである。前記ギアポジション検出部は、この例では、前記車両Cが前進する前進ギアポジション(1速、2速、ドライブなどのギアポジション)を検出してギアポジション信号を前記画像処理装置3に出力するものである。前記ギアポジション検出部が検出する前記車両情報は、前記車両Cが前進する際の前記前進ギアポジションである。なお、前記ギアポジション検出部は、前記車両Cが前進するギアポジション以外に、前記車両Cが後進するリバースポジション、あるいは、前記車両Cが停車するパーキングポジション、ニュートラルポジションなどを検出する場合がある。
【0023】
(画像処理装置3の説明)
前記画像処理装置3は、前記車両Cに搭載されている。前記画像処理装置3は、前記撮像装置1、前記検出装置2、前記表示装置4にそれぞれ接続されている。前記画像処理装置3は、前記撮像装置1により撮像された前記車両Cの後方および側方の画像を前記検出装置2からの前記車両情報の前記ステアリング角度θおよび前記前進ギアポジションに基づいて設定されている切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出し、かつ、前記車両情報の前記ステアリング角度θの変化に伴って前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)を変更させるものである。
【0024】
前記画像処理装置3は、
図3、
図8に示すように、前記切り出し画角Xにおいて、車両用リヤビュミラーのミラー面の画角を最小切り出し画角(最小水平画角)XAとする。また、前記撮像装置1の最大撮像画角を最大切り出し画角(最大水平画角)XBとする。さらに、前記最小切り出し画角XAから前記最大切り出し画角XBまでの間の切り出し画角を中間切り出し画角XN、X1、X2、X3とする。なお、符号「XN」は、不特定の中間切り出し画角を示す。符号「X1、X2、X3」は、特定の中間切り出し画角を示す。
【0025】
前記画像処理装置3は、
図3、
図8に示すように、前記最小切り出し画角XAを初期切り出し画角として、前記ステアリング角度θの変化に伴って前記切り出し画角Xを、前記最小切り出し画角XAから前記中間切り出し画角XN、X1、X2、X3を経て前記最大切り出し画角XBまでの範囲において変更させるものである。前記初期切り出し画角XAは、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置が駆動(作動)状態になったときに、あるいは、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置が駆動(作動)状態において、前記ギアポジション検出部が前記前進ギアポジションを検出したときに、初期に切り出される切り出し画像である。
【0026】
前記画像処理装置3は、
図2に示すように、判別部5と、画像切り出し部6と、重ね合わせ部7と、を備えるものである。
【0027】
前記判別部5は、前記検出装置2からの前記車両情報の前記ステアリング角度θの入力信号θA、θ1、θ2、θ3、θBおよび前記前進ギアポジションの入力信号に基づいて判別信号θA、θ1、θ2、θ3、θBを前記画像切り出し部6に出力するものである。
【0028】
前記画像切り出し部6は、前記判別部5からの前記判別信号θA、θ1、θ2、θ3、θBに基づいて前記撮像装置1からの画像を設定されている前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出すものである。なお、前記判別信号θA、θ1、θ2、θ3、θBは、前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出す閾値である。
【0029】
前記重ね合わせ部7は、設定されている前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出された前記画像に、前記初期切り出し画角XAで切り出された前記画像(
図5参照)の外枠と同等もしくはほぼ同等の大きさの光透過性の外枠12を、重ね合わせるものである。前記光透過性の外枠12は、例えば、光透過性のグリーンに着色されている。
【0030】
特に、前記画像処理装置3は、
図8の実線で示すように、前記車両情報の前記ステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化および前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更にそれぞれ幅を持たせている。すなわち、前記ステアリング角度θの変化と前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更とが、階段状(ステッピング)変動するものである。以下、階段状変動について詳細に説明する。
【0031】
前記ステアリング角度θが0から閾値θAまでの範囲においては、前記初期切り出し画角(前記最小切り出し画角)XAが切り出されている。前記ステアリング角度θが閾値θAに達すると、前記切り出し画角Xは、前記初期切り出し画角(前記最小切り出し画角)XAから前記中間切り出し画角X1に切り出される。
【0032】
前記ステアリング角度θが閾値θAから閾値θ1までの範囲においては、前記中間切り出し画角X1が切り出されている。前記ステアリング角度θが閾値θ1に達すると、前記切り出し画角Xは、前記中間切り出し画角X1から前記中間切り出し画角X2に切り出される。一方、前記ステアリング角度θが閾値θAに戻ると、前記切り出し画角Xは、前記中間切り出し画角X1から前記初期切り出し画角XAに切り出される(戻る)。
【0033】
前記ステアリング角度θが閾値θ1から閾値θ2までの範囲においては、前記中間切り出し画角X2が切り出されている。前記ステアリング角度θが閾値θ2に達すると、前記切り出し画角Xは、前記中間切り出し画角X2から前記中間切り出し画角X3に切り出される。一方、前記ステアリング角度θが閾値θ1に戻ると、前記切り出し画角Xは、前記中間切り出し画角X2から前記中間切り出し画角X1に切り出される(戻る)。
【0034】
前記ステアリング角度θが閾値θ2から閾値θ3までの範囲においては、前記中間切り出し画角X3が切り出されている。前記ステアリング角度θが閾値θ3に達すると、前記切り出し画角Xは、前記中間切り出し画角X3から前記最大切り出し画角XBに切り出される。一方、前記ステアリング角度θが閾値θ2に戻ると、前記切り出し画角Xは、前記中間切り出し画角X3から前記中間切り出し画角X2に切り出される(戻る)。
【0035】
前記ステアリング角度θが閾値θ3から閾値θBまでの範囲においては、前記最大切り出し画角XBが切り出されている。前記ステアリング角度θが閾値θ3に戻ると、前記切り出し画角Xは、前記最大切り出し画角XBから前記中間切り出し画角X3に切り出される(戻る)。
【0036】
なお、前記画像処理装置3は、
図8の一点鎖線で示すように、前記ステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化と前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更とが、直線状(リニア)変動するものであっても良い。
【0037】
(表示装置4の説明)
前記表示装置4は、前記車両Cのうちドライバーの視野範囲に搭載されている。前記表示装置4は、この例では、1,280×720の画角サイズ(画像サイズ、画素数)のモニタを使用する。前記表示装置4は、前記画像処理装置3に接続されている。前記表示装置4は、前記画像処理装置3により設定されている前記切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出された画像(
図5、
図6、
図7を参照)を表示するものである。なお、
図5に示される画像は、前記画像処理装置3により、前記初期切り出し画角(前記最小切り出し画角)XAで切り出された画像である。
図6に示される画像は、前記画像処理装置3により、前記中間切り出し画角XN、X1、X2、X3で切り出された画像である。
図7に示される画像は、前記画像処理装置3により、前記最大切り出し画角XBで切り出された画像である。
【0038】
なお、
図3、
図5〜
図7において、符号「8」、「9」、「10」は、前記車両Cが走行している「路面」、「路肩」、「路壁」を示す。また、符号「11」は、前記路面8上に配置された道路用コーンを示す。前記道路用コーン11は、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置において、前記表示装置4に表示される画像から、ドライバーが視認できる範囲(前記表示装置4に表示される画像の画角)を表すための目印である。
【0039】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0040】
まず、
図4に示すように、表示装置4には、画像が表示されていない。それから、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置が駆動(作動)状態になる。あるいは、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置が駆動(作動)状態において、ギアポジション検出部が前進ギアポジションを検出する。すると、
図5に示すように、表示装置4には、画像処理装置3により設定されている初期切り出し画角(最小切り出し画角)XAで切り出された画像が表示される。
【0041】
ステアリング角度θが0、θA、θ1、θ2、θ3、θBと変化する。すると、
図8の実線で示すように、画像処理装置3により設定されている切り出し画角XがXA、XN、X1、X2、X3、XBと変更される。そして、画像処理装置3により設定されている切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出された画像は、
図5〜
図7に示すように、表示装置4に表示される。
【0042】
図5に示される画像は、画像処理装置3により、初期切り出し画角(最小切り出し画角)XAで切り出された画像である。この
図5に示される画像は、車両用リヤビュミラーのミラー面の画角と同等もしくはほぼ同等の画角である。この
図5に示される画像の外枠には、光透過性の外枠12が表示されている。
【0043】
図6に示される画像は、画像処理装置3により、中間切り出し画角XN、X1、X2、X3で切り出された画像である。この
図6に示される画像は、
図5に示される画像(
図6中の光透過性の外枠12を参照)よりも広い画角で表示されている。このために、
図5に示される画像では見えない道路用コーン11が、
図6に示される画像において見える。この
図6に示される画像には、光透過性の外枠12が、先の
図5に示される画像で見える範囲として表示されている。
【0044】
図7に示される画像は、画像処理装置3により、最大切り出し画角XBで切り出された画像である。この
図7に示される画像は、
図5に示される画像(
図7中の光透過性の外枠12を参照)および
図6に示される画像(
図7中の破線で示される枠を参照)よりも広い画角で表示されている。このために、
図5に示される画像および
図6に示される画像では見えない道路用コーン11が、
図7に示される画像において見える。この
図7に示される画像には、光透過性の外枠12が、先の
図5に示される画像で見える範囲として表示されている。
【0045】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0046】
この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、ステアリング角度θが0、θA、θ1、θ2、θ3、θBと変化すると、画像処理装置3により設定されている切り出し画角XがXA、XN、X1、X2、X3、XBと変更されて、画像処理装置3により設定されている切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出された画像が表示装置4に表示される。
【0047】
以上のように、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、表示装置に表示される画像の画角(視野角)を車両情報に基づいて変更させることができる。これにより、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、車両Cの後方および側方を、車両用リヤビュミラーのミラー面の画角よりも広い画角で視認することができる。この結果、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、車両用リヤビュミラーのミラー面では死角である範囲を視認することができるので、交通安全に貢献することができる。
【0048】
特に、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、
図8の実線で示すように、ステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化および切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更にそれぞれ幅を持たせている。すなわち、ステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化と切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更とが、階段状(ステッピング)変動するものである。このために、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、表示装置4で表示される画像がステアリング角度θの一定幅(範囲)において一定の切り出し画角で保たれているので、切り出し画角Xがステアリング角度θの変化に伴って
図8の一点鎖線で示すように直線状(リニア)に変動する場合と比較して、煩わしさが無い。ドライバーに安定した画像を提供することができる。
【0049】
この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、重ね合わせ部7により、設定されている切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)で切り出された画像に、初期切り出し画角XAで切り出された画像(
図5参照)の外枠と同等もしくはほぼ同等の大きさの光透過性の外枠12を、重ね合わせるものである。このために、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、中間切り出し画角XN、X1、X2、X3および最大切り出し画角XBで切り出された画像(
図6、
図7を参照)において、初期切り出し画角XAと中間切り出し画角XN、X1、X2、X3および最大切り出し画角XBとの相対位置関係を把握することができる。すなわち、この実施形態1にかかる車両周辺視認装置は、車両用リヤビュミラーのミラー面での死角範囲を、表示装置4において把握することができるので、交通安全に貢献することができる。
【0050】
(変形例1の説明)
図9は、この発明にかかる車両周辺視認装置の変形例1を示す。以下、この変形例1における車両周辺視認装置について説明する。図中、
図1〜
図8と同符号は、同一のものを示す。
【0051】
この変形例1における車両周辺視認装置は、切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)を変更させる車両情報のステアリング角度θの閾値θA、θ1、θ2、θ3、θBに不感帯θDを設けるものである。
【0052】
この変形例1における車両周辺視認装置は、以上のごとき構成からなり、以下その作用について説明する。たとえば、ステアリング角度θが閾値θAに達すると、切り出し画角Xが初期切り出し画角(最小切り出し画角)XAから中間切り出し画角X1に切り出される。切り出し画角Xが一旦中間切り出し画角X1に切り出されると、ステアリング角度θが閾値θAに戻っても、切り出し画角Xが中間切り出し画角X1から初期切り出し画角XAに切り出されず(戻らず)、中間切り出し画角X1を維持する。そして、ステアリング角度θが閾値θAから不感帯θDを差し引いた戻り閾値θCに戻ると、切り出し画角Xが中間切り出し画角X1から初期切り出し画角XAに切り出される(戻る)。
【0053】
この変形例1における車両周辺視認装置は、以上のごとき構成作用からなるものであるから、ステアリング角度θの閾値θA、θ1、θ2、θ3、θB付近において、切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)が頻繁に変更されることが無いので、煩わしさが無い。ドライバーに安定した画像を提供することができる。
【0054】
(変形例2の説明)
図10、
図11は、この発明にかかる車両周辺視認装置の変形例2を示す。以下、この変形例2における車両周辺視認装置について説明する。図中、
図1〜
図9と同符号は、同一のものを示す。
【0055】
この変形例2における車両周辺視認装置は、ステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化と切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更との相対関係(θ、θS、θW、θD)を、車速Sに基づいて変化させるものである。たとえば、
図10に示すように、ある閾値θS−1である切り出し画角X−1から次位の切り出し画角X−2に変更する場合において、ある閾値θS−1と次位の閾値X−2との閾値幅をθWとする。この場合において、
図11に示すように、閾値θS(θS−1、θS−2)、閾値幅θW、不感帯θDを、車速Sに基づいて変化させるものである。
図11においては、車速Sが増大する(早くなる)に伴って、閾値θS(θS−1、θS−2)、閾値幅θW、不感帯θDが直線的にあるいは非直線的(対数関数的、あるいは、指数関数的)に増大するものである。なお、図示しないが、車速Sが増大する(早くなる)に伴って、閾値θS(θS−1、θS−2)、閾値幅θW、不感帯θDが直線的にあるいは非直線的(対数関数的、あるいは、指数関数的)に減少するものであっても良い。
【0056】
この変形例2における車両周辺視認装置は、以上のごとき構成作用からなるものであるから、ステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化と切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更との相対関係(θ、θS、θW、θD)を、車速Sに基づいて変化させることができる。この結果、この変形例2における車両周辺視認装置は、車速Sに対応したステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化と切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)の変更とが得られるので、メーカーやユーザーの要望の自由度が増すことができる。
【0057】
(変形例3の説明)
図12は、この発明にかかる車両周辺視認装置の変形例3を示す。以下、この変形例3における車両周辺視認装置について説明する。図中、
図1〜
図11と同符号は、同一のものを示す。
【0058】
この変形例3における車両周辺視認装置は、
図12(A)、(B)に示すように、切り出し画角Xを狭角の切り出し画角XCから広角の切り出し画角XDに変更させる遷移時間T3を、切り出し画角Xを広角の切り出し画角XDから狭角の切り出し画角XCに変更させる遷移時間T4よりも、短くするものである。前記遷移時間T3、T4は、
図12(A)に示すように、直線的に遷移するものであっても良いし、または、
図12(B)に示すように、非直線的に遷移するものであっても良い。
【0059】
この変形例3における車両周辺視認装置は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。この変形例3における車両周辺視認装置は、車両情報のステアリング角度θに基づいて、切り出し画角Xを狭角の切り出し画角XCから広角の切り出し画角XDに変更させる場合において、変更開始時T1から遷移時間T3を費やして徐々に連続的に切り替えて変更させるものである。一方、この変形例3における車両周辺視認装置は、車両情報のステアリング角度θに基づいて、切り出し画角Xを広角の切り出し画角XDから狭角の切り出し画角XCに変更させる場合において、変更開始時T2から遷移時間T4を費やして徐々に連続的に切り替えて変更させるものである。
【0060】
この変形例3における車両周辺視認装置は、以上のごとき構成作用からなるものであるから、切り出し画角Xを、狭角の切り出し画角XCから広角の切り出し画角XDに、また、広角の切り出し画角XDから狭角の切り出し画角XCに、一瞬のうちに切り替えて変更させる場合(
図12(C)参照)と比較して、切り出し画角Xの変更を連続的に滑らかに行うことができる。これにより、この変形例3における車両周辺視認装置は、連続的に滑らかに変化する画像をドライバーに提供することができるので、ドライバーへの負担を軽減することができる。
【0061】
この変形例3における車両周辺視認装置は、狭角の切り出し画角XCから広角の切り出し画角XDへの遷移時間T3が広角の切り出し画角XDから狭角の切り出し画角XCへの遷移時間T4よりも短い。このために、この変形例3における車両周辺視認装置は、狭角の切り出し画角XCから広角の切り出し画角XDへの変更を、広角の切り出し画角XDから狭角の切り出し画角XCへの変更よりも、早く行うことができるので、死角視認を早く行うことができ、交通安全に貢献することができる。一方、この変形例3における車両周辺視認装置は、広角の切り出し画角XDから狭角の切り出し画角XCへの変更を、狭角の切り出し画角XCから広角の切り出し画角XDへの変更よりも、時間をかけて行うことができるので、表示装置4に表示される画像の拡大率を時間かけて大きくすることができ、ドライバーへの負担を軽減することができる。
【0062】
この変形例3における車両周辺視認装置は、
図12(B)に示すように、狭角の切り出し画角XCから広角の切り出し画角XDへの変更を非線形の対数関数的に行うので、変更開始時において素早い死角視認を行うことができる。一方、この変形例3における車両周辺視認装置は、
図12(B)に示すように、広角の切り出し画角XDから狭角の切り出し画角XCへの変更を非線形の指数関数的に行うので、変更終了時において表示装置4に表示される画像の拡大率をゆっくりと時間をかけて大きくすることができ、ドライバーへの負担を軽減することができる。なお、切り出し画角Xの変更は、
図12(B)に示す対数関数的や指数関数的以外の非線形であっても良い。
【0063】
(実施形態1、変形例1、2、3以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、変形例1、2、3においては、ステアリング角度θ(θA、θ1、θ2、θ3、θB)の変化に基づいて、切り出し画角X(XA、XN、X1、X2、X3、XB)が複数に変更するものである。ところが、この発明においては、方向指示検出部のウインカスイッチがON(オン)の時に切り出し画角Xを最小切り出し画角XAから最大切り出し画角XBに変更し、方向指示検出部のウインカスイッチがOFF(オフ)の時に切り出し画角Xを最大切り出し画角XBから最小切り出し画角XAに変更するものであっても良い。